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競馬回顧 2025年4回阪神

第59回スプリンターズステークス(GⅠ)

ウインカーネリアン

遮眼革。シープスキンノーズバンド。今日もしっかり踏めていた。見た目が太い方が走る傾向で、前走札幌戦同様、今日もこの馬としてはスッキリ見せていた方。好発。内からジューンブレアが主張して、2番手。逃げた前走札幌戦は少し擦られる形になったが、今日はスンナリの展開。ジューンブレアの前半600m33.7秒は前走以上に遅いペースで、ペース的にもメンタル的にも楽が出来た。直線に向いて、ジューンブレアに並び掛け、一騎打ちの形。坂を上って、こちらが前に出て、人馬共に悲願の初GⅠ制覇となった。人気どころがサトノレーヴを意識したのが、"行った行った"になった最大の原因だが、それもスタートが速いからこそ。スンナリの展開は中々望み辛いとしても、かつてのダイタクヤマトの様に、もうひと稼ぎしたい。

ジューンブレア

2人曳き。前後肢にバンテージ。3戦続けて同じ数字だが、今日もスッキリ。歩様は少し独特だが、踏み込みは深い。ゲート五分。出脚も速かったが、恐らくは鞍上の決め打ちでハナ。前述した様に、上手くスローに落とせた。ウインカーネリアンが無理に来ないのも想定済だっただろう。繰り返しになるが、600m通過33.7秒は中々のスローで、レッドファルクスが勝った2017年の33.9秒以来のペース。ただ、当時と違うのは前も33秒前半で上がって、1分6秒台の決着となる点。こうなると、後続はキツい。序盤に行きたがっていた後続が早目に仕掛けて来れなかったのもいい方に向いた。馬も器用だが、逃げる手を選択し、このペースに持ち込んだ鞍上も見事。

ナムラクレア

前走函館戦と似た様な感じ。何時も良く見せる馬で、歩様もしっかりしていたが、今春の中京戦が一番研ぎ澄まされた感が有った。充分、走れる状態だったとしても、これだと少しフックラ感が有る。今日はゲート五分。内のサトノレーヴの出方を窺っていていたが、そのサトノレーヴが押して行くのを見て、マーク策に切り替える形。ただ、内外から来られたことで、サトノレーヴの位置で中段。更に後方から。今日は序盤に急かした馬が止まるケースが多く、その点で序盤をスムーズに運べた点は良かったが。今日の展開では流石に厳しかった。これで充分、力を見せたといえる競馬だが、内容よりも結果が欲しかったところ。

サトノレーヴ

今春の中京戦と比較して+8kg。これだと少し重たい。ユッタリ歩けていて悪くないが、中山1200mは見た目から向いていない印象も。今年はゲート五分。押してはいたにせよ、好位へ取り付ける出脚も有ったが、前述した様に外から次々来られて、1列下げる形。ずっと外に馬が居て包囲網がキツく、この鞍上が人気を背負って負ける時の典型的パターン。それでも直線は自然と前が開いて進路は有ったが、このスローで位置取り自体が悪かった上に、この馬自身も微妙に反応が悪く、最後はナムラクレアにも捕まって4着止まり。あくまで展開が一番の敗因だが、ナムラクレアに負けたのは中山適性の無さ。香港や中京の様なシンプルなコース形態の方がいい。

ヨシノイースター

前後肢にバンテージ。前走阪神戦は歩様の硬さが気になったが、今日は上手く立て直せた様。歩様がスムーズになった。馬はここでも負けていない。ゲート五分。出脚に勝るピューロマジックに付いて行く形。そのピューロマジックが好位に控えたことで、こちらは中段。出脚で無理せず、道中の折り合いも付いていた。4角の手応え自体はお世辞にもいい様に見えなかったが、直線は中々渋太く、ピューロマジックとダノンマッキンリーも含めた3頭で、大接戦になっていた5着争いを際どく制した。前走中京戦は歩様が怪しかったが、地力は高く、デキが戻っていたのも大きい。あとは兎にも角にも、タイトルに手が届くかどうか。

ママコチャ

+2kg。デビュー以来、初の500kg。これだと少し太い。腹回りが厚ぼったく見えた。歩様はそんなに悪くない。好発も、ジューンブレアやウインカーネリアンに外から来られて控える形。この馬はこうなるとダメで、道中はかなり行きたがっていた。この時期はデキがいいので、最後迄、諦めてはいないが、もうひとつ伸びず。勝ちに行くなら、ジューンブレアに抵抗した方が良かったが、本来の鞍上ではないだけに安全策を採るのは当然。次走改めて。

ピューロマジック

2人曳き。+16kg。体重測定のないUAE戦は別にして、デビュー以来、最高体重。多少太いとしても、馬が張ってデキ自体は良さそう。イレ込みは毎度。ゲート五分。出脚は流石に速いが、最近のパターン通り、控える形。ジューンブレアに行かせての番手だったが、序盤は行きたがってしまった。スプリントGⅠでこうなるとダメ。不利はなく来れていても、直線は手前を中々替えず、坂も上れなかった。結果的に行き切った方が勝つ可能性が有ったということになるが、それは結果論。これも今日はこれで仕方がない。

トウシンマカオ

2人曳き。+8kg。前肢にバンテージ。気配に乏しいのは何時ものことだが、今季は馬体に張りがない。歩様はこんなモノ。スムーズでブレはないが、踏み込みの深いタイプではない。ゲートで安目を売ったが、出脚で挽回して好位。このペースなら行きたがる位で丁度だが、ズブい位の行き振り。脚勢的にバテたという感じでもなかったが、回転数がなかった。デキも本当ではないのだろうが、現状だと1400mの方がいいのかも。

第29回シリウスステークス(GⅢ)

ホウオウルーレット

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-6kg。今日の方が馬体が締まって雰囲気はいい。歩様もしっかりしていた。ゲートも怪しかったが、芝での出脚もなく、バラけた最後方から。序盤は掛かり気味にも見えたが、落ち着いた向正面に入って内目を進出。4角でも後方では有ったが、手応えが抜群に良かった。直線は少し外へ持ち出し、進路を確保してからは一気の伸び。坂下辺りではブライアンセンスと同じ位置に居たが、最早置き去りとさえいえる決め手だった。決め手が生きる条件で、漸く重賞に手が届いた格好。とはいえ、機関車役を務めたホウオウプロサンゲの参戦、それを早目に潰しに行ったジューンアヲニヨシ、道中の捌きも含めて、何かひとつ違っていれば勝ちはなかった。その上で、最も確率が高いのは東京2100mだろうが、毎回述べている様に、重賞がなくなってしまったのは本当に残念。今後も年に1回ハマるかどうかだろうが、中京1800mのイン突きならその可能性はゼロではない。

サイモンザナドゥ

シープスキンノーズバンド。+6kg。前走小倉戦の方が締まって見えた。歩様は悪くないが、良くは見せない。ゲートがヨレ気味だったことも有るが、これも芝での出脚がなく、押して中段。坂を上った辺りで内目が開いているのを見て、内目へ誘導。馬群の中だったことも有るが、ダートに入ってからの行き振りも怪しく、道中もオッツケ気味だった。向正面に入って、テーオーパスワードを目標に上手く外へ持ち出し、これも4角は手応え充分。しっかり伸びているが、ギャンブルに徹したホウオウルーレットの決め手が違った。鞍上としては100点の競馬。これも決め手が生きる条件になればやれるタイプ。ただ、ゲートは出るに越したことはない。位置取りが何処になるか分からないのでは競馬が組み立て辛い。

ジューンアヲニヨシ

前肢にバンテージ。+12kg。今日は腹回りが一枚重たい。毛ヅヤが冴えて、馬は張っているので、デキ自体は良さそうだが。完歩が小さく、トモが甘そうな歩様は毎度。好発も、芝での出脚が厳しそうで、押して押して2番手。道中はホウオウプロサンゲを行かせて、ルクスフロンティアと並走する形。道中はリズム良く追走。ただ、決め手の有る馬ではないとのことで、3画手前から前を窺いに行って、3〜4角中間で先頭。4角の時点で1馬身、直線に向いて坂下で3馬身近いリードが有ったが、流石に最後は苦しくなった。勝つのは難しいにしても、出来れば賞金を加算出来る2着が欲しかったところ。ケガ明け3週目の鞍上だが、お手馬が減っている状況で、人馬共に痛恨のハナ差。

ジンセイ

今季初戦だが、前走京都戦とそう変わらず。もう少し絞った方が見た目はいい筈。ただ、歩く速度こそ遅いが、歩様は力強い。ゲート五分。出脚もそれなりで、最初はテーオーパスワードをマークする形にも見えたが、そのテーオーパスワードが思ったよりも行かず、ならばと被せに行く形にして、好位から。隊列が固まってからはスムーズだったが、ジューンアヲニヨシが早掛けして追い掛けざるを得ない形になったのが最後に響いた。最初からテーオーパスワードを無視していれば、最後の粘りが違った可能性も有るが、それは結果論。こんなタイプでは有るとしても、馬も鞍上も責められないところ。

ブライアンセンス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-10kg。絞れたのは輸送分か。少しスッキリとは映るが、下見に問題はない。歩様も若干、踏み込みが浅いが、こんなモノ。ゲートで安目を売って、無理せず後方から。坂下でインへ誘導。道中のリズムは悪くなさそうに見えたが、4角で真横に居たホウオウルーレットとは手応えが対照的で、こちらは汲々。ただ、最後はテーオーパスワードを捉えた様に、その割には直線は頑張っている。58.5kgは戦前から流石に厳しそうだったが、案の定という外ない。尤も、前走札幌戦は大きく不利を食らっており、精神的ダメージも案じられたところ。陣営にとっては、最後迄、諦めずに走っていただけでも、収穫なのだろう。斤量面でキツくなければ今後も好勝負。

テーオーパスワード

-4kg。この馬としては気負っていたのが気になったが、連勝馬らしい馬体の張りが有る。歩様も力強く、デキ自体はいい。ゲート五分。芝での出脚が一番速い位だったが、内から主張して来た馬が居て、人気を背負って無理も出来ず控える形。今日の展開ならこれはこれだが、ジンセイが切り替えて被せに来る等、外からも何頭か来たのが余計。道中は馬群の中で包まれる形になり、馬も少し気を遣いながら追走していた様に見えた。こういう展開になると、ハンデも重くのしかかって来る。4角でほぼ手応えがなく、直線も全く伸びず。尤も、4角の手応えを考えると、これでもまだ踏ん張っている方。能力は高い。人気落ちの次走は改めて狙ってみる手も。

ホウオウプロサンゲ

煩いタイプだが、今日は集中力が有った。馬体も緩いところはなく、毛ヅヤも含めて、デキ自体はいい。ゲートは一応五分だったが、芝での出脚が速くなく、ダートに行っても進まずで、押して無理矢理ハナ。この段階でダート適性はなさそうだったが、外から無理に行った分、単騎で行って1000m通過61.5秒なら楽な方。それでも道中はオッツケオッツケで、3角過ぎから手応えが怪しくなり、ジューンアヲニヨシに早目に来られて万事休す。競馬にならなかった。厩舎が違うので、何処迄、話が出来ていたは未知数だが、この馬だけが展開を造った訳ではないにせよ、ホウオウルーレットが勝ったことは何より。ダート適性はなかったが、鉄砲玉役としてはいい仕事が出来た。

第71回産経賞オールカマー(GⅡ)

レガレイラ

2人曳き。-6kg。数字分だけ腹回りがスッキリ。基本的にはデビュー以来、ずっと馬体が増えて来た馬だが、現状はこれ位がベストか。歩様にもキレが有る。元々ゲートの上手い方ではないが、今日もゲート内で横を向いていて、出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。この頭数だが、道中はほぼ1列棒状の展開で、1000m通過59.9秒とソコソコのペース。向正面で動いた馬が何頭か居たが、更に後方に居たドゥラドーレスを一旦行かせてそれに乗る形。3角でドゥラドーレスを行かせた際に少し窮屈になり、クロミナンスと接触したが、大きな影響はなし。4角での反応が良く、直線も手応え通りに突き抜けた。完勝といっていいが、展開がないと二束三文の馬。機関車役は欲しいタイプ。

ドゥラドーレス

2人曳き。前肢にバンテージ。前走福島戦とそう変わらず。歩様に力強さが有って、下見にケチを付ける部分はない。ゲートは出たが、鞍上に行く気がなく、後方から。前述した様に、何頭か先に動いて、この馬はこの馬で向正面の頂点過ぎからの進出。先週のファイアンクランツ同様、マクり切る迄がなく、結果的にレガレイラのいい目標にされてしまった。逆にいえば、それで2着なら悪くないところ。前走も強い内容だったが、改めて地力の高さを証明。理想をいえば、今日もこんなに早く動かなくていい決め手が欲しいところだろうが。

ヨーホーレイク

-6kg。腹回りは幾らかスッキリしたか。尤も、故障持ちの馬だけに、前走阪神戦より歩様が良くなった方が大きいだろうが。この馬もゲートを失敗したが、外のリカンカブールに寄られて、後方から。尤も、今日の展開なら、これはこれで悪くない位置。レガレイラの後を追う形。流石に勝ち切るには一手遅いのだが、今のこの馬にはこれで充分だろう。直線に向いてからの反応が一瞬鈍く、その間にレガレイラが遥か前に行っていたが、最後迄、渋太く頑張っていた。ただ、前述した様に、あくまで故障持ちの馬。上手く使われてはいるが、これだけの時計で走ると次走は反動が出そう。

フェアエールング

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。前走札幌戦からトモにボリューム感が出て、馬が良くなっている。歩様にも力強さが出て来た。ゲート五分。出脚は速くなさそうだが、少し出して中段。1000m地点から外を進出して先頭。ソコソコ流れていただけに、この判断が正しかったかどうかも疑問だが、それ以上に実質同馬主のコスモキュランダが付いて来て、尚のこと苦しくなった。コスモキュランダが居なかったら、もう少し楽が出来ていて、直線の粘りが違った筈。それで4着なら悪くない。意外とスタミナが有りそう。次走京都戦だそうだが、2200mに実績がなかったので、距離にメドが立ったのは大きい。

ホーエリート

-8kg。前走東京戦も活気が有ったが、今日もそのまま。ただ、数字はこれ以上、減らない方がいい。好発。出脚も余裕は有ったが、リビアングラスに行かせて、その番手。ただ、ちょっとそのリビアングラスを突き気味の追走。もう少し大事に乗っても良かったかも。序盤のペースの割に次々外から来る展開で、結果的に4角は中段。ジリジリ来ているが、もうひとつ伸びず。自分から動く位の展開の方がこの馬は成績がいい。次走は東京戦と京都戦の両睨みだそうで、東京戦の方が淡々と流れる確率は高いが、京都戦も時折ドスローになることが有り、そうなればチャンス。

コスモキュランダ

+4kg。3歳時の方が馬体に張りが有った印象。歩様にも硬さが出て来ており、デキ自体がイマイチ。出遅れも、押して挽回して中段。無理した分、結構行きたがっていた。しかも、待ち切れずにフェアエールングを追って、フェアエールングを苦しくしてしまった。直線はそこ迄、負けていないが、もう少し大事に乗っていれば掲示板は有った筈。デキも怪しいが、今日は展開の方が大きい。歩様は何とかしないとゲートが安定しないが、これで一応は復調気配。

第73回神戸新聞杯(GⅡ)

エリキング

前後肢にバンテージ。+10kg。戦前は状態面にいい話がなかったが、馬のスケールは大きいにしても、もう少し馬が張って欲しいところ。歩様はそんなに悪くないが、気配に乏しい。ゲートは五分に出たが、出脚がなく、後方から。次走が京都3000mということを考えると、中山戦の様な展開にはならず、1000m通過62.6秒のスロー。道中は淡々と流れた。1列棒状の中山戦に対し、こちらは2列。4角はデルアヴァーを追う形だったが、直線入口で一瞬モタついて、坂下でライトトラックにも割って入られ、ショウヘイに対して距離が開いたのは結構痛かった筈。ズブい位のイメージの馬で、通常なら負けパターンだったにも関わらず、最後の脚が違った。上がり3F32.3秒も出色。トビが大きいので、京都3000mで向く馬ではないと思うのだが、今年のメンバーなら何とかなるかも。素材が一級品なのは間違いない。

ショウヘイ

前肢にバンテージ。前走東京戦とそう変わらず、纏まった馬では有るが、大物感はない。皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそうだが。ゲート五分。行きたい馬に行かせて2列目。外だったが、前に馬を置いて、相当怪しいながらも何とか我慢していた。競馬としては完璧に運んでいる。前述した様に、エリキングがモタついた分も有り、自分のタイミングで仕掛けて、坂下で2馬身のリードが有ったのだが、それでも楽に捕まった。スケールの違いを見せ付けられた格好。相手を褒める外ない完敗の2着。器用さは有りそうで、京都3000mで先に抜け出す形なら何とかなってもいいが、折り合い面はもう少し改善したいところ。そもそもサートゥルナーリア産駒だけに距離自体も些か怪しいのだが。

ジョバンニ

-4kg。成長どころか、腹が巻いて馬が大分寂しい。前走東京戦同様、気負っていたのも気になった。好発も、行きたい馬に行かせて、その番手のイン。真横に居たショウヘイが行きたがっていて、連られ易い格好だったが、一応は折り合いが付いていた。今日のスローだとインに居た利は相当大きかった筈だが、追って一瞬の脚がなく、前を行くボンドロアの内外で逡巡している間に、ショウヘイに出られていた。ボンドロアの外に決めてからはジリジリ伸びているが、その段階で上位2頭が遥か前に居た。諦めずに伸びて来た辺り、内枠なら京都3000mでも出番は有っていいが、良くて馬券圏内有るかどうかだろう。

デルアヴァー

前肢にバンテージ。+10kg。腹回りが緩くて、成長しているという感じではない。歩様は悪くないが。ゲート五分。出脚は速くなく、押して好位直後。道中は3列目。前にショウヘイ、後ろにエリキングを置く形。少し頭の高い走法だが、折り合いは付いていた。ショウヘイを追って、直線に向いた段階での手応えは悪くなさそうだったが、そこからの脚がもうひとつ。競馬に注文は付かないのはいいが、決め手の差は大きい。重賞で勝ち負けに持ち込むには、もう一段のパワーアップが必要。

ライトトラック

前後肢にバンテージ。+10kg。このメンバーでも馬は上位。踏み込みもしっかりしていて、完成度も高い。ゲートでアオッたが、枠の利で何とか中段。道中のリズムは悪くなかった。直線で外へ何とか持ち出して、あとは伸びるだけだったが、手前が替わらず、このスローだともうひとつ弾けず。ゲートもそうだが、現状は見掛け倒しで、体幹に甘さが有りそう。これも重賞で通用するには、まだ段階を踏む必要が有る。

ジョイボーイ

+10kg。今日は少し物見をしていて、歩様が分り辛いが、トモに厚みが出た。確実にパワーアップしている。ゲートでアオッたにしても、出脚がサッパリで最後方から。序盤はオッツケても追走すら怪しかった。直線に向いてからも、止まってはいないにせよ、バテた馬を交わした程度。大して走っていない。気性的に問題が有るのか...。

第79回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

ミュージアムマイル

2人曳き。+4kg。前走東京戦は目一杯の仕上げだった感も有ったが、今日はフックラ。現状でも完成度の高さで優位性が有る。歩様もスムーズ。ゲートが開いて1完歩目も遅かったが、出脚も鈍く、後方から。道中の折り合いは付いていた。向正面で先にファイアンクランツが動き、それに付いて行く形。尤も、ファイアンクランツが先導役として機能したのは4角迄で、直線は自力で追い込んで決着を付けた。追って少し内にモタれてはいたが、完勝。次走は東京戦とのことだが、傑出馬不在となる今年のメンバーなら圏内。

ヤマニンブークリエ

500kgを優に超える大型馬で馬格に恵まれていることも有るが、このメンバーでも馬は上位。歩様も力強い。好発。この馬の出脚で好位のイン。道中は折り合って、リズム良く追走出来た。直線もインから。ジーティーアダマンとフィーリウスの間は1頭分、有るかないかだったが、コジ開けて伸びて来た。ゆったりした造りの大型馬だが、一瞬の脚が有る。それで勝てないのだから、ミュージアムマイルとの能力差も認めざるを得ないが、距離は延びても苦にならない筈で、京都戦に出て来るなら内枠を条件に狙ってみたい。

レッドバンデ

2人曳き。馬自体はそんなに変わらない。もう少し馬体にメリハリが欲しいが、一夏越して、トモの甘さは幾らかマシ。ゲート五分。出脚が速く、スッと好位。ヤマニンブークリエの1列前から。結構いい勢いで位置を取りに行ったが、それでも折り合いは付いていた。直線に向いて、前も開いていたが、一瞬の脚がヤマニンブークリエとは違っていた。フィーリウスに内から寄られ逡巡する場面も有ったのだが、最後迄、渋太く食らい付いている。決め手の差は如何ともし難い。京都戦でも距離は保ちそうだが、良くて3着有るかどうか。

ピックデムッシュ

シープスキンノーズバンド。下見で集中力がないのは毎度。数字の割に良く出来た馬だが、馬体の張りは前走東京戦の方が良かったかも。歩様は問題ない。出遅れ。直後にサクラファレルに寄られて、出脚が付かず、後方から。3角辺りから外へ持ち出して、ミュージアムマイルに付いて行く形。内に居た馬に利が有る展開では有ったが、直線は右手前のままでもうひとつ伸びなかった。鞍上はもう少し距離が有った方がという話だったが、まずはゲートを決めたいところ。1000万の身では賞金的に苦しいが、京都戦に出走が叶ったとしても、出遅れていては話にならない。

サクラファレル

似た様な数字でも胴が長いヤマニンブークリエと違い、こちらは馬に幅が有るタイプ。ただ、その分、歩様が窮屈だが、力強さは有る。ゲートを決めて、2番手。ハナへ行く気はなかった様で、1角迄は内と距離を開けていたが、この形で折り合いは付いた。ただ、外に張り気味で、4角でも鞍上が気を付けて乗らざるを得ない分、フィーリウスに対して1馬身置かれていた。直線も全く伸びず、前と離れた5着。現状は逃げてラチを頼った方がいいのかも。

ファイアンクランツ

2人曳き。パシュファイヤー。+4kg。下見は集中して歩けていた。相変わらず馬は少し緩く映るが、歩様にキレが出た。返し馬から怪しかったが、ゲート内でトモを落として外枠発走。ゲートでアオって無理も出来ず、後方から。レースは何とか我慢して走っていたが、向正面の頂点辺りで思い切って外を進出。ただ、フィーリウスに抵抗されて、先頭に並び掛ける迄に至らず。今日の精神状態でこうなるとキツい。直線は下がる一方。今後はゲート審査等、色々やることが多くなりそうだが、まずはメンタルの立て直しから。

第43回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

カムニャック

2人曳き。前肢にバンテージ。+8kg。春の段階では良くあれでGⅠを勝ったという程だったが、馬が成長して、別馬になった。踏み込みの深さも目立つ。ゲート五分。出脚は速そうだが、好位で我慢。隊列が決まる迄は、外から次々来られて連られそうになっていたが、横に馬が居なくなってからは何とか折り合いが付いた。4角で外からテレサが張り出して来て、落馬寸前の場面も有ったが、直線はしっかり伸びて快勝。今日も少し内にモタれていたが、前走東京戦を考えれば遥かにマシだった。今にして思えば、前走は勝つには勝ったとはいえ、距離が長かったか。京都2000mなら何とかなるということもいえるが、あとは攻めて乗れるかどうか。馬群の中は得意ではなさそうで...。

テレサ

+6kg。デビュー以来、最高体重。それでも438kgだが、数字の割にトモが張って、馬の雰囲気はいい。歩様にブレがないのもいい。好発も、出脚が速いということではなさそうで、頑張って好位。バラけてからは、いいリズムで走れていた。4角の件はこの馬が悪いというより、内に居たミッキーマドンナが一瞬、強引に外を狙った分も有る。直線はカムニャックとは脚が違ったが、渋太く脚を伸ばして2着確保。京都2000mだと決め手負けする可能性も高いが、簡単に止まらないのは長所。時計の掛かる条件の方がいいのだろう。一雨来れば。

セナスタイル

発汗が目立って、今日は少しテンションが高い。細身の馬体で、如何にも決め手一本といったタイプ。トモが甘いのは毎度。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。道中の折り合いは付いていた。タイセイプランセスも同じ競馬だったが、枠の内外でこの馬が内。イチかバチかでインを狙ったのが正解だった。直線入口でダンツエランと接触。坂下で一瞬前が壁になりブレーキを踏む場面も有ったが、狭いところを割ってここ迄。スムーズなら2着迄有ったが、権利が取れたのが何より。アテには出来ないが、常に一発を警戒したいタイプ。

ビップデイジー

前後肢にバンテージ。-6kg。キッチリ出来ていた。成長が有るに越したことはないが、元々の完成度が高いタイプ。トモも張って、しっかり踏めていた。好発も、大外枠だけに無理はせず、中段。大外を回されるのを避けつつ、カムニャックをマークする形。折り合って、道中の雰囲気は悪くなかったが、4角で例の不利。直線に向く寸前で、ここから加速しようというところでの接触だけに、カムニャック以上に痛かったかも。それでも渋太く伸びて、3着かというところでセナスタイルに捕まった。権利は有る馬だが、最後は距離か鞍上が休み明けの分か。逆にいえば、馬は頑張っている。マイル辺りの距離なら牡馬相手でもソコソコ稼げそう。

ミッキーマドンナ

例に依って、下見ではかなりテンションが高い。馬体も春よりは良くなっているが、もっと増えて出て来て欲しかった。ゲートは決まったが、出脚でやられて好位直後。馬群の中が得意ではないのか、道中は内にモタれながらの追走。4角で外へ持ち出そうとしていたが、壁に阻まれて結局内へ。この鞍上は基本的に立ち回りが強引だが、テレサと接触していた。内へ切り替えてからはそれなりに伸びているが、3着と同タイムでも少し差を感じる内容。能力は有りそうだが、競馬を覚えるのが先決。調教に工夫が要る。

パラディレーヌ

舌がハミを越していたが、春より落ち着きが出たのは何より。ただ、馬はあまり成長がない。トモが張って、元々重厚感の有るタイプでは有るが。ゲートでアオッて2馬身近い出遅れ。オッツケて、中段やや後方。行きたがるのは、流石に仕方がないところ。只管インに拘って、直線入口での手応えは抜群だったが、前が中々開かず、その間に馬が諦めてしまったのか、前が開いてからはそこ迄、伸びなかった。今日は不完全燃焼。次走が試金石。

チェルアビット

+8kg。馬体に張りがない。毛ヅヤは悪くないので、体調そのものが悪いということではなさそうだが...。トモが甘いのも気になった。出遅れて後方から。折り合いは付いていたが、3角辺りから追走自体が怪しくなり、4角で完全に終わっていた。デキが怪しいにしても、もう少しやれていいのだが...。暫く掛かりそう。

ミッキージュエリー

前後肢にバンテージ。-8kg。もう少ししっかり踏んで欲しい。馬は立派だが、体幹に甘さが残る。微妙に出負けしたが、少し急かしたら馬がソノ気になって好位。ただ、今日の1000m通過56.8秒のハイペースをマトモに追い掛ける形になってしまった。直線でバタバタになり、競馬にならず。ちゃんとした競馬で改めて。

第76回チャレンジカップ(GⅢ)

オールナット

2人曳き。少しテンションは高いが、トモのボリューム感がひと際目立つ。尤も、見た目の割に歩様の力強さは感じない。ゲート内の駐立が悪く、半馬身出負け。押しても進んで行かず、切り替えて内へ。1000m通過58.6秒は前2頭で引っ張ったモノで、3番手以下はスロー。ただ、前との距離が有った分、3番手が自力で追い掛けざるを得ない展開。そこを内でジッとしていた利が大きかった。もっとズブいイメージも有ったが、今日は余程展開が向いた様で、何時もより反応も軽快。坂下迄は前が壁だったが、内目から上手く進路を探して突き抜けた。今日はあまりに上手く行き過ぎて、能力判定不能。次走が試金石となるが、東京戦は賞金的に厳しくで、難しい選択になりそう。

グランヴィノス

前肢にバンテージ。+4kg。オープンでも迫力負けしていない。歩様にも力強さが出て、2歳時とは別馬。好発。出脚も速そうだが、スタート直後から引っ掛かりそうな気配が有り、宥めつつ好位。ただ、2角過ぎに少しオッツケる場面も有り、スンナリ流れに乗ったとはいい難い面も有った。しかも、外に居た分、例の2頭を追い掛けざるを得ない格好。かなりキツい競馬を強いられた。それでも直線で先頭。流石に最後は甘くなったが、フォーム自体はそこ迄、乱れておらず、中々強い競馬。もっと競馬が上手くなるに越したことはないが、これならGⅡ級は充分。クラシックはサッパリだったが、漸く軌道に乗って来たか。

マイネルクリソーラ

例に依って、腹回りが緩いのだが、これで何時も走れている。歩様に柔らか味が有って、馬は春と変わらず。好発。尤も、2000mだと押しても出脚が苦しそうだが、枠の利が大きく、好位確保。勝負どころでもズブさを覗かせていて、かなりオッツケていた。直線入口でオールナットの内に居たが、同じ位置を狙って一瞬の脚でオールナットに入られたのが痛かった。オールナット1頭分だけでなく、2頭分の進路が有り、ジワジワ伸びて3着迄来れたが、オールナットより先に抜けて来れたら、グランヴィノスが勝っていて、この馬が2着だっただろう。とはいえ、中山が上手くないので、こちらを選択したのだろうが、選択は間違っていなかったか。次走は得意の東京だろうが、何としても決めたい。

サブマリーナ

メリハリが利いて、キリッとした造り。歩様にもキレが有って、下見でケチを付ける部分はない。ゲート五分も、出脚が怪しく中段やや後方。1周目の坂上辺りで他馬と接触した様で、かなり行きたがっていたが、何とか宥めたところ、向正面では逆にオッツケ気味。行き振りが不安定だった。外を回った分も有るとはいえ、4角の反応もピリッとせず、伸びて来たのは坂を上り切ってから。戦績が示す通り、外回りか広いコースの方が良さそう。

イングランドアイズ

遮眼革。シープスキンノーズバンド。下見でソワソワしているのは何時ものこと。歩様はこれでもいいが、もう少しトモにボリューム感が出れば、もっといい馬になりそう。ゲートでアオッたが、枠の利で中段。道中は折り合って追走出来たが、4角で少しゴチャつく場面。前走小倉戦程、スムーズに抜けて来る脚がなかったが、最後はジリジリでも伸びて来ている。鞍上はハンデ増で反応が鈍くなっていたと話していた様だが、付け加えるならゲートを失敗したのも痛かったかも。マイネルクリソーラの位置なら、また結果は違った筈。何れにしても、能力自体は通用しそう。

ジューンテイク

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+12kg。少し太いだろうが、馬は例に依って見栄えがする。落ち着きが有って、歩様にも力強い。下見だけなら文句なしで最上位。スタート直前に、隣の馬が暴れて気を取られたことも有るが、出遅れ1馬身不利。それでも、行く気もなく、後方から。急かしていないにも関わらず、1角では行きたがっていたが、向正面で折り合いは付いた。4角の雰囲気はそこ迄、悪くなかったが、今日の展開で外を回していては厳しい。とりあえず、ゲートはマトモに出て欲しいところ。

第10回紫苑ステークス(GⅡ)

ケリフレッドアスク

+4kg。毎度のことながら、チャカつく。この点に成長はないが、馬体増が示す通り、馬体は良くなっている。春に有った腹が巻いている状況からは脱した上に、歩様の非力さがマシになった。ゲート五分。出脚が一番速かった訳ではないが、鞍上の気合でハナ。行き切って他馬が止めてくれた分、1000m通過60.1秒と、道中で楽が出来た。4角手前からペースを上げて、他馬が追い付けず、登坂時で突き放す脚も有った。最後こそ迫られたとはいえ、甘くなったのは坂を上り切ってから。ただ、時計は平凡。開幕週の馬場だけに遅くとも1分58秒台前半、出来れば1分57秒台で纏めて欲しかった。次走京都戦も軽視し辛いが、上がり勝負でどうかという部分は有る。

ジョスラン

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+6kg。休養前の東京戦は感心しなかったが、今日は立ち直っていた。トモに丸みが出て、歩様のギスギス感もなくなった。ゲート五分。出脚で抵抗する間もなく、外から来られて、いったん立て直す形になり、中段から。このペースでも道中の折り合いは付いていた。頭の高い走法で、どうしてもちょっとした反応の鈍さは有るのだが、直線に向いてからは追えば追うだけ伸びた印象。最後迄、しっかりした脚取りで伸びていた。京都の時計勝負だとジリッぽさが裏目に出そうだが、一雨くれば面白い存在となりそう。

ダノンフェアレディ

+10kg。前走小倉戦が+20kgで、この時は見た目的には丁度いい様に見えたが、これだと流石に太い。歩様は悪くないが、腹回りに緩さが有った。ゲート五分。外から来たサヴォンリンナに暫く抵抗していたが、1周目の決勝線辺りで引いて好位から。序盤は前と距離を開けて折り合いを付け、向正面で馬群が詰まった際に内に入れてワンテンポ我慢させる形。これはこれで上手く行っているのだが、4角で前を追う脚が鈍く、直線に向いても前外に馬が居て、進路が中々確保出来なかった。権利が取れたことは何よりだが、消化不良。ただ、この事態を招いたのは馬の機動力の問題も有る。4角でもう少し前を追えていたら、進路は有った筈。今日は太かったので、絞って改めて真を問い たい。

キューティリップ

前肢にバンテージ。パシュファイヤー。これも煩いが、馬は数字よりも大きく見せて、迫力充分。ただ、どちらかといえば、寸の詰まったマイラー体型。最後の方のゲート入りにも関わらず、ゲート内でかなり暴れていたが、案の上、出遅れて後方から。鞍上が慌てて押したことも有るが、序盤に限らず、ところどころで行きたがっていた。それでも、4角で上手く我慢させたことも有って、直線に向いて馬群を捌いてからは良く伸びている。500万を2回取り溢した馬だが、もう少し競馬が上手くならないと勝ち切れない。

エストゥペンダ

2人曳き。-6kg。少し硬さは有るが、この数字にしてはしっかり踏めている方。馬体にもメリハリが有って、数字の割に良く出来ている。ゲートをポコンと出て出脚が付かず、1角進入時は最後方。前述した様に、今日はペースが遅く、馬が行きたがって、少し緩めて3角で中段やや後方。トビが大きいので、コーナーでの脚はサッパリに近いが、直線に向いて坂下辺りからエンジンが掛かって猛追。惜しいところ迄、詰めていた。折り合って広いコースなら重賞でも突き抜ける力は有る。東京開催限定で注目。

リンクスティップ

前肢にバンテージ。+8kg。デビュー当時は非力さが目立っていた馬で、馬体が増える分には歓迎。今日もそんなに太い印象はない。ただ、幾ら馬体が増えても歩様の甘さが直らず、テンションが高いのも気になる。ゲート五分。最内枠の利を生かしつつ、この馬の出脚で好位直後。道中は折り合って追走出来た。スローを嫌って3角から最内を避け、何時でも動ける様にという意図だった様だが、4角の反応がもうひとつで、直線も雪崩れ込んだだけ。非力な馬なので、坂が上れない可能性も有ったが、それ以前の問題だった。全体に機動力が足りない印象。自分でペースを握った方がいいのかも。

サマースプリントシリーズ第6戦 第39回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

カンチェンジュンガ

+12kg。2月に京都で重賞を勝った時と同じ数字。腹回りはこんなモノ。しっかり踏めていた点も好印象。ゲートも悪かったが、外から寄られて後方から。ただ、行き脚が付いてからの行き振りが良く、馬群の中で引っ張り切りの追走。あとは前が開くかどうかだったが、直線だけ外目へ持ち出し、ト自然と前が開く迄、待ったの正解。トウシンマカオとの併せ馬になったが、脚がまるで違っていた。2月の京都戦は外差しの馬場で1400mとこれ以上ない条件だったが、今日は展開が向いたにせよ、開幕週の時計勝負で勝てたことは自信にしていい。ただ、中山戦に向かう様だが、コース形態や外を回すと苦しい展開になり易いことから、厳しい競馬が予想される。

ママコチャ

+6kg。前走東京戦は歩様の硬さを感じたが、今日も同程度。これだと満点ではない。馬体は数字分だけ少しフックラとした印象も有るが、トライアルだけにこれはこれでいい。ゲート五分。下見の歩様通り、出脚は怪しく、好位直後。位置取りを悪くすると引っ掛かるパターンも多いタイプだが、今日は何とか我慢して走っていた。それでも4角は手応えが良過ぎる位で、待ち切れずに行ってしまった形。直線もスムーズに間を割って来れたが、カンチェンジュンガの脚が違っていた。今日は先行激化の展開となり、これで仕方がないのだが、もう1列前で折り合いを付けて運びたかったところか。何れにせよ、トウシンマカオを封じたところが底力。次走も有望。

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。-14kg。近走が太く見せていたので、見た目だけなら、これ位でもいい。ただ、歩様にギスギス感が有ったのは気になった。半馬身程、後手に回って中段やや後方から。道中の行き振りは悪くなかったが、ずっと外を回されていて、4角の反応がもうひとつ。そこをカンチェンジュンガに割って入られ、直線に向いてから伸びてはいるが、3着がやっとだった。この馬を凌いだママコチャにも底力を感じさせたが、この馬はこの馬で地力の高さを示した競馬。鞍上の話ではデキが一息だったとのことだが、枠が変わるだけでも結果は違う筈。これも有望。

テイエムスパーダ

前肢にバンテージ。-4kg。歩様が維持出来たのが何より。今季は毛ヅヤもいいので、デキ自体もいいのだろう。好発。今日は枠も恵まれ、行き切れるかと思ったが、意外と出脚がなく、遮眼革のカルチャーデイでハナを奪われて2番手。通常なら行きたがって4角で脱落するパターンだが、意外と道中のリズムが良かった。4角の手応えも充分で、坂もしっかり上れていた。今日はあくまで決め手の差。3歳時のスピードはなくなっており、今から重賞を勝つのは難しいかも知れないが、メンタル的に戻ったのは大きい。2,3着なら序盤のペースひとつ。

ショウナンザナドゥ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+14kg。前走東京戦は腹が巻き気味だったが、今日は今日で少し緩い。この中間位が良さそう。しっかり踏めていて、気配はいいのだが。ゲートも悪かったが、出脚もなく、後方から。開幕週だけに腹を括って只管インを回って直線勝負。ただ、前が開いていなかったというより、壁迄追い付けなかった。更に後ろから来たジャスティンスカイの方が明らかに勢いが良かった程。とはいえ、1200mは今回が初めて。道中も少し忙しそうで、今日は経験のなさが出た格好。一度、使えば変わる筈。

ヨシノイースター

前後肢にバンテージ。+6kg。また馬体増。歩様はしっかりしていたが、前走小倉戦も腹回りが太く、これではキツい。気配に乏しいのも何時ものことだが。好発。ただ、出脚がそこ迄、速い方ではなく、外から何頭か来ていたが、丁度3角のところでモズメイメイに前をカットされて手綱を引っ張る場面。スプリントでこういうことが有るとキツい。4角の雰囲気は悪くなかったが、追って案外。尤も、スムーズでも今日は掲示板有るかどうかだっただろうが...。

サマーマイルシリーズ第4戦 第70回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

ホウオウラスカーズ

前後肢にバンテージ。ちょっと硬い様に見える歩様が何時ものこと。馬体もそんなに迫力が有るタイプではないが、最近の中では落ち着いていた。ゲートは悪かったが、2番枠のアスコルティアーモ、3番枠のドロップオブライトが行ってくれて、スペースが有り、何とか中段やや後方。1800mで引っ掛かっていただけに、マイルで最内枠と条件が揃っており、今日は折り合いも付いた。全くの人気薄だったことも有り、開く開かないは気にせず、インで脚を矯めて、直線勝負。全馬が真っ直ぐ走っていたらスペースはなかったが、前の馬のちょっとしたヨレで上手く進路が出来た。100回やって1回有るかないかの奇跡だが、綺麗に前が開いて突き抜けた。一撃に賭けた鞍上も見事。アテにはし辛いが、中山マイルなら展開ひとつ。

ドロップオブライト

+8kg。基本的には薄い馬だが、数字分だけ迫力が出た。この馬体増は歓迎材料。歩様もキビキビしていて、活気も有った。好発。内からアスコルティアーモが主張して、2番手。1200mからの参戦で、多少なりとも力むのは仕方がないところだが、内枠から早々に隊列を固めたことでペース的には緩く、楽な形に持ち込めた。3番手が人気のエリカエクスプレスだったことも有るのか、4角は後続を待たずに進出。坂下でアルコルティアーモを競り落とした時は鞍上もやったと思っただろうが、ホウオウラスカーズの勢いが違っていた。最近、一度でもマイルを経験していればといったところだが、1200mの阪神戦は相手が強くて通用しなかった危険が高く、今日はこれで最良の結果。事実上のトップハンデを覚悟して、こちらを使って来た陣営の判断も称賛されるべきだろう。距離へのメドを立て、賞金を加算出来たのも先々に繋がる。

コントラポスト

前後肢にバンテージ。-4kg。2走前の東京戦が太かったことを考えると、これ位で丁度なのかも。コンスタントに使われているが、歩様に硬さがないのもいい。ゲート五分。この馬の出脚で好位。ペースが大して速くなかったことも有るが、道中は少し掛かり気味。その分なのか、4角の反応ももうひとつで、直線もピリッとした脚が使えなかった。このメンバーで56kgなら、もう少し何とかなっていいのだが...。急遽の乗り替わりが有ったとはいえ、重賞だとワンパンチ足りないか。

ダイシンヤマト

ゲートを五分に出て、この馬の出脚で、先行したアスコルティアーモの番手。鞍上の話では勝ちに行く競馬をしたとのことだが、道中は少し掛かっている様に見えた。直線に向いてコントラポストに外から押し込められそうになりながらも、何とか進路だけは確保したが、イマイチ弾けず。似た様な競馬でこの馬より外を回っていたコントラポストにやられたのは頂けない。鞍上の話通り、もっと矯めた方がいいのかも。

ニシノスーベニア

前肢にバンテージ。-10kg。絞れたとみていい。前走新潟戦で気になったテンションの高さも今日はマシ。歩様も問題ない。ゲートで安目を売って。後方に近い位置。出脚もなさそうで、中々行き脚が付かず、押していたらちょっと掛かる場面が有ったのが痛かった。馬群の中で4角の手応えは悪くなく、直線に向いてからも一瞬は突き抜ける位の脚で伸びているのだが、坂が上り切れず。とはいえ、乗り方ひとつでチャンス有った競馬。このメンバーなら、ハマれば突き抜ける脚力は有る。

エリカエクスプレス

前肢にバンテージ。-14kg。見た目を含めて、数字はこれでもいい。歩様の硬さが気にならないでもないが、前走東京戦もこんなモノだった。ゲート五分。最初から逃げる気はなかった様だが、内枠の馬が速く、3番手で我慢させる形。結果的に逃げた方が良かったのか、道中はかなり行きたがっていた。既に4角で手応えが怪しくなっており、直線も雪崩れ込んだだけ。逃げるにせよ、我慢させるにせよ、もう少し経験が必要。

タイムトゥヘヴン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-6kg。今日は数字以上に細く映った。特にトモが薄い。歩様の硬さがなければ力は出せる筈だが。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。スローを嫌って、2角過ぎから少し番手を上げたが、道中はところどころでオッツケる場面。外に居て、ダラダラ脚を使わされてしまった印象。これならもっと矯めて、直線一気に賭けた方が可能性は有った。馬もそうなら、鞍上も休み明け。一度、使って改めて。

農林水産省賞典 第60回札幌2歳ステークス(GⅢ)

ショウナンガルフ

前走函館戦は2人で曳いても煩かったが、今日は1人で曳けていた様に、落ち着いていた。馬も骨格がしっかりしていて、見栄えがする。ゲートでアオッて出脚が付かず、後方から。1〜2角はインを回って、向正面から何時でも動ける外へ。1000m過ぎにアーレムアレスが動き、それに行く形。行き脚が付く迄は少し鈍さも有ったが、4角でそのアーレムアレスをマクり切り、直線は1頭になりながらも追い込んで、前のジーネキングを捕まえた。中々強い内容。例に依ってメンバーレベルの問題は有るが、今年は見栄えのする馬が多く、極端に低いということもない筈。ショウナンの高額馬は外れが多い気もしないでもなかった。久々の有望株。最近、リズムの悪かった鞍上にとってもこの馬で何とかしたいところだろう。

ジーネキング

シープスキンノーズバンド。+4kg。一戦毎にマシになっているが、まだ全体に緩い。歩様は決して悪くない。好発。出脚はヒシアムルーズの方が余裕有ったが、最内枠だけに主張してハナ。態勢を整えてからは誰も競り掛けに来ず、1000m62.6秒と、馬場状態を考慮してもかなり遅かった。向正面からペースを上げ、ヒシアムルーズが付いて来たが、4角手前で早々に脱落。この点も楽だっただろう。直線に向いて、後続に4馬身程のリードを取る場面も有ったが、ショウナンガルフの脚が1頭だけ違っていた。今日は相手を称える外ない。条件が揃ったことは確かだが、出脚が来れば面白い逃げ馬になりそう。今後も何処かで一発有る筈。

スマートプリエール

前後肢にバンテージ。+10kg。今日は単純に太い。馬体のバランスだけをいえば、前走函館戦の方が良かった。特に非力感がないのはいいが。好発。行かせようと思えば行かせられたのだろうが、引っ掛かりそうになっており、一旦下げて前を壁にして我慢させる形。それでも序盤のペースが遅く、向正面に入って、少し番手を上げて中段。外へ持ち出して、何時でも前を追える態勢だったが、4角での反応がイマイチで、直線もピリッとした脚は使えず終いだった。機動力が欲しい。絞って改めて。

アーレムアレス

前肢にバンテージ。新馬の函館戦は下見でソワソワしていたが、今日は落ち着いていた。ただ、トモが甘い。ゲートでアオッて最後方から。スローを嫌って、1000m通過地点から番手を上げて、早目に動く意思は見せているのだが、トビが大きいのでコーナーの脚がなく、そこをショウナンガルフにマクれて後手に回る形。直線に向いてエンジンが掛かってからは良く伸びている。札幌の小回りは向かないが、広いコースで見直したい。少なくとも、500万で苦労することはない筈だが。

ロスパレドネス

2人曳き。-6kg。新馬の福島戦は馬っ気を出していたが、今日は大人しい。背丈が有って、馬振りは目立つ。歩様も悪くない。1完歩目が遅かったが、行き脚が付いてからが速く、中段から。道中はまだスムーズだったが、4角で完全に置かれてしまい、直線もジリジリ。ソコソコ人気になっていたが、まだ競馬が下手。こちらは暫く掛かりそう。