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競馬回顧 2025年4回中京

サマー2000シリーズ第5戦 第61回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

シランケド

+6kg。馬体にメリハリがないのは何時ものこと。歩様も独特で、下見だけなら手が出し辛いタイプ。ゲートを五分に出て中段。マイルの後だったが、折り合いは付いていた。その前走は揉まれると良くなさそうとのことで、馬群の外。直線も馬場の8分どころ迄、持ち出していたが、最後迄、力強い脚取りで突き抜けた。いい脚を長く使えるのがいい。秋は東京2000mか、京都2200m戦が目標になりそうだが、距離も保ちそう。あとは枠順次第。新潟なら外を回っても何とかなるが、細かい部分の器用さは大事。

エネルジコ

前肢にバンテージ。+12kg。胴長でスッキリと見せるタイプだが、数字分だけトモが張った。東京戦をスキップしたのは間違いなくいい方に出た。歩様も悪くない。出遅れ1馬身不利。出脚も怪しかったが、外枠の分、挽回が利いて押して中段。流石に少し行きたがっていて、そのまま行かせて、3角で好位。ただ、コーナーでは馬を前に置いて脚を矯め、直線に向いてからも少し追い出しを待ったのが正解。良く伸びていたが、最後の最後に甘くなって2着。ゲートが決まっていれば、勝っていただろう。前走の青葉賞を勝った馬は出世しないケースが多いが、強い内容だった上に、ダービーを回避したことでダメージも最小限に止められた。今日を落としたのは残念だが、高い能力は充分に示しており、今後楽しみ。

ディープモンスター

-4kg。今日も落ち着いていたのが何より。歩様も問題なく、馬体も変わらず締まって見えた。高値安定。ゲートが悪いのは何時ものことで、そのまま後方から。あとは折り合いだが、馬群の中に入れても、新潟だけにバラけ易いことも有り、どうしても力みが有った。直線も中々前が開かない位置で、かなり待たされていたが、バラけてラスト200mの脚は流石というところ。別定戦で57kgというのも良かったのだろうが、改めて地力の高さを示した競馬。尤も、この競馬では良くて2着なのも確か。折り合い面を何とかしたいところだが、そこは当日の馬の気分に任せる外なくて。

シンリョクカ

オーストラリアンブリンカー。前走東京戦より、今日の方が雰囲気がいい。その前走は少し細く映ったが、馬体に張りが出た。歩様も力強い。ゲート五分。押して2番手の外。壁のない状態でも、我慢して走っていた。4角で待ち切れず、逃げていたコスモフリーゲンに並び掛け、直線は少しずつ外へ。昨年の2着馬で、渋太いのは確かだが、結果的にもう少し大事に乗れば際どくなっていた。もっといえば、最後はシランケドに対して、空振りした様にも見えただけに、真っ直ぐ走るだけでも違ったかも。

ヴェローチェエラ

前走札幌戦もそうだったが、これだと少し太い。ただ、馬が張ってデキがいい。結果的にサマー2000シリーズのチャンピオンになったが、3戦使うことを前提の仕上げだったか。ゲートは五分に出たが、鞍上に行く気がなく、後方から。今日は兎に角、入着狙い。追い出しも待つだけ待った割に、捌きはお世辞にも上手く行ったといい難いのだが、最後の最後に脚を伸ばして5着。内容よりも、目的は果たせたことが何より。

ブレイディヴェーグ

+6kg。数字分だけフックラ。攻めて仕上げていない分も有るだろうが、歩様の硬さも何時もよりマシ。ただ、今日は少し煩い。ゲートでアオッて後方から。ただ最近、マイルで急かす競馬が多かったことも有り、結構行きたがっていた。ほぼ4角迄、力んでいる状態で、直線は一瞬だけ脚を使った程度。今日はデキの問題も有りそうだが、もう少し競馬が上手くならないと厳しい。昨秋にマイルを使ったツケを今になって払わされている感が強い。

第1回中京2歳ステークス(GⅢ)

キャンディード

+10kg。新馬の小倉戦はテンションが高かったが、今日は落ち着いていた。背丈の高い方だが、数字が増えたのも好印象。踏み込みがしっかりして、太いということもない。ゲートはやや後手。ほぼ出たなりで、中段やや後方から。1200mからの参戦だったが、折り合いは付いていた。道中はインでジッとして、直線だけ外へ。登坂力が速く、坂を上ってスターアニスとの一騎打ち。相手も渋太かったが、こちらの方がフォームには力強さが有り、最後の最後にネジ伏せた。時計が出そうな1400mの2歳重賞が少ないことも有るが、時計も優秀。先週の新潟組よりは余程、期待が持てるだろう。あとは反動さえなければ。

スターアニス

馬体に迫力はないが、完成度が高い。歩様も悪くなく、見た目のインパクト以外は気になるところはない。これもゲートが怪しかったが、この馬の出脚で行けるところ迄、出して中段。これも1200mからだったが、折り合いは付いていた。勝負どころの手応えが良かった上に、人気を背負っていたことも有り、4角手前からジワッと進出。勝ちに行く競馬をして、その通り、後続を突き放したが、最後の併せ馬は、道中で脚を矯めていたキャンディードに最後根負けした形の2着。とはいえ、馬は責められないところ。スプリントでも自在に動ける機動力が最大の強み。これも先々有望。

マイケルバローズ

2人曳き。前走は馬っ気迄出して大変だったが、今日は落ち着いていた。馬はこのメンバーなら上位。腹回りのボテッと感もなくなった。ゲート五分に出て好位。折り合いというよりは、道中の手応えがもうひとつ。オッツケ気味の追走。特に4角が厳しく、追い付くどころか、置かれそうになっていた。外を回す余裕はなく、そのままインを突いて、ジワジワ伸びたが、前とは7馬身差。スピードの差を見せ付けられた格好。下見の割には渋太いが、重賞で勝ち負けに持ち込むにはスピード強化が先決。現状だと500万でも勝ち切れる可能性は低い。

タマモイカロス

寸の詰まった体型。前走よりは馬が締まって見えたが、体型の分、完歩の小さい歩様。見た目に非力さはないのだが...。好発。出して行って、好位。最内枠だけに、出脚が抜群に速いということではなさそうだが、道中は少し宥め気味の追走。それだけに4角の反応も悪くなく、直線入口でインからスッと前へ並び掛ける脚が有った。坂が上り切れず、外へヨレて過怠金の対象に。上り切ってからは盛り返しているのだが、モタついていた間に先を越されたマイケルバローズが交わし切れないままだった。器用さは有りそうだが、登坂力を強化しないと重賞では通用しない。

パープルガーネット

前肢にバンテージ。+10kg。この時期だけに増えた方がいいが、今日の見た目だけで判断するなら、腹回りが少し緩い。ただ、集中力が増して、気配は良くなった。歩様も大分しっかりした印象。出遅れて、そのまま後方。道中の行き振りがもうひとつで、忙しそうに見えた。直線に向いてからも伸びてはいるが、回転数が足りない印象。距離はもう少し有った方がいいだろう。マイル〜2000m辺りの方が向きそう。

アイルトン

馬の迫力ではヒケを取らないが、歩様が硬いのが気になる。もう少し絞った方がいいのかも...。出遅れたことも有ったが、更に外から寄られて手綱を思い切り引っ張る場面。経験の浅い馬だけに、これは痛恨。流れに乗ってからの雰囲気は悪くなかったが、直線に向いて案外だった。切れるタイプではなく、追い比べで渋太いタイプ。今日は競馬にならず。

第45回新潟2歳ステークス(GⅢ)

リアライズシリウス

+6kg。1頭だけ500kgを超えていて、流石に馬は目立つ。尤も、その分だけ馬は緩い。歩様も少し甘い。出遅れ1馬身不利も、押して挽回して2番手。通常なら行きたがってもおかしくないパターンだが、壁もない状態だった割にスムーズに走れていた。直線に向いてからジワジワ追い上げ、ラスト300mで先頭。馬場のド真ん中へ持ち出し、内ステッキに反応して外へモタれ気味ながらも、最後は4馬身差の圧勝だった。時計はソコソコ速く、このメンバーでは力が違ったということになるが、レベルが低調。毎年述べている様に、ヨレている馬は大成する確率が低く、その点でも怪しさが残る。

タイセイボーグ

-8kg。前走は少し腹回りがボテッと映ったが、今日は数字分だけスッキリ。その分、歩様にキレが出た。前走は出遅れたが、今日は五分。出脚も速く、スッと好位。ただ、同馬主のタイセイフレッサと喧嘩する訳にも行かず、並走は避けて1列引く形。2歳馬だと引っ掛かるパターンも多いが、上手く折り合いが付いた。直線に向いて、そのタイセイフレッサとの併せ馬。鞍上が何度もステッキを持ち替えていた様に、ヨレ方はこちらの方が激しかったが、渋太く伸びて2着。フェスティバルヒルの猛追を凌いだ点も価値が有る。尤も、これで賞金を加算してしまったことが良かったかどうか...。古馬の基準で準オープンということになるが、通用するとは思えない。

フェスティバルヒル

+12kg。新馬の阪神戦同様、今日も少し煩い。その分、歩様が分り辛いが、非力さはまだマシか。ただ、見た目に馬体が増えた影響は感じない。ゲートは出たが、ヒルデクリムと接触したことも有り、無理はせず後方から。1頭で走っている時はいいのだが、3角手前辺りで内外から来られた際に、頭を上げて連られる場面が有り、折り合い面は課題を残した。それでも最後方迄、下がってからはまだマシで、直線に向いてバラけてからは1頭だけ違う回転数で伸びて来た。ただ、道中,追ってからと頭が高く、いい脚が長く続かない。最高速時の雰囲気だけなら2着は有りそうだったが、最後は明らかに鈍った。もう1列前だったら、結果は違ったということになるか。今日のメンバーでは最も可能性を感じる馬。

サンアントワーヌ

シープスキンノーズバンド。新馬の東京戦はチャカついていたが、今日は落ち着いていた。ただ、歩様は悪くないが、馬体にメリハリがない。出負けも有ったが、出脚もなく、後方から。ゲート五分。出脚も有りそうだが、引っ掛かりそうになって、宥めている間に番手が下がり、4角ではほぼ後方。4角迄は前に馬を置いていたが、直線は馬場の7分どころ。今日の展開だとここ迄だが、直線は最後迄、しっかり脚を使えていた。競馬が分って来れば、ここでも通用しそう。

タイセイフレッサ

前後肢にバンテージ。バランスが取れて、纏まったタイプ。歩様もしっかりしていて、この時期としては良く出来ている。好発。ハナへ行く気はなさそうだが、出脚も速く、スッと好位。外から挽回して来たリアライズシリウスにも連られることなく、折り合いも付いていた。それだけに直線はもう少し伸びて欲しかったが、もうひとつ伸びず。見た目は悪くなかったが、7月6日に下ろして、今回で早くも4戦目、お釣りがなかったか...。

サノノグレーター

前肢にバンテージ。少し寸の詰まった体型。今日も雰囲気はいいが、歩様が力強くなった反面、硬さも出て来た。ゲートで安目を売って後方から。道中の折り合いは問題なかったが、直線が追って不発。新馬の東京戦の脚が使えれば、少なくとも馬券圏内は有った筈だが、歩様の硬さから状態面が本当ではなかった様。

ヒルデクリム

前肢にバンテージ。下見で頭が下がった分、歩様の力強さが出た。ただ、馬体は今年の低調メンバーでも凡庸。出遅れ1馬身不利。それでも、最初から行き振りは良くて、引っ掛かっている様子もなく、スムーズに3角で中段。ただ、直線はフォームがバラバラで伸びないというよりは、マトモに走れていなかった。現状は基礎体力不足。その一言に尽きる。

サマースプリントシリーズ第5戦 第20回キーンランドカップ(GⅢ)

パンジャタワー

前肢にバンテージ。+8kg。太いといえば太いだろうが、全体にボリューム感が出た。歩様にバネが来て、前走東京戦以上。出遅れ1馬身不利も、出脚で挽回して中段。ただ、後攻めの分、外を回る形にはなった。4角の手応えがそこ迄、良かった訳ではないが、直線に向いてからの脚が1頭だけ違っていた。3歳馬が57kgを背負って一枚地力が違ったといわんばかりの勝ち振り。デキも良かったが、前走がフロックでないことを証明した。ゲートさえ決まれば、中山戦でも面白い存在だが、このあとは中山戦ではなく、高額賞金を求めて海外遠征とのこと。なおのことゲートは決めたい。

ペアボルックス

-4kg。絞れたのはいい傾向。歩様にキレが出て来た。それでも馬が張っていて、デキ自体がいい。ゲート五分。一瞬の出脚は五分程度だったが、行き脚が付いてからが速く、好位確保。ただ、、4角の手応えが良かった割に、直線に向いてスッと抜けて来れなかった印象も。今日は逃げたウインカーネリアンが直線入口で2馬身抜けていて、進路が有ったから良かったが、マトモなら内が詰まるパターンだった。その辺が詰めが甘い一因か。エンジンが掛かってからはしっかり脚を使えているが、それもパンジャタワーには並ぶ間もなくやられてしまった。現状はスムーズに立ち回っても、これが一杯なのだろう。馬券上、無視もし辛いが、評価が下がる一戦。

カルプスペルシュ

+20kg。前走が-10kgだったが、デビュー以来、最高体重。太い印象はなく、成長分。歩様も良くなった。下見のテンションが一定しない馬だが、今日は落ち着いていたのも好印象。好発。とはいえ、大外枠だけに無理はせず、少し押した程度で好位。流れには乗れていたが、結果的にメリハリのない競馬になってしまった感は有る。その分、直線に向いての脚がジリジリだった。逆にいえば、内容そのものは強い。ここに来て、馬自体も良くなっており、ペアポルックスとは互角の評価が必要。

ナムラクララ

前走がプラス+10kgで、今回が+12kg。カルプスペルシュと違い、今日の見た目だけをいえば太いということになるが、姉に負けずいい馬になって来た。歩様の非力さが完全になくなった。ゲート五分。ただ、両サイドも頑張っていて、雁行の形になり、一旦1列下げてからの競馬。まだ馬が若いことも有るが、ちょっと行きたがっていた様には見えた。それでも4角は勝負圏内。もう少し伸びて欲しかったが、4kg差のパンジャタワーに並ぶ間もなく交わされたのは頂けない。姉と違い、もうワンパンチ欲しい印象。

ウインカーネリアン

遮眼革。シープスキンノーズバンド。見た目にはこれでいいのだが、520kg台で太く見せた方が明らかに成績がいい。しっかり踏めていて、歩様も力強いのだが...。躓き気味にも見えたが、出脚が速くハナ。外のフィオライアに少し競られたが、3角手前からは単騎。600m通過33.6秒なら、そう速くもない。それだけに直線は冴えなかったが、逃げて好走している時はテンの入りが遅い時に限る。ちょっとの競りが響くタイプ。