Sakura Archives

競馬回顧 2025年4回京都

第172回天皇賞・秋(GⅠ)

マスカレードボール

+4kg。休養前の前走もそうだったが、これだと腹回りが一枚重たい気もするのだが...。ただ、踏み込みが深くなって、その分の成長は有る。ゲート五分。外から速い馬が来て、出脚を使う間もなく中段。1000m通過62.0秒と超スローだったが、馬群が密集して馬群の中の馬は窮屈そうに走っていた。この馬も例外ではなく、3角手前で前のタスティエーラが下がって、かなりタイトな場面。それでも直線に向いてからはタスティエーラがいい先導役になった。タスティエーラが抜けたところで外へ持ち出すタイミングが有り、前が開いたのはラスト400m。頭が高くて首が使えていないので、見た目には進みが悪い様に見えるのだが、それでも他馬とは脚が違った。上がり3F32.3秒はGⅠ勝ち馬としては史上最速とのこと。ただ、後述する様に細かい不利が他馬にあり、GⅠ3連勝の鞍上が上手くエスコートした部分も有るのだろう。また、上がり勝負で単純に斤量が軽いのも有利だった。次走、首が使えない点から、距離が2400mに延びる点は歓迎しない。

ミュージアムマイル

2人曳き。今日の方が集中力が有ったが、馬体は前走中山戦をそう変わらず。今日も少しフックラ程度。歩様もスムーズ。ゲート五分も、外からホウオウビスケッツに来られ、2角でマスカレードボールに寄られ、後方から。向正面に入って、少し押してマスカレードボールに被せに行く形。ただ、この馬自身の機動力も若干甘かったとはいえ、3〜4角中間で外を押し上げて行く訳にも行かず、3角過ぎからクイーンズウォークにその位置を取られたのが痛恨。これで一手後手に回ってしまった。直線は良く追い掛けたが、そのクイーンズウォークの内外で迷う場面も有り、届かずの2着。能力で負けた訳ではないだけに、勿体ない競馬になってしまった。次走未定だが、この距離だと香港しかない。この内容なら、やれて良さそう。

ジャスティンパレス

前走阪神戦もこの馬としてはスッキリとした仕上げだったが、今日もほぼ同様。歩様も滑らかで、今日はケチを付ける部分がない。今日は好発。出脚でやられそうになるのは仕方がないところだが、枠の利を生かして好位。最初だけ行きたがっていたが、直ぐに折り合いが付いて、好位置で流れに乗れた。ただ、直線に向いて前が壁になり、立て直してマスカレードボールの後を追う形。これでは勝ちがない。これでも良く差して来たといえる3着。次走は面白い存在だが、位置取りは鍵。何故か、距離が延びると極端な競馬になりがちで...。

シランケド

歩様が独特の馬だが今日は割とマトモ。馬体にもそこ迄、緩さも感じず、明らかに一段デキが上がった。ゲートをポコンと出て、最後方から。それでも折り合いは怪しかったが、鞍上が徹底して矯めた。直線は大外。それでも、団子の展開った割にはそこ迄、外を回されなかったのは不幸中の幸いで一瞬は届きそうな脚。上がり3F31.7秒も出色ということになるが、それで4着なら展開を嘆く外ない。極端な競馬だけに、中々勝ち切るのは難しいが、この相手でも充分通用する。ただ、見方を変えれば、京都の限定戦なら高確率で勝てた筈。折角のタイトルを逃した感も有って...。今日の内容が良かっただけに、勿体ない印象も。

アーバンシック

前走阪神戦よりも、スッキリと見せていた程で、キッチリ仕上げて来た。歩様に多少のブレは感じるが、これは元々。1完歩目が出ず、半馬身程、分が悪かったが、鞍上に行く気もなく、後方から。このペースで、引っ掛かる馬が多い中、比較的我慢して走っていた方。直線はクイーンズウォークとミュージアムマイルの間から。ここは進路を間違わずに選択出来たが、4角辺りの手応えがイマイチで、直線も頭が上がり気味。もうひとつ弾けなかった。時々、競馬を投げる馬で、最後迄、集中して走れていた点は良かったが、東京の決め手勝負では明らかに分が悪い。逆にいえば、中山2500mなら狙ってみても。

メイショウタバル

シープスキンノーズバンド。+4s。雄大な馬体の持ち主だが、キッチリ出来ていた。下見は何時も落ち着いている。歩様も悪くない。好発。この鞍上の外枠からの先行策は、メジロマックイーンを思い出すところだが、当時と違い、2角へほぼ真っ直ぐに進入してハナ。ただ、出脚が抜群に速い方ではなく、押して行っているので、どうしても向正面に入って抑え気味。2番手のホウオウビスケッツ抑えたことも有って、恐らく鞍上の想定以上に折り合ってしまった。絶妙なペース判断でお馴染みの鞍上だが、決して操縦性にいタイプではないだけに、数字上のペースよりもリズム重視で走らざるを得なかった。このペースでホウオウビスケッツが早目に動いて来て、それに合わせる形での追い出し。少しタイミングが早かった面は有るが、上がり33.1秒で上がって掲示板を外した以上は、ペース判断を間違ったという以外にない。ただ、前述した様に、馬の操縦性の問題が有り、惨敗の可能性も有った。今日はこれで最良の結果。

タスティエーラ

香港戦と比較して、+10kg。デビュー以来、最高体重。これだと少し立派過ぎるかも。毛ヅヤがピカピカでデキ自体は良さそうだが。トモが微妙に甘いのは毎度。ゲート五分。スタート直後に外から来られる形になったが、この場面での出脚が微妙に鈍く、頑張って好位。その分、序盤は行きたがっていた。4角でホウオウビスケッツが動いたタイミングで外が開き、この馬自身も決め手勝負で分が悪いと判断して、早目の進出。ラスト400mで先頭に立った際は、やったかに思えたが、そこからが続かなかった。今日のスローの上がり勝負に適性がなく、太目と序盤のロスで尚更だった。現状だと距離を延ばして、ゆったり走らせた方が良さそう。

第30回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

フェスティバルヒル

-2kg。前走新潟戦は馬が緩かったが、今日は締まって見える。数字は大差ないが、馬が明らかに良くなっている。時折、小走りが入る場面も有ったが、許容範囲。歩様も悪くない。ゲートで安目を売って、後方のイン。出遅れて押した分も有るが、道中は掛かり気味。眼前のナオミライトニングが動かず、直線迄、待たされる形。この場面でも馬が行きたがっていた。ただ、直線に向いて前が開いていたとはいえ、一気の伸び。他馬とは決め手が違っていた。例に依って頭が高く、末脚の持続性という点では些か怪しいが、今日のところは力が一枚上だった。距離短縮もいい方に出ただろう。今日のメンバーはソコソコで、G⇄でも好勝負になりそうだが、やられるとすれば、重賞を使っていない組という気もしないでもない。

ショウナンカリス

+10kg。まだ線が細いといわざるを得ない範疇だが、馬体にメリハリが出て、前走札幌戦よりは成長している。歩様もマシになったが、まだ非力。ゲートは決まったが、出脚が怪しい上に鞍上にも行く気がなく、中段。向正面では折り合いが付いていた様に見えたが、3角で頭を上げる場面。直線は外から来ているが、最後は甘くなってメイショウハッケイに捕まりそうになっていた。とはいえ、こういう競馬で2着に残せるのは能力が有ってこそ。器用そうなタイプでは有り、内枠で前に壁の有る状態なら、もう少しスムーズに立ち回れる筈で、内枠で馬場のいい時に狙ってみたい。

メイショウハッケイ

前走はイレ込んでいたが、今日は落ち着いていた。数字以上に馬を大きく見せて、バランスの取れた馬体。歩様にブレないのもいい。出遅れも有ったが、両サイドから挟まれて行き場がなくなり、余計に出脚が付かず後方から。基本的にはショウナンカリスを追う形。道中の折り合いは付いていた。3角で掛かったショウナンカリスに対し、こちらは折り合いが付いており、その分距離が開いたのが結果的にどうだったか...。直線に向いて際どく差を詰めているが、前走同様、ステッキに抵抗して尻尾を振る場面。あのロスがなければ2着有った。トビが大きく、いい脚を持っているが、これでは宝の持ち腐れ。現状では500万も勝ち切れる保証はない。

ブラックチャリス

2人曳き。+16kg。数字は成長分で、最早別馬。マイラー体型だが、馬体に幅が出た。その分、歩様にも力良さが出て来た印象。ゲート五分。ただ、出脚は他に速い馬が何頭か居て、一旦引く形になり、そこで頭が上がって引っ掛かった。暫くして折り合いは付いたが、少し勿体なかったか。それでも、3〜4角で脚を矯められたのは大きく、直線に向いて一瞬は完全に抜け切る場面。一時は2馬身程のリードが有ったが、ラストは甘くなった。現状はいい脚が長く続かない。折り合い面は一応課題だが、この程度なら経験で何とかなる範囲。折り合い面がマシになれば、仕掛けのタイミングを工夫するだけでも距離の保ちが大分違う筈。次走は阪神マイルだが、これで人気が落ちるなら狙ってみる手も。それだけ、一瞬の脚には魅力が有った。

ベレーバスク

+8kg。前肢にバンテージ。この時期の馬体増は無条件で歓迎だが、今日に関しては少し厚ぼったい。歩様は悪くないが、少しテンションが上がり気味なのも気になった。ゲートは出たが、直後に他馬と接触して出脚が鈍って、中段。そこを慌てて挽回したことで、馬が少し行きたがっていた。4角迄、シラヌイを前に置いて、直線だけその外。外から来たショウナンカリスとの併せ馬になったが、もうひとつ伸びなかった。道中スムーズなら、もう少し違った可能性も有るが、今日のところは力負けか。

メイプルハッピー

前後肢にバンテージ。-10kg。数字分だけ腹回りがスッキリ。寸の詰まった体型だが、トモが張っていい馬。ただ、見た目の割に非力な歩様。ゲート五分。出脚は一番速かったが、鞍上に行く気がなく、2番手で控える形。ただ、2番手といっても、ほぼ並走で行く形。前に馬を置く、所謂"番手"の形ならまだ違っただろうが、ただ逃げていたマーブルパレスにプレッシャーを掛けていただけだった。無駄にハナへ行かない競馬に拘っていただけで、マーブルパレスと共倒れ。この時期だけに、逃げない競馬を模索していたのだろうが、 それにしても違ったやり方が有った筈。

第86回菊花賞(GⅠ)

エネルジコ

2人曳き。-12kg。下見は首をグッと下げて、集中力が有った。前走新潟戦もそれはそれで良く見せたが、馬体を絞った今回も良く見せる。歩様にもブレがなく、今日は文句なし。ゲートで安目を売って、後方から。1周目の坂の下りでは行きたがっていたが、ホームに入って、折り合いが付いた。この鞍上とはいえ、早目に折り合いが付いたことで、動く勇気が出たのだろう。向正面に入って徐々に動いて、3角で中段。基本的には馬群の外に居たが、4角を回って来る時の雰囲気が良く、ラスト200mで先頭に立って、あとは独走だった。鞍上はこのレース3連覇だが、着差は別にして、今年が一番馬が強かった印象。青葉賞馬の勝利は重賞昇格前のレオダーバン以来、そもそも青葉賞馬で大成したのがシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ程度だが、シンボリクリスエスと迄は行かないにしても、もう少しやれそうな印象も。今後も有望だったが...レース後にエビが判明。

エリキング

前後肢にバンテージ。-2kg。もうひと絞り欲しい。やはり500kgを切らないと腹回りがスッキリして来ない。その分、歩様も窮屈。これもゲートがゆっくりで後方から。出脚も速くなく、一応馬群には取り付いていたが、可能な限り、周囲の馬を少なくしてノビノビ走らせていた。向正面に入って、エネルジコを意識しつつ、外をジワッと進出。エネルジコ程の機動力はなく、流石に4角は汲々だったが、何とかゲルチュタールを締め切って、最後の最後に2着浮上。良馬場だったら、内の馬に粘られていただろうが、雨で内が厳しくなった分、届いた印象。トビが大きくて、見た目は迫力は有るのだが、日本競馬には向いていないタイプ。この馬主なら海外遠征の手も有りそうだが。

エキサイトバイオ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。数字が増えた分、少しフックラ。前走福島戦の方が研ぎ澄まされた印象は有った。ただ、曳き手を自分から引っ張って行く感じで、気配は変わらずいい。ゲート五分。外からでも、積極的に乗られて好位。流石に行きたがっていて、基本的に壁がない状態だったが、1周目のホームで折り合えた。3角手前辺りから、外からのプレッシャーを受ける形になり、坂の下りで前を見切って先頭。今日の馬場で踏ん張るのは流石に厳しいが、何とか3着は死守。エネルジコが一番強いとしても、見せ場充分の競馬。前走は一瞬の脚が目立ったが、今日は違う一面を見せたという意味でも好印象。今後が楽しみ。

ゲルチュタール

+8kg。少し腹回りがボテッと映る。これだと競走に影響する程度で太い。歩様や気配は決して悪くないが。ゲート五分。出脚は速そうではなく、押して中段。坂の下りで行きたがる馬が多い中、これは最初から折り合っていた様に見えたが、恐らく馬場を気にしていて、1周目のホーム辺りから時折オッツケる場面。レースが動いた向正面半ばから少しずつ位置が下がって、4角でエリキングにフタをされる形になり、一手遅れる格好にもなった。尤も、直線に向いた段階でそのエリキングとはほぼ並走の位置。直線に向いてからは前も開いていたが、もうひとつ伸びず。太目が祟った分も有るだろうが、馬場適性だけではない底力の差が有りそう。今日のところは良馬場で改めて。重賞だとワンパンチ足りない気もしないでもないが...。

レッドバンデ

2人曳き。-4kg。全体に緩いのは気になった。前走中山戦もそんな感じだったが...。歩様ももっとシャキッと歩いて欲しい。出遅れ1馬身不利。ただ、外枠でリカバーが利き、馬が行く気だったことも有り、そのまま行かせて好位直後。例に漏れず、坂の下りで行きたがったが、道中は一応我慢は利いた。3角から外を動いた馬が多く、4角は動くに動けない形だったが、これはこれで脚が矯められたか。直線に向いて、エキサイトバイオの内外で迷ったのが痛恨。内に切り替えて来たが、ピリッとした脚が使えず、掲示板確保がやっとだった。直線で最初から内を狙っていたら、3着有っただろう。道中の雰囲気から道悪も得意ではなさそうで、能力面はそれなりに高い。古馬相手の重賞でも充分通用する。

アマキヒ

前肢にバンテージ。492kg程の迫力はないが、馬体は纏まっていて、この距離でも走れそうなタイプ。ただ、今日は歩様がイマイチ。少し硬さが有った。好発も、出脚がなく、中段やや後方。1角迄のリズムは悪くなかったが、そこからは追走に汲々。徐々に置かれ出し、結局は全部行かせて、直線は大外。この段階で完全に勝負圏外だが、最後は盛り返している。今日は前有利という展開でもなかったが、本来なら折角の内枠だけに前で闘いたかったところ。この馬場だとちょっと厳しかったか。

ショウヘイ

2人曳き。前肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ太いかも。馬体が増えると、見た目にもマイラー色が強くなって来る。元々テンションの高いタイプだが、今日は首を上下に振って、何時も以上に喧しい。ゲートを決めて、好位。1周目の坂の下りは比較的マシだったが、向正面に入って引っ掛かっていた。直線も内から一瞬、顔を出しただけで、ズルズル後退。血統からも3000mは厳しそうだったが、加えて太目も悪い方に作用した印象。明らかに距離が長い。

ヤマニンブークリエ

2人曳き。馬振りはこのメンバーでも上位。胴長の造りで、歩様もしっかりしていた。見た目だけなら、この距離は有っていそう。好発も、ジーティーアダマンが主張して、その番手。完璧に折り合っていたとはいえないが、少し力んでいた程度。ただ、勝負どころの手応えがイマイチで、直線も前が開いていたのに大して伸びなかった。最後は全く追っていなかったので、着程の負けではないのだが、この馬場で内目を通ったのは結果的に良くなかったか。次走改めて。

第14回アルテミスステークス(GⅢ)

フィロステファニ

前後肢にバンテージ。+12kg。太くはないので、成長分なのだろうが、あまり大物感はない。歩様にも力強さを感じない。好発。ただ、行き脚はマルガの方が速く、好位に控える形。行きたがってもいたが、それ以上に向きが悪くて、道中はずっと内にモタれ気味。追い出してからも、鞍上がちょっと油断すると内へ刺さってハッピーエンジェルと軽く接触。手前も替えず、左手前のままだったが、それでも脚が違った。完勝。ただ、マルガ以外は低レベルで、マルガが凡走したなら500万に毛が生えた程度。解決すべき課題は多い中で、鍛錬の域迄持って行けるかどうか...。しかもレース後にエビが判明と更に状況は厳しい。今のところ、GⅠで通用する目はない。

ミツカネベネラ

2人曳き。数字の割に背丈が有って、馬振りはいい。気負ってはいたが、歩様にもバネを感じさせる。これもゲートは速かったが、行く気がなく、中段。フィロステファニをマークする形。折り合いという点に関しては、これが一番スムーズだった。ただ、追ってからがちょっとモタモタ。最後は伸びているが、2着に上がるのがやっとだった。ただ、新馬の前走が新潟の内回り1400mでフラフラしていたが、東京マイルで真っ直ぐ走れたのは収穫。あとは能力の絶対値の問題。マトモに走れていないフィロステファニに完敗という事実もそれはそれで重い。

タイセイボーグ

前肢にバンテージ。脚長でスラッとしたタイプ。その分、胴は短いのだが、それで居て歩様の窮屈さがないのがいい。鞍上の話ではゲート内でずっと潜ろうとしていたとのことで、手綱を引っ張っていて1完歩目が出ず、1馬身出遅れ。そのまま後方から。完璧かどうかは微妙だが、道中の折り合いは付いていた方。直線は開いた内目から。前の馬が避けて通る位だから、それなりに荒れていたが、そこ迄、苦にせず伸びていた。惜しい3着。今日は内枠結果的にアダ。外枠からの出遅れなら、まだ結果は違っただろう。2歳牝馬にしては、馬力が有るのがいい。こういうタイプは本当の道悪巧者。勿論、ゲートは出るに越したことはないが。

ハッピーエンジェル

前肢にバンテージ。前走新潟戦は気難しそうだったが、今日はそんな素振りは見せず。まだ馬体に若さを残しているが、その割に歩様はしっかりしていた。ゲートは五分程度だったが、マルガの先行策に乗る形で2番手。出して行ったことも有って、序盤は行きたがっていたが、マルガを追っ掛けずに3角手前辺りからは自分のリズムで運べた。直線入口でのフィロステファニとの接触は大して影響なかった筈だが、直線は伸び負けして4着。今日の結果だけをいえば、逃げた方が確率は良かっただろうが、マルガの方が速いのは明白で、先々を考えても控える競馬は仕方がないところ。今日のところはこれも勉強か。

マルガ

前後肢にバンテージ。+14kg。馬はこのメンバーなら抜けた存在。太い印象もないが、今日は妙に歩様が硬い。好発。一瞬の出脚はそこ迄、速くなかったが、そこからの行き脚は速く、スッとハナ。1000m通過59.3秒だから決して速くなく、単騎のマイペース。例に依ってトビが大きく、白い馬体を相まって浮いている様に見えるのだが、少し力んでいた様に見えた。ただ、直線は全く伸びず、雪崩れ込んだだけ。止まってもいないのだが、決め手がない。現状はこの条件で勝とうと思えば、もっと飛ばした方が良さそう。若しくはベストはダートかも。

ルーチェフィオーレ

2人曳き。-4kg。まだ全体に馬が薄い。歩様に関しては、前走中山戦の方が明らかに良かった。気配はこれでいいが、今日は硬さが目立つ。ゲート五分。出脚を使わず中段のイン。前走中山戦は逃げて勝ったが、道中は折り合っていた。ただ、馬場が悪化していた3〜4角でノメる場面。それでも直線に向いて、一瞬はマルガに迫ったが、ラスト200mで失速。距離面も些か怪しいが、今日のところは馬場状態が敗因。取り敢えず次走、良馬場で改めて。

第30回秋華賞(GⅠ)

エンブロイダリー

2人曳きき。前後肢にバンテージ。+6kg。数字分だけ緩い気もしないでもないが、馬振りは目立つ。ただ、歩様の硬さがマシになったのは大きい。ゲート五分も、出脚がなく、外の行きたい馬を行かせてから中段。その中にカムニャックが居て、序盤はこれをマークする形。ペースが落ち着きそうになった向正面辺りで、カムニャックの上を進出。逃げていたエリカエクスプレスと並走位置迄行っていた。2番手で脚を矯めて、直線に向いてから再び猛追。最後はあっさり抜け出した。完勝。前走東京戦は引っ掛かって競馬にならなかったが、折り合えば強い。ただ、今のところ牡馬相手で勝てる迫力も感じない。基本的に歩様の硬いタイプで、時計が速くなった時にどうかという点も未知数。

エリカエクスプレス

イレ込み迄は行かないが、今日もテンションは高い。馬体の迫力も中々。歩様も前走中山戦より良くなった。ゲート五分。最初からハナへ行く気が有ったかどうかは微妙だが、インヴォーグに外から来られた際に連られそうになり、馬と喧嘩するよりはとハナへ。少し力んでいた様にも見えたが、1000m通過59.4秒ならまずまずのペース。1000m通過手前でエンブロイダリーが2番手に進出。これは良し悪し有って、一瞬連られそうになった一方で、壁役としても機能した。直線に向いて突き放す脚が有り、一瞬はやったかの場面だったが、エンブロイダリーにとってもそれは織り込み済みだった様で、最後は相手に余裕を持って捕まえられた。完敗の2着だが、行き切れば強い。ただ、2000mだったにも関わらず、出脚ではケリフレッドアスクにやられていた。マークがキツくなる中で、自分の形に持ち込めるかどうかが鍵となる。

パラディレーヌ

+6kg。数字分だけ微妙にフックラ。気配はこんなモノだが、歩様が些か落ちた気もする。前走阪神戦からは、良く見て平行線。ゲートを真っ直ぐ出ず、かなりヨレていたにも関わらずカムニャックを追い掛けようとして、引っ掛かってしまい、結局は後方から。前に馬を置いて、向正面で何とか宥めて3〜4角でもまだ力んでいた様に見えたが、直線はしっかり伸びて3着確保。完全に前が詰まった前走阪神戦程ではないにせよ、今日は今日で不完全燃焼だが、いい脚を持っている。恐らくは前走の様に、道中は死んだ振りをした方がいいのだろうが。

ジョスラン

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。テンションが高目なのは何時ものこと。胴長でスラッとした造りだが、皮膚を薄く見せて、デキ自体が良さそう。手先のスナップも利いていた。ゲートは五分に出たが、最初から引っ掛かりそうになっており、深追い出来ず中段のイン。2角でも少し力んでいる様に見えたが、1000mで何とか折り合った。こうなると、どうしても勝負どころがズブくなりがちで、馬群を捌きながらなので余計に鈍かったが、ラスト150mで進路を確保してここ迄。前とは離れた4着とはいえ、エンジンが掛かってからの脚色は結構目立っていた。気性面は課題だが、力を示した競馬。最初から折り合いが付けば、際どくなっていた。1800m辺りのローカル重賞で狙いたいタイプ。

セナスタイル

発汗が目立ったのは前走阪神戦と一緒。数字の割にメリハリが有って、如何にも決め手一本のタイプ。ただ、今日はトモの甘さが幾らかマシになっていた。ゲートでアオッて後方。この鞍上らしく、まずはインへ寄せる形。これも序盤は行きたがっていた様に見えたが、ジョスランよりは折り合うのは早く、2角辺りで折り合いは付いた。4角の手応えはそれなりに有ったが、眼前のジョスランが全く動かず、諦めて直線は外へ。今日の展開だと流石に一手遅い。最後は差を詰めているが、外を回っている分、そのジョスランにも先着されてしまった。これなら外から位置を取りに行った方が良かったということになるが、それは結果論。今日はこれで仕方がない。

カムニャック

2人曳き。前肢にバンテージ。+8kg、馬振りはいいが、これだと少し太いかも。ただ、下見は外を周回して、集中して歩けていた。ゲートは怪しかったが、出脚で挽回して好位。この出脚は速く、直ぐに折り合いが付いて、序盤のリズムは悪くなかった。ただ、向正面でエンブロイダリーを行かせて、3角位から手応えが怪しくなり、直線はズルズル下がる一方。下見は兎も角、返し馬でかなりテンションが上がっていたが、メンタル的に宜しくなかったかも。

レーゼドラマ

前後肢にバンテージ。前走札幌戦より、今日の方が落ち着いていた。馬振りも目立つが、それ以上にバネを感じさせる歩様が素晴らしい。ゲートからマトモに出られず、序盤から行きたがってどうしようもなかった。今日は1周、鞍上と馬で喧嘩しながら回って来ただけで、4角で追うのを止めていた。これも気性面が課題。全く走る気がなく、暫く掛かるか、最悪はこのまま終わる危険も。

第28回富士ステークス(GⅡ)

ガイアフォース

キッチリ仕上げて来た。見た目的にも丁度だが、何より歩様に窮屈さがないのがいい。時折、小走りが入るのも何時ものこと。ゲートはアオり気味にも見えたが、グリューネグリーンの先行策に乗る形で2番手。真横でジャンタルマンタルが引っ掛かっていたが、我関せずでしっかり折り合っていた。直線入口で追い出したのは、東京だと少し早い仕掛けだが、出し抜けを狙った分も有るのだろう。その思惑は外れて、ジャンタルマンタルも渋太く食らい付いて来たが、直線入口でのリードを最後迄、守り切った。道中のロスや斤量差を考えれば、能力の絶対値ではジャンタルマンタルが上という評価になるが、器用さは何時の時代も武器になる。次走京都戦も注目。

ジャンタルマンタル

+8kg。これだと少し余裕残しだが、前哨戦としては上等。歩様もしっかりしていて、少なくとも下見は落ち着いていた。好発。出脚も速く、外枠からでもハナへ行ける位の勢いだったが、流石にそれは出来ず2番手で控える形。ただ、壁なしの状態だったことも有り、かなり行きたがっていた。隣で道中、完璧に折り合っていたガイアフォースとは行き振りが対照的で、直線も必死で追っていても、交わせそうで交わせなかった。斤量差も有り、あれだけ行きたがってこの差なら、力量的には勝っているということになるが、折り合い面に不安がないのがセールスポイントだっただけに課題は残った。逆にいえば、折り合いさえ付けば、次走京都戦は楽勝級。

ソウルラッシュ

+2kg。元々ボテッと見せるタイプだが、今日は数字以上に緩かった。ただ、骨折明けで仕方がない面も有る。歩様は悪くない。ゲート五分も、出脚が鈍く、押して中段。1000m通過58.3秒だから、そんなに速くないペースだが、道中も少しオッツケ気味に見えた。直線に向いてジャンタルマンタルの直後だから、展開的にも悪くない位置だが、追ってからも中々前に進まず、最後は突き放され気味になり、3着確保がやっとだった。とはいえ、骨折明けで明らかに緩い状態だっただけに、マトモに走っただけでも充分。京都戦だけでなく、香港戦も視野に入っている様だが、これを叩いて変わってくれれば。

ジュンブロッサム

-4kg。これだと腹回りはスッキリしていた反面、トモが薄く映る。腹回りはボテッと映ったが、トモが張っていた2走前の京都戦位の方がいいのかも。歩様は悪くない。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。馬群には取り付いていて、道中は折り合って、リズム良く追走。ただその分、動くに動けない位置で、直線に向いてから進路を探す形。今日の展開だと流石に一手遅い。真っ直ぐではないにせよ、進路は何とか確保出来たが、これが一杯。メンバー中、唯一の32秒台の上がりで、いい瞬発力が有るのだが、ゲートが悪くて、位置が取れないのがネック。

ウンブライル

+12kg。前走新潟戦が太かったので、数字は回復分。コロンとした体型で、太く見せる位の方がいいタイプ。今日はその点で良かった。歩様も許容範囲。ゲートは半馬身程、分が悪かったが、出脚でカバーしてほぼ持ったままで中段。ソウルラッシュの直後から。道中の折り合いも付いていた。直線に向いて、外に居たキープカルムを脚の違いで弾いて進路を確保。立ち回りとしては文句なしだが、追ってもうひとつ伸びず。このメンバーだと家賃が高かったか。

シャンパンカラー

前後肢にバンテージ。今日は馬体の張りがもう少し。陣営も強気だった前走の方が雰囲気はよかった。前走程ではないが、それでも2馬身出遅れ。一応、馬群には取り付いていたが、今日は道中もモタモタしていた。それでも、直線に向いて一瞬は反応しており、最低でも2,3着は有りそうな勢いだったが、ラスト200mで脚色が一緒になってしまい、いい脚が長く続かなかった。ゲートを出るに越したことはないが、出遅れたとしても、前走の脚なら好勝負になる筈だったが...。デキが本当ではないのか。

マジックサンズ

前後肢にバンテージ。+6kg。下見は例に依って、落ち着いていた。多少、腹回りはフックラしている様にも見えるが、走れる状態。歩様もスムーズ。ゲートが微妙に悪く、少し出したら引っ掛かって好位。3角辺り迄、力みが取れず、直線は全く伸びず。これならもっとソロッと乗った方が良かったということになるが、前走時に述べた様に、基本的にマイルがベストの馬ではない。ちょっとした展開に左右されるのは致し方ないところ。

第68回MBS賞スワンステークス(GⅡ)

オフトレイル

数字はほぼ一緒だが、今日は馬体が締まって見えた。歩様にもキレが出て、明らかに前走新潟戦以上。2馬身近い出遅れ。押して押して馬群には取り付いていたが、それでも後方から。出した分、少し行きたがっていた様に見えた。ただ、今日は1000m通過56.4秒とハイペース。4角は外に馬が居て、待たされる形になったが、結果的に脚を矯める形になり、直線の爆発力に繋がった。ほぼ内の馬で決まる様な展開だったが、外から1頭だけ脚が違っていた。今日の馬場でレコードだったのも立派。マイルでどうなるかは微妙だが、ハマれば突き抜けていい。

ワイドラトゥール

前肢にバンテージ。+8kg。数字は回復分。前走中京戦は流石に貧相だった。見た目だけをいえば、もっと少し増えてもいい位。歩様も悪くない。ゲート五分も、出脚が速い方ではなく、周囲の馬の出遅れが有って、何とか中段やや後方のイン。道中は折り合ってリズム良く追走出来たが、これも4角は動くに動けない位置。それでも直線に向いてスッと反応出来た訳ではないが、徐々に加速してここ迄。もう少し伸び出すのが早かったら際どくなっていたか。近走案外だったが、1400mで折り合えば切れる。時計に対応出来たのも好材料。毎回、同じ話になるが、1400mの時計勝負で結果を出した牝馬は東京マイルで一発が有る。

ランスオブカオス

-2kg。数字上は出来ているが、腹回りが少し緩く映った。少し歩様が硬かったのは姿勢が高い分も有り、許容範囲だが...。ゲートで僅かに安目を売ったが、押して中段。マイルの後の休み明けとはいえ、鞍上の技量不足も有って、道中は鞍上の手が矢鱈動いていたのが気になった。それでも、眼前のウインマーベルが完璧に運んで、直線はスムーズに捌いて来れたが、最後に甘くなって3着。前走東京戦も感じたが、鞍上がしっかり乗れていないだけで、馬は相当強い。GⅠでも勝てる力は有る筈。

ウインマーベル

多少、腹回りが怪しい点も含めて、休養前の前走東京戦とほぼ一緒。今日も集中して歩けけていた。歩様も力強い。ゲート五分。流石に出脚は速く、スッと好位。結果論をいえば、速かったということにはなるが、いい位置で流れに乗れた。小脚も利いて、直線もスッと抜け出して来れたが、最近のパターン通り、最後の踏ん張りが利かず。1400mのGⅡなら、何とかしたかったところだろうが...。もっと内が利く馬場の方が良かったか。

シュタールヴィント

遮眼革。寸の詰まったマイラー体型。この手の馬に有り勝ちな歩様だが、硬さは感じない。馬体重の変動が激しいタイプだが、見た目にもこれ位でいい。ゲートは少し分が悪かったが、少し促した程度で中段やや後方。4角でオフトレイルの直後。今日の展開なら決して悪い位置ではなかったが、全体に手応えが悪く、渋太く頑張っていたとはいえ、速い脚に欠いた印象。とはいえ、これが初重賞挑戦。慣れれば何とかなりそう。阪神の方が向きそうなタイプでも有り、先々に展望が開けた。

アドマイヤズーム

2人曳き。馬体は春とそう変わらず。馬自体が古馬相手でも負けておらず、馬体の張りも有った。ただ、今日は何時も以上にテンションが高いのと歩様がイマイチ。ゲート五分。出脚も速かったが、外枠だけに無理はせず好位。道中の手応えも良さそうで、4角の雰囲気では楽勝かに見えたが、追ってから内にモタれ気味で、ピリッとしなかった。今日は完全な差し決着の展開だったことも有ったが、案外感も強い。歩様の問題で、調整面で上手く行かなかった部分も有ったか...。

ソーダズリング

前後肢にバンテージ。馬体に張りが有って、踏み込みもしっかりしていた。少なくとも下見でケチを付ける部分はない。ゲート五分。出脚も負けておらず、好位直後。道中は折り合って追走、4角の手応えも悪くなかったが、直線入口で鞍上が異変を感じたのか、一瞬だけ後ろを振り返る場面が有り、その後はサッパリだった。鞍上の話では落鉄していたとのこと。今日は参考外。

第1回アイルランドトロフィー(GⅡ)

ラヴァンダ

前後肢にバンテージ。-4kg。馬体が締まって、前走阪神戦以上。迫力の点でも負けていない。踏み込みの深さもひと際目立つ。好発。出脚と外枠の分も有るが、無理はせず中段。馬群の外だったが、前にサフィラを置いて、道中の折り合いは付いていた。直線に向いてからの手応えも抜群で、このスローの割に伸び出すのも早かった。ラスト300mで左手前になって、少し内にモタれ気味では有ったが、力が一枚違う勝ち振り。完勝といっていい内容。ただ、次走マイル戦が目標とのこと。今年はスペシャリストが多い印象も有って、外枠は欲しいところ。

アンゴラブラック

+10kg。今日だけをいえば、少しメリハリのなさを感じるところ。悪くないが、歩様のキレも含めて、前走福島戦の方が雰囲気は良かった。好発。出脚も、アドマイヤマツリより速い位だったが、ハナはないと見るや否や、番手から。このスローで絶好の形に持ち込めた。直線に向いて、少し待たされている間にカナテープに出られたが、そこから差し返しての2着。尤も、キタサンブラック産駒らしくトビが大きいので、瞬間の加速力に欠いている分も有るだろう。今日はデキが甘かった面も有り、完璧なら勝っていた競馬。今後も有望。

カナテープ

-14kg。馬体重の変動が激しいタイプで、これでも走っている。見た目的にはかなり腹が巻いているが...。ただ、歩様に硬さがなく、ブレがないのはいい。ゲート五分。この馬の出脚で好位から。この馬としては前目に居たが、スローを読んでのモノで、これはこれで正解。一方で、馬群の中に居たことで道中は少し馬が気を遣って力んでしまっている様に見えた。直線に向いてから、暫くはいい反応で伸びていたが、先頭に立たんかのラスト200mで僅かに甘くなって3着止まり。結果的にもう少し矯めて乗れば違ったかも。とはいえ、マイルの後でスロー明白のメンバーだけに、馬は勿論、鞍上も責められないところ。次走京都で改めて。

ライラック

+4kg。数字と見た目が一致しないタイプだが、これでもそんなに太い印象はない。少なくとも締まっては見えたので、デキ自体は良さそう。歩様もスムーズ。ゲートも微妙に悪かったが、行く気もなく、後方から。道中は何とか我慢して追走。リズムは悪くなかった。ただ、4角でラヴァンダの直後というのは、今日の展開だと一手遅い。直線入口での1馬身差が最後迄、詰まらなかった。今日はスローを言い訳にする以外にない。最近はムラ駆け傾向だったが、東京でも最後迄、止まらずに走れたという点は収穫。次走もメンバー次第。

セフィロ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+10kg。数字は回復分。胴長の馬で、見た目だけならもっと増えてもいい。ただ、歩様が少し甘いのと、今日はテンションが高い。半馬身出遅れ。直ぐに進路もなくなり、引いて後方から。ライラックの位置で一手遅いのだから、更に後方に居たこの馬は二手遅いということになるが、大外かメンバー中、最速の上がりで良く伸びている。この脚をマイルや2000mでも使えれば面白いところ。限定戦のG𔷆辺りなら勝てる馬。

アドマイヤマツリ

2人曳き。+16kg。デビュー以来、最高体重。数字分が全てではないかも知れないが、少し重たい。歩様も悪くないが、今日はかなりテンションが高い。好発。出脚と最内枠の利も大きく、ハナ。ペース自体は1000m通過60.8秒とスローだが、単騎で逃げていた割には少し力んでいた様に見えた。それでも直線に向いた段階では手応え充分。何とかなったかに見えたが、流石にラスト200mで甘くなった。これなら前に馬を置いた方が良かったかもと思わないでもないが、そもそもこれ迄、逃げたことがない馬。終わったことは仕方がないので、今日の経験を次走以降に生かしたいところ。

ボンドガール

前走新潟戦とほぼ変わらず。馬体がシャキッとして、歩様もスムーズ。特にケチを付ける部分はないのだが...。ゲートはやや後手も、少し出して中段。人気になっていただけに、位置を取りに行ったのは当然だが、馬群の中は馬が余り得意ではない様で、気を遣って走っていた様に見えた。直線も全く伸びず。メンタル的に弱くて、アテにし辛い。新潟の様な広いコースか、ハイペースで馬群がバラけた方がまだ確率は高いのだろうが。

第11回サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ)

エコロアルバ

前肢にバンテージ。+8kg。前走新潟戦は大分立派だったが、今日の方がむしろ締まって見える。歩様も含めて、馬は良くなっているか。半馬身出遅れ。そのまま最後方。テンから行き振りが悪く、道中完全には置かれる形になり、オッツケながらの追走。4角でも馬群に取り付けていなかったが、直線は外へ持ち出して、ラスト400mでエンジンが掛かってからは一気の伸び。左手前のままだったが、脚力が違った。これだけ追走に梃子摺っている様だと現状はアテにはし辛いが、性能の高さは本物。低調感有った一戦だったが、素質はGⅠ級。

ガレリア

馬自体は重賞に入ると、かなり貧相。緩んだところがなく、完成度は高そうだが。歩様は悪くない。スタート直前に一瞬、突進しそうになったが、何とか五分の発馬。出脚も速く、逃げたマーゴットブローの番手。道中も折り合いが付いて、いいリズムで追走出来た。直線に向いてからも手応え充分だったが、暫く前が壁。ユウファラオの外へ切り替えたのがラスト200m。そこからい一瞬の脚で2着浮上。恐らくマトモに走っていれば、やられていただろうが、結果的に最後に脚を残す形になったのが良かった。今後も一瞬の脚を生かせる展開になれば。

ゾロアストロ

+4kg。前走新潟戦よりトモが張って、馬が良くなった。ただ、歩様にブレが有る。体幹に甘さが有るかも。ゲートも悪かったが、出脚も付かず後方から。エコロアルバと違い、馬群には取り付いていた。ただ、掛かる迄は行かなくとも、道中は力んでいた様に見えた。直線に向いて、チュウワカーネギーにフタをされ、一旦引いてから外へ。このロスはそれなりに痛く、ここがスムーズなら2着有ったということになるが、この段階でもエコロアルバはこの馬よりも後ろに居たことも確か。厩舎の期待としては最低でも2着だっただろう。かなり評価が下がる一戦。

マーゴットブロー

数字はほぼ一緒だが、前走中山戦より馬体にメリハリが出て、大分纏まって来た。踏み込みも問題ない。尤も、大物感もないが。好発。内からガレリアに主張されるのを嫌ったか、最初から押してハナ。ただ、出脚自体はそこ迄、速くないかも。2番手のユウファラオがガッチリ抑えてくれたことは幸いで、1000m通過59.8秒とマイぺースのスローに持ち込めた。直線に向いてからも追い出しを待つ余裕が有り、渋太く伸びているのだが、最後の最後に甘くなった。とはいえ、惜しい4着。東京以外なら馬券圏内有った競馬。ただ、もう少し出脚が有ればもっと楽。

チュウワカーネギー

前後肢にバンテージ。+18kg。馬は本当に立派だが、これは流石に太いか。歩様も力強くて、馬振りは抜けている。ゲートは五分に出たが、急かすことはせず中段。道中は壁がない影響も有ったか、少し掛かり気味の追走。4角を回る際の雰囲気は悪くなかったが、道中でロスが有った分と、追って首が使えていない分も有り、もうひとつ伸びなかった。今日に関しては太目が祟った影響も有り、更に枠順もいい方に出ず、今日はこれで仕方がないところ。馬体を絞って改めて真を問いたい。

第76回毎日王冠(GⅡ)

レーベンスティール

2人曳き。前肢にバンテージ。走る走らないは別にして、前走阪神戦もデキは良かった。今日も気配を含めて、ほぼそのまま。珍しく好発。この馬の出脚で好位。気性的に難しい部分の有る馬だが、サトノシャイニングを前に置いて、何とか我慢して走っていた。1000m通過58.6秒だけ切り取れば極端なスローという訳ではないが、テンの200mが12.9秒と極端に遅く、前の馬にしか勝負に参加出来ないペース。しかも、その前の馬が掛かりながら壁になってくれているのだから、最早勝って下さいの展開。着差こそ半馬身だったが、それ以上の楽勝だった。トビが大きいのでスパッと切れる様に見えないのは仕方がないところ。次走も東京戦だろうが、今日の展開が再度望める筈もなく、仮にそうなったとしても32秒台の馬が台頭して来そう。良くて入着か。

ホウオウビスケッツ

2人曳き。前肢にバンテージ。-6kg。前走札幌戦が明らかに太かったので、絞れたのはいい傾向。歩様にもキレが出た。ただ、見た目だけなら、もっと絞ってもいい。レーベンスティール,シルトホルンの好発に依り、比較上、微妙に出負け。前記2頭の間から抜け出て来るイメージで押してハナ。ハナに立って落ち着こうとしたところをサトノシャイニングが掛かりながら来て、そこでも脚を使わされた。前述した様に、ペース自体は大して速くないが、それ以上にメンタル面で削られていた印象。それで居て、直線はしっかり伸びている。決め手負けしただけで、止まってはいない。走らない時は極端な淡泊な馬だが、我慢が利く時はデキがいいことの証左。自分でペースを造れる馬は常にチャンスが有る。昨年よりメンバーが落ちる今年は何とかなっても。

サトノシャイニング

2人曳き。胴長でスラッとした造りだが、古馬相手でも迫力負けしていないが、歩様の力感では古馬に長が有る。これもゲートで微妙に安目を売ったが、押して2番手。繰り返しになるが、3角辺りで頭が上がる場面も有り、結構行きたがっていた。流石に前のホウオウビスケッツを捕まえるには至らなかったが、道中の1馬身差が最後迄、ほぼそのまま詰まらなかった。ただ、能力面の評価だけをいえば、今日はバタッと止まっていないだけ、マシという考え方も出来るだろう。脚色的にも伸びていないだけで、脚が上がった様には見えなかった。気性面さえ解決出来れば、古馬相手でもやれる力は有る。次走は試金石だが、今日のところは前向きに捕えたい3着。

ディマイザキッド

2人曳き。前肢にバンテージ。こちらは寸の詰まったマイラー体型。歩様もマイラーっぽい力強さが有る。前走函館戦は少し下見の集中力を欠いたが、今日は気配も良かった。ゲートで安目を売ったことも有るが、出脚もサッパリで後方から。ただ、スタート直後は結構押したことで多少行きたがっていたが、直ぐに折り合いが付いて、道中のリズムは悪くなかった。基本的にはチェルヴィニアをマークする形。ただ、今日の展開で4角で外を回している様では競馬にならない。チェルヴィニアを交わしただけでもそれなりの評価が必要。現時点で次走未定だが、展開ひとつ。

エルトンバローズ

遮眼革。-4kg。馬体の張りがもうひとつ。もう少し腹回りがシャキッとして欲しい。歩様もこの馬としては少し硬い。比較上、ゲートが微妙に後手に回ったが、この馬の出脚で挽回して好位。ただ、出した分と外に馬が居ること自体が好きではないのか、道中は行きたがっていた。今日の展開だと内に居た利はそれなりに有ったにも関わらず、直線に向いて前を追い掛ける脚がなく、伸び案外。もう少し掛かりそう。

チェルヴィニア

2人曳き。+16kg。遂に500kgだが、見た目にはそこ迄、太い印象はない。気配もこれでいいが、あとは歩様。この馬独特とはいえ、硬さは目に付く。ゲートよりも、出脚がなく後方から。道中は折り合っていて、リズムは悪くなかった。今日はスローで展開がなかったにせよ、直線で全く伸びず、ディマイザキッドにもやられていたのは頂けない。尤も、歩様が硬いので、33秒前半の脚がない気もしないでもない。今なら力の要る馬場の方が良さそう。

第60回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

ディープモンスター

今年は結構使われているが、歩様に硬さが出て来ないのがいい。馬体の張りも有って、高値安定。ゲート五分。この馬の出脚で無理せず中段のイン。道中は前向き過ぎる位の行き振り。折り合い面だけをいえば、もっとバラけた位置で乗った方が良かっただろうが、雨が降って各馬が嫌がる中で、この位の気性で丁度良かった印象。直線に向いて、ラスト200mからの脚で抜け出して、重賞15回目の挑戦で初制覇。今日は距離延長でどうかと思ったが、枠順も含めて、全てが上手く行った。勝てる時はこういうモノ。斤量面を考えると、今後は主戦場のローカル重賞を使い辛くなった感もない訳ではないが、今日のメンバーで勝てたのは自信になった筈。GⅡでも。

サンライズアース

2人曳き。前後肢にバンテージ。+4kg。良くいえば、重厚感の有るタイプだが、今日の感じだと流石に重たいか。歩様はこんなモノだが、これも絞れて来れば、もっとキレが出て来そう。ただ、以前よりイレ込みがマシになった。誰も行かず、出脚に余裕が有ったことも有り、ならばとハナへ。1000m通過60.1秒と丁度いいペースで逃げられたが、3角からドゥレッツァにプレッシャーを掛けられていた為か、コーナーで外へ張り気味。これで外に居た馬が死んで、ディープモンスターに進路をやってしまった。それでも直線は一瞬、ヴェルミゼルにやられそうになりながらも2着に踏ん張っており、中々渋太い。これもGⅡ級の力は有る。コーナリングは京都のコース形態の問題も有り、目を瞑るにしても、勝ち切るにはもう少し決め手が欲しいところ。

ヴェルミセル

2人曳き。ここへ入ると、馬自体が明らかに格下。毛ヅヤや馬体の張りは問題ないが、歩様が甘いのも気になった。出遅れ1馬身不利。直ぐ内へ誘導して、後方から。道中の折り合いは付いていた。4角はディープモンスターの直後。直線に向いて、一瞬は2着有りそうな勢いだったが、最後の最後に鈍った分の3着。ゴールドシップ産駒だけ有って、こういう他馬にとって都合の悪い馬場状態は強い。ただ、馬格がないので、最後にパワー差が出てしまっているのも確か。連迄、持って来るにはもう少し成長が欲しい。

アドマイヤテラ

2人曳き。この距離の馬にしては、少しテンションが高いのは何時ものこと。馬体も迫力の有る感じではないが、これで走れている。ゲートは五分に出たが、3枠2頭に出脚でやられ、更に外から次々と来られて中段。馬がその辺りを気にした様で、序盤は行きたがっていたが、外へ持ち出してからは少しズブい位の追走。今日はリズムが悪かった。ペースが遅いので、人気を背負って早目に捕まえに行く策も仕方がないのだが、サンライズアースが4角で外へフクれたことで、更に遠くなってしまい、この馬の仕掛けのタイミングと丁度かち合ってしまったのもアンラッキー。何とか掲示板には踏ん張ったが...。こういう渋い馬場も向かないのだろうが、それ以上に今日は展開が向かず。次走改めて。

ショウナンラプンタ

数字は似た様なモノだが、前走阪神戦の方が雰囲気は良かった。馬体の張りや歩様の力強さの点で劣る。ゲート開いて外へヨレ、出脚が付かず後方から。向正面に入って、徐々に押して、4角で中段。4角の回り脚は悪くなかったが、それ迄の行き振りがもうひとつ。今日はアドマイヤテラと並走位の位置でないと勝負にならない。尤も、今日はその位置に居たら、外に飛ばされる形になっていた筈で、どっちにしても厳しかったか。やはりもう少し決め手が欲しいところ。その点ではもっと距離が有った方が誤魔化しが利く。

ドゥレッツァ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+10kg。数字分だけ重たい。前走阪神戦は馬体にメリハリが有って、歩様にもキレが有ったが、今日は全体に緩慢。好発も出脚が苦しく、何とか中段。1角で外へ出して、向正面半ばから一気に前へ。3角手前でサンライズアースと並走の形。今日のペースなら作戦自体は間違っていないが、直線は全く伸びず。デキが本当ではなかったか...。絞って改めて。