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競馬回顧 2022年3回中京

第136回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

ボッケリーニ

少し寸詰まりの体型だが、馬体の造りにメリハリが利いていたのが何より。歩様の硬さもこれなら許容範囲。好発。行こうと思えばハナへも行ける雰囲気だったが、行きたい馬に行かせて好位のイン。流石に道中の折り合いは問題なく、終始セコい競馬。あとは抜け出すタイミングだけだったが、前のウインキートスに手応えが残っていることも有り、後続を待たずに追い出し。ウインキートスも渋太く、この馬もラスト200mで左手前になって外へモタれていたが、一杯一杯振り切った。上手く行き過ぎて能力比較云々は何ともいえないところだが、経験豊富な実績馬が枠も恵まれ千載一遇のチャンスを生かしたということはいえる。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。-12kg。前走中京戦が太かっただけで、これ位がベスト。一歩一歩しっかり歩けていた。例に依って、馬体に柔軟性が有るのがいい。ゲート内の駐立が悪く、出脚が鈍って中段から。ゲート内で暴れていた位だが、今日のスローだと道中で行きたがるのは致し方ないところ。それでも積極的に乗られて3角からジワッと進出。全馬が伸びている状況だけにスパッと切れる脚ではなかったが、最後迄ジワジワ伸びて2着浮上。昨秋の東京2500m戦も2着だったが、こういう最後迄踏ん張りが利くタイプが東京2500m向き。折り合いがもっとスムーズになれば勝てる筈。

ウインキートス

下見は最後方を周回。不調時もそこ迄悪く見せておらず、今日も馬体はキッチリ出来ていた。ただ、何時もより良くも悪くも煩さが有った。16番枠だったが、戦前からの決め打ちだったとのことでハナへ。内から先行したバジオウがスッと引いてくれて、1000m通過が62.5秒とスローペースに持ち込めた。4角迄単騎で回って、ボッケリーニ相手に良く抵抗していたが、ラスト300mで手前が替わったことと、追って頭が上がり気味になっていた。最近の中では頑張った方だが、まだ本当ではなさそう。

ディアマンミノル

結構チャカついていたが、この馬に限らず、この馬主の所有馬はこういう傾向。馬体そのものもこの馬なりに悪くない。直ぐ外のプリマヴィスタに寄られたことも有るが、鞍上に行く気もなく後方からジックリと。小細工なしで直線だけ外へ。今日の展開だと流石に届く迄は不可能だったが、それでも対ボッケリーニで0.1秒差と、惜しい内容。ひと昔前ならファストタテヤマになれたところだが、GⅡならチャンスは続く。

ラストドラフト

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。下見の雰囲気だけをいえばもっと走れていい馬。馬体のメリハリ、踏み込みの力強さと申し分ない。活気も有った。ゲート五分。特に急かすこともなく、出たなりで中段から。道中も動きなく、4角を回ってマイネルウィルトスの直後。ただ、そこからそのマイネルウィルトスが捕まりそうで捕まらなかった。これも最近の中では頑張った方だが、今日はデキが良かっただけにもうちょっと何とかしたかったところ。

第89回東京優駿(GⅠ)

ドウデュース

-6kg。馬体を絞って前走中山戦以上。皮膚を薄く見せて、デキにケチを付けるところはない。歩様もスムーズ。落ち着きも有った。逃げ宣言のデシエルトに叩かれる形になり、後方から。この点では前走と大差はないが、イクイノックスが更に後方だったことと、周囲に馬がいなかったことが前走との違い。油断すると引っ掛かるので、鞍上が何とか宥めて直線だけ外。後述する様に、4角でイクイノックスを内へ置く形になったことも大きかった。追っての反応も俊敏で、ラスト150mで抜け出して一瞬だけフワッとしたが、イクイノックスが来て勝負根性を発揮。持ち味を生かした競馬が出来た。今年に入っての2走はツキのなさも感じたが、そこで慌てなかったことが大舞台で生きた感も。ダービーレコードに加え、朝日杯フューチュリティステークス勝ち馬が翌年のダービーを制するの3歳ステークス時代の1994年ナリタブライアン以来とのこと。次走は鞍上、オーナー共々、夢を乗せての仏国遠征となるが、兎に角追い比べの展開に持ち込みたいところ。

イクイノックス

2人曳き。-8kg。前走中山戦が少し重たかっただけに、これ位で丁度。ただ、今日は少し歩様に硬さが有った。ゲートは出たが、この距離とこの枠で急かす訳には行かずに後方からジックリとのられた。ただ、3角辺りから内に入れた判断が微妙。直線に向いて、一旦はドウデュースの内を狙ったが、結局止めて外。結果的にドウデュースの後追いになってしまった。ラスト300mで左手前になりながらも、猛追したが、クビ差届かず。2戦連続の18番枠だけに運の問題という外ない。ドウデュース不在の秋こそタイトル奪取したいところだが、脚部不安発症とのこと。休養すれば使えるとのことだが、何処迄立て直せるか...。

アスクビクターモア

前肢にバンテージ。前走中山戦より上積み有りそう。筋肉の輪郭が浮いて、トモにボリューム感が有った。歩様も例に依って完歩こそ小さいが、手先は柔らかい。この馬としてはゲートを失敗した方だが、流石に出脚は速く、楽に2番手。ゲートの分、少し序盤は行きたがったが、2角でスムーズに。1000m通過58.9秒とソコソコ流れたが、手応え良く追走。4角を手応え充分で回って、直線入口で先頭。ただ、追い出して外へモタれたのが痛かった。立て直してからは渋太く食い下がっているのだが...。とはいえ、オールドファンにはお馴染みの時計ともいえる東京2400mで2分22秒2。充分GⅠ級。

ダノンベルーガ

2人曳き。-10kg。垢ぬけた造りの馬だが、数字分だけ前走中山戦よりスカッと見せる。下見では落ち着いていた。ただ、歩様がまだ本当ではない。この馬の出脚で中段やや後方。ドウデュースの一歩前からの競馬。真横にジオグリフが居たのは余計といえば余計だったが、馬は気にしている素振りはなかった。直線に向いても、暫く進路を探す場面こそ有ったものの、追い出してからの脚は俊敏。一瞬は最低2着の勢いだったが、ラスト100mで止まり、最後はアスクビクターモアすら交わせなかった。追い出して頭が上がり気味になっており、時計に天井が有りそうな負け方。

プラダリア

後肢にバンテージ。少し腹回りがボテッと映る。前走より歩様が硬く、それでいて踏み込みが浅いのもマイナス。ゲートで分が悪かったが、押して好位。道中は折り合いも付いて、スムーズに走れいた。直線に向いてからも内を狙って反応はしているが、伸びはジリジリ。ただ、前走は勝ったとはいえ内にモタれており、今日は苦戦が予想されたが、良く頑張った方だろう。現時点では上位と能力差有るが、競馬になっただけでも評価したいところ。

キラーアビリティ

-8kg。前走中山戦からデキ一変。馬に集中力も有ったが、トモの踏み込みがもう少し深いと理想的。今日も出負けして、後方。1角はドウデュースの真横に居て、2角から引く形。バラけた位置だったことも有るが、前走を考えればスムーズに走れていた。4角を回り切って、ドウデュースの直後。そこからは一気に突き放されたが、競馬を投げる様なことはなく、最後迄頑張っていた。前走からは一歩前進。これなら秋は何とかなりそう。

ジオグリフ

2人曳き。前走中山戦以上に落ち着いていた点は何より。ただやはり、馬は上位とはいえない。このメンバーに入ると迫力に欠く。ゲートは決めたが、デシエルトに付いて行こうとしたら頭が上がり気味になり、攻めて乗れず中段の外。今日の展開と時計でずっと外を通ると厳しく、唯でさえ距離に不安の有る馬だけに、全く伸びなかった。前走とは競馬が違ったということ。基本は小回り中距離の馬で、本来ならローカル重賞に強いタイプ。従って、札幌戦辺りに使って来れば面白いところだったが、レース後に故障を発症。

第5回葵ステークス(GⅢ)

ウインマーベル

小ぢんまりと纏まった造り。馬振りでそこ迄目立つ印象はない。落ち着きが有って、歩様も含めてケチを付けるところもないのだが...。57kgは多少なりとも出脚に影響しただろうが、この馬の出脚で中段から。微妙な枠だけに外から次々来られる展開は避けたかったところだが、深追いもせず、3角の入りをそれなりに上手くやり過ごせたのは大きかったか。直線も向いた位置でスムーズに前が開き、ラスト250mで先頭。そのまま押し切った。馬が強いことが一番だが、斤量を背負っていた中でスムーズに競馬出来たことも大きい。ただ、馬に迫力がない。器用さは有るだろうが、古馬の一線級相手だと苦しいかも。

コムストックロード

-4kg。ガサがないだけに減るのはいい傾向ではないが、一応は許容範囲。歩様もそれなりに力強さが有った。1200mが初めてということも有り、ゲートの一瞬から分が悪く、出脚も他馬の方が優勢で中段やや後方。好位グループが一団になっており、その直後から揉まれずに運べた。直線は内にモタれそうになるのを矯正しながらだったが、ウインマーベルの通った後を抜けて際どい2着争いを制した形。今日は上手くいった感が強い。次走は函館の準オープンへ向かう様だが、斤量利は有ったとしても厳しいだろう。

ブレスレスリー

+8kg。現状はこれ位で丁度なのだろうが、この距離を走る馬としてはまだスカッと見せる方。歩様もスムーズで、ノンビリしていた点も好感。これもゲートは怪しい方だったが、外枠の分、立て直しが利いて、好位グループの一角。ただ、後ろから追い付いた形故に、変なところに入るのは仕方がないところで、3角で引っ張る場面が有った。4角で立て直して直線は外。コムストックロードより先に動いて、それなりに伸びているのだが、最後に脚を使えたコムストックロードに捕まった。ただ、通った位置の差を考えれば強い内容。ウインマーベルより強いと迄はいえないが、充分重賞クラス。1000万にも使える馬だが、楽勝級。

ウインモナーク

前後肢にバンテージ。-4kg。見た目だけをいえば、もっと絞れた方がいい。ただ、歩様に窮屈さがなく、手先のスナップも利いている。ゲートを五分に出て、積極的に先行。前半3Fが33.2秒だから、中京1200mとしては流れた方だが、矯めることはせず、兎に角強気の騎乗。流石に坂を上り切った辺りで苦しくなったが、見せ場は充分。馬を強くする内容。これも1000万は通過点に出来る筈だが、脚部不安を発症とのことで一息入れるとのこと。

カイカノキセキ

後肢にバンテージ。+10kg。コロンとした体型。それでいて、歩様もキビキビ。下見からは減点材料はない。好発も、鞍上に行く気がなく、中段やや後方。コムストックロード同様、好位一団馬群の直後から。直線に向いた段階ではコムストックロードの1馬身後方だったが、勝負どこからズブさが有り、追っても追っても進んでいかなかった。5着はこの馬が伸びたというより、前が止まった分。前走阪神戦が矯めて最後に伸びて来たということで控える競馬を選択したとのことだが、首が使えていない走法なので瞬発力は期待出来ない。ベストはダート。

第83回優駿牝馬(GⅠ)

スターズオンアース

前後肢にバンテージ。-6kg。今年のメンバーなら馬振りで上位。胴長で垢ぬけた造り。今日から下見所内に関係者が入る様になったが、落ち着いていた点も好印象。ゲート五分。直ぐ内のニシノラブウインクが先行したが、それには付いて行かず、折り合いに専念して中段から。サウンドビバーチェが放馬したことに依る15分の発走遅延はグレード制導入以降の最長記録だそうだが、出遅れた馬が多く、結果的にいい方に出た。急かさずに好位置が取れた上に、ペースが大して速くなかったにも関わらず、縦長の展開となり、コースロスも最小限に留められた。直線に向いてからも、アートハウスが外へ張り出してきたことで、目標も近くなり、大外枠としてはこれ以上なく、競馬がし易くなった。ラスト300mで左手前にはなっていたが、その後も力強く最後迄駆け抜けた。発走遅延がなかったらどうなっていたかは"神のみぞ知る"ところだが、そこも含めて運を持っているということはいえる。生産者の社台ファーム、馬主の社台サラブレッドクラブ共にクラシック三冠に縁がなかったが、この点でも有望。

スタニングローズ

前走中山戦からは大きくは変わっていないが、キッチリ出来ていた。2歳時より歩様の力強さが増している。好発。出脚はアートハウスの方が速かったが、押して好位5番手のイン。出して行った分、少し力んでいた様にも見えたが、そこは外国人ジョッキーの腕っぷしで我慢させた。直線に向いて、アートハウスの外。距離損は有ったが、スターズオンアースと併せる形になり、結果的にこれはこれで良かった。一瞬は勝ったかの脚だったが、抜け切ろうとしたところでスターズオンアースに捕まり、2着止まり。道中でもう少し我慢出来ていれば、際どくなっていただろう。とはいえ、こういうトラブルが有った時は数を使っている馬が強い。

ナミュール

増減なしだが、出来れば増えて出て来て欲しかったところ。ただ、皮膚を薄く見せて、歩様も伸びやか。デキは良かった。今日はゲート五分。前述した様に、出遅れた馬が多かった影響も有ったが、この馬としては出脚も有って、中段のインを確保。多少力む場面も有ったが、この馬としてはスムーズに走れていた方だろう。直線に向く迄、ジッとして、インから脚を使ったが、上位2頭が外へ行ったことで併せ馬にならず、この馬自身も馬体細化傾向が響いて末脚の持続性に甘さが有った。馬格のない馬でも勝てるケースは有るが、ないよりは有った方がいい。

ピンハイ

2人曳き。-4kg。また馬体減。見た目にそこ迄の変化はないのだが、減るのはいい傾向ではない。テンションも高かった。ゲートでアオって、出遅れ1馬身不利も、似た様な馬が多く、馬の期に任せて行かせたところ、中段位置を確保。それと同時に、スターズオンアースに押し込まれながらも、上手く内へ寄せられた。ナミュール同様、4角を回り切って内へ進路を取り、伸び出したところで狙った位置が塞がる不利。これは痛恨だったが、立て直して何時もの鬼脚でここ迄。毎回の様に、ラスト1Fだけをいえば最速クラスの脚を使っている。何処かで長打が有りそう。

プレサージュリフト

2人曳き。+8kg。もう少しトモの送りが深いとベストだが、現状のこの馬としては悪くない。馬体も横の比較で負けていない。これもゲートでアオっており、1馬身出遅れ。それでも出脚は速く、好位6番手。スターズオンアースの一歩前からの競馬。従っていい位置で流れに乗れたということになるが、いざ追ってからがジリジリ。制裁の対象ではないが、ピンハイを邪魔したにも関わらず、そのピンハイに交わされたのは頂けない。前々走の様に、もっと矯めた方がいいのか、距離が長いのか...。

アートハウス

前後肢にバンテージ。前走阪神戦は成長を感じたが、今日は逆戻り。トモが全然付いてこない。これでは話にならない。大きく外へヨレながらだったが、好発。出脚も速かったが、ニシノラブウインクとパーソナルハイが行って3番手から。道中は折り合いも付いて、スムーズに運べていたが、直線向いてからが案外。まずは外へヨレ、フラフラになっており、ラスト200mで左手前になったところで止まった。今日のところは力不足。

サークルオブライフ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。少し煩いのは毎度。胴長の造りで、馬にケチを付けるところはない。ゲート内でソワソワ。一完歩目が遅い上に、両サイドからも挟まれ、2馬身近い不利。道中の行き振りも悪く、3角過ぎからマクりに出ようとしているのだが、タテ脚がなく、直線もサッパリだった。例の発走遅延がどれだけ影響したか、真相は良く分からないところだが、力を出し切っていないことは確か。

第29回平安ステークス(GⅢ)

テーオーケインズ

+2kg。計測していない前走の沙国戦を別にすれば、デビュー以来、最高体重ということになるが、太くは見せない。前々走を考えれば頭の高さもマシで、ほぼ出来ていた。好発。斤量分だけ出脚は鈍かったが、内の馬を叩きつつ、サンライズホープに行かせて好位から。ゲートがあやふやな時も有る馬だが、今日はスムーズに運べた。4角迄インでジッとして、直線だけ外へ。この運びも完璧。ラスト200mでケイアイパープルに並び掛けると、あとは独走だった。目標とする大井戦へ、最高の勝ち方が出来たといえるだろう。最大のライバルで、同じく前哨戦を勝ったオメガパフュームより、内容も上。

ケイアイパープル

-4kg。少しでも絞れたのはいい傾向だが、まだボテッと映る。気配に乏しいのは何時ものこと。使っている割に歩様は悪くないが、ゲート五分。出脚はかなり苦しく、テーオーケインズに叩かれているのだが、立て直しつつ押して押して、そのテーオーケインズと並走する形。前走阪神戦はペース的に少しキツい形となったが、テーオーケインズを意識して乗られた馬が多く、今日はスムーズな追走が出来た。外に居た利を生かし、テーオーケインズに対してフタをするイメージで乗られ、上手く出し抜けを食らわせたが、相手の底力が数段上手だった。ただ、3着メイショウハリオも充分重賞級の馬。もう少し決め手が有るに越したことはないが、交流戦だけでなく、中央の重賞にも手が届く筈。

メイショウハリオ

前肢にバンテージ。+14kg。前走中山戦がデビュー以来、最低体重。数字上は戻った形だが、今日は少し緩い。あとは前走とほぼ一緒。ゲートはむしろ決まった方だが、中段やや後方。1F程走った辺りでケイアイパープルに前をカットされたのは少し痛かったところか。鞍上が向正面から外へ持ち出そうとしているのだが、途中でペースが落ちて馬群が固まったのが更に、痛恨。動くに動けず、直線に向いてからの追い出しとなり、この時点で上位2頭とは5馬身差と、今日はどうしようもなかった。大井戦へ賞金面が微妙になったが、出て来れるなら面白い存在。

スマッシングハーツ

前後肢にバンテージ。伸びやかな歩様。ただ、休み明けだった前走東京戦の方がスッキリして見栄えは良かった。ダートだけにこれはこれでいいのだろうが。ゲートは出たが、サンライズホープにはまるで出脚が違い、後方から。向正面からメイショウハリオの直後に居て、これも動き辛い位置に押し込まれていたが、メイショウハリオとの差が詰まらないままだった。ただ、良くいえばメイショウハリオと同じ脚を持っているということ。重賞でも展開一つの馬。

スワーヴアラミス

パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。一息は入ったが、出来ていた。踏み込みも一歩一歩に力強さが有った。これも出脚がもう一つだったが、枠の兼ね合いで、何とか中段。勝負どころからはケイアイパープルを追う形で、メイショウハリオの壁役にもなっていたが、いざ追ってからが手前が替わらず、雪崩込んだだけだった。1月の当地戦を考えると走っていない。58kgが思いの外、応えたか...。

第17回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

ソダシ

前後肢にバンテージ。例に依って歩様が力強い。前走のダート戦でも馬は互角だっただけに、限定戦なら見栄えする。ゲートは最初入れだったが、今日は好発。出脚も速く、レシステンシアとハナの譲り合いをしていた位。そんな状況なので、折り合いもスムーズ。好位のインから引っ張り切りで4角を回って来れた。直線に向いても、手応え充分。一瞬の加速感こそなかったが、ジワジワ最後迄伸びて、終わってみれば2馬身差の快勝だった。ゲートが決まったこと、ペースが落ち着いて例年程の時計勝負にならなかった点等、ハマった面は有るにせよ、これで文句なしの完全復活。今後も兎に角ゲート。

ファインルージュ

2人曳き。-10kg。すっきり見せて、キッチリ仕上げられた印象。歩様に硬さもなく、気配も悪くない。出脚に余裕は有ったが、急かすことなく中段やや前辺り。ただ、今日は道中がアンラッキーの連続。向正面半ばで外から来たレイパパレに前をカットされ、手綱を引っ張る場面が有り、更に直線に向いても、ラスト400m辺りでクリノプレミアムに寄られて躓いていた。実質はラスト300mの競馬だが、その中での2着は価値が高い。前走も少し不利が有り、ツキがない点はどうかだが、馬は確実に良くなっている。個人馬主だけに海外遠征に行くことはないだろうが、充分GⅠクラス。

レシステンシア

前後肢にバンテージ。-6kg。前走中京戦が一枚太い状態で、狙い通りに絞れて来た。手先のスナップも利いて、最近の中では一番いい。ゲートはソダシと同程度。ただ、出脚もソダシと似た様なモノ。今日は大事に乗られていた。ローザノワールが行った際に、少し力んだのも許容範囲。直線に向いても手応えは残っていたが、相手をレイパパレと見て、外へ進路を取ったのは失敗だったか。ソダシに内をスクわれ、そのレイパパレも伸びず、苦しい形になってしまった。今年に入って何かと叩かれる鞍上だが、ローザノワールを何とか捕まえていなければ、叩かれていても仕方がない騎乗。マイルはギリギリでも、馬は頑張っている。

ローザノワール

-6kg。絞って、目一杯仕上げて来た印象。毛ヅヤも冴えていた。歩様もこの馬としては悪くない方。ゲートはむしろ分が悪い方だったが、戦前からの決め打ちだった様で、押して押してハナへ。前述した様に、レシステンシアとソダシに行く気がなく、押して行ったとはいえ、1000m通過58.0秒と、少し離しての逃げだったにも関わらず、楽に行かせて貰えた。直線でレシステンシアが外へ持ち出してくれたことで更に楽。ラスト100mで左手前になって、苦しくなったが、見せ場タップリの4着だった。ただ、先行馬としては出脚がない。展開には相当の注文が付く。

ソングライン

前肢にバンテージ。多少の小走りは毎度。馬体も負けていないが、まだトモの踏み込みに力強さを欠く。微妙に出負けしたが、押して好位。ただ、内のデアリングタクトに粘られ、外からソダシやレシステンシアが来たことで、手綱を引っ張る場面。これで中段迄下げざるを得なくなった。更に3角でも躓いてガクッとなる場面。追ってからは伸びているが、最後の最後に甘くなった分の5着。ただ、不利という点ではファインルージュも似た様なモノで、ファインルージュとの力差は認めざるを得ないところ。GⅠを勝ち切るにはもう一段の成長が要る。

デアリングタクト

前後肢にバンテージ。+22kg。何時もは下見で煩い馬だが、今日は落ち着いていた。ただ、全体に馬体が緩慢。歩様のスムーズさを欠く点もマイナス。ゲートの怪しい馬だが、今日は五分。最内枠の理も有り、中段やや前辺り。ソングラインとのポジション争いに勝てたのは結果的に大きかっただろう。マイルで決め手が使える馬には敵わなかったものの、内ラチピッタリから渋太く脚を伸ばしていた。1年休んでいたことを考えれば充分過ぎる内容。だからといって適距離の牡馬相手に戦うのも簡単ではないだろうが、楽しみは残せた。

レイパパレ

下見は最後方を周回。+6kg。少しでも馬体が増えた点は好印象。マイルのメンバーだと迫力負けするのは仕方がないところ。スタート直後に落馬寸前の躓き。スピードに乗ってからは速く、直ぐに好位には取り付いていたが、4角迄で直線は失速。元々マイルが向かないが、躓いたことで余計に苦しくなった。今日は参考外。

第67回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

メイケイエール

パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。前走中京戦もそうだったが、少し細く映る。手先に柔らか味が有って、下見で落ち着いているのは毎度。ゲートを五分に出て中段の外。スタートして1F走る前から頭を上げており、4角手前迄ずっと引っ掛かっていたが、それでもラスト400m辺りから追い出されるとダイナミックなストライドで抜け出し、スカイグルーヴの追撃も振り切った。1200mからの後だっただけに、尚のこと引っ掛かったが、今日のところは他馬に迷惑を掛けない上で勝てばOKだろう。取り敢えず今秋はスプリント路線を目指しつつ、来年のヴィクトリアマイルを最終目標にするとのことだが、マイルはまだ厳しい。何処かで捨てレースを走る手も有るだろうが...。

スカイグルーヴ

2人曳き。曳き手を自分から引っ張る位の気配。馬体も充実して、歩様もしっかり。下見では抜けて良く見せた。好発も、行きたい馬に行かせて中段から。折り合いが付いていたというよりは、少しオッツケる位の行き振りだったが、位置取り的にはメイケイエールがいい目標になった。直線に向いて1馬身後方。メイケイエールが追い出したラスト400mで一瞬離された分の負けだが、最後は半馬身差迄詰めており、力は見せた2着。ヴィクトリアマイルが使えなかったのは賞金不足も有った様だが、今の行き振りならマイルの方が良かった筈で、その点で少し勿体無い印象。

タイムトゥヘヴン

前後肢にバンテージ。-10kg。数字程、細い印象はないが、これ以上は減らない方がいい。ただ、どうしてもギスギス感の出易い血統という点を考慮すれば、むしろいい方。この馬としてはゲートを出た方だが、無理はせず、例に依って後方から。前走中山戦は追走に汲々していたが、今日の方が行き振りは良かった、追い出してからも、外へ張って来たリフレイムに逡巡する場面は有ったものの、いい脚を長く使えていた。流石に東京マイルとなると厳しいだろうが、今日は高評価が出来る3着。

ワールドバローズ

下見は最後方を周回。前後肢にバンテージ。+4kg。数字の割には腹袋が目立つコロンとした体型。もうひと絞り有った方がベスト。ただ、馬に活気は有った。スタート直後から押していたが、出脚がサッパリで後方から。休み明け、ずっとマイルを使われていたことも有って、道中の行き振りもイマイチだったが、追い出してからの反応は悪くなく、右手前で走っていた際に一瞬だけ内へモタれたものの、左手前に替えてからは上位馬と同じ脚が使えていた。要は位置取りの差に泣いた格好。1回でも1400mに使っていればという内容。能力そのものはこのメンバーでも足りる。

ラウダシオン

下見では舌がずっとハミを越していた。馬体の張りもイマイチ、歩様も少し硬い。今日はいいところがない。半馬身程出負け。リフレイムに行かせて2番手から。流石に出脚は速いが、押して行った分、ちょっと序盤は引っ張り気味の追走。それでも4角を持ったままで回って、外へヨレて行くリフレイムを尻目に坂下で先頭。最後は苦しくなったが、元来がスンナリでないと脆いタイプだけに、ゲートで失敗した割には良く踏ん張った方だろう。デキさえ戻ればまだまだやれる筈。

第27回NHKマイルカップ(GⅠ)

ダノンスコーピオン

緩んだところが一切なく、完成度が高いタイプ。今日は落ち着きも有って、歩様もしっかりしていた。発馬は分がいい方で、外からジワッと行かせて中段やや前辺り。1000m通過57.4秒は最近のこのレースとしては平均的なペースだが、その割には縦長で流れてコースロスを最小限に抑えられたのが良かった。4角の手応えが抜群で、追い出しを待っても勝手に進んで行く位で、ラスト400mで追い出して、ラスト150mで先頭。今日はこの脚が速かった。ただ、抜け切った辺りで左手前になって馬が止めそうになっていた。前走阪神戦でもそういった傾向が有り、心得ていた鞍上が必死で追って保たせたが、前走でも述べた様にどうも危なっかしい。大外枠を克服した点は高く評価したいものの、古馬相手には厳しいとみるのが妥当。

マテンロウオリオン

2人曳き。胴の短いタイプだが、馬体は充実。今年のメンバーなら上位。多少煩いのも今更で、今日はこれでもマシな方。ゲートが開いた際に横を向いており、半馬身出遅れ。この鞍上らしく、腹を括って後方2番手。折り合いに課題が有り、乗り辛い方の馬だが、今日は今日で少しオッツケ気味の追走。基本的には一切の小細工なしで乗られ、4角を回り切って大外へ。馬場のド真ん中を真っ直ぐ伸びて来たが、クビ差届かず。結果的に最内枠がアダとなった形で、惜しい競馬。これでオール2連対を継続。やはり能力は持っている。次走は夢を追って一生に一度の東京戦とのことだが、距離も保つ筈で、圏内の1頭。

カワキタレブリー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-12kg。そこ迄、細い印象はない。1頭だけ抜けてチャカついていたのも何時ものこと。出遅れ1馬身不利。そのまま後方で脚を矯める形。4角を回り切ってから進路を探していたが、結局は外。マテンロウオリオンの内へ併せる形。追って一瞬のところはマテンロウオリオンの方に利が有ったが、最後は差し返しそうになっていた。2歳時にも阪神で大穴を開けていたが、長打力は秘めている。

セリフォス

2人曳き。前肢にバンテージ。今年初戦だが、満点はやれない。少し緩い印象。毛ヅヤももうひとつ。気配もピリッとしない。例に依ってゲートが微妙に悪かったが、出脚でカバーして好位。ただ、両サイドの馬が居たことと、出している分、少し掛かっていた。それでも直線は一旦抜け切ろうしていた位だったが、流石に最後は苦しくなった。1回使っていればという内容。逆にいえば、次走も東京マイルということで有力となるが、先行したいタイプの割に出遅れるのが厄介。斤量込みで、五分なら通用してもいいのだが...。

インダストリア

毛ヅヤ上々。トモも張っていて、現状のこの馬としては出来ているが、もうちょっと馬体にメリハリが欲しい。完成度で上位の馬と差が有る。出遅れたという程ではないが、相対的に外の馬がゲートを決めたことも有り、中段から。ただ、ダノンスコーピオンの直後で、位置取り的には決して悪くなかった。道中の折り合いも全く問題なく運べたが、いざ追ってからが物足りない。上位の馬とは明らかに瞬発力が違っていた。今日は完全な力負け。準オープンには使える馬だが、これだと厳しいかも。まずは鍛え直してから。

第44回新潟大賞典(GⅢ)

レッドガラン

2人曳き。前後肢にバンテージ。このメンバーだと純粋に馬のスケールで抜けている。気配も良かった。ゲートは出ているが、外枠だったことも有り、序盤は行く気なく後方から。ただ、隊列が決まった600m過ぎからペースが落ち、3角に入る前に動いて好位4番手へ。直線に向いてモズナガレボシを目標に追い出されたものの、そのモズナガレボシが中々捕まらなかったが、外からカイザーバローズが来て、根性を出して最後にグイッとひと伸び。反応が甘かったのは57.5kgを背負っていた分も有るだろうが、底力がモノを言った。ただ、ハンデや斤量の関係も有るとはいえ、速い脚がないので時計が掛かった方がいいタイプ。安定感には欠く。

カイザーバローズ

+8kg。一息入ったが、少し腹袋が目立つ程度。毛ヅヤは冴えていた。ただ、毎度のこととはいえ、もう少し歩様に力強さが欲しい。スタート直後に寄られて、ダッシュが付かず後方から。前述した様に、向正面半ばでペースが落ちて、馬群には取り付いていたが、今度は引っ掛かりそうになっており、引っ張り気味でコーナーを回って直線勝負。内外回りの合流地点辺り迄、追い出しを待てる余裕も有ったが、追い出して頭が上がっており、その分、最後の踏ん張りが利かず、レッドガランの差し返しを許した。新潟だと直線が長過ぎる。小回り向き。

ヤシャマル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。チャカつくのは何時ものこと。休み明けだけに、変に大人しいよりはこの方がいい。馬体もほぼ出来ていた。ゲートを決め、少し出して中段。向正面は外に居たが、3角で少し内へ潜って脚を矯める形。直線に向いてレッドガランの外へ持ち出し、スッと反応出来たという訳ではなかったが、ジリジリ伸びて3着確保。左回り限定で使われており、新潟2000mでも昨夏4着が有る様に、新潟でも走る。ただ、他場だともう少し距離が有った方が競馬が組み立て易い傾向も。

モズナガレボシ

前肢にバンテージ。+8kg。ヤシャマル同様、正月の中京戦以来だが、少し緩い程度。毛ヅヤが冴えて、歩様もしっかりしていた。好発も、内から主張した馬が多く、結局は中段。ただ、3角手前でレッドガランが外から進出したタイミングで、一緒に前へ。仕掛けのタイミングもレッドガランより早く、ラスト500mを切った辺りで先頭。レッドガランにも簡単には抜かせず、良く抵抗していたが、ラスト100mで甘くなった。安定して走れるタイプではないが、力は示した内容。また何処かで一発が有りそう。

ステラリア

少し小走りが入っていたのは許容範囲。横から見ると決して大きく見せないが、その分、幅が有るタイプ。ゲートは出たが、両サイドから行った馬が多く、後方に近い位置。道中は少し行きたがっていた様に見えた。それでも4角の手応えはそれなりに残っており、追い出してからも直ぐに反応しているが、激しく内にモタれており、伸びあぐねた。右回りではそんな気配はなかったが...。課題の残る一戦に。

第70回京都新聞杯(GⅡ)

アスクワイルドモア

シープスキンノーズバンド。一息入れたことが結果的に良かった様で、今日は馬体に柔軟性が有った。気配も上々。ゲートは出ているが、外から行った馬も多く、中段やや後方のイン。折り合いは問題ない馬で、スムーズには走れていた。4角で外へ持ち出した際に、些か強引過ぎてリヤドと接触。鞍上は実効2日間の騎乗停止になっていたが、結果的にこれが最大の勝因。マクってレースを造ったヴェローナシチーの直後へ出て来て、直線は併せ馬。相手は先に脚を使っており、最後は楽に競り落とした。元々渋太い馬で、最高の形に持ち込めた形。JRAレコードは翌日にアッサリ準オープンの馬に破られたものの、胸を張って東京戦へ向かえる。距離は延びた方がいい筈で、馬券圏内迄有っても。

ヴェローナシチー

前肢にバンテージ。見た目には胴長で素軽い造りだが、歩様はしっかり。水平首で気配も良かった。枠も外だったが、出脚もサッパリで後方から。当初はインへ入れようとしていた様にも見えたが、壁が有って結局は外。鞍上もそんな話をしていた様だが、流れに乗るのが得意な方ではなく、向正面で結構押しており、行き脚が付いた3角からそのままマクる形。4角でほぼマクり切って、直線入口で先頭。ラスト200mで左手前になってからも良く伸びていたが、道中で楽をしていたアスクワイルドモアに競り落とされた。ただ、文句なしに一番強い内容。これも次走東京戦とのことだが、広いコースの方が競馬はし易い筈。イチかバチか単勝だけ買ってみる手も。

ポルトグフーシュ

2人曳き。栗毛だけに、光って見栄えはするが、まだ全体に芯が入っていない印象。馬体も数字の割に重量感がない。元来が後方から行くタイプだが、ゲートが開いて直ぐ内のショウアンアディブと接触。出脚が鈍って最後方から。最後方から進めた分、道中は比較的コースロスなく回って来れたが、結局直線は大外。4角でアスクワイルドモアが外の馬を弾く展開になったことも有り、余駅に外を回されてしまった。力は見せたといえる3着。1000万から出直す形となるが、追い込み一手で確勝級とはいえないものの、準オープンでも勝ち負けに持ち込める能力は有る。

リカンカブール

2人曳き。下見は最後方を周回。+8kg。距離を考慮すれば一概にいいとはいえないが、ドッシリ見せる。ただ、数字が増えていても重い印象はない。歩様にも力感が有った。対アスクワイルドモアで、ゲートは分が悪かったが、頑張って逃げたメイショウラナキラの直後。ただ、追って瞬時に反応出来ず、ヴェローナシチーとアスクワイルドモアが抜けてから、最後にジリジリ伸びて4着浮上。とはいえ、未勝利即重賞でこれだけ走れれば上等。500万なら問題なく勝てるは筈で、もう少し力を付けて、秋の阪神戦に間に合わせたいところ。

ブラックブロッサム

-6kg。下見の外を周回して活気充分。デキ自体は良さそうだが、時折、頭が上がっており、まだ少し非力な印象が残る。ゲートを決め、外からでもジワッと先行。ただ、1〜2角で少し力んだのと、ハイペースを誘発する様な格好。壁がない外に居たことで余計に苦しくなった。直線に向いてからヴェローナシチーに抵抗出来ず、坂下では既に苦しがって内にモタれていた。新馬、500万特別勝ちで人気になっていたが、力も足りなかったか。ただ、これはこれで馬を強くする内容。一旦、放牧に出した様だが、立て直して改めて。