Sakura Archives

競馬回顧 2022年4回中京

エリザベス女王即位70年記念 第39回エプソムカップ(GⅢ)

ノースブリッジ

前肢にバンテージ。この馬としてはこれでも落ち着いていた方。コロンとした体型だが、馬体には柔軟性が有る。トーラスジェミニが好発を切り、げーとは分が悪いながらも、それに暫く食らい付いて行ったが、トーラスジェミニに引く意思がなく、1F程で諦めて好位に引く形。ただ、道中はずっと鞍上が必死で引っ張っており、剛腕で馬に我慢させた様な格好。尤も、こういう馬だからこそ、今日の様な馬場は得意とするところ。各馬が内を開けて我慢比べとなる中、最後は内にモタれながらも頑張り通した。レースの時間帯こそ晴れていたが、午後の早い時間帯にスコールが降った影響で、馬場が悪化。ローカルハンデ重賞の様な結果になった。秋迄待機して、再度、東京1800mを使う様だが、単騎で行けない限りは苦しいだろう。

ガロアクリーク

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。毛色こそ違えど、父キンシャサノキセキに良く似て来た。それに加えて、今日は歩様がスムーズなのがいい。明らかに前走中山戦以上。ゲート再審査明けだったが、その点は問題なく五分の発馬。序盤から急かすことなく、この馬の出脚で中段から。道中の折り合いは全く問題がなかった。間にトーセングランは噛んでいたが、ノースブリッジを目標に追い出し、最後迄ジワジワ差を詰めているのだが、相手も渋太く僅かに届かなかった。これも馬場悪化が味方したことは間違いないだろうが、脚部不安等が有った中で、復活のキッカケは掴めた。頭が高いので、東京よりは小回りの方が向く筈で、条件さえ合えばまだまだ稼げる。

ダーリントンホール

2人曳き。-8kg。前走中山戦が一枚重く、絞れたとみていい。少しチャカついてはいたが、歩様もスムーズ。ゲートは速い方ではなかったが、出脚でカバーして中段。ペースが大して速くなかったとはいえ、序盤は引っ張り気味の追走。ノースブリッジを前に置く形。ただ、4角の捌きが結果的に失敗。外に居たトーセングランとガロアクリークが壁になり、一瞬仕掛けが遅れた分の3着。尤も、人気を背負っていた以上、不利とはいえない範囲でも有ったか。ゲートを出て折り合いがもう少しスムーズだったら、馬場が良ければ、といった"タラレバ"は有るとしても、微妙に評価が下がる一戦。

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。元々が気負うタイプだが、今日も同様。ただ、もうちょっとドッシリ見せないと、横の比較で劣勢。ゲートは五分。行こうと思えば行ける馬だが、前走同様に全く行く気がなく、離れた最後方から。4角も最初から外を回す気はなく、直線馬群の最内、全体で馬場の4〜5分どころへ。上手くショートカットして、一旦は2着有ったかに見えたが、この馬自身が甘くなったことに加え、ノースブリッジに寄られたことも有り、4着止まり。前走の方が末脚の持続力が有った。これも良馬場の方がいいのかも。ただ、今日の脚がもう少し続くなら重賞でも充分足りる。

タイムトゥヘヴン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。今季は好調期間が長い。もっとコズむ馬だが、歩様が落ちて来ない。キビキビ歩けていた。馬体もこの馬としては大きく見せる。出脚もない馬だが、これも例に依って後方から。直線は馬群の中を狙い、ノースブリッジとダーリントンホールの後ろに居たが、ジリジリとした伸びだった。ただ、1F長い中で最後迄諦めずに走っていた点は好印象。前々走中山戦を勝ってから馬が変わった。早い段階でもう一つ、タイトルを取りたいところ。

サマースプリントシリーズ第1戦 第29回函館スプリントステークス(GⅢ)

ナムラクレア

緩んだところは一切なく、今日もキッチリ出来ていた。歩様も落ちておらず、前走阪神戦の状態を維持。ゲートは分がいい方ではなかったが、50sも利いて出脚は速く、スッと好位。外のビアンフェやレイハリアに先を越される形にはなったが、揉まれない位置迄、出て来れていた為、上手くやり過ごすことが出来た。4角手前でレイハリアがビアンフェを潰しに行ったのを目標に、こちらも強気の仕掛け。直線入口で先頭に立つと、あとは独走だった。流石にこのメンバーで50sはタダ貰いだったか。次走は中京戦迄待機とのことで、サマースプリントシリーズとその先のGⅠを2つ追い掛ける形となるが、何れもチャンス充分。

ジュビリーヘッド

遮眼革。+6kg。480kgの割には小ぢんまりと見せるタイプだが、馬体に柔軟性が有りそうなのがいい。気配も良かった。好発。出脚もソコソコ速かったが、これも一旦揉まれない位置迄出して、中段で脚を矯める形。今日はこの位置で相手をナムラクレアに絞ったのが正解。ナムラクレアとは追っての脚が違ったが、前が潰れてくれたことも有って、悠々2着は確保した。ただ、今日は展開利が有り過ぎて、能力評価は何とも言えないところ。元々が堅実なタイプで、競馬も上手い方だが、重賞だと力が足りない気もしないでもない。

タイセイアベニール

遮眼革。前肢にバンテージ。-4kg。元々良く見せる方だが、少しでも絞れたのは更にいい傾向。ただ、ちょっと今日は発汗が目立ち、イレ込み気味。ゲートは出ているが、全く行く気がなく馬群から離れた後方から。更に外を回す気もなかった様で、今日は最初からインを突く策。当然、捌きながらだったが、ブレーキを掛けることなく伸びて3着浮上。完璧に前が開いていたら2着だっただろうが、流石にそこは図々しいところ。ハマるかハマらないかは運次第だが、やはり力は持っている。

レイハリア

左だけオーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。デビュー以来、最高体重だが、元々が細身で、見た目はこれ位で丁度。好発。一瞬の出脚はビアンフェより速かったが、無理せず2番手から。道中の手応えに余裕が有った訳ではないが、4角手前からビアンフェを潰しに行く強気の競馬。近走が不振だっただけにこれはこれでいいが、今日は如何にも相手が悪かった。ナムラクレアが強過ぎて、最後は苦しくなり、差し馬の台頭を許した格好。ただ、今日は競馬を投げなかっただけでも良しとすべきところ。揉まれない外枠もいい方に出ただろうが、キッカケは掴めた。

キャプテンドレイク

前後肢にバンテージ。-6kg。重心が低く、馬をドッシリ見せるタイプ。踏み込みも深く、今日は満点。出脚はサッパリだったが、押して押して馬群には付いて行く形。4角でタイセイアベニールの1馬身前に居て、これも展開的には向いた方だが、タイセイアベニールの方が決め手が一枚上手だった。1200mで結果が出ているので、1200mを使っているが、今日のレース内容だけをいえばもう少し距離は有った方がいい。

安田伊左衛門生誕150周年記念 第72回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

ソングライン

前肢にバンテージ。-4kg。数字分だけシャープになった印象。前走より明らかにチャカついていた。ただ、少しトモが甘いのは前走同様。今日は好発。レシステンシアに叩かれ、向正面半ばでサリオスにも行かせる形にはなったが、今日は包まれずにスムーズな立ち回り。まだCコース2週目ながら意外と内目の馬場が悪く、4角を回って一番いいところに出て来れたのも大きかったが、追っての反応も俊敏。真っ直ぐに伸びてクビ差凌ぎ切った。前走に案外感も有ったのだが、結果的に内枠で出遅れたことが想像以上に応えていたか。逆にいえば、今後もアテにはし辛い。

シュネルマイスター

計測していない前走UAE戦を別にして、デビュー以来、最高体重。元々がそういう体型とはいえ、腹回りはボテッと映る。歩様も少し窮屈。ゲートは五分か、少し分が悪い程度。両サイドに速い馬が居て、中段辺り。内外前に馬が居て、かなり窮屈そうに走っていた。直線に向いても、あちこち壁だらけで、実質ラスト200mの競馬だったが、内目に進路を取りながら鋭く伸びて2着確保。一枚太い状態、苦しい展開を考えると、一番強い競馬をしている。3着のサリオスもそうだが、結果的に上位は昨年迄の実績馬。今年はこの路線のレベルが低いということなのだろう。

サリオス

-22kg。元来が数字が有る馬だけに、見た目の迫力は残っているが、中身は怪しい様にも見える。何時もは硬い位の歩様も、力強さに欠く。直ぐ内に居たレシステンシアの先行策を生かしつつ、好位の外。今日はここがベストポジションで、上手く流れに乗れた。4画を回って自然と前も開いており、追ってからも伸びているが、最後の1Fで少し甘くなった分の3着。あそこ迄行ったら、勝ちたかったところ。近況は一息の競馬が続いていたことを考えれば、復活のキッカケが掴めたともいえるが、今日の展開なら勝たないと値打ちがないところ。デキが上向けば、もう少し走れる筈だが、先々多くは望めないかも。

セリフォス

2人曳き。数字こそ前走と変わらないが、馬体は確実に締まって来た。水平首を保って、気配にも集中力が有った。レシステンシアに叩かれる枠だったことも有るが、この馬自身もげーとが微妙に悪く、中段から。普段は先行するこの馬としては、もう一列前で戦いたかったところ。直線に向いて、ソングラインの1馬身後方。それでも追ってからの脚は差し切れるかの勢いだったが、ラスト100mで左手前になって甘くなった。とはいえ、上がり3Fは32.8秒。馬は責められないところ。最大の敗因はあくまで位置取り。もう1回やれば逆転出来る筈。

ファインルージュ

この馬としては少し煩いが、前走でもキッチリ出来ており、大きく変わった雰囲気はない。歩様も変わらず悪くない。出遅れ1馬身不利。ただ、不幸中の幸いで、進路は何とか確保出来たことも有り、押して好位。ただ、今日の上がり勝負で多少なりとも行きたがったのは痛かったか。しかも、直線に向いて、眼前のダノンザキッドが外へ行った関係で、こちらは内を選択したのだが、そのダノンザキッドが再び内へモタれて来て、追い辛くなったのも痛恨だった。ソングラインが勝てるなら、この馬にも勝機は有った筈だが、今日は力を出し切れていない。

イルーシヴパンサー

2人曳き。前肢にバンテージ。一息入ったが、緩んだところは一切なく、馬体は出来ていた。ただ、後肢の出は少し甘い。これもファインルージュ同様、1馬身出遅れ。ファインルージュと違い、鞍上に行く気もなく後方から。これでも直線で馬群が捌ければまだ違ったが、エアロロノアが外の壁になってしまい、そのまま出られず終いだった。今日は参考外。

第75回農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

ヴェルトライゼンデ

2人曳き。完璧ではないが、1年半振りとしては良く出来ていた方。エビ明けだけに、歩様がスムーズだったのも何より。好発。出脚も有る筈だが、当然ながら無理せず中段のイン。休み明けとは関係なく、絶好の位置で競馬が出来た。あとは直線に向いて進路を確保するだけだったが、坂下で前が開いて、ラスト200mで先頭。抜け切って少し内にモタれ気味、かつ頭が上がっていたが、完勝だった。デキ云々の前に、結果的にこのメンバーだと力が違った印象。ただ、前述した様に、ところどころに怪しさは有る。GⅠ目標の馬ではないのは当然として、GⅢであまり過信するのも避けたいところ。

ジェラルディーナ

後肢にバンテージ。1頭だけ抜けてチャカついていたのは何時も通り。ただ、今日は数字の割に馬を大きく見せた。ゲートは出た方だが、出脚が案外で中段やや後方。外枠とはいえ、少し促したことも有って、序盤は少し行きたがっていたが、逆に3角からは少しオッツケ気味。直線に向いてからの反応もヴェルトライゼンデの方が明らかに良かったが、最後迄ジワジワ伸びて2着浮上。下見は癇性がキツいのだが、距離はマイルよりも2000m以上有った方がいい。2週後の限定戦ではなく、敢えてこちらへ使って来たが、結果的に成功。

サンレイポケット

前後肢にバンテージ。もう少し腹回りをスッキリさせてもいいかも。例に依って、歩様には伸びやかさが有ったが。前のめり気味ながら、ゲートは出ているのだが、出脚がサッパリで後方から。今日の展開でジェラルディーナの後追いというのは、如何にも分が悪い位置取り。直線はジェラルディーナの更に外へ持って行く訳に行かず、苦し紛れに内を突く形。最後はヴェルトライゼンデの抜けた後から出て来たが、ジェラルディーナにも届かず3着止まり。相手を問わず3〜4着の馬とはいえ、それにしても内容が悪い。出脚が欲しい。

ギベオン

オーストラリアンブリンカー。ちょっと煩い位でこの馬は丁度。毛ヅヤが冴えて、馬体も若い頃と遜色ない。ゲートで分が良かった訳ではないが、積極的に乗られて好位のイン。ヴェルトライゼンデの一歩前から。道中は全く問題はなく、直線に向いてからもスパッと前が開いて、理想的な形。ヴェルトライゼンデには一瞬の脚で見劣ったが、何とか4着には粘り込んだ。重賞で勝ち負けが目標の馬ではないが、このコースは強い。

キングオブドラゴン

-4kg。迫力で負けておらず、馬体はこれでいいが、妙に完歩の小さい歩様。良馬場の時計勝負だけに、もう少し大きく動けて欲しかった。出脚が速いことはないが、今日も最初から押してハナへ。ショウナンバルディに突かれてはいたが、1000m通過60.1秒は馬場状態を考えるとスロー。3〜4角中間からはオッツケオッツケだったが、そのショウナンバルディは振り切って掲示板は確保。首が使えないので、今日の様な速い上がり時計を求められるとキツい。やはり、その点ではもっと距離が有った方が楽。