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競馬回顧 2021年3回中京

第135回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

ウインキートス

+8kg。デビュー以来、最高体重だが、元々細身に見せるタイプで、馬体増は歓迎材料。ただ、毎度のことながら、ちょっと煩い。ゲートは一応五分。大外枠のトップウイナーが逃げる形となったが、この馬も出脚は速く、その番手から。大外枠が逃げるのはダービー同様で、ダービーもペースは上がらなかったが、1000m通過が63.9秒と極端に遅かった。道中は多少力む場面も有ったが、このペースでは致し方ないところ。この馬としてはまだ我慢が利いた方だろう。当然ながら、直線も皆に手応えは残っていたが、その中でも一瞬の脚はひと際目に付いた。2番手が上がり3F32.5秒で上がられては後続はお手上げという外ない。頭が高く、リズムを崩すと脆い印象も有るが、前で流れに乗れて、速い上がりが使えるという点では現代競馬に向いている。

ヒートオンビート

2人曳き。-4kg。ちょっと細いだろうが、元々こんな感じで決め手を生かすタイプ。馬に活気が有ったのが何より。これもゲートは五分程度だが、出脚はソコソコ有って好位から。まず内へ寄せ、アドマイヤアルバを壁にする形で、折り合い重視で乗られた。ただ、そのアドマイヤアルバに前を追い掛ける気がなく、向正面では5馬身以上も離れる場面が有り、3〜4角で大分差は詰まったが、その分、前の馬に息が入り、この馬も32.4秒で上がっていても、前のウインキートスも同じ脚を使っていた。今日はこれで仕方がないところ。これもちょっと頭は高いが、重賞でも充分足りる。

アドマイヤアルバ

遮眼革。下見は最後方を周回。-12kg。まだ全体に緩く映る。歩様も完歩が小さく、パッとしない。好発。出脚はこの距離でも厳しそうだが、今日は枠が良かったことも有り、積極的に乗られて押して3番手。前述した様に、この位置だけ確保してからあとはガッチリ抑えて只管脚を矯める競馬。結果的に一時は大分前と水が開いたが、コーナーで少し差を詰め、軽量も生かして何とか3着に粘り込んだ。ラスト150mで左手前になっていたものの、それでも脚勢は落ちていなかった。下見は感心しなかったが、絞れた分なのか、馬に気力が有ったのが何より。これで馬体がシャキッとすればまだやれそう。

グロンディオーズ

前肢にバンテージ。一息入ったが、むしろ馬がシャキッとした印象。トモ高過ぎるきらいは有るが、馬体に緩んだところがなく、歩様もキビキビ。枠の影響も有るが、スピードに乗る迄のフォームがイマイチ重心が高く、中段から。道中も四方に馬が居て、動くに動けない展開。直線向いてラスト400m辺りで馬群がバラけ出してからはいい脚を使っているが、今日は序盤の位置取りが全て。総合力ではそこ迄差はないだろうが、出脚と瞬発力はもっと欲しいところ。

ゴールドギア

前肢にバンテージ。-4kg。ギリギリ目一杯造って来た印象。しっかり踏めていた点も何より。毛ヅヤも良かった。毎度のこととはいえ、一完歩目が遅く、後方から。ただ、外枠の後方だったことも有り、この動き辛いスローの中でも馬群の外を上がって行けた。3角で中段、4角で好位。その分、最後は甘くなったが、動いていなければ掲示板もなかっただろう。昨年と同じ5着ながら、今年の方が内容は有る。その内、重賞でも馬券になりそう。

第88回東京優駿(GⅠ)

シャフリヤール

2人曳き。-4kg。コンパクトに纏まっており、前走阪神戦と大きくは変わらず。歩様がキビキビとしていた点も前走同様。ゲート五分。出脚は速そうだったが、外から叩かれる展開は戦前から予想されており、無理せず中段から。1角で少しゴチャついて、エキサイトする場面も有ったが、2角でスムーズに。しかも、上手く手綱をコントロールして、どさくさ紛れにエフフォーリアの直後へ持って来れたのも大きかった。直線は外へ持ち出そうとしていたが、壁が有って内目へ切り替える形。このロスはそれなりに痛かった筈だが、ラスト200mで左手前になってからのキレ味が一枚違っていた。前走後に触れた様に本質的に2400mは長いだろうが、今年はマイラータイプが多い割に、道中が出入りの激しい展開となり、しっかり脚を矯められたのが大きかった。文句なしの好騎乗。

エフフォーリア

シープスキンノーズバンド。+6kg。数字分だけ少し腹回りが余裕残しにも見えるが、落ち着いていたのが何より。歩様も一歩一歩が力強い。好発。最内枠で人気を背負って、あまり位置取りを悪くしたくないところで、少し出して好位のイン。ただ、バスラットレオンが大外から逃げた割にペースを直ぐに落として、1〜2角は少し掛かっていた。向正面に入っても、外からのプレッシャーが有り、ところどころで少し手綱を引っ張る場面。それでも直線向いて一瞬の脚で馬群を捌いて、ラスト300mで先頭。少し外へモタれてはいたが、一旦は完全に抜け切る場面迄有った。ただ、道中で少しリズムを欠いた分、最後に甘くなり、シャフリヤールの強襲を許し、2着止まり。馬は明らかに一番強かったが、今日は鞍上の若さが出た格好。1角の捌き、追い出しのタイミング、直線で外へモタれた件、何かがひとつスムーズに走れていれば勝っていた。

ステラヴェローチェ

2人曳き。前後肢にバンテージ。-12kg。前走中山戦もしっかり造って有った様に見えたが、更に目一杯絞って来た印象。歩様も落ちていない。決め手はともかく、真っ直ぐ走れていた点も好印象。ゲートが微妙に悪く、タイトルホルダーに叩かれる展開だったことも有り、後方から。スローを嫌って向正面で動いた馬も多かったが、道中はジッと我慢して直線勝負。前の馬が最後に甘くなったことも有ったが、最後の最後に鬼脚を使って3着浮上。前走中山戦でインを突いて、今日は外から。ピッチ走法だけに距離に限界は有りそうだが、馬場の良否も問わず、中々勝負強い。

グレートマジシャン

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬のスケールという点ではこのメンバーでも最上位クラス。ただ、まだ歩様が甘く、明らかに未完成。ゲートが微妙に悪かったことも有るが、出脚もなく後方から。ペースが上がらない中で、道中は馬群の外に居た関係で少し掛かり気味。ただ、これより先に3角手前で動いてくれた馬が居て、これがいい壁になった。直線は外へ持ち出し、ジリジリ最後迄伸びていた。比較的、真っ直ぐ走れていた点は評価出来るが、現状だと瞬発力がない。先々は走って来る筈だが、取り敢えずは成長待ち。

サトノレイナス

2人曳き。下見は最後方を周回。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。ディープインパクト産駒らしく皮膚を薄く見せて、今年のメンバーなら馬は負けていない。バスラットレオンには叩かれたが、今日は一応ゲート五分といえる範疇で中段から。1角で引っ掛かり、2角辺りで一瞬だけ落ち着いたものの、向正面で行きたがってしまい、3角では先団グループ。少なくともラスト400m迄は頑張っていたが、そこからは外へモタれて苦しくなってしまった。それでも何とか掲示板は確保。今日はバタッと行かなかっただけでも充分評価出来る内容。肝心なところで外枠が当たる不運さは如何ともし難いモノは有るが、牝馬では世代最上位なのは間違いない。

第4回葵ステークス(重賞)

レイハリア

左だけオーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。淡々とは歩いていたが、下見は外を周回して気配良好。馬も数字の割にはトモが張って良く出来ていた。好発。その割に出脚が抜群に速いという訳でもなさそうだが、押してハナへ。ただ、更にその上をテイエムトッキュウが競り掛けに来て、1F程走ったところで引いて、そこからは2番手で折り合いを付ける形。ただ、そのテイエムトッキュウがしっかり行き切ってくれたことで競馬は組み立て易くなった。あとは直線で交わすタイミングだけ。ラスト200mで抜け出し、最後はギリギリだったが、何とか振り切った。結果は辛勝だが、トビが大きく回転数が少ないタイプで、距離はもう少し有ってもいいかも。過去の勝ち馬はゴールドクイーン、ディアンドルと古馬になって別路線で活躍する馬も多いが、この馬も例外ではないかも。

ヨカヨカ

-10kg。馬体減は歓迎材料ではないが、一応まだギリギリといえる範疇。イレ込みも何時もと同程度で収まっていた。ゲート内の駐立が悪く、出遅れ1馬身不利。それでも出脚は速く、直ぐに中段には取り付いていた。コーナーの行き振りも良く、4角は少し待てる余裕も有ったが、直線に向いて眼前のオールアットワンスが外へヨレ、立て直す場面が有ったのが痛恨。ブレーキを掛けたという程ではなかったによ、着差が着差だけに勝てたレースだった。九州産だけに小倉2歳ステークスではなく、ひまわり賞を選択せざるを得なかった点も含めて、重賞に縁がない気もしないでもないが、この世代のスプリント能力では一枚上。

オールアットワンス

+12kg。数字は回復分。見た目にも緩い印象はなく、キッチリ出来ていた。ただ、今日は歩様に硬さが有る。ゲート五分。この馬の出脚で好位。あまり競馬の上手い馬ではなく、道中は少し引っ張り気味の追走。基本的にはレイハリアの後を追う形で、展開としては悪くなかったが、いざ追ってからフラフラ。最後は微妙に甘くなった。道中で力むのはデビュー当時からで、これでもまだマシになった方。現状では自己条件の準オープンでも厳しい印象も有るが、道中のロスがなくなれば通用しても。

ファルヴォーレ

2人曳き。前後肢にバンテージ。鶴首で気合乗り充分。450kgしかないが、全体にドッシリと見せる。ゲートは出ているが、今日は全く行く気がなく最後方から。最初からの決め打ちだった様で、道中は死んだ振りで、直線も外を回さず、馬群を割る形。これもまだ真っ直ぐ走れていないが、ピッチ走法で一瞬の脚が有ったのと、今日は外がキツい展開だった分の4着。前走、今回とメンバー中最速の上がりを使っており、形が出来たのは良かったが、馬券的にはアテにし辛い。

モントライゼ

パシュファイヤー。このメンバーに入れば馬は一枚上。骨格から重厚感が有った。馬装の割に落ち着いている点も好印象。スタート直後にダディーズビビッドに寄られ、更に1F程走ったところでそのダディーズビビッドとカンタベリーマッハとの間でパッチンを食らい、後方に近い位置。これだけでも結構なロスだが、直線も中々進路がなく、本当だったら通らない様な内ラチスレスレのところへ無理やり突っ込んでここ迄。今日は明らかに消化不良。ただ、スプリント戦でこの手の不利は良く有ることで、その位置に居たのも悪いともいえる。経験の問題も有るが、現状だと1200mは少し短い。

第82回優駿牝馬(GⅠ)

ユーバーレーベン

前肢にバンテージ。+8kg。数字は回復分。ドッシリと見せてくれたのが何より。歩様に硬さもなく、気配も上々。文句なしの状態。今日はゲート五分。それでも、外枠からソダシマークで仕掛けて行った馬が多かった影響も有って出脚が苦しく、少し押しても中段やや後方から。前走の轍を踏まない様に、向正面で何時でも動ける外へ。3角過ぎからジワッと進出、4角でソダシの真横。直線向いてからの反応も今日は抜群だった。ラスト150mで先頭。そこから左手前になって内へモタれていたが、他馬に追い上げる脚はなく、完勝だった。今迄は競馬で下手を打つことが多かったが、ベストの距離でやっとスムーズな競馬が出来た。今後も2200m以上なら有望だが、今日はソコソコ流れた割に2分24秒5と少し時計が掛かった感も。時計のジンクスとしては、初めて勝ち時計がハロン平均12秒を切った2012年ジェンティルドンナ以降、アーモンドアイ、ラヴズオンリーユーとハロン平均12秒を切って勝たないと、古馬になってGⅠを勝てていない。GⅡを勝つのがやっとというケースが大半。3歳秋を含めても昨年のデアリングタクトが有るのみ。逆にそれ以外の年で負けた馬の中に、リスグラシュー、ディアドラ等、大化けした馬も居たのだが、この馬は果たして...。

アカイトリノムスメ

+6kg。減るよりはマシだが、もう10kg増えて丁度。血統馬らしく馬体は垢抜けているのだが、折角の馬が晴れの舞台でこの状態は勿体ない。チャカつくのも個性といえばそれ迄だが、もう少し落ち着いて欲しい。出脚は有る馬で、ジワッと好位。道中はソダシの真後ろから。ソダシがキツい競馬になった様に、この馬も外からプレッシャーを受けて序盤は少し力んでいた。向正面に入ってやっと折り合いが付き、あとはソダシに付いて行く形。直線は少し進路を探すのに苦労したが、ソダシの内から。最後は手前が替わって苦しくなったが、何とか2着は死守した。名門厩舎にしては珍しく調整に失敗した感も。結果的に新馬を落としたのが後手後手に回った印象。逆にいえば秋以降、大化けも期待出来る。

ハギノピリナ

今日でも少し細身に映る位で、数字が減らなかったのが何より。ただ、まだ歩様は甘い。トモが付いて来ない。前走阪神戦よりはゲートを出たが、それでも他馬とは半馬身出遅れ。出脚もなく、そのまま後方から。前走の様に途中から動くどころか、今日は3角手前で手が動いていた。コーナーも外を回ったにせよ、付いて行くのがやっとだったが、ラスト250mで左手前になってからも渋太く伸び続けて惜しい3着。ラスト50mが保たなかった。エンジンの掛かりが遅いとのことで、これでもコーナーではそこ迄脚は使っていない様だが、兎に角渋い。ただ、馬体が成長途上でレースが雑。今日はハマったが、人気を背負った時は微妙。

タガノパッション

2人曳き。時々、舌がハミを越していたが、この大舞台で落ち着いていたとみたい。馬体は数字通りのコロンとした体型だが、馬は張っていた。歩様も悪くない。内へヨレ気味に出て、出脚が鈍り後方から。コーナーで有る程度動いたユーバーレーベンやハギノピリナと違い、こちらは直線に向いてから進路を探す形。ユーバーレーベンの抜けて来たところを後追いする形で伸びて来た。これも展開がハマった感は有るのだが、3月にデビューして4月に未勝利脱出、今月に入って1着条件のトライアルを勝って来た経歴を考えると、中々勝負強い。限定戦で息の長い馬になりそう。

アールドヴィーヴル

前後肢にバンテージ。例に依って品の有る馬体だが、これでは如何にも細い。歩様に硬さがなく、ギスギス感がなかったのはせめてもの救いだが...。ゲートは微妙に後手。出脚もなさそうで後方から。1角辺りは少し行きたがっていた様にも見えたが、バラけた位置だったことも有り、その後はリラックスして走れていた。3〜4角中間からユーバーレーベンを意識しつつ進出。暫く食らい付いていたが、ラスト200m位から甘くなった。阪神戦、今回と何とか掲示板。素質は有るだろうが、これももう少しいい状態で出走したかった。

ソダシ

前後肢にバンテージ。数字通り、馬体は前走阪神戦とほぼ一緒。ただ、距離を意識して造ったか、明らかに大人しくなっていた。好発。控えると何処迄後ろになるか分からず、この馬の出脚で行かせて好位。ただ、外からステラリアに目の敵にされ、結構キツく締めて来られ、2角では手綱をかなり引っ張る場面。この時点迄でも結構力んでいたが、向正面に入っても外からストライプに来られて連られそうになる場面。直線向いて暫くは脚が使えていたが、ラスト300mで左手前になって苦しくなった。レース後は鞍上と調教師で敗因の擦り付け合いになっていたが、一番人気の宿命とはいえ、もうちょっと鞍上に工夫が欲しかったところ。

第28回平安ステークス(GⅢ)

オーヴェルニュ

前後肢にバンテージ。+14kg。一息入ったが、数字は回復分。正月の当地戦と比較して-2kgとほぼ出来ていた。ちょっと小走り入っていたが、これも何時ものこと。出脚は速く、内の馬を一瞬で叩きつつ、行きたい馬に行かせて前から4番手辺り。逃げたアメリカンシードがハイペースで飛ばし、他の好位勢が3角から手応えが怪しくなって来た中で、この馬だけが持ったままで進出。直線は登坂力でケリを付け、あとは独走だった。距離の1900m、近況の58kgと、初物が2つ有ったが、6馬身差は文句なし。これで当初はプランになかった大井戦を視野に入れるとのことだが、あとは馬体の維持。前走東京戦は間隔が詰まっての東上で馬体減。当時と悪条件が被るところ。

アメリカンシード

馬自体は間違いなく最上位。これでも前走中山戦と比較すればまだマシになったが、下見で煩いのは気になるところ。今日は好発。前走から砂を被るとマズそうで、最初からの決め打ちでハナへ。大外枠から頑張って行った分、1000m通過59.1秒とハイペース。道中は2番手以下に2,3馬身のリードを取り、単騎で行った分、このペースでも息は入っただろうが、直線向いて坂を上り切る脚がなく、オーヴェルニュに捕まって2着止まり。それでも基準タイムは超えており、地力は示した2着。ただ、今日はゲートが開いた際に、外へヨレ気味。スピードに乗る迄、頭が高いのも気になった。そもそも大外枠から無理矢理ハナへ行かないと行けない段階で弱点を晒してしまっている感が有る。

マルシュロレーヌ

前後肢にバンテージ。+15kg。もう少し絞ってもいいだろうが、前走川崎戦が-11kgで、ほぼ回復分。淡々と歩けていた。元々積極的に行くタイプではないが、五分の発馬から急かさず中段。外には馬を置かず、前だけに置いて折り合いを付ける形。砂は被ったが、特に気にしている様子はなかった。早目に動いてくれたロードブレスを目標に、直線は外へ持ち出し、ジリジリ伸びていたが、アメリカンシードを捕まえる迄には至らず3着止まり。中央の牡馬相手にこれだけ走れればそれなりの評価が必要だが、今日の展開だと2着が欲しかったところ。今日は何とか五分に出たが、ゲートで横を向く場面が有り、危なっかしさも残る。

アルドーレ

オーストラリアンブリンカー。元々眼の大きい馬で、気配は良く見せるタイプだが、暖かくなって毛ヅヤも良化。歩様もしっかりしていた。好発も、例に依って全く行く気なく後方。馬群からも4〜5馬身離れての追走。道中は勿論、インを回して、直線だけ大外へ。無駄に外へ持ち出した感も有ったが、首を下げて重心の低い走りでここ迄。最初から勝つ気はなかった筈で、前走阪神戦同様、掲示板確保で御の字だろう。

スワーヴアラミス

前後肢にバンテージ。-14kg。数字分だけ腹回りがスッキリした印象。ただ、今日でギリギリ。それでも、歩様に硬さがなかったのが何より。アメリカンシードにはアッサリ叩かれたが、只管無理矢理押して3番手から。出脚はサッパリに近いが、外枠故に立て直しが利いた。道中も結構押しており、4角も追走に汲々としていたが、何とか掲示板は確保。昨年に重賞を買った際はここ迄ズブくなかった筈だが、昨秋からヒドくなっている。絞っても機動力が上向かなかったのは陣営にとってもショックだっただろう。今後は調整が鍵に。

第16回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

グランアレグリア

2人曳き。毛ヅヤを含めて、馬体に問題はなさそう。手先も軽かったが、何時もよりは少し煩かった。今に始まったことではないが、ゲートは若干後手。そのまま急かさず中段やや後方から。前走阪神戦から条件が変わったが、道中も全く問題はなかった。直線に向いて自然と外へ持ち出し、持ったままで坂を上り切り、この段階で鞍上は勝利を確信しただろう。あとは突き放す一方。終わってみれば最後は2着に4馬身差で、流石の強さだった。ただ、マトモに走れるかどうかが常に焦点の馬。結果は別にして、阪神戦が使えた辺りは3歳時と比べれば体質は大分しっかりして来た証ともいえるが、危なっかしい面は常に残る。

ランブリングアレー

2人曳き。-8kg。前走中山戦はスカッと見せたといえる範疇だったが、今日はギリギリに映った。テンションもギリギリ。ゲートは五分も、マイルに実績がない様に出脚が苦しく、後方に近い位置。ただ、道中はグランアレグリアをマークする格好になり、結果的にいい形になったか。直線は内目に出て来たが、ここでも結局グランアレグリアが抜けて来た位置から。1000m通過が57.6秒と、現代競馬としては少し遅い流れだったが、午前中に雨が降ってパンパンの良馬場ではなかったことと、グランアレグリアがブッちぎる展開が向いて2着浮上。2〜5着はマイルより少し長い距離でも頑張っている馬で、追っ掛けバテしないスタミナが生きた。今日だけでマイルの適性を論ずるのは早計だが、1800〜2200mなら今後も楽しみ。

マジックキャッスル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+4kg。馬体、歩様と見た目には問題ないが、もっと増えて出て来て欲しかった。例に依ってゲートと出脚が怪しく、押して何とか中段。道中の折り合いは全く問題ない馬で、最内枠を生かしたセコい競馬は出来た。ただ、直線に向いて狭いところでもコジ開けて来る何時もの反応ではなかったか。ジリジリとは来ているが、3着がやっとだった。やはり前走阪神戦の馬体減が応えていそう。輸送のダメージが大きいタイプかも。

ディアンドル

2人曳き。左だけオーストラリアンブリンカー。-6kg。前走新潟戦も馬は目立っていたが、今日も迫力充分。ただ、ちょっと歩様は落ちたかも。スマイルカナやレシステンシア等、マイルの先行馬には出脚が厳しかったが、その辺りの数頭を除いた好位から。元々力み気味で走るタイプだが、新潟1800mの後でも少し力んでいた様に見えた。それでも意外と渋太いのは新潟戦同様。グランアレグリアと並走になったラスト300m辺りで左手前になってフラフラだったが、際どく掲示板には残した。気で走るタイプで、この後一息入れてどうかが微妙だが、状態さえ維持出来れば展望の開ける内容。

シゲルピンクダイヤ

前後肢にバンテージ。イラついている様子もなく、今日も落ち着いていたのが何より。限定戦なら馬も目立つ方。出遅れ1馬身不利も、意外と出脚が速く、直ぐにリカバーが利いて、3角の時点で好位に取り付いていた。道中の折り合いも全く問題はなかったが、それでも4角の反応が他馬と比較してイマイチ。前はスムーズに開いたが、上位馬には伸び負けした印象。見た目には上手く誤魔化していたが、やはりゲートは五分に出るに越したことはない。

レシステンシア

前後肢にバンテージ。一歩一歩が力強く、馬体も充実。集中して歩けていた点も好印象。ケチの付けるところがない。鞍上も枠番が決まった時点から想定はしていただろうが、スマイルカナに行って貰っての好位から。序盤こそ多少気負っていた様に見えたが、3角手前ではスムーズに折り合えており、この馬としては流れに乗れた方だろう。追ってからの反応も良く、坂を上り切った辺りで先頭に立ったが、そこからの脚が続かなかった。ちょっと距離が長い様な内容。

第66回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

ラウダシオン

時々小走りが入っていたのは何時ものこと。これでも大人しい方。歩様もしっかりしており、力は出せる状態。ゲート五分。直ぐ内のビオグラフィーを煽ってハナへ行かせつつ、自分は好位から。道中は壁がなかったとはいえ、少し力んでいた様に見えたが、ビオグラフィーとは数馬身離れる場面も有り、何とか我慢は利いていたか。あまり早目に抜け出すと宜しくないとのことで、直線は一気に追わず、ジワジワ脚を使ってラスト100mで先頭。ただ、そこからは内にモタれ気味で、最後はトゥラヴェスーラに猛追されクビ差。正攻法で勝っただけにそれなりの評価は必要だが、今日は条件が全て揃っていた感も強い。どうも危なっかしい。ちょっとのことで何処にも居ない危険が高く、他場では手が出し辛い。

トゥラヴェスーラ

-6kg。減った分、馬体がシャープになった印象。キビキビ歩けていた点も好印象。ただ、良し悪しは別にして、下見は舌がハミを越していた。ゲートは五分。1200mで走っていた馬だけに、出脚も悪くない筈だが、距離を意識して折り合い重視で乗られ、後方からジックリと。4角を回り切ってから外へ持ち出し、ラスト150mで左手前にはなったが、そこからも伸び続けて最後は惜しいクビ差。一発を狙った馬と正攻法の馬とでは能力評価を同等に扱うことは出来ないが、1頭脚が違っていたこともまた確か。新境地を切り開いたといえそう。また、鞍上も先週のサンレイポケットといい乗れている感が有る。

カイザーミノル

遮眼革。煩いのは何時ものことだが、今日はそれにしてもチャカついていた。とはいえ、直ぐに細く映る馬で、輸送が有って数字が減らなかったのは何より。出脚がメチャメチャ速いという訳ではなさそうだが、少し押して好位。300m程走った地点で、前のラウダシオンが内へ寄せて来て、思い切り手綱を引っ張る場面。下見でイレ込んでいただけに尚のこと宜しくない形だったが、意外と我慢して走れていた。あとは只管ラウダシオンマーク。坂を上り切った辺りで左手前になり、頭も上がり掛けて苦しくなっていたが、何とか3着に粘り込んだ。今年から遮眼革を付けており、これで4戦目だが、全て重賞で掲示板。中々渋太い。理想を言えば何処かで賞金を加算したいところ。

ミッキーブリランテ

-6kg。寸の詰まった重戦車の様な造り。つまりはどうしても太く見せるタイプで、少しでも絞れたのはいい傾向。歩様も悪くない。例に依って今日もゲートは怪しいが、何とか中段。これもカイザーミノルが手綱を引っ張った際に、右後方に居たこの馬も手綱を引っ張る場面が有ったが、何とか我慢して走れていた。直線もキレ味という点では他馬に分が有ったが、最後迄渋太く伸びていた。もうワンパンチ欲しいのはヤマヤマだが、重賞にも大分慣れて来た印象。あとは兎に角ゲート。

ビオグラフィー

遮眼革。-10kg。トモの丸みは残しており、能力発揮に支障はなかった筈だが、少し腹が巻き気味。それでも毛ヅヤと歩様の力強さは目立った。戦前から行ければ行きたかったとのことだが、ラウダシオンに叩かれるよりはと少し押してハナへ。ただ、そのラウダシオンがゆっくり構えてくれた割に1000m通過56.5秒。4角の雰囲気は一生懸命走り過ぎていた様にも見えたが、その分最後に甘くなったか。もうあと0.5秒、我慢が利いていたら馬券圏内有っただろう。それでも初重賞挑戦、しかもGⅡでこれだけやれれば上等。1200mなら足りる筈で、サマースプリントシリーズを狙ってみても面白いかも。

第26回NHKマイルカップ(GⅠ)

シュネルマイスター

腹回りがボテッと映るのは何時ものことで体型。ただ、今日は前走中山戦と比較すると少し大人しい。ゲートは微妙に後手。先行馬の一角だったバスラットレオンが落馬して消え、前に居た組が勘違いしたか、序盤からこのレースにしてはペースが流れ、この馬自身も2000mの後で追走に汲々。直線は外へ持ち出し、ソングラインを目標にしての追い出し。エンジンの掛かりは遅かったが、ジワジワ最後迄伸びてハナ差捕まえた。外国産馬が勝つのがクロフネ以来、20年振りとのことだが、この馬自身も少し古臭いタイプ。今日の内容にケチを付けるところはないが、逆にいえば初代のタイキフォーチュン等、その後が案外というパターンにハマらねばいいが...。

ソングライン

前肢にバンテージ。もうちょっとキビキビ歩いて欲しいところだが、前走阪神戦より馬体に張りが出て、毛ヅヤも良くなった。馬体もそこ迄ヒケは取らない。これもゲートが微妙に怪しかったが、出脚でカバーしつつ上手く立て直して中段。ただ、3角過ぎに外へ張ろうとした対ムトゥヘヴンと接触。これ自体はほぼノーダメージだったが、馬が怒って一瞬行きたがる場面。また、前に置いていたグレナディアガーズが行きたがって、4角で好位、ラスト200mで先頭に立たされたのはちょっと早かった。最後は内にモタれて苦しくなったが、ハナ差だけに何か少しでも違っていたら勝っていただろう。今年は明らかに牝馬の方が迫力有るレースが多いが、この馬でこの競馬なら明らかにレベルは上。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。毛ヅヤ上々。馬体は悪くなく、デキに問題はないだろうが、歩様がブレるのが微妙。出脚は有る馬だが、行きたい馬に行かせて好位から。ただ、最初からの決め打ちだったとのことで、馬場のいい外へ持ち出したら行きたがってしまい、3角手前の時点で前から6番手辺りだったのが直線入口でほぼ先頭。流石に早過ぎた。力で踏ん張った3着。ただ、前走中京戦もそうだが、どうも早目に動き過ぎる嫌いが有る。秋はスプリント転向の可能性も有るとのことだが、フランケル産駒の悪いところが出て来た状況だけに、中々難しい面も。

リッケンバッカー

今日は少し重い様な気もしないでもないが、筋肉の塊の様な馬。それで居て硬さもなく、馬は目立つ。今日はスタート直後に外へヨレながら出て、出脚が鈍り、後方から。内目の芝は結構剥がれているが、最初から内ラチへ寄せ、4角を回り切ってから外へ。ソングラインの真後ろからジリジリ最後迄伸びていた。道中の行き振りから、ここ迄の時計勝負は向いていない気もするが、それでも相手なりに対応出来るのは柔軟性が有るからこそ。前走阪神戦で狭いところを割って来た様に勝負根性も有り、今後も楽しみ。

ロードマックス

良し悪しは別にして、舌がハミを越していた。馬体は446kgの馬ということを考えればそれなりに出来ている。ゲートはアオり気味に出て、後方に近い位置。ただ、今日はペースが速く、シュネルマイスターの直後なら悪い位置ではなかっただろう。ただ、シュネルマイスターの追走が怪しい以上にこの馬も手応えがもう一つ。馬券圏内は別にしても、リッケンバッカーには先着したかったところ。リッケンバッカー同様、夏以降は準オープンということになるが、ちょっと厳しいかも。

第43回新潟大賞典(GⅢ)

サンレイポケット

2人曳き。-8kg。無駄な肉がなくなり、狙い通り絞れて来た。歩様もキビキビしており、今日は下見から違った。ゲートは五分に出たが、行く気なく中段やや後方から。スタート直後は外へ持ち出そうとしていたが、直ぐに諦めて内ラチ沿いへ。道中はインがガラ空きだったことも有り、スムーズに捌いて直線は可能な限り外へ持ち出して接戦を制した。左回り、道悪と条件が揃っていたことも有ったが、今日はそれ以上に内枠を生かしたギャンブルがハマった印象。向正面、直線は内ラチ沿いがヒドいのだが、外回りへ入るとレース数が少ない分だけ馬場の荒れ方がマシ。この分がなかったら捕まっていたかも。

ポタジェ

前後肢にバンテージ。元々は貧相な馬だが、大分マシになって来た。毛ヅヤも冴えて、単純にデキ自体も良さそう。この馬の出脚でジワッと好位。外に出せないと見るや否や、ボッケリーニを壁にして、一段下げる形。競馬は上手いタイプで、スムーズに運べた。直線は馬場が悪い関係で、各馬がフラフラだったが、馬場の3〜5分どころで大接戦。何とか外の馬はギリギリ捕まえたが、内でイチかバチかに賭けたサンレイポケットにはクビ差捕まってしまった。同次元で闘っていた馬にはしっかり勝っており、例に依って勝負強い。道悪をこなした点もパワー強化の証とみていい。

サトノソルタス

遮眼革。500kgを超える馬の割には小ぢんまりした造り。逆にいえば緩んだところはない。踏み込みも悪くない。ゲートはポコンと出た様な格好だったが、外枠だけに立て直しが利いて中段から。壁がなかったことも有るが、あまり鞍上にもあまり我慢する気はなかった様で、3角で好位。早目に行ったことでコーナーで無駄に外を通らされずに済んだことは良かったが、直線でトーセンスーリヤがかなり外に張って来たのが痛かった。その分、内の馬に進路を与えてしまい、クビ+クビ差の3着。競馬そのものは強い内容。前走中京戦からそんな印象も有ったが、少し馬が渋くなっているので、早目の競馬は合っている。

トーセンスーリヤ

この馬としては集中して歩けていた。胴長の造りで、相変わらず馬は目立つ。しっかり踏めていた点も何より。休み明けを2回叩いて、最初からここが目標だっただろうが、狙い通り良くなった。出脚には余裕が有り、ジワッと3番手。基本的には正攻法で乗られ、直線は思い切り外へ。内にモタれながらもジリジリ伸びているが、良馬場だった昨年と違い、馬場が悪かった分、最後に甘くなった。新潟自体はやはり得意。

ボッケリーニ

今日は気配に乏しく、何となくイマイチ。馬体の張りが悪い訳ではないが、毛ヅヤも冴えず、メンタル面で怪しかった。ゲート五分に出て、出たなりで好位。トーセンスーリヤの直後から。道中はスムーズに運べた。トーセンスーリヤが外へ行ってくれたお陰で進路も出来、直線半ば迄は先頭争いに加わっていたが、ラスト150m辺りから甘くなった。得意の内枠を落としたのは痛いが、今日はデキがなかったと見たい。立て直して改めて。

第69回京都新聞杯(GⅡ)

レッドジェネシス

馬体に強調点はないが、良くいえばバランスの取れた造り。ただ、歩様も含めて、柔軟性が有りそう。スタート直後に躓きそうになったが、何とか五分の発馬。それでも前走阪神戦同様に、序盤は行く気はなく、後方に近い位置。直ぐに内ラチに寄せていた。3角過ぎから徐々に進出、4角で中段。それでも直線入口では突き放しにかかったルペルカーリアとは4〜5馬身離れていたが、少し内にモタれながらも最後迄止まることなく抜け切った。ディープインパクト産駒にしてはいい脚を長く使うタイプ。距離延長は歓迎で東京も苦にしないだろうが、ゲートが怪しい点がフルゲートになった際にどうか。今日は外枠が結果的にいい方に出た感も強い。

ルペルカーリア

このメンバーなら馬は一枚上。この血統は大きいだけで素質が有ると判断出来る。ただ、現状だと重厚感が少し足りないのと、まだ歩様が甘い。好発。出脚も速い馬だが、ブレークアップが主張して一旦は2番手。しかし、決勝線辺りで外へ持ち出そうとしていたワイドエンペラーと接触。これで馬がムキになってしまい、ならばと1角でハナへ。しかし、そこからは行きたがることもなく、マイペースで運べた。直線向いて突き放す脚も有ったが、ただ内にモタれたというよりはラチにへばりついてしまった。着差が少し有っただけにマトモでもやられていた可能性は高いが、もうちょっと頑張れただろう。これで放牧に出したそうだが、現状GⅠp;で通用するとは思えず、先々を考えれば仕方がないところ。成長して秋に改めて。

マカオンドール

前後肢にバンテージ。淡々と歩けていた。馬体も小ぢんまりと纏まって、距離が保ちそう印象。 歩様も悪くない。ゲートをポコンと出ただけでなく、スタート直後に外のゲヴィナーと接触と、二重のアクシデントが有り、出脚が付かず後方から。道中の折り合いは付いていた。3角手前からレッドジェネシスに並び掛けて行こうとしたが、レッドジェネシスも内を捌いて進出。結果的に後追いの形となり、その差が最後迄詰まらなかった。このメンバーでも力量差はないだろうが、今日はゲートの失敗が最後迄響いた印象。1000万から出直す形になるが、楽勝級だろう。

トーホウバロン

2人曳き。前後肢にバンテージ。少しテンション高目。寸が詰まったマイラー体型。現状は手先だけで歩いている状態。直ぐ内の2頭が先行してくれたことで、スッと内に潜って中段から。4角迄は全く問題はなかった。基本的には内ラチ沿いを通り、直線もインを狙ったが、眼前のヴェローチェオロの走る位置が微妙で突っ込み切れず、切り替えて外へ持ち出す場面。ここで手前が替わってしまったことも有り、前3頭とは水が開いた。少し勿体なかったが、どう乗ってもこれが限界だっただろう。ただ、まだ500万に使える立場で、自己条件なら問題ない筈。

ヴェローチェオロ

今年既に5戦目とソコソコ使われている割に馬体の張りが甘い。トモの送りが少し硬く映ったのもマイナス。出脚が速いという訳ではなさそうだが、少し出して好位。ただ、3角から既に手応えが怪しくなっており、そこからは付いて行くだけでやっと。それで4着とクビ差5着は良く頑張っているともいえるが、今日は開幕週でインが比較的有利だったことも有った。こちらは1000万に使うということになるが、ちょっと厳しそう。