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競馬回顧 2021年4回中京

第38回エプソムカップ(GⅢ)

ザダル

2人曳き。+12kg。前後肢にバンテージ。少し発汗。その分、毛ヅヤが冴えて映った。毛色でカッコ良く見せるが、数字分だけ腹回りは重たかったかも。ゲート五分。大外から先行したアトミックフォースには抵抗せず、前を壁にするべく馬群の中へ入れて中段。道中は上手く我慢が利いていた。直線に向いて前の馬が外へ張り出して来る中、自然と前が開く迄待って結果的に馬場のド真ん中。ラスト300mで先頭に立つ迄抜けて来る脚は速かったが、そこから急に内にモタれ、サトノフラッグと接触しならも何とかクビ差凌いだ。何故か制裁なしだが、マトモだったらどうだったか微妙な印象も。能力面で高い評価はし辛い。直前に雨が降ったが、何とか滑る馬場にならなかった分、走り切れたということはいえるのだが...。

サトノフラッグ

シープスキンノーズバンド。馬体は元々ドッシリと見せて迫力の有るタイプ。一歩一歩が力強い。デビュー戦から一貫して2000m以上を使って来た馬で、この距離だとあまり出脚が速いという訳でなさそうだが、この馬の出脚で後方に近い位置。その割には道中の行き振りはまずまず。丁度ザダルをマークする形で競馬が出来た。直線だけ進路を変えて、こちらは馬場の3分どころ。上手く捌いて来たが、内へモタれて来たザダルに寄られたのが痛かった。距離経験が一度でも有って、もうちょっと機動力が有れば勝っていただろう。2000m以上だと少し厳しい馬で、この路線のレベルの低さを象徴する様な結果。同じ1800mの毎日王冠が目標とのことだが、流石にもう少しマトモな馬が出て来る筈で、苦しいことになりそう。

ファルコニア

馬体に張りは有ったが、まだ締める余地は残していそうな造り。少しテンション高い。バネの利いた歩様はデビュー当時から。ゲート内でジッと出来ず、出遅れ1馬身不利。直ぐに内ラチ沿いへ潜って距離を稼ぎ、3角で中段。前述した様に、直線は各馬が内を開ける展開となり、スムーズに捌いて来れたが、先頭に立つ迄の脚がなく、3着止まり。結果的に出遅れが痛かったが、鞍上はこれ以上ない立ち回り。馬も流石に能力は持っている。

ヴェロックス

前後肢にバンテージ。馬自体は垢抜けており、GⅢのメンバーなら断然だが、馬体に張りがなかった。ちょっと集中力に欠く点も気になった。ゲートは一応五分。内枠だけにマトモなら好位確保となるところだが、どうも行き振りが悪く、外から来られて何時の間にか中段。押して行くと頭が上がりそうになる場面も有り、下見同様、レースでも集中力を欠いていた。モタついた分、進路を確保する為に内へ突っ込むしかなく、余計に伸びが甘くなった。それで4着なら身体的衰えはないということもいえるのだが、気性的に問題が有る状況はそれはそれで深刻。

アトミックフォース

ほぼ月1回のペースで、今年5戦目。それ程変わったところはない。馬体に張りが有って、歩様も維持出来ている。大外枠ということも有ったが、揉まれるのが嫌いなエアアルマスが何が何でもの構えで主張して、無理せず2番手から。流石に少し気を遣ってしまうのは致し方ないところ。特にコーナーで行きたがっており、何とか宥め様としていたが、4角で我慢し切れずに先頭。ザダルには並ぶ間もなく交わされながらも、両サイドのサトノフラッグやファルコニアには渋太く抵抗していた。着は別にして、内容そのものは今年一番。

サマースプリントシリーズ第1戦 第28回函館スプリントステークス(GⅢ)

ビアンフェ

+12kg。前走中山戦前に去勢しており、現状のベストが分かり辛いが、少し太い様にも見えた。テンション高いのは相変わらずだが、何とか堪えは利いていたか。例に依ってゲートが怪しいが、何とか五分に出て、出脚でハナへ。一瞬はカレンモエが1馬身抜けていたが、それでも頑張って行き切った。600m32.8秒は札幌としてはかなり速いペースながら、後述する様にカレンモエが可愛がってくれて擦られなかったのが最大の勝因。去勢の原因となったゲートの苦労がなくなった点も大きいだろうが、もっとゲートは出るに越したことはない。今日のカレンモエに半馬身程度のやられ方に抑えたいところ。

カレンモエ

胸がい。前後肢にバンテージ。数字の割にトモが張っており、馬自体はそれなりだが、前走中山戦で気になった歩様が硬さが一息入れても修正出来なかった。好発。1馬身抜けたが、前述した様に内からビアンフェが主張して2番手。硬さの分なのか、道中で引っ掛かっていた。その分、どうしても引っ張り気味に乗らざるを得ず、ビアンフェを楽にしてしまった。最後はこの馬自身も止まりそうになっており、アワヤ3着に落ちるところだった。これで3戦連続重賞2着だが、その中では一番内容が悪い。今日は大外枠も競馬を難しくした一因では有るが、まずは歩様が良くならないことには。

ミッキーブリランテ

前走東京戦と変わらず。相変わらず太く見せるが、これで走れる状態。ただ、滞在の分なのか、気配が良くも悪くも地味。両サイドから出脚でやられ、一瞬の内に前が塞がってしまい、中段やや後方から。1400mの後で少しオッツケ気味の追走。直線だけ上手く外へ持ち出し、最後は一番目立つ脚を使って、あと一完歩有れば2着だった。アテにはし辛いが、最後は何だかんだで差して来る。1200mも経験次第でもう少し行き振り良く走れるだろうが、陣営に1200m専門にするつもりはない筈で、毎回鞍上の工夫が要る。

ジョーアラビカ

前肢にバンテージ。今に始まったことではないが、腹回りが少し緩い。下見で覇気がないのも毎度。出遅れは毎度。更にヨレ気味に出てしまい、タイセイアベニールと接触。出脚が鈍り後方から。道中は一度としてブレーキを掛けない様にジワッと乗られて、4角手前から徐々に動き出し、直線は大外へ。こんな乗り方でもエンジンの掛かりは遅く、瞬発力が有るという印象でもなかったが、大トビの走法でジリジリ伸びてここ迄。鞍上の話ではまだ馬が緩いとのことだが、これも1400m位の方が合っている印象。

カツジ

-16kg。シープスキンノーズバンド。骨格のしっかりした馬で、そこ迄細くは見せない。キビキビ歩けており、例に依って下見の雰囲気もいい。歩様に硬さがないのも何より。1200mだと出脚で苦しく、最初からの決め打ちで最後方のイン。最早馬群にも取り付いていなかった。この鞍上だけにインを突く選択肢も有っただろうが、開幕週だけに内が開きそうになく、直線だけ大外へ。大外といっても1頭だけ極端に離れていたが、一瞬突き抜けそうな勢いだったものの、最後の最後に甘くなった。能力が有ることは間違いないが、何時走るか分からず、これもアテにはし辛い。

第71回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

ダノンキングリー

2人曳き。+6kg。黒鹿毛の毛色で得している部分も有るだろうが、馬体はキッチリ出来ていた。集中力が有った点も好印象。この馬としてはゲートが悪く、中段やや後方から。ただ、休み明けでデキに自信が有ったとも思えず、恐らくゲートが出ても行く気はなかった筈で、道中はしっかり脚を矯めて直線だけ外へ。今日はこの欲を出さずに乗ったのが正解。グランアレグリアを筆頭に、各馬が微妙に競馬を失敗している中で、馬場のいい外を思い切り走って突き抜けた。ただ、評価は難しいところ。タイトルのない馬にタイトルを齎したことは何よりだったが、今日はハマった感も強い。

グランアレグリア

2人曳き。馬体は迫力充分でケチを付けるところはないが、今日は明らかに歩様が硬くなっていた。ゲートは五分程度。今日は進み方が悪かったことも有るが、他馬に目の敵にされたことも有り、前に入られ、外から被されて、位置取りを悪くした面も有った。結果的に直線に向いてズラリと前が壁。手応えも決していいとはいえなかっただけに、外を回さず、ラスト200mでイチかバチかで狭いところをコジ開けて来た。捌きはかなり強引だったが、それでも抜けて来れるのが底力。戦前から懸念されていた様にやはりデキは厳しかったが、今日はこれでヨシとすべきところ。

シュネルマイスター

-6kg。元々ボテッと映る馬で、少しでも絞れたのはいい傾向。まだ締める余地は有るだろうが、ここへ入ってもそこ迄馬は負けていない。前走同様、落ち着いていて、歩様も落ちていない。外から出脚を使わず、ジワッと中段。前走でマイルを使っていたことで、行き振りは良くなっていたが、外枠で壁がなく、ちょっと脚を矯め切れなかった分は有ったかも。ジリジリとは伸びて来たが、外からダノンキングリーに捕まって3着止まり。結果的にもう一つ内枠が欲しかったところ。前述した様に細かい失敗が多く、各馬が全能力を発揮出来たか怪しい部分も有るのだが、力そのものは足りる。

インディチャンプ

+6kg。変に軽く見せるよりは少しドッシリ見せた方がいいが、今日は何時もより大人しかったのは気になった。1200mの後ということで意外に出脚が有って、スッと好位から。ペース自体はそこ迄遅くなかった筈だが、これも1200mの後ということが影響したか、道中は引っ掛かる場面が有った。この馬の場合はこうなるとダメ。元々いい脚は一瞬しかない馬だが、どうしても馬に我慢が利かなくなり、抜け出すタイミングが早くなり過ぎて、最後が甘くなってしまう。前走中京戦が3着で、今回が4着。何れもそれなりにちゃんと賞金を咥えて来たということもいえるのだが、二兎を追って両方逃した感も有る。

トーラスジェミニ

このメンバーに入ると少し馬は見劣るが、馬に活気が有った。歩様もリズミカルでデキ自体は良さそう。マイルだと出脚は怪しく、結構押していたが、ダイワキャグニーが行っての2番手。ハナ切ってナンボの馬だった筈だが、意外と我慢が利いており、直線も先頭に立つ場面こそ一度としてなかったものの、最後迄諦めずに走れていた。次走は福島戦が目標とのことだが、当然有力。

第74回農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

ユニコーンライオン

下見はメンコを着用していたが、レースで外してオーストラリアンブリンカーを着用。背丈が高く、520kgの馬の割に重厚感を感じさせないタイプ。気配も良さそうだが、もう少し歩様に柔らか味が欲しい。出足で一馬身抜けてハナへ。1角で既にペースを相当落としており、1000m通過が62.9秒。馬場状態を勘案しても無茶苦茶遅い。あまりに遅過ぎて、後続に追い付かれそうになった程だったが、マクられない程度にはペースを上げ、4角手前から後続を待たずにスパート。直線はオイデオイデの楽勝だった。今日はあまりに上手く行き過ぎて能力判定不能。見どころは出脚が速かったという点だけ。

ショウナンバルディ

前後肢にバンテージ。大型馬が多く、迫力負けするのは仕方がないところだが、可動域が広く、手先のスナップも利いていた。ユニコーンライオンを除けば、出脚は速い方でジワッと2番手。ユニコーンライオンの出脚が速く、この馬自身も2番手で競馬出来るタイプということで、この位置で折り合いに専念。4角手前でユニコーンライオンが動いた際に、追い出しをワンテンポ待つ形。恐らく鞍上の中ではこの時点で相手は後続と判断したのだろうが、後続には差されなかったものの、前とは離される一方だった。ただ、マトモに捕まえに行っていたら、2着がなかったかも。その辺りの運も含めて、中京は渋太い。

ブラストワンピース

シープスキンノーズバンド。+2kg。数字上は出来ていたが、流石に腹回りは少し緩さも有った。ただ、歩様がしっかりしていたのと、何より今日は煩かったのがいい。この馬としてはゲート五分。出脚もなかったが、最内枠は幸いしており、何とか中段やや後方辺り。向正面でスペースが出来て、少し番手を上げた以外は、只管内で我慢。今日の展開だと仕掛け遅れということにはなるが、ジワジワ伸びて何とか3着。右手前になるのがラスト200mと、不器用振りは相変わらずだが、今日の展開で競馬になっただけでも良しとしたい。適条件ならまだやれる。

ペルシアンナイト

-6kg。多少、馬体の張りが甘い気もしないでもないが、歩様はしっかりしていた。気合乗りも良かった。スタート直後に両サイドから挟まれ、1馬身不利。ただ、最初から行きたがっており、1角で中段やや後方辺り。ペースが遅かったことも有り、3角迄ずっと引っ掛かっていた。この時点ではマトモならかなり厳しい形だが、それでも直線はジリジリ伸びていた。地力の一端は示した4着。アテにはし辛い面も有るが、引退迄にもう1回位は馬券に絡みたいところ。

ワイプティアーズ

532kgの馬だが、腹回りがボテッとしていた割に、トモのボリューム感がもうひとつ。このメンバーだと馬は少し落ちる。出脚が速い訳ではなさそうだが、押してブラストワンピースを叩いて好位。恐らく道中の折り合いが付いていた様に見えたのはスピードがないからで、各馬のペースが上がった3〜4角は付いて行くのに汲々だった。直線も掲示板に載った馬で、後ろの馬に抜かれたのはこの馬だけ。馬場が悪かった分、格好は付いたが、根本的に重賞では実力不足。