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競馬回顧 2020年2回小倉

サマー2000シリーズ第5戦 第56回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

ブラヴァス

前走福島戦と変わらず。馬体はバランスが取れていて悪くないが、もっとしっかり踏んで欲しいところ。トモが微妙に流れる症状が有る。今日も出たなりで急かすことなく中段から。ちょっと向正面半ばで行きたがる場面も有ったが、概ね我慢は出来ていた。直線向いて出て来た位置で少し仕掛けを遅らせての追い出し。眼前でサトノダムゼルがフラフラして、少し目障りだっただろうが、最後の最後に伸びて、ギリギリジナンボーを捕まえた。正直、前走の福島戦はまだ重賞だとワンパンチ足りない様な内容だったが、今日はソコソコメンバーが揃っていた中でこの内容なら文句なし。かといって、GⅠでどうかという話にはならないが、タイトルに手が届いたのは何より。

ジナンボー

-6kg。馬体はメリハリが利いて、見栄えがするが、今日は何時もよりトモが付いて来ない様な歩き方。ゲート自体も甘かったが、外から寄られてしまい、1馬身不利。一旦は最後方迄下げていた。荒れ馬場は苦にしない馬で、ならばと内へ切り替えて一気に進出、ハナへ立ってから徐々に外へ持ち出し、直線では馬場のド真ん中。基本的に決め手のない馬で、持ち前の持久力勝負だったが、最後の最後に甘くなった。鞍上は奇襲を上手く成功させたが、惜しい内容。ダラダラ脚を使えば何とかなる新潟とはいえ、もうワンパンチが欲しいのも確かだが、この辺りのメンバーなら力は一枚上。

サンレイポケット

前後肢にバンテージ。トモに厚みは有ったが、胴はスカッと見せていた。ゲートやや分が悪く、中段やや後方。ただ、外枠で比較的リカバーが利いたのと、ブラヴァスをマークする形は、戦前から鞍上の意識には有った筈で、競馬としては組み立てし易かった筈。直線もそのブラヴァスを目標に追い出され、一瞬は突き放されたが、最後は際どく詰めていた。ただ、ジナンボーの方が底力が上だったのは間違いないとしても、あそこ迄行ったら2着が欲しかったところ。馬だけでなく鞍上の将来の為にも。

サトノガーネット

この時期だけに流石に毛ヅヤは悪くないが、馬が見栄えしないのは毎度。歩様に硬さがなければ力は出せる馬。ゲートも今日は若干分が悪かったが、出脚もなく、何時も通り後方から。道中はジッとして、直線は正に大外、外ラチ沿いへ。良く伸びているが、全馬が外へ持ち出して来る様な状況だと、他馬もそれなりに頑張ってしまう。新潟でもハマることは有るだろうし、その確率は小倉よりは高い筈だが、実際には中々そうはならない。少なくとも馬を責める内容ではない。

サトノダムゼル

-10kg。数字分だけスッキリ。ちょっと腹が巻いてギリギリ感は有る。ただ、銭形がトモに浮いて、歩様に硬さはなかった。好発。出脚も有ったが、ウインガナドルが主張して2番手。ただ、結構引っ掛かりそうになっており、前と距離を開けて矯め気味で乗られた。直線向いて外へ持ち出したが、追ってから頭が高くフラフラ。まだ馬に芯が入っていないのだろうが、もうちょっと真っ直ぐ走れる様にならないことには。現状だと誤魔化しが利く、小回りの方がいい。

第40回小倉2歳ステークス(GⅢ)

メイケイエール

前肢にバンテージ。数字が有る分だけこのメンバーの中なら上の馬だが、まだまだ筋肉が付き切っていない。出遅れ1馬身不利。油断すると引っ掛かる馬とのことで、最初から行く気はなかった様だが、それでも3角手前では手綱を思い切り引っ張る場面。気性面の難しさは覗かせていた。ただ、そういう馬だけに道悪は全く苦にしておらず、コーナーを外から進出して4角で好位。直線はモントライゼとの一騎打ちに持ち込んで、最後は競り落とした。今日は道悪を気合で乗り切った感が強い。このままだと1400mでも怪しい。

モントライゼ

これもこのメンバーに入ればバランスが取れた造りで上位の馬だが、まだ歩様が若干が頼りない様に、まだまだこれからの馬。ゲートは五分。出脚も速かったが、外からフリードが何が何でもの構えで主張して2番手から。この雨でどうしても逃げ馬は外を開けざるを得ず苦しくなるのだが、それでこの馬も早目先頭に立たされたことで最後が甘くなった。追い比べで負けた形となり、見栄えは悪いのだが、今日は力で負けたという印象はない。メイケイエールとは道悪適性の差も有りそう。

フォドラ

前後肢にバンテージ。400kgソコソコの馬が-6kg。それでも寸が詰まって馬体が小さいだけで細い印象はない。ゲートは五分に出たが、逃げて勝った馬にも関わらず、急かさず中段から。要は外へ持ち出したかった様だが、残念ながら外には壁が有り、仕方なしにインを突く形。402kgの馬が今日の荒れ馬場を走るのは相当キツい筈で、今日はこれで良く頑張っている方。ただ、当然ながらもっと成長がないと500万も微妙。

ルクシオン

背丈自体も小さいとはいえ、全体に華奢な造り。30kg増えてもいい。歩様も何処となく頼りなく映る。ゲートもイマイチだったが、行く気もなく後方から。3角の手応えが渋くて外を回せる雰囲気ではなく、苦し紛れに内へ。これも馬格がない割には良く頑張っている。今日は明らかに馬質の低いメンバー構成。成長すれば何とかなってもいいが、このままなら500万の馬で終わっても驚きはない。

フリード

コロンとした体型では有るが、このメンバーだと完成度は一番高い。歩様も悪くなく、しっかり歩けていた。大外枠だったが、何が何でもの構えでハナへ。外から行き切っただけに仕方がないが、600m33.9秒はこの馬場で流石に速過ぎた。雨の影響で内を開けて走っていたが、4角で内を開けると後続の目標にされ易く、今日は掲示板に載っただけでヨシとすべきところ。とはいえ、この経験は生きて来る筈。小細工して勝てるならそれに越したことはないが、同じ負けるなら今日の方がマシ。

第55回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

ソダシ

前後肢にバンテージ。2歳馬としては異様な程完成度が高く、馬のスケールで一枚抜けている。一歩一歩が力強い。好発。出脚も速かったが、最内からピンクカメハメハが行く等、1角迄に主張した馬が多く、5番手辺りの外。これでペースが落ち着くとマズい形となるが、2番手のバスラットレオンが800m辺りからピンクカメハメハへ並び掛けに行って我慢比べの展開。4角手前で外のユーバーレーベンの進出に併せ、4角で先頭。ユーバーレーベンも最後は迫って来たが、脚が上がっているという雰囲気ではなく、力強く押し切った。ただ、レコードはあくまで馬場状態と展開、最後詰められたのもユーバーレーベンとの決め手の差が出たという見方も出来る。2歳時迄は芝をこなすかも知れないが、それ以上は瞬発力の差に泣くことも多いだろう。血統、馬体からも先々はダート。

ユーバーレーベン

+20kg。ほぼ成長分。毛ヅヤピカピカで、馬体ははち切れんばかり。一息入れて別馬になった。それで居て大人しい点も好感。出遅れ1馬身不利。行き振りにムラが有り、スタート直後は進んで行かなかったが、1角で追い付き、そこからはまた置かれ加減。再び2角でスイッチが入り、今後はそのまま行かせて3〜4角中間でソダシの外と先頭グループに取り付いていた。直線も一瞬は突き放されたものの、また再び盛り返している。今日は出遅れたロスも大きく、何かが一つ違うだけで勝っていた。この血統にしては首が使えており、間違いなく素質は高い。もう少しスピードをコントロールして走れる様にしたいところ。

バスラットレオン

毛ヅヤが冴えて、馬体に張りは有ったが、コロンとした体型。良くも悪くも胴が太くて、腹回りがボテッと映る。出脚が速く、逃げたピンクカメハメハよりも速い位だったが、1角は譲って2番手。しかし、結果的にもうちょっと大事に乗っても良かったと思うのだが、元々1000通過59.2秒と速いのに、800m通過の向正面中間から並び掛けて、後続も付いて来る展開。こうなるとキツい。

アオイゴールド

前肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ立派かも。それでも馬体に柔軟性が有る一方で、緩い印象はない。落ち着きも有った。ゲートは五分。出脚も悪くなさそうで、ソダシに付いて行く形。1角手前だけソダシと一緒に頭を上げそうになっていたが、あとはスムーズ。勝負どころの勢いはユーバーレーベンに敵わず、一気に交わされており、付いて行くだけで必死の状態だったが、何とか4着は確保。最後はバスラットレオンに迫っており、中々渋太い。

ヴェローチェオロ

前後肢にバンテージ。連闘。馬体が特に変わったという雰囲気はなく、歩様に硬さもなかったが、このメンバーだと目立つことはない。使った分、気合が乗っていた程度。ゲートは五分程度。ピンクカメハメハに付いて行ける様な出脚ではなく、出たなりで中段のイン。道中もインを上手く立ち回れた。最後はアオイゴールドと共に良く詰めているが、追い出して首が使えておらず、あと一歩届かずの5着。ただ、前走は外を回っていたが、今日はインから伸びて来ており、器用さを見せたのは収穫。

第40回新潟2歳ステークス(GⅢ)

ショックアクション

前後肢にバンテージ。ドッシリと見せて、このメンバーだと馬の迫力で抜けている。歩様にも力強さが有った。中枠からハヴァスが逃げ、そこに外数頭が付いて行った中の1頭。道中は好位4番手辺りから。出脚に余裕は有りそうで、ジワッと行けた分、外でも折り合いは付いていた。4角から直線に掛けて、前に居た組が外へ持ち出して来たが、それらをいったんやり過ごし、こちらは4角を回った位置からそのまま真っ直ぐ伸びて来た。馬格通りの脚力で勝った印象。あとはこの過去の勝ち馬の様に、見た目は強くてもその後が案外というパターンにならなければ良いが...。現時点ではその確率もそれなりに有りそう。

ブルーシンフォニー

前肢にバンテージ。+4kg。マイラー寄りの体型だが、まだまだ全体に馬が緩慢。歩様も多少心許ない部分が残る。外枠勢の中では若干ゲートで分が悪く、一旦は後方に下げ、3角手前辺りから内へ潜って追い上げ、4角で2番手。上手く乗られたが、前には届かずの2着。序盤で下げる際に頭を上げそうになる場面も有り、出遅れて勝ち馬よりはスムーズさを欠いたことも有るのだが、追い出してからこの馬自身も外へモタれていた。マトモでも厳しかったというのが正直なところだろう。今日は一応完敗。現時点での完成度の差。

フラーズダルム

前後肢にバンテージ。+12kg。この時期だけに増えるのはいい傾向だが、多少腹回りがボテッと映ったことも確か。出脚で多少分が悪かった影響も有ったが、周囲に先行された際に、馬が行きたがって、ならばと外の馬を行かせ、壁にして折り合いを付ける形。コーナリングでもヨレる場面が有り、直線も暫く反応せず、追ってからもフラフラ。それでブルーシンフォニーに3着なら意外と底力が有るということもいえるだろう。成長すればこのメンバーには勝ち負け出来るという理屈は成り立つが、秋になれば遥かに強い別の強い馬が出て来るのが近年のパターン。

ファルヴォーレ

背丈の有る馬だが、それで430kgだから明らかに細い。発汗も目立ち、もう少し落ち着いて欲しいところ。出遅れ1馬身不利。あまり乗り易い馬ではなさそうで、稍もすればブッ飛んで行きそうな雰囲気も有り、後方で只管ジックリ乗られ、直線も大外、しかもスタンドの陰になる馬場の9分どころ。かなり雑な競馬では有ったが、未勝利脱出に3戦を要した10番人気馬で4着なら上等。もう少しパワーアップは必要だが、500万は何とかなりそう。

シュヴァリエローズ

前肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて毛ヅヤは冴えていたが、まだまだ細身。もっと全体にパワーアップしないことには。出遅れ2馬身不利。道中も全く行く気がなく、鞍上が只管追い通し。そんな状況で、直線外へ持ち出す余裕もなく、最後はジリジリ来たが、前とは差が有る5着。陣営は立て直しを考えることになるだろうが、前走阪神戦とは行き振りが違い過ぎて今日は参考外。

サマースプリントシリーズ第5戦 第15回キーンランドカップ(GⅢ)

エイティーンガール

バランスの取れたスカッとした造り。ボテッとした馬が多く、その点では1頭目立っていた。歩様もスムーズ。ゲート自体は出ているが、ヨレ気味に出てそこを外から一気に来られたことも有って最後方から。それでも今日は外のいいところを通れたことも有って、有る程度流れに乗れた。3〜4角の行き振りも悪くなく、早目に仕掛けた外枠勢が最後に甘くなったところを一気に強襲。圏内の1頭で有ったことは確かだが、最内枠のダイアトニックが内でノメりっ放しだった様に、とはいえ掲示板5頭が全て二桁馬番と札幌1200mにしては何年かに1回の馬場状態。今日は良くも悪くも参考外。

ライトオンキュー

-6kg。元々がコロンとした体型だが、数字分だけ馬体が締まって来た。しっかりした脚取りで、デキ自体も良さそう。今年3戦目だが、その中では一番雰囲気がいい。この馬の出脚で中段辺り。アスタールビー、ヤマカツマーメイドに叩かれる展開とはなったが、上手くやり過ごし、流れに乗れていた。人気の一角を背負っていたフィアーノロマーノを目標にした乗り方も間違っていない。4角の手応えも結構余裕が有って、鞍上は勝利を夢見ただろうが、道悪で思い切りのいい競馬をした軽量馬にやられるのは仕方がないところ。内容としては悪くない。これで賞金面でも胸を張ってGⅠへ向かえる。この充実振りなら圏内の1頭に入る。

ディメンシオン

シープスキンノーズバンド。寸詰まりの体型。その分、トモの厚みは目立つ。多少、チャカ付いていたのも許容範囲。元々折り合いに課題の有る馬で、最初から脚を矯めて乗るつもりだった様だが、どうもライトオンキューマークも決め打ちだった様。終始、丁寧に乗られた印象だったが、その分、エイティーンガールと同じ位置からのヨーイドンとなり、決め手で見劣った形。1200mの経験がもっと有ればまた違うだろうが、それでも久々の好走。兎にも角にもこの馬の場合は折り合い一つ。

アスタールビー

+4kg。胸がい。稍もするとガレ気味に映る馬で、少しでも増えたのはいい傾向。歩様は多少硬いのだが、これは何時も通り。好発も有って、一瞬の出脚は一番速かった位だが、内からクールティアラが主張して2番手。今日の馬場なら被されるよりはこれで正解。ただ、勝負どころで被せに来る馬は仕方がないところで、ヤマカツマーメイドに4角手前で来られて苦しくなった。どうしても苦しくなると馬場が悪くとも内へ入ってしまうのだが、それで居てライトオンキューが来た際には一瞬だけでも抵抗した様にも見えた。その分、ヤマカツマーメイドには先着出来た。根性でもぎ取った4着。こういうタイプが掛け値なしの道悪巧者。

ヤマカツマーメイド

シープスキンノーズバンド。淡々と歩いており、気配は毎度のことながら地味。このメンバーに入ると多少迫力で見劣る感は有るが、歩様に非力な印象はない。外からジワッと行かせて好位。道中の行き振りは良かったが、鞍上も特に抑える様なことはせず、コーナーでもそのまま行かせて4角で2番手。ただ、最初から内にモタれており、最後は甘くなった。今春阪神戦と違って、道悪でも競馬になったのは収穫だが、もうちょっと真っ直ぐ走れる様にしたいところ。

サマー2000シリーズ第4戦 第56回札幌記念(GⅡ)

ノームコア

後肢にバンテージ。一息入ったが、キッチリ出来ていた。シャープな造りで、歩様に硬さがないのが何より。流石に2000mだと出脚は速い方だが、行く気はなく、外の出方を窺いながら好位6〜7番手辺りから。道中の折り合いはペース関係なく全く問題ない馬で、あとは4角をどう立ち回るかだけだったが、脚の違いで持ったままで捌いて直線向いた段階でほぼ勝負有り。完勝だった。現時点では次走未定だが、骨折経験の有る馬で、復帰以降はマイルで31秒台の決着になると甘い部分が有り、距離よりも馬場状態がカギとなりそう。今日は洋芝に使ったのが正解だった。妹クロノジェネシスもそうだが、雨が降ってくれた方がいい。

ペルシアンナイト

胴長ながら、腹回りがしっかりして雄大な馬体。歩様にも柔らく、伸びが有り、今日は久々に文句なしの状態。この馬自身が出遅れ気味なのか、周囲が速いか微妙だったが、何れにしても両サイドに行かれて後方に近い位置。序盤は明らかに行きたがっており、宥めている間に更に番手が下がる形となったが、折り合いは1周丸々気を遣っていた様にも見えた。4角で一瞬外へ持ち出す素振りも見せたが、ノームコアの手応えの良さに気付いてからは後を追う形。これで上手く進路を確保出来、2着浮上。久々にマトモに走れたということになるが、内枠で集中力が続く展開になったことが大きかった。今後もアテにはし辛い。

ラッキーライラック

前後肢にバンテージ。相変わらずドッシリと見せて、馬体にケチを付けるところはない。気配も良かった。例に依って出脚は抜群に速い馬で、暫く位置取りに迷っていた様に見えたが、内に入れる気配がなく、外から来たことも有って2番手へ。道中の折り合いは全く問題がなかった。手応え充分に4角先頭。ただ、そこから踏ん張る脚がなかった。昨秋京都戦、昨春阪神戦と、勝つ時はインから抜けて来るパターン。内の馬にその意図が有ったかどうかはともかく、今日はインへ入れられなかったのが痛かった。

ポンデザール

+8kg。毛ヅヤが冴えて、馬体も寸詰まり気味ながらメリハリが利いていた。手先のスナップが利いていた点も好印象。出脚は速そうだが、外のトーラスジェミニに叩かれる展開が見えており、無理せず中段から。道中はノームコアと並走する形で、展開的にはいい位置に居た。ただ、向正面半ば辺りからズブさを見せて、3〜4角中間辺りでは既にステッキが飛んでいた。それでこの差なら良く踏ん張ったともいえるだろう。2000m、増して小回りだと距離は明らかに短いということになるが、力は持っている。東京2500m向き。

イェッツト

物見はしていたが、落ち着いていた。馬体に張りが有って、デキ自体はいい方だが、馬自体の迫力で見劣る。出脚も甘いタイプだが、最初から行く気なく最後方から。何故かルミナスウォリアーとの最後方内ラチ争いが熾烈で、並走になっていたのはメンタル面で地味に痛い気もしたのだが、4角でルミナスウォリアーの手応えがなくなり、最内を確保。そこからは進路を探しつつ徐々に外へ持ち出して伸びて来た。ただ、あそこ迄行ったら4着が欲しかったところ。自己条件なら何とかなるだろうが、重賞だとまだ厳しい。

サマースプリントシリーズ第4戦 第55回テレビ西日本賞北九州記念(GⅢ)

レッドアンシェル

下見だけパシュファイヤーとシープスキンノーズバンド。レースで遮眼革。前後肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ良くも悪くも立派になった印象だが、緩んだ印象はない。気配もこの馬としては落ち着いている方。ゲート自体は出ているが、鞍上に急かして行く気配はなく、内外の出方を窺いながら中段から。前走阪神戦が終い甘くなったことも有って、今日は引っ張り気味の追走。コーナーはインで脚を矯め、直線向いてから少し強引ながら外へ。前が開いてから一瞬いい脚を使って突き抜けた。今日はモズスーパーフレアのハイペースに乗じて、インで上手くハマった感が強い。鞍上は遮眼革効果を強調していたが、今日は上手く行き過ぎて、そこも怪しいところ。

モズスーパーフレア

+14kg。元々ドッシリと見せる馬で、特に太い印象はない。歩様がもう少し柔らかいと文句なしだが、この馬としてはマシな部類。好発。外のジョーカナチャンも速かったが、枠の利だけでなく、この馬自身の出脚も速く、スンナリハナへ。ただ、直千でお馴染みのジョーカナチャンを相手に離し気味の逃げとなり、前半3Fが32.4秒は流石に速かった。直線半ばで何とかジョーカナチャンは振り切ったものの、何かが飛んで来るのは仕方がないところ。56.5kgを背負って、今日は良く頑張ったといえる2着。GⅠへ向けてという点で行き切っておいた点も大きい筈で、今秋こそ繰り上がりではなく、マトモに勝ちたいところ。

アウィルアウェイ

前後肢にバンテージ。+14kg。もうちょっと腹回りが締まってくれば尚ベストだろうが、近況の細身に映る状態からは脱した。出脚が甘いのは何時ものことで、ジックリ乗られて後方から。ハイペースとなり馬群がバラけたことで、コーナーで外を追い上げるといった感じではなく、コースロスを最小限に留めて直線勝負する形。上手く脚を矯められたことも有るが、最後の脚は1頭違っていた。前走阪神戦程キツい形ではなかったが、直線で外へ持ち出す際に少しロスが有り、ここがスムーズなら2着有っただろう。中々何時走るか読み辛い馬だが、平坦の方が良さそう。

クライムメジャー

下見は外を回って活気充分。ダイワメジャー産駒らしく、骨格のしっかりした馬で、見栄えはするのだが、これは元々。出ッパ自体も悪かったが、決め打ちだった様で急かせる気もなく、そのまま後方から。只管インを回って、後方に居ながら手が動いたのも一番最後という状況だったが、良く伸びている。単独4着ならまだしも、4着同着だけに最後の最後に前が詰まったのが勿体なかったといえばそうだが、ギャンブル騎乗だけに多少のことは仕方がないだろう。オープン入り以降、頭打ち感も有ったが、ひとつの形が出来たことは収穫。

アンヴァル

2人曳き。+6kg。落ち着いていたが、今日は少しボテッと映る。歩様も若干トモが流れており、力強さに欠く。出脚自体は有る筈だが、あまり行く気がなく後方から。ただ、道中の行き振りも今日は一息。スムーズに外へ持ち出せたものの、アウィルアウェイとは明らかに脚の差が有った。これも自在に乗れるタイプの馬だが、同じ追い込みでも昨年より内容が落ちる形で4着。下見の通り、デキに疑問。

サマーマイルシリーズ第3戦 第55回関屋記念(GⅢ)

サトノアーサー

気合を前面に押し出すというタイプではなく、気配はこんなモノ。バランスの取れた馬体で、歩様にも柔軟性が有った。出遅れ1馬身不利。鞍上の話では先行したかった様だが、切り替えて後方。直ぐに内ラチへ寄せていた。コーナーはインでジッとして、直線迄待ってから進路を探しつつ徐々に外へ。最後はキレにキレた。今年に入って6走目ながら、良馬場でやれたのは2回目と、中々天気に恵まれなかったが、やっと良馬場で出来たことも大きかっただろう。トビが大きいので新潟も合っていた。ただ、行かせるか控えるかは悩ましいところ。今回以外で今年唯一の良馬場だった今春東京戦が先行したものの、決め手負けして4着。今日は今日で結構狭いところを抜けて来ており、前が塞がっていた可能性も有った。

トロワゼトワル

-8kg。数字分だけスッキリ。少なくとも細い印象はない。曳き手を引っ張る位の勢いで気配良好。戦前は鞍上に行く気がなかったとのことで、スッとという訳ではなかったが、馬の気に任せてハナへ。大外、特に18番枠の逃げは時に高配当を呼ぶことも有るが、ハイペースになりがちな中で1000m通過57.8秒は比較的楽に行けた方。尤も、1000m通過55.4秒で勝った中山戦も有り、この馬の場合はペース云々よりも2番手に突かれるかどうかがポイントで、その点でも楽に行けたといえるだろう。直線向いてからも突き放す脚が有り、好位勢は全て振り切ってやったかに見えたが、流石に新潟だと飛び道具にやられるのは致し方ないところ。今後も走るかどうかは序盤の運び方次第。

アンドラステ

胸がい。前後肢にバンテージ。胴長でしなやかな馬体。ただ、まだ芯が入っていない様な印象で、歩様に力強さを欠く。ゲートを決め、少し出して行って中段やや前辺りから。ただ、向正面で前の馬との兼ね合いも有り、手綱を引っ張って頭を上げるシーン。コーナーに入って折り合いは付いたが、直線はジリジリ。馬群は捌いて来たものの、思い切り良く乗られた馬が前に2頭居た。とはいえ、元々揉まれる経験が少ない馬で、前の2頭は重賞勝ち馬でも有り、今日は良く頑張っている方。もう少しパワーアップは必要だが、今日は今日でいい経験となった筈。今年中には重賞に手が届く筈。

ミッキーブリランテ

+8kg。この血統にしてはノンビリ歩いており、気配は地味。前走中京戦もそうだったが、馬体は重量感が有る割に歩様が甘い。ゲート自体は出ているが、両サイドから挟まれる格好になり、後方に近い位置。これもサトノアーサー同様、内ラチへ寄せていたが、こちらは直線もインから。捌く苦労という点ではサトノアーサーより楽だった様に見えたが、それだけにもうちょっと伸びて欲しかった印象も。坂が上れなかった前走と違い、平坦だった分、着を上げた格好だが、何れにしてももうワンパンチ欲しい。

ミラアイトーン

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。558kgmの馬だが、動きにキビキビ感はなかったものの、緩んだところは一切なかった。大型馬の割にハナへ行ける位の出脚だったが、大外からトロワゼトワルが主張して2番手から。基本的にはトロワゼトワルとの距離を取って、深追いを避けるイメージで乗られた。勝ちに行くならもっと積極的に乗るべきだったということにはなるが、現状のこの馬ではこれで仕方がないところ。それなりに手堅いが、掲示板に載れれば上等というレベルの馬。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第56回小倉記念(GⅢ)

アールスター

脚長で、ここへ入っても馬は負けていない。均整が取れており、デキ自体も良さそう。ゲート再審査後だが、少し物見をしていた位で落ち着いていた点も好印象。特にゲート内の駐立が悪いこともなく、五分のスタートを決め、中段から。外のインで脚を矯め、直線もインから。コーナーでの手応えは決していい様に見えなかったのだが、4角辺りから急にエンジンが掛かり、1頭違う脚で伸びて来た。外枠で人気を背負っていたランブリングアレーを目標にロードクエストが早仕掛けして前崩れになったことも大きかったが、今日はゲートを決めたことが何より。初重賞制覇の鞍上はゲート練習にも付き合っていたとのことで、丁寧な仕事が生きた。

サトノガーネット

+10kg。近走は馬体細化傾向だったが、漸く馬体が戻って来た。緩んだ印象もなく、歩様もこんなモノ。例に依ってゲート自体は出る馬だが、出脚がサッパリで後方から。こちらもエンジンが掛かる迄に時間の掛かる馬で、4角手前から仕掛けても大して動いて行けず、実質的には直線勝負。前述した様に前崩れの展開にもなったが、ハマればいい脚が使える。今年に入って明らかに距離不適なマイルばかりを使われていたが、以前と違い、追走に骨を折ることもなくなって来た。捨てレースを作った形では有ったが、これもひとつの厩舎技量。

アウトライアーズ

遮眼革。シープスキンノーズバンド。特に良くなった印象はなく、最近の中では平行線。腰の甘い歩様も毎度。ゲートで安目を売ったことも有るが、出脚も鈍く、そのまま最後方から。基本的には枠なりに内から数頭分を開けて走っていた。行き脚が付いてからの行き振りは良く、それで居て前を深追いせず、4角手前で少し矯めを造っていたのも正解だっただろう。新潟もそうだったが、正攻法で乗ってギャンブルした馬にやられるのは仕方がないところ。特に馬が良くなったという訳ではないが、徐々にでもオープンの競馬に慣れて来た感は有る。

アメリカズカップ

多少歩様が硬いのは何時ものこと。シャープな造りで、デキ自体は悪くない。気合も乗っていた。スタート直後に外のサマーセントに思い切り寄られたが、出脚で立て直して中段やや後方から。道中はスムーズに運べたが、4角で置かれ加減になっていた。最後ジワジワ来たのは、あくまで前崩れの展開が向いた形で、この馬自身が伸びている訳ではない。これもキッカケを掴んだと迄はいえないところ。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。ボテッと映るのは毎度だが、緩いという程ではなかった。歩様も非力な印象はない。ゲートを決め、出脚にも余裕有ったが、行きたい馬に行かせて好位から。流れには乗れたが、唯でさえハイペースなのに外から来た馬が居て、更にキツい展開になったのが痛かった。このメンバーなら地力上位で、展開の割にはそれなりには纏めているともいえるが、常にこんな感じ。引退迄に1回ハマればというところ。