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競馬回顧 2020年2回中京

第54回スプリンターズステークス(GⅠ)

グランアレグリア

2人曳き。+12kg。デビュー以来、最高体重をまた更新。遂に500kg台に乗せたが、多少立派という程度。今日も歩様はスムーズ。ゲート自体は出ているが、そこから進んで行かず後方から。道中も結構押しての追走で4角は大外。この時点では前と10馬身程離れていたが、追い出してからの脚が違った。マトモな大外からの追い込みが決まったのは2004年のデュランダル以来だが、当時は2着馬に対しハナ差。今年は良馬場ながら時計の掛かる馬場だったとはいえ、2馬身差は圧勝といえる。あとは休み明けしか走らない点がどうか。今シーズンにもう1回使うことになりそうだが、今日は今日で負担の大きい競馬だった気もしないでもない。

ダノンスマッシュ

前後肢にバンテージ。休み明けの前走中京戦から仕上がっていたが、今日もスカッとした造り。歩様に柔らか味が有って、ノンビリと歩いていた点も好感。1馬身出遅れも、出脚で挽回して好位のイン。前がオーバーペースなのは分かっていただろうが、4角手前から外へ持ち出して自力で捕まえに行く形。ただ、直線に向いて中々手前が替わらず、モタついている間にグランアレグリアに交わされていた。坂を上り切る直前でやっと左手前になり、そこから脚を使って2着浮上。結果的にもうちょっと大事に乗っても良かった気もしないでもないが、不運の多かった過去を考えればこれで仕方がない。相手が悪かったと思う外ない。

アウィルアウェイ

前後肢にバンテージ。出来ればフックラ見せて欲しいタイプの馬だが、-4kgでもこれ位なら許容範囲。歩様も何とか硬さはないといえる範囲。ゲートは出ているが、全く行く気なく最後方から。元々追い込み一手だが、眼前にグランアレグリアが居て、競馬はし易かっただろう。仕掛けた時の瞬発力はグランアレグリアとは違っていたが、それでも上がりが掛かってくれる展開になったことも有り、この馬の脚は使って3着浮上。坂が上れたのは収穫だが、今日は展開の助けも相当利いている。人気を背負っていいタイプの馬ではなく、11月阪神戦辺りに出て来る様なら軽視したいところ。

ミスターメロディ

前走中京戦から馬体に大きな変化はないが、歩様に力強さが増した。馬に活気も有って、デキとしては前走以上。1200mだと出脚が速い方ではなく中段から。ハイペースで馬群がバラけたことも有り、上手くインへ潜ってセコい競馬が出来た。4角を出し抜け気味に回り、坂を上り切った辺りで一瞬だけ先頭に立ったが、直線はずっと右手前のままでそこからが続かなかった。鞍上としては最高の立ち回りが出来ただけに、これでやられたらどうしようもない。やはりベストは左回り。

クリノガウディー

叩いて大分良くなって来た。休み明けは硬い印象も有ったが、今日の歩様はスムーズ。馬体が見栄えしないのは何時ものこと。ゲートはむしろ速い方だったが、一瞬だけ内の出方を窺いつつ、下げて後方。基本的にはグランアレグリアの一歩前での競馬。ただ、この馬の決め手ではやはり通用しない。グランアレグリアには坂下、アウィルアウェイにも坂を上る途中で交わされていた。この馬としてはもっと前で闘わないと通用しないが、今日の展開と枠だとこれがベストチョイスだったことも確か。

モズスーパーフレア

-6kg。前走小倉戦が+14kgで、数字分だけスッキリ。歩様もこの馬としては悪くなく、落ち着きも有った。ゲートは五分程度だが、外のラブカンプーが例に依って好発、更にそれをビアンフェが叩く展開となり、マトモに競り合う形となった。前半3F32.8秒は昨年と全く同じペースとはいえ、今年の方が明らかに時計の掛かる馬場状態で、明らかにオーバーペース。直線向いてから坂を上る脚がなかった。ただ、この馬自身も一般的な逃げ馬と違い、一完歩目が怪しい時が有る。出脚自体は速いのだが、その点で外枠の方がレースが組み立て易いのは確か。

第24回シリウスステークス(GⅢ)

カフェファラオ

今日は1人で曳けていた様に、この馬としては一応落ち着いていた方。馬体も3歳馬ながら、それ程負けていない。今日は若干ゲートで安目を売ったが、急かさずとも自然と中段。今春東京戦は出脚が怪しかったが、芝スタートとダートスタートでは違う様で、結果完勝とはいえ、この位置で流れに乗れたことは大きかっただろう。4角で少し気合を付け、坂下の手応えで勝利を確信出来た筈。ただ、手応えの割には意外とサクラアリュールに粘られた感もない訳ではない。まだ3歳馬で、鍛錬を積んで行けば変わりそうだが、今にして思えば大井戦の負けは距離面も応えていたかも。

サクラアリュール

後肢にバンテージ。ダートを走る馬の割には馬体にパワフルさがなく、歩様も何処となく頼りない。これもゲートは宜しくなく、出脚もサッパリだったが、押して何とか中段やや後方。2角でやっと行き脚が付き、馬群がバラける展開だったことも有って内目を徐々に進出、坂下では先頭に立っていた。上手く運んだが、ちょっと早過ぎる位で一瞬止まりそうに見えたのだが、今日はそこからが渋太かった。色々向いたことも確かだが、初重賞挑戦でこれだけやれれば上等。馬体がもう少しパワーアップすればウェスタールンドの後継者になれる。

エイコーン

前後肢にバンテージ。首でリズムを取って気配絶好。一歩一歩が力強く、馬体のメリハリも有った。ゲート自体はサクラアリュールより速かったが、行く気はなく、そのサクラアリュールの直後から。道中は眼前のサクラアリュールがスイスイ行ってくれるので楽に立ち回れた。直線もサクラアリュールの進路を通って来るだけで自然と馬群が捌けたが、そのサクラアリュールが捕まりそうで捕まらなかった。器用だが、能力差は認めざるを得ないだろう。現状だと運良く交流重賞に出られた時に通用するかどうかのレベル。

ダノンスプレンダー

500kgを超える馬だが、胴長で馬に幅が有って、横から見るとスカッと見せる。手先のバネも有って、見た目は芝馬。中京で良く有るパターンだが、脚を滑らせながら出てしまい、ダッシュが付かず後方から。基本的にはエイコーンの後を追う形。エイコーンがサクラアリュールを捕まえられないのだから4着で仕方がないのだが、どちらかといえばジワジワ脚を使う印象。前走阪神戦は手前の替え方が雑だったとのことで、現状だと左回りの方が良さそうだが、それでこの結果だからまだ重賞ではワンパンチ足りない。

メイショウワザシ

ちょっと腹袋が有って、ダート馬らしい迫力の有る馬体。歩様も実にパワフル。馬に集中力も有った。直ぐ内のランスオブプラーナが行ってくれたとはいえ、更に外の馬に叩かれる形となったが、立て直して好位の外。これで流れには乗れたが、左回りはコーナリングが下手で、直線向いた直後に一瞬だけ右手前になったものの、直ぐに左手前になり、かなり内へモタれていた。何とか掲示板は確保したが、こちらはダノンスプレンダーと違って右回りの方がいい。

第66回産経賞オールカマー(GⅡ)

センテリュオ

胸がい。前後肢にバンテージ。増減なしだが、前走阪神戦より何処となくスカッと見せた。意外に成長しているかも。歩様にも力強さが有った。`出脚もない馬だが例に依って行く気もなく後方に近い位置。2000mの坂越えがギリギリの馬で、今日も大事に乗られたが、カレンブーケドールが早目にスパートしてくれて展開がドンピシャになった。実質的には直線勝負の競馬で、最後迄しっかり脚を使ってカレンブーケドールを捕まえた。評価の難しい内容だが、相手がカレンブーケドールだからそれなりの評価は必要だろう。2200mを我慢してくれたのも下見通り成長しているからだろう。

カレンブーケドール

シープスキンノーズバンド。ドッシリ見せるという程ではないが、このメンバーでも迫力で負けていない。3歳時と比較して歩様にも力強さが増した。出たなりで好位から。序盤から行きたがっており、宥めるのに必死になっていたが、ラスト1000m過ぎにミッキースワローが来たタイミングでそのまま行かせて、逃げたジェネラーレウーノと並走。4角手前で手応え充分に潰しに行ったのは仕方がないところだが、流石に早過ぎたか。最後にセンテリュオに捕まった。ただ、見た目だけでなく、走法も力強さが増している。行きたがっていた気性面は頂けないが、元々内枠で脚を矯めた方がいいタイプ。今日のメンバーなら地力が違っていたのは確か。

ステイフーリッシュ

小ぢんまりと映るのは元々。緩んでいないことと、歩様に硬さがなければ力は出せる馬だが、今日はその点で満点に近い。`ゲートを出て暫くフォームがバラついていたが、立て直して好位から。当初はカレンブーケドールが直後に居たが、前述した様に途中からカレンブーケドールが動いてくれて逆にこちらがマークする形。ただ、3〜4角中間で楽な手応えだったカレンブーケドールに対し、こちらは付いて行くので精一杯。ただ、直線入口で一旦はクレッシェンドラヴに1馬身出られたのだが、何とか差し返して3着。渋太い面は見せたが、あくまでGⅡレベル。カレンブーケドールの様なGⅠ級が出て来ると太刀打ち出来ない。

クレッシェンドラヴ

前後肢にバンテージ。毛ヅヤは良かったが、今日はそれ以外が全部ダメ。歩様が頼りなく、腹回りも緩んでいた。出脚が速い訳ではなさそうだが、最内枠の利を生かすべく、出して行って逃げたジェネラーレウーノの番手から。今日の様な特殊な競馬になると少頭数でもインに居た利はそれなりに有った筈で、4角の回り脚も他馬と比較すれば余裕有った。実際、直線向いて一旦は2番手だったが、坂が全く上れず4着止まり。中山でも勝っている馬だが、今日はデキが甘かったのが全て。

ミッキースワロー

前後肢にバンテージ。馬体はこれでいいが、左後肢が鳥脚気味。今迄にこういった歩様だったことはなく、何時になく左右のバランスが悪い。押して行ってもあまり進んで行かず、何とか中段から。中山巧者として回り脚が武器の馬が付いて行けなかった。これも調整の失敗に原因を求めたい。

第68回神戸新聞杯(GⅡ)

コントレイル

迫力の欠片もないのは2歳時からだが、前走東京戦辺りから馬体が纏まって不自然さはなくなって来た。歩様も気にはならない。好発。次走京都戦を考慮すれば無茶は出来ないところで、急かさず中段辺り。ただ、他馬のマークがキツく、道中は内でジッとしていたというより包まれていたが、直線で一瞬だけスペースが出来ると、逃さず割って入って突き抜けた。最後は2馬身差ながら、抜け出してからは抑える余裕も有り、オイデオイデの大楽勝だった。道中で余計なことをせず、馬が大人。あとは次走の京都3000mをどう立ち回るか、マトモなら問題はないだろうが、再度包まれる形は避けたいとしても、京都3000mで全部外を回って来る訳にもいかない。社台、ノーザン系のマークがどの程度になるかが焦点。

ヴェルトライゼンデ

コントレイルが見栄えしないことも有って、このメンバーなら馬自体はNo.1。歩様もスムーズで、物見をする位、落ち着いていた点も好感。ゲートが微妙に悪く、しかも18頭立ての大外枠。この時点で先行する選択肢はなく、後方からジックリと。恐らく一度試しておきたかった競馬でも有っただろう。直線迄待ってから大外へ持ち出し、若干内にモタれ気味では有ったものの、1頭脚が違っていた。好内容の2着。距離は問題ない筈で、次走京都戦も圏内。何処となく、2006年3着→京都戦Vのソングオブウインドを彷彿とさせる気もしないでもない。当時もこのレースは中京開催で、京都戦の本命は春2冠のメイショウサムソンだった。

ロバートソンキー

前肢にバンテージ。-8kg。数字分だけスッキリした印象。歩様も決して力強い訳ではないが、伸びやかさが有った。スタート直後に内外からパッチンを食らい、後方から。流石に序盤は行きたがっていたが、向正面ではスムーズに走れていた。道中は枠なりに内目を回り、直線向いてコントレイルの直後と進路も出来た。ヴェルトライゼンデには最後捕まったものの、脚勢自体は衰えておらず3着は確保した。ただ、前脚を強く掻き込む走法で、今日は登坂力でもぎ取った3着。基本的にはダートの方がいいかも。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。+6kg。緩んだところは一切なく、キッチリ出来ていたが、今日は馬がかなり気負っていた。出脚が速いということはない筈だが、積極的に乗られて好位から。中京で11番枠からこの位置も強気に乗られたと思うのだが、3〜4角中間から大した手応えでもないのに上がって行って先頭に立つ前にコントレイルにやられていた。コントレイルの為にペースを上げたというなら仕方がないが、この馬自身の競馬としては粗雑極まりない。逆にいえば馬は本当に良く頑張っている。

ターキッシュパレス

-8kg。まだ腹回りはボテッと映るが、体型の影響も有りそう。この手の馬は心肺能力が高いことが多い。歩様も窮屈さはなく、見た目に長距離向き。出脚が速いことはなさそうだが、少し出して行って中段。道中はずっとコントレイルの真横に居たが、4角で手応えが違い過ぎて一瞬で離され、直線向いて暫く経ってからジリジリ伸び出した。置かれさえしなければこのメンバーでも通用するということになるが、現代競馬は置かれる馬は中々通用しない面も。どうにかして機動力を鍛え直さないと。

第74回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

バビット

前後肢にバンテージ。+8kg。一息入って、数字分だけ腹回りが立派という程度だが、緩い印象はない。歩様に柔らか味も有って、淡々と歩けていた点も好感。本当に出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、押してハナへ。押して行った分、他馬も無理せず、1000m通過が1分02秒6というスロー。ただ、そこからがロングスパート戦になり、事実上、1200mの競馬を再びヨーイドンでやり直した様な競馬になった。只管突き放しに掛かるこの馬に対し、他馬が1頭また1頭と脱落していく中、サトノフラッグだけが直線向いても追い掛けて来たが、坂を上って突き放して勝負有り。時計は妙に掛かったが、特殊なペースになった影響も有るだろう。次走京都戦も有望だが、馬の精神力をどれだけ維持出来るかが焦点。

サトノフラッグ

シープスキンノーズバンド。デビュー以来、最低体重。ディープインパクト産駒だけに良し悪しは不明だが、休み明けにしてはキッチリ過ぎる位出来ていた。外枠で無理はせず後方に近い位置。前に馬を置いて折り合いを付ける形。3〜4角中間から進出、逃げたバビットに付いて行くだけで精一杯の馬が多い中、何とか影は踏める位置迄迫ったものの、登坂力で突き放された。ただ、相手の土俵で闘ってしまっただけで、今日は良く頑張った方。相変わらず回り脚はしっかりしているが、一線級の馬ではないこともまた確かだろう。

ガロアクリーク

完全な寸詰まり体型。チョコまかした歩様。父キンシャサノキセキより見た目はスプリンター色が強い。ただ、デキに関しては問題なく、毛ヅヤも良かった。ゲートは若干分が悪かったが、そこからの出脚が速く、スッと好位のイン。ただ、今日の展開だとインに居た利はあまりなく、バビットを一番先の捕まえに行く形。4角辺りから付いて行くだけで汲々となっていたが、何とか3着には踏ん張った。追っ掛けバテし易い展開での3着はスタミナを証明したといっていい。器用さも有り、父キンシャサノキセキが3000mで嫌われるなら案外狙い目となりそう。

ラインハイト

前後肢にバンテージ。+10kg。数字分だけ重いのだろうが、ボテッと見せるという程でもない。キビキビ歩けていて、イレ込みに近いレベルで気合は乗っていた。最初から手綱は動いていなかったが、それでも馬が勝手に進んで行って好位直後。基本的にはガロアクリークを眺めながらの競馬。この展開としては他力任せで楽に運べた方だが、となればガロアクリークは最低でも捕まえたかったところ。上位3頭は全て重賞勝ち馬だったが、それらのクラスとはまだ差が有る。

ヴァルコス

周囲を窺う余裕が有り、気配自体は良好。ただ、-2kgの割に少し馬が緩い様にも映った。歩様はしっかりしていたのだが。この馬の場合は時々全く進まない時が有るが、今日がそのパターンで出脚が付かず後方から。これも1200m地点辺りから手は動いているのだが、如何せん行き振りが悪く、最後の最後にやっと伸びて来た。今日の展開だともうちょっと距離は有った方が良さそう。京都3000mとなると適性が有るかどうかは疑問も有るが。

第38回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

リアアメリア

前後肢にバンテージ。+14kg。休養前の前走東京戦同様、落ち着いていたのが何より。無論、馬体増も無条件で好感。毛ヅヤも冴えて太目にも映らず、ちゃんと鍛錬を積んで来た印象。ゲート内での落ち着きはなかったが、たまたま五分に出て出脚も速く、スッと2番手。まず4番枠のヤマニンプティバに叩かれる形となったが、更に大外からエレナアヴァンティが来て、一瞬ゴチャついて引っ掛かりそうになり、ならばとヤマニンプティバは叩き返して再度2番手へ。かなり手綱は引っ張っていたが、この位置で揉まれずスムーズに運べたことは大きかっただろう。4角で前を見切り、更に登坂力で突き放した。坂を上り切った辺りで左手前にはなっていたが、後続が差して来ることはなく、楽勝だった。トビの大きさは流石というところだが、ちょっと評価に迷う内容。今日はゲートから上手く行き過ぎた感が強い。取り敢えず次走の小回り、右回りの京都2000mは確実に向いていない。

ムジカ

後肢にバンテージ。馬格がないので迫力はないが、腹回りが薄いだけでトモはしっかりしている。如何にも瞬発力一本というタイプ。下見で舌を出してノンビリ歩いていたが、この手の馬はこれ位の気配の方が走る。ゲートも微妙に悪かったが、行く気もな後方に近い位置。最初から出来る限り、内へ潜りに行って、直線に向いてから進路を探す形。中京だけにバラけ易いのだが、運良く前が開いてくれた。ただ、登坂力はなさそう。本当にエンジンが掛かったのは坂を上り切ったラスト200m。回転数は有りそうだが、坂を上るにはもっとパワーアップしたいところ。とはいえ、この手の馬は条件よりも展開ひとつ。

オーマイダーリン

+6kg。連闘での馬体増は基本的に歓迎。このメンバーだと多少馬が薄い気もしないでもないが、集中力が有って、手先のバネも利いていたのも連闘だけに好材料。元々出脚の甘い馬だが、ゲートが開いて出て行かず、これも最初から内ラチ沿いへ。ただ、最初に寄せた割に、後方4〜5番手というところで、序盤は行き振りが悪かった。人気がなかったことも有り、腹を括ってイチかバチかでそのままインを突く形。前が思いの外スムーズに空いて伸びて来たが、楽々2着の筈が最後に甘くなってムジカに捕まった。距離が長いか、いい脚が長く続かないタイプ。何れにしてもこれだけ序盤に進まないのは連闘の悪影響も有った筈で、最早京都戦は使わない方がいいレベルだが。

デゼル

+10kg。コロンと映るのは良し悪しハッキリしないとしても、明らかに歩様の力強さを欠いていた。1馬身出遅れ。更に引っ掛かりそうになっており、位置取りよりもまずは折り合いに専念。2角手前で何とか折り合いは付いたが、結果的にスローペースで後方の外と、一番悪い位置取りになった。他の7枠2頭の内、1頭はインへ潜りに行き、もう1頭は自分の前と、結果的にこの並びも悪い方に出た。それでも最後は惜しい4着迄詰めている。今日のままなら京都内回り2000mは向かないということにもなるが、能力は示した。少なくとも2,3着馬よりは遥かに強い内容。

クラヴァシュドール

前後肢にバンテージ。+18kg。良くいえばドッシリと見せるが、牝馬だけに多少立派過ぎた かも。ただ、銭形が浮いて、毛ヅヤピカピカ。仕草に堪えも利いており、デキだけなら文句なし。出たなりで中段から。馬群の外では有ったが、前に馬を置いて、この馬としては折り合いも付いていた。直線向いてもスムーズで、追い出して直ぐの反応も良く、この時点では2着かに思われたが、坂を上ってからが案外だった。今日の内容だけだと距離を疑う止まり方。ただ、次走平坦に替わって、馬体ももう少し絞れれば誤魔化しが利く範疇。人気次第で2,3着には絡めたい。

サマーマイルシリーズ第4戦 第65回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

トロワゼトワル

数字通り、前走新潟戦と変わらず。スッキリ見せて、曳き手を馬自身が引っ張って行ったのも前走同様。ゲートは決めたが、内枠の馬が抵抗しており、一瞬控えようとしたところで、更にスマイルカナが一気にハナ。そこで前述の内枠勢が控え、ならばと2番手へ。この辺のペース判断やアクセルとブレーキの使い分けは鞍上が昔からお得意とするところ。4角もスマイルカナと少し距離を取ってちょっと可愛がりつつ、最後はハナ差。今日は前残りが多い日では有ったが、兎に角お見事という外ない。

スマイルカナ

2人曳き。前肢にバンテージ。+14kg。馬体増は無条件で歓迎。緩い印象もなかった。ただ、もっと落ち着いてくれるに越したことはない。半馬身出遅れ。中山マイルの外枠で、半馬身とはいえ痛恨の出遅れだったが、外枠はリカバーも利き易く一気にハナへ。小細工せず行き切ったことで、他馬が控えてくれて、1000m通過58.3秒と極端に速いペースとはならずに済んだ。4角で息を入れるだけの余裕も有り、最後は流石に捕まったものの、僅差2着確保は立派。クラブ馬のトロワゼトワルは来春で引退ということになるが、その後継者の資格は充分だろう。

ボンセルヴィーソ

前後肢にバンテージ。今日は馬体の張りがイマイチ。休み明け感は有った。一歩一歩の脚取りはしっかりしていたが。好発。一瞬はハナも覗かせていたが、スマイルカナが飛んで来て、好位から。中山マイルでは良績を残している様に、こういった内々を立ち回る競馬は上手く、今日もパターンにはハマった。直線もジワジワ伸びており、あそこ迄行ったら捕まえたかったところだが、休み明けでデキが一息だったのが最後に響いた感も。若しくは、結果的にトロワゼトワルに勝たれる位なら、抵抗して2番手でも良かったかも。何れにしても何か一つ違えば勝っていた筈で、中山マイルは鬼といえる存在。

ジャンダルム

前回新潟戦のオーストラリアンブリンカーを外して、今回から遮眼革。下見では走るのかどうか全く分からないタイプだが、見た目のデキは上々。冬場の方が走る印象も有るが、馬体に張りが有って、毛ヅヤも良かった。序に気配も良さそうに見えた。ゲートはアテにならない馬だが、昨年のこのレース同様、今年もゲートを決めて好位から。ただ、ゴチャついたという程ではないものの、気ムラな面が有る馬が出入りの激しい形になったのは歓迎しないところ。序盤だけでなく、3〜4角でも外から来られており、鞍上が集中力を切らさない様に乗っていた様に見えた分、仕掛けが遅れているのだが、それでも最後は脚を使っている。他場だとサッパリに近いが、中山ならまだ馬券になる。

シゲルピンクダイヤ

前後肢にバンテージ。+18kg。馬体が回復してギスギス感が解消。下見の外を周回して、集中力も有った。ゲート入りにゴネていたが、その割に五分以上のスタートを決めて好位直後から。ただ、これも内に居た分、道中出入りの激しい形に割りを食ったクチ。何度か引っ張る場面が有った。その所為か、勝負どころで結構手が動いており、決して反応は良くなかったが、何とか掲示板は確保。今日の内容だけなら力はそれなりに持っているということにはなるものの、ゲートは常にネックでアテにし辛い。

サマースプリントシリーズ第6戦 第34回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

ダノンスマッシュ

前後肢にバンテージ。-6kg。GⅠとなると詰めの甘い馬で、色々休み明けの仕上げを模索しているのだろうが、今日は強目に造り込んで来た。それでいて落ち着きが有った点も好感。セイウンコウセイ、ラブカンプー、ビアンフェと先行馬3頭が行って、少し離れた4番手。道中の折り合いは問題ない馬だが、行き振りが良過ぎる位で、手応えのまま強気に乗られて正攻法。抜け出してからも脚色衰えることなく、力強く押し切った。今日の内容だけなら次走も本命級ということにはなるが、この馬の場合はトライアルで強く、本番でサッパリ。色々ライバルがいなくなった今年はチャンスなのは間違いないのだが...。

メイショウグロッケ

前肢にバンテージ。1200mは初めてだったが、意識して造って来た様で、何時もより気合が乗っていた。馬体も柔軟性が有ってまずまず。好発。恐らく急かして行けば有る程度行けたのだろうが、マイペースに徹して中段から。今春京都戦もそうだが、内で脚を矯めて流れに乗れると最後に脚を使ってくれる。開幕週の良馬場では有ったが、1分8秒の決着になった点も向いた。外枠だと厳しい等、今後も注文は付くものの、この辺りのメンバーなら展開ひとつ。

ミスターメロディ

-10kg。数字分だけスッキリ。馬体に張りが有って、見た目が悪いという訳ではないが、スプリント戦だけにもうちょっと分かり易いパワフルさが欲しいところ。ゲートを五分に出て、好位。最初はダノンスマッシュと並走していたが、力んでしまい、一旦引いて内に入れて我慢させる形。ただ、追い出して暫く左手前だったことも有り、内にモタれてモタついている間にメイショウグロッケの強襲を許してしまった。最近の中では競馬になった方だが、ちょっとチグハグ。

タイセイアベニール

前肢にバンテージ。良し悪しは別にして、前走小倉戦より気配は地味。ただ、馬体の張りは明らかに上向いている。やや出負けして中段やや後方。今日は終始積極的で、3角で中段、直線向いてメイショウグロッケと併せ馬。良く食い下がっていたが、坂を上り切ってからがこの馬にとっては長かった。内で脚を矯めていたメイショウグロッケと、外を積極的に乗ったこの馬とでは最後の粘りが違うのは致し方ないところだが、強いていえばミスターメロディには先着したかった。重賞でも圏内ということにはなるが、その分だけ値打ちが下がる。

ビアンフェ

3歳馬ながら、数字が一番大きい様に、馬体は迫力満点。休み明けでも一切緩んだところがなく、皮膚を薄く見せるの若さだろう。今日は硬さもなかった。一完歩目が微妙に分が悪かったことも有るが、両サイドのセイウンコウセイとラブカンプーに譲ってくれる気配はなく、3角で諦めて3番手から。先々を考えれば無理矢理行き切った方がいい方に出ることも多いのだが、今日は4角で上手く脚が矯められた分の5着。つまりは、一本調子ではないところを示したということになるのだが、手前が替わっておらず、怪しさは有る。

第5回紫苑ステークス(GⅢ)

マスターズディオサ

+12kg。数字は成長分というよりは回復分。今日は馬に活気が有った。しっかり踏めていた点にも好感。ゲートを決めて、出脚も速くスッと2番手。壁なしの2番手で、道中は引っ張り気味の追走。1000通過61.8秒だから稍重の馬場を考えてもスロー。抑え切れない手応えで4角手前で先頭。坂でも勢い衰えることなく、そのまま押し切った。例年なら昔のローカルハンデ重賞の様なマクり合戦になるこのレースだが、珍しく淡々としたペースになったのが最大の勝因。従って過大評価は避けたいいうことにはなるものの、この馬自身は今春に競馬を投げている様にも見えただけに、最後迄頑張れた点は評価出来る。次走京都戦もペース次第。

パラスアテナ

シープスキンノーズバンド。ルーラーシップ産駒だが、ディープインパクト産駒の様なメリハリの利いたしなやかな馬体。歩様も力強い。ゲート五分。大外枠であまり無理は出来ないところだが、この馬の出脚で中段は確保。スローでも道中の折り合いは付いていた。3〜4角中間からジワッと進出、外を回されて楽な展開ではなかったが、最後迄ジワジワ脚を使って2着確保。例年の乱ペースなら勝っていただろう。恐らく前走の福島戦はいい経験になっており、小回り向きの器用さが有って、尚且つ持続力が有る。デアリングタクトは別にして、次走京都戦は相当高い評価が必要。

シーズンズギフト

+8kg。胴長の造りで、馬体増でもまだスカッと見せる範疇。もうちょっと歩様に柔らか味が欲しいところだが、春に気になった左右のバランスの悪さはなくなった。外のパラスアテナに抵抗しつつ、行きたがるのを宥めながらジワッと好位。尤も、行きたがったのは序盤だけで、向正面に入ってからはスムーズ。ただ、3角過ぎから内にモタれたとのことで、回り脚が鈍くなり、そこで外から来られて包まれる場面。直線入口でインに進路を取って、上手く捌いたが、やはり直線も内からステッキが入っていた様に、モタれ気味の分、伸びが甘くなった。マトモならこのメンバーでも力量差はないということになるが、下見はマシになっていても、モタれるのは春も一緒。要はまだ鍛錬が足りない。

マジックキャッスル

シープスキンノーズバンド。422kgの馬が休み明けで増減なし。もっと増えて出て来て欲しかったが、逆にいえばキッチリ出来ていた。非力な印象がないのは春同様。好発。出脚も有る馬だが、今日は行く気がなく中段から。器用さでは現役トップクラスの馬で、折り合いも付いてスムーズに運べた。ただ、4角で前の馬を捌く形になり、直線入口でホウオウピースフルに外から寄られていた。器用とはいえ、コジ開ける様な形になると馬格の差が出てしまい、最後は甘くなった。結果的にもう一段前で競馬すべきだったか。次走京都戦もセコい競馬が出来る枠なら出番充分。

ミスミューヨーク

寸が詰まったマイラー寄りの体型。極端に落ちるという訳ではないが、このメンバーに入ると垢抜けない印象は有る。5枠2頭が先行しようとしたところで、一瞬だけ抵抗したが、直ぐに引いて好位直後、前から6〜7番手辺り。4角は前が詰まり掛けたが、直線向いてマルターズディオサの後ろへ進路を取り、ここは上手く立ち回れた。ただ、今日は登坂力がなかった印象。中山でも500万を今春に勝っているが、このクラスで戦うにはパワーアップが必要。

ウインマイティー

前肢にバンテージ。-4kg。休み明けの馬体減は先々考えれば好材料ではないが、今日のデキに関しては問題なし。毛ヅヤが良く、歩様もスムーズ。ゲートをアオる様な形で出てしまい、ダッシュが付かず、後方から。今日のスローならもうちょっと早く動いても良かったと思うのだが、3〜4角中間位から追い上げ、直線は大外。それなりに脚は使っているが、前も止まらないところで、見た目にはジリジリだった。今日は展開不向き。小回り適性も怪しいが、出遅れた影響も大きく、その辺りは次走京都戦次第ということになりそう。