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競馬回顧 2020年4回阪神

サマーマイルシリーズ第2戦 第68回トヨタ賞中京記念(GⅢ)

メイケイダイハード

パシュファイヤー。比較的馬場の良かった木曜とはいえ、坂路で好時計をマークしたが、確かにデキは良さそう。歩様に力強さが有って、馬に活気が有った。ゲートはやや後手。そのまま行く気なく、後方に近い位置。道中も1000m57.5秒、兎に角馬場が悪く、馬場の3分どころ辺り迄荒れている状況でソコソコ流れたが、掛かる位の行き振り。枠なりにずっと馬場のいいところを回って来た。ラスト200mで左手前に替えてグイッと一伸び。最低人気だったが、単純に強い内容だった。要は集中力を如何に続かせるかどうかがポイントとなる様。昔のダイタクヤマトではないが、集中力の切れていた馬が勝利をきっかけに変わることも少なくない。当然、サマーマイルシリーズを狙うことになるが、次走は人気次第で狙ってみる手も。

ラセット

腹回りは少しスッキリとしているが、トモに迫力が有って、デキは良さそう。しっかり踏めていたテンも好感。本気で行こうと思えば行ける出脚が有る筈だが、前走同様に全く行く気がなく後方から。荒れ馬場には自信を持っていた様で、道中は内ラチ沿いへ寄せて、直線だけ外へ。丁度メイケイダイハードの直後に出て来て、完全な勝ちパターンだったが、前のメイケイダイハードが同じだけ伸びており、届かずの2着。途中迄の勢いは良かったが、坂を上り切って甘くなった様にも見えた。いい脚が長く続かないタイプ。

エントシャイデン

後肢に短目のバンテージ。-6kg。取り立てて強調出来る造りではなかったが、この馬としては硬さがマシになっていた。ゲートを出てから進んで行かず、押して行っても後方から。最初から内へ潜りに行って、これ自体は間違っていなかったが、直線向いてから外へ持ち出そうとしても常に何か壁が有るままだった。その中での僅差3着は悪くない内容。これも人気はあまりなかったが、ハンデ56kgでの好走でも有り、充分力は足りる。

ケイアイノーテック

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+8kg。馬体は増えたが、相変わらずスッキリ映る。毛ヅヤは良かった。出脚は間違っても速い方ではなく、例に依って後方から。これ自体は何時ものパターンだが、トビが大きいので早目に外を追い上げざるを得ず、結果的に内から外へ持ち出した馬にやられてしまった。不器用過ぎて阪神外回りでも直線が短い。次走新潟ならまだ可能性は上がるということにはなるが、アテにはし辛い。

ミッキーブリランテ

馬体だけを見れば重心の低い造りで悪くないが、歩様はちょっと頼りない。踏み込みに力強さが欲しい。そこ迄遅れていた訳ではないが、周囲の馬の方がゲート、出脚共速く、中段辺りから。道中の手応えは悪くなく、3角過ぎから楽な手応えで上がって行く雰囲気は、祖父のディープインパクトを彷彿とさせたが、結果的に早過ぎた様で、坂が上り切れなかった。荒れ馬場で思ったよりバテが早かったということにはなるが、見た目にパワーがなく、登坂力も欲しい。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第56回函館記念(GⅢ)

アドマイヤジャスタ

パシュファイヤー。胴長でスカッとした造り。近走案外だが、柔らか味の有る歩様でケチの付けるところがない。ゲートは五分程度。枠は遠かったが、少し押し気味に中段から。馬装の割に前に馬を置いて折り合いを付ける形。3〜4角中間から勢いを付け、直線は外から1頭だけ脚が違った。2歳時はともかく、3歳以降はサッパリだったが、前走阪神戦が少しキッカケになったか。マトモな重賞勝ち馬がレイエンダ程度とレベルが低く、そのレイエンダが凡走したことも大きいが、単純に完勝といえる内容。見た目にデキがいいので、今後要注目。

ドゥオーモ

前後肢にバンテージ。見た目はトモが薄く、非力に映るのだが、歩様はしっかり。ノンビリ歩けていた点も好印象。ゲートをアオり気味に出て、1馬身出遅れ。元々出脚のない馬でも有り、そのまま後方から。枠の関係も有ったが、道中はずっと内。ただ、3〜4角中間過ぎから少しずつ外へ持ち出せる様な進路が有った。直線で一番外に持ち出す場面こそ些か強引だったが、上手く捌いて2着浮上。展開も味方したが、最後のひと脚は際立っていた。アテにはならないが、これで重賞2回目の馬券圏内。脚は持っている。

バイオスパーク

前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回していたが、特にイレ込んでいる様な雰囲気ではなかった。メリハリの利いた造りで、デキに不足はない。スタート直後に躓いて出脚が鈍ったが、最内枠のレイエンダがしっかり行ってくれたことで好位5番手辺りを確保。ズブい面の有る馬で、3角手前から鞍上の手が動いていたが、そこから追い通しで上手く内を捌きつつ渋太く伸びて来た。ただ、手前を替えていたら2着有ったかも。函館にも良績の有る馬だが、左回りの方が成績は安定している。

トーラスジェミニ

迫力はないが、コンパクトに纏まった造りで、如何にも小回り向き。歩様に推進力が有って、デキ自体も良さそう。好発。ならばと押してハナへ。ジワッと行ったというよりは、注文を付けて仕掛けて行ったという感じで、1000m通過も58.8秒と馬場状態を考えればハイペース。更に人気を集めたレイエンダがピッタリ2番手で付いてきており、マクられる様な形ではなかったにせよ、それなりに苦しい形だった。上位入線馬の中では一番ハンデを背負っていたことも有り、これも良く頑張っている方だろう。次走札幌戦だが、展開次第では一発も。

レイホーロマンス

-20kg。前走阪神戦の436kgが自己最高体重だったとはいえ、流石に腹は巻き気味。それでも歩様に力強さが有って、気配も良かった。外の馬に寄られたことも有り、控えざるを得ない形となり、後方から。尤も、この馬の場合は後方からの競馬でも手慣れたもので、馬群を割る形も得意とするところ。変に外へ持ち出すことはせず、可能な限り真っ直ぐ走ってここ迄。常に一脚は使えるタイプ。ただ、今日の馬体減は頂けず、次走は反動を案ずるところ。

第52回函館2歳ステークス(GⅢ)

リンゴアメ

2人曳き。+8kg。前肢にバンテージ。前走が細い印象だったので、明らかに馬が良くなった。緩んでいる雰囲気もなく、歩様も力強い。出脚は速く、先行争いに首だけ突っ込んでいたが、行きたい馬に行かせて好位4番手。圧倒的1番人気だったモンファボリの直後から。コーナリングが下手だったことも有って、3〜4角中間の手応えは決していい様には見えなかったが、直線向いてからは重心がグッと下がってしっかりした脚取りで突き抜けた。マークしていたモンファボリが不発となり、基本的には前残りとなり易い形だったが、新馬で1000mとはいえちゃんと差して勝ったことが今回に生きた。一応、例年の水準級は有る筈。

ルーチェドーロ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。重心が低く、ダートで下したのも頷ける造り。ただ、トモの送りが少し硬いのは気になった。何が何でもという構えではなかったが、この馬の出脚で2番手。道中はスムーズに運べた。3角から手応えが怪しくなり、4角はモンファボリにマクられそうになっていたが、そのモンファボリが失速し、一瞬は逃げたフォドラにも突き放されそうになっていたが、最後迄渋太く伸びてフォドラを捕まえたところでリンゴアメに交わされ、結局2着。芝でハナに拘らずに走れたことは収穫だが、当然ながら決め手は欲しい。ダートの方が無難。

ラブケリー

前後肢にバンテージ。数字が大きくないことも有るが、この時期の2歳馬としては馬体が纏まっている。トモの張りが有って、歩様もそれなりにしっかりしていた。ゲート自体は五分に出ているが、出脚がサッパリで後方から。4角の行き振りも決して良かった訳ではないが、腹を括って只管インを通ったのがいい方に出た。内も開いて最後はリンゴアメが居なければというところ。リンゴアメとルーチェドーロの間を狙った際に一瞬だけ逡巡した様に見えたのが痛かった。現状は短距離の差し馬ということになるが、ただこの手の馬が古馬になって走るケースは殆どない。良くて1000万。

フォドラ

前後肢にバンテージ。408kgの馬だが、背丈そのものが低い。非力な印象はなく、これも馬体の纏まりは有る。出脚が抜群に速く、スッとハナ。600m通過33.5秒は2016年と並んで過去最速タイ。2番手のルーチェドーロやモンファボリはそこ迄競りかけて来る気配ではなかったが、結果的にもうちょっと矯めても良かったかも。3〜4角中間で一息入れようとした際に、前述のルーチェドーロやモンファボリに来られて苦しくなった。これはこれで次に繋がる競馬ながら、もうちょっと工夫が有れば2着有った気もしないでもない。一度、新潟の直線競馬で観てみたい気も。

カイザーノヴァ

2人曳き。寸が詰まったスプリンター体型ということも有るが、もうちょっと絞れて欲しいところ。迫力は有って、絞れればもっと走りそうだが。落ち着きも欲しい。ゲートは出ているが、他馬の出脚が速く、押して何とか中段から。ただ、鞍上の話では道中がフワフワしていたとのことで、ちょっと手応えは怪しく、直線も中々エンジンが掛からず、実質本気を出したのは100mだけ。距離が延びれば相手が強くなるのだが、1600m位の方ががいいかも。

サマー2000シリーズ第1戦 第56回七夕賞(GⅢ)

クレッシェンドラヴ

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが冴えて、トモの張りも目に付いた。デキ自体は正月以来の実戦でも問題なさそうだが、ちょっと歩様は硬目。ゲートは出ているが、あまり進んで行かず後方に近い位置。出来る限り外のいいところを選ぼうとはしていたが、内枠なので外に壁は有り、腹を括って3角からは内目を進出。最初は馬場を気にしていた筈の馬が、今日はこの脚が速かった。直線もしっかり抜け出して外の追撃を振り切った。荒れ馬場は決して得意ではないのだろうが、恐らくはスタミナと回り脚が有る。福島巧者とはいえ、トップハンデで勝ったのだから文句なし。

ブラヴァス

皮膚を薄く見せて、デキ自体は上々。馬体もバランスの取れた造りだが、もうちょっとしっかり踏んでくれると理想的。ゲートを五分に出て、ジワッと中段馬群の先頭。全体で概ね6番手辺りから。外枠だったことも有って、馬場のいい外をずっと通って、道中はリズム良く運べた。ラスト200mで逃げていたパッシングスルーを捕まえた時は勝ったと思っただろうが、内からクレッシェンドラヴ。鞍上は中央全10場制覇が懸かっていたとのことだが、これで負けたら相手を称える外ない。敢えて敗因を探すなら、馬自身がまだ重賞ではワンパンチ足りないというべきか、こういう荒れ馬場での強かさの問題。鞍上は完璧に乗った。

ヴァンケドミンゴ

シープスキンノーズバンド。重量感の有る造りでデキに問題はなさそう。歩様もスムーズさが有った。ゲートが微妙に悪かったが、この馬としてはマシな方で、外枠ということも有って立て直しも利いてブラヴァスの直後から。あとは只管ブラヴァスに付いて行った形だが、1周丸々内にモタれており、その分、4角の回り脚が甘かった。もうちょっと一緒になって追い上げて行ければ面白かったが...。これも福島には良績の有る馬だが、ここ迄内にモタれるのは今迄になかった症状。恐らく、荒れ馬場自体を得意としていない分も有るだろうが、重賞で勝ち負けに持ち込むにはもう一段のパワーアップが欲しい。

ヒンドゥタイムズ

後肢にバンテージ。数字の割にはドッシリと見せるタイプだが、これは3歳時から。見た目の成長には乏しい。歩様に硬さが有ったのはマイナス。ゲートで横を向いている時に開けられ、出遅れ1馬身不利。腹を括ってジッと後方から。動き出したのは4角手前で、4角を回り切ってから大外へ持ち出す形。このコーナリングが上手く行ったことも有って、3着ヴァンケドミンゴとは2馬身差程度の位置に出て来れたが、前も同じ脚で伸びており、ここ迄が一杯だった。せめてゲートを五分に出たかったところ。上位馬が軒並み福島巧者で、ツキの問題も含めて洗礼を浴びた格好。

ウインイクシード

前後肢にバンテージ。一息入ったが、変わらず馬体はスッキリ映る。気配には乏しいが、しなやかな動きで、デキ自体は良さそう。恐らくは最初からの決め打ちだっただろうが、ゲートを決めてそのまま2番手。逃げたパッシングスルーを筆頭に各馬が内を開けて走っていたが、この馬だけが内ラチ沿いを通って一発を狙う競馬。直線向いた段階では一瞬オッと重わえたが、直線で中々手前が替わらなかったことも有って、一伸びを欠いた。こういう競馬は案外次に繋がる。次走も馬場が悪くなる様なら狙い目に。

第25回プロキオンステークス(GⅢ)

サンライズノヴァ

前後肢にバンテージ。当然ながらこのメンバーに入れば馬は一枚上。歩様にも伸びが有って、近年の中でもかなりいい方。半馬身程出負け。あまり行く気もなく後方から。3角過ぎから外を追い上げ、4角で中段。ここの行き振りが抜群に良く、直線も手応え通りに突き抜けた。右回りは2017年12月中山戦以来とのことだったが、元々右回りでも問題なく走れる馬で、今日も手前をしっかり替えられていた。59kgを背負って完勝といえる内容だが、戦前の想定よりは馬場が乾いたことと、結果的にエアスピネルが2着に来れる組み合わせで相手も大概だった感も。

エアスピネル

体型自体は元々ダートでもイケそう。馬に活気も有った。ただ、若い頃よりちょっと歩様が硬くなった気もしないでもないが。時々出遅れる馬だが、今日はゲート五分。多少押していたとはいえ、芝での出脚も決して悪くなかった。ただ、ヤマニンアンプリメやサクセスエナジーに向正面で交わされる形となり、それなりに砂を被る形だったが、道中は舌がハミを越す場面も有り、結果的に集中力の散漫さがいい方に向いた感も。直線に向いてからも同じ様に舌が飛び出ていたが、それでも最後迄頑張っていた、今日は単純にデキが戻っていたことが大きい。歩様の硬さも、1年前函館戦のトモが流れていたことを考えれば遥かにマシといえる。ただ、次走は札幌1700mとのこと。舌がハミを越す状況で距離延長は歓迎しない。

ヤマニンアンプリメ

前後肢にバンテージ。鼻出血明けということで走ってみないと分からない部分も有ったが、見た目には問題なく出来ていた。歩様の非力感もなかった。好発。行きたい馬には行かせて、内の様子を見ながらジワッと好位。ダートに入ってからの行き振りが良く、鞍上がむしろ抑え気味で乗っているのに、気持ち良く走っていた。4角手前からサクセスエナジーの進出に内から併せる形。坂下で先頭に立ち、一瞬はやったかの場面だったが、坂を上る脚で甘くなり、外から2頭。結果的に牡馬相手の56kgはキツかったということになるが、鼻出血明けでもマトモに走れたのは収穫。ただ、今日は雨こそ上がっていたとはいえ、曇天だった。冬場の乾燥した状態でもどうかという問題は有るが。

デュープロセス

+10kg。数字分だけ緩い印象だが、デキ自体に問題はなさそう。手先のスナップが利いていて、馬に活気も有った。ゲートでアオッたことも有るが、最初からの決め打ちだった様で、そのまま最後方から。眼前にはサンライズノヴァが居たが、3角過ぎから気持ち良く上がって行ったサンライズノヴァに対し、こちらは完全な直線勝負。実質的には競馬が終わった後だったが、最後迄脚を使って4着浮上。前々走兵庫の交流戦が初遮眼革での逃げ切り勝ち。如何に気分良く運ぶかが鍵となるが、今日の内容だけだと交流戦レベルで、中央だとワンパンチ足りない印象も。

トップウイナー

ダート馬としてはシャープな体付きだが、トモにはボリューム感が有ってメリハリの利いた造り。好発。出脚が速いというよりは結構押していたが、ラプタスの逃げを追い掛ける形で2番手。押した分も有って、道中の行き振りは良かった。序盤のペースも1000m57.9秒だからそこ迄速くないのだが、ヤマニンアンプリメ等、後続の追い上げが早目だったことが応えた様で、最後はほぼ無抵抗だった。ただ、今日は重賞初挑戦。これがいい経験になれば。

第69回ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

バビット

前後肢にバンテージ。本当に良くなるのはまだ先だろうが、バランスの取れた好馬体。ただ、トモの送りは少し硬目。ゲート内は決して大人しい方ではなく、更にスタートも真っ直ぐに出ず、ディープキングと接触していたが、それでも気合を入れてハナへ。2角過ぎにペースを落とそうとした際にグレイトオーサーに来られ、道中は息の入れ辛い展開になったが、それでも委細構わず4角手前から後続を突き放しに掛かり、そのまま押し切った。スピードというより持続力で頑張り通す昔のツインターボタイプ。ツインターボ程、後続を離す訳ではないが、そこは競馬のスタイルがかつてと違う部分も大きいだろう。また、鞍上の内田博幸騎手は、急遽の代打だったが、お見事。阪神で2着だったアンヴァルもそうだが、元々の予定だった若手騎手で上手く行ったかどうかは...。

パンサラッサ

スカッと見せるのは毎度。筋肉の輪郭が浮いて、デキ自体に問題はなさそう。気合も乗っていた。これもスタート直後にコスモインペリウムと接触したが、積極的に乗られて好位の外。逃げたバビットがしっかり飛ばしてくれたことで、隊列も早目に決まってくれた。前がバラけているのでグレートオーサーの進出も多少連られた程度でやり過ごす余裕が有り、外枠としては上手く運べた。ただ、直線はバビットに突き放される一方。ベストはハナか。

ディープキング

胴が短目で、マイラー寄りのディープインパクト産駒。トモに厚みが有って、手先に柔らか味も有った。前述した様にスタート直後にバビットと接触。それでもバビットがしっかり行ってくれたことで、内のスペースは空いており、何とか中段は確保。ただ、馬場を気にした様で、道中の手応えはずっと怪しく、向正面へ行ってから外へ持ち出していたが、それでも4角は外のサクラトゥジュールにマクられそうになっていた。それで3着だから、最後は渋太く盛り返している。馬体の見た目とは一致しないが、根性とスタミナを持っている。

パラスアテナ

前肢にバンテージ。+10kg。馬体に張りが有ってデキ自体は良さそうだが、数字分だけ微妙に立派。それでも馬に活気が有り、歩様も力強い。行こうと思えば行ける出脚の有る馬だが、前走東京戦同様、急かすことなく後方待機。道中の折り合いも怪しく、馬場の悪いところだと手応えが悪く、向正面で外へ持ち出すと今度は少し前へ行こうとしており、この雰囲気のまま4角の脚色は決して悪くなかったのが直線は一伸びを欠いた。前走東京1800mの時計が1分45秒9。今回は当時より2秒掛かる馬場状態になっており、馬場が合わなかった印象。

ルリアン

500kgを超える馬だが、馬体のしなやかさは有りそう。淡々とは歩いていたが、歩様にブレがなく、芯がしっかりしたタイプ。ゲートが微妙に悪いのは大外枠だけに大した問題でなかっただろうが、1角で外へ逃げそうになる場面。基本的には中段辺りに居て、徐々に前へ進出。間違いなく脚は持っているのだが、3〜4角でも外へ飛んで行きそうになっており、コーナリングは話にならないレベル。前走阪神戦はそんな気配はなかったのだが...、ただ、それで5着なら能力は持っている。上手く行けば先々は大化けするかも。

サマースプリントシリーズ第2戦 第56回CBC賞(GⅢ)

ラブカンプー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。何時も以上に気配には乏しかったが、馬は今年に入った辺りから大分良くなっていた。ただ、もう少し歩様に柔らか味が欲しいところ。好発。出脚も速く、ゲートで3分の1馬身、更に出脚で1馬身以上稼いでハナへ。前半600m通過33.5秒は、馬場状態を考慮すれば結構速いペースだが、後続もその点は分かっており、2番手グループが雁行の展開に。こうなるとむしろ楽な形になる。4角手前から少しずつ引き離しに掛かり、直線向いた段階で3馬身以上離しており、この段階で勝負有り。乾いて来た馬場や軽ハンデも味方した上に、この馬自身もデキ自体が最悪を脱していたこと、前走新潟戦位から最後迄諦めず走れる様にもなっていた。色々向いたとはいえ、スプリント戦で出脚が有るのは常に強み。

アンヴァル

2人曳き。寸の詰まった体型だが、馬体に張りが有って、今日は抜群に良く見せた。歩様も一歩一歩に力強さが有った。戦前のハナ想定はラブカンプーかグランドロワだったが、ラブカンプーはともかく、グランドロワに出脚がなく、少し押してラブカンプーの番手へ。前述した様に、今日の展開だとこの位置はキツいところだが、インだけは別。3角辺りから少し引いて脚を矯め、4角から再び前との差を詰めて2着浮上。ただ、ラスト150mで右手前になって苦しがっていた。下見は良くなっていたにせよ、近況はサッパリだった様にまだ怪しいところが有りそう。

レッドアンシェル

2人曳き。遮眼革。前肢にバンテージ。数字に大きな変化はないが、休み明けを一度叩いて順当に良化。馬体の張りが良くなった。出脚はソコソコ有りそうだが、仕掛けて来た馬にはほぼ抵抗せず、結果的に6〜7番手辺りから。基本的にはアンヴァルを追う形で乗られた。4角でそのアンヴァルが仕掛けを遅らせて、この馬はそのアオりを食った印象も有ったのだが、その割に最後は前を詰めるどころか、坂を上り切って甘くなり、4着タイセイアベニールとはハナ差迄追い詰められた。昨年の覇者で、阪神もこなしているのだが、このハンデを背負い切れるだけの能力はなさそう。

タイセイアベニール

2人曳き。スプリント戦の割に大人しい馬が多かったが、1頭だけ活気が有った。ただ、馬体の張りはイマイチ。スタート時に乗り役が腰を落とし、ダッシュが付かず半馬身程の出遅れ。出脚もサッパリで、そのまま後方に近い位置。ただ、行き脚が付いてからはの行き振りは悪くなく、このペースにも関わらずむしろ掛かり気味だった。3〜4角はコースロスを最小限に留めて回り、4角で外へ出せなかったことも有って、直線迄待ってから進路を探す形。最後はもう一完歩有れば3着だった。出脚は仕方がないにしても、せめてゲートは五分に出たいところ。仕掛けが遅れたロスを考えれば力そのものはこのメンバーでも足りる。

エイシンデネブ

前後肢にバンテージ。数字がないだけに見栄えはこんなモノ。トモの造りは悪くなく、歩様もそれなりにしっかりしていた。アオりながら出てしまい、ダッシュが付かず1馬身以上のロス。これもそのまま後方から、コースロスを出来る限り少なくして乗られた。今日の展開ではこれが一杯だが、一瞬逡巡する場面が有りながらも最後は良く差してきている。これも展開ひとつの馬。