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競馬回顧 2019年4回阪神

第53回スプリンターズステークス(GⅠ)

タワーオブロンドン

使い詰めだけに、歩様に硬さがないのが何より。むしろキビキビした動きは前走阪神戦以上。馬体も相変わらず迫力が有る。スプリントだと出脚が速くないだけに、乗り方に注文が付くところだが、最初はモズスーパーフレアに付いて行くつもりで出したものの、外から他に来た馬も居て、一旦中段の馬群の切れ目迄下げてから外を回す形。前走阪神戦もそうだが、今日もこの回り脚が速かった。ダノンスマッシュを外へ出させない様にフタをして、直線向いてから一瞬だけダノンスマッシュが割れるだけのスペースが有ったのだが、これを締め切って勝負有り。上手く乗られたとはいえ、時計勝負の馬場で早仕掛けして差し切ったのだから、単純に強い。ただ、次走は未定。

モズスーパーフレア

-4kg。前走小倉戦が太かった。数字上はもう少し絞った方が、ということになるが、見た目にはこれ位で丁度。。ゲート自体は五分程度だったが、2完歩目からが速く、公約通りにセイウンコウセイを叩いてハナ。2F目にマルターズアポジーに突かれて、ペースを上げざるを得なくなったが、前半3F32.8秒なら想定の範囲だろう。4角を単騎で回ってミスターメロディを登坂力で突き放したが、タワーオブロンドンの脚が1頭違っていた。GⅠで多少擦られるのは仕方がないところで、今日は相手を称える外ない。とはいえ、スピードは存分に見せ付けた。今後は中山以外でどうなるかが焦点。

ダノンスマッシュ

2人曳き。-8kg。前後肢にバンテージ。歩様は流石というところ。前走札幌戦よりデキ自体は上向いているが、数字分だけ細いかも。出脚は速い方で、出たなりで中段から。基本的にはセイウンコウセイに付いて行く形だったが、そのセイウンコウセイが控えたことで、インを突くのがギャンブルになり、外へ回さざるを得なくなった。ただ、馬群の切れ目を探して、3〜4角中間で格闘したものの、切れ目が有れば他馬にフタをされ続け、結局は直線に向いてからタワーオブロンドンの外。これでは一手遅い。モズスーパーフレアの番手を取りに行く位の覚悟で行くべきだったというのは結果論。今日はこれで仕方がない。

ミスターメロディ

2人曳き。+6kg。良くも悪くもこんなモノ。馬体に張りが有って、現状のデキ自体は良さそうだが、気負っていたのと多少非力。好発。流石に行き振りは良く、このペースでも好位でガッチリと手綱を抑えながらの追走。4角手前からモズスーパーフレアを追い掛け、直線入口で1馬身後方。充分勝負圏内だったが、右回りで中々手前を替えない悪い癖が出て一伸びを欠いた。今日はこれで良く走った方。米国遠征という話も有る様だが、左回りで改めて。

レッツゴードンキ

-12kg。絞って来たのは、機動力を上げる為。歩様に硬さもなく、狙い通りの仕上げ。絞ったことよりも、休み明けの影響の方が強かったのか、出脚サッパリで後方2番手から。今日はダノンスマッシュに限らず、内が詰まる展開となり、小細工なしで外を回したのが正解だった。しっかり矯めて乗られた分、直線も最後迄伸びて掲示板確保。流石にGⅠで馬券圏内はないだろうが、相変わらず堅実。

第23回シリウスステークス(GⅢ)

ロードゴラッソ

芝馬の様なメリハリの利いた造り。キビキビと歩けていて、歩様にバネが有った。芝での出脚は速そうだったが、4頭の先行争いには付き合わず、第2集団の先頭。今日のハイペースならこれで良い位置だが、前と離れ過ぎたことも有って、1000m通過した辺りから自力で後続を捕まえに行く形。4角で前を捉え、アングライフェンの猛追を振り切った。前は流石に無謀だった感も有るのだが、少なくとも後半1000mの我慢比べで凌いだ点は評価したいところ。馬体もそうだが、未勝利脱出は芝1800m。乱ペースでも例年の傾向通り。

アングライフェン

胴長でスカッとした造り。毛ヅヤが冴えて、落ち着いていた。芝での出脚は速くなく、出し気味に乗られて中段から。基本的にはロードゴラッソの直後から運び、1000m通過過ぎのロードゴラッソが動いたタイミングで付いて行く形。展開的には一番良い形だったが、直線で進路が有りそうでなく、ジョーダンキングの外へ出す形は一手遅い。ハンデ57kgと見込まれていなければ間を割れた可能性も有るが、立て直してのクビ差は実質的な勝ち馬とさえいえる。ステイゴールド産駒で連続好走が出来るタイプではないが、また何処かで一発が有りそう。

メイショウワザシ

ともに迫力が有り、歩様が力強い。下見からは減点材料はない。出脚は他に速い馬も居たが、何が何でもの構えでハナへ。ただ、ヤマカツライデンが突いて1000m通過60.3秒と、2000mで定着した2007年以降では過去最速のペース。流石に速過ぎたということにはなるのだが、4角では完全に飲み込まれそうになりながら、3着に踏ん張った。ハンデ54kgは味方しただろうが、相当に強い内容。上位2頭は芝での実績も有り、向かない筈の純粋ダート馬が初重賞挑戦でここ迄頑張ったのだから、尚のこと高い評価が出来る。一旦放牧へ出す様だが、次走狙い目。

ジョーダンキング

2人曳き。テンションは高いが、キレの有る馬体。デキは文句なし。ジワッと行かせて中段から。ロードゴラッソやアングライフェンの近くに居た。当然、ロードゴラッソやアングライフェンと同じタイミングで動いて行ったが、最後に甘くなった。少なくとも上手くフタをしたアングライフェンには先着したかったところ。このメンバーに入ると、やや力量差が有りそう。阪神2000mでは勝っているが、芝での実績がなかった。偶然の部分も有るにせよ、このレースに限ると芝実績は本当に重要。

キングズガード

-10kg。馬体に細い印象はないが、ちょっと歩様に力感がなくなった印象も。出ッパ自体は決して速くなかったが、ダートに入って行き脚が付き、後方で引っ張り気味の追走。距離を意識して大事に乗られた。これもロードゴラッソやアングライフェンに付いて行く形で外を進出。展開的には悪くなかったが、直線はジリジリだった。この馬の決め手を考えると、もう少し前で運びたいところ。今日の内容から2000mもこなせるということにはなるが、ベストは1800m。

第65回産経賞オールカマー(GⅡ)

スティッフェリオ

ステイゴールド産駒らしいスカッとした造り。歩様に硬さがないのも何より。ゲートも速い方だったが、誰も行かないのを見て、ならばとハナへ。外枠からの先行だったが、大して出脚を使わずに行けたことも有り、1000m通過61.8秒とスローに落とせた。4角でも持ったままの手応えで単騎、直線入口で突き放して影をも踏ませぬ逃げ切り勝ち。ペースも楽だったが、それ以上に好位に居たウインブライトに捕まえに来なかったのも良い方に出た。展開が向き過ぎて能力判定不能。春一連の競馬を観る限りではGⅠは厳しいということにはなるのだが。

ミッキースワロー

前後肢にバンテージ。一息入ったが、馬体に張りが有った。毛ヅヤも上々。歩様にもう少し柔らか味が有れば理想的。例に依って出脚はなく、最内枠だったことも有り、最後方から。道中の折り合いは付く馬。今日はスローの影響も有ったとはいえ、何時もよりコーナーの反応がイマイチだった様にも見えたのだが、直線は良い脚を長く使って2着浮上。このメンバーでも勝てる力は持っている。やはり最後方からではキツいところ。ホクトヘリオスではないが、勝ち切るには何かの助けで中段には付ける必要が有る。

グレイル

前後肢にバンテージ。-16kg。数字は元に戻っただけ。前走福島戦が太かった。歩様もスムーズ。例に依って出脚はなく、後方から。前を壁にして我慢して走れていた。勝負どころでも内ラチ沿いを進出。多少待たされたものの、坂下で前が開き、一瞬の脚を使ってここ迄。レイデオロとの際どい3着争いを制した。一時の不振は脱した感も有るが、昨秋の中山戦も内ラチ沿いを通って3着だった様に、このコース形態が合っている。首が使えず一瞬の脚しかないタイプで、それを生かし切れれば形になるが、東京の様なコースだと厳しいだろう。

レイデオロ

2人曳きプラス、前に1人。前走阪神戦よりはマシだが、周回を重ねる毎にテンションが上がり気味。当然、馬体はこのメンバーなら最上位だが。この馬としては五分に出て、出たなりで折り合いに専念。ただ、外を回されたことも有って、ところどころで行きたがっていた。眼前に居たウインブライトが止まったことも有るにせよ、4角の手応えの割に伸び案外。能力を持っているのは間違いないが、ちょっとでも雑に乗ると走らない面が有る。特に中山2200mの様なややこしいコースは尚更だろう。テン乗りが裏目。

クレッシェンドラヴ

2人曳き。前肢にバンテージ。-8kg。ギリギリ迄仕上げて来た印象。気配は良かった。姿勢の高さも今日は気にならず。最初から手綱を引っ張り気味で、中段やや後方から。折り合いは付いていた。勝負どころの手応えも悪くなく、レイデオロに付いて行けたが、直線向いてからの狭いところが割れず、坂下迄待たされてしまったのが痛かった。元々マクる競馬が多かった様に、一瞬の脚はないタイプ。今日はこれで仕方がないところ。

第67回神戸新聞杯(GⅡ)

サートゥルナーリア

前後肢にバンテージ。+8kg。多少緩い程度。落ち着きが有ったのは何より。歩様のバネも落ちていない。好発。最初から折り合いに専念していたが、それでも出脚が速くスッと2番手。前走東京戦よりはリラックスして走れていた。4角手前から抑え切れない手応えで先頭。坂下で軽く気合を付けただけで、最後は抑える余裕が有りながら上がり3F32.3秒と出色の数字。圧勝だった。前走でケチが付いたことで、馬体の成長がない嫌いがない訳でもないが、それでも世代限定戦なら性能差は明らか。何処へ行こうが、古馬でも世界でも通用する筈だが、あとは肝心なところで乗り役が騎乗停止になる等、運の問題。

ヴェロックス

2人曳き。前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、例に依って見栄えはする。気配も悪くない。道中は4番手から。位置取りというよりは、当然ながらサートゥルナーリアを意識しながらの競馬。1角で頭を上げる場面も有ったが、あとはスムーズ。4角の手応えがサートゥルナーリアと比較して渋い様にも見えたが、悠々2着は確保。引退したロジャーバローズは別にして、世代No.2の力は証明したといえる。ただ、京都3000mを考えた際に、勝負どころでズブさを見せると致命傷になり易い。単純な距離面というより、次走のプラットフォームに一抹の不安は有る。

ワールドプレミア

2人曳き。前肢にバンテージ。イレ込みが激しいものの、馬は間違いなく良くなっていた。トモがパンとした印象。ゲートをソロッと出して後方待機。下見であれだけイレ込んでいただけに、折り合い重視は仕方がないところだが、ちゃんと対策を取れば春よりは遥かに折り合いが付く様になっていた。直線も最初から3着狙いの競馬で、レッドジェニアルさえ交わせばというところ。高い評価が出来る内容ではないが、マトモに競馬が出来る様になったことは収穫。ただ、この手の馬は条件戦で人気になった際に飛び易い。1000万にも使えるが、重賞の2,3着の方が可能性は高い。

レッドジェニアル

+12kg。春は細身に見えた馬で増えるのは良い傾向。ただ、今日は発汗の跡も有って、イレ込みがキツい。出脚は決して速くないだろうが、誰も行かなかったことも有って、枠なりのまま、3番手。序盤もそうだが、ところどころで頭を上げる等、このスローに折り合いを欠く場面が有った。ラスト1000mから手応えが怪しくなり、坂下迄は食らい付いていたものの、坂が上れず4着止まり。今日は格の差を見せ付けられた格好だが、これはこれで良い経験になった筈。

ユニコーンライオン

+6kg。胴長でユッタリとした造り。この距離なら文句なしの造り。歩様もスムーズ。躓きながらゲートを出たが、何とか五分の発馬。それでも行く気はなく、人気馬をマークしながらの競馬。出来るだけコースロスも少なく乗られ、これも3着狙いの競馬だったが、流石に相手が強過ぎた。ただ、追って重心が低くなる等、明らかにこの距離に適性が有る。来年辺り、東京2500mで出て来た時が狙い目。

第73回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

リオンリオン

+12kg。数字分だけ余裕残しだが、歩様はこの馬としてはスムーズ。気配も良かった。ゲートは決して速くなかったが、出脚自体は速く、少し押しただけで坂下時点でハナへ。ただ、ハナへ立って直ぐアトミックフォースとナイママが外から来て、道中は3番手から。乗り役の手腕も有るだろうが、この形でもスムーズに折り合えていた。直線向いて脚力でアトミックフォースとナイママの間をコジ開け、後続に2馬身差の完勝。一線級が来週の阪神に回ったことも有るにせよ、ちょっと力が違った感も有る。ダービーは間違いなく良い経験になった様で、京都でも楽しみ。

サトノルークス

数字通りほぼ出来ていた。歩様にも春に有った頼りなさは感じない。出脚自体は決して悪くない筈だが、道悪が得意ではない様で、最初から下を気にしたのか、止めそうになって、少し押して中段から。比較的内目を通っていたものの、バラけた位置で馬場の良いところを選んで走らせていたが、それでも何度かノメッていた。直線は上手くリオンリオンの直後へ運び、そのリオンリオンとは離されたものの2着浮上。中々渋太い。2着は日曜の阪神同様、乗り役の腕っぷしとしても、馬に根性が出て来た。

ザダル

+10kg。極端に太いという訳ではないが、数字分だけ全体に緩慢。ただ、気配自体は良い。最内枠の利とこの馬の出脚でスッと好位。道中は折り合いも付いて、特に馬場を気にしている様には見えなかった。直線向いてもサトノルークスと一緒に狭いところを抜けて来たが、僅かに追い負け。敗因が分かり辛いが、考えられるのは距離、仕上がり、道悪の3つ。この中で、仕上がり面が一番可能性は高そうだが、何れにしても次走が試金石。

ルヴォルグ

シープスキンノーズバンド。発汗の跡は有ったが、馬体は締まって迫力充分。ゲートは若干怪しかったが、少し押して好位直後。道中の折り合いはこれも問題はなかった。4角で後方から来たタガノディアマンテに併せて進出。一瞬はやったかの勢いだったが、坂を上って甘くなったというよりバタッと止まった。今開催は外が利き辛く、その影響も大きいだろうが、恐らくはそれ以上に距離が長い。

ニシノデイジー

前後肢にバンテージ。この馬としては落ち着いていた様にも見えたが、まだまだ馬は貧弱。隣のメイショウテンゲン程ではないにせよ、半馬身出遅れで後方から。道中は比較的内目を回っていたが、向正面から何時でも動ける外へ出して、3角過ぎからジワッと進出。ただ、4角は大外を回す形になってしまい、最後迄脚は使っているものの、ここ迄。器用さ一本の馬がこれだけやれれば充分ともいえる。どうもサートゥルナーリアが京都戦を回避する様で、この馬にルメール騎手が回って来たが、今度こそ内を立ち回る競馬が出来る様なら面白い存在となる。

第36回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

ダノンファンタジー

この馬としては気負っていたが、休み明け故仕方がないところ。馬体は数字通り出来ていたが、悪くいえば成長がないともいえる。歩様はしっかりしている。好発、出脚も速い馬だが、行く気はなく控えて好位。出入りの激しい競馬で、結構行きたがっていたが、只管我慢。これはこれだが、今日の馬場で4角外を回されるのは結構キツい形で、最後は鞍上の腕っぷしがモノをいった感がない訳でもないが、兎にも角にも差し切ってレコード勝ち。トライアルで好発切って行かせた場合は、ソウルスターリングの様に本番が悲惨な結果を招き易い。今日の勝ち負けは別にして、その点では高い評価が出来る。あとは本番にお釣りが残っているかどうか。若干、キツい競馬だった気もしないでもないが。

ビーチサンバ

キッチリ出来ていた。2歳時から馬格はそれなりに有った馬で、そこからは平行線。ただ、歩様の力強さが増した感も有る。出脚はそう速い方ではなく、序盤は中段から。ただ、結構馬群が固まる競馬で、前との距離が離れていなかったことも有るが、それ以上に自分より外枠のスイープセレリタスが行ってくれて、付いて行く形で3角から2番手へ。これで大分コースロスが少なくなった。前は全て有力馬で我慢比べになったが、両サイドの攻撃を凌いで勝ったかと思ったところにダノンファンタジーが飛んで来た。これで対ダノンファンタジーは4戦4敗。本番へ向けて見栄えは悪いが、何が起こるか分からない京都の内回りで、末脚の持続性が有るというのは強み。

ウィクトーリア

+6kg。細身の馬体で、少しでも増えたのは歓迎材料だが、見た目はもっと増えても良い位。落ち着いていた点も好感。この馬としてはゲートを出た方だが、他に速い馬が居て中段から。ペースが遅い中で馬群の外に居たことも有ったが、積極的に乗られて3〜4角中間で好位。4角でビーチサンバの直後。直線の追い比べでは、一旦ビーチサンバより前に出た様にも見えたが、最後に甘くなった。ただ、今日は上がり勝負の競馬でメリハリのない競馬が裏目に出た感も有る。トライアルとしては悪くない内容だったが、残念ながらレース後に故障が判明。

シゲルピンクダイヤ

前後肢にバンテージ。+6kg。数字は増えているが、もう少しフックラ見せて欲しい。歩様も硬目。ゲート内で暴れていた割には五分に出て好位。序盤だけ折り合いが怪しかったが、出入りの激しい競馬の割には、道中も落ち着いていた様に見えた。直線も内が開いてあとは伸びるだけだったが、いざ追ってからが案外。もっと後方で脚を矯める形の方が良さそう。ただ、前々走東京戦が明らかに距離不適だっただけに、本番はそうならざるを得ない。

メイショウショウブ

2人曳き。馬体は元々悪くない。前走札幌戦から毛ヅヤも良かったが、今日は落ち着いていたのが何より。元々マイルの馬で出脚は速く、押し出される形でハナへ。ただ、500m程でスイープセレリタスが行き、これに付いて行った馬も多く、行かせている間に番手が下がり、4角では後方に近い位置。折り合いは付いていた様に見えたが、その割に追ってからがもう一つだった。上がり3F33.4秒で馬は責められないのだが、距離が長いのでこういう乗り方になってしまう面も。

サマーマイルシリーズ第3戦 第64回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

トロワゼトワル

-4kg。細身の造りでマイナス体重だが、一応は許容範囲。歩様に硬さがないのも何より。好発。まず右を見て、同じくゲートを決めたジャンダルムに行く気がないのを確認してハナへ。最近の中山にしては草丈が短い様で、行った者勝ちの馬場。逆説的な表現をするならば、1000m通過55.4秒でも結果的に速くなかった。兎に角只管飛ばして、4角でもまだ5馬身程の差。その差が最後迄詰まらなかった。尤も、1分30秒3のレコードも含めて、今日は52kgの斤量が利いた感も有る。鞍上の好判断は評価するものの、馬の過大評価は避けたい。

ディメンシオン

2人曳き。-8kg。かなり煩いが、これは毎度。馬体も細くなく、もっと絞っても良い位。出脚自体が速いという訳ではなさそうだが、プールヴィルに叩かれるのを嫌って、好位迄出して行く形。出して行った分、行きたがる場面も有ったが、直ぐに折り合いは付いた。4角から頑張ってトロワゼトワルを追い掛けて行く形。このパターンは追っ掛けバテし易いのだが、何とか2着。この手の特殊な競馬になった場合、一番強いのは追っ掛けた上位馬。次走狙い目。

ジャンダルム

馬に活気が有る。馬体にそれ程変化はないが、悪い時の硬さがなくなって来た。好発。トロワゼトワルが何が何でもの構えで来て好位から。出して行った前走中京戦でも折り合いが付いており、今日も道中はスムーズ。ディメンシオンと一緒に追い掛けて行ったが、惜しい3着。ディメンシオンに先着していれば尚評価が上がったところだが、ゲートが決まらずに苦労していた馬が五分に出ただけでも大したモノ。調教から乗っているこの乗り役と鞍も合うのだろうが、復調気配。

カルヴァリオ

-4kg。残暑厳しいとはいえ、発汗目立つ。それでも集中して歩けており、気配自体は悪くないが、少し馬体にギスギス感が有る。もう少し数字が有った方がベスト。ゲート五分。スタート直後から引っ掛かりそうになっており、宥めつつ好位直後。インでしっかり脚を矯め、真横に居たグルーヴィットが止まってくれたことで外への進路も出来た。逆にいえば最高に運んで4着。この辺りが一杯とみるのが妥当。

プロディガルサン

パシュファイヤー。毛色で得している部分が有り、黒光りして毎回良く見せるのだが、一息入った影響なのか、多少ボテッと映る。ゲートは出たが、出脚が一息で後方に近い位置。インに居た分、まだしもだったが、このペースに追走で手一杯だった。それでも伸びて来たから能力は持っているが、同じ1600mでもペースが落ち易い広いコースの方がこの馬には向いている。

サマースプリントシリーズ第6戦 第33回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

タワーオブロンドン

一枚どころか二枚は馬が抜けている。歩様の力強さが抜群で、馬体にも迫力が有る。気配も文句なし。半馬身程出負けしたが、今日は行き脚が付いてからが速く、3角で中段。馬群を捌いて進出し、直線入口で既に好位に取り付いていたが、直線はオイデオイデの大楽勝だった。短距離戦のレコードといえば、今日の中山の様に逃げ馬がスピードに任せて押し切った結果というケースが大半で、力で差し切ったというケースは中々なく、それだけ馬が抜けていたということ。ただ、今日は明らかにサマースプリントシリーズの賞金を狙っての参戦。次走が本当に本番なのか、その点には疑問の余地も。

ファンタジスト

春は癇性のキツい部分も有ったが、周囲を窺う余裕も有った。バランスの取れた造りで、一歩一歩がしっかり。器用さは下見からも垣間見える。スタート直後は流石に押していたが、直ぐに行き脚が付き、スッと好位。折り合いも直ぐに付いた。4角で手応え充分に前に並び掛けた反面、タワーオブロンドンには並ぶ間もなく交わされ、次元が違っていた感も有ったが、渋太く脚を伸ばして2着確保。前走小倉戦は馬が戸惑っていたが、一度経験してしっかり結果を出す学習能力の高さは示した。タワーオブロンドンとの差からGⅠは厳しそうだが、息の長い活躍が期待出来る。

イベリス

前肢にバンテージ。+14kg。単純に成長分。寸詰まりで数字はそれ程ない馬だが、古馬相手でもトモの迫力は負けていない。1200mでも通用する出脚は有る馬だが、両サイドのマテラスカイとラブカンプーが一歩も引かないのを見て、諦めて好位から。その分、道中は少し宥め気味の追走。直線はミスターメロディに寄られて少し窮屈そうになる場面も有ったが、コジ開けて来た。これもファンタジスト同様、器用さが最大の強み。ファンタジストの位置なら2着だっただろう。

ペイシャフェリシタ

前後肢にバンテージ。胴長の造りで、伸びやかな歩様。落ち着きも有った。流石にマテラスカイは速く、出脚で差が有って好位から。時計勝負の馬場で4角迄は理想的に運べたが、直線入口でマテラスカイとファンタジストの間を狙ったものの、前が狭くなり、暫く待たされる場面。実質100mの競馬になってしまった。際どい着差となっただけに、スムーズなら2,3着ということになるが、内容そのものはマテラスカイやイベリスの方が上。今日は器用さのみを評価したいところ。

キングハート

前肢にバンテージ。-14kg。絞れたのは良い傾向。まだ少し太く映る位。気配が地味なのは毎度。出脚で差が有って中段のイン。目の前にペイシャフェリシタが居て、これも直線で待たされた格好だが、そこから盛り返す脚もなく、ジリジリとした伸びで最後はマテラスカイを交わして何とか5着。短距離の穴馬として息の長い馬だが、そろそろ厳しいかも。

第4回紫苑ステークス(GⅢ)

パッシングスルー

+8kg。歩様に伸びが有った。馬体の迫力も一枚上。ちょうど2ヶ月振りだったが、キッチリ出来ていた。カレンブーケドールの先行策に乗る形で好位の外。尤も、外といっても、振られたのは1角だけで、2角の時点で内から3頭分程。折り合いも1〜2角中間地点辺りでハミが抜けていた。あとは眼前のカレンブーケドールを目標に進め、登坂力で決着を付け、坂を上ってフェアリーポルカとの一騎打ちとなったが、最後は首の上げ下げで凌ぎ切った。ドッシリとした馬で大崩れなく走ってくれそうなのが最大の強み。次走も勿論圏内だが、追い出して舌がハミを越しており、まだ本気で走っていないかも。

フェアリーポルカ

+16kg。多少緩い程度で、数字程は太くない。落ち着いていたのは何よりだが。出脚は速そうだったが、外の出方を窺いつつ、好位のイン。ポケットに入って直ぐに折り合いも付いた。基本的には上手く乗られたが、向正面でフィリアプーラが動いて、内ラチ沿いから離れてしまったのが結果的に痛かった。4角で一瞬だけ待たされる場面が有り、その間に付いたパッシングスルーの勢いが最後迄詰まらなかった様な格好。もう少し流れていれば問題ないところだったが、今日のスローではコンマ数秒の差が出てしまう。首の上げ下げも最悪のタイミングとなってしまい、今日は勝てたレースを落とした感も。逆にいえば次走狙い目。

カレンブーケドール

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。気配が良くて、歩様も力強い。このメンバーなら上の方の馬だが、毛ヅヤがもうチョイ。ゲート自体は若干ヨレ気味だったが、少し出しただけで行き脚が付き、スッと2番手。とはいえ、ペース自体は1000m通過60.5秒のスローながら、引っ張り気味の追走で、出した分、気分良く行ってしまった感も有った。人気を背負って4角手前で前を捕まえに行って直線入口で先頭。ただ、マークされていたことも有って、最後の一踏ん張りが利かなかった。多少登坂力に甘さが有る可能性も有るが、少なくとも悲観する内容ではない。平坦の京都なら充分巻き返しが期待出来る。

レッドベルディエス

シープスキンノーズバンド。馬体に張りが有ってデキ自体が良さそう。ただ、気性が子供。ゲートをアオり気味に出て出脚が鈍り、後方から。油断すると引っ掛かりそうになっており、引っ張り切りの追走。とはいえ、前が止まらない今日の馬場で後方のインというのも厳しいところで、早目に外へ持ち出して追い上げる形。前とは水が開いたが、今日の馬場ではこれでも良く頑張っている方。性能だけなら上位とも遜色なさそうだが、不器用さがネック。これで自己条件へ行くことになるだろうが、東京なら。

フィリアプーラ

シープスキンノーズバンド。細身の造りでも少しフックラ。歩様に力感がない以外はまずまず。上位馬とは出脚で差が有り、出して何とか中段。このスローで少しでも前へと、向正面で上がってフェアリーポルカの真横。最善の策で進められたが、如何せん全体にスピード不足。直線向いてからも上位馬と近い位置に居ながら、決め手が違っていた。もっと時計が掛かってくれた方が良い。