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競馬回顧 2018年5回京都

第63回京阪杯(GⅢ)

ダノンスマッシュ

前後肢にバンテージ。一息入ったが、ほぼ出来ていた。馬も流石にここへ入れば最上位。好発。出脚も一番速かった位だが、行きたい馬に行かせて好位のイン。4角迄ジッとして、直線は最内から。多少狭かったが、脚でコジ開けて来た。見た目は圧勝だが、内枠で上手く行った感が強い。3歳馬だけにこれから強くなっていく可能性も高いが、今日のところは前走札幌戦のナックビーナスに2馬身半差というレッテルを覆す迄は。

ナインテイルズ

毛ヅヤが怪しい馬が多かった中で、この馬は良い方。歩様に伸びが有った点も好感。ゲートも微妙に悪かったが、行く気もなく後方から。只管最内を回って、直線もインから。ダノンスマッシュに脚がなかったらアウトだったが、幸いに抜けてくれた上に外へヨレてくれた。デキも良かったが、それ以上に今日はギャンブルが当たった感が強い。近走は出脚が落ちているのか、先行して甘くなっていただけに、新味が出たのは何よりだが、出脚が落ちたのは衰えのサインなのも確か。

ダイアナヘイロー

多少チャカつく場面は有ったが、馬体はフックラして悪くない。これも若干出負けしているが、出脚でカバーして好位から。一度ワンスインナムーンに叩かれているのだが、直ぐに立て直して積極的にプレッシャーを掛けて行った。結構強引な競馬ながら、それでも直線は一杯一杯粘って3着。近走不振だったが、今日は中々強い内容。恐らくは気性的な問題が有って、強引でも気分を損ねず走らせたのが良かったのだろう。能力は持っているものの、何時走るのか、中々読み辛いところ。

アンヴァル

2人曳き。少しボテッと映る。あまり出脚は速そうではないが、少し出して好位直後。それでも引っ掛かる様な事はなく流れに乗れた。3角で内へ寄せる際に過怠金を取られたが、4角でアレスバローズの直後。直線は一瞬だけ良い脚だったが、直ぐに止まってしまい、内の馬にやられてしまった。17番枠の割には外を回されずに済んだ印象も有るが、それでも結果的に外枠が応えた印象。絞れて枠がマトモになればこのメンバーでも足りる筈。

エスティタート

毛ヅヤが落ち気味で、馬体が硬く映るのだが、歩様自体は悪くない。ダノンスマッシュに出脚でやられてその直後から。上手く流れに乗ったが、直線でダノンスマッシュの通った最内を狙わず、少し外へ持ち出したのが失敗。ダイアナヘイロー (戒告) が外へヨレて、不利という程ではないにせよ、少し逡巡してしまった。最内をナインテイルズが2着迄来ているだけに勿体ない印象。馬自身はオープン昇格初っ端で良く頑張っている。乗り方ひとつで通用することは示した。

コウエイタケル

通常の遮眼革とは逆になる前面に透明なカバー。腹回りがボテッと映るのは何時ものこと。緩んでいなければ問題ないタイプ。前走京都戦程はゲートを出てくれず、この馬の出脚で中段から。内外前に馬が居て、あまり良い形ではなかったが、アンヴァルとの併せ馬で5着同着。ワンパンチが足りないのも確かだが、相変わらず堅実。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第38回ジャパンカップ(GⅠ)

アーモンドアイ

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。-8kg。馬体は元々見栄えしない。返し馬へ行ってからはテンション上がっていたが、下見では落ち着いていた。歩様にも硬さはない。駐立が怪しくゲートをアオりながら出たが、たまたまタイミングが合って好発。一瞬はハナも覗かせた位だったが、キセキに行かせて好位から。出脚を使わずに行けた為、折り合いも付いていた。4角手前辺りから後続は追走手一杯となり、直線向いた段階で事実上キセキとの一騎打ちとなったが、何時でも交わせる手応えが有り、実際には可愛がっていた様な格好。ラスト300mから追い出されるとアッサリ捕まえた。欧州の馬場でどうかという面は有るが、日本で走るなら敵なしになった。土曜日から時計が速く、戦前からレコードも考えられたが、2分20秒6は異様に速い。サンデーサイレンスから約20年、ディープインパクトから約10年、そろそろ次世代感の有る種牡馬が出て来ても良い頃だったが、スプリンターのロードカナロアというのが如何にも現代らしい。

キセキ

前後肢にバンテージ。+8kg。高値安定。今季は毛ヅヤが冴えている。歩様にも問題はない。誰か抵抗するかと思ったが、意外と競り掛けて来ず、楽々ハナへ。トビが大きいので見た目には速く見えないが、1000m59.9秒は例年なら平均ペース。今日はデキに自信が有った様で、更にそこから1F11秒台に持ち込み、所謂「肉を切らせて骨を切る」作戦へ。ラスト1Fこそ12秒0だったが、ほぼ7Fを11秒台。アーモンドアイが許してくれなかっただけで、この持続力も規格外だ。ホーリックスの2分22秒2は1000m通過が58.5秒。当時は殺人ペースと迄いわれたが、1000m59.9秒を30年後にスローペースの扱いにした2分20秒9も充分称賛に値する。唯々相手が悪かったと嘆く外ない。

スワーヴリチャード

前走も極端に悪い訳ではなかっただけに、少し良くなった程度。ただ、もう少し迫力が有っても。少し線が細い。また出遅れ。前走同様、内にヨレてもいたが、今日は他馬と接触しなかったのは不幸中の幸いだった。徐々に内へ潜って1角進入時に好位の内ラチ沿い。キセキが最初から行ってくれたことも有って、1角の時点で結構バラけていたのはこの馬にとって良い方に働いた。このペースでも少し宥める位の行き振り。アーモンドアイを徹底マークで運んだが、直線は離される一方だった。最後は追っ掛けバテに近い状況。今日は言い訳なし。

シュヴァルグラン

-4kg。叩いて順当に良化。馬体が締まって来た。前走京都戦で気になった発汗もなくなった。ゲートは出ているが、意外に出脚が甘く中段から。少し頑張ればスワーヴリチャードの位置が取れた筈だが、そのスワーヴリチャードに好位を取られてしまった。更に最内をハッピーグリンに入られ、直線向いた段階ではスワーヴリチャードと2馬身差。ラスト200mで左手前になりながらも、最後は惜しい4着。最低でも昨年以上は走っている。ただ、出脚のなさは年齢故。中山戦も圏内だが、上手く立ち回る必要は有る。

ミッキースワロー

馬の迫力だけならこのメンバーでも互角だが、歩様が硬いのはネック。ゲートも悪かったが、この乗り役だけに行く気もなく後方から。4角でも全く動く気がなく、直線迄待ってから外へ。基本的には前残りの展開だが、好位勢に止まった馬が何頭か居てここ迄。最初から入着狙いだった様だが、5着でも賞金3000万有るだけに充分だろう。3歳時はもう少し強い馬かと思ったが、古馬になってからが案外。

第5回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

クラージュゲリエ

2人曳き。+14kg。太い印象はない。課題の気性面も、大分発汗しているものの、イレ込みは前走札幌戦よりはマシ。好発も、最初から抑えて後方から。ところどころでブッ飛びそうな気配は有ったが、乗り役が手綱を短く持って警戒していたことで何とか宥めた。ただ、気性的に危なっかしいものの、4角で狭いところを割る時の雰囲気や直線でブレイキングドーンを振り切る時の脚は単純な能力だけでなく、勝負根性も有りそう。次走以降も如何に馬ががまんしてくれるかという話になるが、調教を工夫すれば先々大化けする可能性も。

ブレイキングドーン

+18kg。緩んでいる訳ではないが、多少腹回りがボテッと映る。ただ、気負っていた馬が多い中で落ち着いていた点は好感。これもゲートは速かった方だが、急かさず中段から。道中の折り合いは全く問題がなかった。4角手前からミッキーブラックの進出に合わせて動いて行ったが、結果的にもっと絞めて回るべきだった。クラージュゲリエに割って入られたことで勝ちを逃した格好。尤も乗り役だけを責められず、馬自身も馬体増の影響で若干反応が鈍かった。今日のところの比較ではクラージュゲリエに利が有ったが、馬体絞ってからが試金石。

ワールドプレミア

2人曳き。-8kg。馬自体は良さそうだが、少し細い。チャカついていたのも気になった。ゲートで後手に回って後方。最初から外に持ち出して、クラージュゲリエの外でブレイキングドーンをマークする形。ただ、序盤は少し行きたがっていた様にも見えたが、逆に4角は置かれていた。最後が伸びていただけに尚のこと勿体ない印象。課題は明白で機動力が来れば差は詰まる筈だが、今日のところは完敗。

ミッキーブラック

シャープな造りで、現時点での完成度は高い。ただ、これももう少し落ち着いて欲しい。イレ込みというより、イラついていた。顔が横を向いている時に開けられて出遅れ。出脚は有りそうで、何が何でもで促した訳ではなくとも好位置を確保出来たが、かなり行きたがっていた。4角の手応えは決して良くなかったが、後続が来たことで直線入口で先頭。しかし、そこ迄だった。これも能力評価以前の問題。マトモに折り合って競馬出来る様にならないことには。

ショウリュウイクゾ

前肢にバンテージ。+12kg。数字は成長分。ただ、煩いのはマイナス。ゲートでアオってしまい、そのまま最後方から。道中の折り合いは付いていた。4角の反応はミッキーブラックより良さそうだったが、流石に力負け。ただ、相手は既にオープンを勝っており、この馬も500万なら楽々通用という計算は成り立つ。出来れば広いコースの方が確率は高いだろう。

ジャパン・オータムインターナショナル 第35回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ステルヴィオ

2人曳き。+10kg。また馬体増だが、馬体に緩みはなく、更に上昇。前走東京戦より仕草に堪えも利いていて全てに文句なし。基本は追い込みながら出脚は有る馬で、労せずアルアインに付いて行って3列目から。Cコース替わり初週ということで、完璧ではないにせよ、比較的内目も良かったが、この位置で折り合いが付いたのは大きかった。直線はアルアインの内外で一瞬迷ったが、外へ行ってくれたことで開いた内へ。ペルシアンナイトとの併せ馬になったが、先行していた分、先着出来た。ただ、当然ながら枠が替わっていれば違う馬が勝っていた。3連単1-2-3はGⅠ史上初とのことだが、内有利の馬場と展開で、圏内の馬がたまたまた勝ったというに過ぎない。

ペルシアンナイト

+8kg。休み明けの前走東京戦が減っていたが、地元戦ということも有って数字は回復分。馬自体はもうワンランク良くなりそうな気もするのだが、馬体に張りが有って、現状ではほぼ満点。ゲートは五分だったが、出脚でステルヴィオに負けて、その直後から。直線はステルヴィオ同様、アエロリットとアルアインの間が開いてそこに突っ込んだが、先にステルヴィオが抜け出していた分、寄られた際に逡巡してしまったのが痛恨。一瞬の勢いは勝っていてもおかしくなかった。ステルヴィオが勝ったのは枠の利も大きいが、対ステルヴィオで枠の差が関係ない程、出脚の差が大分有ったのは気になった。次走香港戦で勝っても不思議ではないが、海外遠征で出脚がないと競馬にならない危険も高い。

アルアイン

+8kg。マイラー体型で元々ボテッと見せるタイプでは有るが、微妙に太いかも。歩様はしっかりしていたが。好発は良かったものの、ハナへは行きたくはないが、とはいえ好位置は欲しいというところ。久々のマイルで出脚が甘くなっていたことも有り、促したら流れに乗る迄に時間を要した。アエロリットの番手に収まってからはスムーズだったが...。直線入口で先頭。一旦は抜けているが、流石にキツかった。3着凌いだだけでも評価すべき内容。今日は決め手比べの競馬になり、その点も分が悪かったが、一度でもマイルを使っていればといった印象も。行き脚がシャキッとしていれば序盤のロスがもっと少なくて済んだ。

カツジ

惨敗の前走東京戦から馬体は悪くない。むしろ春から成長が有った。イレ込みがキツくて競馬にならなかった形だが、今日は逆に落ち着いていた。枠も外だったが、このメンバーだと流石に出脚が苦しく後方から。道中は基本的に内ラチ沿いへ寄せ、直線だけ外へ。京都外回りは比較的立ち回り易いコース形態だが、上手く捌いた。エンジン掛かってからの脚は一際目立っており、あと一完歩で3着だった。春の東京戦から急かすと甘い印象も有ったのだが、今日は矯めて乗られたのが正解。アテには出来ないが、チャンスは続く。

ミッキーグローリー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+4kg。今日は流石に太い。この伸びない歩様はこの馬独特だが、毛ヅヤも微妙に落ちて来た。促しても進んで行かず後方から。カツジと同じ位置に居たが、1頭外だった分、4角は大外へ行かざるを得なかったのが痛かった。せめてもの抵抗で、モズアスコットを内目へ押し込め、自分は真っ直ぐ伸びて来たものの、競馬が終わった後。とはいえ、馬格が有り過ぎるタイプだけに馬群の中へ突っ込む訳にも行かず、今日はこれで仕方がない。

モズアスコット

+2kg。叩いて気配は良くなったが、再度の馬体増は歓迎出来ない。腹回りに少し余裕が有った。ゲートは半馬身程安目を売って後方から。4角でロードクエストに前をカットされて手綱を引っ張る場面、更に直線でミッキーグローリーに内へ押し込まれて万事休す。今日は全く競馬にならなかった。ただ、調教師は不利を嘆いたものの、この馬自身が一瞬の反応に欠く面も有る。この余裕残しの状況なら尚更で、もう少ししっかり仕上げておくべきだった。

第23回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

ニシノデイジー

前後肢にバンテージ。+12kg。元々が細身。もっと増えても良い位。毛ヅヤが冴えてデキもよさそうだったが、テンション高いのはマイナス。半馬身程出遅れたが、枠と出脚でカバーして中段。我慢していたといえる範疇だが、油断すると引っ掛かりそうになっており、結構手綱は短く持っていた。直線は前が開かず、暫く待たされたが、ラスト350m程で進路を確保してそこから一瞬の脚を生かし切った。ただ、最後の最後は甘くなった様にも見えた。前走札幌戦はナイママが先導してくれたとはいえ、マクりで勝っており、この甘さは意外な印象も有る。相手が違うといえばそれ迄だが、今日は立ち回りの利も大きく、評価が難しい。次走が試金石。

アガラス

一息入ったが、重量感は有っても、馬体に緩んだところはない。気配も良かった。ニシノデイジーと同レベルで出遅れ。更に内外の馬に前をカットされ、そのニシノデイジーにポジションを取られた為、その直後から。これも多少敏感過ぎる面は有りそうだが、何とか折り合いは付いていた。ニシノデイジーが待たされた位だから、この馬も更に待たされており、実質はラスト1Fの競馬。もう一完歩早く抜けていれば勝っていた。前走札幌戦は逃げて粘っただけに意外な印象も有るのだが、何れにしても有望。賞金を加算出来た点も大きい。

ヴァンドギャルド

2人曳き。馬に集中力が有った。トモの造りはしっかりしていたが、もう少し馬体には幅が有っても。出脚は有りそうだったが、あまり行く気はなくアガラスと似た様な位置。多少内にモタれる面は有りそうだが、道中の折り合いは付いていた。上位2頭がモタつく中で、上手く捌いてラスト200mで先頭。一瞬勝ったかの雰囲気だったが、そこからが甘かった。乗り役の好判断も有るにせよ、立ち回りは上手そうだが、基本はマイラーかも。

ヴェロックス

前後肢にバンテージ。-6kg。テンションが高く、腹も巻き気味。歩様にバネは感じるが、今日のところはそれ以前の問題。この馬の出脚でジワッと行かせて好位から。少し宥めながらの追走。基本的にはスムーズに運べたが、直線入口で他馬と接触したのと、結果的に内有利の展開となり、この馬の位置でも外を回された感も有った。折り合い次第では有るが、どちらかといえば回転数より飛距離で勝負するタイプで、距離はもう少し延びても大丈夫だろう。今日のメンバーで先々の素質という点ではこの馬が一番。

ダノンラスター

気配が地味なのは気にならないが、馬体にメリハリを欠く。もう少し締めても良いかも。毛ヅヤは悪くないが。ゲートも微妙に悪かったが、出脚も案外で後方から。道中は折り合いに専念して、只管インベタ。ラスト200mで一度だけ進路を切り替える場面は有ったが、良く伸びている。今日は位置取りの問題。馬にもう少し成長が欲しいのだが、競馬が上手いタイプ。

ジャパン・オータムインターナショナル 第43回エリザベス女王杯(GⅠ)

リスグラシュー

2人曳き。休み明けの前走東京戦も良かったが、高値安定。毛ヅヤも冴えていた。基本的にゲートはアテにならない馬だが、珍しく好発。ただ、引っ掛かりそうになっており、短手綱でガッチリ抑えて中段から。何とか我慢させた。勝負どころでも、坂の下りの時点では進路がなかったが、モレイラ騎手が土曜日に失敗したドナウデルタと違い、同馬主のコルコバードだった為、スムーズに外へ持ち出せたのが大きかった。直線も1頭違う脚だったが、勝てる力は元々持っていた馬で、漸く歯車が噛み合った感。ただ、直線は内に切れ込んでしまい、過怠金5万円。真っ直ぐ走っていても着順が替わった訳ではなかっただろうが、折角の初GⅠに水を差した印象も。

クロコスミア

+4kg。一つ間違うと細く映る馬で、馬体増は好材料。それでいて緩んだところがなく、歩様にも力強さが有った。前走東京戦から一変。スタート直後からプリメラアスールが押していたが、出脚の違いで楽々ハナへ。1000m通過が61.4秒。出脚で決着を付けたので道中も絡まれることはなく、直線入口で突き放す理想的な競馬が出来た。これで捕まったら仕方がないだろう。とはいえ、昨年より楽な形で負けた感も有る。距離は経験で何とかなる部分も有るが、この馬にとって2200mは長い。他馬がそれ以上に苦しんでいる分、有利となっているだけ。

モズカッチャン

2人曳き。+6kg。微妙に馬が緩い。歩様も本来のスムーズさに欠く。若干ゲートが悪い様にも見えたが、押してプリメラアスールの直後、好位のインから。ただ、仕掛けた割には道中の折り合いは付いていた。直線で内から伸びて来るのは昨年と同じパターンだが、今年の馬場だと外の馬の方が決め手が一枚上だった。乗り役にいわせると叩き良化型とのことだが、下見のデキも明らかに甘かっただけに、今日はこれで良く走っている方だろう。年内に使えるなら中山戦とのことだが、札幌戦からデキさえマトモならそう差はない。

レッドジェノヴァ

+6kg。更に上昇。ブレのない踏み込みで、馬体も充実。ゲート五分。恐らくモズカッチャンの位置が欲しかったと思うのだが、相手が仕掛けて来て好位置を取られてしまった。あれだけの勢いで来られると仕方がないところ。道中の折り合いは問題なく、この位置自体も決して悪かった訳ではないが、直線で最内へ行かざるを得なかったのが痛かった。今の馬場では外へ持ち出さないと中々伸びて来れない。モズカッチャンとはデキの差が有って能力比較はまた別の話となるが、位置取り逆だったら結果も逆だっただろう。

ノームコア

+10kg。見た目には決して太くないが、今日のメンバーに入ると古馬の方が迫力有ったのも否めないところ。出脚が速く、外枠でもジワッと行かせて好位の外。乗り役はスローで外を回されたことを嘆いたが、今の馬場ならこれはこれで良かった筈。ただ、距離で伸びあぐねたというより、むしろ反応が悪かっただけで、最後の最後は伸びていた様にも見えた。今日のところは古馬との力差ということになるが、これは良い経験となった筈。来年改めて。

第53回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

アドマイヤマーズ

2人曳き。+12kg。多少余裕は有るが、ほぼ成長分。気配も堪えが利いていた。好発。出脚云々というより、誰も行かず押し出される形でハナ。出脚を使わずに逃げている為、600m通過地点で36.8秒、1000mでも61.5秒と、兎に角序盤からぺースが遅かった。直線は馬場の良い外目へ持ち出し、メイショウショウブとの併せ馬。スッとは抜け出せず何度か手前が替わっていたが、ラスト200m程で振り切った。不慣れな形でも折り合いが付いて終いも伸びた点は評価するものの、能力判定不能。手前の替わり方から、距離はそれ程延びない方が良さそう。保って2000m。

メイショウショウブ

馬振りはこのメンバーでも上位。ただ、イレ込みがキツい。好発。出脚も悪くなさそうだったが、ハナへだけは行く気がなく、アドマイヤマーズに行かせて2番手から。下見の気配から考えると意外だが、このスローでも折り合いは付いた。直線は少し早目に動いて対アドマイヤマーズで一歩出ているのだが、追い比べで差し返された格好。ただ、馬のスケールがそれ程変わるとは思えない。芝の新馬、2走目とスタートで失敗してダートで未勝利脱出した形だが、馬がしっかりしている証拠。ゲートが決まる様になったのも大きい。距離延長も苦にならない筈で、先々楽しみ。

ハッピーアワー

数字のない割に、メリハリが利いている。ただ、これも結構イレ込んでいた。ゲートが開いても進んで行かず最後方から。毎回、流れに乗せるのに急かす必要は有るのだが、今日は一応折り合いが付いていた。坂の下りからドナウデルタにフタをするイメージで乗られたが、結果的に馬場の良いところを通る形となり、ここ迄。折り合ってマイルを我慢してくれた点は収穫だが、基本は短距離の差し馬。

ダノンジャスティス

前後肢にバンテージ。+6kg。垢抜けた造りだが、もう少し攻め強化して絞り込んだ方がベスト。出脚はあまり速くなさそうだったが、外枠だったことも有り、中段は確保。スローということで3角手前で少し番手を上げたが、坂の下りでの反応が悪く、直線もジリジリだった。折角の馬格だけにもっと全身を使って走れる様になると良いのだが、現状は手先だけで走っている状態。これでは伸びない。これだけ調教技量が進歩しながら馬の走法を変えるのは中々難しいのだが、このままでは500万も怪しい。

ドナウデルタ

前後肢にバンテージ。小柄な牝馬だが、流石に血統馬らしい筋肉の付き方。落ち着いている点も好材料。出脚がないのも血統故で後方から。道中の折り合いは問題なかったが、ハッピーアワーにブロックされて外に出せなかったのが痛恨だった。内へ切り替えてからはジワジワ伸びて来ているが、馬格がないだけに馬場の良いところを走らせないと持ち味が生きない。

第23回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

サンライズノヴァ

2人曳き。前後肢にバンテージ。ボリューム感が有って、馬体に幅が有るが、もう少し落ち着いてくれるとベスト。出遅れ1馬身不利。更に芝での出脚もサッパリで後方から。3角過ぎから少し動かして、中段馬群の直後。直線は大外へ持ち出されると最後迄脚勢衰えずに差し切った。今日は単純に強かった。3歳時は同馬主サンライズソアの方がスケールは上だった筈だが、距離適性に若干の差は有るが、追い付いて来た印象。ただ、締まったペースになり、この馬場にしては意外と時計が掛かったことも味方した感は有る。ペースが上がってくれた方が競馬はし易い。

クインズサターン

前後肢にバンテージ。ダート馬としてはスカッとした馬体。芦毛でも毛ヅヤが良く、昔程イレ込まなくなった。ゲートは五分に出ていたが、例に依って行く気がなく後方から。勝負どころでサンライズノヴァが先に動いた形となったが、行かせてから更に外へ。追い出し時点の1馬身差は最後迄詰まらなかった形だが、サンライズノヴァより先に動く訳にも行かず、今日はこれで仕方がないところ。展開がハマったとはいえ、これも良い決め手が有る。1800mだと脚の使いどころに難しさが有り、東京マイルの方が細かい計算が要らない分、気楽に乗れる印象も。

ナムラミラクル

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。均整の取れた馬体。ノンビリ歩けていた点も好感。ルグランフリソンの先行策に乗る形で2番手。前と少し間隔を取り、流れに乗れた。直線も追い出しを待つ位の余裕が有ったが、あそこ迄上手く運べた以上、最低2着は確保したかったところ。1800mでも連対経験は有るが、競馬の上手さでカバーしているだけで、こういったワンペースの競馬になるとキツい。距離適性だけをいえば1400mがベスト。

ユラノト

オーストラリアンブリンカー。緩んだところがなく、キッチリ仕上げて来た。気配も良かった。内外の出方を窺いながら好位から。馬群の内目で運んだ利は有ったにせよ、この辺りの位置に居た馬がほぼ壊滅だった中で、ジワジワでも脚を使えていた。特に休み明けの馬にはキツい展開だった点も評価出来る。このレベルのメンバーなら次は大本命級。

ルグランフリソン

前後肢にバンテージ。馬体はそれ程変化ないが、数を使って来ただけに歩様が落ちて来た。このメンバーでも出脚は一番速く、スンナリハナへ。前述した様にペース自体は楽ではなかったが、他馬に絡まれず単騎で行けた。直線はナムラミラクルが追い出しを我慢してくれたことも有って交わされたのはラスト200m。何とか掲示板は確保した。近走のダメっぷりを考えたら好走といえるが、スムーズに運んでもこの程度かという印象も。

第8回農林水産省賞典JBCレディスクラシック(JpnⅠ)

アンジュデジール

若干硬さは有ったが、充実の馬体。歩様も硬いなりに力強さが有った。好発。1900m戦の後で、先行争いが激化、4頭が行って、馬群が切れたところを1角で上手くインへ潜り込めた。4角手前からラビットランの進出に抵抗しつつ先頭。一旦はラビットランにアタマ程出られているのだが、差し返した。前走大井戦は出遅れてキツい競馬になったが、今日はゲートを五分に出たのが大きかった。能力そのものも、前々走札幌戦で述べた様に限定戦なら上位。

ラビットラン

前後肢にバンテージ。チャカ付くのは毎度。馬体もこの馬としては悪くないが、もう少し歩様がスムーズになるのが理想的。ゲートは決して速くなかったが、少し出してアンジュデジールと並走する位置。出して行かざるを得ない展開になったことも有って、道中の手応えは決して良くなかったが、それでも積極的に乗られて4角手前からアンジュデジールに被せて行く形。前述した様に一旦は出ているのだが、序盤の無理が祟ったか、差し返されて2着。能力で負けた訳ではない。元々は追い込みだっただけに出脚がないのは仕方ないところで、結果的に外枠が欲しかった。

ファッショニスタ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。筋肉の輪郭が浮いて、一歩一歩が力強い。デキだけならコレ。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。1角迄に内へ寄せていた。3〜4角中間から外を進出して、直線は矢の様な伸びを見せて惜しい3着。11Rのノンコノユメと違って縦長の展開になったことも味方したが、好位からの競馬で詰めの甘かった馬が新たな一面を見せた。あとは兎に角、賞金を加算したいところ。その点では今日は痛恨。準オープンの身では中々思う様に使えない。

クイーンマンボ

前後肢にバンテージ。この数字で走ったことも有るのだが、どうしても太く映る。やはり500kgを切るのがベスト。出脚はソコソコ有る馬だが、先行争いを嫌って中段。アンジュデジールやラビットランの直後で、展開としては絶好の形だったが、4角での反応がイマイチで前2頭に直線入口で突き放され、向いてからも右手前のまま伸びあぐねた。太い影響も有るのだろうが、昨年程走れていない。機動力のなさも気になるところで、交流戦でも厳しいかも。

アンデスクイーン

後肢にバンテージ。490kgの割にはスカッとした造り。馬に活気も有った。スタート直後から押していた馬が多かった中で、促すことはせず後方から。恐らくは入着狙いだった筈で、大事に乗られた。4角からファッショニスタとの併せ馬となったが、脚が全く違っていた。とはいえ、準オープンでも掲示板がやっとの馬で、今日は大健闘といえる。クラブの馬だが、降級がなくなるとこうやって賞金を咥えて来るのは本当に有り難いところだろう。

第18回農林水産省賞典JBCクラシック(JpnⅠ)

ケイティブレイブ

後肢にバンテージ。+10kg。数字分だけ太いのだろうが、一切緩んだところがない。デキ自体が相当良さそう。好発も最初から行く気はなく、この馬の出脚で中段から。基本的には砂を被らない様に、コースロスは厭わず、スムーズさを大事に乗られた。4角での手応えが抜群で、ラスト200mで勝負有り。先行争いを避けた利はそれなりに有ったとはいえ、力任せに乗られて中々強い内容。基本的には逃げた方が良い馬だが、砂さえ被らなければ能力を発揮出来る。父アドマイヤマックスもピンク帽で強かったが、ジャンルは違えど、この馬もそういう面が有る。

オメガパフューム

シープスキンノーズバンド。多少迫力で見劣るのは仕方がないところ。3歳馬としてはこれでも良く出来ている。元々出脚は甘い馬が躓きながら出て更にダッシュが鈍ったが、外枠でリカバーが効いて何とか中段。道中はケイティブレイブをマークする形で乗られた。ただ、4角で外へフクれ加減になっており、直線入口で置かれた様な格好にもなったが、全身を使ったダイナミックな走法で、最後迄止まらず追い込んで来た。スピード競馬なら話は別だが、3歳馬がこういった馬力勝負で結果を出すケースは極めて稀。先々有望。

サンライズソア

シープスキンノーズバンド。下見だけパシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見はマトモに周回すら出来ない状況だが、馬は間違いなく良かった。毛ヅヤが冴えて、トモが張っている。テイエムジンソクが出遅れたことも有ったが、枠の利と若さでハナへ。1000m通過61.0秒だから極端に速いという訳ではなかったが、向正面で半ば暴走していたテイエムジンソクに絡まれたのは痛恨だったか。3角から振り切るのに脚を使わされながら、直線は一度突き放している。後続2頭にやられての3着だが、良く走った方だろう。イレ込みが問題ながら、能力そのものはこのカテゴリーのトップクラス。

ノンコノユメ

2人曳き。前後肢にバンテージ。毎度のことながら、去勢しても煩いが、毛ヅヤが冴えて、シャープな造り。如何にも切れ者といった風情。ゲート内の駐立から悪く、アオってしまい、出遅れ1馬身不利。そのまま最後方から。道中は只管コースロスなく回して、4角手前から外へ。直線はメンバー中、最速の上がりを使っているものの、突き抜ける迄には至らず。4角をもう少し上手く捌いていれば際どくなっていたが、仕方がないところ。この馬自体は1900mも問題ないが、距離が延びると決め手一本では中々上手く行かない。

サウンドトゥルー

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが一息。腹回りにも年齢を感じるところ。ゲートは五分に出ているが、例に依って後方から。ノンコノユメの一歩前での立ち回り。そのノンコノユメとは違い、直線はインを突いて前も開いたが、往時の脚はなかった。少なくともノンコノユメには先着しないと値打ちがない内容。これで引退だそうだが、丁度良い引き際。

第56回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

パフォーマプロミス

かつては華奢なイメージも有ったが、大分馬がしっかりして来た。気配も抜群に良かった。出脚を使わず、出たなりで中段から。東京2500mの鉄則だが、道中は徒に動かず、只管我慢。直線は力強いフォームで伸びていた。最後に左手前になって内にモタれたのは、ソラを遣ったとのことで、完勝。次走は中山戦へ向かう様だが、立ち回りの上手さは評価出来る。今日は相手が軽かった感もない訳ではないが、正月に負かしたミッキーロケットがGⅠで通用したのだから、この馬もその可能性は有る。

ムイトオブリガード

前後肢にバンテージ。休み明け2走目だが、前走京都戦でほぼ出来ており、高いレベルで平行線。ゲートのタイミングが合わず、半馬身程出遅れて、後方に近い位置。道中の折り合いは問題なく、パフォーマプロミスをマークする形は悪くなかったが、上がり3F32.5秒の脚を使っている以上、少なくとも馬は責められないところ。見た目だけなら、トビが大きい割に回転数足りない印象も有るのだが、今日は仕方がない。この辺りのメンバーならその内順番が回って来そう。

マコトガラハット

良く見せないタイプの毛色だが、毛ヅヤは悪くなさそう。馬体にも張りが有った。出脚は有って、スッと好位。基本的にはパフォーマプロミスの1馬身前からの競馬。直線も上手く併せ馬の形に持ち込めた。対パフォーマプロミスで5kgのハンデを貰って競り負けた以上、完敗ということになるのだが、これも器用さは有りそう。前走京都戦もスローの決め手勝負だったが、その方が向いている印象も。

ウインテンダネス

後肢にバンテージ。数字は増減なしだが、叩いて馬がシャキッとした印象。気配も上向いていた。ハナへ行く気はなかったとのことだが、一瞬だけ行く構えを見せたノーブルマーズが1角手前で引いて、スタート直後に出したことも有って、馬がソノ気になっており、押し出される形でハナへ。1000m通過が62.9秒のスロー。楽に行かせて貰って、しかも後続と距離を取って良いペースに持ち込めた。向正面半ば過ぎにペースを落とし、一旦後続を引き付け、直線入口で突き放せた点も上手く行っただろうが、ラスト300m過ぎに左手前になってから甘くなってしまった。結果的にもう少し飛ばしても良かったかも。昨春からの2kg増も響いているだろうが、決め手勝負になると分が悪そう。

エンジニア

パシュファイヤー。前肢にバンテージ。横から見るとコロンとした体型だが、意外と馬体に幅が有る。歩様も力強い。外の出方を窺いつつ、好位のイン。枠なりの競馬は出来たが、道中は少し行きたがっていた。東京2500mで折り合いが付かないと中々厳しい。その中では良く頑張った方の5着。前走新潟戦から、マイル位の方が向いている印象も有るのだが、中々守備範囲が広い。

第18回JBCスプリント(JpnⅠ)

グレイスフルリープ

前肢にバンテージ。+6kg。淡々と歩いていたのは何時ものこと。馬体に張りが有って高値安定。外の馬を牽制しつつ、マテラスカイに付いて行って、その番手から。最内のネロに番手を主張されると展開が変わっていたが、これが引いてくれたのが大きかった。兎に角、マテラスカイ徹底マークで運んで、最後は追う者の利で競り落とした。基本的には砂は被るとマズいタイプだが、意外と直後に付けるとそこ迄飛んで来ないモノ。今日は位置取りの勝利。高齢馬が勝つにはこれしかないという競馬。

マテラスカイ

前後肢にバンテージ。-14kg。馬体はこれで良いが、歩様が若干硬いのがマイナス。出遅れた前走大井戦から一転、ゲートを五分に決めて抜群の出脚でハナ。ただ、中京戦程ではなく、意外に外に付いて来られた印象も。それでも手応えは充分で、4角から後続を突き放す作戦も狙い通りだっただろうが、結果的に真後ろに居たグレイスフルリープに進路を与えてしまった。競馬に勝って勝負に負けた格好。芝スタートの方が出脚で圧倒出来て良さそうだが、大井戦はともかく、タラレバの分量が大分少なくなっていただけに、今日は勝つべきだった。ちょっと淡泊な気もしないでもない。

キタサンミカヅキ

2人曳き。地方馬が中央へ遠征に来ると馬体が減るケースが多いが、むしろ太い位。勿論ダートのスプリント戦ならこれはこれでOK。気配も良かった。流石に中央のダートだと出脚が苦しく後方に近い位置。3角辺りからやっと行き脚が付き、4角を上手く捌いて3着は確保。中央時代は故障に苦しんだ馬だが、完全に良くなっているのだろう。流れに乗れていない状態でこの内容ならむしろ一番強い位では?

モーニン

遮眼革。前後肢にバンテージ。見た目は全盛期とそう変わらない。歩様もスムーズ。ゲートはむしろ速い位だったが、往時の出脚がなく後方から。道中も結構押していた。4角でも後方で、マトモなら圏外の展開だったが、外枠でスムーズに運べたことと、マテラスカイが速くて、グレイスフルリープ以外の好位勢が追っ掛けバテしたことも有って4着浮上。ただ、競馬が終わった後で、評価はし辛い内容。まだ1400,1600mの方が向くのだろうが、それはそれで相手が強くなるだけに、現状は交流戦で2,3着が有るかどうかの馬。

レッツゴードンキ

+12kg。良し悪しは別にして500kgを超えた方が馬の迫力は有る。これでも近況通り、出脚で付いて行けず後方から。それでも行き脚が付いたのはモーニンより早く、コーナーは比較的コースロスなく回して、脚を矯める余裕も有った。それだけにもう少し伸びてくれても良かったが、意外に伸び案外。少なくともキタサンミカヅキは捉えてもおかしくない手応えに見えた。太い影響なのか、単純に衰えているのか微妙だが、これも現状は勝つ迄は難しい馬になっている。

第54回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

ファンタジスト

2人曳き。+10kg。スプリンター体型だが、トモにボリューム感が有って見栄えはする。落ち着いていた点も好感。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、東京1400mで最内枠の利は大きく、少し出して好位のイン。折り合いも付いて道中から手応えが良かった。直線もスムーズに前が開き、更に最内から来たアウィルアウェイとの併せ馬を辛うじて制した。ただ、1000m62.9秒と未勝利戦でも中々ないスローで、枠の利が大きく、能力判定が難しい。今日のところは競馬の上手さだけを評価しておきたい。

アウィルアウェイ

+10kg。気性面を考えて緩く造ったとのことだが、明らかに馬が緩い。過去2走と比較すれば、ゲートは出た方だが、出脚がなくて後方から。直ぐに内ラチ沿いへ寄せて、前に馬を置く形で我慢させていたが、このスローで結構行きたがっていた。外国人ジョッキーに有り勝ちな、1番人気でも只管最内に拘ってギャンブルするパターン。狙い通りに前は開いたが、ファンタジストの方が決め手は上だった。馬体が絞れているか、もう少し折り合いが付いていれば勝っていただろう。性能は高い。ただ、決勝戦手前で際どくなったのはファンタジストが止まったというより、この馬が外にヨレて、相手が怯んだが故。その辺りも含めて調教を工夫して行く必要は有る。

カルリーノ

+6kg。前肢にバンテージ。チャカつく。脚長の造り。馬体だけならもっと距離が有っても良いタイプ。スタート直後に促していたが、ハナへ行く気はなかった様で3番手で我慢。壁がない状態で序盤力んでいたのは致し方ないところ。コーナーに入った辺りで何とか折り合いも付いた。直線は瞬発力の差という以外にないが、トビが大きく最後迄止まってはいない。折り合い面さえ解決すればもっと距離が延びた方が良さそう。500万なら楽勝級だろう。ただ、こういう馬を1200mで使ってしまう厩舎には疑問も。

ココフィーユ

前肢にバンテージ。背丈が低く、寸が詰まった体型。胴回りが妙に薄く、まだ馬体がアンバランス。また、もう少し落ち着いてくれるのがベスト。2番枠のメイショウオニテが逃げ、3番枠のこの馬が付いて行く形で2番手から。スローで壁がない状態の割に、最初からリラックスして走れていた。それだけに直線の決め手勝負でカルリーノには先着したかったところ。馬が未完成過ぎて、現時点では成長待ち。

アスターペガサス

2人曳き。+12kg。多少太い程度。それよりも、初の輸送競馬ということも有って、イレ込みがキツいのがマイナス。前走函館戦は出遅れたが、今日はゲート五分。出たなりで中段の外も、頭を上げてかなり行きたがっていた。3角辺りで何とか折り合いも付いたが、これだけスローになると馬群の外を回されるだけでもそれなりのロスが有る。出来れば3着は確保して重賞勝ち馬としての面目は保ちたかったところだが、これでも悪くはない内容。ゲートを出た点も大きく、スプリンターとしては上級。

第23回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

ダノンファンタジー

前後肢にバンテージ。胴長の造りで、馬はこのメンバーなら最上位だが、妙に煩いのはマイナス。出脚は有りそうだが、急かさず折り合い重視で乗られている間に、道中は自然と番手が下がり、3角で中段やや後方。4角の手応えが抜群で、直線向いてから追い出されると1頭脚が違っていた。最後は抑える余裕も有り、楽勝だった。やはり新馬はグランアレグリアが強過ぎただけで、この馬も例年の水準級は充分。あとはマイルで折り合いが付くかどうか。妙にソロッと乗っていただけに危険性は多少なりとも有りそう。

ベルスール

前後肢にバンテージ。+12kg。数字はほぼ成長分。ただ、トモが極端に甘いという訳ではなさそうだが、姿勢が高いのは気になった。2番枠のカシノティーダが行って、その番手のイン。良い位置に収まった筈だが、結構行きたがっていた。直線だけ少し外へ出して伸びて来たが、追っても他馬と比較して頭が高い。それでこれだけ走れば能力は高いということにもなるのだが、恐らくは1400mでも少し長い。

ジュランビル

腹回りが少しボテッと映る。もう少し絞った方が良さそう。出脚は一番速かった位だが、カシノティーダが主張して2番手から。終始並走してプレッシャーを掛ける形。4角手前で交わして先頭。ただ、決め手勝負を嫌って少し早目に動いてしまった印象も。渋太く踏ん張っていたものの、結果的に最後が甘くなってしまった。間違いなく競馬は上手い。ラブミーファインに先着した点も評価出来る。馬体が絞れてもう少しシャキッとすれば500万は勝てるということにはなるが、個人馬主だけに下手に2着で賞金が加算されると楽しみがなくなる。降級がなくなった今の制度なら3着はヨシとすべきところ。

ラブミーファイン

一息入れて馬が良くなっている。430kg程度の馬だが、大分ドッシリ見せる様になってきた。歩様が硬いのは相変わらず。若干ゲートが悪く、中段やや後方。意外に折り合いは付いていた。4角を勢いを付けて回って、直線入口でジュランビルと並んで先頭。最後はモタれて甘くなったが、まずはもう少し歩様が良くなって欲しいところ。距離の問題なのか、仕掛けが早過ぎた故なのか、分かり辛い。歩様が直らないなら、先々はダートということになるかも。

レッドベレーザ

前後肢にバンテージ。歩様が伸びていた。420kgしかない馬だが、馬体も充実していて、ほぼ完成されている。ゲートは出ているが、出脚がサッパリで最後方から。道中も兎に角ズブかった。最後は伸びているが、競馬が終わった後。もっと機動力が付かないことには1400mだと対応出来ない。現状だと2000mは欲しい。