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競馬回顧 2017年2回京都

第34回フェブラリーステークス(GⅠ)

ゴールドドリーム

前後肢にバンテージ。少しテンション高かったが、前走中京戦よりマシ。馬の迫力が負けなくなった。半馬身程出負けしているが、何とか中段。前走と違い、今日は折り合いも付いた。1000m通過59.0秒というより、最初の3F34.0秒が速く、折り合いが付いたことも有って、早目に外へ持ち出す形。ラスト250m辺りで先頭に立ち、抜け出した辺りで少しフワッとした様にも見えたが、そのまま振り切った。詰められたのはあくまでソラを遣っただけで、余力は残っていた。繰り返しになるが、折り合い面で問題がなかったのが大きい。世代交代を印象付けたのと、弔い合戦を制した格好。ただ、マイルなら思い切って乗れるが、1800m以上になると多少怪しい面が出て来る。

ベストウォーリア

前後肢にバンテージ。前走冴えなかった毛ヅヤが明らかに良くなった。馬体にも張りが出た。ゲートは速い方だったが、あまり急かすことなく中段から。馬群が切れてコーナーで内ラチ沿いに寄せる形。直線向いても、直ぐには開かなかったものの、ラスト400mで前が開けてもうちょっとのところだった。ただ、最後は脚色一緒になったかも。暫く待たされたのもこのハイペースで脚を矯めるという意味では丁度良かった筈で、多少詰めが甘い面が有る。砂を被っても苦にしないのがセールスポイントで、これで5戦連続2着と堅実なのも確かだが。

カフジテイク

前後肢にバンテージ。歩様はこんなモノで、上昇した印象もないが、一応は平行線。出遅れは出遅れだが、前走よりマシ。出脚は思ったよりは有って、最後方からという訳ではなかった。直線は躊躇なく大外へ持ち出し、最後迄しっかり脚を使っているが、GⅠともなると前に何か居るのは仕方がないところだろう。前走同様、真っ直ぐ伸びており、昨年末辺りから完全に本格化している。広いコースなら今後も上位争い。

エイシンバッケン

毛ヅヤピカピカ。ダートだけに問題はないのだろうが、多少立派かも。ゲート自体も悪かったが、直後にバランスを崩して後方から。3角でちょっと内にモタれる場面も有ったが、内へ寄せていくことはなく、直線は大外。カフジテイクとは勢いが違ったが、外を早目に上がって行った割には最後迄止まっていない。このメンバーでこれだけやれれば上等だろう。芝では経験有るものの、ダートでは初のマイル戦だったが、距離も大きな問題ではさそう。

ニシケンモノノフ

首でリズムを取って雰囲気は良い。ただ、寸が詰まったスプリンタータイプ。インカンテーションの方が速かったが、この馬も芝の出脚が速く2番手。前述した様に昔のGⅠらしいハイペースになったが、それでも坂を上がった辺りで抜け出して先頭。ラスト1F辺り迄は粘っていた。前走に微妙なダラしなさを感じたのだが、今日はむしろ強い内容。恐らくはスピードに乗る迄に如何に脚を使わないかがポイントになっており、芝スタートなら良馬場、ダートスタートなら重馬場の方が向いている。

サウンドトゥルー

前後肢にバンテージ。歩様は落ちておらず、使い詰めでもデキの問題はない。例に依って芝での出脚が付かず後方から。それでも思いの外ゲートは出ており、最悪は免れた格好。道中も最初に脚を使ったとはいえ、付いて行けた。ただ、失敗したのは直線入口。最初はインを狙っていたが、ダメと見るや、慌てて大外へ。前が開いた段階ではカフジテイクと並走の形だったが、勢いが違っていた。芝スタートも良くないのだろうが、乗り替わりも裏目だったか。

モーニン

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。馬体絞って文句なし。集中力も有った。行きたい馬に行かせて中段から。ただ、道中の手応えが一息で、特に外に馬が居た時が酷く、3〜4角中間辺りから包まれて何も出来ないまま終わってしまった。揉まれ弱いということになっているが、それ以上に砂を被るのがマズい様に見える。何れにしても昨年の様に外枠や道悪の方が良い。

コパノリッキー

淡々と歩いているのは何時ものこと。下見からは減点材料はない。外の馬の方が明らかに出脚が速く、3番手から。一応、揉まれない位置で競馬が出来たということにはなるが、ハイペースに巻き込まれた感が有る。坂を上る辺り迄は頑張っていたものの、そこから突き放す脚がなく、後続に飲まれてしまった。内枠だっただけに、出脚でハナを確保出来ていればこのペースになっていない。その点で衰えが有るということになるのだろう。

第51回小倉大賞典(GⅢ)

マルターズアポジー

2人曳き。-6kg。前走中山戦と変わらず。毛ヅヤも悪くなく、気になる部分はない。出脚で決着を付けてスッとハナ。1000m通過57.6秒とかなり飛ばして行く形。4角ではこの馬は余裕が有ったのに対し、後続がオッツケていた。この段階で勝負有り。ラスト1Fは12.9秒と少し掛かったが、影も踏ませぬ楽勝だった。結果的に前走で中山戦を使ったのは良い経験になった様。逃げ馬は出脚が有るかどうかで安定度が変わって来るが、この馬はその点で間違いがない。

ヒストリカル

昨季から好調持続。この時期でも皮膚の薄さが目立つ。出脚も元々ない方だが、例に依って後方から。流れに乗る迄、多少時間が掛かるのは仕方がないところ。ただ、前述した様にこのハイペースで、3過ぎからバテる馬が続出したことも有り、早目に外へ持ち出して自力勝負。直線は少し内にモタれていたものの、結構良い脚を長く使っている。ハイペースは向いたとしても、この時計で外を回っているのだから充分評価出来る。この一族は高齢になっても衰えがない。

クラリティスカイ

前後肢にバンテージ。首を使った歩き方。集中力が有った。馬体に張りも有って、デキは悪くない。ちょっと出脚が鈍っているのか、あまり進んで行かず中段やや後方から。普段は折り合いの心配をする馬が、今日は道中も結構オッツケていた。3〜4角中間でバテた馬を捌きつつも、コースロスを最小限に留めて、直線もジワジワ。渋太いが、今日は道中の行き振りが悪過ぎた。背負っていることも有るだろうが、小回りだともっと1F有った方が良さそう。

ロードヴァンドール

2人匹。大型馬らしい迫力が有る。トモのボリューム感は随一。大外枠でも押して積極的に前へ。ただ、枠に関係なくマルターズアポジーは速く、何時ものハナではなく、3番手から。勝負どころでも積極的に前を捕まえに行ったが、4角での手応えの差は歴然だった。直線はなだれこんだ4着。ただ、2番手に居たマイネルハニーが最下位。これは負け過ぎとしても好位勢にはキツい展開の中、良く頑張っている。こういう競馬が馬を強くする。

ストロングタイタン

シープスキンノーズバンド。+6kg。多少腹回りがボテッと映る。気配は悪くないが。出脚は有りそうだったが、無理せず好位直後から。3〜4角中間でステッキが飛んだものの、道中の行き振りは悪くなかったが、4角で少し待たされた様にも見えた。小回りだと4角で勢い付けて回った方が有利。戦前は押し出された1番人気になっていたが、今日はこれで仕方がない。

第67回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

アルバート

2人曳き。+6kg。多少太い気も。満点はやれない。ゲートも悪かったが、例によって後方からジックリと。序盤のペースは遅かったが、2周目3角辺りから徐々にペースが速くなり、結構持久力が要求される展開。それを後方で矯めるだけ矯めて直線勝負。3000m以上を走って上がり33.4秒なら文句なしだろう。実況通り"長距離の申し子"。距離適性だけをいえば京都でも通用する計算だが、如何せん京都戦は毎年馬場が特殊。ゲートが相変わらず悪く、昨年の様にイン逃げで決まる展開になると厳しい面も。

ラブラドライト

遮眼革。-10kg。こぢんまりとしているが、ディスタンス戦だけにこれはこれ。好発。出脚も有ったが、長距離戦にしてはキングルアウが押して主張しており、2番手から。道中の行き振りも良く、そのキングルアウの逃げはスローだったことも有り、有る程度付いて行く形。坂下で持ったままで先頭。早めに抜け出して押し切りを狙ったが、アルバートがあの決め手で差して来てはどうしようもない。前で流れに乗れるのが強みで自在性が有るが、今日は相手が強かった。

カフジプリンス

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。ドッシリと見せて、馬体は悪くないが、少し歩様が硬い。ゲートを五分に出て好位から。2周目4角から直線にかけて少しモタついた様にも見えたが、坂を上った辺りで左手前になり、そこから盛り返してここ迄。渋太い脚は見せた。尤も、モタつき癖は相変わらず。重賞で馬券圏内迄来れた様に、地力そのものは持っているが、機動力が欲しい。

トウシンモンステラ

-8kg。トモのボリューム感は残っており、細い印象はない。枠が遠く、コーナーでは基本的にジッとしていたが、距離損のない直線区間で少しずつ前へ。1周目4角では中段やや後方辺りだったが、2周目2角で中段。この辺りは乗り役の技量。直線向いても大事に乗って、追い出しを我慢していたが、もうワンパンチが出なかった。ハンデ53kgでこれなら力不足。今日は腕一本。

ブレストウィック

前肢にバンテージ。+14kg。芦毛の大型馬で、馬体増が見た目に分からないのだが、少なくとも毛ヅヤは良かった。歩様にも推進力が有った。道中は中段やや後方から。スローでもアルバートを見ながら進める展開は悪くなかった筈。馬群の切れ目でインに潜り込めたのも良かっただろう。ただ、道中で前の馬に追突しそうになっていた。直線もイチかバチかでインを突いたが、もう一伸びが利かず。道中がスムーズだったらと悔やまれる。

第52回京都牝馬ステークス(GⅢ)

レッツゴードンキ

+10kg。500kgを超えると流石に太く映るが、ここへ入ると馬が一枚上。気配も良かった。微妙にゲートが悪かったことも有るだろうが、道中はかなり行きたがっていた。ただ、外へ持ち出せたのは大きかっただろう。坂の下りでワンスインナムーンを前に置いて何とか我慢させ、直線は豪快に伸びた。斤量面でも55kgは恵まれた感が有り、桜花賞以来の勝利となった。折り合い面は相変わらずだが、この後はスプリント戦に回りそうで、大きな問題とはならないだろう。あとは位置取りの問題。

ワンスインナムーン

前肢にバンテージ。-8kg。一応は許容範囲だが、少し腹が巻き気味。毛ヅヤは良い。流石に1400mだと出脚は一番速い位だったが、この馬場で内へ行っても良いことはなく、好位で折り合いを付ける形。狙い通りに直線も外へ持ち出し、スムーズな競馬が出来た。直線も良く伸びているが、相手がレッツゴードンキということで格の違いを見せ付けられた格好。前肢は良く伸びている割に、首を使うのが下手な走法。バランスの悪さが距離面の限界を浅くしている。

スナッチマインド

下見だけパシュファイヤー。前肢にバンテージ。ふっくら見せてまずまず。歩様もしっかりしていた。若干ゲートが悪く、後方に近い位置。向正面では折り合っていたが、乗り役の話では他馬にブツけられたそうで、3〜4角中間では前にのっかかりそうな場面。直線向いて捌きながら外へ持って行く形となったが、最後迄諦めずに伸びている。マトモに走れていれば2着は有った内容。初重賞チャレンジだったが、充分足りる。

エスティタート

前後肢にバンテージ。キビキビ歩いていたが、もうちょっと全体に力強さが欲しい。出遅れ1馬身不利。最初は出負けを挽回しようとしていた様に見えたが、進路がなくなってしまい、一旦最後方迄下げる形。良く伸びているが、エンジン掛かる迄、少し時間が掛かった様にも見えた。中京巧者としてお馴染みだが、良い脚は持っている。細かい機動力が来ればオープンでも通用しそう。

ムーンエクスプレス

筋肉の輪郭が浮いており、デキは悪くなさそうだが、もう少し歩様の力強さが来ると理想的。出脚はあまり速くなさそうだったが、自分の形に持ち込んで押してハナ。出脚だけでなく、道中の行き振りも一息で、2番手に結構付いて来られていた。内目の馬場が悪く、直線で内外離れた関係で一旦は突き放す格好になったが、ラスト150m辺りで一気に来られてここ迄。ただ、今日の馬場状態を考えると良く頑張っている方。出脚が来ればもっと楽になる筈。

第51回共同通信杯(トキノミノル記念)(GⅢ)

スワーヴリチャード

脚長でバランスのとれた馬体。キビキビ歩けており、中々毛ヅヤも良かった。1馬身程出負けしたが、掛かるのを覚悟で出して行って好位グループの直後。ただ、序盤は頭が上がっていたが、3角手前では折り合いが付いていた。直線向いて、持ったままの手応えで前が空き、追えば追うだけ伸びた印象。全身を使った走法は中々ダイナミック。脚が長いので尚のことカッコ良く見せる。成長が有ったというよりは、東京スポーツ杯2歳ステークスのメンバーレベルが高かったということになるだろう。大トビ過ぎる走法が中山でキレ負けする可能性も有るのだが、今日のメンバーなら力が一枚上という評価は出来る。

エトルディーニュ

2人曳き。スワーヴリチャードと違って脚は短いが、気配は良かった。外からジワッと行かせて好位の外。少し行きたがる場面も有ったが、何とか宥めた。直線向いて坂を上った辺りで左手前になってしまい、苦しそうにに見えたが、最後迄渋太く脚を使って2着確保。力でもぎ取った様には見えないが、根性が凄い。この手の馬は何かの拍子にボロ負けするとその後サッパリということになり易いのだが、それ迄は渋い働きが期待出来そう。

ムーヴザワールド

2人曳き。前後肢にバンテージ。黒光りして中々カッコ良い馬。今日はテンション高いが。今日はゲート五分に出て好位から。ただ、口を割って行きたがってのも前走と違う点。それでも3角では折り合ってもう少し伸びても良かったが、ジリジリだった。まだ全身が使えていない印象で、そこがスワーヴリチャードとの差。先々は走って来るだろうが、現状は見掛け倒し。

タイセイスターリー

-8kg。前走京都戦とはメンバーレベルが違い、断然という訳ではないが、上位の馬。好発。ハナへ行く気はなかった様で引っ張って一旦はディアシューターに行かせたが、堪え切れずにハナへ。ハナへ行ってからは折り合っていた。ペースを落とせたとはいえ、嫌な展開だった筈だが、それなりに頑張っている。直線は内にモタれてもいた。気性面は相変わらずだが、間違いなく能力は持っている。

ディアシューター

2人曳き。パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見だけ口籠を付けて最後方を周回。何とか気配は堪えていた。多少寸が詰まっているとはいえ、馬は幅が有って悪くない。好発。出脚はタイセイスターリーの方が速かったが、枠の並びで一旦はハナ。しかし、向正面でペースを落とそうとした際にタイセイスターリーが行きたがって好位に収まる形。インで折り合って脚は矯められた筈。最高の競馬で決め手負けした格好だが、2着との差は僅か。器用さは評価出来るところで、中山なら一発有って不思議はない。

エアウィンザー

今回からシープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬は文句なし。現時点の雰囲気は兄エアスピネル以上。ゲートを五分に出て中段。このペースで行きたがる馬も多い中、向正面からオッツケていた。直線向いても、捌き損ねた部分は有るのだが、前が開いてからも伸び案外。何か本気で走っていない様な印象。能力は有りそうなのだが、それが実戦で出ない。また馬具や攻め馬を工夫するということになるのだろうが、少なくともシープスキンノーズバンドは良い方に出ていない。

第110回農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

サトノクラウン

+6kg。多少テンション高いが、トモがパンとしたのが大きい。明らかに歩様が良くなっている。馬の行く気に逆らわず、そのまま行かせて好位から。といっても、前のヤマカツライデンが引っ張って、2番手ガリバルディが付いて行き、更にそこから5馬身程離れた位置。この馬場で1000m通過60.2秒は流石に速く、前は4角で怪しくなって自然と追い付き、直線は馬場の良い外へ持ち出してそのまま押し切った。後述するが、マカヒキ同様、良い脚が長く続かなかった馬。昨年は道悪適性としても、今年は自力で勝った感が有る。パワーアップが著しい。かつてはサトノといえば期待されながら成長案外という馬が多かったが、サトノダイヤモンドが全部を変えてしまった印象。新設GⅠの覇者として歴史に名を刻む可能性も高い。

スマートレイアー

前後肢にバンテージ。+10kg。デビュー当時からそれ程変動のない馬で、見た目には太くない。歩様の力強さが特筆モノ。好発。出脚も有る馬だが、距離を意識しつつ中段から。サトノクラウンを前、マカヒキを外に置く形。多少掛かっている様にも見えるのだが、この馬はこれで矯めが利いている。明暗を分けたのはサトノクラウンで、マカヒキを意識したことで外へ行ってくれたが、この馬はその内へ突っ込む形。この馬の通った位置でも馬場が良く、最高の競馬が出来た。レースに行って癖がないのが強み。勝てなかったにしても、前年のダービー馬を負かしたのは中々の勲章。

マカヒキ

2人曳き。前後肢にバンテージ。ダービーと同じ数字だが、ちょっと緩慢に映った。半馬身程出負けしたが、軽く促して中段から。序盤はともかく、2角では折り合いも付いていた。直線も馬場の良い外へ持ち出し、あとは馬が伸びるだけだったが、見た目の手応え程伸びなかった。ダービー後に触れた通り、良い脚が長く続かないエイシンフラッシュタイプ。デキの問題は有るにせよ、スマートレイアーにやられたのも些か情けないところだが、外を回すとこんなモノかも。これなら仏国遠征がサッパリだったのも合点が行く。従ってパンパンの良馬場限定。

ミッキーロケット

大分馬体を大きく見せる様になって来た。現時点では多少太いのかも知れないが、以前の華奢な造りよりはマシ。出負けして後方から。直ぐに内ラチに寄せていた。直線向いて前との差を詰めているが、並ぶ迄には至らず。影を踏んだ程度だった。乗り役の話の通り、出遅れたのが少し痛かったか。道中で上位3頭との間にアクションスターとアングライフェンが入って、1馬身ロスした形。尤も、昔からゲートの出は良くない方。器用さは有っても、細かい不利をハネ除けるだけの地力はない。

アングライフェン

+8kg。まだスカッと見せる馬体だが、気配は文句なし。眼に力が有った。急かさず内外の出方を窺いながら中段やや後方。上位3頭と見ながらの競馬。4角回って大外へ持ち出し、マカヒキの1馬身後方。マカヒキも甘いのだが、その差が最後迄そのままだった。オープン特別も勝ててない身で賞金咥えて来れば上出来だろう。前走中山戦のマイルは忙しそうで、距離もこれ位の方が合っている。

第52回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

アドマイヤミヤビ

馬体がそれ程目立つ訳ではないが、牝馬にしては歩様が力強い。ゲートを五分に出て中段。1000m通過59.1秒。出脚が速いという訳ではないが、このペースの割には意外な程付いて行けた。追ってからも反応軽快。大トビでスパッと切れる印象ではなかったが、良い脚を長く使った。昨年のメジャーエンブレムが1分32秒5。そのレベルではないにしても、本物の相は持っている。2歳時はマイルのつい押すに骨を折っていたが、スムーズに追走出来た辺り、成長が有りそう。今年は牝馬のレベルが高く、真打ではないが、水準を遥かに超える。距離延長がマイナスにならない点もセールスポイント。

アエロリット

前後肢にバンテージ。-6kg。今回の方がメリハリが利いている。叩いて上昇。半馬身程出負けも、出脚でカバーして中段から。多少掛かっていたのは致し方ないところ。前走中山戦と違って、出来るだけ仕掛けを遅らせるイメージで追い出す形。勢いは完全にアドマイヤミヤビの方が勝っていたが、交わされたところで再び馬がヤル気を出して差し返しに行っている。根性は見せた。出遅れがなければもっと際どい競馬になっていた。自在性が有ってどんな競馬でも出来るのが強み。

フローレスマジック

2人曳き。+18kg。馬体の張りという点で満点はやれないが、数字はほぼ回復分。ただ、多少テンション高い。ゲートを五分だったが、内外の出方を窺いながら中段から。行きたがっていたというより、少し窮屈そうに走っていた。直線向いてアエロリットの直後、アドマイヤミヤビと並走という絶好の形になったが、ラスト200m手前で脱落。3着がやっとだった。案外といえば案外だが、馬体が緩かったのは言い訳になるだろう。今日の体重を筋肉にして改めて真価を問いたい。

レーヌミノル

+6kg。寸の詰まった体型。輸送して馬体増、しかも落ち着いていたのも何より。好発。内からアルミューテンも行く素振りを見せていたが、出脚も速くこれを制してハナへ。1000m通過59.1秒はマイペース。単騎で行けた。坂下では突き放す位の脚を見せており、ラスト150mまで先頭。しかし、そこで止まってしまった。明らかに距離が長い止まり方。とはいえ、スピードは有るのも間違いないところで、それなりの能力は持っている。この馬に勝てば重賞圏内ということはいえるだろう。

ハナレイムーン

+6kg。増えた点は無条件で好感。トモのしっかりした馬で歩様も問題ない。気配も悪くなかった。前走同様、出負けはなかったが、今日はあまり行く気なく中段やや後方から。道中はインに居たが、直線外へ持ち出してジワジワとした伸び。それでも、新馬の前走が1分36秒8だったのが今日は1分33秒8。3秒詰めている。2走目としてはこれ以上を望むのは可哀相。

第67回東京新聞杯(GⅢ)

ブラックスピネル

-6kg。更に絞れて上昇。多少気性面に不安定なところも有り、淡々と歩いていた点にも好感。ゲート内の駐立は怪しいが、たまたま好発切ってそのままハナへ。出脚は有る馬で、マイネルアウラートを牽制、内のダイワリベラルも引いてくれたことで1000m62.2秒と、超の付くスローに落とせた。直線向いても勿論持ったままで、ラスト400mから追い出してマイネルアウラートを競り落とすと、この一杯一杯守り切った。血統通り、大トビなので瞬発力勝負となると難しい部分も有るのだが、といっても東京でこれだけ助走が有れば問題はないところ。今後これだけ上手く行くことはそうない筈。特にゲート先入れの奇数枠で嫌ってみたい。

プロディガルサン

+22kg。少なくとも緩んだところはなく、成長分も有りそう。出脚の速い方ではなく中段から。インで折り合いは付いていた。直線向いてヤングマンパワーとエアスピネルの間が開いて、一瞬の脚を生かし切った。エアスピネルに先着した点も値打ちが有る。クラシックを目標に、長いところを頑張って使って来たが、兄の通りマイラーなのだろう。リアルスティールの様に脚の使いどころが難しい面も受け継いでいそうだが。

エアスピネル

2人曳き。下見は何時も落ち着いている。多少太い様な気もするが、少なくとも走れる状態。好発も、無理せずこの馬の出脚で好位。前走京都戦は引っ掛かっていたが、2400mのダービーで折り合っていた様に何故か左回りは折り合いが付く。スローは分かっていながら動けないのは仕方がないところだが、プロディガルサンに内へ飛び込まれたのは少し痛かったかも。東京の瞬発力勝負となると、血統から多少厳しい面が有るのは致し方ないところだろう。賞金の上積みを狙っての参戦だっただけに、些か格好悪いが、同情の余地は大きい。

マイネルアウラート

身体にメリハリが利いてまずまず。歩様もスムーズ。ブラックスピネルに出脚でやられて2番手から。自分からペースを上げる訳には行かず、ここで折り合わせる形。次善策としては上手く行った方だろう。ブラックスピネルより先に動いているが、それでも決め手負け。深追いしても競馬が壊れるだけで、今日は仕方がないところ。渋太い面は見せた。

ストーミーシー

2人曳き。-6kg。毛ヅヤは一息だが、気配は良かった。あまり出脚が速くなく、後方に近い位置。少頭数ということも有って、道中はラチ沿いを通り、ラスト400m辺りから外へ。大トビで良い脚を長く使っているが、外へ持ち出す途中で手前が替わってしまったのが痛かった。それでも、位置取りを考えれば同着のマイネルアウラートより上の評価は出来る。ただ、どちらかといえば決め手を生かすタイプにも関わらず、出脚が甘い。次走自己条件で信頼出来るかといえば微妙な面も有るが。

ヤングマンパワー

シープスキンノーズバンド。+6kg。多少太い気もするが、毛ヅヤ冴えて悪くない。外枠とは関係なく、この馬にしては出脚が怪しく、少し急かしたところ、道中マトモに掛かってしまった。馬装通り、良い脚が長く続かないタイプでこうなるとダメ。

第57回きさらぎ賞(NHK賞)(GⅢ)

アメリカズカップ

-12kg。バランスの取れた馬だが、流石に多少細い。出遅れた前走阪神戦と違い、今日はゲートを五分出て好位から。道中は少し掛かり気味。坂の下りで動いて、直線入口でプラチナヴォイスに並び賭け、最初はプラチナヴォイスに併せに行ったのだが、内にモタれて脚がないのを確認すると外へ持ち出してそのまま押し切った。見た目は完勝。1000m通過61.6秒の割に、折り合っていた馬が多く、それらは恐らくは馬場を気にしていたということなのだろう。この馬だけが馬場を苦にせず、自分から積極的に動いたのが功を奏した。良くも悪くも参考外。

サトノアーサー

2人曳き。現時点での完成度は昨年のサトノダイヤモンドより上。スケールでは話にならない。後方、といっても6番手だが、ジックリと。掛かったのは確かだが、眼前に居たアメリカズカップも似た様なモノ。早目に動いたアメリカズカップに付いて行っていればまた結果は違っただろうが、ここで一瞬離されたのが痛かった。勿論馬場が敗因で、最後差した辺りに地力の一端は見せている。他馬もそうだが、滑る様な場面が多かった。とはいえ、今日のメンバーは大概で、サトノダイヤモンドを期待するのは酷。次走人気になるなら嫌ってみる手も。

ダンビュライト

oオーストラリアンブリンカー。馬体の張りが有ってまずまず。毛ヅヤも悪くない。あまり行かせる気はなかった様で、無理せず中段から。こういう馬場は苦にしない様でスムーズに走れていた。ただ、追ってからがどうもジリッぽい。早目に動いたアメリカズカップに届かないのは仕方がないとしても、2着は確保しないと値打ちがない。前々走の内容からここでも通用して不思議はないのだが、能力的な上積みが薄い。

プラチナヴォイス

もう少し落ち着いて欲しい。馬体や歩様はこれで良いが。タガノアシュラが何が何でもの構えで行って2番手。ただ、最初から内にササッており、ずっと口を外へ向けていた。直線もタガノアシュラは瞬時に潰したが、内ラチにヘバり付いていた。少なくとも力負けではない。この馬場が合わなかったか...。前走と違って折り合っていたのは収穫だが、これも馬場状態を気にした可能性が高く、今日は評価のしようがない競馬。

エスピリトゥオーゾ

ちょっと歩様が頼りない。馬体の印象も非力。最初から行く気なく離れた最後方からジックリと。少頭数ということも有って、テスト的意味合いも有っただろうが、ここ迄。未勝利上がりとしては悪くない内容。尤も、これで500万通用するかといわれると微妙だが。

第31回根岸ステークス(GⅢ)

カフジテイク

前後肢にバンテージ。毛ヅヤピカピカ。歩様もこんなモノだが、前走中京戦も良かった。腹回りの締まりが微妙に落ちている。ゲート直後に躓いたコーリンベリー程ではないが、この馬も何時も通り出遅れて後方から。ソコソコ流れたとはいえ、4角大外は結構キツかっただろうが、ラスト400m辺りからエンジンが掛かると、矢の様な伸びで突き抜けた。2走前辺りから本格化した印象も有ったが、相手弱化でやっとタイトルに手が届いた形。このレースの追い込み劇はシルクフォーチュンが直近で、次走GⅠ2着だったが、真っ直ぐ走れていた点を考えるとそれ以上の評価が出来る。今年は一発有っても不思議はない。

ベストウォーリア

前後肢にバンテージ。ちょっとボテッと映った。気配に乏しいのは年齢も有るだろうが。斤量を背負っていた割には出脚が速く、スタート直後は先行争いに首だけ突っ込んでいたが、直ぐに引いて中段から。バラけた位置で砂を被らずスムーズな追走。直線も少し外へ持ち出して良く伸びているが、カフジテイクの決め手が一枚上手だった。お世辞にも褒められたデキではなかった筈だが、年齢を経てどんな競馬でも出来る様になっているのが大きい。今日は結構追い込みが決まっており、前を深追いしていたら掲示板もなかった筈。競馬が上手くなっている。

エイシンバッケン

チャカつく面は有ったが、デキは抜群だった。筋肉の浮いた大型馬で、馬に迫力が有った。ゲートは五分に出ているが、意図的に下げて後方から。引っ張り切りだった。カフジテイクと違い、4角で外へ回さず馬群を捌く形。フルゲートでブレーキが掛かる場面が有るのは致し方ないところで、ラスト200mのところで待たされたのが特に痛かったが、それでもここ迄伸びて来た。スムーズなら勝ち負けになっていたかも。昔の岩田騎手なら強引に突っ込む位のスペースは有った気もするが、最近は流石に大人しくなっている。何れにしても馬は評価出来る。このメンバーでも瞬発力はトップクラス。

キングズガード

+6kg。前のエイシンバッケンが良く見せるので些か地味だが、増えた点には好感。均整の取れた造り。半馬身程出遅れて後方から。これも4角で大外へ持ち出せる様な感じではなかったが、上手く馬群の切れ目で外へ持ち出し、そこからは良く伸びえている。ただ、ラスト1Fから内にモタれており、エイシンバッケンにはそこを突かれた格好。左回りでも手堅いが、毎回この癖が有り、右回りの方が明らかに成績は良い。

ニシケンモノノフ

毛色がくすんでいるのでイマイチインパクトに欠くのだが、筋肉の輪郭が浮いてデキは上々。気持ちも前向き。この馬にしては少しゲートが悪かったが、出脚でカバーして好位から。直線はベストウォーリアとの並走になったが、ラスト300mで簡単に脱落。ただ、そこからの脚はそれ程悪くなかった。止まっている雰囲気ではなく、決め手不足。もう一段前で競馬するのがベストか。陣営の話ではもっと軽い馬場の方が良いとのことだが。

第22回シルクロードステークス(GⅢ)

ダンスディレクター

前肢にバンテージ。馬体の張りが良くなっていた。気配も表に出しており、前走阪神戦以上。この馬としてはゲート出た方だが、あまり行く気なく後方に近い位置。前走阪神戦が1400mで先行したが、少し掛かっており、折り合いを意識した様。多少怪しいながらも動けない位置で我慢していた。直線入口で上手く前が開いて外へ出すタイミングもバッチリ。大外へ行かなくて済んだのが大きかった。久々にこの馬らしい切れ味を発揮した。条件時代も取り溢しが多かった様に末脚に確実性がないのだが、如何に一瞬の脚を生かし切るかがポイントになる。この乗り役がずっと乗ってくれるなら大きな味方となりそうだが。

セイウンコウセイ

+6kg。数字増えたが、メリハリが利いている。気配も少しチャカつく程度。ネロとは半馬身位出ッパが違っていたが、枠の並びも有ってスッと好位。楽に好位置が採れたのは大きかった。同馬主のネロを早目に潰す訳にも行かず、追い出しを少し待っていた位だったが、結果的に前が止まったことを考えるとこれも良い方に向いた。相手も間違わず、ダンスディレクターに併せて行ったのも正解だったが、ダンスディレクターの瞬発力に屈した格好。充分重賞でも競馬になるが、もうちょっとゲートが速いと楽になる。

セカンドテーブル

シープスキンノーズバンド。均整が取れつつも、迫力のない馬体。これでデキは悪くない。出脚も速い方だが、押して押してネロに抵抗。多少脚は使っただろうが、ソルヴェイグの直後に潜り込む形。上手くインを突いて伸びているが、強いていえばエンジンが掛かったところで、ソルヴェイグが内にモタれて逡巡する場面が有ったのが痛かったが、それがなくても3着だったか。手堅いのは確かだが、重賞で勝つには何かが足らない。

ヒルノデイバロー

走る走らないは別にして、良く見せるのは毎度。例に依ってゲートは遅く後方から。直線は躊躇なく大外。良く伸びているが、33.3秒で上がっておりこれが一杯。4角でダンスディレクターの進路が開いた様に、少頭数の割に馬群がバラけて外に振られ過ぎたのは少し勿体なかったか。重賞でも展開一つだが、最近は馬場状態も重要となるところで中々条件が噛み合わない。生涯の内、一度は何処かで有る筈だが...。

ラインスピリット

気配は乏しいが、バランスの取れた造りで数字以上の迫力が有る。ゲートは速かったが、乗り役の話では内目の馬場が悪かったとのことで行き脚が付かず中段から。道中の手応えも一息だったが、直線でエンジンが掛かってからは良く伸びて来た。差す形がモノになって来たといえば聞こえは良いのだが、前走にしても少しズブくなっている。今なら1400mの方が良いかも。

ソルヴェイグ

+18kg。生涯最高体重だが、前走中山戦が-10kgで、決して太くない。キビキビ歩けており、気配も良かった。好発。出脚も速く、スッとハナ。ただ、逃げの手は戦前の想定になかった筈で、ネロに突かれる展開になったのが痛かった。600m通過33.9秒と極端なハイペースではなかったにせよ、慣れない逃げで終いが甘くなった。ただ、出脚強化は間違いなく成長の証。戦前述べた通り、冬場は甘いのかも知れないが、希望が持てる敗戦。

ネロ

馬体の張りは前走よりむしろ良く見せた程。意外な程、良かった。ゲートは一番速かったが、この斤量で出脚が鈍ったか、ソルヴェイグに行かれて2番手。スピードの乗りを考えるとソルヴェイグを叩きに行ける程でもなかった。ただ、やはりちょっと引っ掛かっていたか。4角の手応えは良さそうに見えたが、最後は完全にガス欠。ソルヴェイグと枠が逆だったら両立も有り得たが...。ただこれも冬場は良くないかも。1,2月の成績が毎年悪い。