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競馬回顧 2017年1回京都

第58回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

タンタアレグリア

シープスキンノーズバンド。+12kg。休み明けだが、少し余裕残しといった程度。毛ヅヤが冴えて走れる状態。大トビ故に出脚の有る方ではないが、以前よりは流れに乗れる迄の時間が短くなったか、何とか中段のイン。途中で馬群が切れていたが、前団グループの最後方。コーナー毎に番手を稼いで4角で逃げ馬の直後。ミライヘノツバサが直線入口で外へモタれたことも有り、ここで前が開いたことも大きかった。見た目は鮮やかだったが、今日は上手く行き過ぎた感が強い。ただ、前述した様に大トビで東京限定の感も有った馬。こういう競馬が出来たのは本格化を告げる。

ゼーヴィント

2人曳き。+6kg。コンパクトに纏まった馬体。イレ込みがネックの馬だが、これでも以前よりはマシ。下見の気配の割には折り合いの付く馬だが、2200mで流石に怪しい雰囲気も有り、先行争いを途中で諦めて中段から。この位置でスムーズに追走出来た。今開催の流れから4角で外を回す展開も間違いではなかったが、ここでシングウィズジョイと接触。落馬に巻き込まれずに済んだのは不幸中の幸いだったとはいえ、タンタアレグリアが内をスクッただけに勿体ない印象が残る。実質的な勝ち馬といっていいだろう。あとはツキの問題。

ミライヘノツバサ

2人曳き。-4kg。現状は500kgを切った方が良さそう。歩様もしっかり踏める様になって来た。外からクリールカイザーが何が何でもの構えで行ったが、好発と枠を生かして先行。折り合いは付いていた。外差しが利く馬場状態ということも有って、各馬が早目に押し上げて来たが、4角で被せられる前に前を潰しに行く形。良く頑張っているが、坂を上がって脚が鈍った。ソコソコ流れていただけに少し早漏だったかも。尤も、元々がそれ程決め手の有るタイプではない。今日の策は展開上止むを得ない形でも有っただろう。賞金加算出来なかったのは唯一悔いが残るが、何よりこういう競馬は馬を強くする。

ルミナスウォリアー

2人曳き。叩いて馬体の張りが良くなった。水平首で気配もまずまず。ゲートは五分だが、行く気なく後方から。思い切ってマクりに行ったが、他馬の抵抗も激しく結果的に外を回され過ぎたか。マクり切る迄に至らず、坂を上る辺りで失速してここ迄。とはいえ、4角の回り脚は中々速かった。小回りで時計が掛かる条件ならまだまだやれる。

ワンアンドオンリー

前肢にバンテージ。今日は最近の中でも一番。推進力の有る歩様。馬体にも張りが有る。スタート直後から押して押して行く形。1角では好位に居たものの、外から来た馬も多く、結局は中段から。それでも4角回ってタンタアレグリアの直後なら悪くない展開だったが、直線は伸びずバテず。馬自体は完全に復調している。あとは能力の問題だが、一雨降って時計が掛かればソロソロ一発有っても不思議はない。歴史をなぞるなら、1993年のこのレースを稍重で制したホワイトストーンがこのパターン。1992年メジロライアンの日経賞も稍重で、道悪は復活劇を後押しする効果が有るのだが、次走UAE遠征とのこと。砂漠の地では流石に...。

リアファル

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体が締まって前走中京戦以上。クリールカイザーには叩かれたが、負けじと付いて行く形。折り合いも付いていた様に見えたが、4角手前でアラアラの手応え。あとは後退する一方だった。このメンバーなら圧勝しても不思議はない能力が有る筈で、敗因不明。強いていえば何時もより少し出脚が甘い気もしたが...。

第34回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

グレンツェント

2人曳き。前後肢にバンテージ。まだ迫力の点で古馬に分が有るが、馬に集中力が有った、横向いた時にゲートを開けられ、出負け気味だったが、出脚でカバーして中段。ところどころで道中のペースが落ちていたが、早目に外へ持ち出し、直線入口で他馬と接触しつつも、一気の伸び。単純に力が違っていた。どちらかといえば器用さで勝って来た印象も有った馬、今日も乱ペースになってスムーズに競馬出来た分が有るにせよ、鮮やかな勝ち振りだった。弾み付けてGⅠへ臨めるのは何より。

モルトベーネ

馬体に迫力はないが、メリハリの利いた造り。のんびり歩いていた。出脚が抜群に速く、スッと好位。ショウナンアポロンに行かせて、インのポケットに収まった。引っ掛かる馬が多い中で折り合いも付いていた。4角回ってもこの位置関係は変わらなかったが、坂を上り切った辺りでインからショウナンアポロンを交わして先頭。最後はグレンツェントの決め手に屈したものの、あと一歩だった。能力評価という意味では微妙な面も有るのだが、立ち回り一本の2着。前の方でペースが乱れ、マトモに競馬出来た馬が少なかったのも有利に働いた。

メイショウウタゲ

叩いて前走中山戦以上。もう少し歩様が伸びると理想的だが、毛ヅヤが良くなっていた。出脚は有りそうだが、外枠ということも有り、あまり行く気なく後方から。真っ先に内ラチ沿いへ寄せていた。ラチからは離れず出来る範囲で道中の番手を上げ、向正面で中段。直線もそのままインを突く形。上手く前が開いたかに見えたが、モルトベーネの方が一瞬の脚が速く、そこで前をカットされたのが痛かった。エンジン掛かってからは盛り返していただけに尚のこと惜しい。差し一手でアテにならない部分は有るが、この内容なら重賞でも充分足りる。

ショウナンアポロン

前後肢にバンテージ。-6kg。絞れたのは良い傾向だが、まだ全体に緩い。好発。出脚はモルトベーネの方が速かったが、無理矢理ハナへ。無理に行った結果、必要以上にペースを落としてしまい、半分競馬が壊れた様なスローペース。結果的に流れに乗り損ねた馬が多くなり、折り合いが付いた上位3頭に限らず、この馬にも良い方に働いた。直線向いてからも良く頑張っているが、スロー過ぎて決め手で屈した印象。もう少し出脚が有った方が競馬が楽。

カゼノコ

漸く毛ヅヤが良くなった。馬体の張りも上向き。ゲートは出ているものの、例に依って最後方待機。インを突くパターンも何度か有るとはいえ、今日は4角迄内に居て直線だけ外へ。スローでは有ったが、決め手と直線の長さを生かしてここ迄。ただ、h本当に追い込みには不利な条件だったかどうかは今日の乱ペースで若干微妙な部分も有る。現状は頑張ってこの程度なのかも。

ピオネロ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+6kg。皮膚を薄く見せて、迫力も有る。馬体は文句なし。ただ、ちょっとテンションが高い。躓き気味に出て、出脚が鈍ったが、促して先行。この形で今日の乱ペースだと掛かるのは致し方ないところ。それでも4角の手応えは悪くなかったが、追って案外。先行した方が良いのは間違いないが、出脚を使うとマズい様。結果的に乗り替わりが裏目に出た形。

アスカノロマン

前肢にバンテージ。前走と比較するとワンランク落ちる。多少太いのと、毛ヅヤがイマイチ。ゲートは速い方だったが、一気に外から3頭が来て引いたところ、目の前のトウショウフリークが引いて想定より後ろから。揉まれて良い馬ではなく、内外前に居る形は最悪だった。追っての味がないのは毎度で、こうなるとダメ。ミスといえるかどうかは微妙だが、少なくとも上手く運べなかったのは間違いない。

第64回日経新春杯(GⅡ)

ミッキーロケット

地味な馬体は何時ものことで、一息入ったが出来ていた。頭数の少ないディスタンス戦ということも有り、ポジション争いが激しくならず、出たなりで好位から。微妙な馬場状態だったが、行き振りが良く、折り合い付いて追走出来た。直線はシャケトラとの追い比べとなり、一旦は前に出られているのだが、差し返した。シャケトラが序盤引っ掛かっていたことを考えると、道中でのスムーズさが明暗を分けている。前走が内にモタれていたことも有り、今回はハミを替えたそうだが、効果絶大だった。出脚の速さは良く分からないのだが、道中の器用さが最大の長所で、一線級相手だとパワー負けする危険も。大舞台で狙うなら3200mで内枠を引いた時。

シャケトラ

前後肢にバンテージ。動きキビキビ。皮膚を薄く見せて、デキも文句なし。位置取りよりも折り合い重視だった様だが、頭を上げる等、序盤は一苦労。前に追突しそうになり、前,外に馬を置けない程だった。2角辺りでやっと馬も納得した様でそこからは問題なく追走。ミッキーロケットを目標に、ラスト300m辺りで一旦は前に出ているのだが、相手の渋太さが一枚上手だった。前述した様に、序盤のロスを考えれば能力的には勝っていた。キャリア5戦目ということで、これからが楽しみという見方も有るが、使って馬が苦しくなって来ると自分から止めてしまうパターンも少なくない。ここからが厩舎技量を試される。

モンドインテロ

気配上々。馬体の雰囲気もまずまず。前走中山戦よりはゲートを出たが、3600mの後で出脚が鈍り、急かしてやっと中段。インに入れてシャケトラを左前に置く形。折り合いは付いていた。向正面半ばで隊列が更にバラけ、先に動いたシャケトラやミッキーロケットを目標に外を動いて行く形。直線向いた雰囲気では勝ったかに見えたが、いざ追ってからが甘かった。最後はレッドエルディストにもやられそうになっていた程。乗り役は馬場の影響としていたが、良馬場だった東京戦でもこんなモノだった。良い脚が長く使えない。

レッドエルディスト

トモの甘い歩様。相変わらず力が付き切っていない。元々出脚が速い方でないことも有り、後方からジックリと。ズブいのは何時ものことで、坂の下りでの手応えは怪しかったが、大外へ持ち出しここ迄。現状は非力なだけに、序盤で急かすとダメ。今日はこの馬の教科書通りに乗った。スタート直後のポジション争いが激しくならない京都2400mはベスト。つまり、条件が合っていてこの程度だから、重賞では厳しい。

カフジプリンス

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。トモ高の造りでやや不格好だが、馬体の張りは悪くない。ゲートが速い方だったことも有り、スッと中段。道中は特別問題がなかった様に見えたが、勝負どころでの反応が悪過ぎるのは前走中山戦同様。この馬としては脚を使っているのだろうが、見た目には伸びずバテず。現状だともっと距離が有った方が良い。

第57回京成杯(GⅢ)

コマノインパルス

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体はまだ完成していないが、今日は気配が良かった。ゲートで安目を売って後方。ちょっと掛かり気味。序盤は馬を前に置いていたが、基本的には外を回る形。3角過ぎからジワジワ外を動いて、坂下で先頭。かなり強引だったが、そのまま踏ん張り切った。前走のレイデオロ0.2秒差2着から1番人気になっていたが、額面通りの能力が有ったということだろう。ただ、バゴ産駒で一昨年2着のブラックバゴが居て、この時期や馬場状態と相性が良さそう。ブラックバゴは先週1000万を中山で勝っているが、クラシックに関しては無縁だった。この馬も不器用さが裏目に出る危険も少なくない。

ガンサリュート

+6kg。毛ヅヤが一息。馬も全体に緩い。半馬身程出負けして後方から。後方で前を壁にして折り合いを付ける形。無茶すると引っ掛かりそうな気配も有ったが、我慢して走れていた。勝負どころでもここで脚を矯めて、コマノインパルスが動いた場面でもジッとして直線勝負。ジワジワ伸びてあと一歩だったが、コマノインパルスが強引に勝ちに行ったにも関わらず捕まえ切れなかったことを考えると地力の差が有る。とはいえ、4角でイブキに内から当てられていた。特に怯んだ様には見えなかったのはこの馬自身に根性が有るからだろう。馬体が締まってくればもう少し差は縮まって良い。

マイネルスフェーン

オーストラリアンブリンカー。マイラー体型で、前走とほぼ変わらず。今日はゲートを五分に出たが、外から行った馬が多く、後方に近い位置。ずっとインに居て、前走同様にインを突けると良かったが、直線で前が壁になり、ガンサリュートの外では一手遅い。中山2000mは堅実といえば堅実だが、勝つにはもう少し出脚が欲しいところ。どうも危なっかしい。

ジェニエーブル

この時期にしては毛ヅヤが良い。馬体は完全に子供だが。出脚がもう一つで後方から。今日の展開ならこれはこれで悪くなかった筈だが、直線向いて前がゴチャついて一回ブレーキを掛ける場面が有ったのが痛かった。立て直してからは良く差して来ている。下見からは手が出せない馬だが、今日のパフォーマンスだけをいえばガンサリュートとも互角の評価が出来る。

アサギリジョー

馬体は地味だが、気配、歩様共悪くない。今日はゲートを五分に出たが、外の馬に出脚でやられ、一旦立て直してから中段の外に引く形。コマノインパルスの一歩前で積極的に乗られたが、追ってから頭が上がり気味。その分、推進力が足りなかった印象。500万なら何とかなりそうだが、重賞だと少し壁を感じる内容。

第54回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

マキシマムドパリ

少し煩いが、硬さがないのは何より。出脚は有る筈だが、最近のパターン通り、後方待機策。良い脚が長く使えない面は有り、今日は直線だけに賭ける競馬。1番人気では有ったが、イチかバチかの策が当たった。坂を上って左手前となり、少し内にモタれながらでは有ったが、一気に突き抜けた。昨年は時計に対応出来ない様な雰囲気だったが、スローでしかも力の要る馬場になり、時計が掛かる条件になったのも向いた筈。

サンソヴール

前後肢にバンテージ。数字のない割にメリハリが利いて良く出来ていた。もうチョイしっかり踏んでくれれば理想的。最初からプリメラアズールには行かせるつもりだった様だが、2番手は確保。マイルの後だったが、前にプリメラアズールを置いて、良い雰囲気で追走出来ていた。4角の手応えが好対照で、馬場の良い外へ持ち出す余裕も有り、ジワジワ伸びているのだが、スパッと切れる脚がなかった。少し時計が掛かる馬場も向いた印象で、ハンデ戦なら互角にやれるところは示した。後述する様にクインズミラーグロを差し返しており、渋太さは持っているが、重賞で勝ち切るには決め手が欲しい。

クインズミラーグロ

前肢にバンテージ。+10kg。数字はこれ位で丁度。この時期にしては毛ヅヤも悪くない。好発。行きたい馬に行かせて好位から。折り合いも付き上手く乗られて、サンソヴールが直線で内を開けてくれて進路も出来た。これ以上ないお膳立てで、直線もサンソヴールには並び掛ける迄持って行っているのだが、ラスト100m程で甘くなった。距離は過去の実績から保つ筈だが、乗り役の話では馬場の影響だろうとのこと。

マラムデール

前後肢にバンテージ。歩様に伸びがない。馬体もこじんまり。ゲートが少し悪かったが、出脚でカバーして中段。道中内でジッとして、コースロスなく競馬が出来たが、あと一押しが利かず。基本的にはパワーがないタイプで、今日は軽ハンデで好走したが、軽い馬場の方が良さそう。距離も恐らく微妙に長い。

アンジェリック

前後肢にバンテージ。馬体に強調点はないが、外を回って歩様も力強い。ジワッと先行。軽ハンデということも有り、一発狙っての先行策。不慣れな競馬で序盤少し掛かり気味だった気もしたが、直ぐに折り合いも付いた。直線向いての手応えも有りそうだったが、もどかしい位伸びなかった。時計の掛かる馬場の方が向いている筈だが、これも少し距離が長いかも。

第51回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

キョウヘイ

頭が高い。寸の詰まった体型で数字がないタイプ。故意に遅れたとのことだが、出遅れ1馬身不利。そのまま最後方から。一時はブービーの馬とも3馬身位離れていたが、兎に角折り合い重視で追走。ずっとインを通って、直線だけ進路を探しながらの追い上げ。馬群を割って突き抜けた。道悪で奇襲がハマったとしかとしかいい様がないのだが、下見通りの天井向いた走法は道悪を苦にしないのは間違いない。オーナーの身内はこのレースに縁が有ったとのことだが、穴ジョッキー高倉騎手の面目躍如といったところ。

タイセイスターリー

-6kg。絞れたのは好感。馬振りも断然。迫力が違った。今日はゲートを五分に出て中段から。多少掛かり気味だったが、馬場状態も有って何とか我慢していた。コーナーでも今日は外へ逃げることなく、ちゃんと曲がれていた。直線で追い出した時の手応えは楽勝の雰囲気だったが、乗り役の話だとソラを遣ったそうで、フワッとしたところをキョウヘイの強襲にやられてしまった。しかし、キョウヘイが居なかったら2着が怪しい止まり方でも有ったか。何れにしても前走1番人気だった様に地力は持っている。このメンバーなら能力最上位は疑う余地がない。あとは気性面。

ベルシアンナイト

毛ヅヤは悪くなさそう。整ってはいるが、あまり力強さはなさそうな造り。ゲートもそうだが、出脚自体も一息で後方から。道中の手応えも決して良くはなかったが、オッツケて4角で中段。その割には一瞬の脚勢は良かったものの、直線入口でブラックランナーと接触するアクシデントも有り、ジリジリ。恐らくは、根性の有るタイプでそれなりに走ったものの、道悪そのものは向いていなかったのだろう。もっとも、気の強さは後天的に得られるモノではなく、競走馬としては何より貴重。馬体は若く、成長次第では化ける可能性も。

トラスト

もう少し絞っても良さそう。メリハリのない造りは毎度だが。マイルだと他に速い馬が居て、好位追走の形。流れには乗れていた。直線入口で先頭に立ち、上手く行ったかに見えたが、そこからが伸び切れず。結果は大して変わっていないが、折り合いが付いたのが一番の収穫。力の要る馬場自体はこなすのかも知れないが、この手の道悪は向かない様。折り合い面も、坂の下りで何度もハミを掛け直す様な場面も有っただけに、単に下を気にしていた可能性も。

マイスタイル

トモが張っていて、踏み込みしっかり。このメンバーだと上位。この馬の出脚でジワッと好位直後。トラストを眺めながら運ぶ形。直線入口で内側がゴチャついたが、丁度不利のないところを通れた。展開的には最高の形だが、もうワンパンチがなかった。前走阪神戦が重馬場だったことで穴人気になっていたが、能力なのか馬場適性なのか微妙な負け方。次走が試金石。

第33回フェアリーステークス(GⅢ)

ライジングリーズン

+12kg。決して太くない。気合が乗って、踏み込みの力強さが1頭抜けていた。ゲートは五分に出ているが、外枠で中段辺りからジックリと。ずっと外を回されたが、4角の回り脚が速く、今日はここで勝負有り。最後迄脚勢衰えずしっかり伸びた。新馬勝ちの中山マイルで巻き返したというよりは、休ませて単純に馬が一変した。良馬場とはいえ、雨の中だけにこの時計もまあまあのレベルは有るだろう。過去の勝ち馬はその後サッパリというケースが殆どだが、今年こそ真打登場かも。

アエロリット

前後肢にバンテージ。+10kg。多少メリハリがない気もするが、極端に太い印象はない。この時期の牝馬なら馬体増は歓迎。直ぐ内のツヅクが好発。この馬もゲートは速く、そのまま2番手。折り合っていたが、この馬場で1000m通過58.0秒は少し流れたといえそう。少し追い出しを我慢して、坂下で一気に抜け出したが、ライジングリーズンの勢いが違っていた。陣営の話通り、馬体が絞れていれば勝っていたかも。ただ、脚質的に安定感は有りそう。今回使った上積みも大きい筈。何より賞金が加算出来た。

モリトシラユリ

ちょこまかした歩様だが、決して硬い印象はない。トモの造りもしっかりしている。真ん中の枠で内外から来た馬に抵抗することなく中段やや後方辺りから。ライジングリーズンの内に居た。4角手前から動いたライジングリーズンとは対照的に直線迄前が壁だったが、上手く外へ持ち出すことが出来た。切れる印象ではなかったが、ジワジワ脚を使っている。クロフネ産駒で芝ダート兼用型。時計が掛かる馬場はプラスに働いた様。

ジャストザマリン

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、馬は上位だが、今日に限れば腹回りがボテッと映る。半馬身程出負けしたが、少し促して中段から。このペースでも少し掛かり気味。ずっとインに居て、自然と前が開いた様に見える程、スムーズに捌けたが、伸び案外。今日の展開だと2着以上ではないと値打ちがない。馬は良いだけに先々走って来る筈だが、今日のパフォーマンスだと500万でも厳しい。

アルミューテン

前肢にバンテージ。馬のシルエットはバランスが取れて好感が持てるが、如何せんトモに力がない。積極的に乗られて好位の外。ハナではなかったが、流れたことも有って、折り合いは付いていた。直線向いて、ライジングリーズンには並ぶ間もなく交わされたが、2着馬とはクビ+ハナ+クビの僅差。新馬の様に1800mでマイペースが叶えば踏ん張れるのだろうが、スピードそのものはマイル向き。

第55回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。この時期にしては毛ヅヤがピカピカ。馬も纏まっている。半馬身位ゲートで後手に回ったが、出脚でカバーして好位グループ。ただ、頭数が多かった関係で内外から来る馬が居て、少し連られそうになっていた。3角手前でも外のダンツプリウスに前をカットされ、引っ張る場面が有り、決してスムーズではなかった。それでも乗り役は自信が有った様で外を回して強気の競馬。最後はブラックスピネルに迫られたが一杯一杯振り切った。今日の展開なら勝つだけで充分だろう。昨秋からの低レベルマイル路線なら大威張り出来る筈だが、相変わらず引っ掛かる癖が見え隠れしている。何かの拍子に位置取りを悪くすると取り溢す危険も。

ブラックスピネル

-10kg。もう少し絞っても良いが、勿論前走阪神戦以上。気配も良かった。出脚は有るが、ゲートを出る時は推進力が上方向に働く様な出方で微妙に鈍って好位のイン。それでも毎年恒例のイン絶対有利な馬場状態で理想的な競馬が出来た。直線上手く捌いて、あと一歩だったが...。エアスピネルが強いのも確かだが、重賞へ来るとワンパンチが足りない印象。ゲートがアテに出来ない点も懸念材料。

フィエロ

このメンバーなら馬自体が上位。8歳でも馬がまだ若い。この馬としてはゲートを出た方で中段から。インだったが、あまり揉まれない位置で競馬が出来た。直線、狭いところをコジ開けて伸びているが、手応え程伸びないのは昨秋からのパターン。そんな状況だけに、3〜4角で少し下げざるを得なかったのはかなり痛かったかも。何れにしてももどかしさが残る内容だった。時計勝負の馬場でハンデが応えた感も有る。

アストラエンブレム

2人曳き。皮膚を薄く見せる。馬に集中力が有って、気配も絶好。ゲートは出ているが、この枠でも有り、下げて後方から。コーナーはインを回って、そこから進路を探す形。序盤の位置取りを考えれば上手く乗られたと思うのだが、今日の展開ではここ迄が一杯。乗り役の話ではステッキに抵抗したとのことだが、それ以前にこの一族は父馬問わず、時計勝負で足らない面が有る。その中では上級といえる部類。

マイネルハニー

前肢にバンテージ。前走阪神戦と大きく変わらずだが、ちょっと歩様と毛ヅヤが落ちた。例に依って出脚は速いが、マイルだと他にも速い馬が居て、好位から。坂の下りで先行勢の中にバテた馬が何頭か居て、自然と2番手。そこからが甘かったが、これは決め手の問題だろう。基本的には時計が掛かった方が向くタイプ。

第66回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

ツクバアズマオー

戦前の報道と違って、休み明けの前走は賞金加算の為に気合が入っていたとのこと。上積みが有った訳ではなく、前走からメリハリ利いて出来ていた。気配も良い。ゲート自体が元々速くない方だが、あまり行く気なく後方から。バラけた位置で自分のペースで走れていた。3角過ぎから外を回って進出。先に抜け出したクラリティスカイをネジ伏せる様に交わして初重賞制覇。今日は完勝だった。金杯にしては珍しい少頭数となったのもこの馬には向いたか。ただ、幾ら時計が掛かる馬場状態とはいえ、良馬場の2000mでイマドキ2分を超えると低レベルといわざるを得ない。前のダノンメジャーが結構引っ張っており、スローでもなかった。上がりが掛かったのも勝因のひとつ。

クラリティスカイ

前後肢にバンテージ。多少歩様が硬い程度。あとは及第点。ハンデ背負って出脚が鈍そうだが、少し押して好位のイン。乗り役のコントロール下では有ったが、序盤は少しブレーキを掛けながらの追走。前は3角手前辺りから出入りが激しくなったが、これをインで堪えて、直線はスペースが開くや否や一気に脚を使って先頭。上手く乗られたが、外のツクバアズマオーの決め手が一枚上手だった。能力そのものはハンデを考慮すればほぼ互角。この手の時計が掛かる馬場も合う。

シャイニープリンス

前後肢にバンテージ。筋肉の輪郭がしっかりしていて、動きもキビキビ。出脚はクラリティスカイより速そうだったが、行く気なく中段から。前がやり合う中で絶好の位置で競馬が出来た。そのままインを突いて、直線向いた段階でクラリティスカイの直後。それで居て、クラリティスカイと2馬身半差は完敗に近い。最高に運んでこの程度なら重賞を勝つ場面はなさそう。堅実なので連勝式馬券から外し辛いのだが、そろそろ見限り時。

シャドウパーティー

軽く小走りが入るところも有ったが、筋肉に柔らか味が有って、好ムード。ゲートの出方がスムーズでなかったことも有るが、少し掛かり気味に中段。それでも向正面では折り合いが付いて、4角でツクバアズマオーの直後。これも展開的には悪くない位置だった筈だが、いざ追ってからの一瞬の反応が悪かった。エンジン掛かってからそれなりに伸びているが、ハンデ差考えるとこれはシャイニープリンス以上に評価出来ない内容。

カムフィー

オーストラリアンブリンカー。軽量化して距離を保たせるタイプ。毛ヅヤが冴えて、体調自体も良さそう。ゲートが少し悪かったことも有って、そのまま後方から。この距離だと流石にズブく、勝負どころから押し通し。スタミナは有る様で最後迄バテずここ迄。一般論でいえば次走東京戦で狙い目ということになるのだが、2年前の稍重がサッパリだった。距離が延びるのは歓迎としても、良馬場の方が良さそう。とはいえ、良馬場なら若い馬の方が有利なのはいうまでもない。