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競馬回顧 2016年5回阪神

第61回有馬記念(GⅠ)

サトノダイヤモンド

この時期にしては毛ヅヤが良い。初の古馬相手だが、一人で引けている点も馬に対する陣営の馬に対する信頼度が高いからだろう。出脚は有る方だが、内に速い馬が多く、1周目4角では中段。ただ、スローを読んで1角過ぎにキタサンブラックの直後でマーク策に切り替えたのが正解。3角手前でサトノノブレスがキタサンブラックを突いたのもこの馬には明らかに味方している。4角でゴールドアクターに入られたのは少し痛かった筈で、坂を上る辺りでキタサンブラックに突き放されているのだが、良い脚を長く使って捕まえた。勝つには勝ったが、色々向いたことは間違いないところで、3歳馬が圧勝するならナリタブライアンやオルフェーヴルといった3冠馬のレベル。まだその域には達していないということだろう。ただ、春のパフォーマンスより今の方が明らかに上がっている。ディープインパクト産駒が欧州の馬場でどうかという問題は有るが、海外でも通用しそうな奥行も持っている。「勝てて凄く嬉しいですね。キタサンブラックが1番のライバルだと思っていましたし、相手がいいところにいたので途中でポジションを上げていきました。その後は引いて、再度リラックスしてくれたことで、最後のもうひと伸びにつながって頑張ってくれました。スタミナがあって乗りやすいですし、とても頭のいい馬です。3歳で有馬記念を勝ったように凄く高いポテンシャルを秘めています。勿論、来年も楽しみですし、凱旋門賞もいけると思います。(ルメール騎手・週刊競馬ブック)」

キタサンブラック

前肢にバンテージ。一応は平行線。気配的にも下見は堪えてくれていた。マルターズアポジーが好発切って2番手。勿論、この馬も五分以上には出ているが、今迄ゲートと出脚でケリを付けて来ただけに、この馬より速い馬が居たのは痛恨だったか。離れた2番手だったが、少し掛かり気味になっていた。2角過ぎ迄セーブしながらの追走。3角手前でサトノノブレスが来て、今度はペースを上げ、4角で完全に叩いてゴールドアクターには競り勝って、突き放しているのだが、更なる追手に抵抗する余力は残っていなかった。それでも一番強い競馬をしているといって良いだろう。今日、ゴールドアクター相手に見せた様に、直線入口で突き放す脚が今季の特徴。

ゴールドアクター

2人曳き。-6kg。もう少し絞れた方がベストだろうが、勿論前走東京戦以上。少し高いテンションもこの馬のパターンになっていた。戦前の想定通り、キタサンブラックをマーク。折り合いは付く馬で、今日は比較的、内の馬場も良くなっていただけに理想的な競馬が出来ただろう。4角でキタサンブラックとサトノダイヤモンドの間から進出。ここも上手く行った筈だが、いざ追ってからがもどかしい。この上がりなら差せる筈で、昨年の脚がなかった。陣営の話では夏場に馬を緩め過ぎたとのことだが...。

ヤマカツエース

歩様に力強さが来た。この状況で集中して歩けていた点も好感。本来は出脚も有る筈だが、距離を意識したか、全く行く気なく中段のイン。前述した様に馬場が乾いて意外に内が悪くなかったのがこの馬には幸い。3角迄は上手く乗られたが、4角で外に持ち出して、結果的に直線は進路が有ったにも関わらず、インへ行ってしまった。真っ直ぐ乗って馬券圏内有ったかどうかは微妙だが、悔いは残るところだろう。ただ、これで距離がこなせたとは言い難い。どんな乗り方でも出来る馬では有るが、人気背負って強気に行ける馬ではない。

ミッキークイーン

-8kg。関東への輸送で減るのは毎度。こんなモノといえばこんなモノだが、多少細い。歩様はしっかりしていた。中段やや前辺りから。1周目のホームでは既に引いていたが、マルターズアポジーの先行策に乗ったことでレースが組み立て易くなった。3角手前辺りから馬群の中へ潜って、4角でサトノダイヤモンドの直後。ここからが牡馬との差だが、前走京都戦で見せた反応の悪さもマシになっていた。ヤマカツエースに先着すると尚カッコ良いところだが、牝馬相手ではトップクラスの実力が有る。

第33回ホープフルステークス(GⅡ)

レイデオロ

下見で後方を周回していた様に少しイラつき気味。垢抜けた馬体は一枚抜けているが。アオり気味に出て後方から。気性的に多少怪しいところが有りそうだが、バラけた位置で何とか折り合いを付けた。3角手前から徐々に馬群の中から進出。2歳戦の2000mともなればロクに真っ直ぐ走れる馬の方が少なく、馬群がバラけて進路を確保。手応え通りに突き抜けた。完勝といえる内容。少しクビが使えていない辺りに限界が有る気もしないでもないが、サトノアレスで勝てる今年のメンバーなら上位だろう。ただ、この馬群を捌く競馬はフルゲートになると通用しない。

マイネルスフェーン

オーストラリアンブリンカー。マイラー体型。トモの造りは悪くない。気配も良かった。ゲートを斜めに出て、出脚が付かず後方に近い位置。インへ潜って、ラチ沿いからスルスル抜けて来た。未勝利脱出した前走東京戦もそうだったが、割と器用に乗れるのが強み。出脚が来ればもっと稼げる様になるだろう。馬体、馬装から、これ以上距離が延びてどうかという面は有るが、マイネルらしい渋い馬。

グローブシアター

前後肢にバンテージ。-6kg。これも寸詰まりの体型。数字の割にはしっかりした造り。出脚は有りそうだったが、下げて後方。向正面でマイネルスフェーンと並走。折り合いは付いていた。外へ回し、少し手応えが怪しい様にも見えたが、それ以上に渋太い脚を使ってここ迄。母シーザリオとは若干違うものの、重心の低い走りには好感が持てるが、馬格のなさが限界になりそう。兄弟馬と違って気性面は問題なさそうだが...。

ベストリゾート

+8kg。2歳馬だけに馬体増は悪くないだろうが、少し歩様が甘い。横を向いた時にゲートを開けられ、1馬身出遅れ。序盤は少し掛かっていたが、逆に3〜4角での手応えは一息。更に4角で外を回してチグハグだったことを考えると最後迄伸びている。トビの良さは1頭際立っていた。トモに力が付けば化ける可能性も。

サングレーザー

+2kg。馬体フックラ。数字が維持出来たのは何よりだが、テンション高い。スタート直後に外から来た馬に連られそうになっていたが、宥めて好位の外。壁なしの状態で道中も結構力んでいた。3角過ぎから待ち切れずに進出、坂下で先頭と見せ場は造ったが、そこ迄だった。ただ、能力そのものはこのメンバーでも上位。マイルなら結構やれるのでは?

第11回阪神カップ(GⅡ)

シュウジ

前走中山戦が太かったが、今日は増減なしでも太く見せない。意外に成長が有るかも。出遅れ1馬身不利。掛かりながら中段。内枠で壁も有ったが、慣れない競馬で3角辺り迄は結構行きたがっていた。直線向いて少し馬場の良い外へ持ち出し、あとは追える乗り役が無理矢理持って来た印象。 このレースは外国人騎手が強いのも偶然ではない筈で、パワー勝負の馬場もこの馬に向いた。これで新味が出たかといわれるとかなり微妙な面も有る。上手く気性面をコントロール出来る様になればキンシャサノキセキだが...。今シーズンはミッキーアイルやイスラボニータといった過去の馬が主役だった様に、モーリスが抜けてやや低調だった感が有る。新興勢力が出て来ると歯が立たない危険も。

イスラボニータ

前走京都戦程の重量感ではないが、活気の良さは変わらず。キビキビ歩けていた。スタート直後に躓いたが、基本的には出脚が有る馬で、紙一重ながら立て直すスペースも有り、スッと2番手。昔のペリエ騎手を観ているかの様な徹底マーク策。坂下で交わしてミッキーアイルを交わして先頭。そこからも渋太く伸びているが、先頭に立ってからが長かった。躓いた件とミッキーアイルがダラしなかった分で合わせ技一本になった印象。とはいえ、負けた相手がシュウジなのだからこの馬も余程運がない。

フィエロ

この時期にしては毛ヅヤが冴えていた。歩様に柔らかみも有った。今日はゲート五分。中段の外で、道中はシュウジと並走。レッドアリオンを壁にしながらも、少し掛かり気味だった。直線向いて伸びているが、手前が替わっていなかったのと、レッドアリオンの外へ行ったことでシュウジに進路を造ってしまったにも少し痛かったか。この2つがどちらかでも良い方に向いていれば勝ち負け迄有った。何れにしても細かいところが不器用。コーナーでも乗り役がかなり口を内へ向けていた様にマトモに回れていない。

ダンスディレクター

前肢にバンテージ。今季は腹回りが緩んで映る。デキ一息。隣のイスラボニータと違ってゲートは五分に出ているが、折り合いに専念。イスラボニータの直後から。掛かっている馬が多い中で、スムーズに追走出来ていた。事実上、勝ちパターンだった筈だが、追って案外。昨年の2着馬で、年明けにも稍重で重賞を勝っており、力の要る馬場自体はこなせる筈。デキのなさに原因を求めたい。

ロサギガンティア

昨年とほぼ変わらず。軽い造りが特徴。毛ヅヤも良かった。スタートして内に切れ込みシュウジと接触して後方から。道中は明らかにリズムを欠いた走り。それでもシュウジの直後で展開的には悪くなかった筈。直線は外へ持ち出して、前も開いていたが、もうひと押しが利かなかった。昨年稍重で勝っている様にこの手の馬場は意外にこなせるが、今日はスムーズに走れなかった影響だろう。昨年の様に好位で流れに乗れる展開なら勝ち負け出来る力は持っている。

ミッキーアイル

前走京都戦とほぼ変わらず。歩様も落ちていない。スタートを決めてハナへ。1000m通過58.1秒は馬場状態を考えると平均ペースといったところだろうが、競られることもなく単騎で行けた。ここ迄は完璧だったが、追ってサッパリ。敗因は色々有るだろうが、展開以外の要素が全部揃った感も。つまり、基本的には外枠の方が良くて、馬場状態もパンパンの良が理想、そしてGⅠ激走後でお釣りが残っていなかった。

第68回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

サトノアレス

もう少し絞っても良さそうだが、数字なりの迫力は有る。ただ、見た目の割に歩様に力がない。半馬身程出遅れて後方に近い位置。丁度バラけたところで折り合いは付いていた。4角の手応えが抜群で、持ったまま直線入口で好位。手応え通りに突き抜けた。ボンセルヴィーソの項で後述するが、今日は乱ペースになった感も有り、結果的にキャリアが生きた印象。戦前から低レベル感は有ったが、馬場状態を考慮しても1分35秒4は遅過ぎる。直線で最初に内にモタれ、坂を上る途中辺りから外へ右往左往しており、この馬自身もまだまだ若い。先週のソウルスターリングとは3馬身位能力差が有る筈。

モンドキャンノ

前後肢にバンテージ。皮膚の薄い馬体で見栄えがする。歩様もキープ出来ていた。ゲートはむしろ速い方だったが、最初から全く行く気なく抑えて後方から。サトノアレスを眺めながらの追走。それでも序盤は行きたがっており、馬を前に置いて抑え込んでいた。直線向いてもサトノアレスの直後。従って展開上は良いところに出て来た形だが、サトノアレスが右往左往したことで結構割を食っている。逆転迄有ったかどうかは微妙だが、少なくともクビ,ハナの勝負にはなっていただろう。2歳戦だけに仕方がないとはいえ、勿体ない内容。とはいえ、我慢させれば距離が保つことが分かったのは収穫。

ボンセルヴィーソ

前後肢にバンテージ。-6kg。馬は相変わらず迫力が有る。トモの造りが特に目立つ。好発。一瞬で1馬身抜けた。直ぐ内に居たレバンテライオンが控えてスロー。トラストもハナへ行く気なく2番手で抑え込んでおり、600m通過35.6秒と遅い流れから1000m通過60.6秒と途中で更に遅くなってしまった。競馬が壊れてしまった。直線向いて好位勢を突き放した辺りに能力の一端は見せているのだが、恐らくはマトモに流れに乗れていなかったのだろう。出脚とゲートの速さは評価するが、あとは評価不能。馬が良いのは救いで成長すれば上積みも有りそうだが...。

ミスエルテ

2人曳き。-4kg。まだ細くなってしまった。テンションも高い。今日はゲート五分に出て好位の外。怪しいながらも、前に居た組では折り合っていた方だろう。ただ、直線向いてサトノアレスに寄られた分も有るとはいえ伸びがジリジリだった。レース前の消耗が半分、力の要る馬場に殺されたのが半分で合わせ技一本になった印象。それで4着なら充分能力は示した。今日は仕方がない。立て直して改めて。

トラスト

メリハリのない造りは毎度。今日は落ち着いていた。大外枠からジワッと2番手。ハナへ行く気はなかった様で2番手で我慢させる形。結構行きたがっていた。直線は雪崩込んだだけ。追い出して直ぐボンセルヴィーソに突き放されていた。札幌で勝った様にパワーが有るので粘り込めるのだろうが、もう少し道中がスムーズにならないと終いが伸びない。今日のペースでは仕方がない面も有るが、現状のべストはハナ。

第2回ターコイズステークス(重賞)

マジックタイム

前肢にバンテージ。馬の迫力は最上位だが、歩様が少し硬く映った。この歩様の影響も有るのか、出脚が鈍く後方から。ただ、ビービーバーレルは出遅れたものの、クロコスミアとエンジェルフェイスが並走して1000m通過58.3秒とハイペースに近い流れになったのは幸いだった。道中は中山マイルの定跡通り、コースロスなく回り、直線だけ外へ。外といっても大外は回っておらず、この辺りが乗り役の上手いところだろうが、ハンデ戦で1馬身半差なら完勝に近い。年明けに1走して引退ということになる様だが、これ以上は馬を痛めるだけでベストの引き際。

レッツゴードンキ

+11kg。数字分だけメリハリがなくなった気もするが、水平首でキビキビ歩けており、気配が良かった。これも出遅れ気味で後方からジックリと。少し引っ張り気味では有ったが、最後方のバラけた位置で我慢して走っていた。4角はマジックタイムを信じてその直後。今日はこの判断が良かった。後追いの形で2着止まりだったが、3着以下との差を考えるとこれがベストだっただろう。今日はトップハンデでも有り、この馬自身も折り合いさえ付けば地力上位。引っ掛かり癖がネックでは有るが、近況は精神面が充実している印象も。パワーが有る点も安定感に繋がっている。

カフェブリリアント

+8kg。張りは有ったが、多少重い。毛ヅヤも怪しいが、しっかり踏めていたのは何より。中山マイルの内枠ということも有るが、この馬にしてはゲートを出た方で中段から。といっても、好位馬群が固まって後方はバラバラといった展開だったが、その切れ目でスムーズな競馬が出来た。ただ、直線向いて暫く前が開かず、開いてからも内へモタれて矯正すると今度は外へ。要はフラフラだった。最近は折り合いこそ付く様になっているのだが、真っ直ぐ走れる様にならないと距離が保たない。

ウキヨノカゼ

2人曳き。重心の高さは感じるが、この馬にしては歩様がしっかり。これも意外にゲートは出た方だが、例に依って後方に近い位置。後方でバラけた中では前の方に居た。4角手前で外に持ち出してスムーズに伸びて来たが、坂を上がる途中辺りで甘くなった。結果的にはもっと脚を矯めた方が良かったということになるのだが、骨折明けを考慮すれば良く走っている。基本的には一瞬しか脚がない点は昔から。

ウインファビラス

+6kg。まだ細く映る。テンション高いが、この時期にしては毛ヅヤが良い。出遅れ1馬身不利。基本的には前で流れに乗るタイプでこの出遅れは痛かった。ジワジワ伸びているが、ウキヨノカゼと違い、こちらは一瞬の脚がないタイプで、上位馬には決め手負けの格好。余程上手く行かないとオープンだとこんなモノ。

第68回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ソウルスターリング

2人曳き。単純に馬が抜けている。歩様も力強い。この馬自体はゲート五分でも、レーヌミノルが1馬身近く抜けていたが、何とかネジ込んで好位のイン。馬群の中で我慢して走っていた。直線向いて勝てる手応えが有った筈で、あとは追い出すタイミングだけだっただろうが、坂下迄もったままで追い出すとアッという間に抜け出した。内枠を生かして最高の競馬が出来ただけに出来れば1分33秒台で勝って欲しかったが、最後に手前が替わって遊んでおり、馬場状態を考慮しても一応これで完勝といえる内容。距離にも不安はなく、世代最強は間違いないところ。ここ迄は同じく2番枠で勝ったウオッカ級。ただ、課題も有って1戦毎にテンションが上がっている。ここからが厩舎技量を試される。上手く行けばダービーも視野に入るが...。

リスグラシュー

+6kg。馬体増えた点は無条件で歓迎。その上で緩んだ印象もなく、確実に前走東京戦以上。大外枠だったが、最後入れにならず、比較的早くゲートに入らされたのが響いたか、潜ろうとしたところでゲートを開けられ1馬身出遅れ。折り合いは付く馬だが、後方から行くしかなかった。3角過ぎから少し番手を上げ、ここで一息入れて直線は馬場の良い外へ。坂を上がって右手前、坂を上り切って左手前と、手前が2回替わっていたが、良い脚を長く使っている。対ソウルスターリングでは、距離が延びるとパワーの差が出そうだが、マイルの決め手勝負なら逆転も。

レーヌミノル

叩いて更に馬体が締まって来た。歩様ももう少し延びてくれると理想的だが、充分許容範囲。好発も、前走東京戦が引っ掛かって距離が頭に有ったか、控えてソウルスターリングの直後。意外に折り合っていた。追ってからも手応え通りに伸びている。上位2頭とは単純に底力の差。比較的真っ直ぐ走っていた点からも距離は保ちそうで、ちゃんと競馬が出来ている点は大きい。来春の目標は桜花賞とNHKマイルカップになるだろうが、前走で東京を走った点も後から生きて来るのでは?

ディーパワンサ

2人曳き。前後肢にバンテージ。数字の割にトモがしっかりしている。落ち着いている点にも好感。ゲートそのものは出ているが、出脚が鈍く、押し気味に中段から。折り合いは多少怪しかったが、急かしたことを考慮すれば許容範囲。直線向いて持ったままのソウルスターリングに対し、かなり押している状態だったが、手応えの差がそのまま伸びの差に繋がった。完敗の4着。ただ、前走京都戦もそうだった様に基本的にはエンジンが掛かるのが遅いタイプ。距離延長は歓迎のクチ。

ヴゼットジョリー

前後肢にバンテージ。-10kg。休み明けの馬体減は頂けない。今日でギリギリ。トモのボリューム感は夏より増した感も有るのだが、腹が巻き気味になっており、これ以上減って欲しくないところ。ゲートは五分だが、行くなく後方から。最初は枠なりだったが、引っ掛かりそうになっており、馬を前に置く形。直線もそのままインを突いてここ迄。強いていえば、坂下辺りで前に逃げたアリンナが邪魔になった感も有り、上手く行けば4着も有ったかという競馬だが、当面の着よりもまずは馬体回復が先決。

第9回カペラステークス(GⅢ)

ノボバカラ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。数字通り、もう少し締めた方が良さそう。ゲートは速い方ではなかったが、押して気合の逃げ。行き切る姿勢を見せたことで、ルックスザットキルとカジキが控えてくれて、枠の並びの関係でコーリンベリーが更にその後ろになってくれたのが大きかった。4角で2番手グループが自然とバテて、突き放す形。直線は楽勝だった。毎年のことながら600m通過33.3秒は中々のハイペースだが、この馬はこの形になった方が力が出せる。控えて勝つパターンは今夏中京戦の様に外枠限定。ダートスプリントでは現役最強クラスだろうが、今後も如何に気分良く走らせるかが鍵になる。

ニシケンモノノフ

+9kg。多少緩いだろうが、馬には活気が有る。この馬の出脚で中段やや前辺り。外枠でコーリンベリーを見ながらスムーズな競馬が出来た。このハイペースを読んでしっかり脚を矯め、ジワジワ伸びてここ迄。これでノボバカラには2戦2敗。1200,1400mなら馬場の良否を問わず堅実で、展開を拾う力は持っているが、そこからがない。単勝が買い辛いタイプ。勝利に拘るなら、思い切って待機策を採る方が確率は高そうだが...。

コーリンベリー

シープスキンノーズバンド。背丈の有るタイプで、バランスのとれた馬体。歩様もスムーズ。好発も、牝馬で背負っていることも有り無理出来ず、4,5番手から。これで仕方がないのだが、邪魔が入ってこの形だとどうしても甘くなる。直線で中々手前が替わらず、ニシケンモノノフにはほぼ無抵抗で交わされ、ゴーイングパワーを捕まえるのがやっとだった。戦前は1番人気だったが、現状ではこんなモノかも。強いていえば時計が速い馬場の方が好走確率は高そう。良馬場で斤量を背負うと牡馬相手にパワー負けする。

ゴーイングパワー

-8kg。馬体はこれでも良いが、今日は少しコズミが目立った。出脚もソコソコ有ったが、最内枠のノボバカラが頑張ってくれたお陰で前がバラけ、上手くその直後へ潜り込めた。直線もスムーズに抜けて来れたのだが、終いが甘くなって4着に。立ち回りは上手そうだが、重賞だと少し足りない印象。1400mの方がまだ誤魔化しが利く。

タールタン

2人曳き。歩様が硬いタイプだが、何時もよりは遥かにマシ。ただ、腹回りが大分緩い。ゲートは五分に出ているが、如何せん出脚が足りず前をフタされ後方に近い位置。砂を被っても平気な馬だった筈だが、3角手前で頭を上げる場面も有った。4角も外へ行かざるを得ず、伸びてはいるが、競馬が終わった後だった。1200mは忙しい。ベストは1400m。

第67回チャレンジカップ(GⅢ)

マイネルハニー

前肢にバンテージ。-8kg。前走福島戦が太かった。コンパクトに纏まった馬で、これ位で丁度。好発。出脚も余裕有ったが、内からダノンメジャーが何が何でもの構えで行って、更にメイショウナルトが続いて3番手から。1000m通過58.8秒だから馬場状態を考えるとソコソコ流れた方だろう。ここで折り合って、4角手前でメイショウナルトが自然と失速、手応え充分に直線入口で前に並び掛けて先頭に立つと内外からの追撃を一杯一杯振り切った。ラスト1Fが13.0秒だから評価は微妙なところだが、渋太かったことは間違いない。距離も恐らく1800mがベスト。余り人気になるタイプでもないだろうが、2000m以上で人気背負った時に嫌って見る手も。

ベルーフ

+4kg。元々馬に迫力が有るタイプ。気性面が怪しい馬だが、下見は集中して歩けていた。手先にも柔らかみが有る。半馬身程出遅れたふが、内枠だったことも有って少し出して中段やや後方辺り。内外前に馬が居たことも有って、折り合いは付いていた。直線向いて横一線になったが、内目の馬群を割ってマイネルハニーに迫ったが、あと一歩が届かず。折り合いが付いたのが大きかった。ただ、今日は上がりの掛かる展開も向いた。34秒台になると毎回決め手負けしている。

ケイティープライド

前後肢にバンテージ。トモの送りが深く、昨冬は硬く映った歩様はキープ出来ていた。馬もスカッと見せる。好発。ダノンメジャー以外を叩いて好位直後のイン。折り合いのスムーズでセコい立ち回りが出来た。直線向いて前が開く迄暫く時間を要したが、前が開いてから一瞬の脚を生かし切った。乗り役の話では脚が一瞬しかないとのことで結果的に良かったのだろうとのこと。条件馬時代を除けば良績は55kg以下に集中している典型的なハンデキャップホース。時計の掛かる馬場も良かっただろう。

フルーキー

前後肢にバンテージ。+4kg。少し太いかも。ただ、毛ヅヤが冴えて、この馬としては歩様も悪くない。ゲートは例に依って速くない方で中段やや後方から。これはこれだが、道中が少しズブく、4角でノメる場面も有った。直線はベルーフとの併せ馬になったが、ワンパンチが出なかった。これがこの馬のキャラクターという気もしないでもないが、ハンデ背負うとこれが実力なのだろう。ただ、前走東京戦は明らかに距離不足を示す内容で、今日のズブさから見ても2000m以上で見直す手も。

ブラックスピネル

+18kg。見た目には腹回りがタプタプ。気配は良いが。もう少し前へ行ける筈の馬だが、意外に行けず5,6番手から。道中も、フルーキー同様少しズブさが有った。手応えの割には伸びている様な気もするのだが、元々が切れるタイプではないだけにここ迄。もう少し距離が有った方が展開の融通性が有りそう。今日は太目も祟っただろうが。

ジャパン・オータムインターナショナル 第17回チャンピオンズカップ(GⅠ)

サウンドトゥルー

2人曳き。前後肢にバンテージ。腹回りがボテッと映るのは体型。今日は歩様が力強い。以前にコパノリッキーが失敗したのと同じパターンで、スタート直後に躓く不利も有ったが、例に依って後方から。直線迄ずっと内に居て、そこから外へ。たまたま馬群が切れており、上手く捌いた分も有るのだが、何時もなら届くパターンではなかった筈。アウォーディーがソラを遣ったことも有って、届かせた。10回やって1回有るかないかの結果だろうが、強力な武器が有る馬は大舞台になればなる程有利。

アウォーディー

前後肢にバンテージ。+10kg。筋骨隆々の馬体で太くは見せないが、ちょっとテンションが高い。本気を出せば出脚は有る馬だが、行きたい馬に行かせて中段やや前から。道中は砂を被るのを明らかに嫌がっており、向正面で外へ。3角過ぎからマクり気味に動いたが、抜け出すとソラを遣う癖が有り、進出が恐る恐る。出来る限り我慢してラスト100m辺りで先頭に立ったが、そこで左手前になって止まってしまった。力負けではないだけに尚更痛い敗戦。勝ちっ放し故に経験出来ていない部分も有った筈で、その差が出た。

アスカノロマン

+10kg。気配は多少地味だが、キッチリ絞って来た。馬体にも張りが有る。好発。内の馬は一瞬で叩いたが、モンドクラッセが主張して2番手。1000m通過が60.6秒とペース自体はソコソコ流れたが、前は出入りが少なく淡々と流れていた。直線向いて坂下辺りでモンドクラッセに並び掛け、一気に交わし切る迄には至らなかったが、アウォーディー相手には良く抵抗している。今回は本来の渋太さが発揮出来た。乗り役は少し4角で逡巡したのを悔いていた様だが、直線向いて暫く手前が替わらずモタついていた様にも見えただけに、出し抜け気味に一気に行っていれば着が一つ上がっていたかも。

カフジテイク

前後肢にバンテージ。毛ヅヤの良さが際立っていた。手先だけで歩いている感も有るが、デキは文句なし。出遅れてそのまま後方から。結果的に勿体なかったのは4角で外へ行ってしまった点。サウンドトゥルーは4角で内を回っており、着差が着差だけに惜しい。追い込み一手はアテにならない面も有るが、ハマれば相手を問わないのも確か。少なくともサウンドトゥルーとも差のない能力を示した以上、今後は強敵相手でも軽視出来ない。

アポロケンタッキー

前後肢にバンテージ。また馬体増。緩んではいないとはいえ、流石に立派。少しダッシュが鈍く、後方に近い位置。ただ、結構オッツケており、あまり道中の行き振りが良くなかった。直線もトビが大きいのでジリジリ。バテてはいないだろうが、今日のペースはこの馬にとって忙しかった様。前走京都戦でも触れたが、GⅠになると不器用さが裏目に出て中々厳しい面が有る。

コパノリッキー

+9kg。馬体に張りが有って、決して太くない。行き切れず、仕掛けてやっと3番手から。最近勝つパターンは序盤をスムーズに運べた時のみで、こうなるとダメ。単騎ならまた違うと思うのだが、それが3回走って何れも叶わない以上、コース適性と考える外ない。

第52回金鯱賞(GⅡ)

ヤマカツエース

+20kg。大幅馬体増でも馬が張っていた。基本的には回復分だが、少し成長も有りそう。2000mだと出脚は上位の筈だが、最初から抑えに掛かっており、中段辺りから。1000m通過61.5秒のスローだったが、何とか折り合いを付けた。4角で手応えの悪いレコンダイトを締めて回ったとはいえ、前と少し距離も有ったのだが、1頭違う脚で差し切った。人気どころに休み明けや距離適性等、ウィークポイントの多い馬が多かったが、どんな競馬でも出来る強みが生きた。逆にいえばGⅠを勝つ破壊力は感じない。ここからどう強敵相手に闘って行くかが鍵に。

パドルウィール

多少腹回りに余裕も感じさせるが、これは体型。歩様の力強さが目立つ。出脚が速く、内の2頭は直ぐに叩いたが、マイネルラクリマが行って離れた2番手。道中は大してペースが上がらず、4角でもこの馬の位置迄は誰も仕掛けて来なかった。直線向いて前を交わし、一旦は突き放しているのだが、ヤマカツエースの決め手が勝った。格上相手でこれだけやれれば上等。このコースのレコードホルダーで、コース相性も良いのだろうが、他場でも基本的には先行した方が結果を残している。

シュンドルボン

前後肢にバンテージ。+6kg。前走京都戦が細く映ったので回復分。毛ヅヤが冴えており、冬場の方が良いタイプかも。ジワッと行かせて中段やや前。4角で徒に動かず、直線もインを突く形。道中から前がバラけていたことも有って、上手く捌けた。牝馬同士でも一線級とはいえない馬だが、器用さを見せたのは大きい。昨年は8着だったが、年明けの限定戦は決めたいところ。

サトノノブレス

+16kg。馬体の張りは有ったが、流石に太い。ゲートを潜りそうになったタイミングで開けられ、ちょっと出脚が鈍って中段から。向正面で少し番手を上げ、インに居てセコい競馬は出来たが、追ってからがどうも甘い。元々そこ迄瞬発力が有るタイプではないのだが、太目が祟って余計に応えただろう。シュンドルボンとの同着は些か情けないが、絞れれば巻き返せる筈。

リアファル

2人曳き。前肢にバンテージ。+18kg。気配は良かったが、多少太い。歩様はこんなモノ。休み明けでも何時も通りの先行策。スローと判断して4角手前辺りから押し上げて行ったが、伸びがもう一つだった。元々、馬力で押し切るタイプで、今日の様な決め手勝負は向かない。一応、能力減はなさそう。次走は有馬記念ではない様だが、何処へ行っても勝ち負け必至。

第50回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

アルバート

-2kg。前走東京戦よりはマシだが、まだ腹回りがボテッと映る。気配と歩様は問題ないが。ゲートが悪かったことも有って、ジックリ後方から。インに居た分、自然と番手が上がり、2周目向正面で中段やや後方。ここからサイモントルナーレが動く等、レースが動いたが、有る程度内でジッとして2周目3〜4角中間から外へ。1kg差有ってスパッと切れる訳ではなかったが、最後は力でネジ伏せた。乗り役が上手く捌いた感も有るが、流石にこのメンバーならスタミナが違った。単勝1.3倍は明らかに過剰だったが、その人気に応えた点も評価出来る。

ファタモルガーナ

前肢にバンテージ。-6kg。筋肉の付き方に年齢を感じさせるが、歩様が伸びていた。少なくとも前走からは一変している。出脚は全くなさそうだったが、押して4,5番手。1周目は淡々とレースが進んでおり、引っ張る位の雰囲気だった。2周目に入ってまずサイモントルナーレが動き、3〜4角中間でタマモベストプレイが叩きに行ったところの上を行く形。直線向いた段階で完全にマクり切っており、展開的には完全にハマったのだが、アルバート相手に追い比べとなると流石に分が悪いところ。それでも8歳馬がこれだけ走れれば陣営はしてやったりだろう。今でも長距離は経験がモノをいう。

モンドインテロ

2人曳き。馬体の張り目立つ。集中力が有って気配も良かった。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。誰がが動いた際にも気にせず待機しており、勝負どころでは最後方だった。その分、2周目4角の勢いは良かったのだが、前を捕まえる迄には至らず、最後はむしろ脚が上がり気味だった。大外を回った分も有るだろうが、流石にディープインパクト産駒となると3600mは流石に長い様。

プレストウィック

前肢にバンテージ。スカッと見せて、しっかり踏めていた。所々に白さが混じる芦毛だが、毛ヅヤも悪くなさそう。ゲートは出ているが、あまり行く気なくアルバートに近い位置。早い段階で外に持ち出していたのは何処かで動く意思が有った様だが、その前に他馬が動いてしまい、そのまま直線へ。それなりには延びているが、更に後方に居たモンドインテロに差されただけに言い訳がないところ。距離は意外に保ちそうだが、オープンへ入ると未だ厳しい。

タマモベストプレイ

+6kg。多少余裕残し。この一族独特の少し甘い歩様。好発。出来ればハナへ行きたかっただろうが、ウインインスパイアが譲ってくれず、2番手から。サイモントルナーレはやり過ごし、暫く待って2周目3角辺りから自然と先頭に立つ形で動いて行ったが、掲示板が一杯だった。器用さが有るので何とかなっている様に見えるが、基本的には距離が長い。