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競馬回顧 2011年5回京都・4回東京

第144回天皇賞・秋(GⅠ)

トーセンジョーダン

-8s。ここ目標に狙い通り絞れて来た。叩き一変。ゲートも少し悪かったが、行く気もなく中段やや後方から。この枠だが、上手くバラけて道中内に入れ、直線だけ外へ持ち出す形。ダークシャドウやブエナビスタが直線で窮屈な場面が有り、結果的にはこれで正解だった。内からそのダークシャドウには最後詰められたにせよ、真っ直ぐ走れていた分だけまだこちらに余裕が有った。単に日本レコードだけではなく、1000m通過56.5秒も天皇賞・秋史上最速、という事は日本競馬史上最速なのだろうが、東京のハイペースをノビノビ走らせて持ち味を活かし切った好騎乗。次走も同じ形になるとは考え辛いが、距離延びるのは歓迎。

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。毛ヅヤ上々。例に依って馬は目立たぬが、デキに問題はない。ゲート少し悪かったが、枠で誤魔化して中段。コースロスなく乗る意図は良く分かるが、直線迷ってトゥザグローリーが抜けた後では一手遅い。その間にはトーセンジョーダンが既に前に居た。この馬自身も、最後は尻尾振って苦しがって内にモタれており、この辺りはGⅠ経験の無さだろうが、何れにしても前走と同じ失敗をしてしまったのは頂けない。

ペルーサ

+14s。今日は数字通り少し太いが、それでも馬体には張り。攻め強化が実を結びつつ有る。今日もゲート五分に出たが、行く気無く後方から。これも素直に大外へ持ち出し、この段階ではトーセンジョーダンの1馬身後方。そこから坂を上って一旦突き放される場面は有ったのだが、最後は再び詰めて1/2馬身+1/2馬身差。エイシンフラッシュの項でも後述するが、上位2頭はここ目標にして一叩きが有った馬で、その差を考慮すれば悲観する内容ではない。勝つ場面迄は考え辛いが、次走も圏内。

ブエナビスタ

-10kg。これがベスト体重。気配が乏しいのも何時も通り。この馬の出脚と枠の利で中段やや前目。ハイペースでも少し後ろにはダークシャドウが居て、力は出し切れる位置だった筈だが、直線向いて狭いところに突っ込んでしまい、3回モタつく場面。具体的には、向いて直ぐローズキングダムとアクシオンの間で一瞬逡巡して最内に切り替え、その後ラスト300mでシルポートとアクシオンの間で数秒待たされ、最後にダークシャドウが内にモタれて追い辛くなる場面。これだけ不利を食らっていてはこの結果も仕方がない。岩田騎手の悪い癖が出た。

トゥザグローリー

ほぼ出来ていた。一息入れて手先のスナップが利く様になっており、昨秋からの強行軍に依る疲れも取れたと見て良さそう。このペースなら折り合いの心配はなく、アーネストリーに少し抵抗しつつ、中段から。外枠でスムーズに行き過ぎた面は有るが、頭の高い走法で良い脚が長く続かず東京は向かない。黄色のシープスキンノーズバンドがトレードマークだった母トゥザヴィクトリーがオークスでウメノファイバーに差されたのと同じ理屈だ。特に今日の上位馬は皆東京で良績が有った。昨年3着でソコソコ売れてしまうだろうが、一般論としては中山で狙い目に。

エイシンフラッシュ

2人曳き。戦前は万全ムードだったが、多少の緩さも。それでも馬自体は本格化している。前述した様にシルポートが飛ばす展開になったが、離れた好位。ただ、この馬でも1000m通過が57秒半ば。道中は意外に折り合っている印象も有ったが、このペースなら当然だったのだろう。手応え良く直線向いてラスト300mで先頭。この段階ではやったかの場面だったが、ハイペースでガス欠となり、ラスト200mからは歩いてしまう格好に。もう一つ、ジャパンカップの賞金が2億5000万になってから既にタイトルの有る馬にとって、このレースはあくまでステップレース。その分も大きいだろう。それでも好位勢に居て、前を追い掛けた組では最先着。力は示したと見たい。次走は毎年ハイペースのジャパンカップだが、このレースがハイペースならジャパンカップではスローになるのが例年の傾向。ヴィクトワールピサの出否次第だが、東京2400mなら主役級。

ローズキングダム

-8s。元々馬大きく見せないタイプとはいえ、少し馬が貧弱過ぎる。少し出して好位。エイシンフラッシュの1馬身後方に居て、これもハイペースに巻き込まれたという事にはなるのだが、道中同じ位置に居たミッキードリームに先着されたのは頂けない。ちょっと案外感が残る。馬体減がかなり応えたのだろう。連覇懸る次走だが、黄信号点灯。

アーネストリー

+8s。これでも前々走阪神戦よりは減っているのだが、この数字では少し太いだろう。痛恨の出遅れも、押して3番手。前々走阪神戦がハイペースを早目先頭から押し切っての勝利、この成功体験が有るだけに、東京とはいえ控える訳には行かないところだが、ちょっと無茶し過ぎた。直線向いた段階で既に余力無し。これで極端人気落ちるなら次走少し買う手も有るのだが、トゥザグローリー同様、基本線としては中山で。

第54回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

リディル

+12s。極端に太い印象はない。下見入って来た当初は少し歩様が硬く映ったが、騎乗合図掛かる頃にはマシになっていた。出脚速く、一瞬はハナへも行きそうな勢いだったが、ジョーカプチーノが行って2番手。今日の芝は内しか伸びず、最高の競馬が出来た。そのジョーカプチーノが坂の下りで勢い付けて動き、少し4角では少し前と離れたが、それでも追い出しを待つ余裕が有った。完勝。競馬内容に文句はないが、今日は馬場状態が特殊過ぎる。まだ半信半疑。

ジョーカプチーノ

まだ完璧ではないが、馬体が締まって来た。出脚が鈍って来た印象は有るが、二の脚でハナ。1200mでは厳しいにせよ、1400mなら単騎で行ける。時計勝負に持ち込むべく、坂の下りでも緩めずに後続を引き離し、リディルにはやられたのもの、悠々2着は確保。前述した様に内有利の馬場も向いた。これもそれ以上の評価はし辛い。次走は論外として、次々走阪神戦だとしても少し厳しい印象。

オセアニアボス

戦前はグランプリボスに先着した事で話題になっていたが、その通り文句なしの下見。絶好調。何より気配が良い。例に依って出脚がサッパリで最後方から。直線もそのまま内へ。デキが良いのも有るが、出脚がサッパリなだけで終いの脚は持っている。今年の正月戦でも結果は14着だったが、内が有利過ぎる馬場状態が大きかった。3連勝式馬券なら常に押さえるべき馬。

サンカルロ

-10s。前走中山戦でもスッキリ。数字上はこれでベストだが、これでは馬を小さく見せ過ぎる。今季そこ迄デキが良くないかも。アオり気味に出て、出脚が鈍り後方から。結果論を言えば、3〜4角中間で丁度馬群が切れたところで内を突けば良かったという事にはなるのだが、人気背負ってそうも行かず直線は外へ。外回った組では最先着、直線は良く伸びているが、この馬この形では良い脚が長く続かないのか、あまり結果が宜しくない。そうはいっても馬場状態の問題が有って、一見負けて尚強しの競馬だが、デキ自体も微妙。評価が難しい。

エアラフォン

2人曳き。馬自体は目立たないが、減点材料もない。相変わらずゲートで暴れていたが、少し分が悪い程度。押して中段へ潜り込んだが、例に依って道中の追走には汲々。直線も内に居た分だけ入着果たしたが、伸びたとは言い難い。もう少し決め手に磨きが掛からぬ事には。恐らくこの距離も少し短いのだろう。

エーシンフォワード

-4s。昨年のこのレース時は感心しなかったがが、今日は問題無く出来ていた。ゲートは五分に出たが、無理せず中段から。今日は外々回されてここ迄だが、直線手前も替わっていなかった。この下見でも走らないのだから休み明けはダメなのだろうが、これを叩いて変わってくれればといったところ。ただ、昨年より今年の方がメンバーレベルは数段上。連覇懸るが、この点には注意。

グランプリボス

2人曳き。前々走東京戦から比較して+24s。少し太いが、馬体に張り。攻め馬は遅れたが、デキ自体は良さそう。ただ、イレ込みが相変わらず。戦前懸念した通り、向正面では引っ掛かっていたが、3角辺りでは我慢しており、折り合いは意外にマシ。エーシンフォワードに外から被せられて引っ張る場面は有ったが、これは不利というより抵抗すべき場面。案外感が残る。この中間は攻め馬でオセアニアボスに遅れていたが、余程変わって来ぬ事には厳しい。

クレバートウショウ

+6s。下見で良く見せないのは毎度。トモの甘さも解消されたとはいえず。好発も、大外枠で無理せず好位直後。普段は内で脚を矯める競馬が基本だが、向正面で少し掛かっていた様にも見えた。直線一旦は3番手上がりながら止まったのはその分だろう。一見は悲惨な内容だが、枠順が全て。

第72回菊花賞(GⅠ)

オルフェーヴル

2人曳き。+6s。馬体はもう少し締めて良い筈だが...。メイチに仕上げたという印象ではない。好発。中段位で折り合い付けたかったところだが、1周目4角の段階で行きたがっていたのは案の定。ただ、ホームで無理矢理でも前に馬を置けたのが良かった。この辺りは昨年から攻め馬で相当教え込んだ部分なのだろうが、その効果が大一番で出てくれた。折り合いという点で少し余裕持たせた造りも正解だっただろう。2周目4角でも1頭だけ次元の違う手応え。ラスト200mでは抑えていたのが馬には物足りなかったのか、決勝線後の1角で乗り役を振り落していた程。精根尽き果てた乗り役とまだ走り足りない馬とのコントラストが印象的だった。ディープインパクトもブラックタイドの失敗有ってこそだが、失敗ではないにしてもドリームジャーニーの反省を見事に活かした。正に厩舎技量。

ウインバリアシオン

この数字が元々のベスト。前走阪神戦と変わらず。この枠ならマークする手も有ったが、乗り役にその気はなかった様で、最後方から。折り合いは付く馬で、乗り役の狙い通りには行っただろう。2周目4角でも大外回す事もなく、この捌きも完璧だったが、差して来たのは実質態勢決した後。ただこれでもソングオブウインドと同レベルのパフォーマンスは出来ている筈。名を捨てて実を取りに行った様に見えるのはオルフェーヴルが強過ぎたからだろう。1番人気だった際にこの競馬が出来るかどうかはまた別の話だが、とりあえず今日に関しては相手が悪かった以外にない。

トーセンラー

+8kg。この血統だけに何とも言えぬが、少し余裕残し。毛ヅヤ冴えていたが。気配も上々。この枠だが、最初からオルフェーヴルマークする策だった様で、一度下げてからオルフェーヴルの真後ろへ。2周目3角手前から抑え切れぬ勢いで上がって行くオルフェ―ヴルに対し、こちらは食らい付いて行くのがやっとの状況。この差は如何ともし難く、最後は追っ掛けバテの3着。ウインバリアシオンの競馬なら2着争い際どくなっていただろうが、それはそれ。折り合いは付くので来春3200mでも思う様に乗れる筈。これをバネに改めて。

ハーバーコマンド

-10s。距離無視すれば気配は満点。馬体も前走札幌戦が太かった。ハナへ行ける位の出脚だったが、外からサンビームが主張。馬も行きたがっており、折り合いに専念している間に好位直後。道中も所々で引っ掛かっていたが、前がバラけた際に内に入れ、2周目4角でオルフェーヴルの直後。道中のロスの割には良く頑張っている。例年なら2・3着有って良い馬。

サダムパテック

2人曳き。-4s。数字以上にキッチリ仕上げた印象。意外に落ち着いていた点にも好感。行く気は無かった筈だが、スタートしてから1周目4角辺り迄引っ掛かっており、これを無理に抑える事なく好位。そこからは意外な程折り合っていた。オルフェーヴルと並んで2周目4角で先頭。ここ迄は良かったが、そこからが案外。今更ながら距離が長いという事になるのだが、今日の折り合いは後に活きて来そう。

フェイトフルウォー

この中間は攻め馬の軽さが話題になっていたが、確かに少し緩く映った。好枠活かすべく、好位から競馬したかった筈だが、外から来られて連られそうになり、無理が出来ず中段やや後方から。道中は上手く走れていた様に思えたが、2周目4角で置かれそうになっており、直線も伸びずバテず。前走中山戦後にも触れた様に、京都3000mは向かないのだろう。そこが前走からトーセンラーに差を付けられた部分。

ユニバーサルバンク

+6s。前走中山戦を思えばマシ。普通にはなった。スタート直後に押して好位のイン。坂の下りで多少勢い付くのは仕方がないところだが、そこからは折り合いも付いていた。ただ、サンビームがハナへ行ってその直後で淡々と流れてくれれば良かったが、フレールジャックが抑え切れず、2周目2角でもロッカヴェラーノが行って出入りの激しくなり、その間に位置取りが悪くなってしまったのが痛い。今日の内容なら最高に乗っても馬券圏内無かっただろうが、戦前期待した様に距離への適性は有りそう。何処かで一発は期待出来る。

フレールジャック

2人曳き。イレ込みは相変わらず。スカッと見せて、歩様の力強さも流石のレベルだが。戦前から抑え切れないなら...という話は有ったが、その通り1周目決勝線で我慢し切れずハナ。行き切って落ち着いた2周目2角辺りでロッカヴェラーノに来られてしまって苦しくなったが、一応最後迄競馬は投げていない。適距離に戻れば。

第14回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

エイシンアポロン

-4s。叩いて順当に良化。歩様に硬さがなかったのも何より。好発も、内の出方を窺いつつ中段。道悪で、逃げ馬すら内を開ける馬場状態だが、馬場の良い外目をスムーズに回って来れた。ただ今日はこの辺りの利が相当。長期休養明けの2走目を反動なくこなした点は評価出来るが、最後併せ馬持ち込まれた相手がアプリコットフィズ。あまり高い評価も出来ないだろう。京都は向く筈でも、GⅠでは少しキツい。

アプリコットフィズ

前走中山戦と変わらず。この位が現状のベスト。落ち着いていた点にも好感。例に依って出脚は速いのだが、中段位で折り合い付けたいところが、向正面からかなり行きたがっており、4角でも引っ張っていた程。この行き振りのまま、直線向いてからの脚もこの馬場にしては中々俊敏だった。最後は早目に抜け出した分と道中のロスの分で決して力負けではない。道悪も上手いのだろうが、完全復活。

マイネルラクリマ

2人曳き。増減なしも叩いて馬体に張り。気配も良かった。スタート直後はハナへ行く位の出脚だったが、レインボーペガサスが行って好位。この位置が直線向いても維持出来ていれば結果は違ったと思うのだが、3〜4角中間辺りから外から来られている間に暫く追い出しを待たされたのが痛い。東京とはいえ、俊敏に動けるタイプではないだけに、もう少し勢い付けて行きたかったところ。GⅠでどうかは別にしても、この3着は評価出来る。

ストロングリターン

馬体はこれで悪くないが、気配が地味。今春はもっと気配が張っていた。例に依って出脚が速い方ではなく少し出して何とか中段。向正面ではエイシンアポロンの直ぐ内に居たが、狭いところへ突っ込んでしまい、4角ではエイシンアポロンが行った後から追い出す格好に。モタれる癖は今に始まった事ではないのだが、休み明けでスパッと反応出来ず、直線向いた際の対エイシンアポロン1馬身差がそのまま詰まらなかった。前述した様に、今春は下見から勢いを感じさせる雰囲気が有り、今日のデキならこれで仕方がなかろう。次走GⅠへ向けて叩いて変わってくれればといった内容だったが、レース後に骨折が判明し。

ゴールスキー

-6s。下見は一番よく見せた位。昨年よりデキは良い。ゲートも少し悪かったが、出脚も鈍く後方から。ただ、少し気合付けたら口を割って操縦不能に。直線も行き場がなく大外。一瞬は併せたストロングリターンより前に出る場面も有ったが、道中のロスが有った分、最後に甘くなってしまった。相変わらず競馬が下手。

レインボーペガサス

2人曳き。+6s。数字分だけ余裕。イレ込みは毎度だが。徹底先行タイプが居らず、無理に抑えるのを嫌ってハナ。道悪そのものは下手ではないが、早い上がりが使える馬ではなく、スロー過ぎた感は有る。ただ、折り合いがアタマに有る以上、派手に飛ばせないのも止むを得ないだろう。良馬場で上がり34.5秒の決着。これが一つの目安。

第16回秋華賞(GⅠ)

アヴェンチュラ

-4s。例に依って少し細身に映るが、それでも馬振りは上位。少し出して3番手。出した分、少し掛かったが、今日は行かせた利の方が大きい馬場状態。前走札幌戦同様、コーナーでズブいのだが、それをカバーすべく3角過ぎから早目に気合を付けて力任せの競馬。タイミング一つ遅れると、キョウワジャンヌに被されていた可能性が有り、その点でも正解だった。4角辺りでは頭を上げてジャングルポケット産駒らしいところを見せていたが、あとは最後迄気を抜かせぬ様に追うだけ。比べ馬では楽勝だった。問題は有る馬だが、京都内回り2000mが向かないという話で有って、これがこなせたのは大きい。今後は東京や京都外回りが主戦場となるだけに、先行きは明るいだろう。勝利騎手インタビューではブラックエンブレムの際にも年間100勝が秋華賞だったという話になっていたが、実はこの時も4番枠。この辺りも、如何にも内を立ち回るのが好きな岩田騎手らしいところ。

キョウワジャンヌ

2人曳き。テンション高いのは相変わらずだが、トモにはボリューム。ゲート内での駐立悪かったが、何とか五分に出て、アヴェンチュラの直後。この位置が取れた段階で乗り役の仕事は半分終わった様なモノ。そのアヴェンチュラが早目に動いてくれて進路も出来た。アヴェンチュラはコーナーでモタつく癖が有り、直線向いた段階では一瞬やったかの手応えだったが、そこからの底力は相手が一枚上。この1馬身差が最後迄詰まらなかった。戦前は距離を嫌われて人気落としていたが、前走阪神戦で触れた様に距離よりも坂が問題。平坦なら2000mは保つ。

ホエールキャプチャ

馬はこれで良いのだが、前走阪神戦同様右後肢の出が悪い。戦前は位置取りが鍵だったが、ゼフィランサスやアヴェンチュラの同馬主ピュアブリーゼにブロックされ、中段の外。乗り役のコメント通り、コーナー回る度に位置取りが悪くなっていた。4角では早目に動いて格好は付けたが、そこ迄に使った脚は相当。3着確保が一杯だった。力負けではないが、戦前懸念した運の無さが出てしまった。次走京都外回りで巻き返し必至だが、歩様の悪さは気掛かり。パンクしなければ良いが...。

アカンサス

数字はないが、毛ヅヤピカピカ。馬体の張りも目立ち、デキだけならコレ。今日もゲート悪かったが、横山典弘騎手らしく、腹括ってイチかバチかのイン強襲策。4角でも死んだ振りしており、直線だけの競馬でここ迄。内枠でもう一つ前の位置ならと思わないでもないが、前走中山で好位から伸び切れずの競馬。こういう競馬の方が向いているのだろう。

リヴァーレ

これも毛ヅヤは目立つ。大物感はないが、コンパクトに纏まった造り。ゲート少し悪かったが、枠の利で中段から。これもずっと内を回ったクチで、それだけにさらに後ろに居たアカンサスに差されている以上、高い評価は出来ないのだが、前走阪神戦にしても速い上がりが使えない馬。ジワジワは来ている。今後は単勝買い辛い。

マルセリーナ

馬体絞れず。前走阪神戦で述べたまま。出遅れ1馬身不利。出脚も案外でそのまま後方から。内へ入れる場面が一度としてなく、4角では内ラチ沿いから10頭分程の大外。これでむしろ良く追い込んでいる方だろう。競馬にならず。次走はマイル戦だそうだが、マイルでもギャンブル騎乗が向いているのは変わらず。

エリンコート

2人曳き。馬体は変わらずだが、縦の映像では後肢が真っ直ぐ出ていないのは気になった。出脚がサッパリで1角進入時は後方に居たが、外へ持ち出して徐々に番手を上げ、4角ではホエールキャプチャの直後。この辺りの雰囲気は悪くなかったが、直線向いてからは離される一方だった。元々時計掛かった方が良いタイプとはいえ、追い出しての脚がこれだけ無いのは何か脚元がおかしいと思うのだが...。

第59回府中牝馬ステークス(GⅡ)

イタリアンレッド

チャカつくのは毎度。トモにボリューム感が有り、好調持続。ゲートは出ているが、例に依って後方で折り合いに専念。その折り合いは最初からスムーズだった。前走小倉戦で述べた様に、乗り易さが大分来ている。4角で外へ持ち出し、直線も大外。反応が俊敏過ぎて、ラスト200mで先頭に立つ形になったのは少し早かった筈だが、そこで左手前に替わりながらも一杯一杯凌ぎ切った。戦前は使える脚が短いとの話も有ったが、今日は乗り役の早仕掛けを馬がカバーしてくれた格好。次走京都戦は今日以上のスローになる事も考えられ、ペース次第となりそう。

アニメイトバイオ

2人曳き。フックラ見せていた。前走札幌戦で褒めた通り。出遅れ1馬身不利。この枠でも有り、そのまま後方から。丁度イタリアンレッドを見ながらの競馬となり、展開もハマッた。最後はフミノイマージンが間に噛んでいた分の2着。ジワジワ脚を使うタイプで広いコース向き。今季ゲートが悪いのは気掛かりだが、距離も苦にせず、次走も圏内。勝ち切る場面はないにしても、安定感は有る。

フミノイマージン

2人曳き。-6s。少しテンション高いが、これがこの馬の気合。ただ、脾腹はギリギリ。ゲートは出ているが、二完歩目が遅く後方から。道中はずっとアニメイトバイオの内に居て、向正面から決勝線迄丸々1800m併せ馬の格好に。対アニメイトバイオで、一瞬の反応はこちらの方が上だったが、ゴール寸前で甘くなり3着に。これも一瞬の決め手で勝負するタイプだが、それよりも今日は細かった影響が大きいだろう。ただ、同じ競馬でイタリアンレッドに勝てるとも思えず。ローカル重賞レベル。

アスカトップレディ

トモの造りは元々悪くない馬。数字もこれ位がベスト。枠を活かして好位のイン。折り合いは多少怪しい程度。東京の乾き掛けの割には今日は外が伸びていたのだが、上手い競馬が出来た。ラスト200mで前を捌き切った時には既にイタリアンレッドが来ており、これら決め手には屈したが、それでも先行グループでは最先着。今夏は1番人気で飛ぶ場面も有ったが、今日の競馬なら重賞でも足りるだろう。クラス慣れして来た印象。

コロンバスサークル

出来ればもう少し増えて欲しいところだが、馬は相変わらず落ち着いている。折り合いが有るので無理は出来ず中段から。これも少し宥めながらの追走。直線向いてアパパネの後を通る予定だった筈だが、そのアパパネがサッパリ。アパパネが後退してからの追い出しは一手後手だっただろう。前走中山戦で述べた通り、距離短縮の限定戦と条件二つ好転して今回チャンスだったが...。勿体無い競馬に。

エオリアンハープ

+8s。前走新潟戦時に中1週が応えたという話が有り、一度緩めての再調整。少し緩慢に映った。出脚もなかったが、行く気無く後方から。直線何処へ持ち出すかで一瞬迷って大外へ。アニメイトバイオやフミノイマージンの後から追い出しており、競馬としては遅過ぎたという事にはなるのだが、追い出して直ぐの加速力でかなり差が有った。上がり3Fの数字となると大差はないのだが、数字では計れない能力差が有りそう。

レディアルバローザ

前走と変わらず。まずまず。歩様にも力強さ有る。道中は好位から。序盤少し力んでいた様に見えたが、3角ではスムーズに。直線も狭いシーンは有ったにせよ、ブレーキ踏む場面ではなく、これが敗因ではないだろう。上がりの速い展開を歓迎しないと同時に、下手に行かせると良くない印象。行ける出脚が有っても前走阪神戦の様な追い込みに徹した方が良い。

ブロードストリート

+16s。数字は回復分。これを土台に出来れば今季は違って来そう。道中はずっとアパパネをマーク。従ってコロンバスサークルと同じ事が言えるのだが、この馬の場合は真後ろに居ただけに、更に酷い目に遭ってしまった。今日は参考外。

アパパネ

シープスキンノーズバンド。+4s。前走に引き続き、デビュー以来最高体重。前走程の緩さはないが、腹回りが少しボテッと映る。ゲート五分に出て、スッと中段。道中はスムーズに流れに乗れており、直線もスムーズに前が開いたが、いざ追ってからがサッパリ。休み明けは走らないにしても、今迄以上に悲惨な内容。それでも次走変わって来る筈だが、最低10kgは絞れて欲しい。絞れねば嫌う手も。

第46回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

クラレント

一息入って少し緩いのだが、馬振りは最上位。アオり気味に出て中段のイン。追い出して一瞬の反応は決して良い様に見えなかったが、エンジン掛かってからは中々パワフル。兄リディルに続いての兄弟制覇だが、向こうが父アグネスタキオンに対して、こちらはダンスインザダーク。今日は器の大きさだけで勝った印象。近況攻め馬で遅れ放しなのも未完成振りを物語る。中山へ使って来るなら良いお客さんになりそうだが、馬体の緩さが直れば俊敏性も来る筈。

ダローネガ

-8s。緩んだところが一切なく、少し細く映る位。キッチリ仕上げて来た。アオる1馬身半不利。出脚が鈍って向正面では離れた最後方から。そこから少しずつ追い上げて、4角で中段の外。ここ迄にかなり脚を使っており、クラレントとの追い比べでは見劣ったが、比べ馬では互角以上。ただ、あの手この手でスムーズな競馬が出来ていない。本当の能力は良く分からないというのが正直なところ。

ゲンテン

時々チャカ付く場面も有ったが、歩様が伸びていた。完成度高い。戦前は行く気なかった様だが、抑え切れずにハナへ。逃げていても少し掛かり気味。直線向いてメイショウハガクレに並ばれ際にはズルズル行くかに思われたが、それを差し返して3着。内容は評価出来ないが、地力は見せたと言って良い。当座の結果を求めるならハナだが、まだ2歳。調教技量が試される。

メイショウハガクレ

-6s。絞れたのは良い傾向だが、寸詰まりでマイラーの体型。スタート直後は内の出方を窺っていたが、内のゲンテンがハナへ行き、これに乗る形で2番手。直線向いてゲンテンに並び掛けた際にはやったかの場面だったが、そこからが案外。最後はゲンテンに差し返されていた。乗り役の話では真面目に走っていないとの事だが...。馬場?

マコトリヴァーサル

2人曳き。トモの張りは目立つ。これも寸の詰まった造りだが、気配上々。内からハナへという勢いだったが、ゲンテンが行き切って好位に控える形。道中少し行きたがっていたとはいえ、これも追ってからが案外。能力がどうというより、前走小倉戦はズブさ見せていただけに、ダローネガ同様、競馬に全能力が向いていない。

第24回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)

トランセンド

イマイチ見栄えしないのは相変わらず。太目感はない。意外に出脚案外。結果的にこの枠が救いとなり、何とか2番手。向正面はともかく、4角の手応えもイマイチで、一旦はエスポワールシチーに突き放されてしまったのだが、そこからがこの馬の真骨頂。ダノンカモンとの併せ馬となり、一旦はクビ程出られた筈が最後は差し返してアタマ差逆転。前々走で触れた様に、名前を地で行く何かを超越した様な強さ。追わせる馬に追える乗り役、この点も大きかった。

ダノンカモン

シープスキンノーズバンド。腹回りスカッと見せてトモに張り。下見だけならコレ。毛ヅヤもピカピカ。出脚は一番速かったが、行きたい馬に行かせて好位。4角でトランセンドの手応えが悪いのを見越し、真っ向勝負。一旦は抜け出し掛かったが、相手の渋太さが一枚上手だった。乗り役に言わせるとソラを遣ったそうだが、今春は追っ掛けバテ。何れにしても地力強化は明白。

シルクフォーチュン

+4kg。変に高いテンションはこの馬独特。馬体は少し余裕残しの造りだが、一応は及第点。中段やや後方で折り合いに専念。このペースでも少し引っ掛かっていたのはこの馬らしいところ。4角をスムーズに捌いて、直線だけ大外。一瞬の勢いはやったかの雰囲気だったが、そこからの1馬身が遠い。距離も1400mがベストなのだろうが、ダノンカモンも含めて瞬発力だけでは勝てないのが競馬。それが底力という事なのだろう。

エスポワールシチー

2人曳き。悪くないが、良い時の張りが一息。出脚はダノンカモンが一番速かったが、トランセンドに出脚がないのを見てハナへ。それでもトランセンドがずっとくっついて来ており、1000m通過57.8秒、しかも直線入口では一旦突き放す場面。特攻に近い競馬となった。最後止まったのは仕方がなかろう。陣営に言わせると米国遠征の際に履いたスパイク鉄の影響でトモに疲れが残っているとの話だが、行き切る競馬が出来ただけでも収穫は有った。

ダイショウジェット

+8s。ボリューム感有って迫力有るが、この数字では少し太く映る。ゲート五分に出て中段やや後方。直線大外に持ち出し、シルクフォーチュンとは決め手の差有ったにせよ、ジワジワ伸びて入着。ハイペースも向いたが、東京は常に堅実。今日の展開なら枠順関係なかったが、砂を被っても平気なので内枠でセコい競馬が出来る点も強み。

ランフォルセ

2人曳き。-10s。イレ込みは毎度だが、馬体減はその通りに見える。今日はゲート出たが、ハイペースを嫌って控える策。ただ、道中余裕がなく、直線もそのまま内へ。ジリジリ来ただけだった。難しい面が直らないとGⅠ,JpnⅠではキツい。

バーディバーディ

-6kg。毛ヅヤが良く、引き続き好調。出遅れたが、最内枠でも有り先行。3角辺り迄の雰囲気は悪くなかったが、4角で手応えが悪くなり、そのまま後退。バタッとは止まっていないにせよ、今日のところは完敗だろう。現状は力不足。

オーロマイスター

シープスキンノーズバンド。-4s。相変わらず毛ヅヤが良い。好調持続。あまり出脚の速い方ではないが、少し出して中段。これも道中の雰囲気は悪くない様に映ったが、いざ追ってからが案外。これも敗因良く分からぬが、今日のペースに戸惑った面も有ろう。ダイショウジェットが入着出来て、札幌戦組がサッパリという点に関してはこれで説明が付く。

第62回毎日王冠(GⅡ)

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。馬に迫力がないのがどうかだが、デキ自体はまずまず。ゲート出ないのは何時も通りだが、2400mを見越してという事なのだろう、今日はそのまま後方で折り合いに専念。ただ、直線向いて前のシンゲンがフラつき、暫く前が開かない場面。捌き切ったのはラスト1F過ぎてから。この時点では先頭のリアルインパクトに3馬身程有ったが、それをアッサリ捕まえてしまった。強い! リアルインパクトを京都戦へ回す判断も当然だろう。次走も圏内。

リアルインパクト

+14s。成長分が大半だろう。決して太い印象はない。今春は運も有ったが、中身が伴って来た。これもゲート少し悪かったが、出脚で好位。1000m通過が61.1秒のスロー、しかも前に馬が居ない状態だったが、それでもスムーズに折り合っていた。前走同様、早目に動いてラスト200mで先頭。結果的に早仕掛け過ぎたという事にはなるのだが、一旦は完全に抜け切る場面。古馬と同斤でこの内容は立派。距離もこれなら保つちそうだが、前述した様に東京戦へは行かず京都戦直行との事。無条件で中心に。

ミッキードリーム

鶏破気味の歩様。トモにボリューム感が来て、馬体は完全に本格化しているが。これも出ッパが悪かったが、外枠で関係なく道中は中段の外。4角で既に手が動いており、どうかと思ったが、直線向いてからはしっかり伸びている。ダークシャドウにやられたのは相手が強過ぎた外ない。出来れば2着で賞金加算したかったところだろうが、枠の分も有ろう。GⅡレベルの馬には成長。

エイシンアポロン

約1年振りだが、見た目は出来ていた。あとは気合面の問題。この枠でも有り、好位のイン。スムーズに立ち回って、直線はリアルインパクトを行かせてからの追い出し。坂上で左手前になってからが速く、2着も有りそうな勢いだったが、ラスト50mで同じ脚色に。ただ、今日はあくまで休み明け。東京は走る。昨年は不利に泣いた天皇賞は賞金不足という事になりそうだが、京都でも面白い。

セイクリッドバレー

今日も文句なし。馬体を雄大に見せて張りが有った。例に依って出脚がなく最後方から。直線向いた段階では大外に居てミッキードリームの1馬身後方。似た様な脚色で伸びているが、最後はむしろ突き放され気味。近走東京や新潟で案外の競馬が続いており、往時の力はないと見るのが妥当。

ダノンヨーヨー

毛ヅヤ冴えていた。以前より落ち着いている点がどうかだが、近況結果が出ないだけでデキはずっと良い。ゲートは出たが、出脚が付かず後方のイン。直線の進路で暫く迷う場面も有ったが、そのまま内へ。良く伸びているが、捌きながらの競馬だけに、これで良く頑張っている方。今日も結果は出なかったが、完全復活成った。

シンゲン

イレ込みが毎度なら、馬体も相変わらず迫力満点。好発。中段で折り合い付けようとしていたが、頭上げてかなり行きたがっていた。これでは直線伸びないのも仕方ないところだが、内からダークシャドウが見えて一瞬進路を譲る場面。シンゲン自身がフラついていただけに、これはフェアプレーで知られる藤田騎手らしいところ。下がってから再び盛り返す素振りも見せていた。次走は折り合い次第。

第46回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

ローグキングダム

問題なく出来ていた。威圧感はないが、この馬はこんなモノ。道中は3番手から。向正面辺り迄は少し行きたがっていたが、このスローだけに止むを得ぬところ。それでも3角辺りで折り合いは付き、直線はアッサリ突き抜けた。59sでも完勝。パンパンの良馬場で得意の上がり勝負になったのも大きかっただろう。正直、4角辺りから内にモタれていたのが気にならないでもないのだが、次走東京なら注目集める存在になろう。あとはブッツケ組との相手関係。

ビートブラック

-10s。腹回り少し余裕有った割に馬体減。毛ヅヤは良いので、体調自体は良さそうだが、仕上がり途上。外からジワッと好位。時々引っ掛かる馬だが、今日はこのスローでも折り合いが付いていた。ローズキングダムを目標にといっても、勝負どころでの機動力が違い、何とか影踏ませて貰えた程度なのだが、一瞬消え掛かったところを渋太く盛り返して2着。今日は根性見せた。ローグキングダム相手に歯が立たないという事はGⅠでは論外という話になるのだが、アルゼンチン共和国杯なら主役級。

オウケンブルースリ

チャカつくのはこの位なら許容範囲。歩様に硬さもなく、昨年よりは良い状態。出たなりで中段から。道中はインに居て、4角内からビートブラックに併せての追い比べ。4角で一瞬反応出来なかったのはこの馬の癖だが、併せる場面迄持って行った以上は2着が欲しかったところ。これだけ上がりの速い競馬が向かないのは確かだが、それはビートブラックも同様。年齢分は有りそう。

ジャガーメイル

遮眼革。少しイレ込んでいた。馬体が細く映ったのもマイナス。絶対に折り合いは付く馬で、今日もこの点では例外にない。4角少し早目に動いて、一旦は2番手確保かに思えたが、最後内にモタれて追い辛そうなシーン。ここ迄上がりが速くなっていなければそれでも何とかなったのだろうが、今日のところはこの分の4着。下見は感心出来なかったが、叩いて何処迄。

フォゲッタブル

2人曳き。+6s。今日だけをいえば少し太いが、大分歩様がしっかりして来た。本格化の兆し。戦前の予定では大逃げ打ちたかったそうだが、ネコパンチが行って2番手に控える形。直線は上がり勝負で苦しくなったが、春の様に競馬を投げなかっただけでも進歩している。出脚には課題有るが、ハナなら一変有って良い。そういう雰囲気は出て来た。