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競馬回顧 2011年5回阪神・4回中山

グローバルスプリントチャレンジ第7戦 第45回スプリンターズステークス(GⅠ)

カレンチャン

トモの張りは目立つ。少しテンション上がっていたが、歩様の硬さは前走札幌戦並。出ッパが少し悪かったが、上手くバラけて中段の外。変則開催の影響なのか、今週は急に内が悪くなっていたが、4角の手応えが他馬とは違っており、直線その通りアッサリ突き抜けた。外が利く馬場と、この馬自身としては歩様が維持出来たのが大きい。また、毎年このレースの度に述べているが、最近のこのレースは一度でも叩かれたり、馬群を割る展開になった段階で勝ちがなくなる。だから逃げが圧倒的に有利。今年もこの点では例外ではなかった。恐らく池添騎手はそこ迄分かっていただろう。好騎乗。

パドトロワ

-10s。馬体は締まったが、デキそのものは前走と変わらず。気配はGⅠの雰囲気が有る分、表に出ていたが。ゲートが下手なのはこの乗り役故仕方ないが、出脚でハナ。カレンチャンの項で述べた様に、このレースは如何にスムーズに運ぶかがポイント。セコい事を考えず行き切って正解だった。時計勝負に対応出来たのも収穫。ただ、直線に関しては審議対象になった幅寄せも利いた。あれがなければ脚勢からしてラッキーナインが2着だっただろう。実質は3着の競馬。

エーシンヴァーゴウ

イレ込みは一応許容範囲。デキ自体は変わらず。歩様も落ちていない。好発。急かすと引っ掛かるので、ジワッと好位へ。1000mベストのこの馬としては前半3F33.0秒はむしろ遅い位の流れ。4角待ち切れずにロケットマンを叩きに行ったが、前走阪神戦がそうだった様に坂を上る脚はイマイチ鈍い。それでも3着だから今季急成長遂げたという事にはなるのだが...。今後へ向けては折り合いが鍵に。

ロケットマン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+7s。少し太く映るのだが、威圧感有る造りは流石。トビが大きいので出脚がどうかと思ったが、無理しなかっただけで間違いなく速かった。ただ、4角でエーシンヴァーゴウに外から被される格好になったのが痛い。何度も繰り返している通り、このレースはこの形になったらダメ。前述した様にトビが大きい影響で、この馬自身コーナリングの脚も少し怪しかったのだが...。最悪の展開になってしまった。

ラッキーナイン

+4s。例に依って腹回りボテッと映るが、迫力で最上位。今日はゲート五分。器用さは有る馬で、スンナリ好位に取り付けた。内の馬場は少し悪いのだが、パワーにモノ言わせて4角の手応えもタップリ。ただ、ラチ沿いから抜け出そうとしたところでパドトロワに痛恨の幅寄せ。2着は有った態勢だったが、これで全てが終わってしまった。この形が多いのもこのレースらしいといえばそうだが...。

サンカルロ

+8s。前を歩くロケットマンとは大分馬の造りに差が有るが、スカッと見せてこれはこれ。外目をキビキビ歩いていた点にも好感。アオる1馬身不利。出して引っ掛かり序盤は全く流れに乗れず。直線は上手く外へ持ち出したが、ここ迄。序盤のロスを思えば良く走っている方。次走1400mなら巻き返す。

グリーンバーディー

+2s。この数字では明らかに太い。毛ヅヤも一息。道中は中段。大外枠とはいえ、4角でカレンチャンの直後だから悪い展開ではないが、直線向いてからがフラフラ。フォームもバラバラになっていた。道中落鉄していたそうで、これに原因求める外なさそう。参考外。

ダッシャーゴーゴー

前走阪神戦と変わらず。悪くはない程度だが、前走で触れた様に外国調教馬とは迫力で差。例に依って出脚は速い方ではなく中段から。今日は折り合いも付いたが、直線向いて前のグリーンバーディーが右往左往。直線は全く追えずに終わってしまった。仕方がないと言えばそうだが、これが出脚のないスプリンターの辛さ。

第15回シリウスステークス(GⅢ)

ヤマニンキングリー

2人曳き。今季は元々デキ悪くない。歩様も変わらず。ゲートも速かったが、芝での出脚は圧倒的に速く、スンナリ2番手。4角での手応えのまま直線はオイデオイデの楽勝だった。攻め馬では試しているとはいえ、初ダートの馬は砂を被らない様に乗るのが鉄則。出脚が速く、コースロスなくこの点が出来たのは大きかった。ダートは血統云々も有るが、恐らく脚元の問題で芝では全能力が発揮出来ないのだろう。次走は阪神戦直行だそうだが、今日に関しては芝スタートの阪神2000mが合っていた面も。1800mで速い馬が居てどうか。

キングスエンブレム

パシュファイヤー。+10s。数字は回復分。まだ緩いが、増えただけでもマシ。出たなりで中段やや後方から。序盤は少し掛かり気味。以前から述べている様に、基本がスローの差し馬なのでこの位の行き振りの方が良い。4角も外をスッと進出。前で楽をしていたヤマニンキングリーには敵わなかったが、自分の力は発揮出来た。ただこれも1800mとなると途端に案外になってしまう。次走はほぼ用無し。

フサイチセブン

2人曳き。パシュファイヤー。馬体はこれで良いが、少し歩様が硬いのがマイナス。行きたがるのを宥めつつ好位。それでも道中問題無く追走出来た筈だが、直線向いてからジリジリ。ハンデ差は有るのだが、現状では力の差を感じさせる内容。少なくともキングスエンブレムに負ける馬ではなかった筈。現状2000mも少し長いかも。

タガノロックオン

古馬相手では馬体の迫力で差を感じるが、相変わらず気配は良い。例に依って行く気は無かったのだろうが、1角迄を上手く立ち回って好位のイン。これも道中は手応え含めて悪くなかった様に見えたが、追ってからが伸びずバテず。相手関係だけではなく、これも距離面が少し怪しい。

ヒラボクワイルド

一息入れてデキは抜群。メンバー中一番良く見せた。特に馬体の張りが素晴らしい。出遅れ。普段は好位から競馬する馬だが、距離意識してそのまま最後方から。直線大外へ持ち出しジワジワ脚を伸ばして掲示板は確保。新味出たといっても、少頭数で砂を被らず運んで実質競馬が終わった後。トビが大きいのでスムーズに走れた利は大きいが、この形で馬券圏内はないだろう。

ナニハトモアレ

雰囲気は何時も悪くない馬。強調点はないが、まずまず。出遅れて後方から。1角で何時でも動ける外へ持ち出し、中々良い手応えで4角回って来たが、直線向いてからがサッパリ。ただ、これは敗因明白。乗り役は距離を挙げていたが、それ以外にも坂がダメ。東京が限度の馬。

タナトス

2人曳き。少しトモの送りが硬いのだが、ダートなら許容範囲。ただ、下見所で ファンの近くに来ると尻跳ね。馬体は変わらずだが。枠の利も有るが、出脚も速くスッとハナ。ヤマニンキングリーが早目に来たとかそういう問題ではなく、4角で一杯。ハンデ52sも恵まれたと思ったが...。案外の内容。

第57回産経賞オールカマー(GⅡ)

アーネストリー

-12s。昨季が太かった。数字分だけ迫力は落ちたが、本来はこれ位で丁度。札幌戦目標に一度造った馬だけに、キッチリ出来ていた。外から来たシャドウゲイトを行かせつつ、出たなりで好位。折り合いも当然ながら全く問題なし。4角正攻法のタイミングで仕掛け、アッサリ抜け出した。59s背負って完勝といえる内容。ただ、今日は相手が大概。東京向きとも思えず、次走に関しては正直期待薄だが、有馬記念なら狙い目に。

ゲシュタルト

気配は地味だが、歩様にバネ。今春思えば遥かに良い状態。ゲートで横向いている時に開けられて出脚が鈍り後方から。そのまま折り合いに専念し、内から直線勝負。この頭数でスムーズに前も開き、2着確保。距離もこの位が向いているのだろうが、今季はデキが違うのが一番大きいだろう。GⅠで通用するとは思わないが、仮令ローカル重賞でも一つタイトル欲しいところ。

カリバーン

遮眼革。-12kg。脾腹が少し上がったが、トモの丸みは残している。外からアーネストリーを行かせてマークする形。4角でアーネストリーの方が手応え良いのは当然だが、直線向いて手前が替わらなかったのが痛い。坂でモタついたところをゲシュタルトに内からスクわれてしまった。東京の方が向いているのは間違いないが、重賞行くと少し壁も有りそう。勿論、厩舎のゴタゴタが一番問題なのだが...。

コロンバスサークル

-4s。今季細く見せるのは最初から。ただ、輸送有っても落ち着いていたのは何より。好発。ハナへ行っても良い位の気持ちで出して行ったが、シャドウゲイトが行って2番手。横山典弘騎手がこの策を取る時は折り合いに自信の有る時で、今日も道中には問題が無かった。直線向いても暫くはアーネストリーに抵抗する場面。坂を上がる脚で甘くなったが、牡馬相手に悪い内容ではない。平坦,距離短縮,限定戦、全部ではなくても二つ条件好転するだけで馬券圏内有る筈。

マコトギャラクシー

デキ自体は前走と変わらないが、歩様に硬さが出て来た。出遅れ1馬身不利。行く気もなく最後方から直線だけ外へ持ち出す策。これはこれで悪くないが、いざ追いだしてからずっと内にモタれていた。元々そういう癖の有る馬だが、今日は特に酷い。デキ落ち。

シャドウゲイト

2人曳き。良い時のボリューム感がない。近走出脚が案外だが、叩かれない外枠ならハナへ行ける。道中は単騎で行けたが、4角で既にアラアラの手応え、衰えかデキかはまだ分からないが、次走休みなしで使ってくるなら相手関係なく用無しだろう。

第59回神戸新聞杯(GⅡ)

オルフェーヴル

2人曳き。+16kg。全体に少し緩い。気配だけが及第点。珍しく好発。スタート直後から折り合い怪しかったが、控えて5番手。1000m通過が63.5秒、道中もピタリと行かないのは他馬も一緒。4角ウインバリアシオンが早目に動いたが、余裕持って直線へ。その直線も一瞬で勝負が決まった。坂下で手前が替わって内へモタれ、内から見せムチで矯正しながらだったが、それでも上がり3F32.8秒。次走京都戦は乗り役がミスしない限りは何とかなりそう。

ウインバリアシオン

+18s。戦前は爪が良くなったという報道も有ったが、馬体が回復した点も大きい。春は明らかに細かった。最後方から行く予想だったが、意外に出脚が有って、中段からオルフェーヴルを見ながらの競馬。折り合いという点ではこの馬が一番スムーズだったが、前述の様にスロー嫌って早目に動く策。これはこれで間違っていないが、直線向いてからの瞬発力が違い過ぎた。3000mでも折り合いはつく筈なので、次走は死んだ振りするか徹底マークするか、何れにしても乗り易さが有るのは強み。

フレールジャック

2人曳き。+6s。少しでも増えた点には好感。イレ込みは前走中山戦並。アオる1馬身不利。例に依って後方から。序盤かなり行きたがっていたが、それでも前が壁になってからは何とか堪えている場面。この点は福永騎手、好騎乗といって良いだろう。坂下で手前が替わってモタれたものの、走法自体は力強く、底力は見せた3着。3000mでどうかはともかく、何処かで大仕事出来る馬。

スマートロビン

馬が見栄えするのは春シーズン同様。増減なしだが、今でも良く見せる。ゲートでジッと待てず、少し動いたところでゲート開けられたが、押して押してハナ。後続を数馬身離しての逃げだったが、小牧騎手、前述した様に1000m通過が63.5秒では少しセンスがない。上位3頭とは決め手の差が有り過ぎた。ゲート難も解消したとはいえず、権利も取れずで収穫のない一戦になってしまった。

ショウナンマイティ

-8s。スカッと見せて、一度使った組との馬体の張りが対照的。ゲートが少し悪かった事も有り、無理せず後方から。マーク (オルフェーヴル)のマーク (ウインバリアシオン) 的格好になっていたが、4角で少し置かれ加減。そこでフレールジャックに内から張られたのも痛かった。ただ、スマートロビンと違い、権利が有るのは大きい。今日のズブさが3000mで良い方に出れば。

第16回エルムステークス(GⅢ)

ランフォルセ

2人曳き。今日は堪えていた方。毛ヅヤや馬体の張りは春シーズンの状態を維持。アオり気味に出て、後方から。2角手前で外へ持ち出し、徐々に進出。4角では手応え十分に好位に取り付き、直線アッサリ抜け出した。オーロマイスターとは斤量差有るのだが、近況通りの勝ち振り。ただ、ゲートが危なっかしい。イレ込み癖も有り、走ってみないと分からない面が有るのは厄介。

オーロマイスター

シープスキンノーズバンド。斤量面で毎回苦しいのだが、今年は好調キープ。硬さがないのが何より。この斤量でも出脚は有ったが、外から競り掛けて来て、一旦止めて中段から。3角辺りから外を徐々に進出、4角でもがくバーディバーディとは対照的な手応えだったが、外からランフォルセにはネジ伏せられた格好に。ただこれは斤量差も大きい。次走、東京戦へ向けて良いスパーリングは出来た。

エーシンモアオバー

2人曳き。+10s。恐らく少し太いのだろうが、骨格が良い馬で然程目立たず。戦前の想定通りハナ。多少出脚が怪しい時も有るのだが、今日はスンナリ行けた。戦前は2番手にランフォルセが居て、早目に潰されるパターンも考えられたが、ランフォルセが発馬に失敗。道中は比較的楽だった筈だが、それでも捕まってしまった。まあ、4角での手応えの悪さを思えば踏ん張っているのだが...。確実に能力差は有る。

ダイシンオレンジ

+12s。数字通り明らかに重目。例に依って出脚は抜群に速いが、エーシンモアオバーが主張して2番手から。道中はスムーズだったが、追ってスパッと切れるタイプではなく、一枚重い分も有って、直線は伸びずバテずだった。ただ、これを叩けば変わる筈。東京戦や交流戦はスキップして、次走は京都戦だそうだが、負けられぬ一戦に。

キッズアプローズ

ダート馬にしては少し迫力不足。トモの送りにも硬さ有って。先行争いにクビ突っ込んでいたが、引っ掛かりそうな素振りが有り中段に控える形。ランフォルセに3角でマクられたのは仕方がないにしても、立て直してそこからの伸びが案外だった。まだオープンではかなり壁が有る。

クリールパッション

+10s。まだ本調子ではない様。馬体に張りを欠く。両膝が地面に付きそうになりながらのスタート。元々は速い方だが、これで出脚が鈍って中段から。道中内に居た為、4角では後方に置かれる形となったが、直線はジワジワ差を詰めている。下見の酷さを思えばそれなりに走っている方。やはり札幌は走る。

バーディバーディ

2人曳き。休み明けだが、満点に近い。文句なし。出脚スムーズでスンナリ好位。ランフォルセが後方に居ただけに、この段階では何とかなったかに思われたが、4角でアラアラの手応え。直線は下がる一方だった。かつては交流重賞でも良績残しているが、現状では広いコース向き。

第65回ラジオ日本賞セントライト記念(GⅡ)

フェイトフルウォー

トモにボリューム感が来て、馬体の張りも文句なし。今日は出脚が有る方のこの馬。大外から逃げたロイヤルクレストが1000m通過57.5秒で飛ばし、後続もプラス1秒程度と、これでもかなり速いペース。それを引っ張り切りで追走し、4角少し早目の仕掛けから直線一気に突き抜けた。4角で外にブッ飛びそうになっていた以外は、文句なしの勝ち振り。中山で強過ぎて、京都3000mでどうかという問題は有るが、底力は見せた。ナカヤマフェスタ的得体の知れなさは有る。

トーセンラー

-4s。ディープインパクト産駒の中では一番それに近い。休み明けの馬体減が良い筈ないのだが、常識では計れぬ馬。行く気はなかった様だが、1角迄に少し行きたがった影響も有り、中段から。それでも直ぐに折り合いは付いた。4角でも手応え充分。インから良く伸びて来たが、フェイトフルウォーが外でノビノビ走っていた分だけ届かず。この競馬なら京都3000mに替わって更にイケそう。阪神戦次第だが、主軸候補に。

サダムパテック

+6s。発汗少し目立ったが、馬体そのものはパワフル。ただ、マイラーになって来た印象も。出遅れ1馬身不利。スタート直後に行きたがる素振りは全くなかったが、1角手前でも両サイドから挟まれそうになって控える格好となり、中段やや後方から。道中もしっかり折り合っていた。4角では馬群捌いてフェイトフルウォーの直後に居たが、コーナーでは動かない岩田騎手、ここで勢い付けて行った分が2馬身半差。体型はマイラーになって来たが、距離にはメド立てた印象も。夏場は色々調教工夫したのだろう。

ベルシャザール

2人曳き。毛ヅヤピカピカ。ただ、この厩舎の馬だけに、もっとトモにボリューム感が欲しい。この枠でも有り、少し仕掛けて先行。大外ロイヤルクレストがハイペースで飛ばし、ショウナンバーズも行って離れた3番手から。結果的に後続の目標になってしまった格好に。大きくは負けておらず、世代上位の力は示した。この競馬が出来るならスタミナは有ると見て良い。

トーシンイーグル

輪郭は少し太い気もするのだが、それでもアバラの線はクッキリ。つまりはマイラー寄り。丁度サダムパテックの外。道中はずっと外を回されていた。坂を上がっての脚でサダムパテックには突き放されたが、悪い内容ではない。1000万は問題無く勝てる馬。

ユニバーサルバンク

増減なしも、腹回りが少しボテッと映る。中身が無い? 少し出して好位のイン。ただ、道中の行き振りももう一つで、4角で既にアラアラの手応えだった。下見の雰囲気からはこの負け方でも不思議はないが、あとはこれを叩いてどれだけ良くなるか。

第29回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

ホエールキャプチャ

右後肢が時々出ないのは気になったが、馬体そのものは出来ていた。一完歩目は速くないのだが、行き脚が付いてスッと好位。それ位の行き振りだから、序盤は少し行きたがっていたのだが、内へ入れて3角手前で折り合いが付いた。直線も、坂下でインから抜け出し、最後遊んだ分詰められたが、一応は完勝。春シーズンは運に見放されており、次走も課題はここになるのだが、順調に来れたのは何よりだろう。次走京都戦も中心。

マイネイサベル

少しトモ高だが、皮膚を薄く見せてデキは抜群。前走東京戦の馬体増を今季へ見事に繋げた。好発も、折り合いとコースロスを避ける意味で、控えて中段やや後方。これも少し行きたがっていたが、3角手前で折り合いが付いた。4角どころか直線向いて暫くも前が壁になっていたが、バラけて大外へ。直線の長い条件が向くのは承知の通りだが、今春の東京2走は馬場も応えた様。スローの瞬発力勝負で漸く本領発揮した。逆に言えば次走京都戦は用無しに。

キョウワジャンヌ

+6s。もっと増えても良い位。テンションも高い。出脚でスンナリ好位。逃げたマイネジャンヌは別にして、引っ掛かる先行勢が多い中、この馬だけは最初から折り合っていた。直線もスムーズに前が開き、最後は決め手負けしてマイネイサベルに交わされたが、一旦は2番手の場面。上手く運んだ感も強いにせよ、器用さを見せた点は評価したい。平坦となる次走も一概には。

ビッグスマイル

減点材料は無いが、上位馬とは馬の造りで差も。あまり行く気はなかった様だが、前に壁が無く行きたがっており、道中少しずつ前へ進んで4角で好位。直線もジワジワ来ているが、坂を上がって甘くなった。今日は少し行きたがったが、春の内容からは2000m位が良さそう。前に馬を置ける展開ならまた違う筈。権利は取れなかったが、1000万楽勝レベルは有る。

ドナウブルー

+20s。成長分は有るとしても、少し緩い造り。発汗も目立つ。最後方で折り合いに専念。その折り合いは例に依って多少怪しいが、これでもまだマシな部類。少し早いにせよ、4角追い上げる雰囲気は悪くなかったが、いざ直線向いて追い出すと内にモタれていた。相変わらずの難しさだが、歯車噛み合えば化ける雰囲気は出て来た。

マルセリーナ

+16s。腹回りのラインには少し重目感有るが、馬体には張り。積極的に乗られて好位。スローとはいえ、3角迄には折り合う馬が多い中、この馬ずっと引っ掛かっていた。直線伸び切れなかったのはこの分が大きい。ただ、春のギャンブル競馬を嫌っての乗り替わり。この先行策は調教師か馬主からの指示だっただろう。結果はともかく、狙い通りの競馬は出来た。案外今日は良い経験になったかも。

エリンコート

+14s。キッチリではないにしても、出来ていた。馬体増はほぼ成長分。これも好位から。序盤はともかく、3角で一旦折り合った様に見えたが、4角で少し行きたがったのが痛い。ただ、それを差し引いても負け過ぎ感は有る。少し時計掛かった方が良さそう。

第56回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

フィフスペトル

2人曳き。気配抜群。馬体もはち切れんばかり。外から何頭か先行し、これを行かせて中段から。以前にも述べた様に、外枠の馬が先行するとハイペースになるのだが、4角迄カーブが続く中山マイルでは特にその傾向が顕著。1000m通過56.6秒は同日阪神セントウルステークス (1200m) より0.2秒だけ遅いペース。これで折り合いが付き、4角早目に来たアプリコットフィズに合わせて、外から強気のレース。直線一気に抜け出した。中々迫力有る勝ち振り。ただ、時計は平凡。このペースならレコード決着でないと評価出来ず。

アプリコットフィズ

-12s。3歳時思えば数字上は重いのだが、現状はこれ位で丁度かも。曳き手を引っ張っており、今日は気配が良かった。ゲートソロッと出しての待機策だが、道中はかなり行きたがっており、待ち切れずに4角マクる形。フィフスペトルには一気にやられたが、最後迄集中して走っていた点は収穫だろう。次走スプリント戦で即結果が出るとは考え辛いが、今日の内容からは理に適った選択。

レインボーペガサス

-6s。馬体にはキレが有ったが、テンション高いのはマイナス。出脚は速くなさそうだったが、最初から行きたがっており、宥めながらも好位。3角過ぎ迄掛かっていた。4角でフィフスペトルが仕掛けて来ても無理は出来ず、一旦矯めてからの追い出し。流石にスパッとは切れないが、ジワジワ伸びて3着は確保。地力は示した。ただ、前走新潟戦は下見から落ち着いており、これがレース行っての折り合いに直結。つまり今日はその逆パターン。必ず下見には注意したい。

オセアニアボス

少しメリハリのない造り。迫力不足。歩様にも力が無い。出脚もない馬だが、コスモセンサーの前に居たスズカコーズウェイが下がって、アオリを食らう形で更に後方に。4角から大外へ持ち出し、上がりはメンバー中最速タイで伸びて来た。ベストが1400mの分、坂を上がって少し脚が鈍った気もしないでもないが、能力そのものは遜色ないところ。あとは脚質の問題。

エアラフォン

-12s。前走新潟戦が太く、順当に絞れて来た。乗り役の話ではゲートを蹴っていたそうだが、この影響なのか出脚が鈍って後方から。ただ、前走もそうだった様に、4角での機動力が悪い。直線向いてからの脚はオセアニアボスと大差ないのだが...。オープンの壁にブチ当たっている現状。

ムラマサノヨートー

遮眼革。数字上は細い位だが、見た目には少し厚ぼったく映る。デキが無い。スタート直後に行き場がなくなり、下げざるを得ず最後方から。道中少し引っ張っていたのは何時もの事。直線はイチかバチかで内を狙ったが、真っ直ぐ走れぬ分伸びが甘くなった。元々中山は不向き。東京で改めて。

コスモセンサー

-4kg。一度叩いて良化。抜群とも思わないが、まずまず。出脚は速い馬だが、外から来られてハイペース。これに少し抵抗したスズカコーズウェイが控えて、道中は中段からの競馬に。この馬この形では力が出せない。直線少し前も詰まっていたのだが、それ迄の展開も向かず。

サマースプリントシリーズ第5戦 第25回セントウルステークス(GⅡ)

エーシンヴァーゴウ

今日も気配は堪えていた。デキも大きく変わった印象はない。出脚速く2番手。坂の有るコースでペースが落ちた際の折り合いが課題だったが、案の定掛かり気味。タイトな阪神の4角では少し外へ逃げていたが、内外から併せに来た馬を振り切って優勝。競馬としては失敗しているが、後述する様にダッシャーゴーゴーも失敗したのが大きい。ラッキーナインとは斤量差も利いた。やはりベストは1000m。展開と開幕週の馬場が味方。前走小倉戦で触れた様に、サマースプリントシリーズ止まりの馬。

ラッキーナイン

-12s。減っているが、腹回りがボテッと映る。ただ、馬はグリーンバーディーと並んで断然。昨年のウルトラファンタジーにも負けていない。出遅れ1馬身不利。道中出来るだけコースロス減らしつつジワジワ前へ。4角の段階では既に好位の内に居た。直線もテイエムオオタカが外へ振った影響で前が開き、一瞬はやったかの場面だったが、エーシンヴァーゴウが差し返して惜しい2着。最後は斤量差だろう。次走中山でも勝ち切る力は持っているが、ゴチャつく事も多いプラットフォーム。ゲートが課題に。

ダッシャーゴーゴー

+4s。前を歩くラッキーナインとは40s以上差が有るのだが、迫力で負けている。決して悪くはないのだが…。あまり出脚の速い方ではないのだが、中段辺りで控えるべきところを折り合い付け切れず3角過ぎからガツンと掛かって一気に先団へ。坂下迄は勝ったかの勢いだったが、坂で流石に脚が鈍った。枠順次第の面も有るが、一応この辺りは叩けば変わりそうな雰囲気。馬は迫力負け、今日は器用さでも負けており、踏んだり蹴ったりの競馬だが、それを工夫して何とか逆転する日本らしさは期待して良さそう。

サンカルロ

-6s。強調点はないが、まずまず。これも出脚の苦しい方で、内外から来られて中段やや後方。諦めて一度最内へ潜って立て直してからの競馬に。直線向いても前のマジカルポケットが邪魔になり、暫く待たされる場面。坂を上がって皆が止まっていた分も有るが、最後は良く差して来ている。今季も例年の走りは期待出来るが、承知の通りそれは展開次第。

テイエムオオタカ

-10s。馬体減の影響も少し有りそうだが、トモの甘さが相変わらず。出脚争い制してハナ。全体のペース自体は速くないが、エーシンヴァーゴウが引っ掛かって、道中のペースが緩まなかった分、苦しくなった。前述した様にトモが甘いので坂の有るコースも得意ではない。逆に言えば攻め強化してトモに力が付けばGⅠでも通用しそう。先行力は とにかく強み。

ヘッドライナー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。今季良い状態をキープして来たが、今日は感心出来ず。張りと歩様が落ちていた。テイエムオオタカに出脚が全く通用せず、好位から。4角で追撃する形こそ造ったもの、直線はサッパリだった。斤量軽くなって出脚負けしたのでは話にならない。下見通りデキ落ちだろう。

グリーンバーディー

+29s。昨年中山戦と比較しても16s増。数字通り少し太目。これも出脚は速い方ではなく中段やや後方から。昨年のトラウマも有るのだろう、3〜4角中間で内を諦めて外へ持ち出した際に外のトウカイミステリー,ベイリングボーイ,スギノエンデバーを弾いてしまい4位入線14着降着。ただ、今日の展開で4位入線するだけでも大したモノ。能力的にもラッキーナインと互角レベル有る筈だが、課題としても全く同じことが言えそう。

第62回朝日チャレンジカップ(GⅢ)

ミッキードリーム

-6s。下見は少し線の細い造り。発汗はこの時期で仕方がないが、一歩一歩が伸びやか。出たなりで中段。道中は少頭数で前に壁もない状態だったが、折り合いも全く問題無し。3〜4角中間でも乗り役の指示を待ってからの進出。1000m通過61.1秒のスローで上がりは速くなったが、キッチリ差し切った。今日はスローで能力の限界が分からないのだが、課題だった2000mと瞬発力勝負をこなしたのは収穫。

エーシンジーライン

-8kg。数字は輸送分。トモに丸みが有って、歩様もキビキビ。スタート直後から押していたが、例に依ってホクトスルタンの方が勢いが良く、2番手から。2角辺りでは少し前と差が有ったが、3角から徐々に差を詰め、4角手応えタップリに先頭。坂を上がっても何とか押し切ったかの態勢だったが、最後の一完歩でミッキードリームに捕まってしまった。惜しい内容。前走,前々走との比較から2番手から4角早目に捕まえに行く策が合っていそう。ただ、本来は福島辺りで狙い目になる筈の馬が、今年は開催がなくなってしまったのは残念。

レディアルバローザ

-8s。馬体減は輸送分。変わらず歩様は力強い。乗り役に言わせると中山牝馬ステークス時をイメージしてとの事だが、後方でジックリと。ただ、道中は少しだけ掛かる場面。大外といっても4角で4頭分、僅かに届かず。スローで後方から良く差しているのだが、一瞬差し切る勢いが有っただけに、2000mは微妙に長い気も。

ヤマニンキングリー

基本的には変わらず。下見は悪く見せない。この馬の出脚でジワッと先行。道中もエーシンジーラインを大名マークといった雰囲気だったが、追ってからがもどかしい。新潟よりは阪神という事なのだろうが、今の馬場状態はこの馬にとって時計が速過ぎた。言い換えれば馬場が渋らない限りは暫く馬券になる事はなさそう。

サンライズマックス

2人曳き。テンションは少し高いが、研ぎ澄まされた造りでデキは抜群。ゲート出ず、出脚が鈍って最後方から。最近3角過ぎから動く競馬が多かったが、今日は直線迄待ってから外へ。この馬、阪神実績がないと戦前にも述べたが、坂が向かない印象。今日も上る脚が鈍い。

アドマイヤメジャー

前走小倉戦と変わらず皮膚を薄く見せる。出脚も速い方ではないが、中段のインで脚を矯める策。岩田騎手らしく、内をそのまま突いたが、馬群が捌けずそのままで終わってしまった。乗り役の話では狭いながらもスペース有ったそうだが、何れにしても不完全燃焼の競馬。相変わらず競馬が下手。