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競馬回顧 2011年6回京都・5回東京

ジャパン・オータムインターナショナル 第31回ジャパンカップ(GⅠ)

ブエナビスタ

+2kg。攻め強化して馬体増。硬さがなかったのも好感持てる。好発も急かさず中段のイン。今更ながら折り合いは関係ない馬で、道中は問題なし。ただ、前走は複数回前が詰まる不利が有り、直線向いて直ぐは今日も前が詰まりそうになっていたが、ウインバリアシオンとトーセンジョーダンの間を諦めて、その外へ出したのが正解。この段階でノビノビ走れる状態になった。一旦は先に抜け出したトーセンジョーダンをラスト100mで同体に持ち込んで、最後は力でネジ伏せた。最近中距離で牝馬が強いのは瞬発力を要求される馬場状態になっている影響も大きいと思うのだが、この馬に関してはそれは関係ない様。現役最強馬というところを改めて示した。今回は陣営がハードに攻めており、次走中山戦へ向けてとなると疲れを少し案じるところだが、力の違いで連は確保してくれそう。

トーセンジョーダン

2人曳き。メイチに仕上げた前走の状態を持続。歩様も落ちていない。出脚の速い馬ではないが、この枠で後方からの競馬を嫌って2番手。スローを読んで、戦前から決めていたのだろうが、出して行って折り合いが付くのは強み。スローを嫌ったウインバリアシオンが3角手前からマクりに動いて、スローでも末脚の持続性を要求される流れになったのもこの馬には向いた。直線向いてラスト200mで先頭に立ち、抜け出すタイミングとしては完璧。結果的には外からブエナビスタにネジ伏せられたが、後続にも1馬身3/4付けており、少なくとも前走はフロックではなかった。次走中山でどうかという話はさておき、スローでもこの手が使える様になったのは大きい。

ジャガーメイル

2人曳き。遮眼革。今日もスカッとした造りだが、毛ヅヤが良化。これも出脚の速い方ではないが、少し出してブエナビスタをマーク。ブエナビスタ同様、道中に注文付く馬ではなく、直線半ばで一瞬セコい事を考えた以外は最後迄ブエナビスタの後を追う形。ブエナビスタの捌きが甘かったとはいえ、ずっと近い位置に居たのだが、ラスト200mの脚で突き放されてしまった。乗り易さは抜群の馬だが、一瞬の脚がなく、ジワジワ脚を使うタイプ。良くも悪くも持ち味が出た。

トレイルブレイザー

馬体の雰囲気は前走の方が少し良かった気もするが、歩様の力強さは相変わらず。今日も少し仕掛け気味に3番手。前走で触れた様に、前々走京都戦が例外中の例外。今日も折り合いは付いていた。直線は外へ持ち出す余裕もなく、内ラチ沿いから。あそこ迄行けば馬券圏内欲しかったところだろうが、最後迄諦めずに走っていた点には好感が持てた。。来年はトーセンジョーダンの後を追う場面が有っても良いだろう。あともう一つ、上位3頭はスペシャルウィーク,ジャングルポケット,ジャングルポケットで何れもジャパンカップウイナーだったが、これも父ゼンノロブロイ。これこそが競馬の有るべき姿。

ウインバリアシオン

前走京都戦と変わらず。悪くなった印象もない。スタート直後は少し行きたがっており、抑えて後方から。乗り役の話では内に入れたかったが、その場面がなかったとの話で、思い切って3角手前からマクる様に進出して4角先頭。坂を上がって流石に甘くなったが、それでも大きくは負けておらず。凱旋門賞馬に先着出来たのも自信になっただろう。ただ、今年はGⅠとなると何れも奇襲。GⅡ辺りで人気背負って正攻法の競馬となった時は課題。

デインドリーム

欧州調教馬にしては歩様の硬さがないが、数字なりの造り。この馬の出脚が甘いのも悪いのだが、エイシンフラッシュに寄られて後方から。内有利も、日本調教馬,海外調教馬、共通認識として有った様で、道中はあまり外を回さず直線だけ大外へ。途中で動いたウインバリアシオンを別にすれば後方に居た組では最先着。最後の脚も中々光っており、能力の一旦は見せているが、ブエナビスタと同じ競馬が出来たとしても勝てる脚ではなかった。凱旋門賞の内容が強く見えたのは、パワータイプの多い欧州調教馬の中で、馬場が軽く瞬発力勝負となったのが軽量のこの馬には良い方に出た印象も有る。そんな競馬ばかりの日本へ来れば目立たなくなるのは当然。

エイシンフラッシュ

2人曳き。前走と変化なし。ただ、その前走は満点やれなかったのだが。出脚は速い馬だが、スタート直後から1角迄はかなり行きたがっており、何とか宥めて中段。それでも1角からは折り合っており、何とかなったかと思ったのだが、追って一瞬は反応したものの、ラスト200m手前で左手前に替わってそこからは皆と似た様な脚色に。序盤引っ掛かった影響が有るとはいえ、内を突いて立ち回らないと脚が続かない。つまり真っ向勝負の馬ではないのだが、このタイプは中山でも悪くない筈。あとは枠順の問題。

トゥザグローリー

2人曳き。気配を表に出し、今季は好調。馬体のシルエットが母トゥザヴィクトリーに似て来た。出脚でスッと好位も、スタート直後からずっとハミを噛んでおり、折り合いの酷さを言えばこの馬が一番。これでは直線伸びないのも仕方がないところ。ただ、前走から述べている様に、この馬は中山得意。クルクル回る2500mなら折り合い面の懸念も少なく、案外次走は勝ち切る場面迄有って良い。

ヴィクトワールピサ

数字上は出来ているが、造りにメリハリがない。それでも歩様のバネは超一流。アオる様に出て、出脚が鈍り、乗り役が諦めて最後方から。前走UAE戦の様に途中で動く手も考えられるが、実際問題2400mは長くてそれも出来ず。今日はこの馬独特のトビが死んでいなかっただけでも良しとするところ。次走叩いた上積みを見込んでゲートさえ五分なら何とかなるだろうが、今年に入って3戦全て出遅れ。これは気掛かり。

第56回京阪杯(GⅢ)

ロードカナロア

圧倒的1番人気に推されていたが、下見で抜けた印象はない。むしろトモの甘さがマイナス。出脚が抜けて速かったが、急かさず好位のイン。後半3Fの方が速く、またしてもスローに。引っ掛かる馬も多い中、折り合いだけ付けてあとは追い出しのタイミングだけ。道中脚が矯められた分だけでなく、コース利も有り、最後はオイデオイデの楽勝だった。出脚の速さがスローを呼び込んでおり、ハナを切らずとも自分の競馬に持ち込めている点が評価出来る。あとは自身より出脚の速い馬と当たった時にどうなるか。この一点に。

グランプリエンゼル

馬に集中力。歩様も力強く、良い時のこの馬。出たなりで中段。好位グループに引っ掛かっていた馬が多かったが、しっかり折り合えていた。直線の反応も悪くなく、手応え通りに伸びた印象。内外の差がなくてもロードカナロアには敵わなかっただろうが、少し時計が掛かる展開なら堅実。昨年は冬場にデキ落ち感有ったが、今年は夏場を休養に当てた分、良い状態が維持出来ている。

ワンカラット

2人曳き。自身最高体重。デビュー時から比較して72s増。少し太いのは確かだろうが、馬は張っている。デキ自体は間違いなく良い。ゲートで乗り役の腰が落ちたが、少し出して好位。丁度ロードカナロアの直ぐ外に居た。好位に居た組では折り合っていた方。4角の手応えも悪くなく、直線向いた段階では最低2着の態勢だったが、追って頭が上がり気味。その分だけ伸びが鈍った。デキ自体は良いとしても、太い分がフォームに悪影響与えているのだろう。絞って改めて。

ナイアード

トモに張り。キビキビ歩けており、気配も中々。戦前の想定通りハナ。ロードカナロアの方が出脚が速く、スタート直後に少し無理をさせられた影響は有るが、そのロードカナロアが他馬をブロックする格好になっており、全体のペースとしてはスロー。それなりには粘っていでも、高い評価はやれない4着。当然ながらスプリントでの出脚は逃げ馬にとっての絶対条件。出脚で負けている段階で勝ちがなくなる。

ミキノバンジョー

この数字では少し太い。腹回りが重苦しく映る。ゲート五分。スタート直後はロードカナロアの直後に居たが、コーナーで徐々に置かれ出し、4角では後方に。その分、直線は良い脚を使ったが、これで勝つ場面は想像し辛い。ベストは1400m〜1600m。

ジョーカプチーノ

+6s。ワンカラット同様、デビュー以来最高体重だが、単純に太い。少し硬さも出て来た。この馬自身もズブくなっているが、58sも有って出脚が鈍り、押して2番手。直線は大して伸びなかったが、序盤で楽が出来ていない分だけ、甘さが出てしまう。これも現状のベストは1400m辺りだろう。ただ、前走でもリディル相手に完敗。少し衰えが出て来た。

ジャパン・オータムインターナショナル 第28回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

エイシンアポロン

+6s。良く言えばはち切れんばかりという事になるが、少し太いだろう。出脚はシルポートとも遜色なかったが、行きたい馬に行かせて好位。外が利かない馬場で、コースロス無くスムーズな立ち回り。直線半ばからフィフスペトルとの一騎打ちになったが、これをパワーでネジ伏せてのV。今週の京都は土曜日から急に内が有利になっており、この影響がまず大きく、シルポートが前走東京戦と違って派手なペースで飛ばさなかった分も。力の要る馬場が得意なのも周知の通りで、全てが上手く行った感。過大評価は出来ず。

フィフスペトル

2人曳き。前々走中山戦を褒めた様に、今季はデキが良いのだが、前走の方が少し良かったかも。例に依って出脚速くスッと2番手。前述した様に内が有利な馬場で、ずっと内ラチ沿いを通れたのが大きいのだが、エイシンアポロンとの一騎打ちへ持ち込んだだけでも立派。こういう器用さ活かす競馬は昔から上手い。キングカメハメハ産駒らしく、パワーも有るのだろう。

サプレザ

2人曳き。特に太い印象はなく、毛ヅヤ含めて見た目は昨年の状態と変わらず。2年前はゲート出たのだが、昨年,今年とゲートが悪く後方から。内有利は乗り役も重々承知しているところで、4角で下手に外へ回さず、直線迄待ってからの追い出し。この馬場と出遅れを思えば比較的上手く乗られた方だが、内でセコい競馬をした馬にやられただけで、この3着は強い3着。先週述べた様に、外国調教馬が複数回日本へ遠征して、前年より着順上がるケースは稀なのだが、2週続けての快挙。日本の関係者がそうで有る様に、海外の関係者も遠征のコツを掴みつつ有るのだろう。

ダノンヨーヨー

今年結果は出ていないが、デキ自体は引き続き上々。出遅れ1馬身不利も、押して何とか中段。出した分は有るにせよ、少し掛かる位の行き振りはこの馬本来のそれ。ただ、直線向いて内か外かで迷う場面。結果的に外を選択する事になるのだが、ここは少し勿体無かった。着差が着差だけにスムーズなら3着も有っただろう。ただ、直線は右手前のまま。今年何度も述べている様に、デキ自体は問題ないのだが、ゲートも含めてこういう細かい悪癖を直さないと勝ち切れないのも当然。

リアルインパクト

2人曳き。馬体には相変わらず注文付かないが、少しイレ込み気味。内枠から先行した馬が多く中段から。下見の気配思えば折り合いも付いた方だろう。従って、普通に伸びれば勝てる位置取りだった筈だが、追ってからがもう一つ。パワー負けした様な印象は有る。土曜日東京の不良馬場でディープインパクト産駒ディープブリランテが圧勝したが、ディープインパクト自身、極端な不良馬場は宝塚記念で圧勝していても、今日の様なボコボコした力の要る馬場は弥生賞やハーツクライに負けた有馬記念等、少し苦労していた印象。落とし穴にハマッた形に。

マルセリーナ

-6s。馬体絞れたのは大きい。牝馬のこの時期にしては毛ヅヤも維持出来ている。後方から行くのは予定通りだったのだろうが、またしても出遅れ。道中少し折り合い怪しかったが、何とか宥めて直線は内へ。ただ、直線は前の馬を捌きながらで右往左往。それで僅差の6着だから悪い内容ではないが、この馬はやはりこれしか手がない。馬券的にはアテにし辛い馬。

グランプリボス

今日はイレ込みキツい。馬体も気持ち太い。これも出遅れて最後方から。本来はもっと掛かる位の行き振りの馬が今日も妙に折り合っていた。結果は外回した分が有るにせよ、相変わらず競馬が出来ていない。精神的なモノが有りそう。

リディル

馬体は変わらずだが、今日も歩様が少し硬い。これも出遅れたクチだが、外枠で引っ掛かってしまい好位。4角でも口を割る場面が有った。1400mの後で外枠が仇になってしまった格好だが、それにしても負け過ぎ感は有る。デキ落ちしている面も。

第16回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

ディープブリランテ

+8s。下見からは何の雰囲気も感じられず。歩様が少し独特な以外、馬体そのものは極めて凡庸。出脚も速かったが、頭を上げて乗り役が必死に宥めながら2番手。3角過ぎに難とか折り合って4角を回り、直線はこの馬場にしては中々力強いフォームで後続を突き放した。2戦目で行きたがる面を見せたのは課題になるが、とはいえこの馬場で行きたがる行き振りが有るだけでも大したモノ。今年の2歳重賞に出て来た馬では間違いなくNo.1。

フジマサエンペラー

2人曳き。均整の取れた馬体。張りも有ってデキ自体は良い。ゲートは少し悪かったが、この馬場で外枠、後方からの競馬では届かないと見て好位へ。今日はこれが大正解。ディープブリランテとは一瞬の脚で大分差が有って、最終的には3馬身突き放されてしまったが、それでも一杯一杯2着は確保。ただ、今日の競馬だけで能力云々は分かり辛い。 デキと乗り役の好騎乗も大きいだろう。

マイネルディーン

シープスキンノーズバンド。気配上々。寸が詰まっているが、馬体の造りもしっかり。出たなりで好位直後。最初から上手く流れに乗っていた。4角を少し勢い付けて回って来たが、直線向いてからが妙にジリジリ。ディープブリランテやフジマサエンペラーは何度も替わっていたのだが、この馬は左手前のまま。この差が出た印象も。繰り返しになるが、今日はディープブリランテが圧倒的に強い事が分かっただけ。2着以下は良馬場でやり直さないと能力は分からず。

ジャスタウェイ

2人曳き。馬体そのものはこの相手でも上位だが、相変わらず少し緩く映る。これもゲート少し悪かったが、外枠でスッと好位。序盤少し行きたがる場面も有ったが、折り合いは直ぐ付いた。ただ、直線向いてからが案外。「ジリジリ」と前述したマイネルディーンにも差し負けていた。毎回述べている様に新潟戦組には多少偏見が有る訳だが、道悪の影響が有り、今日は評価下げられず。

エネアド

馬体は数字の割に整っているが、少しトモの甘い歩様。出遅れ1馬身不利。この枠で挽回出来ず後方から。道中はかなり引っ張りながらの追走。4角では外へ回す余裕もなく、そのまま内へ。そんな状況でも、直線は最後迄諦めずに伸びて来ていた。馬場適性も有るのだろうが、この根性が何より評価出来る。トモがパンとすれば化ける可能性も。

マイネルロブスト

シープスキンノーズバンド。腹回りは少しボテッと映るが、体型も有ろう。出脚は一番速かった位だが、折り合いに専念して好位。これも引っ張る位の行き振り。従って良い位置にはいたが、いざ追ってからがサッパリだった。引っ掛かった分と馬場状態、両方有りそうな負け方。

クラレント

叩いて更に上昇。毛ヅヤは雨で何とも言えぬが、馬体の張りが良くなっていた。レース前に放馬。ゲートは出ているが、無理矢理下げて後方から。4角外へ持ち出したものの、追ってサッパリ。放馬の影響も有るだろうが、この馬場で下げて馬が戦意喪失した様なやられ方。道悪自体は前走京都戦でそれなりにこなしており、悪くはなかった筈で、変なダメージ残らねば良いが...。

ジャパン・オータムインターナショナル 第36回エリザベス女王杯(GⅠ)

スノーフェアリー

2人曳き。迫力最上位も、少し太く映った。歩様も硬目。ゲートは出たが、この枠で無理するつもりはなく、中段やや後方から。シンメイフジが暴走して全体の上がりは掛かったが、2番手で1000m60秒を少し切る位の平均ペース。上がりはそれなりに速く、3角で内に入れたのが正解だった。馬場は少し悪いのだが、中段に居た組でも脚が残っている馬が多く、外回していてはコースロスが大き過ぎただろう。ただ、周知の通り、今の京都は内が悪く、あくまで馬のパワーが有るからこその策。従って、着差はクビでも完勝。今日でギリギリの雰囲気で、東京戦回避は仕方ないところだが、外国調教馬がGⅠを連覇。一つ歴史は作った。

アヴェンチュラ

前走と変わらず。歩様も落ちていない。ゲート少し悪かったが、枠の利も有り、中段やや前での競馬。特に競馬に注文付く馬ではなく、スムーズに運び、直線馬場の良い外へ持ち出す策も戦前から狙っていた通り。当然、それだけの手応えが有り、その通りに馬は伸びているのだが、最後はスノーフェアリーの規格が違っていただけ。国内の限定戦なら今後も引き続き主役級だったが、レース後に両前脚骨折が判明。今の獣医学なら違うのかも知れないが、一般論としてはこれで引退させた方が。

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-6kg。馬体に張りは有ったが、まだ少し太い。この馬の出脚で、好位で宥め気味の追走。切れる脚がないだけに、少し早目に動いてアヴェンチュラとの併せ馬。最後鋭さ負けはしたが、自分の力は発揮出来た。叩き2走目全勝のジンクスは継続出来なかったにせよ、やはり一度使えばこの馬変わる。年齢を経て、血統からもっとマイラー要素が強くなっても良い筈だが、それが出ない点も厩舎技量なのだろう。

ホエールキャプチャ

馬体はこれで良いが、歩様が相変わらず。右後肢の出が悪い。珍しくゲート出て2番手から。前述の通り、シンメイフジが派手に飛ばしたが、これに付き合わず、4角でも自分のタイミングでの仕掛け。一瞬は先頭の場面だったが、最後少し甘くなってしまった。今日は最高に運んでいるだけに、この馬の能力からすればもう少し頑張れても良い筈だが、その辺は今季デキが万全でない部分。

レインボーダリア

-16s。この相手では迫力不足だが、絞れて前走以上なのは間違いないところ。出脚使わず出たなりに中段から。直ぐにインへ潜り、アヴェンチュラをマークしての競馬。流石にアヴェンチュラに続いて外へ持ち出す余裕はなかったが、それでも最後迄近い位置には居た。20戦して掲示板外したのが2回のみという堅実派だが、その2走は何れも重賞。今回、重賞では初の掲示板確保となり、力を付けている。

イタリアンレッド

連勝中らしい馬体の張り。落ち着いていたのも何より。道中はアヴェンチュラと前後する位置。従って最近では前目の競馬となったが、この距離で少し行きたがっていた。4角で手応えが怪しくなり、直線も伸びず。相手が強くなった分が一番だが、少し距離も長いのだろう。

レーヴディソール

+20kg。太いという印象はないが、緩い。これも過程は違えど、2200mは初距離。賢い馬なので、向正面で折り合い付いたが、序盤は中段で少し行きたがっていた。ただ、直線伸びなかったのはそれ以前の問題なのだろう。これを叩いて改めて。

第16回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

ナムラタイタン

キビキビ歩いていたのだが、腹回りボテッと映る。好発も、急かさずジワッと好位。オープン上がってからは追ってタルい競馬が多かったが、好発切れた分道中脚が矯められた印象。直線、ダノンカモンとの追い比べを制した。条件戦の1400m戦を連勝していた頃と違い、少しズブくなっており、マイル戦も良かったのだろう。スムーズに運べたという点で大外枠も向いた筈で、今日は条件揃っての勝利。次走は用無しとなるところだが、レース後に故障が判明し。

ダノンカモン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。遮眼革。気合は乗っていたが、前走の張りはない。アドバンスウェイには叩かれたが、出脚有る馬で好位から。遮眼革利き過ぎたのか、序盤頭上げて行きたがる場面。直線もそれなりに伸びているが、ナムラタイタンとの追い比べで見劣って2着。1400mならこの行き振りで良いのだが、元々マイルは微妙に長く、遮眼革で最初から一生懸命に走り過ぎたかも。勿論、ソラを遣う癖もそれはそれで問題で、痛し痒しといったところ。

アドマイヤロイヤル

時々チャカつく位の気配。馬体にもメリハリ利いていた。出脚鈍そうだったが、この枠でも有り、出して中段。その分少し勢い付いたのは想定内として、4角上手く捌いて直線はナムラタイタンの直後へ持ち出す形。この捌きは上手く、追っても一瞬はまとめて面倒見そうな勢いだったにも関わらず寸前で脚が鈍って3着止まり。乗り役の話では少し早仕掛けになったという事だが、それよりも初重賞の壁という事だろう。一度放牧に出す様だが、この経験は今後に活きて来る筈。

ダイショウジェット

+6s。この数字では太いのだが、太い方が走る。序盤あまり速くならなかった影響も有り、この馬の出脚でも好位から。折り合いや馬群を苦にしない馬で、この位置取れたのは大きい。一昨年を再現する様に内からジワジワ来たが、今日の4着は往時の力がないということだろう。毎回人気にならないので、押さえても良い馬だが、確率は低い。

ヒラボクワイルド

元々良く見せる馬だが、今日は少し張り一息。今日はゲート出て好位のイン。道中砂を被って頭を上げており、4角でモタついた際にダノンカモンに締められて行き場をなくし、その後もダイショウジェット等に来られて、苦しくなってしまった。ここ2走長い距離で差す競馬をしており、これがズブさに繋がったのだろう。この辺も厩舎技量だが...。

テスタマッタ

イレ込みキツい。馬体は抜群だが。出遅れて出したら思い切り引っ掛かってしまった。前に馬が居た分、3〜4角中間辺りでは大人しくしていたが、斤量背負っている事も有り、伸び切れないのも仕方がないところだろう。次走GⅠは差し馬不利だが、ハイペース必至の組み合わせで折り合いは付く筈。斤量も同斤となるだけに、巻き返して不思議無し。

シルクフォーチュン

前走と変わらず。歩様が硬いのも何時も通り。例に依って出遅れて後方から。行き振り含めて4角迄は前走と同様だが、今日は色気を持っての大外。元々使える脚が一瞬で、距離も1400mがベストの馬。この形では伸び切れない。

第47回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

レオアクティブ

-14s。少しチャカつくのは毎度。極端に細い印象はないが、寸の詰まった造り。ゲートは少し分が悪い程度だったが、行く気なく徹底して抑え込んで後方から。直線も、最初から外へ持ち出していたのだが、暫くモンストールを前に置き、少し待ってからの追い出し。頭が高く、短距離の差し馬なのだろうが、これがハマった。弾けたという表現が競馬で出て来る様になったのはここ10年の話だが、まさにその通りの内容。今後もアテには出来ず。

サドンストーム

2人曳き。+16s。数字程は太い印象ないが、少し頭が高い。これもゲート少し悪かったが、中段位から。レオアクティブ程ではないが、スローで行きたがるのを宥めての追走。4角で上手く外へ持ち出し、追い出してオリービンとの併せ馬を制したところを外から一気にレオアクティブ。乗り役の仕事としては完璧で、飛び道具にやられたのは仕方がないところだろう。前走札幌戦は内にモタれていたが、今日はほぼ真っ直ぐ走れており、左回りも合う様。

オリービン

-24s。地味になってしまったが、余計な肉が取れた印象は有る。ペース自体があまり速くなかった分は有るのだが、この距離でもスムーズな追走。ただ、大事に乗り過ぎて折角の出脚を少し無駄にしてしまった印象が有る。この枠であの出脚なら2,3番手から競馬出来た筈が、4角では中段に居て位置取りを悪くしてしまった。直線はサドンストームとの追い比べとなり、最後決め手の差で3着に。距離は1400mでも問題ないだろうが、現状の決め手では早目早目の策が合う。

モンストール

2人曳き。イレ込み気味。腹回りもタプタプ。ゲートよりも出脚が鈍く後方から。今日の馬場なら外回しても問題はないが、いざ追い出して内にモタれ気味。例に依ってトビは大きいが、回転数が足らなかった。新潟組らしい負け方で、これ自体はありがちだが、乗り役の話ではノドが鳴っていたとの事。当面手は出さぬ方が。

コスモアンドロメダ

キビキビ歩いていて、完成度高い。デキは良い。出脚は速くなさそうだが、押して2番手。その分少し掛かり気味。ただ、乗り役のコメント通り、瞬発力で甘く、外4頭が抜けた後に逃げたダイワインスパイアを交わしての5着。前走と全く同じ競馬。良く言えば渋い。今日の内容だけなら折り合い教え込んで距離延ばした方が良さそうだが...。

ゲンテン

首でリズム取って歩いており、気配は上々。歩様も伸びていた。ダイワインスパイアが行き切ってその2番手。道中悪い印象なかったが、坂を上がって止まってしまった。敗因良く分からぬが、34秒台の脚がないと見るべきか。ただ、芝で34秒台の脚がないとイマドキ競馬にならないが。

ネオヴァンクル

下見の外目歩いて気配は文句なしだが、少し太いのとトモの送りが硬い。中段やや後方で折り合いも付いていた様に見えたが、直線向いて少し接触する場面が有り、そこからが全く伸びず。もう少しやれても良い馬だが、敗因不明。

第2回みやこステークス(GⅢ)

エスポワールシチー

例に依って良い時の張りが戻らず。及第点レベル。前走東京戦の効果大きく、出脚では勝っていたが、トウショウフリークが譲らず2番手から。向正面迄はガッチリ抑えていたが、3角過ぎから影をチラつかせつつ、直線入口で並び掛ける形。向いてからは独壇場だった。人気通りここでは格が違った感。ただ、スマートファルコンがジャパンカップダートを回避する話が有るとしても、この相手でハナ譲っている様では次走勝てるとも思えず。

トウショウフリーク

腹回りはボテッと映る割にトモが薄い。オープン入ると馬自体に差。出脚はエスポワールシチーに負けていたが、内枠の分譲らずハナ。1000m通過が59.5秒。速いは速いが、時計勝負の馬場で極端という程ではなかった。3番手以降がエスポワールシチーを越して来れる筈もなく、その意味でも2番手で目標にされるよりは余程楽。直線向いてからはアッサリやられたが、それでも2着は悠々確保。賞金加算出来たのも大きいだろう。前述した様に馬は感心しないのだが、何処かで重賞は勝てる馬。

ニホンピロアワーズ

毛ヅヤ冴える。少し太い可能性も有るが、馬も雄大に見せる。出脚でやられて6番手から。道中も少しオッツケ気味。4角の手応えも決して良いとは思わなかったが、3番手に居た2頭が追っ掛けバテしたところを差して3着浮上。ただこれでメンバー中最速の上がり。追い出すと重心が下がり、フォームも悪くない。これも交流重賞なら何とかなる筈。

ワンダーアキュート

テンション高いのは何時も通り。リフレッシュ放牧明けだが、馬体の張り目立つ。ハナへ行く迄ではないにしても、出脚は速く好位から。スムーズな立ち回りだったが、エスポールシチーを目標に少し早目の進出。ただ、直線向いた段階では手応えが違い過ぎ、並ぶ場面すら造らせて貰えなかった。最後は追っ掛けバテの格好。休み明けで馬をシャキッとさせるという意味では良い競馬だが、出来ればトウショウフリークを捕まえて欲しかったところ。叩いた上積み見込んでも、次走は連下級。

ヒラボクキング

ドッシリと見せて迫力の有る造り。トモが薄い割に腹回りがボテッと映る。オープンの馬とは思えないが...。ハナ切った際は2戦2勝の馬。大外枠でも好発切った事も有り、果敢に行ったが、エスポワールシチーやトウショウフリークも五分の出脚で3番手から。これもエスポワールシチーを意識して、少し早目に行ったが、直線向いて案外。ただ、この相手で先行出来るだけでも大したモノ。GⅢレベルなら次走狙い目に。

インバルコ

遮眼革。気配を表に出さず、ボテッと映るのは何時も通り。出脚の無い馬で、最内枠では当然の様に最後方から。道中も追走に汲々としており、直線も苦し紛れに内へ。バテない分だけジリジリとは来るが、馬券圏内は遥か遠く。この馬はこういう馬場になってしまってはダメ。ベストは東京2100mだろうが、以前マイネルアワグラスにも述べた様通り、08年に重賞すらなくなってしまったのが。

ダイシンオレンジ

-10kg。良い時の重量感がない。今日は案外。出脚の差で外からヒラボクキングに叩かれる格好になり中段から。追って伸びる馬ではなく、この段階でアウト。ここ目標だった筈だが、何より状態面が良さそうには見えず、年明けの京都戦も見送りか。

ゴルトブリッツ

2人曳き。休み明けながら気合乗っていた。少し歩様は硬いが、力は出せる状態。この組み合わせでハナへ行く気は無かっただろうが、出して好位。序盤は掛かる位の行き振りだったが、4角辺りから突っ張る様な感じになり直線はあまり追っていなかった。レース後心房細動判明したそうで、立て直して改めて。

第49回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

トレイルブレイザー

今日は馬に集中力。毛ヅヤが冴えていて、歩様も力強い。スタート直後から少し仕掛けて好位。前走京都戦は休み明けで度外視として、通常なら折り合いは付く馬。ただ、昨春同条件の目黒記念を早仕掛けで失敗しており、今日も4角で動いた時にはどうかと思ったのだが、手応え通りそのまま押し切った。ハンデ差有るとはいえ、追いすがるオウケンブルースリを寄せ付けずの強さ。前述の目黒記念で少し褒めた様にこの条件は適性が有るのだが、昨年制したトーセンジョーダンと同レベルの評価は出来る。尤も東京戦は除外になりそう。馬券上の狙いは来年に。

オウケンブルースリ

少しテンション高いが、これが何時ものパターン。ただ、良い時の張りには一息。出脚が鈍く後方から。スローを嫌って3角手前で少し動き、直線は大外へ。追い出して直ぐはウオッカにクビ差迫ったジャパンカップを彷彿とさせる脚だったが、中々手前が替わらなかったのが最後に伸びを欠いた。ハンデ差だけではない部分が少し有る。次走は見送り。

カワキタコマンド

+8s。少し皮膚が分厚く映る。好発。ドリームセーリングがハナを主張、これを行かせて好位。少し引っ張り気味の追走。4角早目に動いたトレイルブレイザーに併せて動き、直線入口では先頭だったが、そこからが抵抗出来ず。そんな中で3着確保だから悪くない内容だが、そうはいっても同斤のトレイルブレイザーとは1馬身1/4+3馬身差。能力差は相当。

カリバーン

+14s。一息入れて上手く立て直せた様。減っていた馬体が戻った。スタート直後から少し行きたがっており、好位で宥めながらの追走。直線向いても近い位置に居たが、坂を上がってからの脚が違った。現状こんなモノとも思うが、距離も少し長いのだろう。2000mなら重賞でも。

ビートブラック

毛色で得している分は有るが、一番良く見せる。落ち着きも有り、デキだけならコレ。行く気なく中段やや後方から。3〜4角中間で妙に手応えが悪く、オウケンブルースリに被されてしまい、直線苦し紛れに内へ。伸びはジワジワだった。今日は大外枠で先行出来なかったのがこの結果を招いた感。前走京都戦の様な少頭数ならともかく、先行出来る条件でないと馬が勝手に諦めてしまう様に見える。

キングトップガン

-14s。近走が太かった。まだ緩く映る。もっと絞った方が良い。行ける出脚は有る筈だが、抑えて後方のイン。横山典弘騎手らしく、ずっと内を回って直線一瞬だけ見せ場有ったが、最後に失速。今春目黒記念より5s増だった分も有るが、乗り役の話では距離が長いとの事。今春は距離をハンデで誤魔化していたのだろう。

ナムラクレセント

馬体はこんなモノだが、一息入った影響なのか、妙に大人しい。最近はイレ込んでいる位の方が走る。出脚速く好位。完璧ではないが、この馬にしては折り合っていた方だろう。ただ、追ってからというより4角で既に手応えが怪しかった。その意味で案外感も有るのだが、東京2500mならこの位の着差が付いても不思議はないところ。次走改めて。

第16回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

アイムユアーズ

バランスは取れているが、馬は目立たず。下見からは強調材料に欠ける。出脚は五分だが、枠の分行き切れず中段から。途中で止めた格好でも道中は折り合っていた、内へ入れるスペースもなかったが、躊躇なく4角は大外。少し首が高い割に、長く良い脚を使った。前走函館戦もそうだが、ノビノビ外を走らせると良い決め手が出せる。Bコース替わり初週の割に、内有利かと思いきや外が利く馬場状態になった点が阪神でどうかだが、圏内の1頭に。

アンチュラス

-4kg。トモの丸みは残しており、コンパクトに纏まった造り。枠の利で好位。これも折り合いが付いて流れに乗れた。外が利く馬場とはいえ、上手く乗られた印象強いのだが、ただ直線向いて直ぐ少しモタつく場面。最後の最後でファインチョイスを交わして2着に上がるのだが、少しズブい印象が有る。初めて馬群の中で競馬する格好になり、この点を無難にこなした点も収穫。少なくとも距離延長は悪くない筈で、このレースからはこの馬が次走一番可能性が高い。

ファインチョイス

+14kg。太い印象は無いが、少しトモが甘い歩様。出遅れ1馬身不利も、押して好位。初距離というより、出した分で少し行きたがっていた。それでも直線向いて前も開き、一瞬は抜け出さんかの勢いだったが、最後に失速。ただ、前走函館戦で首が使えていないと述べた点は大分マシになっていた。その前走でも、1200mにも関わらず行きたがる馬が多い中、折り合っており、スムーズなら距離も何とかなるだろう。次走へ向けて強調出来る材料はないのだが、全くの圏外にもし辛い。

サヴァーレ

-8s。トモの送りが硬い。馬体もギリギリ。二の脚で少し差が有って中段。アイムユアーズと似た様な位置に居て展開上は悪くなかったが、乗り役が話す通り、4角で少しバランスを崩す場面。外から見る分にはこれが直線の脚にどれだけ影響したかは分からないのだが、着差が着差だけに惜しいのは確か。馬体から次走GⅠなら見送りだが、500万なら。

ニコールバローズ

+14s。少し緩いとしても数字は回復分。歩様も中々力強い。出脚は五分程度だが、枠の利で好位のイン。前走新潟戦と違い、今日は折り合いが付いた。直線もそのまま最内へ突っ込んで、一瞬やったかの場面。良馬場ながら雨の影響で内が伸びず、最後はこれに泣いた格好だが、戦前期待した通り単勝83倍の馬ではなかった。これも500万は確勝レベル。

タガノミュルザンヌ

この数字の割には骨格のしっかりした馬だが、筋肉がまだ付き切っていない。出脚がサッパリで後方から。この数字だが、道中から大トビ。この点で直線内へ突っ込んだのは少し苦し紛れだったのだろうが、フォームや伸びは中々。素質はこのメンバーなら断然。馬体成長すれば大化けの可能性も。その意味でこの厩舎に居るのは馬自身も運が良い。

エイシンキンチェム

+10s。集中力散漫も、毛ヅヤは良く、デキ自体はまずまず。この相手でも、出脚は速い方だったが、前走新潟戦の件も有り、外回されるのを嫌って控える形。直線向いてアイムユアーズの1馬身後方。位置取りとしてはそこ迄悪くなかった筈だが、追ってジリジリ。最終的にアイムユアーズとは3馬身位の差を付けられた。雨や久々の影響は有るが、今日の内容だけなら少し評価が下がる。