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競馬回顧 2010年6回京都・5回東京

ジャパン・オータムインターナショナル 第30回ジャパンカップ(GⅠ)

ローズキングダム

歩様は前走京都戦と変わらず。馬体をドッシリ見せるのも今季の特徴。意外に出脚が有ったが、深追い避けて好位直後。前走同様折り合って直線もスムーズに前が開いたが、一瞬我慢させての追い出し。伸び掛かろうとしたところで、内からヴィクトワールピサ、外からブエナビスタで挟み撃ちに遭い、更にブエナビスタがもう一発。それでも最後そのヴィクトワールピサをハナ差捕えて2位入線。勿論、怯まずに頑張った馬が一番偉いのだが、前述した乗り役の矯めが最後の脚に繋がった点も指摘しておきたい。武豊騎手、これで中央GⅠ23年連続制覇だそうだが、馬だけはなく技量無くしては為し得ない数字。

ブエナビスタ

前走とほぼ変わらず。歩様も問題無く、普段は冴えない毛ヅヤが意外に良かった。外枠で、前へ行く気が有ったかどうかは微妙だが、スタート直後に躓いて後方からの競馬。少しでもコースロス無くという意図は感じられたが、18頭立てでギャンブルが出来ず直線迄待って外へ。ただ、ここ迄スムーズに運べていない分、乗り役が焦っての右ステッキが最悪の結果を招いてしまった。ローズキングダムと2回接触して降着に。回数もそうだが、ヴィクトワールピサと違い、真横から当てているのが余計に心証悪くしている。馬を信じ切れなかった乗り役のミス。

ヴィクトワールピサ

毛ヅヤが一息。常に良く見せて来た馬だけに、デビュー以来一番悪いのだが、馬体のしなやかさがこの馬の肝。誰も行きたくはないのだが、2番手が欲しいところで枠の利も活かしつつ少し出してそこを確保。1周ずっとではないのだが、ところどころで少し力む場面。追い出しても何時ものダイナミックなトビで伸びているのだが、ブエナビスタに交わされてからが意外に甘い。結果的には痛恨のハナ差になった。折り合いだけをいえばこれでも今春よりはマシになっているのだが...。仏蘭西帰りのハンデは有るにしても案外感が残る。乗り役は距離だろうという話をしたそうだが、イマドキ2400mで長いといっている様では先行きが暗い。

ジャガーメイル

2人曳き。遮眼革。攻め馬動いたが、その通りに今季はデキが良い。気配も文句無し。ゲートは五分だが、外国調教馬にも出脚で分が悪く後方から。道中も少しズブそうだったが、直線向いても直前に居たブエナビスタに一瞬にして突き放された。最後迄バテずにジワジワ伸びているが、一瞬の決め手が無い。もう少し前へ行けると理想だが、2400mでもそれが適わないなら、もっと距離が有った方が良い。

ペルーサ

+8s。この中間はゲート練習ばかりで、今日も太い。前走と違って落ち着いていた点には好感が持てるのだが。ジョシュアツリーがゲート入りに梃子摺った影響は有った様だが、例に依って出遅れ。前走東京戦はスッと内ラチ沿いが取れたのだが、前述ジョシュアツリーがスタート直後に寄って来て、最後方迄下げざるを得なかったのが意外に痛い。ジョシュアツリーはその後向正面で中段に居た訳だから、この馬もそうなる可能性が有った。結局前走の様に内は突けず、直線は外から。しかも大外ではなく、馬群を捌きながらでは尚の事キツかった。不完全燃焼の競馬。あと今後へ向けて気になったのが頭の高い走法。一言で片付けるなら、全身が使えていない印象。藤沢和雄厩舎の調整にケチを付けるのは烏滸がましいのだが、ゲートを諦め、もっと馬体を絞ってノビノビ走らせた方が良さそう。

オウケンブルースリ

-12s。良い時を思うと張りが一息。歩幅が短いのもマイナス。元々出脚は無いのだが、ブエナビスタマークで後方から。4角回ってジャガーメイルと同じ位置、対ブエナビスタは論ずるに値しないとしても、ジャガーメイルに対しても追い出して一瞬の脚で分が悪かった。スローも応えたが、今年はデキがそこ迄ではなかった様。

エイシンフラッシュ

毛ヅヤは例に依って抜群だが、腹回りに少し余裕が有る様にも見える。前走阪神戦思えばやや上向き。出脚は速い馬で、スッと好位。引っ掛かるイメージの馬ではなかったのだが、前に馬が置けなかった分なのか、少し行きたがっていたのは意外。直線は少し接触する場面も有った場面も有ったが、その時点では脚も無かった。スローの器用さ勝負ならもう少しやれて良い筈だが、阪神戦の状態が怪しく、その後京都戦スキップしたとはいえ、まだ本当ではなかった様。

ナカヤマフェスタ

2人曳き。この中間は良い話が無かったが、馬体も張りが有って見た目は良かった。少し気負い過ぎ位の気配は仏蘭西戦同様。意外に出脚が負けておらず中段の外。4角迄の雰囲気は悪くなかったが、いざ追い出してサッパリ。負ける時はこういう負け方の馬だが、デキ?

第55回京阪杯(GⅢ)

スプリングソング

-10s。狙い通り絞れた形。馬は元々オープンでも見栄えした方で、今日も上位の馬振り。ただ、少し歩様が硬い。戦前の想定通り、エーシンダックマンとティファニーケイスが行っての3番手。この1枠2頭がだらしなく、直線向いて楽勝の雰囲気だったが、ここでソラを遣って内外に半馬身程出られたのだが、最後に差し返してハナ差。今日は前走の反動が有った筈で、次走間隔開けずに使って来るなら軽視だが、エビ明けだけに恐らくは来春京都戦若しくは阪神戦迄は待機だろう。今日は枠順的にも手頃だったのだが、こういう器用な競馬は出来る馬。元々の地力が発揮出来る条件整えば次走中心視したい。ただあの癖は危なっかしい。矯正が必要。

ケイアイアストン

毛ヅヤ冴えず。馬体はこんなモノとしても、左後肢の送りが少し鈍いのが気になったのだが。元々は逃げていた馬で出脚に余裕が有り、スカイノダンだけ叩いてスプリングソングを見ながらの競馬。控える競馬を続けて、この形でも折り合いが付く様になっている。上手く立ち回って一旦は先頭に出ているのだが、最後スプリングソングに差し返されて痛恨のハナ差負け。前走も惜しい位置に居るのだが、もうワンパンチが無い。今季デキが一息と思うのだが、良くなって何処迄。

モルトグランデ

胴回りはスカッと見せて、トモにボリューム。デキは間違い無く良い。この枠で出脚分が悪く、中段やや後方。ただ、ラチ沿いに直ぐ切り替えて距離を稼ぎ、4角でスプリングソングの1馬身半後方。追い出して反応も良く、一瞬突き抜けたかに見えたが、最後に失速し2着も守れず。昔から3着の多い馬では有るのだが、今日は謎が残る敗戦。良い脚が長く続かないタイプ?

スカイノダン

少し太いかも知れないが、張りが有るので重量感が有ると良い方に取りたい。ただ、歩様は相変わらず。あまり行かせると行きたがる傾向に有る様で、今日は無理せず中段。ただ、直線向いて少し待たされる場面。弱くはないが、能力的に抜けていないだけに、伸びる前の馬と脚色が一緒か少し分が良い程度だった。現状で勝ち切る迄は中々...。

ジェイケイセラヴィ

気配は良かったが、腹回り少し緩慢。例に依って出脚は速いが、控えて中段やや後方から。先週のエーシンフォワードの様に外枠から最内切り替えて伸びているが、直線向いて暫く前が壁。内回りに二匹目の鰌は居なかった。今日は競馬の失敗だが、以前思えばコーナリングが良くなっており、この馬自身は進歩している。

ダッシャーゴーゴー

元々大して見栄えする馬ではないのだが、今日は明らかに馬が緩い。余り行く気も無かった様だが、3角手前で行き場を無くして2馬身程下がる場面。4角も大外へ行くしかなく、今日の展開ではこの段階でアウトだが、直線手前が替わらないのはデキの無さ。今年も中山戦組が飛んだが、毎年の様に人気馬にデキが無い。

ジャパン・オータムインターナショナル 第27回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

エーシンフォワード

+10s。もっと増えても良い位だが、元々がスカッと見せるタイプ。ただ、前走気になった歩様の硬さが無くなっていた。好発も控えて中段。ただ、最初から内を狙っていた様で、意識して控えたというより、内を狙ったら入れた位置が中段だったのだろう。京都外回りは毎回馬群がバラけるので、それを待ってからの直線。一瞬スマイルジャックが抜けたかの場面を並ぶ間も無く捕え、外からの猛追を一杯一杯凌ぎ切ってレコード。元々レース巧者として知られ、器用な立ち回りが身上の馬。一番人気でもこの乗り方に拘る乗り役と歯車が上手く噛み合った印象。逆に言えば能力判定不能。今日のところはそれ以上ではない。

ダノンヨーヨー

毛ヅヤピカピカ。デキの悪い連勝馬は今迄見た事が無いのだが、この馬も例外に有らず。例に依ってゲートが悪く後方から。外回さないという意図も有っただろうが、前,外に馬が居て4角も動くに動けずで、馬群を割る形。直線若干内にモタれる素振りも見せていたが、ほぼ絶望的な位置からここ迄伸びた。時計勝負を克服し、地力上位を示す内容。ただ、前走東京戦もそうだが、ゲートが悪く差し一手。何処かで飛んで高配当提供しそうだが。

ゴールスキー

チャカついているのは前走同様。歩様に力強さが来れば本物だが、まだ勢いだけで走っている印象。出脚使わず折り合いに専念して中段。それでも道中は手綱を引っ張り気味の追走。内にエーシンフォワードが居たのだが、坂の下りで待ち切れずに外へ。直線向いてからも暫く手前が替わらずモタつく場面。替えてからは中々の伸びだったが、一瞬の勢いの差で3着に落ちた印象。スムーズなら2着有ったが、細かいところで雑な面が有り、これが解消すれば楽に勝てる様になりそう。

サプレザ

2人曳き。昨年出走時と比較して+18s。増えていても太く見せず。成長しているのだろう。出遅れ2馬身不利。昨年とはペースの差も有るが、今年は後方で折り合いが付いた。直線はダノンヨーヨーと一緒に伸びて来たが、相手は1馬身後ろから追い出しており、反応が違っていた。能力差は有りそう。外国調教馬でも馬主が日本人だけに円高はほぼ無関係、出来れば報奨金懸かる3着以内が欲しかったところだったのだが。

ライブコンサート

+6s。輸送の短い京都で増えた形。見た目には然程変わらず。前走東京戦で述べた様に、歩様に硬さが無いのも何より。例に依って出脚は鈍いのだが、折り合いに不安の無い強みが有り、出して中段。道中も然程手応え良いとは思わなかったが、荒れ馬場は全く苦にしないタイプ。関係無くこの馬の脚は使っている。最後は時計の差。この馬としては悪くない内容。

トゥザグローリー

下見は落ち着いている。馬体もこれで良いが、もう少し歩様がしっかりして欲しい。出脚が鈍く後方から。近況は引っ掛かる傾向に有ったが、今日は追走に汲々。今日の展開で4角大外は論外だが、それ以前の問題だった。現状は距離の合う幅が狭い。

キンシャサノキセキ

2人曳き。馬体締まって順当に良化。ただ、近況無かった歩様の硬さ。下げて内へ入れようとしていたが、入れずにただ下げただけ。前走中山戦は出遅れての不可抗力で後方からとなったが、後方からの競馬はこの馬引っ掛かる。今日も道中は結構行きたがっていて、最後は失速。乗り替わりが裏目。普段の好位差しなら、もう少し違った様な気もするのだが。

第15回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

サダムパテック

少し華奢な印象も有ったが、踏み込みの力強さは強調出来る。出遅れ1馬身不利。行きたがって頭上げている内に何時の間にか中段。ただそこで折り合いが付いた。直線向いて外へ持ち出し、追い出してからが一枚違う脚。戦前は陣営が妙に強気だったが、その通りの楽勝だった。ただ、ゲートと折り合い以外にも、直線左ステッキだった様に内にモタれていた。課題は多い。

リフトザウイングス

-14s。前走京都戦が太かった。下見だけならコレ。迫力は無いが、垢抜けた馬体。ゲートは半馬身程度だが、出脚が無くて後方から。それならと最後方迄一度下げてコースロス無く回す形。ただ、直線内が詰まっていてバラける迄が長く、追い出したのは実質300m。この脚は見どころが有った。攻め馬は引っ掛かるそうだが、一方で周囲に気を遣ってレースに行ってズブい。サダムパテック同様に、力は有るが、課題も目立ち。

フェイトフルウォー

大型馬だが、全体に緩い。歩様が甘いのも気になった。これもゲート後手。結果的に前が壁になって後方からとなったが、中段位は楽に取り付ける出脚。直線向いてトビは大きいのだが、瞬発力でリフトザウイングスと差。ゲート以外の注文は付かないが、上位とは決め手で差が有る。

マイネルラクリマ

2人曳き。+8s。夏場の毛ヅヤは維持しているが、腹回りに数字分だけ余裕が有る。内からハナへ行ける出脚だったが、控えて好位。4角のコーナリングは若干怪しかったが、前走新潟戦同様ジワジワ伸びている。瞬発力で並ぶ間も無くやられたが、時計掛かっての追い比べなら渋太いタイプなのだろう。距離ももっと伸びた方が良い。

ダコール

2人曳き。コンパクトに纏まっており、新世代の馬といった印象。出遅れて外を回される展開になったが、それよりも直線向いてからが暫くモタついていた。坂を上がってもまだ最後方に近い位置。そこからここ迄だから能力は有る筈。上位馬同様、全能力が競馬に向いていない。

ジャパン・オータムインターナショナル 第35回エリザベス女王杯(GⅠ)

スノーフェアリー

2人曳き。馬体は大した事無いが、外国調教馬に時々見られる妙な硬さが無い点には好感。アパパネとは出脚で差が有ったが、スンナリ好位直後。この枠でも有り、アパパネマークは当然の策。ただ、それとは無関係に4角からの脚が強烈。ラチ沿いへ進路を取り、一瞬で3〜4馬身突き放した。文句無しの強い内容。外国招待馬が半数を占めるジャパンカップを別にして、2000m以上の外国調教馬は最近流れに乗れない場面が目立ったが、ゲートを五分に出て流れに乗れたのがまず大きい。そのジャパンカップは回避だそうで、これは仕方無しだが、今日のデキが有れば面白かったかも。

メイショウベルーガ

オーストラリアンブリンカー。状態面特に問題は無いが、更に増えてデビュー以来最高体重。その分だけ太い。昨年の轍を踏まぬ様、少し出して中段やや後方から。坂の下りで少し手応え悪かったが、直線向いて外へ持ち出してからは何時もの伸び。相手が悪かったとしか言い様が無い。運が無い。

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+4kg。2走前阪神戦と同じ数字。少し太いだろう。気配面含め、デキ自体は悪くない様に見えるが。好発。出脚も速い馬だが、行かせる訳にも行かず控えて好位。攻め馬通り、やはり行きたがっていた。以前にも述べた様に総合力で勝負する馬で、一つ歯車が欠けると勝てない。最後リトルアマポーラを捉えた点に底力は見せたが、今になってみればGⅠ,JpnⅠを4勝出来たとさえ思う程。今日は負けるべくして負けたからこそ、それ迄の厩舎技量が見えて来る。

リトルアマポーラ

2人曳き。この馬にしては馬を大きく見せる。悪い時の硬さが無い点も何より。これも好発。距離に不安の無い強みでスッと好位。その通りに道中折り合って、直線はアパパネとの追い比べとなったが、ハナ差競り負け。如何にも相手が悪かったという事になるのだが、ただアパパネは折り合いを欠きながらの道中。前走東京戦の内容が悲惨過ぎた故に穴人気していたが、少々復調していたとしても往時の力は無い。

ヒカルアマランサス

+6s。2人曳き。出来ていたが、少し歩様に硬さも。ゲートも少し悪かったが、距離を意識して後方で矯める競馬。4角でも後方に居てというより、手応え怪しい様に見えたのだが、直線はしっかり脚を伸ばしてここ迄。この形に勝ちも価値も無いのだが、それよりも4角のズブさが適距離で悪い方に出なければ。

セラフィックロンプ

-8s。気性の問題で走らなかっただけで、今年は最初からデキが良かった。馬体絞って更に研ぎ澄まされた印象。好発も、内からテイエムプリキュアが行って離れた2番手。どんな形でも折り合いは付く馬で、この馬としては文句無しの立ち回り。最後は決め手の差だが、自分の競馬は出来た。以前の様に競馬を投げる事が無くなり、今後も弱い相手なら馬券圏内充分。

サンテミリオン

-4s。前走思えば遥かにマシ。元々馬を大きく見せる様なタイプでもなく、見た目には走れる状態。ゲートのタイミングが合わず出遅れ。従って道中は後方からとなったが、かなり行きたがっており、3角辺りからは逆に追走すら怪しくなっていた。まだ本当ではない様。

アニメイトバイオ

2人曳き。馬体維持出来たのは大きい。変わらず張りも有って、攻め馬通りのデキ。 少し出して中段から。アパパネマークの競馬。ただ、4角で手応えが無くなり直線はズルズル。レース後鼻出血判明したそうで、これに原因求める外無さそう。

テイエムプリキュア

+18kg。今年は最初からそうだが、歩様の硬さが有る。ゲート悪かったが、初志貫徹してハナ。大逃げの格好だが、それでも1分切らないペース。一時程ではないにせよ、今年もデキが良いとは思わなかったが、その分折り合いが付いた。4角向いても数馬身差。セラフィックロンプ同様、自分の型には持って来れた。昨日も同条件で大逃げ決まって単勝万馬券の場面が有ったが、このレースは毎年逃げ馬が見せ場を造る。今年もスノーフェアリーとアパパネが出走していなかったら可能性は有った筈。

第15回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

グロリアスノア

-6kg。細身に映るのは休み明け快勝した今春東京戦と同様。それでも毛ヅヤは良い。少し出して好位のイン。何より道中の雰囲気が良く、4角でこれが勝ったという手応え。直線は暫く待たされる場面も有ったが、バラけてからの脚が速く快勝。乗り役も完璧に乗ったが、東京も走る。昨春のGⅠ戦から0.4秒詰めたが、馬場状態も有り、相手軽化でほぼ同じパフォーマンスを披露した格好。単勝14.8倍は人気が無さ過ぎた。次走GⅠでは苦しいだろうが、来春東京で連覇の場面は充分。

ダノンカモン

シープスキンノーズバンド。スカッと見せつつ、トモにボリューム。連勝馬らしいデキ。好発。この枠だが、出し気味に好位。早目前を捕えて先頭に立ったところで一瞬遊んでいたが、ブラボーデイジーが外から来てもう一伸び。最後内をスクッたグロリアスノアには無抵抗だったが、勝ちに行く競馬で仕方が無い面も。グロリアスノアの競馬も出来る筈で、枠が逆なら結果も違っていた筈。

ブラボーデイジー

+6s。活気も有ったが、馬体も目立った。全てに文句無し。デキだけならコレ。エーシンクールディの先行策に乗ってジワッと好位。直線向いて一瞬ダノンカモンを交わして先頭の場面も有ったのだが、内から差し返したダノンカモンの渋太さが一枚上。ただ交流重賞勝ちは有るにしても、牝馬が中央ダートでこれだけやれれば上々。ラヴェリータが年内引退だそうで、交流の限定戦から億単位のカネを引き出せる筈だが。

ユノゾフィー

2人曳き。体型分も有ろうが、腹回りボテッと映る。この馬としては悪くないとしても強調材料に欠ける。外枠の馬が総じて速く、控えて中段から。折り合い課題の馬だが、何とか我慢していた範囲。ただ、前で決まる展開で4角大外。これでは届かない。以前思えば折り合い,ゲート面共改善されているのだが、今春のオープン特別2着はあくまで追っ掛けバテの展開、オープンで安定して勝ち負け持ち込むにはもう一歩前で。

マルカシェンク

+6s。馬体から年齢も感じさせる様になって来たが、硬さも無くまずまず。例に依って大きく出遅れ。ただ、基本が芝馬なので、芝スタートの東京1600mはスムーズに流れに乗れる。4角でも後方だったが、直線だけ外へ。ラスト400m手前から追い出してメンバー中最速タイの上がり。ダートで新味が出た形だが、スローの決め手勝負がハマッた感も有る。前崩れでもこの脚が出せるかどうかは疑問の余地も。

バーディバーディ

+11s。もっと増えても良い。相変わらず細身に映る。毛ヅヤは悪くないので、デキが悪いとは思わないが。内外に居たダノンカモンやティアップワイルドとは出脚で差が有って好位から。直線向いて前と同じ脚色で届く気配も無かったが、最後はむしろ失速気味。叩いての変わり身が見込める様な雰囲気も無く、暫く見送り。

ケイアイガーベラ

一週前に坂路快走。馬体は悪くないが、今日は大人し過ぎる。ゲート少し悪かったが、出脚で好位。折り合いも付いていたが、直線向いていざ追い出したらズルズル下がる一方。とどのつまりはマイルが長いという事になるのだが、保たせる為に小細工を考えたのが良くない印象も。距離関係無く行き切った方が良い様な気も。

第46回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

グランプリボス

未完成感も残るが、骨格はしっかりしている。ただ、毛ヅヤが冴えず。ゲート自体は分が悪い方だったが、出脚が速く好位。ただ、前走京都戦程ではなかったにせよ、今日でも少し行きたがっていた。上がり3F33.7秒だから有る程度矯めも利いていて、直線はしっかり伸びているのだが...。戦前述べた様に、デビュー戦で札幌戦勝ちのオールアズワンを負かしており、勝って当然の馬だが、距離はあまり延びない方が良さそう。出脚が速過ぎるのも距離の融通性を思うとマイナス。

リアルインパクト

-10s。一度叩いて絞れたが、見栄えは良い。ディープインパクト産駒といえども、数字は大きい方が走る傾向。ゲート少し悪かったが、枠の利で中段。ただ、4角迄はスムーズだったが、坂を上ってテイエムオオタカが邪魔になり、暫く待たされる場面。その間にグランプリボスが抜け出してしまった。悪くない内容。ディープインパクト産駒がイマイチ冴えないのは、同馬の肝だった可動範囲の広さが無いから。この馬はそれが有り、先々走って来そう。

テイエムオオタカ

トモの造りがしっかりしており、均整の取れた造り。中々馬振りが良い。好発。枠の利も有るが、スンナリハナ。1000m通過59.2秒は毎年この程度とはいえ、遅いと言えば遅い。その利も活かしてギリギリ3着粘り切った。デビュー当時より競馬に慣れて来た印象。あまり出脚が速いタイプとも思えないので、距離も1400m,1600m辺りがベスト。

ライステラス

芦毛だが、中々の毛ヅヤ。馬体もそれなり。出脚でスッと好位。直線向いてエーシンブランがフラついていたが、その直後でこの馬もモタつくシーン。そこを外からグランプリボスに並ぶ間も無く交わされたのだが、一旦立て直す場面が有りながら前述エーシンブランをハナ差捕えた。ソングオブウインド産駒だが、妙なズブさはエルコンドルパサーからの遺伝。逆に言えば距離は延びた方が良い。

エーシンブラン

毛ヅヤは良いが、頭が高くテンション高い。出脚は怪しかったのだが、外から来られて連られる場面。追って坂を上って手前が替わり苦しくなっていた。新潟マイル戦時に距離が長いと述べたが、1400mでも行きたがっていては話にならない。

オルフェーヴル

2人曳き。コンパクトに纏まっており、何より完成度が高い。毛ヅヤもピカピカ。出遅れで後方。ただ道中はずっと行きたがっていた。直線も外へ持ち出せず消化不良の競馬。内へ切り替えてからはそれなりに伸びているが、何れにしても競馬が終わった後。まずは競馬を覚えぬ事には。

ブラウンワイルド

+8s。何度も述べている様に、1200mの馬ではない。脚が長く、もっと長い距離の方が良い筈。3角迄が近い東京1400m、深追い出来ず中段から。外回された分も有るのが、コーナリングがおかしかった。スムーズに回れていない。左回りでも回り脚が無い。能力は有るが、これでは苦しい。

第1回みやこステークス(GⅢ)

トランセンド

+6s。まだまだだが、以前思えば重量感が出て来た。キングスエンブレムよりはマシ。出脚で1馬身抜けた。枠の利も活かして1角へ逃げ込みハナ。ソコソコのペースで飛ばし、4角で好位勢が苦しくなる中、持ったままで直線向いてそのまま押し切った。戦前述べた様に出来れば下が渋って欲しいタイプだが、今春の京都戦はドリームライナーに先手取られて苦しくなっただけに、枠の利有ったとはいえ1角でこれを制したのが大きい。ただ、次走はエスポワールシチーの出否次第。能力もそうだが、この馬の運も試される。

キングスエンブレム

毛ヅヤは良いが、例に依って馬が軽過ぎる。クリーンと接触して出脚も付かなかったが、例に依って無理せず中段。4角での手応えが良く、直線向いて外へ持ち出してここ迄。逃げたトランセンドが完璧な競馬をされてしまい、差し馬はこうなると辛い。ただ、前走阪神戦思えば追っての頭の高さも改善されていた。進歩はしているが、GⅠで差しに回って通用するとも思えず。

サクラロミオ

アドマイヤスワットとは対照的に脚長の馬。馬体に張りも出て、一度使って順当に良化。例に依って行く気無く後方から。内へ入れて道中はキングスエンブレムをマーク。直線もその進路を抜けての3着。前走阪神戦でも少し触れた様に、トビが大きいのであまり行かせると良くないタイプ。今日はしっかり最後迄駆けており、前走の2000mは長かったという事なのだろう。東京のマイル戦へ連闘という話は回避した様だが、使っていても面白かったところ。

アドマイヤスワット

短足気味だが、これこそダート馬。デキも悪くない。出脚というよりは掛かり気味に好位。1角回る段階では折り合っており、この枠としては正攻法の競馬。前で楽をしていたトランセンドを自力で捕まえに行ったが、最後は追っ掛けバテの形。それでも4等粘ったのだから内容としては悪くない。序盤がスムーズならオープンでも馬券圏内有って良い馬。

パワーストラグル

数字を考慮すれば悪い造りではないが、今日はイレ込みキツい。出脚で苦しくて中段から。下見の割にはスムーズに折り合っていたが、直線向いてからの伸びが甘い。最後は苦しくなって内にモタれ気味。まだオープンでは苦しい。

ワンダーアキュート

2人曳き。+10s。少し太いが、ダート馬らしい造りの馬で、極端に太くは見せず。ただこれもテンション高い。これも出脚が甘く中段から。比較的コースロス無く回り、内から伸び掛かったのだが、ジリジリ。ただ、ジリッぽいのは元々。昨秋の東京戦は先行して粘り切る場面も有ったが、出脚が基本的に甘く、楽に先行出来る展開にならないと辛い。その意味ではもう少し距離が有った方が良い。

ダイシンオレンジ

+8s。今日も抜群。歩様にキビキビ感が有り、何より馬振りが良い。休み明けで出脚が鈍っていたが、押して3番手。この分、道中は掛かり気味で、4角で筒一杯になってしまった。出脚は有る馬だが、前走の様に他馬の邪魔をする程度にしておいた方が良さそう。乗り方を変えるなら叩いた次走は違う筈。

アルゼンチン共和国建国200周年記念 第48回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

トーセンジョーダン

3歳時から馬振りには定評。成長度でどうかだが、ここでも上位。出脚は悪くなさそうだったが、外の出方を窺いつつ中段。向正面迄はラチ沿いに居たが、3角から外へ持ち出して4角大外。57sはオープン特別勝っただけの実績思えばかなり見込まれていたが、文句無しの完勝。次走GⅠでもチャンス。ただ、一昨年の覇者スクリーンヒーローと違い、器用さに欠ける。真っ向勝負でどうか。

ジャミール

+8s。夏場にこの数字では太いのだが、冬場ならこの数字で丁度。まずまずのデキ。出たなりで中段やや後方から。近走の轍を踏まず内へ潜り、内から抜け出す場面も有ったが、外から来たトーセンジョーダンの勢いが違っていた。代打の大庭騎手、中々ダイナミックなファームで追っていたが、トーセンジョーダンが一枚上。前述した様に近走は外々回されっ放しだったが、スムーズならこれ位走れる力は普通に有る馬。良くも悪くもこれが現状の実力。

コスモヘレノス

+10s。今春中山戦で述べたトモの造りの良さは感じるが、今日は太い。張りも一息で、デキ自体も良いとは思わない。少し出し、インへ入れて中段。向正面で外へ持ち出し、3角で外からトーセンジョーダンを叩く、かなり早目の競馬。ラスト100mで甘くなったが、ハンデ差活かす好騎乗。この馬自身も良いスタミナが有る。あとは別定戦でどうなるか。恐らく中山戦が目標になるのだろうが。

スリーオリオン

-4s。コンパクトに見せる方のオペラハウス産駒。前走新潟戦が一枚太い状態だったので、もう一絞り有って良いが。出脚利かせて好位のイン。近年の東京ではベストの競馬が出来たが、追ってからが甘い。前走新潟戦もそうだったが、オープンでは少し決め手の差が有る。ただ、堅実に走っているが故に、ハンデが中々軽くならないのは辛いところ。その前走で触れた様に55sは1s重く、出来れば54sで競馬したいところなのだが。

エアジパング

キビキビ歩いていたが、例に依って歩様に硬さ。馬は良くも悪くもこんなモノだが。道中は中段。この枠でも有り、最初からラチ沿いへ入れて何時もの着狙いの競馬。ただ中山でもこれが出来ており、歩様の割に器用さが有る。直線はラチ沿いが開かないと見て、馬群の真ん中へ持ち出したが、スタミナ勝負の展開でここ迄。自分の力は出し切っている。

第15回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

マルモセーラ

トモの造り自体は良いのだが、胴回りが少し太い様に見えた。アオりながらのゲートだったが、出脚が速く一瞬でハナ。ただ、外のサクラベルが主張して道中は好位のイン。それでも折り合っての道中だが、直線ラチ沿いが開かず、一旦立て直す場面。これは少し痛かったが、一杯一杯凌ぎ切った。勝った馬には失礼だが、このレース過去の傾向として前で残した馬はその後が案外。時計的にも一息で、過大評価もどうか。

ホーマンフリップ

+10s。馬の器が大きく、もっと増えても良い位。戦前述べた様に馬自体が上位。これもゲートが少し悪かったが、出脚で好位。道中は少し行きたがるのを宥める場面も有った位だったが、4角で外へ持ち出して直線向いてからの反応が案外。エンジン掛かったのはラスト1Fだった。馬は頑張っているが、乗り方一つで勝てた競馬。レース後、骨折も判明し。

ホエールキャプチャ

2人曳き。芦毛だが、毛ヅヤ上々。重量感思わせる造りにも好感。出遅れ1馬身不利。最後方から腹括って直線も内から。伸び掛かってラスト1Fで前の馬が邪魔になり、右往左往の場面。最後は一番伸びていた。スムーズなら...と思うのは当然の内容。前走中山戦以外は全て出遅れており、ゲート不安定なのは課題だが、力は有る。

ハピシン

小さい馬に有りがちな硬目の歩様。デキ自体は良いと思うが。出脚が速いとは言えないが、逃げたサクラベルに乗る形で好位。4角の手応えは悪くなく、直線向いても伸びているのだが、寸前で甘くなった。現状は決め手で差。

ケイティーズジェム

2人曳き。この数字にしては上出来の馬だが、イレ込み目立つ。出脚は速かったが、無理せず中段。立ち回り自体はスムーズだったが、直線はジリジリ。内外に馬が居て、これをコジ開けられると結果は違ったのだが...。1戦1勝の馬で、キャリアが言い訳になるのだが、出世する馬は1戦しかキャリアが無くても馬群を割って来る。ディープインパクトの様な次元の違う走りが出来れば別だが、競走馬は勝負根性が何より重要。

ツルマルワンピース

しっかりした骨格の馬。この相手でも上位。毛ヅヤも良かった。この枠から少し出して好位。ラチ沿い押さえたマルモセーラが控えて、位置取り上1馬身後手踏んだ形だが、最後の決め手で甘かったのも確か。決め手の無さが誤魔化せる分、前走の様な道悪の方が良い。

マイネイサベル

馬を大きく見せないのは前走新潟戦同様。前走と同じ話になるが、良くも悪くも変わらず。ゲート出たが、前へ進んで行かず直ぐに後方へ。ジワジワ伸びているが、今日の展開で4角大外は辛い。乗り役に言わせると右回りに替わって馬が戸惑ったとの事だが、毎年とはいえ新潟戦組はアテに出来ず。