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競馬回顧 2010年5回京都・4回東京

第142回天皇賞・秋(GⅠ)

ブエナビスタ

馬の迫力で勝負するタイプではない為、馬体重が問題無く、歩様がスムーズなら力は出せる。出遅れ1馬身不利も、枠の利で出して中段。3角辺りからスローを嫌って少し早目に押し上げ、直線も捕まっているだけでスムーズに前が開いた。最後はオイデオイデの楽勝。これで東京は3戦3勝となり、次走も不動の中心だろう。以前よりフォームのしなやかさが無い気もするのだが、その分掻き込みの力強さが来た。現状維持で良い馬と言われるが、馬は確実に変わって来ている。

ペルーサ

-4s。ゲートの悪い馬だけに下見でチャカつくのが気になった。もう一絞り欲しい。調教師自らゲートへ出向いていたが、枠内柱立不良の上に出遅れ2馬身不利。ただこれでも前走よりはマシで、今日は後方ながら馬群に取り付いての競馬。直線向いてからは、外へ出さずバラける迄待ってからの追い出し。前もスムーズに開いた。この位置からの2着ならそれなりの評価は必要だが、ブエナビスタがブッちぎって中段勢が追っ掛けバテとなった展開も有った。馬体のスケールは有って、人気するのは当然なのだが、過大評価は避けたい。

アーネストリー

腹回りは血統。相変わらず馬体に張りが有り、歩様が力強い。出脚は有ったが深追い出来ず4番手から。従ってもう一歩前で競馬したかったという事にはなるのだが、それ以外はスムーズに自分の競馬。ただ、直線向いてから直ぐに左手前になって外にヨレ、そのスペースをブエナビスタが並ぶ間も無く駆け抜けて行った。乗り役に言わせるとこの勢いに馬が怯んだそうだが、今日は微妙に案外感も。オウケンサクラと1馬身1/4差は頂けない。これ迄良い意味でGⅡレベルと述べて来たが、悪い意味でもGⅡレベルだったか。

オウケンサクラ

-12s。トモに迫力が有り、馬体はそこ迄負けていないが、少し歩様が硬い。シルポートが何が何でもの構えで行ったが、この馬の出脚が一番速く、スッと2番手。有る程度ハミを掛けての追走で、直線ももう少しで3着の位置。ジャガーメイルが降着となる事象に対し、シルポートが壁になってくれた利は有るのだが、ブエナビスタがちぎった展開の割には最後迄止まっていない。恐らくはハミの掛け方一つで終いの粘りが大分違って来るのだろう。フワッと乗るだけがベストではない。

ネヴァブション

叩いて毛ヅヤが良化。悪い時の硬さも無く、今季はデキが良い。この枠でこの馬の出脚だけに後方に近い位置から。結果的に内が詰まっていて、外回ったのは間違いではなかったが、真っ向勝負ではここ迄。アーネストリー同様、良くも悪くもGⅡレベルの馬だが、距離延びるのは歓迎材料。今季残り2戦で何とか馬券圏内迄持って来たいところだが。

シンゲン

2人曳き。パシュファイヤー。シープスキンノーズバンド。馬体は相変わらず良いが、最近の中では一番イレ込んでいた。出脚は悪くないが、中枠で外から来られて中段やや後方。ただ今日は結構行きたがっていた。直線向いても、右往左往の場面。内へと決めてからは一瞬伸びたが、折り合い面のロスが有った分、一瞬だけで止まってしまった。ここ目標に仕上げた筈だが、それが気性面で裏目に出た様。競馬では良く有る事だが...。

ジャガーメイル

+12s。遮眼革。前走阪神戦思えば遥かに良い状態。2000mでは出脚で苦しく後方から。道中捌いて3角でブエナビスタの直後。一瞬の脚が違ってこの馬は最内へ進路を取ったが、ここでの捌きが強引過ぎて降着に。この時の手応えなら馬券圏内有った筈だが、この後は追っておらず15位入線。エイシンアポロン共々外傷は無いとの話で、次走狙い目となるのだが、精神的ダメージは走ってみない事には。

第53回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

マルカフェニックス

+14s。間違い無く太い。馬体には張りが有り、デキ自体は悪くない。珍しく好発も、控えて中段。道中少し力んでいたが、4角で好位に取り付いて外からアッサリ突き抜 けた。完勝。台風接近で開催そのものが微妙だったが、良馬場で出来たのが何よりだった。実質1400m限定の馬で、斤量面思うと年にGⅡ3戦しかチャンスが無いのだが、今年はここ迄1勝,2着1回とほぼパーフェクトの結果。2年前に制した暮れの阪神戦は定量戦、今回と同斤だけに当然期待出来る。ただ、目標としていたレースでこの馬体。これで松永昌博厩舎は通算100勝だそうだが、この辺に厩舎技量が見え隠れしており。

ショウナンアルバ

元々良く見せる馬。今日もバランスの取れ造り。出遅れ1馬身不利。出脚は速い筈だが、行かせれば引っ掛かるので折り合いに専念。序盤多少怪しかったが、4角でも大事に乗って、直線迄待ってからの追い出し。スムーズならこれ位の力は有る。あとはゲート普通に出る事と折り合い面。この2点が解消なら、今からでもキンシャサノキセキ程度にはなれる可能性は有ると思うのだが。

ジョーカプチーノ

2人曳き。+38kg。見た目で推測すれば20s程度は成長分。1年以上休養していた事を思えばそれなりに出来ていた方。マイネルレーニアが出遅れてスンナリハナ。ハナでも行きたがっていたが、寸前迄粘って自分の競馬は出来た。単騎といえば単騎だが、アーリーロブストが付かず離れずで追い掛けており、3走前の東京戦の様な離れた2番手やこういう競馬の方が合う様。昔の逃げ馬らしい気で走るタイプ。

アーバニティ

+6s。相変わらず毛ヅヤが良く、張りも上々。一息入っても見た目の良さは変わらず。この馬の出脚で好位で流れに乗っての競馬。陣営としてはほぼ戦前の想定通りだっただろう。ただ、前々走東京戦もそうだったが、いざ追ってからが甘い。折り合いが付くので競馬にはなるが、1400mは微妙に長い。

グランプリエンゼル

+4s。前走からそうだったが、毛ヅヤが良く、歩様がスムーズ。特に悪い時は歩様の硬さが目に付くのでそれが無いのが一番。中段で折り合いに専念。ただ、更に後方に居たショウナンアルバに差されており、内容的には平凡。乗り役に言わせると外へ持ち出した方が伸びるそうだが、前走にしても相手が大概。勿論、1200mや道悪の方が良いのも確か。

エーシンフォワード

-8kg。もう一気合有っても良いのだろうが、馬体は出来ていた。歩様が硬いのもマイナス。意外に出脚が鈍く中段から。4角回ってマルカフェニックスの直後に居たが、全く伸びなかった。尤も、直近の1400m戦ではマルカフェニックスが先着、しかも一回使っての競馬。休み明けのこの馬が1番人気というのはそもそも売れ過ぎだったが。

プレミアムボックス

この馬にしては歩様もスムーズ。腹回りボテッと映るのは何時もの事。例に依って出遅れて後方から。真っ向勝負で通用する馬ではなく、外回してこの結果は仕方が無い。やはり展開の助けは要る。

マイネルレーニア

腹回りボテッと映る。良くなって来ない。ゲート自体は出たが、直後に躓いて後方から。デキ云々も有るが、これでは競馬にならず、参考外。

第71回菊花賞(GⅠ)

ビッグウィーク

2人曳き。シープスキンノーズバンド。マルタンガール。+6s。馬に集中力。前走阪神戦が細く映ったのだが、馬体増やして研ぎ澄まされた雰囲気を造っており完璧。年に数頭居るかどうかのデキ。出脚で1馬身抜けたが、コスモラピュタが行って2,3番手から。1周目坂の下りで行きたがったが、宥めて2角手前からカミダノミを前に置き何とか折り合った。そのカミダノミが向正面から中段に控えた為、コスモラピュタが大逃げの格好になったのだが、2周目坂の下りから自力で動いて直線半ばで捉えてそのまま押し切った。インベタとスローの利は有るのだが、出脚で好位を確保して自力の競馬。文句無しの内容。ただ、走法面の課題は当然有り、2400m辺りでは辛い場面は覚悟。

ローズキングダム

この距離で良いかどうかは別にして、叩いて更に上昇。小兵の多いこの一族だが、筋骨隆々のキングカメハメハが上手く中和させている。ゲートは出たが、折り合いに専念して中段やや後方。許容範囲の怪しさは有るが、その折り合いは一応付いていた。ただ、ビッグウィークの様に坂の下りで強引に動いて行く訳にも行かず、下ってからの追い出し。直線は一枚地力が違うと言わんばかりに伸びているが、追い出して一瞬内にモタれ、距離損も大きく1馬身1/4届かず。ただこのレースは距離に不安が有るとこの様になってしまうケースが多い。ベストではないが、最悪免れたと思える範囲の結果。

ビートブラック

迫力有るトモの造り。これもデキが良かった1頭。この枠だが、出脚が有って折り合い自在。スッと好位確保。前述した様に折り合いも問題無く、スムーズな立ち回りが出来たが、追い出した際に前と離れて後ろも来ずで一瞬フワッとしたのが痛い。ローズキングダムに並ばれてからは根性見せたのだが...。何れにしてもこの距離には適性が有って、決め手という点でもそこ迄甘い訳ではなさそう。現状でフォゲッタブル級だが、馬がしっかりしている点を強調しておきたい。

レーヴドリアン

-10s。数字は絞れたモノ。特別強調するところもないのだが、均整の取れた造り。枠の利も有るのだが、ゲートが意外に速く、折り合いを気にしない強みで好位直後。ただ、前述したカミダノミの待機策とトレイルブレイザーが壁になり、後手踏まされている間に競馬が終わっていた。今日は運が無かったが、前に行けて折り合える分この距離は適性が有る。今後は2400mでこれが出来ると稼げる場面が増えるのだが。

コスモラピュタ

2人曳き。大きく見せるタイプではないが、バランスの取れた馬体。出脚はビッグウィークだったが、何時も通り主張してハナ。大逃げになったのは後続が勝手に控えたからで、この馬自身は例年の菊花賞ペースと似た様な数字。バタッと止まっていない点に成長は有るが、かなり楽な競馬をさせて貰ったのも確か。

トウカイメロディ

2人曳き。-8s。歩様が硬いのは元々だが、今日は普段より悪い。この馬体減も関心しない。意外に出脚が無く中段から。前に馬を置くと折り合いが付き過ぎるという話だが、3角手前でハミを掛け直す場面。その分追い出しての反応もイマイチだった。勿論、上がりの競馬も得意とするところではなく、今日はその点でも辛かった。

ヒルノダムール

2人曳き。+4s。前走札幌戦が太く、更に馬体増。当然今回も太い。ただ、気合が乗り過ぎ。出たなりで中段。下見の気配の割に折り合いは付いていたのだが、前にレーヴドリアンが居て、そのレーヴドリアンが仕掛け遅れる状況。この馬はインを諦めて外へ行ったのだが、そこでまた前が詰まる場面。気付いた時にはローズキングダム抜けた後だった。差の無い位置迄追い込んでおり、馬は頑張っているが、乗り役が認める通り今日は騎乗ミス。

第13回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

ダノンヨーヨー

-4s。数字通りの骨格で馬振り目立つ。数字的にもこれ位がベストだろう。出負け気味だったが、出脚は悪くなく中段やや後方。直線そのまま外を回し、まとめて面倒を見る形に。内へモタれるのを矯正しながら追っていたが、その割には抜け出す脚が速く、最後手前が替わったのは早く先頭へ立ち過ぎたから。連勝中だが、前走阪神戦が道悪。速い時計が無いので、良馬場でどうかと思ったのだが、Aコース3週目で東京の良馬場にしては時計が掛かる馬場状態。今年の低レベルマイル路線なら、次走京都戦でも連下級の扱いは必要だが、差せる馬場状態になった点もこの馬には向いた。

ライブコンサート

-4s。デビュー以来最低体重タイだが、元々太目で使う厩舎。馬の器としてはこれ位でベスト。歩様に硬さが無かったのも何より。出脚は鈍いのだが、出しても引っ掛から無い馬で好位のイン。東京の定跡通り、内から伸びて際どい2着争いを制した。時計が掛かったから低レベルというよりは、正月の京都戦の様に少し時計の掛かる良馬場は堅実。最近中々そういう馬場が少ないのがこの馬に辛いだけ。地力は有る。

ガルボ

+8s。皮膚が厚い印象も有り、決して良いとは思わなかったが。最近は差す競馬が続いていたが、この枠でも正月京都戦で褒めた出脚を活かしてスンナリ好位。道中は折り合いも付き、仕掛けも早目。坂を上がって一瞬は先頭の場面も有ったが、最後は決め手の差。ただ、後ろから行くよりはこの競馬の方が合っている。毎回述べている様に、出脚の有る馬は前に行く方が良いに決まっている。

リルダヴァル

-8kg。見た目の筋肉もそうだが、歩様が硬い。出たなりで中段から。内で脚を矯めて、直線狭いながらも前が開いたのだが、いざ追ってからが甘い。単勝2.0倍は過剰気味だが、それでも勝って当然の馬。下見から2走目のポカをやりそうな気配が有っただけに、一応これが敗因と見たい。

ブレイクランアウト

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+8s。それなりに出来ていた。馬を大きく見せている点にも好感。今日はゲート五分に出て中段。行きたがるのを宥めての追走。ただ、ショウワモダンとサンカルロの間で狭くなり引く場面。レース後故障発症して引退だそうだが、ここで壊した様子。無事なら上々の復帰戦だったが、痛恨の競馬に。

スピリタス

落ち着いていた点は良かったが、一息入って少し張りが無かった気も。出ッパ自体はそこ迄悪くなかったが、折り合い面にビビり過ぎている間に最後方に置かれる形。最後方なら流石に折り合うのだが、今日の展開でここから直線大外では競馬にならない。むしろこの0.3秒差は地力の証。兎に角折り合い面が何とかならない事には。

サンカルロ

歩様に柔らか味が有り、前走中山戦の好状態をキープ。少し出して好位で流れに乗っての競馬。道中スムーズだったが、ダノンヨーヨーに来られた際にはほぼ無抵抗。前走の瞬発力ではなかった。マイルもこなせるが、内で脚を矯める等のセコい手を採らないとダメかも。少なくとも真っ向勝負では通用しない。

第15回秋華賞(GⅠ)

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-4s。前走阪神戦の+24kgには成長分も有ったのだが、それでも少し余裕残し。ただ馬体細化に苦しむ馬が多い中、逆に他馬に威圧感与えていた。好発。折り合いは常に微妙な馬だが、全く急かさず中段やや後方。これなら我慢が利く。自信持って外をそのまま回り、直線も大外から一頭違う伸び。王者の競馬で今年に入ってからは一番強い内容。強い馬は外を回す、競馬の基本で勝てたのも大きい。馬格の良さを調整面での余裕に繋げた厩舎技量も見事の一言。

アニメイトバイオ

2人曳き。-6kg。数字分細く映るが、今春の悲惨さを思えば遥かに良い状態。気配も変わらず上々。前走阪神戦同様、控えて後方に近い位置。目の前にアパパネは居たが、マークするつもりはではなく、あくまで自分の競馬に徹しての策。従って、4角はアパパネに付いて行かず、直線迄待ってからの追い出し。前走同様の決め手は使っているが、今日はアパパネにも脚が有った。前走から上積みは無かった筈だが、瞬発力活かす競馬で上手く誤魔化した形。次走は苦しい。

アプリコットフィズ

-4s。デキ自体は間違いなく良いが...。相変わらず煩い。発汗も目立った。出脚の有る馬だが、無理せず好位のイン。4角でアグネスワルツの直後に付け、戦前考えられた通りの競馬が出来た。直線も一瞬脚を使ったが、馬群捌く前にアパパネが抜け出していた。道中行きたがって、前走札幌戦同様舌がハミを越す状況、このロスが痛い。前走の課題が解消出来ず。

ワイルドラズベリー

-6s。絞れて順当に良化しているが、もう少し歩様に伸びが欲しい。例に依って後方から。道中はアニメイトバイオと前後する位置に居たが、これはアパパネマーク。4角もその通り追い掛けて行ったが、最後に甘くなってしまった。平坦だった分、大きく負けた訳ではないのだが、前走阪神戦で述べた様に距離が長い。

レディアルバローザ

-12kg。狙い通り絞れた形。キングカメハメハ産駒にしてはスカッと見せて小綺麗な馬。一瞬行きたがる素振りも見せたが、控えて中段のイン。最内からアプリコットフィズと一緒に伸びて来たが、ここ迄。距離経験が無い分、終いが甘くなった印象だが、今春の阪神1000万条件の内容から準オープンでも足りる馬。

アグネスワルツ

2人曳き。+2s。増えて太く見せなかったのは意外。イレ込みも前走阪神戦よりマシ。出脚速くハナ。少し出した程度に見えたが、意外に気分よく行ってしまい1000m通過が58.5秒。テイエムオーシャンクラスの馬ならこれでも我慢が利くのだが、この馬はそこ迄のレベルに無く、最後は力尽きた。この距離も長いが、もう少しワンパンチ欲しい。

サンテミリオン

この中間はサッパリという情報も有ったが、気合も乗って意外に出来ていた。ゲートのタイミングが合わず、前扉に頭ブツけているところを開けられ2馬身半不利。4角迄はまだ良かったが、4角から内へモタれて直線は全く追わず。何処か脚を痛めた様な競馬。京都戦目指すそうだが、何とも無ければ良いのだが。

第58回府中牝馬ステークス(GⅢ)

テイエムオーロラ

2人曳き。パシュファイヤー。キッチリ出来ていたが、相変わらず下見はイレ気味。出脚で半馬身抜け、他馬が控えてスンナリハナ。兎に角ペースが遅く、1000m通過60.8秒はむしろ押さえ過ぎ。待ち切れない馬も居たが、それでも我慢させ、ラスト400mから追い出して後続を突き放し、一杯一杯逃げ切った。前走阪神戦で触れた様に、直線の長いコースは向かない雰囲気が有り、常套を無視して正解。ただ、そういう競馬故、時計が平凡。高い評価はし辛い。

セラフィックロンプ

+8s。歩様が伸びて、馬体も相変わらず良く見せる。文句無し。あまり出脚速くないタイプだが、この枠で少し出して好位のイン。道中余計な力を使わず、直線だけ脚を伸ばす理想的な競馬。上がりの速い競馬よりは少し時計の掛かる馬場がベストの馬だが、今日は立ち回りの上手さを活かしてここ迄。何れにしても復調気配有って絶好枠だった馬にこの評価は低過ぎた。距離は延びても問題無く、次走も連下程度には。

スマートシルエット

馬体フックラしており、然程気にしなくて良いのだろうが、下見はチャカついていた。テイエムオーロラの逃げに乗る形で好位。ダートから使い出した馬だが、ダートでは500万ですら追走に汲々。それが芝に来て一変し、今日も掛かる位の行き振り。ただその割に追い出して一瞬モタつく場面。終いは盛り返しているのだが、チグハグな印象が残った。とはいえ、これがオープン初挑戦で芝3走目。馬は良く頑張っている。京都戦抽選漏れでの参戦だったが、もう少し早くダートに見切りを付けていれば、準オープンかトライアルで権利取っての京都戦出走は充分だった。勿論今日の競馬なら京都戦でも掲示板圏内は有った筈。この辺りが厩舎技量。

リビアーモ

+6s。好調馬らしい雰囲気。今春思えば遥かに良い。出脚サッパリで後方から。引っ掛からぬ程度にジワッと追い上げて4角で中段。従って、外からそれなりに脚を使っているのだが、直線も良く伸びていた。今日はスローに泣いたが、ベストは東京。この手の取り溢しは仕方が無いところ。

ウェディングフジコ

シープスキンノーズバンド。強調材料も無いのだが、減点すべきポイントも見当たらず。デキ自体はまあまあ。テイエムオーロラを除けば出脚は五分だが、これに叩かれて中段から。この位置で折り合っての追走出来たが、決め手で甘いこの馬にとっては一手分後手に回された感。リビアーモとは違い、こちらは中山の方が良い。

ブロードストリート

+8s。テンション高いのもマイナス材料だが、トモが薄い割に腹回りがダブつき気味。若干ゲートで後手踏まされたが、少し出して中段のイン。ただ、折り合い自在とは行かない馬で、余計な動作が有った分、力んでの追走。4角回ってセラフィックロンプの直後に居たが、大して伸びず。最後はむしろ失速気味だった。叩いての良化待ち。

ニシノブルームーン

2人曳き。むしろ前走阪神戦より良く見せた程。歩様もしっかりしていた。行こうと思えば行ける馬だが、五分のゲートで中段から。道中の手応えも一息だったが、追い出しても案外。スローでも負け過ぎ感が有ったのだが、レース後にエビ発症が見付かって引退との事。

第45回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

レーヴディソール

-6s。予定通り絞れて来た。数字は無いが、しっかりした造り。ゲートは出たが、前に進んで行かず後方から。ただ、スピードに乗ってからは手応えに余裕。4角スピード有り過ぎてフクれた位だったが、直線は力が違った。馬場状態良いとはいえ、この時計もまあまあ。文句無しの内容。今のところこの世代ではこれが最強という事になるのだが、フォームにブエナビスタやディープインパクト的凄みは無い。この辺りが今後どうなるか。

アドマイヤサガス

2人曳き。比較的大人しい馬。それなりの馬振りだが、腹回りに少し厚ぼったさが残る。もう10s絞った方がベスト。ゲート少し悪かったが、ジワッと乗られて3角で中段。枠なりにコースロス無く立ち回り、直線だけ捌いてグランプリボスの外へ。それなりに伸びているが、レーヴディソールの力が一枚上だった形。自在に立ち回れる点は評価出来るが、牝馬相手にこれだけの差を見せ付けられてしまっては...。

メイショウナルト

数字は無い馬だが、トモの造りがしっかりしており、歩様が力強い。完成度が高い。出脚は有りそうだったが、無理に急かさ好位のイン。直線も最内が空き、完璧な競馬が出来たが、追い出して尻尾振ってステッキに抵抗。勿論今日の競馬で勝てなければ重賞は無いのだが、デビューして4戦目。酷暑の時期から使い出して馬がヘバって来た可能性も有り、状態がベストではなかっただろう。

クリーンエコロジー

寸が詰まってマイラーの相。もう少し歩様が伸びて欲しいのと、この馬だけ発汗が目立った。枠順の差だけではなく、出脚もエイシンオスマンの方が速かったが、これを制して3角手前でハナ。前走新潟戦よりは揉まれていない分だけ踏ん張っているが、アクセル踏んで行っている分、終いが甘くなってしまう。もっと出脚強化させて、序盤を楽に運びたいところ。

トップシャイン

毛ヅヤが良く、デキ自体は良いが、馬体の雰囲気や歩様で一線級と差。ゲートは出ているが、出脚が無く後方から。道中もそうだが、特に坂の下りでの手応えが悪いのが気になった。結果的にはクリーンエコロジーと僅差の5着で直線は意外に頑張っているのだが、現状マイルは短いかも。

第61回毎日王冠(GⅡ)

アリゼオ

シープスキンノーズバンド。+8kg。毛ヅヤピカピカ。今日はスカッと見せる。成長分有りながらキッチリ仕上げたと見たい。出脚は悪くない馬だが、意外に出方が難しいセンター枠で、様子を見ながら中段。3角迄はかなり行きたがっていたのだが、そこからは折り合い直線は最内へ。この条件で春に単勝1倍台で情けない競馬も有ったが、極端な上がり勝負は歓迎しない馬で、シルポートが引っ張ったペースとこの馬場状態が向いた。意外に新興勢力が出て来ない印象は有るのだが、今年の3歳勢はレベルが高く、少し格が落ちる相手だと根こそぎ持って行かれてしまう。

エイシンアポロン

+8s。下見からは特に強調材料は無かった。アリゼオとは違い、数字は成長分とは言えず単に太い。ゲートは一番速かったが、控えて3番手。距離には限界有る様に思うのだが、出脚と気性の素直さが持ち味。内から直線抜け出して一旦は先頭の場面だったが、ラスト150mで手前が替わって苦しくなり、アリゼオに最後捕まってしまった。渋い馬場等、細かい適性の差は有るにしても、今日のところはそれよりも仕上がりの差が大きいだろう。叩いて変わってくれれば。

ネヴァブション

2人曳き。休み明け走らない馬だが、今日はそれなり。スタート直後に押していたが、この距離の出脚ではなく後方から。アリゼオ同様、最内をコトコト回ってここ迄。東京の開幕週でこれが一番手っ取り早い方法では有るのだが、こういう馬場は上手い。もう一つ、今のところ宝塚記念一桁着順馬のその後1走目は全て3着以内。二桁着順組もロジユニヴァース,アクシオンが馬券圏内に。ダービーを別にすれば、今年の一番ハイレベルだったレースが宝塚記念だったのは明らかで、その中の5着。この馬もまだ捨てたモノではない。

スマイルジャック

2人曳き。気配文句無し。元々見栄えする馬だが、数字通りキッチリ出来ていた。出脚は速い馬だが、当然折り合いが頭に有って好位で控える形。前に壁が無かった割には折り合い付いており、直線向いてこれが勝ったかの手応えだったが、追って案外。通った位置の差は有るにしても...という内容。ネヴァブションが宝塚記念5着に対し、こちらは安田記念3着。マイル路線の手薄さが露呈。

ペルーサ

+6s。少し腹回りがボテッと映る。春よりは良いが、戦前の報道程は良く見えず。ゲート内でバック踏む様な素振りが有り、出遅れ3馬身不利。折り合いの怪しさが見え隠れしており、腹括ってそのまま最後方から直線だけ外へ。一応メンバー中最速の脚だが、元々そこ迄抜けた存在ではなく、今日は単に過剰人気。

シルポート

-4s。前走中山戦で有る程度出来ていたが、腹回りが多少なりとも締まって順当に良化。逃げ馬にしては出脚はかなり怪しい方だが、押してハナ。1000m通過が今春東京戦と全く同じ58.9秒。ただそこからが1秒遅く、この着順に。毎回述べている様に、逃げ馬が内から差された以上、乗り役も悪いのだが、案外感が残る。見た目は悪くないのだが、意外にデキが無い?

ショウワモダン

当然迫力を言えば前走だが、決して悪くは無い。中段で少し行きたがるのを宥めての競馬。直線向いてスマイルジャックの直後に居たが、一瞬伸び掛かる素振りを見せただけで止まってしまった。前走述べた様に、この手の馬は勢いが止まると厳しいのだが、もう一つ言えば59s背負っての道悪。一つずつならこなせても両方揃うと案外厳しい。

第45回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

メイショウベルーガ

オーストラリアンブリンカー。+10s。デビュー以来最高体重。少し太いのだろうが、馬体に張り。デキは良い。この距離にも関わらず、意外に出して行って中段。内々立ち回って直線自然とバラけた分も有ったが、オウケンブルースリに併せる形で馬場の真ん中へ。スタミナ勝負の展開で、自分の持ち味を全て発揮出来た。オウケンブルースリが太い影響は有ったにせよ、勝って何等不思議は無い馬。距離に自信持って臨める次走も圏内だが、限定戦で今回の様なハイペースになるかどうか。昨年の大波乱は決して偶然とは言えないだけに。

オウケンブルースリ

+22s。勿論太いのだが、更に良い馬になって来た。少なくとも休養期間を無駄にはしていない印象。出脚も無い馬だが、行く気が無く後方から。余計な事をせず、自分の競馬に徹して直線も外へ。メイショウベルーガが外へヨレた際に一瞬逡巡した様にも見えたのだが、それを立て直して半馬身差迄。力の違いでブッちぎるケースが多く、追い比べで負けっ放しなのが唯一気になるが、東京2400mで今年こその場面は有って不思議は無い内容。

プロヴィナージュ

2人曳き。気合乗りはこれで良いが、歩様が硬くなって来たのがややマイナス。好発。出脚も一番速かったが、行きたい馬が2頭行って3番手から。その2頭が57.7秒のペースで飛ばし、離れた3番手は当然一番キツい展開。直線も250m辺りで手前が替わり、内にモタれてかなり苦しくなったがそれでも3着は確保。手前が替わったのはメイショウベルーガも同様で、馬場が少し悪い影響も有った。何れにしても力は見せた一戦。メイショウベルーガの項で述べた様に、次走は恐らくスローになろう。今回の敗戦で人気落ちるならむしろ好都合と見たい。

ベストメンバー

相変わらず数字の割に馬が貧弱。歩様の甘さだけを言えば幾らかマシになった気もするが。出たなりの競馬だが、プロヴィナージュの直後から。直線は少しでも抵抗と外へ持ち出したが、勢いが全く違っていた。このロスが若干微妙なのだが、プロヴィナージュに2馬身半差は頂けないところ。余程馬が変わらぬ限り、重賞勝てる日は二度と来ないだろう。

ゴールデンメイン

-8s。元々見栄えのするタイプだが、今日も上々。ただ、珍しくテンションが高い。ドリームフライトが無茶なペースで飛ばしての2番手だが、この馬でも1分切るハイペース。そのドリームフライトが3〜4角中間でバテたのだが、坂の下りで一気にスパート。パンパンの良馬場ならもう少し我慢が利く筈だが、渋化残ってこの手の大技がやり辛い馬場状態。良く走っている方。

フォゲッタブル

+10s。馬体そのものは悪くないが、今日は気配が案外。気合が全く感じられず。後方で折り合いに専念。道中は悪い雰囲気には見えなかったのだが、坂の下りで乗り役は動く意思を見せているのにここで動けず、直線も全く伸びず。それ迄13戦して掲示板外したのが2回しかなかった馬が、58s背負ってから全て掲示板外した。休み明け云々や相手関係も有るのだが、斤量にセンシティヴな面が有る。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。トモが薄い割に腹回りがボテッと映る。デキの無い馬の典型的馬体。例に依って後方から。伸びる伸びないはともかく、その気になれば中段辺りからでも競馬は出来る馬。それが序盤から妙に行き振りが悪く、勝負どころでも最後方に居ながら手応えが無い。馬場が合わないのだが、それ以前にレース後骨折が判明。下見通りデキが無かった。