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競馬回顧 2010年4回阪神・4回中山

グローバルスプリントチャレンジ第6戦 第44回スプリンターズステークス(GⅠ)

ウルトラファンタジー

遮眼革。戦前は状態面に関して良い話が一つも無かったが、下見は文句無し。何より馬振りが目立ち、気配も良かった。ゲートは五分程度だったが、出脚で1馬身半抜けてハナ。ただ、本邦初騎乗のライ騎手、中山1200mのペースが分からず、手綱を引っ張り過ぎてローレルゲレイロに一旦先を越される場面。まあ、ここで矯めが出来たという見方も有るのだが、ハナを奪い返す為に50mでも追い出しのタイミングが早くなったのも確か。それでも突き放す場面を造り、ダッシャーゴーゴーの猛追をハナ差凌ぎ切ったのだから、乗り役は馬に頭が上がらないだろう。近年のこのレースは出脚の速さが一番重要なファクター。2〜5着馬は一度でもマイル路線を目指してからの転戦組で、スプリント一本の香港調教馬とは出脚で差が出て来る。スプリント専門馬を如何に育てて行くかが日本調教馬の課題として突き付けられた。

キンシャサノキセキ

2人曳き。完璧ではないが、悪くない程度。阪神戦を使えなかった影響は多少有りそう。出遅れ1馬身不利。休み明け以前の問題として、後方からの競馬は行きたがる傾向に有り、今日も引っ掛かって4角で好位。直線は力で差し込んで来たが、戦前述べた様に坂を上がる脚も若干鈍く、前には届かず。内枠有利の競馬になったが、この馬の場合はゲート五分でも外枠の方が良かっただろう。取り敢えず自分の競馬は出来ている。出脚の速い馬に逃げ切られるのは仕方が無いところ。サマースプリントシリーズを目標にしていた馬とは格が違う印象は有る。

サンカルロ

キビキビ歩けている点に好感。馬体そのものは前走から出来ていたが、叩いて気配が上向き。同じく出遅れ1馬身不利。ラチ沿いを通り、直線も内を狙ったが、左前に居たダッシャーゴーゴーに前をカットされ、ラチを接触する不利。それが無ければダッシャーゴーゴーが出られず、キンシャサノキセキに先着して2位入線迄有った計算。ただ、今春の中京戦でも直線狭い場面が有った。1200mの方が相手が弱化する分、好走確率が上がるのだが、セコく立ち回る以外の手が無く、競馬がギャンブルになっているのも確か。

ダッシャーゴーゴー

前走阪神戦と変わらず。古馬とは完成度で差。これもゲート少し悪かったが、何とか中段。ラチ沿いで手応え良かったのだが、色気を出してアイルラヴァゲインとローレルゲレイロの間を一回狙って諦め、最内に切り替えた時にサンカルロの走行を妨害。スムーズなら金星迄有った。結果論だが、あれなら最初からラチ沿いを狙っていれば...。何れにしても馬は頑張っているのだが。

ワンカラット

-6s。数字分スッキリした印象。ただ、硬さとイラつきが見えたのがマイナス。好発も控えて好位。これはこれで良いのだが、4角で妙に手応えが悪く、少し置かれたところを挽回出来ぬまま終わってしまった。時計に天井が有るか、デキ落ちなのか、両方考えられるところ。何れにしても立て直して改めて。

グリーンバーディー

+4s。この中間はかなり軽目の調整。数字は維持出来ており、走れぬ状態ではないにせよ、腹回りが少し緩んだ印象。前走阪神戦とは違いゲート五分。ソコソコの位置に居たが、4角で前の馬が下がって、1馬身程後手踏まされたのが痛い。ただ、内枠の差し馬はこの危険が常に付き纏う。また、スプリント戦で海外調教馬が追い込んで勝った例も無い。何時かジンクス破られるとしても、アテにならないというのが基本線に。

ビービーガルダン

遮眼革。若干大人しい嫌いも有ったが、今日も抜群のデキ。好発切って好位。ただ、3角でズルッと2馬身程下がる場面が有り、4角でも直ぐ前のローレルゲレイロが下がって、行き場を無くし、最後は追うのを止めていた。揉まれ弱さやコーナリング以前の問題。今日は競馬にならず。

ヘッドライナー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-4s。馬体は然程目立たぬが、今日は落ち着いていた。出脚が全く通用せず、6〜7番手から。追ってタイプでもなく、大敗は仕方が無いのだが、それにしても出脚が無かった。こんな馬ではない筈だが...。敗因不明。

ローレルゲレイロ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。-8kg。馬体は仕上がっていて、良く見せた。首を水平に保ち、下見では集中力有ったのだが、返し馬で走るのを嫌がっていたのは気になった。一完歩目が鈍く、そこから押して行ったにしても既にウルトラファンタジーがハナを確保。そのウルトラファンタジーが乗り役のミスで結果的に他馬を幻惑する格好にもなったが、全てはハナ切れなかった故の産物。とはいえ、それにしても4角止まり過ぎ。乗り役の話から想像するには気性面に問題有りそう。

第14回シリウスステークス(GⅢ)

キングスエンブレム

毛ヅヤ抜群。筋骨隆々とした如何にもダート馬といった雰囲気ではなく、脚長の馬体。芝での出脚も悪くなかったが、無理せず中段。4角手応え充分に進出し、坂下でほぼ決着付けていた。ただ、追い出して微妙に頭が上がり気味。一瞬の脚は有るが、追い比べになると怪しい面が。これでも賞金が足らず、京都戦で賞金稼いで阪神戦という算段だが、現状はスローで決め手活かすだけの馬。距離短縮も歓迎しない。思い通りには行かないと見たが。

ラヴェリータ

これも毛ヅヤが良かった。最初からそうだが、この馬はダートを走る割に華奢。それを差し引けば悪くない。芝での出脚は怪しかったが、ダート入ってからの脚が速く、2番手。逃げたワンダースピードよりもずっと手応え良く追走し、直線もキングスエンブレムの決め手が優っただけで、牝馬の56.5sという点を思えば上々の内容。あと2年位は交流戦で稼げる筈。

チョイワルグランパ

-6s。馬体が引き締まって来た。強調材料も無いが、馬体は悪くない。スタート直後に挟まれる場面が有り、出脚が付かず中段。道中は行きたがるのを宥めての追走。斤量面とずっと内を回った利は有るのだが、最後迄しっかり伸びていた。ダートの長い距離が良さそう。以前は砂を被って嫌気を出していた馬で、これが解消されていたのも大きい。

サクラロミオ

一息入って気配が地味。腹回りも妙にスッキリし過ぎており。挟まれそうになっていた事も有ったが、行く気無く後方から。スローで当然といえば当然だが、4角の雰囲気は悪くなく、直線だけ外へ持ち出してここ迄。スローならそれなりの脚を使うのだが、かといって前に行くと意外に甘いのがネック。出脚か末脚かどちらかがもう少し欲しい。

マイネルアワグラス

-8s。腹回りがボテッと映る割に、トモが薄い。バランスが悪く映る。ワンダースピードに叩かれて中段から。本来、ダートのこの距離なら枠順関係無い筈だが、スローになり、決め手で分が悪いキングスエンブレムの後ろでは辛かった。無理に動いた分、最後はサクラロミオにも交わされる始末。今日は弱点がモロに出てしまった。

グリッターウイング

-4s。一応ここでも迫力負けせず。ただ、馬体重減るのが感心出来ないのと前走新潟戦で述べた様にまだトモが薄い。ワンダースピードに乗って好位のイン。スローで絶好のポジションだったが、4角で置かれ加減。直線、盛り返す場面も一瞬だけ有ったのだが、また失速。距離も少し長いのだろうが、古馬相手ではまだ家賃が高かった印象。

ワンダースピード

馬が軽過ぎる印象。芝ならこれでも良いが、ダート走る事を思うと重量感に欠ける。ハナへは行ったが、本来の出脚ではなく押してのモノ。ペースは大して速くないのだが、行き振りが微妙に悪く、ずっとラヴェリータにプレッシャー掛けられていた。直線向いてからはほぼ無抵抗。一応休み明けと斤量を言い訳にするが、案外の内容。

第45回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

オールアズワン

2人曳き。バランスの取れた造り。気配も悪くないが、何より馬振りが最上位。位置取り確保の為、大外ビービーマキシマスに抵抗しつつ、折り合って好位。4角ジワッと進出して3頭雁行の形。この手応え通りに直線抜け出し、最後は流す余裕が有った。楽勝。前走未勝利戦の時計が速く、同じ時計だけ走った形。ただ、今年は比較的馬場状態良好な中での競馬。今年は札幌全体のレベルが低い印象は有る。この相手では完勝だったが、これからデビューして来る組にやられそうな気がしないでもない。

アヴェンチュラ

胴長の馬体。2歳馬でその分線の細さが目立つのだが、逆に言えば伸びシロは相当。ゲートでの柱立が悪く、横向いた時にゲート切られて出遅れ。道中の折り合いも怪しいのだが、この血統思えばマシ。外から進出して4角でオールアズワンの直後。ここ迄で使った脚の差を思えば雪崩込みの2着で良しとすべきところ。ゲートや馬体の線の細さが解消されればそれなりの馬になる筈だが、この血統は将来性高い様なレースをしながら3歳春で終わるのが特徴。この厩舎なら同じ轍を踏むと思えないのだが...。

アドマイヤセプター

-8s。前走も細かったが、さらに馬体減。下見で暴れていたのもマイナス。出遅れて折り合いを欠くという道中は悲惨な状況。3〜4角中間からアヴェンチュラにずっと被せられて進路が無く、直線で何とか弾いて意地は見せたが、今度は内にモタれて苦しくなってしまった。ルーラーシップは少しズブい位の馬だけに、現状はサンデーサイレンスが気性面で悪い方に出ている。

ルルーシュ

右だけオーストラリアンブリンカー。数字通りの造り。オールアズワンを別にすれば上位の馬振り。行きたがりそうな雰囲気有ったが、出脚も速く、ほぼ持ったままで2番手。4角オールアズワンに併せての進出、そこ迄だったが、大きくは負けていない。前走もそうだったが、渋太さを活かして相手なりに走るタイプ。これで人気になって500万で負ける場面に注意。

ギリギリヒーロー

+2s。数字と違い、意外にフックラした造り。ただ、歩様が少し硬い。乗り役に言わせるとゲートでガチャガチャしていたそうだが、スッと出て好位のイン。前述した様に、最終週でも例年程は馬場も悪くない筈だが、いざ追い出して案外。この数字の馬にしては良く走っている方だが、重賞では力量差が有る。

第56回産経賞オールカマー(GⅡ)

シンゲン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。元々良く見せる馬だが、休み明けの今日も抜群。気負っているのは何時もの事で、これでもマシな部類。出脚は速い馬だが、折り合いに専念して中段のイン。その折り合いは完璧ではないとはいえ、意外にスムーズだった。4角、コーナーワークで自然と好位に取り付く形。坂下でシルポートとサンライズベガの間を割って、ドリームジャーニーの追撃を振り切った。休み明けでも問題無く走れる馬。力も足りる馬だが、中山で器用さ活かす競馬が出来たのは収穫。ただ、これは今年の重賞で良く見られる傾向。ダービー向きだった筈のヴィクトワールピサは皐月賞で勝ってダービーで負け、他にもニホンピロレガーロ,レッツゴーキリシマ等、本来狙い目となる1走前での大駆けが多い。そういう観点からは次走東京で消えるのも今年のパターンなのだが...。

ドリームジャーニー

2人曳き。-6s。馬体重は意外に関係無い馬。坂路だけの仕上げでも、今回はそれなりのデキ。何時もの休み明けのレベルは有る。出遅れ2馬身不利。後方で脚を矯めてマクる何時もの競馬。この回り脚が今日は戻っていた。直線手前が変わらないのも何時も通りならば、59s背負って負けるのも何時も通りといえば何時も通り。シンゲンの項で述べたパターンを言えば東京で狙い目となるのだが、前述した手前が変わらない症状が致命的なだけに。

トウショウシロッコ

-8s。古馬になってからの最低体重。スカッと見せてこれはこれ。今日だけの勝負をいえばこの方が良さそう。ゲート出たが、控えて後方のイン。内々を立ち回る策は悪くないが、直線向いてからも暫く前が開かなかったのが痛い。これが無ければというよりシンゲンの位置で競馬出来ていたら金星も有った。結果論でも、今日は騎乗ミス。

サンライズベガ

-6s。使い詰めだが、依然毛ヅヤは良い。まあまあといったところ。この枠を無駄にせず、少し出して好位のイン。最後は決め手の差になるのだが、4角の手応えの悪さを思えば踏ん張っている方。底は浅い馬だが、近走それなりに堅実。

ジャミール

シープスキンノーズバンド。-6s。前々走函館戦が太い状態。絞り込んでメイチに仕上げて来た印象。外枠嫌って行かせたが、引っ掛かる素振りが有って結局は中段。結果的にずっと外を回される格好になった。力は有る馬だが、近走クジ運も悪い。

シルポート

+2s。歩様は前走東京戦と変わらずだが、少し腹回りがボテッと映る。逃げ馬にしては出脚は甘いのだが、誰も行かずにハナ。道中気持ち良く行けている様に見えたが、4角で既にアラアラ。距離が長いのだろう。

第58回神戸新聞杯(GⅡ)

ローズキングダム

+22s。数字は成長分。後述する面は有るが、緩んだところも無く、出来ていた。好発。中段のインで折り合いに専念。少し引っ張りながらだが、我慢はしていた。直線内に突っ込み、直線向いてのエイシンフラッシュとの差をそのまま凌ぎ切った。逆の展開なら結果も逆だっただろうが、得意のスローで決め手を発揮。ただ、この一族に見られる馬体の硬さを感じたのも確か。これが出て来ると距離が保たなくなる。坂を普通に上り、GⅡでもしっかり勝ち切る辺りに今迄の一族とは違う面も有るのだが。

エイシンフラッシュ

増減無しも、雰囲気は中山戦以下。気配が薄い点もマイナス。ローズキングダムをマークする意図は無かっただろうが、出たなりで中段。折り合いに心配の無い馬で、どんな競馬でも出来るのだが、少し揉まれる場面有ったのと、直線入口でゴチャついて、これを捌いた地点でのローズキングダムとの差がそのまま詰まらなかった。これを叩いて変わって来そうで、一応は及第点やれる内容。

ビッグウィーク

2人曳き。マルタンガール。毛ヅヤピカピカ。ただ、スッキリし過ぎる仕上げは微妙な面も。好発切ってハナ。序盤は距離延長で力んで行った様に見えたのだが、2角過ぎに、スロー嫌ったネオヴァンドームと引っ掛かったサンディエゴシチーが行って3番手に控える形。多少のロスは有るにしても、この地点では折り合っていた。最後は決め手の差にしても、自分の脚は使っている。最内枠の利はそれなりに有ったにせよ、この形でも競馬を投げなかったのは収穫。

タニノエポレット

+8s。もう少し歩様に伸びが欲しいところ。馬ももっと大きく見せて欲しい。出脚一息で内へ潜り、中段やや後方。人気2頭をマークする競馬に。道中は何の不利も無く、直線向いても狙い通りに前が開いたのだが、坂を上り切る寸前で苦しくなって、逆手前に。阪神でも勝っている馬だが、あくまで未勝利戦。現状は平坦がベスト。

レーヴドリアン

+14s。トモの甘さは多少マシになっていたが、少し余裕残しの造り。出遅れ。例に依って後方から。最初から外へ持ち出し、4角も大外へ。スローで実績馬が前に居て、それなりの脚を使っている展開。坂を上がる脚のの鈍いこの馬にとっては手も足も出ない競馬になった。外国人騎手が乗って先行策に出た時を例外として、暫く勝ち切る場面は無さそう。

サンディエゴシチー

2人曳き。休み明けだが、デキは文句無し。落ち着いていたのも好感持てたが。行く気は無かった筈だが、テンから行きたがって3番手。抑えが利かず、2角過ぎに序盤逃げたビッグウィークをネオヴァンドームと一緒に交わして2番手。これでは終いが保たない。前走東京戦で折り合っていただけに一発期待したが、この距離は長い。ただ、馬振りは良く、今季はデキも良い。何処かで一発。

第15回エルムステークス(GⅢ)

クリールパッション

手先にスナップが利いていた。馬体も迫力満点。出脚が少し甘いのだが、バロズハートの直後に付けて中段を確保。札幌の場合は内を突くと間に合わないケースが殆どで、早目に外を追い上げる形。先にオーロマイスターが抜け出していたが、キッチリ捕えて完勝。砂を被っても平気な点と外回っても届く回り脚が良い。これで札幌4戦4勝だそうだが、昨年新潟開催のこのレースは内を突いて逡巡する場面。前述した理屈付けだけはない運も有りそう。

オーロマイスター

シープスキンノーズバンド。この馬にしては歩様も悪くない。馬体もまずまず。出脚は怪しかったが、エーシンモアオバーが逃げ、これに乗る形で好位。道中手応え良く追走し、4角早目に外へ持ち出し、勝ちに行く競馬。自分の競馬は出来たが、結果的に差されてしまったのは仕掛けが早かったという事。クリールパッションが札幌4戦4勝なら、こちらは3戦全て2着。水が合う印象も有るが、運は無い。

エーシンモアオバー

2人曳き。細身な雰囲気が無くなったのが大きい。これなら文句無し。気配も絶好。戦前の想定通り、出脚速く、スッとハナ。道中も折り合い付いており、直前の降雨もこの馬にはプラスに働いた筈だが、それでも4角での手応えが違った。ちょっと頂けないやられ方。現状重賞では力が足らない。

ピイラニハイウェイ

馬体はともかく、歩様が硬い。歩様は何時もの事とはいえ...。ステッキ一発入れて2番手。4角での手応えがオーロマイスターとは全く違い、4着確保がやっとになったが、行けさえすればそれなりに渋太い。ただ、ステッキ入れて行っている様に、出脚が無い。この点で今日は外枠の利が有った。今後も何処迄先行出来るかが課題に。

アドマイヤスバル

+7s。見た目はそれ程でもないが、ダート馬にしては迫力に欠けるタイプ。恐らくは少し太いのだろう。ゲート自体は出ているが、内外の馬に接触して後方から。道中の手応えも良いとは言えず、4角は寧ろ置かれ加減。直線向いてからはそれなりに詰めて来たが、今日は自分の競馬をさせて貰えず。叩いて出脚が来れば結果も違う筈だが。

第64回ラジオ日本賞セントライト記念(GⅡ)

クォークスター

頭の高さが無くなり、バランスの取れた造り。歩様にも伸びが有った。成長している。一完歩目が遅くて出脚が付かず後方から。早目に外へ持ち出し、4角で中段。ヤマニンエルブとは3秒違う脚で差し切った。前走福島戦で述べた様に、小回り向きではないのだが、力任せに競馬して2着と1着。ただ、京都3000mで外からマクって勝ち切るのは中々至難。2400m辺りの決め手勝負が向くタイプだと思うのだが。

ヤマニンエルブ

数字は無い馬だが、馬体はそれなりの体裁になっている。ただ、イレ込み気味。好発。1角目掛けて一直線にハナ。1F12.0秒を少し切る程度のペースで飛ばし、4角向いても10馬身程の差だったが、最後僅かにクビ差。ただ、小さい馬の割にダイナミックなフォーム。引っ掛かって行っている訳ではないので、ペース調整も利く筈。ヴィクトワールピサが抜けても今年は例年以上のレベルだが、大逃げの馬は常に可能性が有る。資格は充分。

アロマカフェ

+12kg。これより太い数字で新馬負けており、走る走らないといえば微妙だが、見た目はもっと増えても良い位。前走福島戦で気になった歩様の硬さも感じず。出脚でハナ覗かせていたが、ヤマニンエルブが真っ先に行き、他にも何頭か居て好位のイン。ハイペースになったとはいえ、この展開なら脚は矯められた筈で、逃げた馬を捕まえられずの3着は値打ち下がる。少なくともクォークスターよりは弱いと判断して良い。

ゲームマエストロ

2人曳き。-12s。今季毛ヅヤが良い。前走新潟戦も緩んだところは無かったにせよ、少し太目。キッチリ仕上げて来た印象。ゲート甘く後方から。マイルの後で、道中少し力んでの追走。3角過ぎからマクッたクォークスターを一旦行かせて、これに連れる形だったが、ここ迄。競馬は間違っていないが、道中のロスが痛い。この距離自体は慣れればこなせる筈だが、3着以上が欲しい一戦だっただけに。

ダークシャドウ

-8s。馬体の迫力は無いのだが、毛ヅヤ文句無し。デキ自体は良い。ジワッと中段から。こちらは2600m戦の後で、折り合っての追走。普通に前を追い掛けて行ったが、結果的に待機馬にやられてしまった。3,4着馬とは能力的な差は無いだろう。展開の綾。

ゲシュタルト

数字上は出来ていたが、張りを欠く。左トモの送りが硬いのも減点材料。ゲート少し悪かったが、出して好位。前走東京戦から折り合い付く様になっており、追っ掛けバテし易い展開だったといえども、止まり過ぎ。デキが無かったと見たい。

第28回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

アニメイトバイオ

2人曳き。前走東京戦と然程変わらず。もう少しトモに筋肉が付いて欲しい。ただ、気配が良い。最初から決め打ち気味の待機策。少し馬群を捌いて、4角で中段。アパパネと同じ位置に居たのだが、ここでワンテンポ待たされる格好になったのが好結果に。最後の最後に脚を使って、ギリギリ凌ぎ切った。戦前述べた様に、力は然程劣らないと見ていたが、勝ちに行く仕上げをして、今日は乗り役が上手く乗った印象が強い。次走京都戦への上積みという点では疑問の余地が残る。

ワイルドラズベリー

+20s。腹回り少し太いが、毛ヅヤがサッパリだった今春思うと、休養前より雰囲気は良い。スタート直後から持って行かれそうな雰囲気が有り、折り合いに専念し、離れた後方から。この策自体は悪くなかったが、3角で少し掛かる場面。細かい話でも、阪神はこれで終い止まるケースが多い。外へ持ち出して一瞬コレという脚だったが、坂上で脚が僅かに鈍ったところをアニメイトバイオに差されてしまった。テナシャスバイオ等、中央参戦当初に何度も好配提供していた安藤勝己騎手の真骨頂だったが...。何れにしても、この馬自身は距離が長い。

エーシンリターンズ

+12s。数字は回復分。成長度を言えば疑問符付くが、今春よりはデキが良い。馬群には取り付いており、ワイルドラズベリー程極端ではないが、折り合い重視で後方から。結果的に上位2頭が道中コースロス無く回っていたのに対して、枠のまま外を回されてしまった。直線はそれなりに伸びており、一応アパパネを防ぎ切った点は評価したい。トライアル3着馬は人気にならないが相場だが、上位3頭の中ではこの馬が一番高い評価をやれる。

アパパネ

+24kg。シープスキンノーズバンド。数字程ではないが、多少太目。ハナへ行きそうな出脚だったが、我慢させて好位から。怪しさは有るが、この辺りは心配の無い範囲。アニメイトバイオ同様、直線向いてからも少し待たされながら、坂を上がる脚はかなり速かったのだが、そこで失速。下見の雰囲気からは負けるべくして負けた様にも思えたが、叩けば変わって来そう。

トゥニーポート

-8s。背丈が低いだけで、馬体の造りはしっかり。デキは良い。ゲートが少し悪く、出してハナ。その分、序盤は行きたがっていたが、3角過ぎに折り合って一応は自分の形。各馬が直線向く迄待ってくれた面も有るが、最後も大きくは止まっていない。まずまずの内容。序盤さえスムーズならそれなりの馬。

アグネスワルツ

2人曳き。+12s。馬体はこれを少し絞るだけで完璧になるのだが、イレ込みキツい。出脚が一息だった割に、ずっと行きたがっての追走。追い出しても大して反応せず、ズルズルと。今日はイレ込みが悪い方に出てしまった。叩いての良化待ち。

オウケンサクラ

2人曳き。気負っていたが、トモに迫力。歩様の甘さが完全に解消された。出脚速かったが、行きたい馬に行かせて好位のイン。道中の雰囲気も悪くない様に見えたが、追ってサッパリ。最後はラチにへばりついていた。下見は良く見えただけに、敗因不明。

第55回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

ファイアーフロート

2人曳き。-8s。スカッと見せつつ、馬に張り。キッチリ仕上げたという印象。その分、仕草に我慢が利いていた。出脚は抜群に速かったが、メイショウレガーロが主張して2番手で引っ張り切りの追走。4角待ち切れずに前へ並び掛け、33秒台の脚が無いのでかなり際どくなったのだが、何とか振り切った。序盤のペースが妙に遅かったのが最大の勝因なのだが、この馬の出脚が速過ぎて、他馬の遠慮を呼び込んでの展開。気持ちが勝ち過ぎているのと33秒台の脚が無い分東京では辛いだろうが、中山なら1800mでも。

キョウエイストーム

シープスキンノーズバンド。この馬にしては落ち着いている方だが、1人で曳くには辛いテンション。馬体は数字の無い割にまずまずだが。出脚は負けていないが、無理せず中段でコースロス無く回す策。4角でファイアーフロートの直後に付け、完璧な競馬が出来たが、馬装通り追い出して少し頭が高い分が届かず。実績通り中山で走ったといえばそうだが、それだけに千載一遇のチャンスを逃した気も。

キョウエイアシュラ

函館で追い切ったそうだが、毛ヅヤが良く、デキは上々。ただ、レース行っての気性面で怪しいところが有るので、テンション高いのは気になったのだが。流石に出脚で差が有るが、この枠でも有りスムーズに中段。ただ、直ぐ前に居たフライングアップルが4角で追い出しを我慢していて、それ迄はキョウエイストームと並走していたのに、ここで1馬身待たされる格好。結果的にこの差が最後迄詰まらなかった。ハンデ戦でも有り、出来れば勝ち切って欲しい相手では有るのだが、今日のところは普通に競馬出来たのが収穫。これで気性面の心配はしなくて良さそう。

フライングアップル

馬体はそれなりの体裁になっているが、歩様が甘い。最内枠の利は確保するべく、好位のイン。4角で少し追い出しを待ったのが結果的に裏目に出た印象も有るのだが、それでも最内枠から中山マイルでの絶好の競馬が出来た以上は言い訳無しだろう。馬の能力不足で片付ける外無い。

サンカルロ

-6s。数字の割に大きく見せないタイプ。一応出来ていた。出脚も元々甘いのだが、ゲート少し悪く後方から。馬群が密集し、4角極端に離された訳ではないのだが、かなり苦しい位置。そこから馬群割って伸びて来た。展開に泣いただけで、この相手なら力量上位を示す内容。今季も中山以外ならそれなりの競馬は出来る筈。

セイクリッドバレー

+6s。前走新潟戦の数字がベスト。今日は少し馬が緩い様にも見えた。これも少しゲート悪く、後方から。人気でも有り、早目に動く意思は見せていたが、回り脚が無く、外を回されただけ。中山では競馬にならない。

グローバルスプリントチャレンジ第5戦 サマースプリントシリーズ第5戦 第24回セントウルステークス(GⅡ)

ダッシャーゴーゴー

-8s。絞れた分、前走小倉戦よりは上向きだが、完成された古馬とは見た目で差。ヘッドライナーに叩かれる格好になり、最悪のパターンも有り得る場面だが、これに付いて行ったのがスカイノダン1頭。上手く中段で立て直せた。戦前述べた通りに、ペース関係無く前が潰れ、少し早かったのだが、グリーンバーディーの猛追を一杯一杯凌ぎ切った。勝った馬が一番良い展開になった印象。時計は出ない展開とはいえ、イマドキ1分8秒は遅い。次走中山戦は連下程度の評価に。

グリーンバーディー

物見が激しいのは仕方が無いところ。仕上げとして満点ではないが、香港調教馬に有り勝ちな歩様の硬さが無い点には好感。出遅れ1馬身不利。それでも出脚で好位近くに居たのだが、直ぐ前のエーシンエフダンズが下がって来て、結局4角では後方。それを思えば直線は狭いところを割って地力上位を示す内容。斤量面も有り、次走中山戦は1番人気になりそうだが、今日は相手も弱かった。単純に飛び付くのもどうか?

メリッサ

今日の方が毛ヅヤが少し良かった様に見えたが、馬体も含め大差無し。高値安定。ゲートは出たが、折り合い意識している内に位置取りが徐々に下がり、4角では中段やや後方。直線はそれなりの脚を使っているが、グリーンバーディーとは登坂力が違った。出脚が有っただけにダッシャーゴーゴーと同じ位置で競馬したかったところ。1200mでも色々難しい。

ヘッドライナー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前駆が勝った馬体で如何にもスプリンター。落ち着いていたのも何より。流石にケイティラブの方が速く、2番手で我慢させる形。3角過ぎ迄首を上げて行きたがっていたのだが、その割に坂を上がっても止まっていない。坂を全く上れないイメージだったが、今日はイメージ一新の内容。この馬としては文句無し。単騎ハナの組み合わせなら重賞もう一丁の場面も。

タマモナイスプレイ

オーストラリアンブリンカー。初の1200m戦だったが、折り合いに苦労しない馬で、少し出して好位のイン。坂をしっかり上がって来る馬で、極端に上がりの速い競馬にならないだけ阪神は向くのだが、この相手のスプリント戦では入着がやっと。それでもここ6戦は全て人気以上に走っている。毎回人気にならないのだが、阪神でのオープン特別なら必ず押さえたい馬。

スカイノダン

少し歩様が怪しい点も含めて、前走小倉戦と変わらず。少し出して好位の外。ただ、ヘッドライナーを深追いしてしまい、持って行かれそうになっていた。その分、直線も然程伸びず。国分恭介騎手、今日は騎乗ミス。

第61回朝日チャレンジカップ(GⅢ)

キャプテントゥーレ

2人曳き。馬に集中力。歩様の硬さも無く、3歳時も大して良い様に見えなかった事を思うと、デビュー以来最高の状態。ドリームフライトがハナ宣言していたが、出脚が違い100m要せずに決着付けてハナ。そのドリームフライトが鈴を付ける意思は見せていたのだが、相手にならず持ったままで4角迄。追い出して尻尾振っていたのが唯一減点材料だが、スピードの違いでオイデオイデの大楽勝となった。昨年の状態ならノーチャンスだったが、今季はデキも良く、何より出脚の速さが光った。3歳馬の動向次第では東京戦が近年最弱のメンバーになりそうでも有り、面白い存在に。

プロヴィナージュ

2人曳き。前走札幌戦を思うと気合乗っていたが、それ以外は良い状態をキープ。歩様の硬さも感じられず。キャプテントゥーレに次ぐ出脚でスッと2番手。途中、ドリームフライトが動いていたが、マイペースに徹しての競馬。4角でもキャプテントゥーレに並び掛ける事無く、結果的に逃げ切りを許す格好になったのだが、この馬とすれば今日は2着で良しとするところ。京都戦へ向け視界良好。

アドマイヤメジャー

例に依って均整の取れた造りだが、迫力に欠ける。キャプテントゥーレと離れると厄介なのは分かっていても、ドリームフライトに叩かれ、出せずに後方から。道中は手応え充分の追走、4角少し早目に動いているのだが、それでもプロヴィナージュすら捕まらず。極論だが、33秒台で上がっていない以上は力が足りないという事。4角での回り脚の鈍さも少し気になった。まだ重賞は遠い。

ベストメンバー

トモを薄く見せる割に腹回りがボテッと映る。休養前と大して変わらず。ゲート少し悪かったが、出脚は悪くなく中段から。4角手前からアドマイヤメジャーに併せる形で追い出したが、追い出すと頭が上がり気味。その分だけ伸びが甘くなった印象。やはりデキが本当ではないといったところ。

ニルヴァーナ

デビュー当時思えばトモの甘さもマシ。もう少し走っても良い筈だが...。一完歩目のスピードから上位2頭とは違い、立て直しての好位追走。それでも4角の手応えは悪くなく、プロヴィナージュに並び掛ける寸前迄は持って来たのだが、坂を上がる脚が無かった。依然として決め手不足が直らぬまま。