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競馬回顧 2024年1回阪神

第73回フジテレビ賞スプリングステークス(GⅡ)

シックスペンス

シープスキンノーズバンド。-4kg。昨年末の前走も少し緩く映ったが、今日もあまり良くなった感じはない。トモの送りが少し硬い点も直っていない。好発。出脚にも余裕は有ったが、行きたい馬に行かせて3番手から。1000m通過63.1秒と極端なスローペースだったが、折り合いピタリ。内目の馬場が悪く、荒れたところを避けての追走。4角で軽く促した程度で外から並び掛け、坂下で先頭。今日はこの脚が速かった。登坂力も他馬とは別次元で、オイデオイデの大楽勝だった。馬だけ見たら良くなる余地を相当残しているのだが、追って重心が下がり、全身を使った走法には感心するばかり。ペースが上がってどうか、直行組との比較はどうかといった点は有るが、これが今年の真打ちか。

アレグロブリランテ

+22kgだった前走の時点では少し緩い様にも見えたが、今日は増減なしでも締まって見えた。歩様もスムーズで、最早デビュー当時とは別馬。ゲート五分。出脚が一番速いという訳でもなさそうだが、最初からの決め打ちだった様で、押してハナ。2番手のルカランフィーストが無理しなかったことで、前述した様に超スロー。単騎で行けた利が大きかった。ただ、シックスペンスには並ぶ間もなく交わされ、圧倒的な力の差を見せ付けられた。権利は取ったが、出るだけになりそう。

ルカランフィースト

シープスキンノーズバンド。寸が詰まったマイラー体型。少し煩いのと、完歩の小さい歩様は毎度。ただ、皮膚を薄く見せて、完成度は高い。ゲートは決まったが、出脚で差が有って中段から。荒れ馬場は苦にしない様で、枠なりにずっと内ラチ沿いを通っていた。直線だけ少し外へ出して、スパッと切れる印象ではなかったが、大接戦の3着争いを制して権利確保。首が使えていないので、その点でもマイラー色が強い。2000mは厳しい。

チャンネルトンネル

前肢にバンテージ。増減なしだが、前走東京戦の方がスッキリと見せた。歩様にも硬さが有り、満点はやれない。好発も、無理せず好位直後。馬を前に置いて宥める形。折り合い面を含めて、4角迄はスムーズに走れていたが、坂下辺りから大きく外へヨレて過怠金の対象に。血統から距離も長いのだろうが、根本的にパワー不足。

コスモブッドレア

2人曳き。前後肢にバンテージ。今日も落ち着いていた。馬体に大きな変化はないが、しっかり踏める様になった点も好印象。アレグロブリランテの先行策に乗る形で2番手。下見は煩かったが、競馬では全く問題なく折り合いが付いた。4角で外から来たシックスペンスと一緒に進出。そのシックスペンスに並ぶ間もなく交わされたのは仕方がないとしても、登坂力がサッパリ。何とか3着は確保したかったところだが、寸前で捕まって4着に。前走が2000mで好内容の3着で意外な印象も有るのだが、今日だけで判断するなら、距離も怪しい。

第72回阪神大賞典(GⅡ)

テーオーロイヤル

前後肢にバンテージ。+6kg。元々スカッとしたタイプだけに、馬体はこれでいいが、明らかに歩様が落ちた。ゲートを決め、この馬の出脚で好位。この馬場でも特に苦にすることなく、走れていた様に見えた。2周目の4角手前から各馬の手が激しく動く中、持ったままで回って来れた。坂下で抜け出すと、2着に5馬身差を付ける大楽勝だった。ダイヤモンドステークスからの連勝は史上初とのことだが、そもそも確実に勝てる実力馬が使って来るケースが稀。京都戦へ向かう様で、圏内の1頭だが、このローテーションは本番を捨てたと判断するとみるのが妥当。東京戦から直行だったら、京都戦でも本命級なのだが...。

ワープスピード

遮眼革。前後肢にバンテージ。前走東京戦時と同じ話になるが、500kgを超える馬体の割に大きく見せず、柔軟性が有るのがいい。ゲートが微妙に分が悪く、中段やや後方から。本来は所謂騎手道として褒められた騎乗ではない筈だが、向正面に入って最内を進出。3角でテーオーロイヤルの直後迄、上がって来れた。4角でブローザホーンと並走、直線に向いて少し前の馬がフラついていたが、腕っぷしの強い鞍上が追いまくって2着確保。最後は止まり気味で、今日は好騎乗のお陰だが、とはいえこの馬自身も操縦性がいいから出来る面も有る。次走京都戦も内枠が当たれば面白い。

ブローザホーン

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走京都戦も良く見せたが、今日も変わらずケチを付けるところはない。気配も良かった。ゲートは五分程度。出たなりでは有ったが、基本的にはテーオーロイヤルをマークする形で乗られた。少し窮屈な位置だったことも影響しただろうが、行きたがっていた様にも見えた。向正面に入ってワープスピードに内から並ばれ、結果的に4角で外へ行かざるを得なかったのが痛かった。最後の脚色はワープスピードよりも明らかに上で、それだけにクビ差3着は勿体ない。鞍上の問題も有るが、馬ももう少しスムーズに流れに乗れる様にしたいところ。

プリュムドール

-8kg。今日は少しテンションが高い。頭が高い分、少しトモが甘い様な歩様だが、牡馬相手でも馬体は迫力充分。この馬としてはこれでもマシな方だが、ゲートで微妙に分が悪く、ブローザホーンの直後から。馬場は少し気にしている様にも見えた。勝負どころの反応もイマイチ鈍い様に見えたのだが、その割には直線に向いてからも渋太く伸びていた。ゴールドシップ産駒で、根性でこの馬場をこなしているが、良馬場の方が良さそう。

ゴールデンスナップ

2人曳き。ステップを踏んで、煩いのは元々。迫力という点では些か地味だが、馬体に張りが有って、デキ自体は良さそう。ゲートは出ているが、まだ準オープンの馬だけに無理せず後方からジックリと。勝負どころの手応えはお世辞にも褒められたものではなかったが、直線で馬場のいい外へ出して、最後迄諦めずに走れた分の5着。これもゴールドシップ産駒だけに根性と距離適性が有る。相手なりの馬では有るが、オープンでも通用する。

サヴォーナ

今日もしっかり踏めていたが、腹回りの雰囲気だけをいえば、少し重いかも。気配に乏しい点は一緒だが。ゲートを決めて中段から。道中はディープボンドを前に置く形。上位馬とも近い位置に居て、位置取りは悪くなかったが、3角辺りから既に手応えが悪く、置かれ気味。直線に向いてからは多少なりとも盛り返しているが、掲示板には届かず。一枚太かった分も有るだろうが、ゴールドシップ産駒とキズナ産駒では馬場適性に差が有ったか。道悪は宜しくなさそう。

第38回フラワーカップ(GⅢ)

ミアネーロ

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。脚長で、骨格のしっかりした馬だが、少し腹が巻き気味。歩様にももう少し力感が欲しい。出脚もやられ気味だったが、押して行った馬が多く、それらに付き合わず、中段。馬群が切れて、上手くインへ潜り込めた。道中は少し力んでいた様にも見えたが、その分、内目が荒れた4角でも前向きに走っていた。その4角で馬群が広がり、直線入口でほぼ労せず逃げたエルフストラックの直後。難なく捌いて坂を上り切って抜け出し、そのまま押し切った。ただ、抜け出してフラつき、追って頭が上がり気味と、まだ走りは若い。現状は前向きな気性が実戦でいい方に出ている格好。次走は東京戦直行とのことだが、距離が延びる点は歓迎しない様にも思える。

ホーエリート

-8kg。少なくとも細い印象はない。大物感はないが、緩んだところもなく、完成度が高い。歩様もしっかりしていた。スタート直後は押していたが、外枠故に行き切れず、更に引っ掛かりそうになり、1角で引いて中段。折り合いは直ぐに付いたが、今度は向正面半ばからむしろオッツケ気味。内目の馬場が悪いとはいえ、4角でかなり外を回されて、キツい展開になったが、それでも重心の低い走りで、良く伸びていた。何処かひとつスムーズに立ち回っていれば勝っていた筈。勿体ない2着。これも東京戦直行の見込みだが、こちらは面白い存在。

カンティアーモ

+14kg。胴長で線の細い馬ということも有るが、見た目はもっと増えてもいい位。伸びやかな歩様で、成長している。ゲートで安目を売って、後方のイン。1角で少し行きたがっていた様にも見えたが、直ぐに折り合いは付いた。荒れ馬場も特に苦にせず走れていた様に見えた。4角で外へ出そうとして出し切れず、結局は内へ。一瞬は突き抜けるかの手応えだったが、坂を上り切る直前に前が詰まったのが痛恨。完全に脚を余した。尤も、この馬自身も4角での反応が微妙に悪かった。京都戦もそうだったが、現状はコーナーの脚が欲しいところ。一旦、放牧に出して自己条件から立て直すとのことで、そこなら楽勝級だが、先々を見据えるならもう一段の成長が欲しい。

ラビットアイ

デビュー当時は大分重苦しい印象も有ったが、大分輪郭が浮く様になって来た。ただ、絞れて来ると、もう少し鍛える余地も見えて来るのだが...。それでも、歩様はしっかりしていた。ゲートは決まったが、前述した様に押していた馬が多く、選考激化とみて、決勝線の辺りで引いて後方から。この鞍上らしくインに拘った競馬。4角でカンティアーモが一瞬、外へ行ってくれた点も幸いして、内ラチ沿いをスムーズに捌いて来れた。ただ、記録上はメンバー中、最速の上がりだが、坂を上り切った辺りで止まった様に見えた。このメンバーで勝ち切るにはもう一段の成長が必要。

エルフストラック

前肢にバンテージ。-4kg。皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそうだが、完歩の小さい歩様。まだ馬の完成度が低い。ゲートは他に速い馬が居たが、押して行ってそこからの出脚は速く、ハナへ。1角手前で少し強引に寄せたことで、鞍上は戒告を受けていたが、1000m通過ジャスト1分と、楽な形に持ち込めた。ただ、4角でスパートして後続を突き放しに掛かった迄は良かったが、坂を上り切れずに外へモタれて、最後は完全に止まった。仕掛けが結果的に早かった感も有るのだが、重賞だとちょっと足りないか。とはいえ、デビューから6戦して全て掲示板を確保と、堅実は堅実。

第38回中日スポーツ賞ファルコンステークス(GⅢ)

ダノンマッキンリー

2人曳き。馬に集中力が有って、気配抜群。一歩一歩力強く踏めていた。依然として、少し腹回りがボテッと映るが、緩いと迄はいえない範囲。ゲート五分も、外枠故に鞍上に行く気がなく、後方から。ただ、折り合いに難が有る馬で、少し力んでいた様に見えたが、この馬としてはマシな方。今日の馬場状態で初手から外、4角も大外ではかなり厳しい筈だが、内にモタれながらも、直線は1頭だけ違う脚で差し切った。完勝。胸を張って東京戦へ向かうことになるが、要は折り合い次第。

オーキッドロマンス

-4kg。前走東京戦とほぼ一緒。垢抜けた馬体といった雰囲気ではないが、歩様を含めて悪いところはない。ゲートも速かったが、1200mからの馬も結構居た中で出脚が速く、少し押した程度でハナ。1000m通過57.0秒とそこ迄速くなく、道中はずっと単騎で楽に行けた。直線に向いて追い出しを少し待つ余裕も有り、坂下辺りから追い出して、後続を完全に突き放しているのだが、ダノンマッキンリーの決め手が違い過ぎた。今日は相手を称える外ないが、追って頭が高いのは気になった。今日はスムーズに運べたが、距離が延びると厳しい。東京マイルへは向かわず、1200mの京都戦が目標とのことだが、枠がマトモなら確勝級。

ソンシ

2人曳き。-8kg。気配を含めて、前走東京戦と馬の見た目はほぼ一緒だが、明らかに踏み込みが深くなった。出負けしたが、出脚が速く、スッと挽回して好位。道中の折り合いは付いたが、いざ追ってからの反応がジリジリ。その分、進路が二転三転し、その間にダノンマッキンリーが抜け出していた。最後迄、脚は使っていた分の3着だが、上がり33.0秒の脚だった前走を考えると意外な敗戦。まだ馬が若く、もっと矯めた方がいいのか...。

ナムラアトム

-6kg。数字分だけスッキリした印象も有るが、まだ全体に緩慢。歩様に力強さがなく、体幹が甘い。ゲート五分も、出脚は速く、スッと好位。前に壁はなかったが、折り合いも付いてスムーズに走れていた。ただ、追って坂を上り切った辺りで甘くなった。これも結果的に矯めた方が良かった気もしないでもないが、腕試しの先行策だった様で、仕方がないところ。もう少し成長すれば、この相手でもやれる筈。

ロジリオン

前走東京戦より落ち着いている点は何より。ただ、この数字だと少し馬は立派過ぎるか。半馬身程、ゲートで後手に回って中段。道中は動くに動けない展開で只管ジッとする形。その分、脚は矯められたが、直線に向いてからも中々前が開かず、1番人気だったソンシに進路を決めたものの、そのソンシがジリジリ。今日は競馬にならなかった。勿論、力負けではないが、ゲートが悪いのが不利を招いた格好。

第58回報知杯フィリーズレビュー(GⅡ)

エトヴプレ

2人曳き。-4kg小ぢんまりと見せて、馬体に迫力はないが、見た目はこれ位で丁度。前走中京戦と比較して、今日の方が少しテンションが高い。歩様も悪くない。シカゴスティングの出脚が一番速かった様にも見えたが、そのシカゴスティングに行く気がなく、ならばと主張してハナへ。1000m通過が56.4秒だからソコソコのペースだが、行かせてからはリズム良く走れていた。番手に人気のコラソンビートが居て、展開的には機関車役だったが、坂を力強く駆け上って、最後迄1馬身のリードを守り切った。中々強い内容。前走中京戦に案外感も有ったが、行き切ったことで折り合いが付いたのが最大の勝因。マイルが保つかどうかは未知数だが、先手さえ取れれば面白い存在。

コラソンビート

2人曳き。+4kg。数字は大して変わらないが、馬体にメリハリが出て来た。歩様にも力強さが増した。淡々と歩けていた点も好印象。ゲート五分。少し出して行って好位。位置取り的には絶好の形になったとはいえ、ポジションが固まる迄、少しゴチャついて中々落ち着かなかったのは痛かったか。4角でコラソンビートの直後迄押し上げ、直線に向いて脚で進路をコジ開けたが、前と脚色が一緒だった。とはいえ、言い訳の有る内容で、馬は悪くない。尤も、鞍上にとれば話は別で、本番で通用する馬ではないだけに、必勝態勢で臨んで負けたのは頂けないということになるが...。

セシリエプラージュ

前肢にバンテージ。+4kg。前走京都戦の腹が巻いている状況からは脱したが、もっと増えてもいい。歩様もまだまだ甘い。ただ、煩い面はマシになった。ゲート五分も、出脚は速くなく、中段から。道中は内から3頭目程。向正面の段階では外に馬が居て、コーナーに入ってからは自然と外が開いたが、それでも直線に向き切ってからの追い出し。ジリジリとは伸びていたが、前に追い付く気配はなく、ここ迄。とはいえ、500万の馬だけに、今日は権利を取れただけでヨシとすべきところ。500万は楽に勝てる馬。

バウンシーステップ

前肢にバンテージ。トモが張って、骨格のしっかりしたいい馬だが、今日は何時になく煩い。トモが甘い歩様は前走中京戦と一緒。出遅れ1馬身不利。内枠だった割に、向正面で意外な程、前が開いており、3角で中段には取り付いていたが、内外前に馬が居て揉まれる形にもなってしまった。4角を上手く捌いて、コラソンビートより先に前が開いていたが、追ってからがもうひとつ。前走の脚が使えなかった。これだと重賞どころか、1000万でも通用しない。課題の残る敗戦。まずはゲートを五分に出たいところ。

オメガウインク

前後肢にバンテージ。寸詰まりのマイラー体型だが、トモに張りが有って、しっかり踏めていた。ただ、これも今日は妙に煩い。好発も、外枠だけに鞍上に行く気がなく、後方から。4角で何処か馬群が割れると良かったが、結局外へ。ポエットリーに被されそうになりながらも、ジワジワ伸びて来たが、今日の馬場状態だとこれが一杯。外から差して来た組では最先着。脚は持っている。

JRA70周年記念 第60回金鯱賞(GⅡ)

プログノーシス

前後肢にバンテージ。+9kg。数字分だけ余裕は有るのだろうが、見た目に緩い印象はない。一歩一歩、力強く踏めていたのも印象的。ゲート五分。行こうと思えば行ける出脚も有る筈だが、無理せず後方。向正面に入って内から番手を上げ、4角で中段。脚も有ったが、直線に向いて直ぐに捌いて坂下で先頭。あとは独走だった。やはり2000mがベスト。今日はどう乗っても勝てただろうが、鞍上の立ち回りも上手い。当然ながら、馬に負担を掛けず、勝てた点は大きい。ただ、次走、UAE遠征だそうで、香港で敗れたRomantic Warriorとの再戦となるが、今度こそ何とかしたいところ。

ドゥレッツァ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。中京が初めてということも有るが、すこし物見をしながらの周回。ゲートは五分に出たが、3000mの後で出脚が足りず、中段から。向正面半ばでプログノーシスが動いた際に、一緒に動いたが、最内をプログノーシスに取られ、直線に向いてから5〜6頭分も横に走らされて外へ持ち出す形になったのが痛恨。坂を上る途中で、前が開いた段階ではプログノーシスに対し、5馬身以上の差が開いてしまっていた。プログノーシスも強かったが、59kgを背負って切れる脚も使えず、今日はこれで仕方なし。3000mからの競馬でペースへの対応が鍵だったが、その点に関してはクリア出来たといえそう。次走、京都戦とのことだが、当然勝ち負け。

ヨーホーレイク

+14kg。エビで2年以上の休養明けだが、少し立派といった程度。攻め馬も動いたが、馬体に張りが有った。ゲート五分。出脚に余裕が有り、ジワッと好位。外から来られた関係で1角辺りから少し連られて行きたがっていた。向正面に入って漸く落ち着き、直線入口で先頭。プログノーシスには並ぶ間もなく交わされたが、渋太く粘って3着は確保。立ち回りの差を考えれば、2着ドゥレッツァとも相当の能力差が有るということにはなるが、2年以上の長期休養明けだけに充分過ぎる内容。何とかもうひとつタイトルが欲しいところ。

ハヤヤッコ

後肢にバンテージ。+6kg。馬体に張りが有って、前走よりも馬に活気が有る。歩様に柔らか味が有るのもいい。ゲートをポコンと出て、出脚も鈍かったが、行く気もなく後方から。道中はジッとして、直線に向いて自然と前が開いてから追い出す形。最後迄ジリジリと伸びていた。明らかに入着狙いの競馬だが、それで4着なら最高の結果。時計が掛かればまだやれる。

アラタ

オーストラリアンブリンカー。-6kg。プラス体重の馬が多い中で、キッチリと仕上げて来た。歩幅も広く、デキに関してケチを付けるところはない。ゲートは五分に出たが、意外と出脚がなく、後方に近い位置。ただ、向正面で内目を進出したプログノーシスがいい先導役になってくれた。逆にいえばそれで1.1秒差は完敗。単なる衰えなのか、時計に限界が有るのか、今日の競馬だけでは何ともいえないが、何れにしても次走試金石。

ヤマニンサルバム

前肢にバンテージ。+10kg。デビュー以来、最高体重。骨格のしっかりした馬で、何時も良く見せるタイプだが、流石に太いか。テンションが高いのは元々。ゲートが微妙に悪かったことも有り、少し押して好位。ただ、今日は少し押したのが余計だった様で、序盤はかなり力んでいた。向正面で何とか宥めたかには見えたが、4角で既に手応えが怪しくなっており、直線も全く伸びず。負けるにしても、相性のいいコースだけにもう少し何とかしたかった。今日は太目が祟ったか。

第42回ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス(GⅢ)

コンクシェル

基本的には煩い馬だが、今日の方がまだマシか。それでもしっかり踏めていた点は好印象。馬体にもメリハリが有った。ゲート五分。出脚はシンリョクカの方が速かったが、戦前からの決め打ちだったか、押してハナ。少し物見をしながら走っていたことも有り、1000m通過61.5秒は馬場状態を考慮しても遅いが、その分、3角手前辺りから後続の追い上げに遭い、並走される形。ただ、相手が交わし切る迄に至らなかったのが不幸中の幸い。4角手前で突き放しに掛かり、直線は少し外へ持ち出して、両サイドから来られる形になったが、一杯一杯振り切った。ハンデや差せない馬場も味方しただろうが、同じ1800mでも前走東京戦とは3.5秒も違う時計で勝ったのだから立派。ただ、先行馬としては出脚が甘く、ここが先々のネックになりそう。

ククナ

前後肢にバンテージ。+2kg。数字はほぼ一緒だが、今日の方が腹回りがスッキリ。その分、見栄えがする。歩様にも力強さが有って、明らかに前走以上。ゲート自体は五分に出ているが、2,3歩走ったあとに、脚が揃ってつんのめる形で上へ飛んでしまい出脚が付かず、後方から。ペースが遅く、ほぼ一団の展開となった影響で、ずっと外を回される形。向正面に入って中段迄番手を上げ、4角でフィアスプライドに抵抗されて、距離損が有ったのは勿体なかったが、直線も鋭い脚で良く差を詰めていた。このメンバーなら実績上位だが、最近は長いところを使われていただけに、スローになった分、楽に追走出来たのも良かったか。

シンリョクカ

何時も以上に煩いのは気になったが...。ただ、2歳時より20kg以上、馬体が増えている様に、馬は本当に良くなっている。歩様の非力さもなくなった。前述した様に、出脚は一番速かったが、内の馬だけ叩いて、好位のイン。3角迄の行き振りは悪くなかったが、鞍上の話では馬場を気にしたとのことで、3角から置かれそうになっていた。直線に向いてからは最内の馬場状態も悪くなかった様で盛り返しているが、坂を上り切った辺りでコンクシェルと並走迄持ち込みながら、そこで力尽きた。良馬場なら勝っていたか。この辺りのメンバーなら、今後も好勝負。

フィールシンパシー

シープスキンノーズバンド。前走は少し歩様の硬さが気になったが、今日はマシ。見た目の太目感はないにも関わらず、少しずつ馬体が増えている点も好印象。外枠だったが、積極的に乗られて2番手。出して行った割には折り合いも付いていた。向正面でコンクシェルがペースを落とした際に外から来た馬と一緒に前へ。あくまで結果論だが、ここで叩き切った方が良かっただろう。中途半端に並走して、4角でコンクシェルに突き放され、最後は雪崩れ込んだだけだった。マトモに乗ると少し決め手不足。

コスタボニータ

後肢にバンテージ。前走中京戦もそうだが、もう少しトモの送りがスムーズになって欲しいところ。馬はこんなモノだが...。ゲート五分。出脚も有って1角進入時は2列目に居たが、内に居たヒップホップソウルに粘られて、一歩引き、全体では6番手辺りから。前述した様に早仕掛けした馬が多く、4角ではいい位置にも見えたが、結果的には後手に回った格好。直線は馬群を捌く形になり、最後迄ノビノビ走れないまま終わってしまった。能力差で負けた訳ではなく、今日は不完全燃焼。次走狙い目。

フィアスプライド

シープスキンノーズバンド。数字は一緒だが、馬体の張りがなくなった。気配は大してデキ落ち? 気配は大して変わらないのだが...。ゲートが微妙に悪く、1角では中段やや後方。序盤はちょっと行きたがっていた様にも見えた。スローを嫌って、向正面で一気に進出して、3角で先団の一角。しかし、直線に向いてからが案外だった。3角で接触する場面が有る等、細かい不利も有ったのだが、デキ落ちに加え、距離延長に斤量増と、条件悪化が重なって克服出来ず。

第61回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)

コスモキュランダ

オーストラリアンブリンカー。+6kg。数字分だけ腹回りがボテッと映るが、馬の迫力ではこのメンバーでも上位。歩様もしっかりしていて、気配も良かった。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍って後方から。馬がそこ迄行きたがっている様には見えなかったが、後ろからではノーチャンスと鞍上が判断した様で、2角過ぎに外へ持ち出し、3角手前から進出して、逃げたシリウスコルトと並走。そのシリウスコルトも中々渋太く、交わし切るのに坂下迄掛かったが、この馬だけがそこからも力強く伸びて快勝。1997年ランニングゲイルを思い出させる中々味な勝ち方。ただ、この形がフルゲートになる本番で出来ないのは過去の歴史が示す通り。かといって、東京向きとも思えないが、思い切って乗れる鞍上が居るのは強み。

シンエンペラー

-2kg。前走よりは良くなっている。筋肉の輪郭が浮く様になった。その分、しっかり踏める様になって、歩幅も大きくなっている。ゲートは五分か微妙に分が悪い程度。外から行った馬に行かせて好位。ただ、1周目のホームでトロヴァトーレと接触。トロヴァトーレが引っ掛かっていただけで、この馬には非がないのだが、勿体なかった。それでも道中の折り合いは付いていた。ただ、コーナーでの回り脚が微妙に鈍く、コスモキュランダの早仕掛けに中々追い付けない。直線に向いた段階で2馬身程の差が有ったが、殆ど差が詰まらないままだった。前走もそうだが、追い出すと上擦った走り。これではダメ。安定感は有るので、次走人気になるだろうが、嫌ってみて妙味かも。

シリウスコルト

前肢にバンテージ。前走はコロンとして映ったが、大分トモのボリューム感が増した。少し歩様は硬いが、これも確実に良くなっている。好発。出脚も有ったが、誰も行かなかったことも有り、主張してハナへ。1角過ぎからペースを落とし、1000m通過60.4秒。ただ、結果的にペースを落とし過ぎた感も有り、コスモキュランダの早仕掛けを呼び込んだ感も有る。それでもラスト600m辺りからずっと馬体が合った状態で、坂を上り切る寸前で力尽きる迄、良く頑張っていた。中々渋太い。次走、一雨来る様なら面白い存在に。

エコロレイズ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-8kg。前走が少し太かった分も有り、これ位で丁度。ただ、このメンバーに入ると、単純に迫力負けしている感も。所作に非力さはないのだが。ゲートでヨレ気味。あくまで軽くだが、直後にシンエンペラーと接触して後方から。道中の手応えは決していいとはいえず、オッツケ気味の追走。内目を通ったのは苦し紛れだった分も有るだろうが、そんな中でも最後迄、ジリジリ伸びていた。新馬の東京戦以外は、只管中山2000mを使われているという珍しい馬だが、勝負どころでの手応えが改善しないのがネック。むしろ東京向きでは?

シュバルツクーゲル

シープスキンノーズバンド。+18kg。数字は増えたが、太い印象はなく、ほぼ成長分。少し頭は高いのだが、それでも歩様に非力な印象はない。ただ、少しテンションが高い。ゲートは突っ掛け気味だったが、五分の発馬から出脚も有って2番手。道中は折り合いも付いて、スムーズに運べたが、コスモキュランダが早仕掛けして、それを追い掛けようとしても追い付かず、むしろ置かれ気味。直線でバタッとは止まっていないが、雪崩れ込んだだだけだった。ただ、既に権利を持っている馬で、一息入った分も有るだろう。叩いての良化待ち。

トロヴァトーレ

シープスキンノーズバンド。+6kg。どちらかといえば、マイラー体型だが、馬は何時も良く見せる。歩様も悪くなく、気配も良かった。スタート直後から行きたがっていたことも有り、この鞍上を以てしても、コントロール不能に近い状態となり、何度かシンエンペラーと接触。シンエンペラーはそこ迄、気にしていない様にも見えたが、こちらは更に馬が怒ってしまう有様。道中はダノンエアズロックを前に置いて我慢させようとしていたが、それでも力み気味。4角手前で既にアラアラだった。今日は競馬にならず。

ダノンエアズロック

2人曳き。+18kg。元々煩いが、今日は何時にも増して煩い。毛ヅヤがいいのは救いだが、腹回りもボテボテ。ゲート五分。シリウスコルトの先行策に乗る形で好位。前に壁がなく、道中はずっと力んでいた様に見えた。直線も全く伸びず。完全に期待外れ。要は鍛錬不足だろうが、暫く掛かりそう。

第19回夕刊フジ杯オーシャンステークス(GⅢ)

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。+12kg。数字程、太い印象はないが、トモが張って、如何にもスプリンター。それでいて、手先のスナップが利いている。好発。ジワッと行かせて好位。今日は道悪でイン絶対の馬場ではなかったが、それでもずっと4〜5頭分外を回されていた。直線に向いてからも、内外が離れて1頭だけで追い込む形。この馬を目標にしていた馬に両サイドから来られてその点でもキツい形になったが、余裕たっぷりに振り切った。単純に一枚性能が違った。これで胸を張って中京へ向かうことになるが、あとは別路線組との相手関係。今日はメンバー低調だった感も強く...。

ビッグシーザー

ほぼ出来ていた。何時も腹回りがボテッと見せるタイプだが、今日は幾らかマシ。少しずつ成長しているのだろう。歩様も悪くない。半馬身程出負けも、押して中段。眼前にトウシンマカオが居て、いい目標になった。4角で少し他馬と接触する場面も有ったが、直線もトウシンマカオを追う形。ただ、登坂力で差が有り、最後迄1馬身の差が詰まらなかった。直線だけ見れば完敗の2着。基本は平坦の方がいいのかも知れないが、ゲートが決まっていれば、また違った気もしないでもない。今日は評価が難しい。次走試金石。

バースクライ

-10kg。スプリントを走る馬としては、スッキリと見せる方だが、これだと流石に細過ぎるか。硬さがないのは救いだが。これもゲートが微妙に悪く、枠の利が有って何とか中段。行きたがるタイプの馬だが、ゲートを失敗して押した割には我慢していた。ただ、今日は4角の捌きを失敗。外へ持ち出そうとしてビッグシーザーと接触、諦めて内へ切り替える形。これが勿体なかった。最初から内と決めていたら際どくなっていただろう。前走京都戦が案外だったが、重賞でも通用する。次走狙い目。

ヨシノイースター

前後肢にバンテージ。例に依って、腹回りは少しボテッと見せる。気配に乏しいのも何時ものこと。ゲートが開く直前に突進して、出遅れ。とはいえ、出脚が速く、楽に好位。ただ、内目に居た関係で、馬場は少し気にしていた様にも見えた。直線もそのまま内目から。ロスなく捌いて来れたが、前に迫る迄には至らず、最後の最後にバースクライに捕まって4着止まり。これもゲートが悪いので、本当の能力が分かり辛い。ハマれば通用しそうでは有るが...。

キミワクイーン

胸がい。後肢にバンテージ。+22kg。デビュー以来、最高体重ということにはなるが、休養前の2走で16kg減らしており、数字は回復分。ギスギス感がなくなった。ゲート五分。ただ、出脚はそこ迄速くなさそうで、中段。とはいえ、ビッグシーザー同様、トウシンマカオをマークする形は戦前に想定していたレースプランのひとつだっただろう。4角を締め気味に回ってトウシンマカオを追ったのも正解だろうが、ここの回り脚がもうひとつ足りず、強引でもビッグシーザーにコジ開けられてしまったのが痛かった。ここがスムーズなら2,3着は有った。尤も、このちょっとした回り脚の差が案外大きいのだが...。

第31回チューリップ賞(GⅡ)

スウィーブフィート

シープスキンノーズバンド。骨格のしっかりしたいい馬だが、頭が高い分、腰が甘い様な印象も。出遅れ1馬身不利。そのまま後方からジックリと。前走京都戦は道中で行きたがっていたが、バラけた位置で乗られたことで、馬もリラックスして走れたか、今日は折り合いが付いた。4角を回り切ってから大外。内にモタれ気味では有ったが、坂下迄の勢いで勝ったかの脚色。坂を上り切る途中で右手前にはなったものの、完勝だった。馬体に柔軟性が有って、追い出してからのフォームが実に伸びやか。素質がないと出来ない芸当といえる。まだ芯が入っていないのも確かで、次走もこの脚が再度使えるかどうかは疑問だが、圏内の1頭に。

セキトバイースト

2人曳き。前後肢にバンテージ。-10kg。歩様には力強さが有って、体幹は強そうだが、これだと流石に細いか。腹が大分巻いていた。気配もこれ以上、気負わない方が...。出脚は他に速い馬も居たが、行きたがって押し出される形でハナへ。行き切ってからは、我慢して走れていた。好位グループが固まる展開では有ったが、そもそも押し出されている様に、誰も競り掛けて来ず、直線に向いた段階でも持ったままで単騎。内回りとの合流地点で突き放す形も造れたが、スウィープフィートの決め手が一枚上手だった。逃げる形になったのは初めてだったが、いいスピードが有る。これも次走は面白い存在に。

ハワイアンティアレ

後肢にバンテージ。このメンバーだと馬は大分落ちる。数字の割にしっかり踏めているのだが、もう20kgは欲しい。ゲートも微妙に分が悪かったが、出脚もなく後方から。スウィープフィートの一歩前からの競馬。これもバラけた位置だったことも有って、折り合いは付いていたが、スウィープフィートとは違い、4角の手応えがイマイチで、とても外を回せる様な状況ではなく、苦し紛れに馬群の中へ突っ込んで行く形。直線に向いてからの反応もスウィープフィートの方が良かったが、右手前のまま坂下辺りからジリジリ伸びて3着浮上。未勝利からの参戦だったが、中々渋太い。距離は延びても良さそうで、本来なら東京で狙いたいタイプだが、だからこそ2着が欲しかった気もしないでもない。次走は苦戦覚悟だが、それでも権利取りの為に、メイチの勝負をさせられるのが...。

タガノエルピーダ

前走は少し煩かったが、今日は落ち着いていた。数字は440kgでも、馬体にメリハリが利いて、キッチリ出来ていた。ゲート五分。ポジション争いが激しくなかったことも有り、外枠でも労せず好位。ただ、ずっと壁がない状況。3角手前で一瞬、エラトーを前に置く状況が造れそうになったのだが、そこをスティールブルーに内からブロックされたのが痛恨。道中はずっと力んだままだった。上位3頭は極端な競馬をした馬で、これでは直線で伸びないのも仕方がない。ただ、人気を背負って外枠からの正攻法。鞍上は責められないところ。逆にいえば、抽選さえ突破出来れば狙い目に。

エポックヴィーナス

2人曳き。前後肢にバンテージ。436kgしかない馬だが、寸が詰まった体型。前走京都の未勝利戦よりはメリハリが出て、成長しているが。ただ、今日はテンションが高い。ゲートは速い方だったが、直ぐ外のワイドラトゥールが更に速く、叩かれた上にそのワイドラトゥールが控えたことで中段から。ただ、今日の展開なら、変にゴチャつくよりはこれはこれで良かったか。脚が矯められた分、直線は手応え充分。ただ、ここで最初の進路選択を間違えたのが痛かった。坂下辺りで前が詰まって、その間に更に後ろに居たハワイアンティアレに先を越されてしまい、その後追いになってしまった。初手さえ間違っていなければ、3着有っただろう。とはいえ、能力評価をするなら、最高の競馬で3着。現状は何とか500万で通用する程度。

スティールブルー

前後肢にバンテージ。数字の割にメリハリが利いていい馬だが...。ただ、トモが甘い。思ったより良くなっていない。ゲート五分。ジワッと行かせて好位。少し行きたがっていたが、我慢は利いていた。直線に向いた段階での雰囲気も悪くない様に見えたが、いざ追って案外。完敗としかいい様がない内容。暫く掛かりそう。

第98回農林水産省賞典中山記念(GⅡ)

マテンロウスカイ

ドッシリと見せるタイプで、馬は元々見栄えがする。490kg台だと少しボテッと映る傾向も有り、現状はこれ位がベストか。ただ、今日は少し歩様が硬い。この馬としては好発。出脚は楽ではなかったが、ドーブネの先行策に乗る形え、押して好位のイン。出して行った分、序盤は行きたがっていたが、コントロールは利いていた。4角を回る際に進路を確保、逃げたドーブネとの一騎打ちになったが、登坂力で競り落とし、そのまま押し切った。見た目には完勝だが、ラストは12.8秒と、差せない馬場を味方にした感も強い。最近の体たらくを考えると、過信出来ず、次走試金石。

ドーブネ

遮眼革。-12kg。前走東京戦が少し太かっただけに、数字分だけスッキリ。これもこれ位で丁度か。テンションが高いのは元々なら、トモが甘いのも元々。出脚は速い方だが、内のジオグリフも渋太く、少し抵抗されながらも押してハナ。1000m通過58.6秒は良馬場なら平均よりも遅い位のペースだが、この馬場ではむしろハイペース。単騎の逃げでは有ったが、マテンロウスカイのいい目標にされた感も。ただ、それ以外の好位勢は4角で既にアラアラの手応え。結果的に肉を切らせて骨を断つ形となり、2着確保。やはり、単騎逃げが叶えば渋太い。尤も、逃げたい馬にしては出脚が怪しいのがネックなのだが...。

ジオグリフ

2人曳き。+12kg。前走中京戦の方が研ぎ澄まされた雰囲気は有った。少し余裕残しか。ただその分、下見で落ち着いていた。歩様も伸びやか。好発。出脚も一番速い位だったが、外のドーブネが主張、更にマテンロウスカイを連れて来て、その直後から。道中の行き振りは悪くなかったが、向正面に入った辺りで、前をカットされそうになり、手綱を引く場面。この手の馬場で、スタミナをロスさせられる事象はかなり応えただろう。4角で追い掛ける格好は造ったが、直線は坂が上り切れず甘くなった。不利が有ったとしても、得意条件で今日のメンバーならGⅠ馬の貫禄を示して欲しかったところ。現状だと、これ以上は期待し辛いか。

ソールオリエンス

馬体そのものは前走と大きく変わらず。キッチリ出来ていた。しっかりと踏めていた点も好印象。ゲートは微妙に分が悪い程度だが、出脚がなくて後方から。馬群がバラけた向正面で何時でも動ける外へ。今日の馬場だと、外は得策ではないだろうが、トビが大きいこの馬にとってはこれが最善手。最後は良く差してきている。今日はあくまで展開と馬場が向かなかっただけ。中山でGⅠを勝った馬だが、あくまでベストは東京。コース相性が悪い中で見せ場は有っただけに、ジオグリフよりは救いが有る。

マイネルクリソーラ

このメンバーだと少し迫力負けしている感も有ったが、無駄肉が一切なく、スッキリと出来ていた。トモの甘さも今日はマシだが、物見していたのは一般客エリアの傘の影響か。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。向正面の行き振りは悪くなかったが、3角過ぎから置かれ加減。その分、コーナーで外を回さずに済んだということもいえるが、直線に向いてから大外へ持ち出し、良く伸びていた。コーナーで手応えが悪くなるのは、前走も一緒。簡単に直る癖ではなさそう。厩舎が2月一杯で解散となる為、次走は転厩ということになるが、広いコースに出走なら狙い目に。

ヒシイグアス

+13kg。今日は数字分だけ腹回りがボテッと映る。気配抜群、歩様の力強さも何時も通りだが、こうなるとダメ。ゲート五分。両サイドの出脚も速かったが、この馬の出脚で好位から。序盤の行き振りは悪くなかったが、4角手前で既に苦しくなっていた。道悪も基本的にはダメだが、メンタル的に少し淡白で、その点でもこういった馬場は向かない。最近、特にその傾向が顕著になりつつ有る。

ソーヴァリアント

2人曳き。+22kg。今日は明らかに重目残り。この馬としては落ち着いていた方だが、重たい分、歩様も窮屈。ゲートは出た方だが、鞍上に行く気がなく、後方に近い位置からジックリと。それでも道中は行きたがっていた。4角迄はインを回って距離を稼ぎ、直線に外へ持ち出すタイミングも完璧だったが、直線はサッパリ。鞍上も坂下辺りで追うのを止めていた。前向き過ぎる気性だけに、道悪は向くかと思われたが...。馬体を絞って、もう一度見てみたい。

第68回阪急杯(GⅢ)

ウインマーベル

遮眼革。-4kg。前走と大きくは変わらず。一息入ったが、キッチリ出来ていた。歩様がしっかりしていたのも何より。ゲート五分。少し出して、好位のイン。道中は不利もなく、4角を持ったままで回って来た。直線は脚でアサカラキングとメイショウチタンの間を割って、この段階では楽勝かに見えたが、坂下でアサカラキングが突き放しに掛かり、中々その差が詰まらず、最後の最後に漸くハナ差。後述するが、アサカラキングは序盤に脚を使わされており、かなり梃子摺ってしまった印象。次走、中京戦ということになるが、些か苦しいか。

アサカラキング

前肢にバンテージ。前走京都戦もそうだが、少し腹袋が目立つ。ただ、キビキビと歩けていた点は好印象。周回中に首を上下に振る癖は何時ものこと。ゲート五分。ただ、徹底先行タイプこそ不在だったが、重賞で外枠となると、それなりに脚は使わされて、300m程走ってやっとハナ。1000m通過56.7秒はこの距離でも流れた部類。それでも開幕週の単騎逃げの利は大きく、坂下で突き放そうとする場面は有ったが、ウインマーベルが坂の途中からジワジワ伸びて、ハナ差負け。もう少し枠が内か、出脚が有れば勝っていたか。ただ、阪神の開幕週は圧倒的に先行有利。粘り腰は評価したいところだが、その分だけ割引が必要。

サンライズロナウド

横から見ると大きさを感じさせないが、トモが張って、幅が有るタイプ。歩様が硬いのが少し気になるが、これは前走京都戦も一緒。恐らくは最初からの決め打ちだったのだろうが、ウインマーベルを見ながらの競馬。ただ、道中はちょっとリズムが悪かった。前との距離が開いたかと思えば、慌てて追い掛けて、引っ掛かりそうになる場面。直線入口でも前が開かずに暫く待たされていた。最後迄、差を詰めていただけに勿体ない競馬。何処かスムーズなら、勝っていただろう。充分、このメンバーでも通用する。

サトノレーヴ

+6kg。昨年4月京都戦以来。数字上はほぼ出来ているということになるが、腹回りには緩さが有った。歩様はこれでいいが。ゲート五分。出脚は一番速い位だったが、両サイドから徹底先行の構えで来た馬が居て、その3番手。道中は前に壁がなかったことも有るが、舌を出しながら走っており、リズムが悪かった。その分、4角での手応えがイマイチで、直線も伸び切れない。坂下辺りで外へヨレる場面が有ったのも気になった。まだ体力不足?

ボルザコフスキー

前走京都戦は少し気負っていたが、今日は落ち着いていた。その分なのか、舌がハミを越して遊んでいたが...。馬体や歩様は変わらず悪くない。例に依って出脚がなく、後方から。道中は少しオッツケ気味の追走。その分、コーナーで動けない形となったが、それでも直線は上手く捌いて来た。今日の展開ではこれが一杯だが、最後の脚は悪くなかった。もう少し出脚が来れば。

カルロヴェローチェ

2人曳き。パシュファイヤー。-10kg。もうひと絞り有ってもいいが、絞れたのはいい傾向。イレ込みも前走京都戦と比べればマシになった。ゲートで微妙に安目を売って、中段やや後方。前走京都戦程ではないが、やはり行きたがる場面は有った。ただ、今日はこの影響で攻めた乗り方が出来ず、位置取りを悪くしてしまった方が応えた印象。逆にいえば、4角では二桁着順を覚悟させられた中で、最後は良く差を詰めていた。差しが利く馬場なら、次走狙い目。