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競馬回顧 2024年1回京都

第65回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

チャックネイト

+8kg。特に太い印象はなく、馬体増は好印象。むしろ中身が充実して来たとみたい。歩様にも力強さが出て来た。ゲート五分。外からジワッと行かせて好位。道中は不良馬場も全く苦にせず、リズム良く走れていた。3〜4角中間から早目に動いたショウナンバシットを目標に進出。ただ、回り脚が怪しく、坂下では外からのボッケリーニに出られ加減。苦しい態勢だったが、坂を上り切って差し返してハナ差逆転勝ち。短期免許の女性ジョッキーという括りでの重賞制覇は中央競馬史上初とのことだが、追える鞍上と馬の勝負根性が上手く噛み合った。堅実に走れるタイプで、今後も有望。

ボッケリーニ

馬体は前走阪神戦とほぼ一緒。そこ迄の迫力はないが、それなりに纏まっている。前走は歩様に非力さが有ったが、今日はその点もマシ。ゲート五分。同馬主で直ぐ内のチャックネイトが好位に取り付いて、それを見ながらの競馬。早々にステッキは飛んでいたながらも、4角の回り脚は速く、チャックネイトに対し、一旦は首程出ていたが、坂を上り切ってフワッとしたところを差し返されて痛恨の2着。勝ち馬が同馬主だったからまだ救いの余地も有るが、頂けない負け方。馬は強い内容。手堅く賞金は咥えて来るのは立派。

クロミナンス

シープスキンノーズバンド。-8kg。数字分だけ腹回りがスッキリ。いい方に捉えたい。ただ、前走東京戦と比較すると、微妙に歩様が硬い。ゲート五分。急かさず、この馬の出脚で好位直後。1角迄は外へ出そうとしていたが、壁が有り、腹を括って内ラチ沿いから。トビが大きいタイプだけに、ところどころでノメる場面も有ったが、道中は健気に走っていた。4角の手応えこそ流石に渋かったが、直線に向いて盛り返して3着。上位2頭はソコソコ強い馬で、初重賞挑戦と考えれば良く走った方だが、今日は外枠が欲しかったか。何れにしても力は通用する。

モリアーナ

遮眼革。前肢にバンテージ。このメンバーだと馬の迫力で上位。踏み込みが深く、歩様に力強さを感じさせるのもいい。ゲートは微妙に分が悪かった程度で、頑張れば先行出来ただろうが、この鞍上でも有り、全部下げて最後方から。元々そういうタイプとはいえ、この馬場でも少し行きたがっていた。3〜4角中間から外を進出、もう少し道中がスムーズなら突き抜けていたか。惜しい内容。牡馬相手でも優にやれるだけの力は有るが、現状だと1800m位の方がいい。

マイネルウィルトス

シープスキンノーズバンド。+2kg。前走も重目に映っただけに、絞れて出て来て欲しかった。歩様や毛ヅヤ等、他の部分は悪くないのだが...。ゲートで立ち上がる場面も有ったが、好発。選択肢のひとつとして、レース前からプランに有った様で、誰も行かなかったことも有り、主張してハナへ。1000m通過62.2秒は不良馬場だけにスローではなかったが、見た目にはマイペース。ただ、そこから3角過ぎにショウナンバシットに来られて、少しキツくなった。直線に向いて突き放す場面迄は有ったが、流石に坂が上れず。馬体が絞れていれば、もうひと踏ん張り有っただろうが...。前走もそうだが、馬は責められない。

第41回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

ウィリアムバローズ

-4kg。前走は少し緩かったが、数字以上に締まって見えた。歩様も今日の方が力強い。少し気負い気味なのは何時ものこと。バビットの出方で展開が変わるレースだったが、そのバビットが躓きながらも行き切ってくれて、それに乗る形で2番手。バビットの逃げは大して速くなく、ずっと半馬身後方からプレッシャーを掛けて、3角で既に先頭。結果的にオメガギネスのいい目標になり、苦しい展開になったが、直線半ばで突き放す脚が有り、ここで取った1馬身のリードをそのまま守り切った。先行有利の馬場状態は味方しただろうが、この位置が取れるのもひとつの才能。東京戦はスキップする様だが、これで胸を張って交流重賞に使える。今後も有望。

オメガギネス

前後肢にバンテージ。下見所の外をキビキビと周回して、活気充分。この時期にしては毛ヅヤも冴えている。外の馬に一旦出脚でやられる形になったが、立て直して好位。序盤は結構行きたがっていた。向正面で何とか我慢させて、相手をウィリアムバローズと決めての立ち回り。そのウィリアムバローズが結果的に勝ったのだから、展開上は上手く行ったが、序盤にロスが有った分、最後の踏ん張りが利かなかった。このメンバーだと1800mは少し長いかも。マイルがベスト。逆にいえば、次走東京戦は有力。

ヴィクティファルス

シープスキンノーズバンド。+10kg。前走も+10kgだが、元々細身だったことを考えれば、この馬体増は好印象。ただ、流石に少し重いか。ノンビリ歩けていて、気配はこれでいいが...。今日は躓くことなく、ゲート五分。出脚には余裕が有り、好位のイン。前走もそうだが、砂を被っても苦にする様なか雰囲気はなく、スムーズに走れていた。ただ、今日の馬場でこの展開だと前が止まらない。外へ持ち出すスペースもなく、直線に向いてから追い掛ける形になったが、これでは一手遅い。とはいえ、3着争いを凌ぎ切った点は評価出来る。もう少し決め手が有れば尚いいが、重賞でも足りる。

ブライアンセンス

前走もそうだが、少し太い様な気もしないでもないが...。その割にトモが甘い様な歩様も気になった。出脚は速い方ではなさそうだが、行き脚が付いてからの行き振りは良く、外枠だけに立て直しが利いて、徐々に前へ。1角では中段やや後方だったが、3角で好位直後。ただ、馬場で外々を回されるとキツい。前も止まらず、見た目にはジリジリだったが、最後迄脚を使って何とか4着に。まだ鍛える余地は残しているが、馬がしっかりしてくれば、このメンバーでも足りる。

オーロイプラータ

遮眼革。これも少し重いのだろうが、馬体に張りが有った。歩様がしっかりしていた点も好印象。ゲートは出たが、進んで行かず後方から。道中はオッツケ通しで、コーナーでも全く進まず、直線に向いた段階でもほぼ最後方だったが、そこから1頭だけ違う脚で伸びて来た。リズムが悪かった道中と違って、エンジンが掛かってからは全身を使った走法で、中々ダイナミック。ハマるかどうかは運次第だが、何処か大きいところで一発有りそう。

第64回京成杯(GⅢ)

ダノンデサイル

シープスキンノーズバンド。+4kg。数字は増えたが、前走京都戦より馬体は締まって来た。まだ芯が入っていない面も有るだろうが、大型馬にしては歩様に柔らか味が有る。ゲートは半馬身程、分が悪かったが、行き脚が付いてからが速く、スッと好位。2角辺りでボロをしていたのはご愛敬だが、外でも道中の折り合いは付いていた。コーナーの脚は速い方ではなさそうで、4角が大外だったにせよ、直線に向いた段階では前と距離が出来てしまったが、今日は登坂力が違った。要は馬力の差で勝った形で、能力の絶対値が高い。もう少し回り脚が有ると楽だが、昨年のソールオリエンスよりは、器用さが有りそうなのも好印象。

アーバンシック

前肢にバンテージ。+4kg。どちらかといえばマイラー体型で、どうしても重目に映る分は有るが、もうひと絞り有ってもいい。歩様は力強い。出遅れ1馬身不利。鞍上に行く気もなく、そのまま後方。ただ、行き振りが良かったことも有って、1角辺りから徐々に外を進出。3角で中段。4角で無理に大外を回さなかったのは正解で、ワンテンポ待ってダノンデサイルの通った位置を追う形になってここ迄。ただ、追い出すと頭が上がり気味。まだ中身が伴っていない印象。

コスモブッドレア

前後肢にバンテージ。+6kg。前走は妙に煩かったが、今日は物見する位ノンビリ。元々細身だったので、この馬体増も好印象。バランスが取れて見栄えがする様になった。ただ、明らかに歩様が非力。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍ったが、直ぐに二の脚が付いて好位。折り合いも直ぐに付いていた。後続が来たことも有り、4角で前へ並び掛け、直線は前3頭の争いの中からグイッと一歩出たが、坂を上り切って外から2頭。出来れば賞金を加算したかったところだろうが、3着でも好内容。一戦毎に馬も良くなっているのもいい。今なら500万は楽勝級。

ハヤテノフクノスケ

前後肢にバンテージ。+14kg。数字通り、腹回りが明らかに太い。歩様も窮屈で、今日は感心しない。アスクナイスショー、コスモブッドレアと続けて叩かれる形になったが、抵抗しつつ3番手。これも頑張って行った割には折り合いは付いていた。4角手前からコスモブッドレアに並び掛け、坂下辺り迄は良く食い下がっていたが、坂が上り切れず4着止まり。明らかに能力差を感じさせる内容だが、今日は太い分も有りそう。絞って改めて。

ニシノフィアンス

新馬からキッチリ出来ていた馬だが、今日も増減なしの数字通り、キッチリ出来ていた。踏み込みもしっかりしていた。枠の利も有ったが、無理はせず、好位のイン。ダノンデサイルの一歩前から。4角で前3頭の争いとなり、それを一歩引いた位置だけに、展開的には絶好だった筈だが、直線に向いて伸び案外。ただ、新馬が逃げ切り勝ちで、控えても競馬が出来た点は好印象。能力の絶対値という点で重賞級ではないが、センスは高い。

第71回日経新春杯(GⅡ)

ブローザホーン

2人曳き。前走が-8kgで今回が+12kg。ガサがないだけに、今回の方が明らかに馬は良かった。一歩一歩が力強く、気配も抜群に良かった。最初は先行争いに食らい付こうとしていたが、出脚は速い方ではなく、外から次々来られて一旦組み立て直す形となり、中段。馬場状態がフラットだと、競馬が後手に回ったということになるのだが、今日は外が利く馬場とこの距離にしては珍しいハイペースが幸いしたか。決して楽ではなかったが、最後は各馬の脚が上がる中で、我慢比べを凌げたのは馬の底力も有るだろう。今年3月で厩舎が解散とのことで、本来は前走を勝って昨秋のGⅠに使いたかったところだが、心房細動から立て直したのは厩舎技量。人気の4歳馬に勝った点は高く評価したい。あとは馬よりも鞍上。関西圏、特に改装間もない京都に慣れていないことも有るが、中々スムーズに立ち回れない。

サヴォーナ

馬の活気という点では前走の方が良かったが、馬体はほぼ変わらず。歩様にもブレはなく、問題なさそう。ゲートがで分が悪く、出脚も苦しくサトノグランツにやられそうになっていたが、押して好位。ちょっと行きたがるのは覚悟の上だっただろうが、狙い通り内へ潜る形は出来た。とはいえ、今日はハイペースとなって失敗気味だったが、内に居た分、坂の下りで我慢して脚を矯めていたのが最後のひと踏ん張りに繋がったか。中々強い内容。あとはゲート。前走も一完歩目でやられて着を落としている。逆にいえば、五分の発馬なら重賞は勝てる。

サトノグランツ

+10kg。馬体にメリハリが利いて、太い印象は全くない。歩様にも勢いが有って、気配も抜群に良かった。ゲート五分。出脚はそこ迄速い方ではなく、サヴォーナと似た様なモノだろうが、ゲートが決まった分、楽に好位。今日はペースが流れたことも有るが、道中でズブいのは仕方がないところ。それでも、決め手がないので坂の下りを利しての早目スパートするしかなく、直線入口で先頭に立ったが、流石に早過ぎたか。後続を突き放す脚がなく、最後の最後に止まって3着。今日は弱点が露呈した格好。本格化すればズブさは解消される筈だが、まだ暫く掛かりそう。

ハーツコンチェルト

前肢にバンテージ。+6kg。腹回りの雰囲気を見る限り、少し重いか。歩様のキビキビ感だけをいえば、今日の方が良さそうだが。ゲートで分が悪く、スタート直後にシンリョクカに叩かれたが、外枠故に立て直しが利いて中段。このペースでも、少し引っ張り気味の追走。早仕掛けが確実なサトノグランツをマークする形で、展開的にはドンピシャだった。逆にいえば、それでサトノグランツに一瞬並び掛けただけで甘くなったのは頂けない。今日は評価が下がる。重目が祟ったのだろうが...。次走試金石。

カレンルシェルプル

遮眼革。シープスキンノーズバンド。-8kg。もう10kgは絞ってもいいくらい。歩様にも重苦しさが有った。ゲートを真っ直ぐ出ず、スタート直後にハーツイストワールと接触して出脚が鈍り、後方から。道中はブローザホーンの後追い。展開上はブローザホーンの位置で一歩遅れている形で、要は二歩遅れているが、それにしてもブローザホーンとは脚が違った。実績通り、少し力量差は有りそう。

リビアングラス

馬に集中力が有って、気配絶好。造り自体は決して大きくないが、それだけにトモのボリューム感が目立つ。外のディアスティマも押しての先行だったが、その勢いに押されながらも、抵抗しつつ先行。1角迄、マトモに競り合う形になってしまった。コーナーではディアスティマに行かせて脚を矯めようとしていたが、向正面に入ると、今度は馬が我慢出来ず、突く形。4角手前で既に脚がなくなっていた。今日は鞍上の失敗。序盤をもう少し楽に入らないと終いが保たない。

第61回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

ミッキーゴージャス

元々垢抜けた馬だが、前走京都戦と比較して、大分重量感が出て来た。キビキビ歩けていて、デキも良さそう。外枠で出脚がそこ迄速くなかったことも有り、後方から。1000m通過57.4秒と中々のペースで流れたが、1000m過ぎから動いて、3角で好位、4角で2番手。流石に最後は突き放す迄の脚ではなかったが、余裕を持って押し切った。鞍上の元々が居た所属厩舎の馬で、気合が入っていた様だが、馬を信じて乗って力強さを感じさせる内容。マイルに対応出来る馬ではなさそうだが、2000m辺りなら牡馬相手でも通用しそう。

タガノパッション

前後肢にバンテージ。-6kg。馬体はこれ位で丁度。前走京都戦はイレ込んでいただけに、落ち着いていた点も好印象。ゲートで分が悪く、後方に近い位置。開幕週だけに、内ラチ沿いを只管進んで、コースロスなく立ち回る形。このハイペースだけに、4角で下がって来る馬も居たが、コスタボニータがいい先導役にもなった。直線だけ上手く外に出して展開的にはハマったが、最後はミッキーゴージャスを称える外ない。ただ、これでオープン昇格。今日は53kgのハンデとも噛み合って上手く行った感が強く、ハンデ54kgを背負って重賞で闘えるかといえば些か疑問も有るが。

コスタボニータ

後肢にバンテージ。馬体は元々大きく見せる方ではなく、こんなモノだが、今日は歩様が硬いのがマイナス。出脚は一番速かった位だが、内外から何が何でもの構えで行った馬が居て、無理せず好位のイン。このぺースで道中オッツケ気味なのは仕方がないところ。ただ、3〜4角で一瞬だけ前の馬が下がって、詰まりそうになる場面も有ったが、結果的に脚を矯める形になったか。暫くして上手く捌いて、既に前に居たミッキーゴージャスを追ったが、ラスト200m過ぎから甘くなって3着。とはいえ、初の2000mでこのハンデと展開なら今日はこれで良く走った方。まだまだやれる。

アレグロモデラート

前肢にバンテージ。チャカ付くのは元々だが、これでも堪えている方。この時期にしては皮膚を薄く見せていた点も好感。直ぐ内のウインピクシスの先行策に乗る形で好位。今日は序盤のペースも速かったが、4角手前でミッキーゴージャスに来られて動かざるを得なくなったのもキツかったか。直線半ば迄は先頭で見せ場は有ったが、最後は完全に止まった。とはいえ、馬は責められない。今日はハンデ51kgだが、充分勝負になる。

テリオスマナ

前後肢にバンテージ。半年振りだが、例に依って見栄えがする。キッチリ出来ていた。ただ、これも煩いタイプで、気配は何時もと同程度。ゲートでヨレたことも有るが、例に依って行く気もなく、後方から。1周目の決勝線辺りで内ラチ沿いに寄せ、4角迄はずっと最内、直線は馬群を捌きながらここ迄。実質的に入着狙いの様な競馬で、高い評価はし辛い。尤も、1000万を勝ててない馬だけに、馬主孝行という意味では最高の競馬。

ウインピクシス

少しトモが甘い歩様は毎度。馬体は纏まっていて、毛ヅヤも良かった。特に減点材料はなさそう。出脚は一番速かった位で、楽に2番手。ペースが速かったにせよ、4角手前でアラアラ。直線は全く追っていなかったにせよ、負け過ぎ。このメンバーなら何とかなっていいのだが...。次走福島戦とのことだが、確かに1800mにして少し間隔を開けた方が良さそう。

第58回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

ノーブルロジャー

+8kg。馬体は見栄えするが、今日は少し太いかも。ただ、新馬の東京戦より歩様がしっかりした印象。内外の馬に出脚でやられて中段やや後方から。道中も四方八方に馬が居て、窮屈そうに走っていたが、鞍上の判断で3角から徐々に外へ。4角で好位に取り付き、直線は大外から1頭だけ脚が違っていた。今日は鞍上の失敗を馬に助けられた格好。完全に力任せの競馬の競馬になってしまったが、それでもこの勝ち振りだから相当強い。出脚がもう少し有ると楽だが、基本的には競馬に注文は付かないタイプの筈で、距離を延ばしてもいいかも。

エコロブルーム

前後肢にバンテージ。どちらかといえば寸の詰まったマイラー体型。ただ、歩様の硬さはなく、踏み込みが深い。外枠だったが、この馬の出脚でジワッと先行。これも内外前に馬が居たが、そこ迄揉まれることもなく、リズム良く走れていた。ただ、それで居て直線入口での反応が悪かったのが頂けない。モタついている間に最初に狙った進路がなくなって、外へ立て直す場面が有った。先頭に立つ前にノーブルロジャーに交わされており、最後は少し脚を使った程度。。課題の残る2着。

ウォーターリヒト

前走阪神戦より落ち着いていたのが何より。ずっと芝2000mを使われていたが、確かに軽い造りの馬。それで居て、歩様に非力さもない。ゲートは出たが、マイルの出脚に付いて行けず、最後方から。全く人気がなかったことも有り、4角迄大事に乗って、直線だけ外へ。向いてからの反応も良く、いい脚を長く使えていた。惜しい3着。正月の京都にしては珍しく、外が利く馬場だったことも見方しただろうが、少なくともフロック感はない。次走も京都戦とのことだが、有力馬の1頭に。

ラーンザローブス

444kgしかないが、垢抜けた馬体の持ち主。前走中山戦はイレ込んでいたが、今日は嘘の様に落ち着いていたのもいい。歩様もしっかりしていた。出脚を利かせて好位のイン。セコい競馬は出来たが、下見は落ち着いていた割に、道中は力んでいた様にも見えた。直線に向いてフェリーニに体当たりを食らいながらも、渋太く伸びて来たが、もう一押しがなかった。土曜日の開催から芝の塊が飛ぶ場面が多く、馬場が緩くて、開催3日目にして外が伸びる馬場状態になっていたとはいえ、最高の形だっただけに案外感が有る。もう少し気性的な成長が欲しい。

ショーマンフリート

後肢にバンテージ。+18kg。緩んだところもなく、数字はほぼ成長分。落ち着きが有って、歩様もスムーズ。この馬の出脚で中段やや前辺り。馬群の外だったが、折り合いも全く問題はなかった。有る程度、前に居た分、外枠でもコースロスは少なかったが、いざ追ってから頭が上がって中々前に進まない。見た目はいい馬でも、中身がない。戦前は鞍上が妙に強気で、次走も東京で重賞に使うとのことだが、暫く掛かりそう。

第40回フェアリーステークス(GⅢ)

イフェイオン

前肢にバンテージ。-4kg。芦毛でもはっきり分かるレベルで、馬体にメリハリが出て来た。踏み込みも深くなって、2ヶ月で別馬に成長した。ゲート五分。外枠にしても出脚は速くなさそうで、押して好位。押した分、少し道中は掛かり気味だったが、追い出してからの反応は悪くなく、坂の上り端で内へモタれながらも相手が来たら来ただけ伸びて快勝。クビ差だが、勝負根性が違った印象。馬のスケールだけをいえば、上は幾らでも居るのだろうが、この勝負強さは高く評価したい。次走は阪神戦直行となりそうだが、内枠が当たれば2,3着には必ず押さえたい。

マスクオールウィン

+6kg。胴長で見栄えのする馬体は元々。落ち着いていた点も変わらずだが、前走よりは歩様も幾らかしっかりして来たか。出遅れ1馬身不利。鞍上に挽回する気もなく、そのまま後方から。道中もガッチリ手綱を抱え込んでいた。4角手前でゴーサインを出し、外を一気に進出。坂下でイフェイオンに並び掛けるところ迄は来れたのだが、そこからは相手の渋太さが一枚上手だった。ただ、能力の問題だけでなく、バラけた位置でも手綱を引っ張っていないとダメな気性面も課題。もう少しリラックスして走れるようにならないと。

ラヴスコール

前後肢にバンテージ。背丈が低く、数字通り小ぢんまりとした馬体。これは仕方がないが、もう少ししっかり踏める様になって欲しいところ。逃げ馬の直後から運びたかった様だが、メイショウヨゾラに出脚でやられ、そのメイショウヨゾラが控えたことで中段から。道中は何とか我慢して走れていた。この1列分が致命傷になることも少なくないが、直線は何とか捌いてここ迄。逆にいえば上手く捌いただけに能力差は有るということもいえる。これも次走重賞とのことだが、些か厳しい。

スティールブルー

前後肢にバンテージ。冬毛を刈った跡。430kgだが、ラヴズコールより更に背丈が低く、数字よりドッシリと見せる。歩様も悪くなく、良く出来た馬。ゲートは五分に出たが、出脚で微妙にやられ、外から次々来られて一旦引く形。道中はこの位置でジッとするしかなかった。4角で少し外に出し、直線は猛追したが、マスクオールウィンがマクって2着確保したことを考えると、こちらは仕掛け遅れた感は否めない。ただ、いざ追い出してからの全身を使った重心の低い走法は好印象。このあたりのメンバーなら展開ひとつ。

ニシノティアモ

大差はないが、前走東京戦の方がメリハリが有って馬を良く見せた。今日は歩様もイマイチ頼りない。大外枠だったことも有るが、出脚も足りず、後方から。序盤はスティールブルーと並走していたが、3角過ぎからイフェイオンに付いて行く形。今日の展開だとこれでペース判断は間違っていないのだろうが、いざ追ってもうひとつ伸び切れなかった。ずっと外を回さられたにせよ、まだ体力不足。暫く掛かりそう。

キャットファイト

+4kg。馬体増自体は悪い傾向ではないが、少し太いか。ただ、前走阪神戦は少し気負っていたのに対し、今日の方がまだ落ち着いていたのはいい傾向。ゲートを決め、少し押してハナも、直ぐにジークルーネが来て、道中は一緒になってマトモに行きたがっていた。これではどうしようもない。ジークルーネは12着と大敗したことを考えれば、まだ良く踏ん張った方だろう。能力は有るが、使いこなせていない。

第73回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

リカンカプール

-12kg。単純に前走阪神戦で増えた分が減っただけ。これがベスト体重。歩様にも伸びが有り、気配を含めて今日は文句なし。ゲートは微妙に悪かったが、出脚を利かせて好位のイン。道中は揉まれることもなく、折り合いも付いてスムーズに運べた。4角は外へ持ち出す余裕も有り、直線は力強く押し切った。枠を生かして最高の競馬が出来たことも有るが、それを生かした鞍上と馬もお見事。あとはゲート。今日は出たが、基本的にはゲート内がガタつくことが多く、アテに出来ないのがネック。

ククナ

後肢にバンテージ。+6kg。気配はそこ迄変わらないが、数字分だけ腹回りが立派。それでもこの時期にしては毛ヅヤが冴えていて、デキ自体は高いレベルで安定。ゲートは出たが、出脚がなく、押して何とか中段やや後方。押した分、序盤だけ行きたがっていたが、向正面に入った辺りから馬に囲まれながらも我慢して走ってくれていた。4角で少し待って、直線は馬と馬の間を割る形。登坂力が有って、外から良く伸びたが、完璧に運んでいたリカンカプールを交わす迄には至らず。GⅢのメンバーなら圏内だが、過去の戦歴から好走の翌走は明らかにパフォーマンスが落ちる。次々走が狙い目。

マイネルクリソーラ

+4kg。前走京都戦が少し細かっただけに、この馬体増は好印象。首を上下に振って煩いのは前走同様だが。歩様は悪くない。下見で煩い割に出脚が鈍く、押して押して好位。道中も行き振りが悪くオッツケ気味で、4角では既にステッキが飛んでいた。最後迄ジリジリ伸びて3着確保。直線はククナに追い負けたというよりは、渋太く食い下がっていた印象の方が強かった。追わせるタイプだけに、この鞍上は合っている。ただ、次走は東京開幕週とのこと。オープン特別とはいえ、決め手負けする危険も少なからず。

ボーンディスウェイ

オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。2歳時は馬体を持て余していた感も有ったが、昨夏辺りから馬が良くなっている。手先のスナップも利いている。少し押しただけで行き脚が付き、好位の一角。折り合いは付いていた。4角を持ったままで前へ並び掛け、坂下で先頭。しかし、そこからが続かず、後続の強襲に遭い4着止まり。ただ、見た目に脚が上がった印象はなく、今日は決め手の差だろう。重賞でも足りないことはないが、もうワンパンチ欲しい。

ホウオウアマゾン

オーストラリアンブリンカー。-4kg。僅かでも数字分だけスッキリしたか。今日の方が馬に活気も有った。2000mでも出脚は決して速くなかったが、押して2番手。逆に道中は掛からず、リズム良く走れていた。4角でボーンディスウェイの進出に併せて、先頭。流石に最後は甘くなったが、久々に見せ場が有った。出脚が落ちているので、今ならこれ位の方が良さそう。次走狙い目。

第62回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

コレペティトール

-2kg。前走阪神戦が+12kgで、それよりは少し馬体が締まって見えた。歩様が微妙に頼りないのは何時ものこと。ゲートは五分に出たが、出脚がなく後方に近い位置。ただ、周囲の馬が出遅れており、挽回が利いて3角で中段には付けていた。あとはこの鞍上らしく、只管インに拘った競馬。ドルチェモアが大逃げを打ったことで、直線に向いた段階でも前との距離は少し有ったが、ひと追い毎に伸びて、最後は半馬身差。勝つにはこれしかないという競馬。逆にいえば、マトモに走ると少し足らないということもいえるのだが...

セッション

-6kg。前走東京戦は腹回りがボテッと映ったが、数字分だけ締まっていた。キビキビ歩けていて、気配も悪くない。ゲートは微妙に悪かったが、押して先行。無理矢理ハナへ行ったドルチェモアは意識せず、まず内ラチに寄せていた。出して行った割には折り合いは付いていた様に見えた。坂の下りで少し距離を詰めてはいたが、直線に向いてもドルチェモアとの距離は3馬身程。ラスト200mで先頭に立ち、このタイミングも間違っていないだろうが、勝ち馬のギャンブルが当たった格好。強いていえばゲートが決まっていたら勝っていたということもいえるのだが、勝ち切る為の武器は欲しいところ。

トゥードジボン

胴長で少し腹回りは薄い体型は前走と変わらずだが、今日の方が少し集中力を欠いていたか。歩様ももっとしっかり踏めるに越したことはない。これも微妙ながらゲートは分が悪い方。それでも出脚は速く、好位から。ハナがベストとはいえ、この形でも折り合いは付いていた。直線に向いても手応えは有ったが、いざ追って頭が上がって、手応え程伸びてくれない。このメンバーでも展開ひとつだろうが、この点でベストはハナ。

アヴェラーレ

2人曳き。トモに丸みが有って、数字の割には良く出来ている。ノンビリと歩けていた点も好印象。歩様も悪くない。ゲートは出たが、出脚が有る方ではなく、後方から。ただ、外枠だけに番手を押し上げるのも容易で、3角で中段。ただ、今日の馬場でずっと外を回されていたのは如何にもキツかった。直線は手前が何度か替わっており、左回りの方がいいだろうが、全てひっくるめてフリームファクシを捕まえたことは高く評価したい。クラブの馬だけにもう1走して引退ということになるだろうが、メンバー的には何処へ使っても足りる筈で、何とかしたいところ。

フリームファクシ

前後肢にバンテージ。このメンバーなら馬はは一枚上。最初はトモが甘くてどうしようもなかったが、その点も大分マシになった。3歳時は馬が若くてゲートがアテにならなかったが、今日は五分の発馬から中段。流れには乗れていた。直線も外からジリジリ来ているが、最後の100mは明らかに止まった。とはいえ、昨春の中山戦からサッパリの競馬が続いていただけに、キッカケは掴めたといえそう。重賞を勝つにはもう一段の上積みが必要だが、そう遠くはない筈。

ダノンタッチダウン

増減なしだが、この数字でも極端に緩い印象はなくなりつつ有る。勿論、絞れた方がいいのは確かだが、確実に良くなっている。ゲートで安目を売って後方。ただ、掛かっていた訳ではないが、馬がソノ気になって、スペースを探して少しずつ進出。3角では好位に取り付いていた。直線入口でトゥードジボンの直後。競馬としては上手く行った方だが、まだ全身が使えておらず、直線は内にモタれ気味。これもデビュー当時からの期待馬だが、こちらは暫く掛かりそう。