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競馬回顧 2020年5回阪神

第65回京阪杯(GⅢ)

フィアーノロマーノ

毛ヅヤピカピカ。550kgを超える馬だが、緩んだところが一切ないのが何より。歩様にも力強さが有った。出脚のない馬ではないが、流石に1200mだと速い馬も多く、行きたい馬に行かせて好位直後。超大型馬だけに内外に馬が居る展開は宜しくなかった筈で、序盤を上手くやり過ごしてポケットへ潜り込めたことは大きかっただろう。あとは早過ぎず、被されずで、仕掛けのタイミングだけ間違わなければといったところだったが、外から進出して来たタイセイアベニールだけには被されない様に抵抗しうつ4角を回り、切れる印象ではなかったものの、一歩一歩ジリジリ差を詰めて、先に抜け出したカレンモエを捕まえた。土曜の2歳重賞もそうだが、今の阪神は馬力が有った方が有利。現時点で次走未定だが、昨年グランアレグリアの2着だった阪神戦へ向かう様なら素直に本命級。

カレンモエ

前後肢にバンテージ。増減なしだが、腹回りはギリギリ。一息入れて、硬さはなかったが、もう20kg増えてもいい。一番速かったのは直線1000mで勝っているジョーカナチャンだったが、この馬も付いて行ける出脚が有り2番手。いいスピードが有って、自分のペースで競馬は出来た。4角の手応えも充分、直線で内を開けるだけの余裕も有った。最後はフィアーノロマーノのパワーが勝っただけ。平坦の京都開催なら勝っていた競馬だった。血統馬ということも有るが、重賞初挑戦でこれだけやれれば充分。GⅢレベルならチャンスは続く。

ジョーアラビカ

毎度のこととはいえ、腹回りが緩く、トモの送りも硬い。これで良くオープン迄上がって来れたと思う程。スタート直後に挟まれてしまい、鞍上の腰が落ちてダッシュが鈍り後方から。この段階で腹を括った様だが、仕方なしにインを突いたら思いの外、ショートカットに成功して4角で逃げ馬の直後。一瞬はやったかの場面迄造った。流石に坂を上り切ってからは甘くなったものの、大健闘の3着。見た目はともかく、レース内容は確実にパワーアップしている。本当に馬が良くなればタイトルに手が届くかも。

アンヴァル

2人曳き。歩様に硬さはなく、大きな減点材料はないが、昨夏阪神戦はもう少し馬に迫力が有った。実績が示す通り、夏場の方がいいタイプ。半馬身程出負けしたが、枠の利も大きく、中段から。4角から外へ持ち出して、直線入口でカレンモエの直後。坂下からフィアーノロマーノとの併せ馬で伸びて来た。外からスムーズに運べていたらもう少し際どくなっていただろう。苦手な冬場としては良く走っているということになるが、鞍上の判断として外へ持ち出した結果、後方のジョーアラビカに進路を譲って先着されたというのは騎乗ミスといわれても仕方がないだろう。

シヴァージ

遮眼革。前後肢にバンテージ。-8kg。腹袋が立派なタイプでどうしても太く見えるのだが、それだけに馬体減は良し悪しの判断が付き辛い。歩様に問題はなさそうだが。ゲートがゆっくりで後方から。トビが大きいタイプで、インを突いてもいいことはなく、直線は大外。今日は外へ持ち出した馬が多過ぎて、厳しい形になってしまったが、最後は際どいところ迄、差を詰めていた。毎度のことながら、今後も展開一つ。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第40回ジャパンカップ(GⅠ)

アーモンドアイ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。牡馬相手だと目立たないのは毎度で、見た目に大きな変化はない。一歩一歩を踏みしめる様に歩いていた。好発。キセキには叩かれる形になったが、この馬の出脚で好位のイン。道中はずっとクレッシェンドラブが外に居て、他にも明らかにマークと思われる馬が多く、ずっとプレッシャーを掛けられる形。今日の馬場だと内に居ることは得策ではなかった筈だが、出せるタイミングすらなかった。4角でそのクレッシェンドラブが脱落、これで直線は外へ持ち出せることになったが、ラスト200mで左手前、ラスト100mで右手前と、手前を2回替えながらも完勝だった。今日は見た目以上にキツい競馬だった筈。かつてのウオッカもそうだったが、3歳時に決め手一本で勝っていた馬が、5歳時位から掻き込む様な走法になり、パワーアップ出来る様になった。昔も強い牝馬は居たが、古馬になってGⅠ級に成長したのは数年に1頭のレベルで、3歳時の貯金で食っていた馬が大半。現代競馬で牝馬が強いのはこれが調教で身に付く様になったことも一因だろう。

コントレイル

この中間の攻め馬が怪しかったが、想定よりは遥かにいい状態で出て来れた。迫力がないのは元々で、毛ヅヤが良くて、歩様に硬さがないのは何より。思ったより出脚がなく、アーモンドアイをマークすべく、外から来られて中段やや後方から。今日は流石に折り合いが付き、直線向いてデアリングタクトと併せ馬。一瞬の反応は明らかにデアリングタクトより上で、それなりに伸びているが、アーモンドアイには届かず。この馬としては追い出してフラついた感も有る。アーモンドアイと同じ位置で競馬すべきだったという意見も有るが、今日はあの包囲網を考慮すればこれで正解だった筈。前走京都戦のダメージは有ったとしても、力の差と考える外ないだろう。これで年内休養とのことだが、鍛え直して改めて。

デアリングタクト

後肢にバンテージ。-6kg。下見は最後方を周回。ちょっと細くなった気もしないでもないが、今日は落ち着いていたことが何より。歩様も維持出来ていた。この馬としてはゲートを出た方だが、距離を意識して、急かすことなく中段から。眼前にアーモンドアイを置いてマークする形にもなっていた。ただ、4角で内へ押し込められたアーモンドアイと違い、こちらは馬場のいい外へ。結果的にコントレイルと併せ馬になったのも悪くなかったと思うのだが、いざ追い出して内にモタれてしまった。最後は首の上げ下げで何とか勝ち取った3着。モタれたのは今迄になかったことで、初めて本気で走ったということだろう。これもまずは馬体回復に専念するということになりそうだが、今日はいい経験になった筈。

カレンブーケドール

2人曳き。シープスキンノーズバンド。例に依ってしなやかな馬体。この時期にしては毛ヅヤも維持出来ている。アーモンドアイの方がゲートが速く、行かせるか自らが行くかで一瞬迷っていたが、出脚もアーモンドアイに利が有り、控えて直後に付ける形。道中で馬場を気にしている素振りはなかったが、得意ではなかったのも確かだろう。直線で外へ持ち出し、一瞬だけアーモンドアイに並び掛ける場面迄造ったが、ラスト250mで左手前になって苦しくなった。これも3歳時と比較すれば遥かにパワーアップしているが、アーモンドアイの進化がそれ以上だったということ。アーモンドアイの様なクラブの馬や、ウオッカの様な名物オーナーの馬なら別だが、通常の個人所有馬だとギリギリ迄追い込めない部分が有りそう。

グローリーヴェイズ

2人曳き。前肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ緩い気もしないでもないが、あとは前走京都戦と変わらず。活気が有る反面、時折歩様にスムーズさを欠く点も一緒。ゲートは微妙に悪かったが、直ぐ内のヨシオが先導役となり、好位へ。同馬主のアーモンドアイに対し、一歩前での競馬。結果的に大逃げのキセキを自力で捕まえに行く形となり、苦しくなったが、それでもラスト300mで内にモタれてアーモンドアイに交わされてから、再び盛り返そうとはしていた。これも馬を強くする内容。

第7回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

ワンダフルタウン

前後肢にバンテージ。骨格自体はしっかりした馬。歩様も悪いという程ではないが、まだ力が付き切っていない印象も有る。スタート直後は結構押しており、出脚自体も速くなさそうだが、後方からジックリと。戦前からの決め打ちだったかどうかは定かではないが、道中は明らかにラーゴムをマークして乗られていた。終始、1馬身左後方の位置を維持して、直線は内へモタれ気味になるラーゴムに対し、こちらは比較的真っ直ぐ伸びて突き抜けた。前走京都戦は決め手不足の感も有ったが、下見の歩様の割にフォームのダイナミックな馬で、最後迄パワーが持続出来たことが勝因。33秒台の決着は歓迎しないということなのだろう。例年と違って阪神開催となったが、結果的にその点もいい方に出た。また、過去の勝ち馬はカデナやドレッドノータスといった不安定なタイプが多いのだが、阪神開催となり、マトモな馬が勝ったということはいえる。

ラーゴム

512kgの雄大な馬体だが、それだけにまだ緩い部分も残している。物見をしていた分も有るが、もうちょっと歩様もしっかりして欲しいところ。一旦、外にタガノガイに叩かれる展開になったが、立て直して中段。完璧にゆったり乗れたという訳ではないが、前に壁がなかったことを考慮すれば折り合いも付いていた方だった。早目早目の立ち回りで、坂を上る途中辺りで前を捕まえるイメージだったが、登坂中に内へモタれて甘くなったところをワンダフルタウンに捕まった。今日の内容だと相手を称える外ないだろう。ただ、新馬は勝負どころで手応えが渋くなっていたが、今日はスムーズ。毎回、新たな課題が出て来ることも確かだが、過去の課題は全てクリアしている。

マカオンドール

前後肢にバンテージ。外目をキビキビ周回。馬のスケールという点ではもっと上が居るだろうが、馬体が締まって、現時点での完成度が高い。スタート直後に挟まれそうになっていたが、何とか頑張って中段のイン。頑張った分、一瞬行きたがったが、1角では既に折り合いが付いていた。道中は基本的にラーゴムと並走。ただ、ラーゴムが早めに動いて、唯でさえ進路が限られていたが、直線でそのラーゴムが内へモタれて立て直す場面が有ったのが更に痛かった。一瞬の脚が有れば割って来れなくはない位置関係でも有ったが、それよりも最後迄諦めずに走れた点を評価したい。人気を背負っていい馬ではないが、時計が掛かった際の伏兵的存在として何処かで高配当を提供してくれる筈。

グロリアンムンディ

+6kg。前後肢にバンテージ。中5週の2戦目だが、思いの外、馬が緩い。新馬の京都戦の方が歩様にも力強さが有った。マカオンドールの項で述べた様に、スタート直後に中枠の馬が挟まれそうになる形となったが、この馬が最も割を食って押し込められる形で後方のイン。道中の折り合いは問題なかったが、何処かで外へ出したいという意思は有ったものの、常時外に馬が居る状態で気付けば直線。腹を括ってインを突くしかなかった。前は開いたが、開催最終週でそれなりに内目の馬場が悪化しており、ひと伸びを欠いた。デキも甘かったが、今日は競馬の失敗の方が大きいだろう。この経験がバネになれば。

ダノンドリーマー

+4kg。腹回りがイマイチ緩いのがマイナス。ただ、一歩一歩にブレがなく、首を下げて歩いており、馬体に柔軟性が有りそう。秘めたる素質は高い。比較上の出脚も甘かったが、ワンダフルタウンとマカオンドールの間で行き場をなくして後方から。ただ、グロリアンムンディより枠が外だったのが幸いして、道中での追い上げが利き、ラーゴムやワンダフルタウンに付いて行く形は造れた。それでも直線は対上位馬で1馬身程伸び負けしたのだが、序盤にスムーズさを欠いたことを思えばそこ迄の差はなさそう。素質は有る筈で、馬体が締まって来れば重賞でも足りる。

第25回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

ダノンザキッド

+24kg。前肢にバンテージ。多少緩い部分も残っているが、ほぼ成長分。このメンバーだと単純に馬が一枚抜けている。ただ、例に依ってテンションは高い。ゲート五分。少し出しつつ、行きたい馬には行かせて3番手。それでも、序盤は力んでいた。バラけた位置だったので何とか我慢が利いたという程度。それでも直線は軽く追った程度。ステッキも追い出した最初に入れただけだった。このメンバーだと性能が圧倒的に抜けていた。ただ、課題も多い。一番は気性面で、道中だけでなく、レース前から発汗量が1頭だけ違った。また、追って頭がやや高いのもマイナス。気性面を含めて、このままだと距離が保たない。

タイトルホルダー

前肢にバンテージ。まだ馬が緩く、全体に力が付き切っていない印象も有るが、特に窮屈な部分もない。歩様もスムーズ。好発。出脚も速かったが、レインフロムヘヴンが行く気を見せた際には無抵抗で2番手に控えて、後続を引き付ける様な格好。3〜4角中間地点では、前と5馬身程離れていた。直線向いた段階でも手応えに余裕が有り、馬場のいい馬場の3分どころ。この馬が先頭に立つとほぼ同時に、ダノンザキッドに捕まっていたが、それでも悠々2着は確保した。鞍上の話では詰め込むと気が入り過ぎるとの話だが、今日の競馬に関しては上手く走れていた。もっとパワーアップしないとGⅠでは通用しないものの、器用さは何時の時代も有るに越したことはない。

ジュンブルースカイ

2人曳き。-10kg。曳き手を自分から引っ張って行く位で、気配は抜群。歩様にも力強さが有ったが、見た目に細い。ゲート自体は速い方だったが、外枠ということに加えて、一瞬行きたがりそうになったことも有り、無理せず中段から。リズムに乗る迄、ソロッと手綱をコントロールしていた様に見えたが、落ち着いてからはスムーズ。ヴェローチェオロに外から交わされた際も連られる様なことはなかった。直線向いてダノンザキッドの直後、展開的には絶好の形だが、追い出して手前が何度か替わっており、伸びを欠いてしまった。首を低く下げて、素質は間違いなく高いが、基礎体力がない。まずは馬体を戻して鍛錬のやり直しが必要。

プラチナトレジャー

前肢にバンテージ。腹回りにまだ緩いところが残り、競走馬としてまだまだ仕上げて途上。ただ、時折小走りが入っていたが、イレ込む程ではなく、気配自体は良かった。ゲートは五分程度だったが、テンから行き振りが怪しく、ジワジワ下がっており、3角で後方2番手。コーナーはインを回して距離を稼ぎ、直線もジリジリ伸びてここ迄。道中で置かれていた割には、最後差を詰めている。成長すればそれなりに走って来そうだが、現段階では500万で勝てるかどうかが微妙なレベル。

ヴェローチェオロ

シープスキンノーズバンド。ややコロンとした体型。その分、完歩が小さい。あまり競馬の結果とは関係ないが、舌がハミを越していた。出遅れ1馬身不利。急かせもせず、引っ張りもせずだったが、馬の気任せで勝手に外を進出して3角で中段。これはこれでスムーズに運べたが、追い出して苦しくなると、推進力が前へ行かず、上へ突っ張る様な走法になって伸びを欠いた。これも要は鍛錬不足。

ジャパン・オータムインターナショナル 第37回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

グランアレグリア

2人曳き。この中間は調整に苦心していたが、前走中山戦の方が馬体の張りは良かった。歩様が落ちていないのはせめてもの救いだろうが。前走の1200mは追走に汲々だったが、今日は五分に出て、少し促した程度で好位。流れに直ぐ乗れた。ただ、内枠の分、他馬のマークが厳しくなった。そのまま内を突こうとしたが眼前のラウダシオンとアドマイヤマーズの間も割れず、外のインディチャンプが抜けた後、ラスト150m辺りで外へ持ち出して突き抜けた。次元が違う内容。前走もそうだが、エンジンが掛かってからの瞬発力が凄まじい。あとはデキを如何に維持するかだけだろう。20年前なら悲運の名馬で終わっていた気もしないでもないのだが。

インディチャンプ

-8kg。中間一頓挫が有った上での休み明けだが、休み明け云々関係なく、デビュー以来、最高の状態。毛ヅヤが冴えて、歩様も力強い。気配も文句なし。時々ゲートでポカも有る馬だが、今日は五分に出て、この馬の出脚で中段。最初からグランアレグリアは意識して乗られていた。向正面ではグランアレグリアに対し、1馬身後方だったが、3〜4角中間からジワッと動いてグランアレグリアと並走。アドマイヤマーズを捕まえた際には鞍上も「勝った」と思っただろうが、グランアレグリアの決め手が違い過ぎた。鞍上としては最高の競馬。デキも文句なしだっただけに、これでやられたら仕方がない。ただ、この馬自身はいい脚が一瞬しか続かないタイプ。阪神の坂と早目に動く展開が向かなかった感は有る。

アドマイヤマーズ

2人曳き。前走京都戦から状態は悪くなかった。強いていえば多少スカッとした程度。発汗がなくなった上で、気配も良かった。ゲートのタイミングが微妙に合わず、スタート直後に鞍上の腰が落ちて僅かに出脚が鈍った。それでも、内からレシステンシアとラウダシオンが行っての3番手は戦前の想定通りで、今日の組み合わせだとロスにはなっていなかった筈。決め手で勝てる馬ではないので、後方は意識せず、自分のタイミングで少し早目に追い出す形。坂下で前2頭こそ捕まえたものの、その時点でインディチャンプにはほぼ捕まっていた。ただ、スカーレットカラーを凌いだのは地力の一端を見せたといえなくもない。相手を見計らって海外遠征に出ればタイトルの上乗せが出来る筈だが、この情勢は何とも不幸。

スカーレットカラー

前肢にバンテージ。前走東京戦が全く通用しなかっただけに、もう一段上向いて欲しかったところだが、良くも悪くも平行線。もう少し馬体の張りが欲しいところだが、硬さがなかったのはせめてもの救い。この馬としてはゲートを出た方だが、この鞍上らしく、最初からの決め打ちで直ぐ内ラチ沿いへ。ゲートを出たことと鞍上の立ち回りの上手さで、11番枠から内へ潜ったにも関わらず、3角の時点で中段よりやや前に居た。しっかり脚を矯めて、内回りとの合流地点辺りから追いだしたが、一瞬の反応こそ良かったものの、坂が上り切れずに4着。3着アドマイヤマーズとは1馬身差で惜しいレースでは有ったが、力の差は歴然だった。ただ、これで引退とのこと。

サリオス

デキに関しては一切ケチを付けるところはない。首でリズムを取り、気配も上々。何より馬体に迫力が有る。枠も遠かったが、ゲートも半馬身位後手に回って後方から。インを突くことはせず、正攻法で外を回したが、レシステンシアの逃げが1000m58.5秒だから少し遅い位のペース。こうなると前も止まらない。最後は伸びているが、今日は参考外。

ジャパン・オータムインターナショナル 第45回エリザベス女王杯(GⅠ)

ラッキーライラック

前後肢にバンテージ。無論、このメンバーに入れば馬は最上位だが、その中でもスカッと見せて結構強目の仕上げ。何時もより活気も有った。出脚は速い方だが、大外枠ということで今日は最初から行く気がなく後方に近い位置。普段の競馬ではないだけに、道中は引っ張り気味の追走だった。1頭だけ違うレベルでの早仕掛けだったが、3〜4角中間から一気に進出し、坂下で既に先頭。サラキアには最後詰められたが、早目に抜け切った分と道中で行きたがった分で、競馬としては完勝だった。インから抜け出しただけの昨年よりは遥かに強い内容。自力で動いて勝った点が一番の好印象で、更に成長している。あと、偶然とは思うが、良績が冬場に集中。最高気温が20度を超えると何故か走らなくなる。

サラキア

450kgの馬だが、その割にドッシリと見せる。歩様も一歩一歩が力強くなり、3〜4歳時とは別馬になった。行く気もなさそうだったが、出脚は決して速い方ではなく、これも後方に近い位置。途中迄は基本的にラッキーライラックの右後ろからマークする様な形で乗られた。3〜4角中間で早目に動いたラッキーライラックに対し、ワンテンポ遅らせての進出。坂を上ってラヴズオンリーユーを捕まえて2着浮上した。前走東京戦とは違った形では有ったが、これはこれえ好内容。坂を上った点も含めて本当に馬が良くなっている。

ラヴズオンリーユー

叩いて順当に良化。前走東京戦から馬体は決して悪くなかったが、当時気になった歩様のブレもなくなった。スタート直後に直ぐ外のウインマリリンに寄られて出脚が鈍り、中段やや後方で、馬群の中。道中は宥め気味の追走。早仕掛けしたラッキーライラックを目標に、サラキアと一緒に動いて行ったが、動き出して直ぐの反応はサラキアより良かったものの、坂を上り切れず、上り切ったところで捕まった。ラッキーライラックも計算して動いていたとはいえ、ラッキーライラックを捕まえないと値打ちがない競馬で、後方からの馬にやられたのは論外。

ウインマリリン

-4kg。トモの丸みは残していたが、腹は巻き気味で、ちょっと細いかも。小走りが入って気負っていたのもマイナス。スタート直後に内へ少しヨレたが、出脚自体は速く、スッと好位3番手。途中からノームコアが大逃げの形となり、前がバラけたところで内ラチへ。ラッキーライラックの早仕掛けにより、基本的には前が苦しい展開となったが、内に潜って少しでも脚を矯められた分、4着に。これも坂が上れなかったが、もうちょっとデキがしっかりしていたら際どくなっていただろう。何時見ても強さは感じさせないのだが、器用さは持っている。

センテリュオ

胸がい。前後肢にバンテージ。かつては非力な印象も有った馬だが、前走中山戦位から馬が良くなっている。見た目に大きな変化はないものの、踏み込みがしっかりして来た。スタート直後から大して進んで行かず後方から。2200mだから矯めているというより、前走で控えた影響なのか、単純に行き振りが悪かった。勝負どころでは早仕掛けしたラッキーライラックを追い掛けるラヴズオンリーユーやサラキアを追い掛ける形。競馬としては一手遅いということになるが、ここも反応がイマイチだった割に最後の最後は伸びていた。過去は距離面に限界の有った馬で、前走内容だけだと克服したとはいい難く、今日が試金石だったのだが、この内容だけでは何とも。

第55回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

レッドベルオーブ

毛ヅヤ良好で、現状のデキ自体が良さそう。腹回りはスカッと見せて、トモに厚みが有る点も競走馬として良く出来ている。ただ、ちょっとテンションが高目。恐らく最初からの決め打ちでも有っただろうが、ゲートの速さもかなり差が有り、ホウオウアマゾンの番手から。ただ、頭を上げてかなり行きたがっていた。何とか宥めたのは3〜4角中間。この段階で結構ロスは有ったが、それでも直線に向いて一瞬の隙を上手くスクって併せ馬に持ち込み、アタマ差先着した。今日はこの一瞬の脚で勝った様なモノ。勝負強いといえばそうだが、これでは先行き不安。次走も阪神戦ということで本命になるだろうが、今日の消耗も大きそうで、嫌ってみて妙味かも。

ホウオウアマゾン

前肢にバンテージ。+12kg。背丈が高いだけで、まだ細身に映る。歩様にも頼りなさが残り、上のレベルで戦うにはもっとパワーアップが必要。好発。スーパーウーパーが出遅れ、出脚の速かったこの馬とカイザーノヴァでは兼ね合いが付いて、枠有利なこの馬が先手を取る形となったが、スーパーウーパーの押さえが利かず暴走。3角手前で2番手に控える形。とはいえ、連られる様な場面は一切なく、上手くやり過ごしており、競馬としてはスムーズに運べた。直線向いてからもしっかり反応したが、一瞬の反応でレッドベルオーブに利が有ったというところだろう。センスは抜群だが、坂を上る際に若干ヨレた点もマイナスで、もうちょっとパワーアップが必要。

スーパーホープ

大型馬でバランスの取れた造りだが、何となく全体に緩慢。レッドベルオーブの様に気負うよりマシだが、気配にも乏しい。ゲート自体は速い方だったが、馬、鞍上共行く気はなく中段辺りから。4角も上手く捌いたが、内2頭には届かず。ペース、馬群共少頭数の2歳戦としては、締まった展開となり、今日は届いてもいい位置だったが、もうワンパンチが足りない印象。坂を上る際に、一瞬フォームが崩れて天井を向きそうになる場面が何度か有った。馬自体がまだパンとしておらず、鍛錬の余地は相当残っている。

ビゾンテノフブァロ

道営で認定を取って中央に移籍した馬だが、スラッとした造り。ただ、2歳戦とはいえ、オープンだとちょっと迫力不足。歩様も甘い。本気で行こうと思えば行ける出脚は有る筈だが、最近のパターン通り矯めて乗られて最後方から。大外枠だったが、最初から入着狙いで直ぐに内ラチへ寄せていた。只管インでジッとして、レッドベルオーブが抜けた進路を通ってここ迄。4着といっても8頭立てで高い評価は出来ないのだが、既に8戦走っている割にヘバっている様子がないのは中々立派。実に馬主孝行。

カイザーノヴァ

+10kg。コロンとした造りだが、特に緩い印象もない。ただ、芝だともうちょっとストライドを大きく歩いて欲しい。内へヨレつつも、ゲートは一番速かった位だが、出脚と枠の分、ホウオウアマゾンにハナを譲って2番手。スーパーウーパーが暴走した際も連られている様子はなかったが、向正面、ホーム共手前が何度か替わって、時々頭が上がっていた。気性的な問題なのか、体力面なのか良く分からないが、まだ馬が甘い。

第25回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

サンライズノヴァ

前後肢にバンテージ。急に冷え込んで毛ヅヤの怪しい馬が多かった中で、栗毛でピカピカの馬体は目についた。馬体に重量感が有って、バネを感じさせる歩様にも好感。例に依って出脚は速い方ではなく、後方。向正面は外の馬が内へ寄せて来る場面が何度か有り、その度に手綱を引っ張る場面も有ったが、余り砂を被らない外を追走。コーナーで少しずつ番手を上げ、抜群の手応えで直線迄持って来れた。直線も持ち前の全身を使った大きいストライドで最後迄伸び切り完勝。58kgを背負っていただけに、ちょっとここだと力が違っていた。ただ、次走は中京戦。グルッと1周して来るコースはお世辞にも得意といえず、厳しい面も。

ソリストサンダー

後肢にバンテージ。胴長に見せるタイプの馬ではないが、その分、幅が有る。トモも張っていたが、見た目の割に歩様の力強さを欠く印象も。ゲートは出たが、芝での出脚が苦しく後方に近い位置。ただ、ダートに入ってからの行き振りは良過ぎる位で、道中は引っ張り気味の追走。馬を前に置いて宥めていたが、その分砂を被る形にもなった。基本的にはサンライズノヴァの一歩前での立ち回り。追い出してからはかなり内にモタれており、内の馬と接触しそうになる度に立て直さざるを得なくなっていたが、それでも2着は確保。課題も有ったが、何度か立て直しても伸びて来れるのは小脚がしっかりしているからだろう。ベストは小回り。

エアスピネル

前後肢にバンテージ。+6kg。馬体に緩い印象がないのが何より。歩様にも硬さはなく、馬に活気もあった。このメンバーだと出脚が足りず中段から。馬群の中で砂を被ったとはいえ、スムーズに運べた。直線も上手く捌いてソリストサンダーとの併せ馬となったが、そのソリストサンダーが内にモタれていたのに対し、こちらは比較的真っ直ぐ走っていたにも関わらず伸び負けた。我慢が利かなかった印象。ダートだともうちょっと時計が速くなるか、距離短縮した方がいい。

ワンダーリーデル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-8kg。まだ腹回りはボテッと映るが、それだけに少しでも減って来たのはいい傾向。ただ、歩様は硬目。例に依って出脚案外でほぼ最後方から。この鞍上らしく、コーナーは内へ回して、直線は改めて進路を探す形となったが、中々前が開かず、サンライズノヴァやソリストサンダーが抜け出した後。これだと一手遅い。ただ、直線は手前も替わっていなかった。東京だと堅実だが、追い込み一手だけにこういった取り溢しも仕方がないところ。

タイムフライヤー

胸がい。-14kg。馬体減の影響は有りそう。ダートのこのメンバーに入ると少しギスギス感が有った。左後肢の出もイマイチ。この馬の出脚で中段から。4角を回った段階では上位馬と近い位置に居て、直線向いた段階で進路も開いたのだが、内へソリストサンダーがモタれ、丁度そのタイミングで内のデュードヴァンも一瞬外へヨレとパッチンを食らう形になったのが痛かった。バテてはいないだろうが、ギアチェンジの得意な馬ではないだけに、最後は雪崩込んだだけ。東京だと最後に止まる危険も有るが、外から勢いを付けて回った方が良かったかも。

第10回みやこステークス(GⅢ)

クリンチャー

前走京都戦も見た目は決して悪くなかったが、叩いて更に良くなった。毛ヅヤが冴えて、踏み込みもしっかり。砂に脚を取られたか、一瞬の出脚はなかったが、押して行き脚が付いてからは速く、3番手。今日は一も二にも積極策で、3角過ぎから前へプレッシャーを掛けて行き、4角先頭。坂下でエアアルマスを競り落として後は独走だった。今迄は差す競馬で詰めの甘い面が目立っていたが、パターンを変えてスタミナ勝負に持ち込んだのが吉と出た。GⅠで機動力が何処迄通用するのか疑問も有るのだが、ダートに転向して初めて勝ったことは何よりの収穫。

ヒストリーメイカー

前後肢にバンテージ。+11kg。今日は毛ヅヤから抜群に良く見せた。下見所の外を周回して、馬体充実、何より気配が良かった。これもゲートが開いて、一瞬は鈍かったが、そこからは余裕が有り、クリンチャーに付いて行く形。従って展開的にはハマったが、3〜4角中間で一発ステッキが飛び、勝負どころでの進み方が悪かった。今日は他馬が伸びなかった分の2着。デキが良かっただけに尚のこと物足りない内容。勝った負けたは別にしても、4角でクリンチャーに食らい付いて行く脚がないとオープンでは通用しない。

エイコーン

前のヒストリーメイカーが立派過ぎて霞む面は有るが、これも毛ヅヤが良くて、デキ自体は悪くなさそう。ただ、テンションが高いのは相変わらず。半馬身出遅れ。行く気もなく後方。最初から内ラチへ寄せていた。3角過ぎから少し番手を上げ、直線だけ外へ。良く伸びているが、今日は前との差が離れ過ぎていた。今日は位置取りの差。前走中京戦の内容から高い評価も出来ないが、今日の様なメンバーの様な交流重賞のGⅢレベルの争いなら能力は足りる。

エアアルマス

パシュファイヤー。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。+14kg。馬装は何時も通り。気配も良かったが、骨折明けとのことで数字分だけ立派かも。外枠でもゲートを決めて2番手へ。道中もスムーズでこの馬としてはいい形になったが、クリンチャーのマークが厳しかった。直線入口迄は頑張っていたが、そこから踏ん張る脚がなかった。今日は好走条件が全て揃っていたが、メンタル的にキツいレースになってしまった。これを叩いて改めて。

マグナレガーロ

前後肢にバンテージ。このメンバーに入ると重量感は感じさせないが、手先のスナップが利いていた。行きたい馬には行かせつつ、この馬の出脚で好位のイン。道中は砂を被っても然程気にする素振りはなかった。ただ、これもコーナーで少し手応えが怪しく、直線も一瞬だけ盛り返そうとしていたものの、そこ迄だった。堅実といえば堅実だが、もうワンパンチ足りない。

第58回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

オーソリティ

2人曳き。+12kg。太目には映らず、単純に数字分だけ馬がパンとした印象。歩様にもブレがなくなった。大外枠だったが、出脚は速く、ジワッと行かせて好位3番手。道中の折り合いはほぼ問題なく、直線に向いても手応え充分。追い出して手前が中々変わらず、坂を上り切って一瞬フラついたが、右手前に替わって後続を突き放した。文句なしの完勝。前走も強かったが、ダービーを使わなかったのが正解。勿論、休ませて馬が良くなったことも大きい。ただ、2着がラストドラフトでは高い評価はし辛い。GⅠでどうかは何とも。

ラストドラフト

前後肢にバンテージ。昔から力感のない馬だが、これでも大分マシになった方。歩様の力強さだけをいえば3歳時とは別馬。ただ、今日は少しテンションが高い。ゲートは決めたが、急かすことなく、中段から。道中も馬の気に任せて鞍上は捕まっているだけ。直線だけ少し外へ持ち出し、ラスト400mで前が開いて、内ステッキに反応して外へヨレ気味ながらも、しっかりした脚取りで伸びて来た。休み明けとはいえ、前走中京戦の負け方がヒドかったが、一変した。正直、下見は前走から悪くなく、そこ迄良くなった様には見えなかったのだが、中身が違っていたという以外にない。

サンアップルトン

前肢にバンテージ。-8kg。ちょっと細く映ったが、数字上はこれ位で丁度。水平首で気配は良かったが、所作にも力強さを欠いていた。ゲートでやや後手に回り、中段やや後方から。馬場のいい外目だったが、馬を前に置いて何とか我慢して走っていた。直線も外へ持ち出し、左手前のままながらしっかり伸びて来た。どちらかといえば中山に良績を残していたが、東京で結果が出たのは収穫。見た目はともかく、馬が良くなっているのだろう。次走は年明けの中山戦迄待機する様だが、相手関係次第では充分有力。

ユーキャンスマイル

-4kg。見た目が結構変わるタイプの馬。良し悪しは何ともいえないが、今日はスカッと見せる。ただ、多少トモが甘いのは明らかな減点材料。出たなりで中段から。ただ、サンレイポケットがずっと真横に付けて、接触する場面も何度か有った程だが、結果的に馬場の悪いところをずっと通らされた。4角はそのサンレイポケットを嫌って、少し早目に動き、直線は少し外へ持ち出してオーソリティの直後。4角からは上手く捌いたが、58kgを背負って悪い馬場を走らされたのが最後に響いた。今日はデキが甘い面も有り、仕方がないところ。次走も東京戦とのことだが、狙い目に。

タイセイトレイル

基本的に使い詰めの馬で、中々休ませて貰えないが、最近の中では歩様がマシな方。馬体に変化がなくても、この馬の場合は直ぐにコズんでくるが、今日は上手く仕上げられた。スタート直後の出脚が案外で、鞍上が妙に押していたが、それで何とか中段やや前辺り。馬群の切れ目でスムーズな競馬が出来た。勝負どころの手応えもそこ迄悪い様に見えなかったが、一瞬いい勢いで伸びて来たにも関わらず、ラスト300m位で勢いが鈍った。昨年の2着馬だが、以前はもっと渋太かった筈で、我慢が利かなくなっている。

第56回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

モントライゼ

+14kg。胴はスッキリだが、トモに筋肉が浮いて、現時点での完成度が高い。重心の低い歩き方も印象的で全身が力強い。ただ、もう少し落ち着きが欲しいところ。ゲートを決めて、そこからの出脚も速く、スッと2番手。リメスの逃げは平均ペースだったが、道中はそれなりに力んでいた様に見えた。直線を向いて、そのリメスが外へ持ち出した関係で、この馬も馬場の4分どころ。ラスト400m手前で先頭に立たされて結構キツい形だったが、両サイドからステッキが飛び、最後は左手前になりながらも何とか振り切った。最後のクビ差迄詰められた部分をどう評価するかが微妙だが、今日のところは道中のロスを考えれば強い内容という評価にしておきたい。ただ、もっと折り合い面がスムーズにならないとこの先は通用しない。

ロードマックス

寸の詰まったマイラー体型。2最馬としては体に厚みが有る方だが、まだ仕草は子供。歩様にももっと力強さが欲しい。五分の発馬だったが、東京1400mの外枠で仕掛けて行ってもあまりいいことはなく、過去2走とは違い、後方に近い位置でジックリと乗られた。それでも、何とか馬を前に置いて我慢させようとしていたものの、これも道中は気負い気味。ただ、直線はしっかり脚を使って、最後迄伸び切れた分の2着。流石はディープインパクト産駒といった印象。今日はモントライゼがキツい競馬を強いられただけに、あそこ迄行ったら勝ちたかったところだが、ひとつ自分の形が分かっただけでも収穫は有った。

ユングヴィ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。腹回りに少し緩さが残る。トモも甘く、まだ鍛錬不足。外枠勢の中では好発馬を決め、この馬の出脚で中段から。これも明らかに行きたがる場面が有ったが、何とか馬を前に置いて仕掛けのタイミングも上手く待てたのだが、一瞬勝ったかの勢いながらも、最後の100mで甘くなった。父ミュゼスルタンは新潟で重賞勝ちの馬だが、こちらは馬装通り、首が使えていないのがネック。右回りがどうかという部分は有るが、器用さは有りそうで中山で内枠を引いた時に狙ってみたい。

ストライプ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。背丈が高く、510kgの馬としてはシャープ。ただ、歩様にブレがなく、素質は高そう。これも外枠としては好発。出脚も有りそうだったが、内から行った馬も多く居て、直ぐに引いて好位直後。内に潜り込む形。ただ、今日の馬場で結果的に正解だったかどうかは微妙で、直線向いて前の馬がフラフラ。内へ切り替えて伸びて来たが、唯でさえ馬場の悪いところを通らされた上に、勝ったモントライゼが内へモタれて来て、余計に苦しくなった。スムーズなら2着有ってもおかしくない内容。未勝利即重賞だったが、500万は楽勝級。

リフレイム

前肢にバンテージ。-8kg。数字分だけスッキリしたが、馬振り自体はこのメンバーだと上位。気配もレースで見せる様なヤンチャ振りは感じさせず。ゲートも若干後手に回ったが、出脚自体もモッサリしており、中段やや後方から。道中で行きたがる馬が多い中、行き振りもそれ程いい様には見えなかった。直線向いて、当然外からステッキを入れる形になるが、そもそも外と前に馬が居て、中々思う様に行かず、ラスト200mで一旦引いて一番外へ持ち出してから最後の最後に伸びて来た。鞍上の話では中1週が応えたとのことだが、距離も1400mでは短いのだろう。集中力さえ続けば2000m位がベスト。

第25回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

メイケイエール

前後肢にバンテージ。背が高いがタイプだが、腰高で全体に細身の造り。まだ筋肉が付き切っていない。ただ、妙に気配が大人しい部分に関しては、調整が上手く行ったということだろう。ゲート内の駐立が悪く、更に躓き気味に出たことも有り、ダッシュが鈍り、後方から。馬群と離して何とか我慢させようとしていたが、それでも制御不能に近い状態で、引っ張りながら3〜4角中間で好位。それでも何とか4角でコントロールが利く様になると直線もほぼ真っ直ぐ駆け抜けた。馬場がいいとはいえ、レコードのオマケ付き。このままではどうしようもないが、能力は無茶苦茶高い。馬主は中京競馬場を所有していることでお馴染みだが、メイケイペガスターやメイケイダイハード等、最近は破天荒な馬が多い。

オパールムーン

+12kg。今日時点でで436kgの馬で、馬体増は無条件で歓迎。背丈が低く、後肢が太いのが特徴。一歩一歩にも力強さが有った。気配も良かった。ゲート内で横を向いている時に開いてしまい、出遅れ1馬身不利。行く気もなくそのまま最後方から。道中はリラックスして走れていた様に見えたが、馬群から離れ気味。4角は流石に置かれ過ぎた様にも見えた程だったが、直線で大外へ持ち出されると良く伸びている。メイケイエールにロスが有ったことも確かだが、今日の時計が出る馬場で大外ブン回しはかなりのロスだった筈で、勝ちに等しい内容。この乗り役だけに話半分だが、口が敏感とのこと。これも気性的な問題は有りそう。

ラヴケリー

+8kg。ところどころに線の細さが残っており、もっと増えてもいい位の造り。ただ、集中力が有って、気配は上々。ゲートは分がいい方で、ジワッと好位。序盤は良かったが、前に壁がなく、3角手前辺りから首を上げて行きたがっていた。4角も馬が待ち切れずに早目先頭。メイケイエールも強かったが、踏ん張りが利かないのは致し方ないところ。ただ、3着という結果の評価は微妙。良く頑張っているともいえるが、今日は先行有利の馬場状態だったという恩恵も受けている。重賞好走馬ながら500万で人気を背負う様だと嫌ってみる手も。

オプティミスモ

2人曳き。前肢にバンテージ。420kgの割には良く造り込まれている。もう少し歩様に力強さが出るとベストだが、トモも張っている。スタート直後はそうでもなかったが、1F過ぎから引っ掛かりそうになっており、まず下げて内へ潜り込む形。ポジションが決まってからはスムーズに走れていた。直線もインからしっかり脚を使っている。こういうインの強い馬場だけに能力面で高い評価はし辛いが、1戦1勝の馬だけに大目に見たい。馬もいいだけに、先々走って来そう。

ヨカヨカ

前肢にバンテージ。休養前が使い詰めだったが、ちょっと硬さは残った。ただ、トモにボリューム感が有って、馬は流石。新馬の頃より確実に良くなっている。ゲートのタイミングが合わずに出遅れたが、抜群の出脚でカバーして好位を確保。上手く我慢して走れていた。ただ、もうちょっと伸びて欲しかったところか。能力の問題も有るが、今日、東京で重賞を勝ったモントライゼを新馬で負かしていることを考えれば距離も1F長いかも。