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競馬回顧 2020年1回京都

第36回フェアリーステークス(GⅢ)

スマイルカナ

2人曳き。前肢にバンテージ。+4kg。420kgの馬で少しでも増えた方が良いのは確かだが、見た目には決して非力な印象はない。もう少し落ち着いてくれるとベスト。ゲートで半馬身抜けて、出脚も抜群に速く、一瞬で2馬身抜けてハナへ。1000m通過59.0秒は馬場状態を考慮すればスローといえる程ではないが、楽に行けたことで道中で息を入れる余裕が有った。直線向いて、タレる好位勢を尻目に突き放し、坂を上り切る辺りでヨレる場面は有ったが、オイデオイデの楽勝だった。枠とゲートを出たことも大きかったが、出脚も速く、スピードが違った印象も。あとは今日は少しイレ込んでいた様にも見えただけに精神面。相手が自爆覚悟で競って来る様だとボロが出る可能性は高い。

チェーンオブラブ

前肢にバンテージ。-10kg。トモにボリューム感が有るので目立たないが、数字分は細い。歩様がしっかりしていて、落ち着いていた点は何よりだが。出脚自体も決して速くないが、内外から来られる形となり、一旦引いて中段やや後方から。アヌラーダプラが眼前に居て、基本的には付いて行く形。坂が上れず止まる馬が多い中で、1頭だけ低い重心で脚が違っていた。これで2戦連続でメンバー中最速の上がり。今日は展開が向いた感も有るのだが、良い決め手を持っている。軽い馬場の東京と力の要る中山で両方脚が使えた点も大きい。

ポレンティア

前肢にバンテージ。+4kg。新馬の札幌戦以来だが、出来ていたというよりは、まだ成長途上で線が細い印象。ただ、踏み込みの力強さに素質の一端が露出している。半馬身程出遅れたが、押して好位直後。出した割には折り合いも付いていた。4角は勝ちに行ったシャインガーネットを目標に、ジリジリ伸びて3着浮上。札幌1500mしか走ったことのなかった馬だが、ちゃんと坂が上れてマイルもこなしたのは立派。前走も2番手で折り合って抜け出すというセンス有る内容だったが、兎に角余計なことをしない。馬体の成長は欲しいが、先々も楽しみ。

シャインガーネット

前後肢にバンテージ。460kgでも、雄大な馬体。歩様も悪くないが、全体に緩慢に映る。締まってくればもっと良くなりそうな馬。出脚が速いという訳ではなさそうだが、外を回されるのを嫌ったか、積極的に乗られて2列目へ。勝負どころも結構強気に乗られたが、最後は甘くなった。もう少し丁寧に乗れば2,3着は有っただろうが、テン乗りの外国人ジョッキーで勝ちに行った競馬を求められていただけに仕方がないところ。能力面での評価を下げる必要はない。

ソーユーフォリア

前後肢にバンテージ。-12kg。寸が詰まったマイラー体型。しっかりした骨格の馬だが、少し腹が巻き気味。ただ、毛ヅヤは冴えていた。スマイルカナの出脚には敵わなかったが、ジワッと行かせて好位のイン。マイルは今回が初めて、前走中京戦は1400mで行きたがっていたが、意外と折り合いは割と付いていた。直線も一旦はスマイルカナに並びそうなところ迄行っているのだが、坂を上り切ってからの一踏ん張りが利かなかった。距離が1F長いということも有るだろうが、現状だと力不足。

アヌラーダプラ

胴が短目の体型。緩んだところがなく、現時点での完成度が高い。歩様にもスムーズさが有り、気配も何とか堪えている様に見えた。出脚を使わず出たなりで中段やや前辺りから。多少行きたがっていた。4角外を回って前を追ったが、直線は伸び案外。中山マイルで有り勝ちだが、内から楽に先行されると外の馬には厳しい。距離や今の力の要る馬場が向かなかったこと等、細かい悪条件が重なった印象。次走が試金石。

第54回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

サンクテュエール

胴回りはスカッとしているが、トモに厚みが有って、可動域が広い。京都は初出走だったが、時々物見もして、落ち着きも有った。出遅れ1馬身不利。ただ、この馬自身が出脚が速く、更に運良く内が開いていたことも有って、300mで好位に取り付いていた。道中の折り合いも全く問題はなかった。直線で逃げたヴァルナとプリンスリターンの間を突き、相手も渋太かったが、最後迄しっかりした脚取りで競り勝った。内ラチを頼れて上手く行った部分も大きいとはいえ、フラフラだったプリンスリターンに対し、真っ直ぐ走れていた点は好感。牝馬が勝った場合の将来は、40数年前のラブリトウショウは別にして、上手く行けばジェンティルドンナ、アーモンドアイ、最低でもシーキングザパール、フサイチエアデールということになるのだが、今後は破壊力を付けて行きたいところ。今のところだと、まだフサイチエアデールのレベル。

プリンスリターン

+10kg。多少腹回りがボテッと映るが、緩んだ印象はなく、この時期としては許容範囲。馬に活気も有った。好発も、ハナへ行く気はなく、ヴァルナに行かせて2番手から。出脚は使っていないが、道中の折り合いは付いていた。直線入口から追い出し、内から来たサンクテュエールとの併せ馬。一旦はこの馬が抜け出した様にも見えたが、前述した様にサンクテュエールに差し返された。スタート直後もそうだったが、最後もフラフラ。どうも真っ直ぐ走れないのがネック。とどのつまりはサンクテュエールに内から来られていなければこの馬が難なく勝っていた。鞍上の差といえばそれ迄だが...。

コルテジア

前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった造り。馬体の張りは有ったが、手先だけで歩いている印象も。サンクテュエール程ではないが、半馬身出遅れ。出脚が抜群に速いという訳ではないだけに、最近のパターンと違い、ハナでないのならと5〜6番手の内目。意外と何の不自由もなく、リラックスして走れていた。4角でプリンスリターンの直後。ただ、そこから直線だけで4馬身差も付けられた。完敗としか言い様がない内容。500万なら何とかなる筈だが、人気になる様なら嫌ってみたいレベル。

オーマイダーリン

-6kg。元々がスカッとした造りだが、更にガレた。これだと流石にマズいレベル。歩様も、手先の柔らか味は有るのだが、力強さに欠く。2馬身近い出遅れ。その後も全く進んで行かず、行き脚が付いたのは200m程走ってから。只管インを走ってここ迄。3角過ぎと4角で手綱を引っ張る場面が有り、特にこの手のダラダラ走る馬にとっては余計なブレーキとなるところだが、その割には最後迄良く頑張ったともいえる。まずは馬体回復が優先ということになりそうだが、2000m位なら500万は勝てる筈。

ヴァルナ

前を歩くサンクテュエールとは明らかに馬の差が有って、数字の割にメリハリのない造り。歩様も少し硬目。毛ヅヤは良くて、現状のデキ自体は悪くなさそうだが。ゲートはプリンスリターンの方が速かったが、行く気がなく、ならばと主張してハナへ。出脚は有りそうで、道中も折り合いは付いていた。4角先頭では回って来たが、直線はほぼ無抵抗。前々走東京戦からもう少しやれても良いのだが、パワー不足の現状で踏ん張りが利かないのは致し方ないところ。

ルーツドール

胴長の馬体だが、トモに厚みが有って、素質は有りそう。ただ、今日は下見から気負い過ぎている印象も有った。最初から折り合い重視で乗られて中段から。道中は少し力んでいた程度で、これだけ見ればもう少し走れても良さそうだが、それ以上にレース前に消耗していた様。1頭だけ発汗が目立っていた。下見所からゲート入り迄に相当イレ込んでいたのだろう。今日は全く力を出せておらず参考外。

第58回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

サウンドキアラ

坂が上れない馬だが、下見で特にトモが甘い印象はない。馬体に張りが有って、デキ自体も良さそう。気配も上々。行こうと思えばもっと行ける馬だが、あまり急かす様子もなく、ジワッと行かせて好位6〜7番手のイン。恐らく手応えに自信が有った様で、4角でボンセルヴィーソに付いて行く形で一列番手を上げ、早目先頭からダイアトニックの追撃を振り切った。実績通り、やはり平坦だと踏ん張りが違う。1分34秒0は力の要る馬場故だが、これで京都マイル4勝の内、最速が1分32秒8で、最遅が1分37秒2。これだけストライクゾーンが広ければ坂が上れても良さそうなモノだが...。

ダイアトニック

シープスキンノーズバンド。+12kg。484kgはデビュー以来、最高体重。骨格のしっかりした馬で然程目立たないが、多少緩い程度。気合も乗っていた。この馬としてはゲートを出た方で、何時もより前に付けて中段から。外枠から後方迄下げざるを得なかった前走と違い、今日は理想的な競馬が出来た。インでしっかり脚を矯めて、直線に向いてからサウンドキアラの外へ。前走はラスト1Fで内にモタれて、今回もそんな素振りが有って、ムチを持ち替えたところ、外へ大きくヨレてしまった。苦しがってのモノで、やはり1F長い。勿論、ハンデ差を考えれば実質的勝ち馬ということもいえるのだが。

ボンセルヴィーソ

前後肢にバンテージ。下見は何時も良く見せるタイプ。淡々と歩いていたが、その分、一歩一歩がしっかり踏めていた。好発。押して行ってハナを覗かせる程だったが、マルターズアポジーが無理矢理主張して2番手から。道中は引っ張り切りの手応えで、直線向いた段階では勝ったの雰囲気だったが、意外な程甘かった。GⅠ3着馬がハンデ54kgは明らかに恵まれており、あそこ迄行ったら何とかしないと話にならない。マイルは明らかに1F長い。

ソーグリッタリング

+10kg。小走りが入って、テンション高目。数字分だけ太いだろうが、然程目立たないのは、馬格がしっかりしているからこそだろう。好発。直ぐ内でメイショウショウブは出遅れ気味だったが、これを待って中段から。外を回ったとはいえ、出脚を使っていない割には行きたがっていた。馬を前に置いてもイマイチリズムが悪く、4角もフクれ気味。外枠が応えたといえばそれ迄だが、成績が示す通り、オープンだともっと道中をスムーズに運べる様にならないと。

ブレステイキング

初西下だった前走阪神戦に引き続き今回は初京都だったが、それなりに落ち着いていた。馬体が緩んでいないのも前走同様だが、ちょっと歩様が硬くなった。ゲートは五分に出たが、行く気はなく後方に近い位置。マイルが初めてだった割には行き振りは悪くなかったが、4角でも動く気はなく、出来る限り内を回って直線迄待ってからの追い出し。流石に前を離れ過ぎていたが、最後は良い脚を使っている。前走も含めて追い込んで届かずの馬を現代競馬でどれだけアテにしていいかは微妙なところだが、展開一つの馬なのも確か。

第69回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

トリオンフ

2人曳き。気配は地味だが、1年半近くの休み明けだった前走阪神戦からキッチリ出来ていた。今日も緩んだところはなく、歩様も落ちていない。行きたい馬が多く、戦前は先行激化が予想されたが、こういう時の典型で結局誰も行く馬が居らず、ブラックスピネルが押し出されて、この馬が58kgでも少し押しただけで楽々2番手。1000m通過60.2秒は唯でさえ遅いが、楽に行けたので更に有利になった。4角でブラックスピネルを捕まえて、早目先頭からウインイクシードの猛追を辛うじて凌いだ。もうちょっと突き放して欲しかった感もない訳ではないが、58kg故に仕方がない部分も。昨年のウインブライトも58kgで勝って2019年の最優秀4歳以上牡馬となったが、今日のパフォーマンスだけをいえば大差はなく、次走以降も有望。急遽の代打で決めた形となった鞍上も、昨年絶不調だっただけに大きい勝利となっただろう。

ウインイクシード

前後肢にバンテージ。498kgの割にはスカッとした造り。馬に集中力が有って、手先のスナップも利いていた。出脚には余裕有りそうだったが、内のトリオンフが位置を取りに行ったのを確認すると、マーク策に切り替える形。道中の手応えも良く、只管トリオンフに付いて行って、4角では勝ったかの雰囲気だったが、トリオンフの渋太さが一枚上。特に登坂力がなかった。3kg差貰って負けたら、救いがない。中山に良績集中している馬だが、器用さと小回り適性が有るというだけで、平坦コースの方が本当は良いのかも。

テリトーリアル

-4kg。今季は休み明けからデキが良い。多少腹回りが太く映るのはあくまで体型。重量感が有って、馬体もはち切れんばかり。歩様も一歩一歩が力強い。ゲートも微妙に悪かったが、出脚もイマイチで、枠の利が有ってやっと中段。これも道中の行き振りは良く、4角から直線はコジ開ける様にウインイクシードの外から伸びて来た。基本的に上がりが掛かってくれた方が良いタイプで、33秒台どころか34秒台でも前半となると厳しい馬だが、今日はそういう展開になってくれた、前走阪神戦がサッパリだった様にアテに出来ない馬だが、チャンスが回って来た時を如何に逃さずに走れるかが焦点。重賞だとそんなに出番は多くない。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。気配に乏しいのは何時ものこと。腹回りがボテッと映るのも昔から。歩様の甘さも相変わらず。突っ掛け気味に出て、結果的に好発。ただ、2000mとなると出脚で苦しいところだが、押して逃げたブラックスピネルの番手へ。道中の行き振りも決して良い様には見えなかったが、内から渋太く脚を伸ばしていた。これもテリトーリアル同様、上がりが掛かってくれないことには話にならない馬で、今日は流れが向いた。

マイネルハニー

前後肢にバンテージ。休み明けの前走よりは上向きだが、年齢分だけ馬が落ちている。毛ヅヤもそうだが、何より歩様が以前より硬い。今日の誰も行かない展開でも出脚が苦しく、押してやっと好位勢に付いて行けたという程度。インに居ながら道中の手応えも渋目だったが、4角を上手く捌けたことが大きかった。これも上がりが掛かる展開が向いた感も強く、高い評価はし辛い。