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競馬回顧 2019年2回京都

第36回フェブラリーステークス(GⅠ)

インティ

2人曳き。前走中京戦で気になった歩様は滑らかになった。チャカついていたが、馬体にも張りが有り、明らかに前走以上。出脚だけならサンライズソアが一番速かったが、内外を制してハナへ。戦前の想定では逃げることも考えられたサクセスエナジーが引いてくれたことも手伝ってかなり楽に行けた。道中も全く競られることなく、4角も持ったまま。直線も左手前のままオイデオイデの大楽勝だった。楽過ぎて能力の程度が良く分からないところだが、前走の歩様ではハナへも行けなかった筈で、立て直した厩舎の手腕はお見事、今日、評価出来る点が有るとするなら、例に依って的確なペース判断の鞍上を含めて人間の方。

ゴールドドリーム

前後肢にバンテージ。+14kg。煩いのは気にならないが、前走大井戦が減っていたといっても、多少立派。この馬としてはゲート出た方で中段の内目。最終的に2番人気に落ちたとはいえ、流石にマークされないこともなく、4角も結構包まれていたが、直線で外がスムーズに開いて、一追い毎に伸びてここ迄。結果はクビ差でも、相手が遊んでおり、完敗に近い内容。これで3戦連続2着。やられ方がワンパターンならまだ良いのだが、毎回違う点は気掛かり。昨春の迫力がなくなっている。

ユラノト

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。毛ヅヤピカピカ。馬体も充実しており、歩様もスムーズ。この馬の出脚で好位直後のイン。ゴールドドリームと同じことがいえるが、スローで比較的馬群が固まり、直線は少し待たされた感も有ったのだが、前が開いてからはジワジワ伸びて来た。競馬の上手さは相変わらず。器用貧乏感がない訳ではないが、現状デキが良いだけに何処かでタイトルを取りたいところ。

モーニン

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬体の張りが良くなっていた。前走もソコソコだったが、更に上昇。気配も良い。好発。芝での出脚も有って、比較的楽に好位を確保。道中は少し掛かり気味。流れに乗り損ねた分、4角での反応はイマイチだったが、狭いところからジワジワ伸びて来た。前走から完全復調。ペースが速くなっていればもう少し際どくなっていただろう。馬券圏内迄は中々考え辛いとはいえ、全くの無視は出来なくなって来た。

コパノキッキング

2人曳き。薄い馬で、迫力はないが、この馬としてはこれで上々。この馬としてはゲート出たが、戦前の想定通り、後方に待機。これも多少行きたがっていたのは仕方がないところ。直線も躊躇なく大外。今日のペースでは流石に届かなかったが、これしか手がないだけにベストを尽くしたとみたい。追い込みだが、ゲートをマトモに出た点が好走に繋がっている。何かと騒がれる鞍上だが、この一点だけをいえば鞍が合っている。

第53回小倉大賞典(GⅢ)

スティッフェリオ

+10kg。少し余裕残し。若干硬さも有った。外枠だが、内の様子を窺える位の出脚は有り、好位から。外でも折り合いは付いていた。逃げたサイモンラムセスというよりは、人気のタニノフランケルを目標に追い出し、3角過ぎの反応は決して良くなかったが、4角で漸くエンジンが掛かると、直線はネジ伏せる様に押し切った。結果的に好位勢の決着だが、展開的にはむしろ追っ掛けバテし易い形。一息入ってデキがイマイチだったことも考えれば格が違ったとさえいえる内容。連勝とはいえ、ローカル重賞だが、GⅠが見えて来た。

タニノフランケル

-6kg。見た目に変わる訳ではないが、前走中山戦が太かっただけに少しでも絞れたのは良い傾向。大型馬だけに出脚に限界が有り、無理矢理のサイモンラムセスは叩けず2番手から。道中はサイモンラムセスを意識せずマイペースだったが、コーナーでの脚がなくどうしてもスッと捕まえに行けない。直線も、バテてはいないが、少し内にモタれ気味でも有った。東京でこの馬が勝てるレースはそう多くないとしても、広いコースの方が競馬はし易いだろう。ただ、今日は落鉄していた分も有ったとのこと。

サイモンラムセス

遮眼革。+8kg。馬体はそれなりに張りが有ったが、歩様は毎度のことながら硬い。マルターズアポジーの出遅れとは関係なく、最初から何が何でもの構えでハナ。押して出ムチ、出脚は間違っても速くなさそうだが、それ以上に鞍上の気迫が勝った。1000m通過59.4秒だから、丁度平均ペース。道中は大逃げの形、更に小細工なしで3〜4角中間も突き放しに行ったのだが、直線入口で脚勢が鈍り掛けており、3着止まり。毎回毎回、この手が使える訳ではないが、歩様が良くなれば出脚がもっと良くなる筈で、逃げ切りも。

ナイトオブナイツ

+8kg。馬体の張りが一息。馬に活気は有ったが。出脚は速い方ではなく、行きたい馬に行かせて、最初からインへ潜りに行ってイチかバチかの競馬。ペースは決して速くなかったが、好位グループが固まったことでサイモンラムセスの大逃げは別にすれば前との距離はそれ程離れずに済んだ。インをコトコト回ってここ迄。贅沢をいうなら、スティッフェリオとタニノフランケルがもう少し勝負どころで前との差を詰めて欲しかったところか。

エアアンセム

+8kg。最近の中では良い方。馬体に迫力が有った。多少チャカつくのは何時ものこと。タニノフランケルには出脚で負けていたが、抵抗しつつ好位のイン。道中は過不足なく運べた筈だが、追っ掛けバテの格好。この馬とて重賞勝ち馬だが、近くに居た馬がそれなりに頑張っていたことを考えると、ちょっと衰えが来ている。

第69回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

ユーキャンスマイル

2人曳き。-8kg。胴長の馬体。数字が減ったことで尚のことスカッと見せる。毛ヅヤも良かった。ゲートは若干分が悪かったが、頭数が少なかったことも有り、難なくリカバーして中段やや後方のイン。折り合いは付いていた。ただ、2周目4角で包まれてしまい、内に行くしかなかったが、ラスト300m辺り迄は馬群を捌きながら、そこで前が開いてからは一気だった。単純に力が違った印象。あとは右回りでモタれる癖が出るかどうか。前々走は真っ直ぐ走っており、解消出来たかに見えたが、前走は少しモタれた。左回りは確実に大丈夫なのだが、右回りだと半信半疑。

サンデームーティエ

2人曳き。トモの筋肉が浮いてデキ自体は悪くない。気配も良かった。出遅れ1馬身不利。それでも、自分の競馬に徹してハナへ。序盤に無理矢理感が有っただけに、行き切ってからは楽な競馬が出来た。1000m通過62.1秒がまず遅いが、2000m通過は127.4秒と更に遅かった。直前向いてユーキャンスマイルとは決め手が違ったということになるが、一旦はカフェブリッツに出られながら差し返したのはお見事。1000万からの挑戦だったが、ハンデを無視すれば今後もペース一つ。出遅れてもスローに落とせるのは出脚が有ってこそで、その点も競馬が楽になる。

カフェブリッツ

オーストラリアンブリンカー。大型馬だが、見た目はコンパクト。動きのしなやかさも目に付いた。好発も、戦前の想定で行く馬だったサンデームーティエとピッツバーグを行かせて3番手から。前とは距離を開けて、折り合いも付いていた。直線向いても手応えは楽。内から忍び寄るユーキャンスマイルを別にすれば、最低でも2着の雰囲気だったが、一旦は先頭に立ちながらサンデームーティエに差し返された。ちょっと情けない内容。尤も、芝のディスタンス戦に転向して3戦目、その点は良くやっているともいえる。

ソールインパクト

前後肢にバンテージ。馬体は海外遠征帰りでも出来ていたが、歩様が硬いのはマイナス。ゲートを決めて好位から。この距離に出て来る馬だけにガツンと引っ掛かる様なことはないのだが、他馬と比較すれば力んでいた印象。他馬が外から動いた際に連られる場面も有った。それ以上に、直線の捌きが最悪で、前にカフェブリッツ、外にグローブシアターと、中々進路がなかった。バラけてからは良く差を詰めている。次走は狙い目。長距離馬に実績の有る厩舎だけに、今年は何処かで大仕事も。

ララエクラテール

遮眼革。前後肢にバンテージ。小ぢんまりとしているが、皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体が良さそう。後肢に重心が乗っている時にゲートを開けられ、これも半馬身程悪かったクチ。道中は中段やや後方辺りから。長距離ならソコソコ走るが、前走もそうだった様に良馬場で決め手勝負となるとキツい。最低でも上がり35秒後半の決着にならないと。

第54回京都牝馬ステークス(GⅢ)

デアレガーロ

前後肢にバンテージ。+32kgとはいえ、昨年2着時からは+10kg。馬体に張りも有って、確実に良くなっていた。ゲートは微妙に悪かったが、何とか出脚でカバーして中段から。昨年は少し掛かり気味だったが、今年は馬群の中で上手く我慢して走れていた。直線に向いて、エイシンティンクルの内外で迷った分、若干仕掛けが遅れたが、外に進路を決めてからは一追い毎に伸びて、逃げるアマルフィコーストを捕まえた。今後へ向けてゲートを何とかしたいところ。時々ガタついて出遅れるケースが有る。今日も決して良い方ではなかった。

リナーテ

+10kg。馬体の迫力はミスパンテールとも遜色ないが、少し歩様が硬いのは気になった。ゲート自体は速い方だったが、何時も通りの待機策。中段やや後方辺りから。直線は躊躇なく大外へ持ち出し、一瞬勝ったかの決め手だったが、ラスト150mでデアレガーロと併せ馬になった辺りから脚勢が鈍って2着止まり。デアレガーロも強いのだろうが、この馬自身も末脚の持続性に難が有る。現状だとベストは1200mかも。

アマルフィコースト

前後肢にバンテージ。-8kg。骨格がしっかりしたタイプで目立たないが、多少ギスギス感は有った。枠の差というより、オールポッシブルの出脚が速く、2番手から。早目に隊列が決まったことで、スムーズに流れに乗れた。4角で、そのオールポッシブルが止まり、直線入口で先頭。外から来ていたエイシンティンクルも振り切って、一瞬は完全に抜け切ったが、外から決め手に勝る2頭。前走は道悪が敗因で、良馬場の限定戦ならソコソコ走る。このメンバーなら展開一つ。

アルーシャ

横幅がないということになのだろうが、背丈が有って数字の割に大きく見せる。雰囲気は悪くない。ゲートを五分に出て中段待機。基本的にはミスパンテールをマークするイメージで乗られて、直線向いた段階でも直後に付けていたが、外のリナーテとは勢いが違った。準オープン上がりとしては充分走っているということもいえるが、今日の馬場だとパワー負けした感が有る。数字のないディープインパクト産駒だけにもっと軽い馬場の方が良いだろう。

ミスパンテール

煩いのは何時ものこととしても、この時期にしては発汗がキツい。内の出方を窺いながら好位の外。スムーズな競馬は出来た。今開催の中では比較的内が有利な印象も有ったにせよ、追ってからが案外。内外からやられただけに言い訳がない。どんな乗り方をしてもそれなりに走る馬だが、今日は下見で気負っていただけに、結果的にもっと矯めた方が良かったのかも。

第54回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

クロノジェネシス

+2kg。誤差の範囲だが、細身の馬だけに減らないよりはマシ。良くも悪くもシャープな造り。小柄な馬に有り勝ちな硬さがないのは何より。ゲート五分。出脚も有りそうだったが、折り合い重視で乗られて中段から。我慢して走っていたが、一つ間違うと引っ掛かりそうな気配も有った。直線向いて、一瞬だけ鋭い脚を使ったものの、200m程度しか持続出来ず、手前が替わってフラフラ。勝つには勝ったが、如何にも粗削りといった内容だった。裏を返せばそれで勝つのだから強いという見方も出来るのだが、脚が外向しているのがコーナリングの下手さにも繋がっており、危うさは常に残る。

ビーチサンバ

+8kg。確実に成長している。馬体にボリューム感が出て、一歩一歩が力強い。気配も良かった。ゲート内の駐立が悪く、出遅れ1馬身半不利。そのまま腹を括って最後方から。折り合い面には元々不安のない馬で、今日もスンナリ流れに乗れていた。4角からクロノジェネシスを目標に追い出し、一瞬は突き放されそうになりながらも、ジワジワ伸びて最後はクビ差。前述した様にこちらの方が良い脚を長く使える。ゲートさえ五分なら逆転も可能だろうが、対クロノジェネシスで2戦2敗は見栄えが悪いのと、ゲートで落ち着きがなかったのは課題。今日は賞金加算出来た点だけが収穫。

ジョディー

2人曳き。気性の勝った馬だが、馬自体は中々ドッシリ見せる。歩様も悪くない。出脚は最内のマドラスチェックも速かったが、主張してハナへ。これで多少脚を使わされたものの、このマドラスチェックに全く行く気がなかったのが幸いで、1000m60.4秒とスローに落とせた。逃げた馬が上がり33.9秒で負けたら仕方がないところ。相手が強かったと思う外ないが、もう少し出脚が有ると楽になる。現状では2000m辺りの方が良いかも。

カレンブーケドール

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。もう少し馬体にメリハリが出るとベスト。歩様も悪くない。出脚は速く、スッと好位。折り合いも付いてスムーズに運べたが、直線向いて何回か手前が替わって伸び切れず。今日の展開なら最低3着には持って来ないと話にならない。人間に従順でセンスは高く、先々走って来そうだが、現状では馬が未完成。

レッドベルディエス

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。+12kg。テンション高い馬だけに、馬体が増えるのは良い傾向。歩様もかなりしっかりして来た。半馬身出遅れも、急かして中段を確保。この時点では少し行きたがっていたが、4角では逆にオッツケ気味。直線も中々エンジンが掛からなかったが、ジワジワ伸びてここ迄。このスローで前とそれなりに差が開いただけに完敗ということになるが、根本的問題として競馬が分かっていない感も。

第53回共同通信杯(トキノミノル記念)(GⅢ)

ダノンキングリー

馬もここでも最上位。多少マイラー体型だが、トモにも迫力が有る。ただ、ちょっとチャカついていた。好発。出脚も速そうだが、アドマイヤマーズに行かせて好位のイン。一瞬だけ掛かりそうになったが、直ぐに折り合いも付いた。イン有利な馬場で、こうなれば楽。アドマイヤマーズの内から追い出されると並ぶ間もなく交わしていた。スローで好位のインと展開も絶好だったが、上がり32.9秒はお見事。ただ、相手が渋太かったのか、この馬に距離の限界が有るのか、交わした時の勢い程、突き放せなかった感も。次走が試金石。

アドマイヤマーズ

2人曳き。+8kg。ほぼ成長分。馬に迫力が出て来たが、その分なのか大分テンションも高くなって来た。好発。出脚も勿論速いのだが、誰も行く馬が居らず押し出される様にハナ。スタート直後に直ぐ外に居たフォッサマグナと接触した影響も有ったのか、少し掛かっていた。それでも手応えは良く、直線向いて暫くは持ったまま。ラスト400m手前から追い出されて、ダノンキングリーには並ぶ間もなく交わされたが、坂を上る途中で左手前になっていたのを上り切って再び右手前に戻してからは差し返そうとしていた。今日は負けて強しの内容。距離は何ともだが、世間の評判よりは保つかも。今日はフォッサマグナと接触したことで馬を宥めざるを得なかったが、もう少し良いペースで飛ばせば何とかなった可能性も。

クラージュゲリエ

2人曳き。+12kg。数字は成長分。もっと増えても良い位だが、今日は若干緩さも有り、完成するのは相当先の話。アドマイヤマーズには付いて行かず、中段でジックリと。追い出してスッと反応してくれるとまだ違ったが、モタついている間に競馬が終わっていた。最後は何とかの3着。前で積極的に頑張っていた4着フォッサマグナの方が余程評価出来る内容。未完成感が有り、今後変わる余地は有りそうだが、現時点では良化待ち。

フォッサマグナ

コンパクトにに纏まった馬体でマイラーとしては上等。ただ、如何せん煩い。前述した様にアドマイヤマーズと接触、アドマイヤマーズが行ってくれたことで好位は確保出来たが、壁がないことも有り、序盤は力んでいた。コーナーに辿り着いた辺りでは我慢してくれていたが、ナイママに来られて動かざるを得ない形に。前とは離されながらも、何とか3番手で踏ん張っていたが、最後に息切れ。今日は仕方がないところ。競馬の上手い下手は有るが、少なくともクラージュゲリエとの能力差はない。

ゲバラ

2人曳き。これも寸の詰まったマイラー体型。ただ、馬のスケールは500万レベル。出負けしたことも有るが、行く気もなく最後方から。道中は死んだ振りで、4角回ってから大外へ。それなりに伸びているが、7頭立ての5着で交わしたのが2頭だけ。前走京都戦よりはゲートを出たことは収穫ながら、それ以上の評価は出来ない。500万で人気になる様ならむしろ嫌ってみたい。

第112回農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

ダンビュライト

前走中山戦とは馬体の張りが違った。毛ヅヤも上向き。前走中山戦は大事に乗り過ぎた感も有り、今日は積極策で2番手。向正面で引っ掛かったブラックバゴを行かせる形になったが、問題なく折り合いも付いていた。直線は馬場のド真ん中。内外から来られて楽な形ではなかったが、一杯一杯振り切った。前で流れに乗れればそれなりに渋太く、この辺りのメンバーなら勝っても驚けないが、何時先行するのか分からないのが厄介といえば厄介。ルーラーシップ産駒で時々ゲートが煩くなって出遅れるのもネック。

ステイフーリッシュ

+4kg。馬体が増えるのは無条件で歓迎。緩んだところもなかった。出脚はあまりない馬だが、外枠ということで少し出して好位から。人気を背負っていたことも有るのか、仕掛けも早目だったが、直線で左手前になってラスト200m程迄、外にモタれていた。右手前になってからは再び伸びている。ダンビュライトに届きそうで届かなかったのはモタれた分の差。やはり時計の掛かる馬場は良くない印象。今日はむしろ地力強化を印象付けた2着。

マカヒキ

+10kg。前後肢にバンテージ。気配は悪くなかったが、数字分だけ余裕残し。この馬の出脚で中段から。外枠とはいえスムーズに運べたが、坂の下りで若干手応えが悪くなり、マトモにエンジンが掛かったのはラスト150mだった。これも時計の掛かる馬場が向くとは思えず、これで良く走った方だが、若い頃ならサッパリだった筈で、こういう馬場で走る様になったのは衰えのサイン。今後は全て見限りたい。

パフォーマプロミス

馬体の張りが微妙に一息。気負っていたのも若干気になった。ゲートの良かったダンビュライトに抵抗しつつ好位のイン。折り合いが付いて流れには乗れた。外有利の馬場でインも空き、直線も一瞬だけオッと思わせる場面が有ったが、この馬場では内から伸び切るのは厳しかった。結果的にダンビュライトに馬場の悪い内目へ押し込まれた形。ただ、馬場自体はむしろ得意とするところで、56kgならもう一頑張りが有った可能性も有った。基本的には57kgは背負えないと見た方が良さそう。

ケントオー

毛ヅヤは悪くなく、デキ自体は良さそう。このメンバーに入るとスケールで見劣るのは仕方がないところ。ゲートは出ているが、外から来られて引っ張っている間に、後方に近い位置。ただ、3〜4角で進路がなくなり、外の馬を行かせてから大外へ。ロスが有った割にはそれなりに詰めている。アテには出来ないが、ハンデ戦なら展開一つ。

第69回東京新聞杯(GⅢ)

インディチャンプ

研ぎ澄まされた馬体。毛ヅヤも良かったが、ちょっとテンションが高い。1馬身出遅れも、押して徐々に挽回して、3角手前で好位。多少力んでいたのは仕方がないところ。時計勝負の馬場でマトモなら止まるパターンだが、内からラスト200mで抜け出すと、一杯一杯振り切った。最後に詰められたのは手前が替わって遊んでいたから。レッドオルガに迫られてからは右手前に戻してもう一伸びしており、完勝といえる内容。メンバーレベルの問題は有るとしても、ゲートを除けば今日の内容にケチは付けられない。今後有望。

レッドオルガ

戦前からデキが良いという話になっていたが、シャープな造りで、動きもキビキビ。ゲートは五分程度だったが、出脚で挽回して好位から。折り合いは付いていた。仕掛けのタイミングを意図的に遅らせて、追い出したのは坂下のラスト400m辺りから。一瞬だけ良い脚を使ったが、インディチャンプに二枚腰を使われて2着止まり。牡馬相手にこれだけ走れば充分ということになるが、今日は時計勝負の馬場と、追い出しの我慢が許容される展開が向いた感も有る。限定戦で人気になった時が特に危険。

サトノアレス

下見に減点材料はない。はち切れんばかりの馬体で、仕草に堪えが利いていて気配も良かった。出遅れは日常茶飯事。少し出して挽回して中段から。結果的にインディチャンプに先行されたのがマズかったということになるのだが、序盤はかなり力んでいただけに深追い出来ず、仕方がないところ。何とか3角で我慢させて、直線は渋太く伸びて来たが、前に届く様な雰囲気はなかった。やはりゲートは出るに越したことはない。位置取りの面でも折り合いの面でも。

ロードクエスト

2人曳き。最近は気配地味。太い印象はないが、もう少し締まった感じが欲しい。これも若干ゲートが悪かったが、押して中段から。これもレッドオルガ同様、比較的矯め気味に乗られた。これはこれだが、特に接触が有った訳ではないのだが、追い出してから何度か乗り役が後ろを振り返っていたのが勿体なかった感も。もう少ししっかり追えていたら3着は際どくなっていただろう。最近は衰えが見え隠れする中で、時計勝負の馬場は歓迎でなかった筈。馬は頑張っている。

タワーオブロンドン

+10kg。今日は単純に太い。緩さも有った。気配と歩様は良かったが。五分のスタートから、折り合いも付いて流れに乗れていた様に見えたが、いざ追ってからインディチャンプとは脚が違っていた。そのインディチャンプに不利を食らったが、それ以前の問題。マイルでギリギリの馬だけにもっと矯めた方が良い。今日は太目でも有り、余計に終いが甘くなった。

第59回きさらぎ賞(NHK賞)(GⅢ)

ダノンチェイサー

スカッとした造り。キビキビ歩いて、歩様に力強さが有った点も好感。少し促して2番手から。序盤は多少力んでいたが、後方に居た他の人気馬よりは遥かにマシ。3角手前で馬も納得して走れていた。直線入口でランスオブプラーナが突き放す格好になったが、直線半ばで交わすと、あとは独走だった。見た目の上では完勝だが、前述した様に引っ掛かっていた馬が多かったことと、直前の雨が明暗を分けた感。次走が試金石。

タガノディアマンテ

硬さはなく、馬体もこのメンバーならそれ程負けていない。ゲートもイマイチだったが、出脚もなくて後方から。行き脚が付く迄にも時間を要したが、坂の下りで惰性を付けて直線は大外へ。この雨で極端な競馬に徹したのが正解。2走前の東京戦で外へヨレたり、前走阪神戦は行かせて甘くなりと中々難しいタイプだが、一つパターンが見つかったのは何より。ファストタテヤマの再来だと頭に入れておくと良いことが有るかも。

ランスオブプラーナ

+8kg。下見で落ち着いていたのが何より。胴長の体型。1400mのみを使ってきた馬だが、見た目だけなら距離は保つ。好発。2番手のダノンチェイサーが最初から抑えていたことも有り、楽々ハナへ。終始好リズムで行けた。直線入口で突き放す迄は良かったが、そこから内ラチにヘバりついてしまい、マトモに追えなかったのが痛かった。現時点では道悪なのか、距離なのか何ともいえないが、能力は持っている。

ヴァンドギャルド

2人曳き。多少余裕残し。気配は悪くないが。折り合いに専念しつつ中段。スタート直後からノメっており、早い段階で外に出したのは正解だったが、追ってからもバランスを崩す場面が有り、伸び一息だった。距離が長いという説も有るのだが、今日は良く頑張っている方で、この内容では証明出来ず。間違いなく道悪はサッパリだが、他の部分は次走へ繰り越しになった。

メイショウテンゲン

シープスキンノーズバンド。多少チャカつく面は有ったが、現状のデキ自体が良さそう。馬体が張っていて、毛ヅヤが良かった。外枠ということも有り、出たなりでジックリと。向正面では後方に居たが、3角過ぎから徐々に番手を上げて中段。それ程、ノメっている様には見えなかったが、タガノディアマンテには並ぶ間もなく交わされていた。現状だと力不足。

第33回根岸ステークス(GⅢ)

コパノキッキング

2人曳き。毛ヅヤピカピカ。瞬発力身上の馬で、迫力だけなら下の方だが、シャープな造りで明らかにデキが良かった。今日はゲート五分。前走中山戦は砂を被らされて待機策だったが、今日はスタート直後から揉まれない位置が取れた為、スンナリ中段。道中は引っ張り切りの手応えで、砂を被らない様に外を回って、手応え通りに突き抜けた。ただ、4角の手応えの割に、ユラノトを突き放せなかった印象もない訳ではない。やはりこの正攻法ではマイルは長いと見るのが妥当だろう。芝スタートでそもそも出脚が付くかが微妙だが、もっと矯める競馬をせざるを得ないのは確か。

ユラノト

オーストラリアンブリンカー。+6kg。数字が実になっている。多少煩いが、1400mなら丁度。気配も良かった。ゲートを五分に出て、出脚が抜群に速いという訳でもなさそうだが、枠の利で好位から。前がバラけてインでも然程砂を被らずに競馬出来た。直線もスムーズに捌いて抜け出して来たが、コパノキッキングの決め手に屈した格好。マイルに問題はなく、距離適性で逆転という可能性もない訳ではないが、今日はこの馬自身も最高に運んでおり、GⅠ迄は考え辛い。

クインズサターン

遮眼革。前後肢にバンテージ。-6kg。多少馬体の張りが甘い気もするが、芦毛でも毛ヅヤは悪くなかった。歩様もスムーズ。若干ゲートで後手に回ったが、ユラノトが有る程度行ってくれたことでリカバーし易くなり、中段から。1400mは初めてだったが、内枠ということも有って、想定よりは良い位置で流れに乗れた。ただ、直線で外へ持ち出したかったところに壁が有り、結局はインから。遮眼革着用で、砂を被ると頭を上げて嫌がっており、ひと伸びが利かなかった。ただ、今日の経験は大きかった筈。マイルならもっと走れるだろう。

モーニン

2人曳き。年齢分も有って、馬体の張りは一息だが、馬に集中力が有った。出遅れ1馬身不利。マテラスカイがブッ飛ばしたことで縦長の展開となり、この枠で出遅れた割には砂を被らず、揉まれない位置で競馬出来た。4角も距離損よりも馬のメンタルを大事に大外。前3頭が抜ける展開で実質競馬が終わった後だが、渋太く伸びて来た。今更中央の重賞で通用するとは考え辛いが、交流戦なら馬券圏内有りそう。

ワンダーリーデル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。多少ボテッと映るが、腹袋がしっかりしたタイプ。水平首で淡々と歩けていた。五分のスタートから急かさず中段。これも砂を被ることなく競馬出来た。4角を回ってコパノキッキングと同じ位置。一瞬で突き放されたが、止まりそうなところで意外な程食い下がっていた。マイルすら使ったことのない馬だが、今ならむしろ距離が延びた方が良さそう。

第24回シルクロードステークス(GⅢ)

ダノンスマッシュ

前後肢にバンテージ。この辺りのメンバーなら馬が一枚上。ただ、まだ余裕残し。明らかにトライアルという仕上げ。内枠で包まれる展開が最悪で、有る程度出していって好位のイン。眼前にラブカンプーが居たが、4角でアラアラの手応えで前が壁。外へ立て直す外なく、マトモに追える様になったのはラスト150mだったが、地力が一枚違った。56.5kgは若干恵まれた感も有ったとはいえ、完勝。毎回述べている様に競馬は楽に勝つに越したことはなく、一応はロスの有った今日のダメージを案じるところでは有るが、勿論次走も大本命級。短距離お得意の安田隆行厩舎というのも安心感が有る。既に焦点は父ロードカナロア同様、マイルをどうこなすかといっても過言ではない。

エスティタート

+8kg。太くは見せず、フックラ程度。気配も地味だったが、減点材料もない。出遅れ半馬身不利。そのまま真っ直ぐ走って、アレスバローズ、アンヴァルと一緒に追い上げて行く形。最近、スローが多いこのレースだが、今年は機関車役が居て、更にハイペースで展開が向いたとはいえ、結構早目に動いて行きながらも前の前述2頭は捕まえて2着に踏ん張った。中々渋太い内容。前走内容からこのメンバーでも足りることは見えていたが、明らかにワンランク上の競馬が出来た。

ティーハーフ

前後肢にバンテージ。下見で良くてもサッパリということも多いが、今日は良かった。馬体がしっかりして、歩様もキビキビ。今日はゲート五分も、外枠で行く気なく後方から。力の要る馬場ということも有って、各馬がそれ程切れる脚が使えないだけに、アレスバローズ、アンヴァルに限らず、全体に仕掛けの早い競馬になったが、こちらは比較的大事に乗られて直線向いてから脚を使う形でここ迄。斤量を背負っていただけにメリハリの利いた競馬をしたのが良かった。アテには出来ないが、今後も展開一つ。ただ、時計の掛かる馬場の方が多少確率が良いのは確かだろう。

アンヴァル

2人曳き。-4kg。もう少し絞っても良さそうだが、馬は張っている。気配も良かった。出脚は有る馬でも、前走は外枠から深追いし過ぎて失敗した為、ゲートは出ていても今日は比較的矯める競馬。それだけにもっとゆっくり追い出したかったところだが、アレスバローズに来られて4角手前から動かざるを得なかった。とはいえ、一旦はアレスバローズにマクられながら立て直して、そのアレスバローズは捕まえた。間違いなく地力は付いて来た。少なくともエスティタートやティーハーフよりは強い内容。

アレスバローズ

前後肢にバンテージ。+8kg。馬体にメリハリが利いて、柔軟性の有る動き。出たなりで向正面では中段やや後方から。斤量を背負っていた上に、少し行きたがっていたことも有って、思い切ってマクりに行く策。流石に強引だったが、重賞の短距離戦でマクり切るだけでも大したモノ。脚力は示した。今日は強引過ぎただけにこれが悪い方に出る危険も有るのだが、本来の待機策が次走で出来る様なら上の舞台でも面白い。

第65回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

ワンブレスアウェイ

+10kg。見た目はもっと増えても良い位。馬に活気が有って、この時期の牝馬にしては毛ヅヤが良い。何時も程ではないにせよ、若干出負けしたが、出脚でカバーして好位を確保。これも意外な程、折り合いも付いていた。直線向いてからも手応え通りに伸びて6歳にして初重賞制覇。ハンデを別にすれば、見た目の内容だけなら快勝。ただ、ゲートがアテにならないのと、今日は新名神が前夜から止まって関西馬の輸送がすんなり行かなかった影響も有った筈。クラブの規定により、使ってもあと2走だが、中々厳しいだろう。

ノームコア

多少急仕上げという話も有った様だが、数字こそ出来ていても馬体はイマイチ緩い。歩様は悪くない。ゲート自体は出たが、直後に躓いてしまい、枠も遠くて後方から。折り合いは付いていたが、4角はインを突ける状況ではなく、大外から。1頭だけ違う脚で追い込んで来た。55kgでも有り、充分好内容といえる競馬。現状でGⅠで勝ち負け出来るとは思わないが、この辺りのメンバーなら力は一枚上。

ランドネ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+6kg。このメンバーだと馬の迫力では一枚上だが、まだ増えても良い位。気配は良かった。好発。ディーエスクライも出脚は速かったが、主張してハナへ。早目に決着を付けたこと、誰も競り掛けに来なかったことで1000m通過62.2秒のスロー。持ったままで回って、坂を上り切った辺りでも先頭で粘っていたが、ラスト100mで甘くなった。もう少し飛ばしてみてどうかだが、1000m通過60.1秒で逃げた3走前の中山戦もノームコアに完敗。かなり力量差が有るとみるのが妥当。

ウラヌスチャーム

前肢にバンテージ。歩様に伸びが有ってスムーズ。馬体も重量感が有って、締まっていた。若干ゲートは分が悪かったが、直ぐ内のランドネが行ってくれたことと、この馬自身の出脚も有って好位直後から。道中は壁がない状態で、特に序盤は行きたがっていた。直線もイマイチ伸び切れなかった印象だが、0.2秒差に止めた。スローで行きたがっていたことを考えれば良く頑張っている方だろう。今日は最近の限定戦にしてはメンバーが揃っていた方で、上手くメリハリの利いた競馬が出来れば次走は勝ち負けも。

コルコバード

+6kg。これももっと増えても良い位。ただ、以前を考えたら大分トモの甘さもマシになっていた。これもゲートが悪く、更に押しても進んで行かず後方から。内々を立ち回って距離を稼ぎ、ウラヌスチャームとの併せ馬で渋太く食い下がっていたが、あと一歩だった。前走GⅠで0.7秒差の8着。このメンバーなら遜色ないところは示したが、もう少し距離が有った方が競馬は楽になりそう。とはいえ、馬が大分しっかりして来たので経験を積めば解決出来る筈。