Sakura Archives

競馬回顧 2016年3回阪神

第56回宝塚記念(GⅠ)

マリアライト

2人曳き。前肢にバンテージ。数字がない分だけ目立たないが、更に上昇。歩様キビキビ。好発。1角手前でも横に6〜7頭並ぶ展開だったが、それらを行かせて中段から。終始、馬群の外を通っていた。3角から押し通しで好位進出。決して手応えは良い様に見えなかったのだが、それでも最後迄止まることなく伸び続けてV。スタートして1角辺り迄はノメる場面も有り、手応えを考えても 走法だけをいえば道悪が向いていないのだろうが、道悪を根性一本でこなしている。これでこのレースは4年連続8枠が勝利。外枠がこの馬場で結果的に良い方向に向いた面は有るが、牝馬がゴールドシップと同じ手法で勝つのだから立派の一言。次走未定だが、仏国向きという気もしないでもない。

ドゥラメンテ

気性、歩様等、何時も通りといえば何時も通りだが、休養明けの中山戦と大して変わっていないのも確か。何となく3歳時の方が馬が張っていた。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。勿論、行く気は余りなかっただろうが、出遅れたことで外に出す迄の余裕がなく、ずっと外に馬が居た。前が開いたのは直線向いて地力でサトノノブレスを弾いてから。ほぼ絶望的な位置から追い込んでいるだけに馬は間違いなく強いのだが、今日はツキに見放されていた。しかも、レース後に馬場に脚を取られて故障、これで引退と踏んだり蹴ったりの一日に。近況の堀厩舎もそうだが、母アドマイヤグルーヴはクラシックで毎回人気しながら手が届かず、祖母エアグルーヴも桜花賞熱発で回避と、この血統は大舞台でイマイチ運がない。

キタサンブラック

2人曳き。前肢にバンテージ。+12kg。デビュー以来最高体重。現役屈指のグッドルッキングホースで、馬格が有るのでそれ程太くは見せない。毛ヅヤも冴えてデキ自体も良い。好発。戦前の想定通りハナへ。前日の雨で稍重ながら、最内から伸びる場面も有り、ラチ沿いは決して悪くなかったが、今日はワンアンドオンリーやトーホウジャッカル等、くっ付いて来た馬が多かった。見た目には出脚を然程使わず楽に行っているのだが、ペースにすると1000m通過59.1秒。多少オーバーペースになった。腹を括ってインを只管通り、この馬の近くに居た後続が全部潰れてくれる展開はラッキーだったが、外から2頭。展開がキツかったところ、向いたところ、それぞれ有ったが、トータルすれば良く走っているといえるだろう。ラチを頼れれば一線級。ただ、秋は実質適鞍が中山戦のみ。この馬が唯一掲示板を外したのはダービーだが、東京は絶望的に向かない。

ラブリーデイ

2人曳き。叩いて馬体が締まって来た。気配も含めて、デキに注文はない。出脚は速い馬で、先行争いに首を突っ込んでいたが、早目に引いて好位の外。結果的にマリアライトの一歩前は最高のポジションといって良い。馬場の良いところを通っているから手応え充分。4角回って来た際は乗り役も夢を見た筈だが、坂を上がって甘くなった。昨秋のジャパンカップもそうだったが、少し距離が延びて少しペースが速くなると途端に甘くなる。ただ、デキ自体は完全に戻っているのと、器用さは健在。天皇賞の穴馬としては面白い存在では?

ステファノス

前走より良くなっていそう。歩様に硬さがなく、馬体も緩んだところがなくなった。ゲートは出たが、出脚が速い方ではなく中段やや後方。ラブリーデイを観ながらの競馬。これも4角の手応えはかなり良かったのだが、直線向いて坂を上る脚がない。ラブリーデイとの2馬身半差は結構大きい。適性がスピード寄り、坂のキツいコースで甘いという個性は有るが、ラブリーデイとは能力差が有る。

アンビシャス

2人曳き。この馬にしては落ち着いている。毎回述べている様に、歩様に力強さが出たのが本格化の証。この時期だけに皆そうだが、毛ヅヤもピカピカ。前走同様、積極的に乗られて好位から。正に前走同様でキタサンブラックの直後はオイシイ位置。ただ如何せん、この馬場で道中力んでしまうとキツい。4角手前で既に手応えがなく、この乗り役の何時ものパターンで直線は追うのを止めていた。2200mは流石に長かった様。今日は参考外。余談だが、直線でこの馬の直後にシュヴァルグランが居て、この馬が下がって来るアオリをマトモに食らっていた。馬主はグループみたいなモノで、追わないのは馬の為には正しいこととしてもバツの悪い結果に。

第21回ユニコーンステークス(GⅢ)

ゴールドドリーム

前後肢にバンテージ。-5kg。ダート馬らしいガッチリとした造り。多少歩様は硬いが、淡々と歩いていた。多少ゲートが悪いのは何時ものことだが、今日はまだマシな方で、外枠で立て直す余裕も有って、好位追走。ペースは決して遅くなかったが、4角手前で前のストロングバローズを相手と決めて早目早目。間に1頭スミレが噛んでいた分だけ不利に見えたが、良い瞬発力を持っている。見た目は叩き合いだが、マイルでの決め手が一枚違った様。流行りのレースレコードではないものの、1分35秒8もソコソコ速い。少なくとも昨年のノンコノユメよりは強いだろう。あとは前走交流戦で惨敗した様に小回りの適性。経験で変わって来る可能性も有るが...。

ストロングバローズ

毛ヅヤ冴える。馬体に特に減点材料はないが、もう一絞り有っても良い。好発。出脚で1馬身抜けていたが、内から主張したマイネルバサラに行かせて2番手。折り合いが付いて楽に追走出来ていた。手応え充分に坂下迄追い出しを待つ余裕が有った程だが、ゴールドドリームに一騎打ちの形に持ち込まれて最後は競り負け。出脚が速く、前で流れに乗れる器用さは有りそう。その点で距離が延びた方が誤魔化しが利くのは間違いないだろう。次走大井で逆転も。

グレンツェント

2人曳き。前後肢にバンテージ。キビキビ歩けていた。気配も上々。馬体も数字がない割に纏まっている。ゲートは出ているが、出脚で差が有って後方に近い位置。4角回ってもまだ中段やや後方辺りだったが、前2頭がチギる展開だったことも有り、3着浮上。似た様な競馬を狙っていた馬は他にも居て、それらよりは上位という評価も出来るのだが、前との3馬身差はそれなりに大きい。尤も、函館でアッサリ勝った様に今年の3歳馬はレベルが高く、古馬相手でも根こそぎ持って行く可能性も有るのだが。

ビットボス

前後肢にバンテージ。はち切れんばかりの馬体。毛ヅヤも冴えており、歩様もキビキビ。下見は抜群に良く見せた。出脚は有りそうだったが、無理せず内外から様子を窺い好位から。砂は多少被っただろうが、目の前がストロングバローズで、展開的には絶好だった。直線向いてこの馬も伸びているのだが、前とは離される一方で、最後は力尽きて4着に。グレンツェントの様に控える競馬だったら3着有ったか。能力評価としてはそんなレベルだが、今日の経験は大きい筈。こういう競馬は馬を強くする。

クインズサターン

遮眼革。前後肢にバンテージ。歩様はむしろ芝向き。馬体も軽い造り。出たなりで中段から。多少砂を嫌がる素振りも見せていたが、目の前がゴールドドリームと悪い位置ではなかった。早目に動いたゴールドドリームを意識して付いて行く形。坂を上がった辺りで一瞬バテそうになったが、グレンツェントと併せ馬になって暫く食い下がっていた。今日のところはパワー負けだが、根性は有りそう。この手のタイプは3連勝式の押さえに要る。

サマースプリントシリーズ第1戦 第23回函館スプリントステークス(GⅢ)

ソルヴェイグ

少しでも増えたのは良い傾向。この馬にしては活気も有った。好発。ローレルベローチェが行ってくれて、楽々2番手。大外枠の不利が一瞬の内に消えた。開幕週の馬場でこれは大きかった。ローレルベローチェに少し義理も有ったか、4角手前で潰しに行く際に、少し内を開けており、そこをシュウジに突かれる格好になったが、首の上げ下げで差し返してV。1分7秒8はレコードだが、前のレコードもテイエムオオタカが3歳時に出したモノ。洋芝とはいえ、時計勝負になれば3歳馬が有利で、しかも50kgは余りに軽かった。今日はそれ以上ではなさそう。尤も、競馬が上手いのも間違いなく、その点はシュウジと対照的。無暗矢鱈に軽視も出来ない。

シュウジ

2人曳き。例に依って迫力は有るが、前走東京戦の方が良かったのは確か。歩様も落ちている。ゲートは五分程度だったが、促して好位のイン。少し出し過ぎて、いきたがっていた様にも見えたが、1200mで一応ブレーキは利いていた。前述した様に前も開いて最高の形だったが、一旦はクビ程覗かせながら上げ下げで逆転負け。道中のロスがなければ勝っていただろうが、勿体ない競馬になった。ただ、今日はデキも一息で、条件噛み合えば逆転も可能だろう。スプリンターとして世代最強は疑う余地がない。このレース自体も、内枠の馬が何かにやられるケースは多い。

レッツゴードンキ

2人曳き。スカッと出来ていた。成長はないだろうが、デキ自体は問題ない。流石に1200mでは出脚が厳しく、押して何とか中段。シュウジの一段後で、今日の展開だと一手遅いのだが、それでも久々に追って伸びる気配が有ったのは収穫。気性的に競馬を投げていた様にも見えた時期も有ったが、取り敢えずその状態からは脱出。まだまだ稼げそう。

アクティブミノル

良いのか悪いのか良く分からないタイプだが、トモの張りは有った。意外に出脚が速く、スッと好位。ソルヴェイグが少し外へ持ち出した為、4角で1頭分程損しているが、直後で悪い形ではなかったが、追って伸び切れなかった。大きく負けている訳ではないが、格好の悪い負け方。基本的にスプリントがベストではなさそう。1400mでスムーズに行けるのが馬券に絡む条件。

エポワス

+6kg。多少腹回りがボテッと映る程度。寸が詰まって不格好では有るが。出脚で差が有って中段やや後方から。今日は内がバラけた為、枠なりにジッとしていたのが正解。8歳馬がレコード決着だけキツく、今日はこれで良く走っている方。毎年そうだが、北海道に来ると走る。一雨来れば一発有って良い。

第33回エプソムカップ(GⅢ)

ルージュバック

2人曳き。-6kg。今日も馬体が締まって見えた。GⅠの後だが、高値安定。ゲートは決して良くなかったが、マイルの後で出脚が付き、中段辺りから。ちょっと出している筈だが、折り合いは付いていた。スローは分かっていただろうが、コーナーで動く訳にも行かず直線勝負。1頭だけ違う脚で大外から突き抜けた。上がり32.8秒は出色。牝馬がこのレースを制するのは1994年ワコーチカコ以来だそうだが、前走は久々のマイルに対応出来なかったのが敗因で、これならGⅠでも足りる。牝馬は全部勝たせてしまうこの乗り役を確保しているのは大きい。

フルーキー

前後肢にバンテージ。-8kg。前走新潟戦で気になった歩様はマシになっていた。馬体もシャープに造って有る。最初から行く気はなかった様で、後方待機。目の前にルージュバックを見る形で、競馬としては上手く行っているが、追い出して一瞬の反応が悪く、直線向いた段階で2馬身差程度だったルージュバックとの差が一瞬の内に5馬身程。これが痛かった。勿論、4kg差が利いており、最後のステッキに応えてマイネルミラノを捕まえた辺りが能力の照明。2kg差なら何とかなっていた筈。やはり1800mがベスト。斤量をこなしている内に馬が強くなるのは良く有ることで、少しずつパフォーマンスが上がっている。国内は各カテゴリのスペシャリストが居て中々難しいのだが、海外でGⅠに手が届いても。

マイネルミラノ

遮眼革。また馬体増。数字分だけ腹回りが緩い。淡々と歩いていたのは毎度。内の馬に出脚が速い馬が多かったが、促して何時も通りハナへ。外枠からの先行だったが、東京だけに他馬も競り掛けに来ず、単騎で行けた。1000m通過60.5秒は、結果からいえば決め手負けした形でも、この馬の能力を考えると致し方ないところで、理想的なペース。ラチ沿いピッタリは先週のロゴタイプ同様。坂を上がって突き放し、やったかの場面だったが、外から2頭。相手を称える外ない。尤も、3着よいう結果自体は今後を考えると最悪かも。現状はハンデ56kgの馬だが、今日の好走で0.5kg余分に背負わされることになりそう。相手のマークが厳しくなる点も歓迎しない。

ロジチャリス

+4kg。何時ものこの馬。2歳時からソコソコ走っていた馬だが、3歳時からこの位の数字で走っており、550kgで太く見せなくなったのが今年から。それだけ実になっている。ゲートは他に速い馬が居たが、出脚が速くスッと好位直後。序盤はスローで少し掛かり気味。3角手前で折り合いが付いた。直線外へ持ち出して、坂を上る辺りでルージュバックに並ぶ間もなく交わされていたが、止まっている訳ではなくジワジワ伸びてここ迄。今日はスローで鋭さ負け。道悪は走れる馬で、渋った時が狙い目。ただ、距離適性が妙に狭く1600〜1800mでないと走らない。

レコンダイト

シープスキンノーズバンド。馬体に大きな変化はないが、直ぐに歩様が硬くなる馬で、中1週の影響は有りそう。気配は良かったが。2500mの後でもゲートは五分に出て好位直後。ロジチャリスと並走していた。伸びているが、これも上位馬とは決め手が違っていた。元々、2500m等で走っていたのは器用さが有ったからこそ。今日は外を回らされたのも応えたか。

第21回マーメイドステークス(GⅢ)

リラヴァティ

-6kg。ちょっと下見は感心しなかった。毛ヅヤの雰囲気から恐らくデキは良いのだろうが、珍しくイレ込んでいた。先行激化が予想されたが、ナムラアンが出遅れ、シャイニーガールが思い切って行ってくれたことで、スッと好位。ココロノアイが2番手に居たのは意外だったが、隊列が早目に決まったことで折り合いは付いていた。3〜4角中間で前を見切り、4角手前で先頭。道中は楽出来たとはいえ、キツい展開だった筈だが、一杯一杯粘り切った。中々渋い。着実に力を付けて来た印象。毎年述べている通り、秋の京都2200mは先行馬なら常に一発が狙えるコース形態。昨年は雨で外差しの馬場となって敗れたが、良馬場なら見せ場は造れるだろう。ただ、下見でイレ込んでいた影響なのか、ゲート内が喧しい。今日は躓きながらもたまたま出ただけで、アテに出来ない面は有る。

ヒルノマテーラ

馬体に強調点はないが、締まった造りで、キビキビ歩けていた。最初から行く気なく、決め打ちの最後方待機。他馬が近くに居ると掛かり癖が有る馬で、この形でないと折り合いが付かない様。道悪の影響とリラヴァティの早仕掛けでバテた馬も居て、4角から早目に外へ持ち出し追撃態勢。躊躇なく一番大外へ持ち出して良く伸びた。前述した様に展開も向いたが、軽ハンデとこの馬の個性を生かした騎乗。ハンデ戦が先行馬と追い込みで決まのは良く有るパターン。発表は良馬場だったが、レース1時間程前から雨が本降りになり、実質は稍重程度。パンパンの良馬場だったらもっと切れていただろうが。

ココロノアイ

+12kg。前肢にバンテージ。数字分だけ多少緩いが、落ち着いていた。距離延長の形だったが、この乗り役らしく、枠を生かして2番手へ。流石に折り合いを付けるのは上手い。リラヴァティの早仕掛けを内でジッと我慢していたが、阪神は内が開かず外へ持ち出す際に、この馬自身が内にモタれてしまって仕掛け遅れの格好。勝てば上手く乗られたというところだったが、元々切れる馬ではないだけに、結果的にこれが裏目になった。尤も、乗り役なりの判断で勝ちに行った形。時折見せる最後方待機とは違って、一概には責められないところ。

シュンドルボン

前後肢にバンテージ。-10kg。多少中山戦の方が雰囲気が良かった。輪郭に大差はないが、馬体に中身がなくなって、歩様も少し落ちている。内外が行った関係で少し行きたがったが、1角迄には折り合いが付き、後方待機。3角過ぎからジワッと動いてマクり切っているのだが、坂を上る辺りで甘くなった。マクりはこの馬のパターンだが、56s背負ってこの馬場だとこの結果は致し方ないところか。中山戦で負かしたルージュバックとは対照的な結果に。

ハピネスダンサー

前後肢にバンテージ。-8kg。馬体減も有るが、元々が胴長でスカッと見せるタイプ。毛ヅヤが良く、歩様も力強い。下見は満点やれる。余り出脚の速い方ではなく、出たなりで後方から。インでジッとしていたというより、外に持ち出せる場面すらなく、直線もそのままインを突いたが、前が開かず万事休す。特に坂を上り切った辺りで引っ張ったのが致命傷になった。今日は仕方がないが、戦前述べた様にトビが大きいタイプで、内を突くとこうなりがち。

第66回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

ロゴタイプ

前肢にバンテージ。前走中山戦も良かったが、毛ヅヤがピカピカで、歩様が伸びている。ディサイファの方がゲートは速かったが、戦前からの決め打ちでハナへ。出脚が有るので楽に行けた。道中はモーリス様々で、2番手でガッチリ抑えてくれたため、1000m通過が59.1秒と平成以降では不良馬場だった1998年以来のスロー。同じく不良だったジャスタウェイが勝った一昨年と同じペース。直線も外へ持ち出したモーリスに対して、この馬は只管内ラチ沿い。これで距離が稼げて、モーリス以外の差し馬も全滅してしまった。勝つ時はこんなモノだろうが、全てが上手く行った格好。尤も、安田記念はこの手の復活劇がチラホラ有る。

モーリス

2人曳き。ゴツい造りは毎度。毛ヅヤは良かったが、ちょっと張りがない様にも見えた。歩様の硬さはこんなモノ。ゲートやや出負け。外から何かが行ってくれれば話は違ったが、モーリスマークが意識に有った様で、前が開いたままで引っ掛かってしまい2番手。断然の1番人気に推されていた馬がハナへ行く訳にも行かず、引っ張って2番手。かなりこの段階でロスが有ったが、前日の雨の影響を意識したか、直線向いて馬場の外へ。これも結果的に内の馬場も悪くなく、かなりのロスになってしまった。ズルズル行っても不思議はなかった展開の中での2着確保は地力の証だろう。厩舎技量で気の悪さを勝負根性に昇華させて来た馬だが、デキの問題も含めて上手く噛み合わなかったか。"終わりの始まり"と決め付けるのは早計という気も。余談だが、戦前にニッポーテイオーが勝った1988年以来と述べたら、ニッポーテイオーと同じ逃げ切り勝ちで、この馬は父スクリーンヒーローから当時2着のダイナアクトレスが辿れる。人気では収まらなかったが、中々歴史は繰り返す。

フィエロ

2人曳き。-8kg。何時ものこの馬の造り。キビキビ歩けており、馬体も見栄えがする。珍しくゲートは出たが、行く気なく中段やや後方。前を壁に出来たことも有って、比較的折り合いは付いていた。直線向いてモーリスが外へ出した為、更に外を回されてしまったが、ハナ差迄追い込んで来たのだから評価出来る内容。昨年4着だったが、この時は内にモタれており、真っ直ぐ走っていた点も伸長が窺える。前走京都で負けた点は引っ掛かるが、そろそろGⅠの順番が回って来ても不思議ではない。

サトノアラジン

前走と変わらず。馬体が締まってまずまず。気配に乏しいのも何時ものこと。例に依ってゲートが少し悪かったが、少し押して後方。前走は明らかにチグハグだったが、今日は流れに乗れていた。ただ、直線向いて内・外・前と全部壁。スローだけにこれが致命傷になった。結局、外を狙ったのだが、フィエロがしっかりフタをしており、フィエロが交わせずの4着。最後は伸びている様に力は付けているのは確かだが。毎度毎度同じ話をすることになるが、あとはオーナーの馬運。

イスラボニータ

首でリズムを取って気配そのものは上々。ただ、最近のこの馬は妙に軽いケースが多いのだが、幾らかマシとはいえ、大差はない。今日はゲート五分。300m程入ったところで外から来られて引っ張る場面も有ったが、流れには乗れた。間にリアルスティールが噛んでいたが、モーリスから1馬身差なら勝負圏内だと思うのだが、そこからの差が詰まらない。今年3走の中では一番マシな競馬だが、以前にあった筈のワンパンチがなくなってしまった。賞金はそれなりに咥えて来るが、出口が見えない。

第69回農林水産省賞典鳴尾記念 (GⅢ)

サトノノブレス

-10kg。絞れたのは季節要因だろう。馬体の張りに問題はなく、数字分だけスカッと見せる程度。珍しくゲートが悪かったが、出脚で何とかネジ込んで好位。無理が有った分、序盤は少し掛かっていた。向正面で折り合ったが、メイショウナルトの逃げが結構締まったペースで、それを手応え充分に自力で捕まえに行く形。坂下で抜け出して、後続も外から迫って来るのだが、そこからがこの馬の真骨頂。相手が来たら来ただけ伸びていた。1分57秒6はレコード。スローの決め手勝負になると怪しい面も有るのだが、今日のペースなら持ち味が生かせる。やはり56kgも恵まれていた。この内容ならGⅠでも足りる様な気もするのだが、先週述べた様に最大のネックはオーナーの馬運。

ステファノス

2人曳き。+9kg。多少腹回りに余裕が有る。8割程のデキ。行けるなら行っても良かっただろうが、スタート直後は両サイドと並走になっており、折り合い面を意識して下げる形。前に壁はなかったが、中段やや後方で我慢して走っていた。3角過ぎから少し番手を上げて4角では勝負圏内。今日の上がりなら突き抜けても良いのだが、坂を上る辺りからジリジリだった。阪神は一昨年の毎日杯以来 (3着) でこの時も少し甘くなったが、似た様な内容。尤も、今日は休み明けの影響の方が大きいだろうが。

プランスペスカ

集中力を欠く。トモの送りにも多少硬さが有ったが、馬体の張りだけは妙に目立っていた。サトノノブレス出遅れの恩恵を受けたのがこの馬で、出脚を使わずに好位のインが確保出来た。直線はサトノノブレスの直後迄出して、一瞬は並び掛けてやったかの場面だったが、ジリジリだった。惜しい内容。好位で渋太さを生かしたい馬だが、出脚がそこ迄速い方ではないだけに自分の競馬に持ち込めないタイプ。久々に"らしさ"が出せた。この手の馬は新潟で強く、出走なら狙い目に。

パッションダンス

2人曳き。前後肢にバンテージ。元々馬格が有って良く見せる馬だが、今日も高値安定。歩様も力強い。余り深追いしたくなさそうだったが、外からヤマカツエースに来られたことも有り、2番手へ。サトノノブレスが4角手前から来たことで、この馬も早目早目となり、苦しい展開となったが、大きくは負けていない。これもハンデ戦では57kgを超える実力が有り、56kgは有利に働いた様。高齢馬がレコードの馬場で走れるのは余程デキが良いのだろう。条件噛み合えばまだまだ稼げる。

マジェスティハーツ

前走京都戦はダートで競馬にならなかったが、良い攻め馬代わりとなった様で順当に良化。気配は地味だが、馬体の張りが別物になった。このペースでも行き振りは悪くない様に見えた。行こうと思えば行ける馬だが、例に依って後方から。道中の手応えは悪くなかった。4角は更に後ろに居たフラガラッハが仕掛けて来て、それに呼応する形で進出。ただ、追い出してから内にモタれていて、競馬にならなかった。ただ、モタれる癖は昨年2着の際にも見せていた。右回りではラチを頼った方が良いタイプ。

ヤマカツエース

キビキビ歩いており、問題なく出来ていた。もう一歩、前へ行きたかった筈だが、1番人気で余り深追い出来ず、好位から。内に居たサトノノブレスが少し行きたがっていたことも有っただろう。ただ、結果的にレコードの馬場で外々を回されてしまったか。直線は伸びずバテずの雪崩込み。休み明けの分も有るだろうが、器用さ身上の馬が真っ向勝負の競馬になってしまった。