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競馬回顧 2014年2回阪神

第75回皐月賞(GⅠ)

ドゥラメンテ

デキ一変! あれだけ非力だった歩様が見違える様に良くなった。まだ腹は巻いているが、トモのボリューム感もかなり増している。スタート直後にスピリッツミノルと接触し、ダッシュが鈍り後方から。折り合いは付いていた。それ迄は内に居たが、4角で外へ持ち出した際に大きくフクれ、内から10頭分程外へ。後方に居た組はほぼこれで掃除されてしまったと同時にこの馬も圏外かに思われたが、そこからの脚がケタ違いだった。下見から1頭抜けた雰囲気だったが、その通りのパフォーマンスで、ここにきての成長力を見せ付ける形に。東京戦も有力だが、この手の粗相が有った馬が中々勝てないのはギャンブルの常套。

リアルスティール

少し気負い気味。相変わらず馬を大きく見せない。少なくとも大物感はない。出脚は一番速かった位だが、掛かりそうになっており、宥めつつ好位。向正面では折り合えた。キタサンブラックを目標に進め、坂下で先頭。普通なら勝っている形だが、ドゥラメンテとは決め手の差が有り過ぎた。成長力の違いが出た格好。

キタサンブラック

前後肢にバンテージ。+6kg。少しでも増えたのは良い傾向。落ち着いていた。戦前はスピリッツミノルがハナ宣言していたが、この馬とワンダーアツレッタの方が速く、叩いてしまったところを更にクラリティスカイが来て2番手。少し隊列が落ち着く迄に時間を要した分、先週よりはペースが上がった。少し力んでの追走ながらも、前走同様早目抜け出して、リアルスティールにも坂を上がる迄は抵抗していたが、そこからがなかった。ただ、3着は何とか確保。見た目よりはスタミナが有りそう。次走もハナなら案外圏内では?

ブライトエンブレム

2人曳き。毛ヅヤが冴えて、馬体そのものは悪くないが、もう少ししっかり踏んで欲しいところ。この馬としてはゲートも出た方で中段から。内枠で外へ持ち出す余裕がなく、今日はそのままインを通り、直線だけ少し外へ。伸びていない訳ではないが、この形は本当ではなさそう。キタサンブラックが掴まえ切れなかった辺りに不満が残った。あくまでマクりが本筋の馬。

クラリティスカイ

マイラーの造りだが、キビキビ歩けていた。決め打ちだった筈だが、スピリッツミノルの出脚がないのは分かっていた筈で、横山典弘騎手らしく思い切ってハナへ。外枠から仕掛けている分、ペースは速くなったが、あまり距離が走れるタイプではないだろうから、少しでもコースロスを少なくするのが常套。これはこれ。キタサンブラックもGⅠにしては可愛がってくれたが、良く頑張った方だろう。

サトノクラウン

-8kg。前走が良く見えただけに、減るのが良い傾向とは思わないが、見た目は然程変わらず。首でリズムを取って落ち着いていたのも好材料。出遅れ1馬身不利。後方からの競馬を余儀なくされた。4角で外から追い上げようとした際に例の不利。最後は差している。

第20回アンタレスステークス(GⅢ)

クリノスターオー

2人曳き。遮眼革。前後肢にバンテージ。チャカつくのは毎度。休み明けでも筋骨隆々。意外に出脚がスッと付き、ハナへも行けそうだったが、アジアエクスプレスに譲って2番手から。普段は3〜4角で手応えが悪くなる筈の馬が今日はそんな素振りもなく、むしろアジアエクスプレスにプレッシャーを掛ける程。相手の余裕をなくし、一騎打ちを制した。完勝。例のモタつきに遮眼革が利いているとすれば先行きは明るい。

アジアエクスプレス

後肢に小さいバンテージ。叩き2走目で順当に良化。背丈が高く、スカッとした造り。好発。少し押し気味にハナへ。初めて逃げる形になったが、特に戸惑いなく逃げていた。ただ、ずっとクリノスターオーがくっついて来ており、息の入らない展開にされたのは確か。その分の2着。枠が逆だったらマークの位置関係も変わっており、結果も逆だったかも。それでも基本はマイラーだけに1800mの良馬場なら悪くはない内容。地力は示した。

ナムラビクター

シープスキンノーズバンド。-4kg。もっと絞れても良い位だが、やっとアバラが見えて来た。ただ、少し歩様が硬い。出遅れ1馬身不利。そのままインへ潜り込み、1角では少し砂を嫌がる素振りも見せていたが、今日は前2頭で決まる展開だけに、これがベストの選択だったか。4角で中段位に取り付いて、直線だけ外へ持ち出すとあと僅かのところ迄追い詰めた。外から被されると競馬にならなかった馬が今日はむしろ馬群へ自分から突っ込んで行けた。展開の幅が広がったのは大きい。出遅れたのが怪我の功名となりそう。

ダノンバトゥーラ

前後肢にバンテージ。重心の低い馬体。ただ、トモの送りが硬く、歩様が伸びない。内からジワッと行かせて好位。流れに乗れたし、上位にも食らい付いて行けた。最後は決め手の差だろう。これがオープン初挑戦。現状は勝ち負けの馬ではないが、経験を積めば充分通用しそう。

イッシンドウタイ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。少し腹回りがボテッと映る。出脚はあまり速い方ではなく、中段やや後方から。向正面でステッキが飛んでおり、この時計は速過ぎるのか、兎に角道中はズブかったが、最後迄バテてはいない辺りは相当渋太い。

ローマンレジェンド

+12kg。歩様が硬い。馬体増の割に見栄えもせず、デキ一息。58kgの影響なのか、出脚が鈍く、後方に近い位置。ただ、今日はそれ以上に3角で目の前のサミットストーンが躓き、それを避ける不利が大き過ぎた。最後は盛り返している。参考外。

第75回桜花賞(GⅠ)

レッツゴードンキ

-4kg。攻め強化して毛ヅヤが良化。落ち着いているのも何より。好発。各馬が様子を窺う様な雰囲気で、隊形が内に入れる状態ではなく、思い切って行かせてハナへ。結果的に誰も行かず、600mで37.1秒、1000m通過で62.5秒と、75年の歴史の中でも最遅に近いペースで行けた。折り合いもハナへ行っただけ有ってこの馬としてはスムーズだった方だろう。逃げた馬が33.5秒で上がれば後続はお手上げ。楽勝だった。展開も勿論大きいが、それ以上に4馬身差付けた点は大きい。次走未定だが、バカにされる様だと一概には。

クルミナル

2人曳き。トモに丸みが有ってデキは変わらず。出遅れ1馬身不利。道中は後方の内目で脚を矯める形。直線まで待ってから進路を探しつつ外へ。向いた段階でレッツゴードンキ以外とは3馬身も離れておらず、良い形で出て来れたのが良かった。前走とは違い、良馬場でこの馬の脚を使って2着浮上。詳しくは後述するが、ルージュバックと枠が逆になっていたら結果が逆だった。今日のペースで後方から2着なら評価出来るものの、良く見えれば上手く行った面も有る。

コンテッサトゥーレ

前肢にバンテージ。多少気負っていたが、馬は前走と変わらず悪くない。今日はゲートを決めて好位のイン。多少行きたがっていたが、充分許容範囲。4角で一瞬反応が悪かった割にスルスル内から抜けて2番手だったが、最後にクルミナルに捕まってしまい3着に。坂が上れないのか、距離が長いのか、少し底力に疑問が付く様な内容。トビが良いだけにセンスが有るのは間違いないのだが...。

クイーンズリング

2人曳き。更なる馬体減だが、前走そうだった様に極端に細い様には見えず。前走よりはゲートも出ており、中段やや後方から。これも少し掛かっていたが、このペースだけに致し方ないところ。コンテッサトゥーレにも言えることだが、今日のペースで後ろの馬に差されたら言い訳なし。恐らく馬体減が見た目以上に応えている。

ノットフォーマル

2人曳き。-8kgも細くない。毛ヅヤも良かった。内のムーンエクスプレスの方が速く、更にレッツゴードンキが行って、2,3番手から。基本的にはムーンエクスプレスと並走していたが、少し力んでの追走。行きたがっていただけに、直線はズルズルかに見えたが、右手前のままでも良く粘っていた。レースに行って中々渋太い。

ルージュバック

2人曳き。-6kg。歩様はしっかりしているが、ちょっと細いのは確か。例に依って後方。何処かに内に入れたかったところだろうが、右前にずっとクルミナルが居て内に入れる場面がなかった。今日は馬体減でスタミナに不安を抱えており、この馬場で余計に大事に乗らざるを得なくなった。仕掛けが遅過ぎるだけで近いところには追い上げている。今日は参考外。一つ言えるとするなら、関東馬の桜花賞は輸送だけで相当のハンデになっている。一時流行った「栗東留学」は今でも正解なのだろう。

第33回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

ヤマカツエース

-6kg。巻いている訳ではないが、ギリギリ。出たなりで中段。ペース自体は大して速くなかったが、今開催は結構差しが利いている影響で縦長の展開に。それ程外を回されずに済んだ。4角は抑え切れない位の手応えで回り、直線は一瞬の脚を生かし切った。ただ、坂を上る際にヤングマンパワーの前をカットする様な格好になっており、乗り役は実効4日間の騎乗停止。外から叩いた騎手も悪いのだろうが、あれだけ追い出しを我慢して内にヨレるのだから馬自体もまだまだ若い。

グランシルク

2人曳き。前肢にバンテージ。気配文句なし。馬体も、緩んだところがなく、デキは絶好。ゲート内の柱立が悪く、3馬身以上の出遅れ。馬群に取り付くだけでも脚を使わされており、4角でも最後方だったが、直線だけ大外へ持ち出されるとここ迄伸びて来た。現状のシルクは実質的な社台グループだけに、冠号を付ける辺りは相当の期待馬ということ。それだけの能力は有りそう。ただ、中山マイルのこの形は東京で案外なのは確か。15年前の2着馬マチカネホクシン的パターンで終わっても不思議はないが。

アルマワイオリ

何とか堪えていた。コンパクトに纏まった馬体。出遅れ1馬身不利。後方にに居たにも関わらず、かなり引っ掛かっていた。4角でヤマカツエースの直後に付け、差し切り態勢は造ったが、追ってからも舌がハミを越しており、あとワンパンチが出なかった。出遅れた後方と決め打ちの待機策では折り合いに違いは有る様。ただ、この路線では安定感で抜けた存在。

ナイトフォックス

2人曳き。左だけオーストラリアンブリンカー。これも腹袋が有って寸が詰まったマイラー体型。気配は悪くない。この馬の出脚で好位の内目。折り合いも付いており、一瞬は良い脚を使っているが、本当に一瞬だけだった。坂がダメか、距離が長いかのどちらか。

ネオルミエール

歩様はしっかりしているが、馬自体が地味。今日はゲートがイマイチ。それでも枠の利で中段辺りには付けられそうだったが、相変わらず折り合い重視で後方から。折り合いは付いているのだが、更に後方のグランシルクに差されており、作戦が無駄になってしまっている。先々の為にこの競馬に徹するといういうならそれはそれだが、当面の勝ち負けを狙うので有ればもう少し先行するべき。

第58回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

カフェブリリアント

-6kg。物見はしていたが、筋肉が浮いてデキ自体は良い。好発。出脚も速かったが、内からバーバラが主張してその直後。引っ掛かるところが有り、楽に追走出来たのは良かったか。直線だけ少し外へ持ち出されると、重心の低い走りで突き抜けた。3連勝だが、ここ2走は中段から差す競馬で好位で流れに乗れた今日が一番上手く行ったか。もうひとついえば、道悪の影響で他馬が走っていないだけに何とも言えない部分が残る。

ベルルミエール

前後肢にバンテージ。+6kg。少しチャカついていたが、このメンバーでは迫力上位。前走京都戦と違い、ゲートも速かったが、バーバラが行ってその2番手から。道中少し力んでいたことも有り、早目先頭。最後迄良く粘っており、実質的な勝ち馬だが、少し掛かった分、差されてしまった。1400mも良いのだろうが、この形なら重賞でも通用することが分かったのは収穫。

ウリウリ

毛色も手伝って、ピカピカの馬体。但し、少し歩様が硬い。ゲートは出ているが、最初から内に潜るつもりで一旦後方へ。道中はノメったり、窮屈そうに走っていた。そんな中での3着は悪くないのだが、このメンバーなら格上だけに条件上がりの上位2頭は何とかしたかった。一瞬の脚は有るが、良い脚が長く続かない。

スマートレイアー

前後肢にバンテージ。首でリズムを取って気配は良さそう。休み明けでもほぼ満点。昨年と違い、今年はゲート五分。例に依って後方から進めたが、今日の展開ではここ迄。誰が仕掛けてくれればまだ違ったが、誰も仕掛けず上位は内3頭ではどうしようもない。能力ではなく、あくまでこの馬のキャラクターの問題。

マコトナワラタナ

前肢にバンテージ。トモに丸みは有るが、完歩に小さい歩様。ゲートが少し悪かったが、少し出して好位。出した分、少し行きたがっていた。内ラチ沿いから脚は使っているが、坂を上る脚がイマイチでここ迄。この馬の力は出し切ったか。

レッドリヴェール

後肢にバンテージ。+24kg。もっと増えても良い位。歩様に力がないのは気になるが、馬体に緩んだところはない。出たなりで中段から。ただ、3〜4角中間でいったん下がってしまったのが居たかった。直線はほぼ最後方から盛り返している。キッカケは掴んだ。ただ、東京は論外。狙うなら秋。

第47回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

モーリス

2人曳き。落ち着いていたのは何より。寸の詰まった中山で強そうなマイラー体型。毎度のことながらゲートが悪く、1馬身出遅れ。我慢はしていたが、3角過ぎに掛かる位の行き振り。4角手前から徐々に外を進出し、先に仕掛けたクラリティシチーを坂上で捕まえると一気に3馬身半差。圧倒的に力が違った。新顔も出て来たとはいえ、関東重賞レベルのメンバー構成では有ったが、ケチの付け様がない内容。何より時計が速い。昨年ダノンシャークに持って行かれたことを考えれば全体のレベルも大概で、GⅠでも。

クラリティシチー

非力な感じがなくなって来た。叩いた効果も有るのだろうが、古馬になって少し成長している。ゲートは出ているが、今日はこの展開を読んでいたか、控える形。明らかにモーリスの方が手応えが良かったが、外を回る形で進出、前は掃除して思い通りに乗れた筈。ただ、モーリスが強過ぎた。パンチ力不足は相変わらずだが、昨年なら何かに差し返されて3着だっただろう。下見通り、地力強化の跡は見えた。

インパルスヒーロー

遮眼革。前後肢にバンテージ。気配は良さそうだが、腹回りがボテッと映る。内枠勢の中ではゲートが悪く、中段から。内ラチ数頭分を開けて走らせている間に、他馬が内に入って自然と外へ。1,2着の5枠2頭が動いた際もワンテンポ待ってから外へ。ジワジワ伸びて3着浮上。展開は明らかに向いたが、2戦連続の3着。復調しているのも間違いない。500kgを切ればもう少し走れる筈。

エキストラエンド

前後肢にバンテージ。名前の通り、夏場サッパリの馬だが、まだこの時期はデキが良い。今日は最初から行き振りが悪く、特にペースが上がった勝負どころでの反応がなく、3角辺りでは離れた最後方。本来ならインパルスヒーローを内に閉じ込めるのが定跡になるところだが、アッサリ弾かれて3着を譲る形になってしまった。ただ、前半の追走汲々の状態から最後だけは伸びているのも確か。デキ自体は良いのだろう。

ブレイズアトレイル

+8kg。もっと増えても良い位。ただ、トモの送りがイマイチ硬い。出遅れ続きのこの馬にしては五分に出てくれて、外からジワッと好位。今日外差しの展開になってしまったが、上手く内に潜り込めた。ただ、前が開く迄少し待たされたのが痛かったか。外の馬とは勢いが違っていただけで、バラけてからは伸びている。昨秋にも中山マイルで2着が有ったが、このコースは得意。

第59回産経大阪杯(GⅡ)

ラキシス

+10kg。増えているが、出来ていた。緩んだところがないだけに、むしろ休養前より良いかも。微妙にゲートが悪い影響も有り、行く気なく後方から。4角でキズナの内から併せて、坂を上って一気に突き放した。馬場が味方した面は有るだろうが、完勝といえる内容。今春は宝塚記念が目標になるが、これなら充分通用しそう。梅雨場だけに馬場も良い筈がなく、本命級の評価が必要。

キズナ

2人曳き。-8kg。まだ腹回りがボテッと映る。海外遠征なら話は別だが、国内戦では500kg切った方が良さそう。これも何時も通り後方からジックリと。単勝1.4倍の馬だけに外へ回すのは予定通りで、比較的縦長の展開になったことを考えればむしろ距離損は少なかった方だが、前述した様にラキシスに並んでからアッサリ突き離された。この馬の場合、こんなところが目標ではなく、あくまで仏国の筈。その点でもこの馬場はこなして欲しかった。今年は馬体重の変化が大きく、馬体から迷走感も有って...。

エアソミュール

前後肢にバンテージ。下見は何時も落ち着いているのが厄介といえば厄介。馬体は充実一途だが。毎度毎度では有るが、一瞬カレンブレックヒルに抵抗した分も有って、道中は少し掛かり気味。道悪で馬群がバラける関係で、どうしても無駄な動きが多くなる。内からジワジワ伸びているが、前2頭とは差が有った。逆にいえば折り合いさえ付けばGⅠでも足りる。秋の東京で一発言わせる場面が有っても。

スピルバーグ

-10kg。休み明けの馬体減は感心しないが、一歩一歩が力強い。道悪の58kgが想像以上に応えたのか、出脚がサッパリに近く最後方から。道中の行き振りも悪かったし、直線もフラつく場面。むしろその中での4着は悪くないという見方も出来るか。「東京で改めて」といえるだけの内容では有った。

ロゴタイプ

2人曳き。-8kg。少し細いかも。馬体に迫力が有る訳ではないが、今日も気配が良い。好発。カレンブラックヒルの先行策に乗る形で好位。早目先頭の格好迄は造ったが、ラキシス、キズナには無抵抗だった。この馬の良さでも有るのだろうが、前向き過ぎるというのか、道中でアクセルを踏み過ぎている印象も。元々2000mが微妙に長いだけに、余計に応えている。

2015 グローバルスプリントチャレンジ第3戦 第45回高松宮記念(GⅠ)

エアロヴェロシティ

2人曳き。遮眼革。-16kg。大幅馬体減だが、馬体そのものが元々重厚なのだろう。トモの迫力は最上位。好発切って好位。この馬場で4角がバラけ、外へ持ち出したハクサンムーンの内へ併せようとしていたが届かず、更にその外のストレイトガールに併せてグイッと一伸び。強い弱いはこの馬場で微妙だが、馬力と勝負根性に優れていたのは間違いないところ。オサリバン調教師の父は平成元年にホーリックスを管理していたそうだが、この時も2枠だった。

ハクサンムーン

2人曳き。パシュファイヤー。迫力満点の造りで高値安定。今年はゲートも出て、スッと2番手。ベストはハナだが、アンバルブライベン相手では譲らざるを得ない。ただ、この馬場で内外離して行けたのは良かったか。4角で思い切ってマクる様に動いて先頭。一瞬は夢を見た筈だが、エアロヴェロシティの勝負根性に屈した格好に。最高に乗られたし、自分の力も出し切っている。ここ迄来ると能力の問題ではないだろう。この馬自身にツキがない。

ミッキーアイル

スカッと見せる割に歩様が力強い。毛ヅヤがピカピカでデキも絶好。出たなりで好位。前に壁がないと少し行きたがってしまうのは仕方がないところか。4角は手応えに任せて進出、馬場の良いところ通って来れたが、エアロヴェロシティとの叩き合いで、僅かに遅れを取った。この形でも競馬になっているとはいえ、やはり道中をもう少しリラックスして運べる様にしたいところ。

サドンストーム

前後肢にバンテージ。仕草から前向きで気配は文句なし。一歩一歩が力強い。最近はゲートも出る様になっており、労せず中段。4角で好位に取り付き、直線向いて上位3頭の直後迄追い付いて充分勝負圏内だったが、そこからがなかった。以前を考えれば数段アップしているのも確かだが、馬場云々を差し引いても、明らかに底力で見劣る。

コパノリチャード

前後肢にバンテージ。少し緩く映った。今季はデキ自体に疑問も。出たなり、枠なりで好位。ミッキーアイルを見ながらの競馬で、展開自体は悪くなかった筈だが、追ってから手前が替わらず、伸び案外。何度か述べている通り、スプリントがベストではないのだが、この馬場ならもう少しやれても良かった。外枠も気を遣わず競馬出来るという点で良かった筈で、デキに敗因を求めたい。

第22回マーチステークス(GⅢ)

マイネルクロップ

-9kg。チャカつくが、絞れたと見て良さそう。何時もこれ位で走っている。好発も、大外枠で行き切れず好位直後。深追いするとかなり外を回されていただけにこれで正解だったか。終始、前が雁行で進む中、直後から4角で馬群を捌いて、渋太く脚を伸ばした。ただ、レースの上がり3Fが38.2秒と結構力の要る展開となり、上手く脚を矯めて乗られた感は否めない。今日は相手も恵まれた感が強く...。

イッシンドウタイ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。歩様が伸びていた。皮膚を薄く見せてデキ自体は良い。出遅れ2馬身不利。そのまま後方から。3角から徐々に進出して、4角でマイネルクロップと並走。手応えには余裕が有り、直線も伸びているが、マイネルクロップにセコい競馬をされた分の2着。差し一手で相変わらず人気にならないだけで、結構堅実。

マスクトヒーロー

2人曳き。腹回りがボテッと映る割に、迫力不足。歩様にも力がない。出脚が速く、内の出方を窺いながら好位。少し行きたがっていた様にも見えた。馬の気に任せてそのまま行かせ、押し切り態勢だったが、最後に8枠2頭にやられてしまった。ただ、何れも1kg差有るだけに実質的には勝ちに等しい。7歳にして初重賞チャレンジで1番人気と、厳しい中では良く走っている。直ぐにチャンスは回って来る筈。

キクノソル

緩んだところがなく、デキはまずまず。歩様も悪くない。出脚は速い方で、ジワッと好位。内目でセコい競馬は出来たか。追ってからも一瞬やったの反応だったが、前のマスクトヒーローを掴まえ切れない。ちょっと決め手不足というのか、良い脚が長く続かない。

ベルゲンクライ

遮眼革。-10kg。ダートだけに微妙だが、細い印象はない。出脚がサッパリに近く後方から。4角でも決して手応えが良い様には見えなかったが、ジリジリと、しかし最後迄伸びて来た。際のない位置迄詰めており、中山ではこれで一杯としても東京なら届く場面が有っても。

第63回日経賞(GⅡ)

アドマイヤデウス

2人曳き。馬体は前走京都戦と変わらないが、歩様が少し硬い。ゲートが少し悪かった影響も有るが、行きたい馬に行かせて中段に控える形。ペースは遅かったが、縦長の展開で極端に外を回されずに済んだ。4角手前から仕掛けて坂下で前を捕えると坂を上がってから流す余裕も有った程。完勝だった。前走は立ち回りも上手く行った感が有ったが、今日の内容なら文句なし。

ウインバリアシオン

前肢にバンテージ。多少緩いが、まずまず。明らかに悪い状態からは脱した。ゲートが怪しいのは何時ものことだが、枠の利でネジ込んで中段から。この馬としては積極的に乗られたが、4角で少し前が詰まって待たされたのは痛かったかも。ジワジワ脚を使うタイプで、前が開いた時にはアドマイヤデウスの方に勢いが有った。ただ、坂の途中でホッコーブレーヴに出られた様にも見えたが、そこを最後にネジ伏せた辺りが底力。故障続きでも、能力落ちはない。

ホッコーブレーヴ

2人曳き。休み明けだが、馬体そのものはむしろ休養前より良かった。ただ、気配には乏しい。こちらは自分の競馬に徹して後方からジックリと。3角から馬群を捌いて進出し、直線はラチ沿いから脚を使っているのだが、使えた脚は一瞬だった。臨戦過程の問題は有るが、ちょっとウインバリアシオンとは地力の差も感じさせたか。

サウンズオブアース

シープスキンノーズバンド。年明け初戦だが、ほぼ出来ていた。多少迫力がないのは何時ものこと。ゲートも少し悪かったが、この枠で後方2番手から。アドマイヤデウスよりワンテンポ仕掛けを遅らせて最後の脚は光ったが、時既に遅し。1番人気だった割に、少し消極的過ぎた印象。

フラガラッハ

前後肢にバンテージ。腹回りに年齢も感じるが、歩様が伸びている。この馬にしてはゲートも出たが、押して押して無理矢理ハナへ。ただ、意表を突いた逃げで、徐々に離して行った割にはペースも遅かった。揉まれる形が良いとは思えないだけに、これはこれだっただろう。坂で捕まったが、見せ場はタップリだった。恐らく今日に関しては距離が長いのだろうが、もう少し短い距離でこの競馬が出来る様になれば何時か実る日も来るだろう。あとは2000〜2200m辺りで出脚が通用するかがカギに。

第62回毎日杯(GⅢ)

ミュゼエイリアン

少しチャカつくが、踏み込みが柔らかい。もう2歳時のゲート難は解消出来たか、好発切ってスッと2番手。1000m通過が60.5秒とスローだったが、折り合いも付いていた。坂下で先頭で立って後続を突き離した迄は良かったが、そこで右手前になってフォームがバラバラになってしまった。最後はその分際どい競馬になった。早目に抜けてしまった分なら能力の問題ではないが、ちょっとアラが見えたのは確か。

ダノンリバティ

腹回りが少し余裕残しだが、毛ヅヤは良化。この馬にしては落ち着いている。微妙にゲートが悪かったが、出脚でカバー出来る範囲。前走京都戦は2番手からの競馬だったが、今日はジックリ乗られた。武豊騎手らしく、思い切って外へ持ち出し、一追い毎に伸びて来た。最後は惜しいハナ差になったが、これだけペースが遅いと届かないのも仕方がないところ。デビューして直ぐ骨折してしまった馬だが、馬自体は復調している。基本はマイルの差し馬。

アンビシャス

コンパクトに纏まっており、完成度が高い。ゲートは決めたが、この枠で行く気がなかった様で中段から。頭を上げてかなり行きたがっており、早目に押し上げて坂下では前に取り付いていたが、ミュゼエイリアンに並び掛けようとした辺りで脚が甘くなり、むしろ突き離されてしまった。これだけ引っ掛かっていたことを考えれば良く走っているが、まだ3着。如何せんツキがない。

アルバートドック

馬体はまだ成長著上だが、歩様が力強い。ほぼ出たなりで中段から。前がフリーの位置迄外へ持ち出し、ダノンリバティと併せて脚を使っているが、あとワンパンチが出なかった。この時期は3歳馬が毎回メイチの競馬を強いられることが多く、中1週が案外応えた可能性も有るのだが、現状の決め手の差も否定出来ないところ。

シュヴァルグラン

2人曳き。-8kg。一息入ったが、暖かくなって絞れた形。ただ、少しトモが甘い。ゲートは出ているが、出脚がサッパリで押しても後方から。目の前にダノンリバティが居て、追い掛ける形で伸びて来た。届かなかったのはスローも有るが、休養前は有った出脚がなくなったのがどうか。今日は歩様に力がなかっただけに、間隔が開いた影響も大きそうだが。

ソールインパクト

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬は断然に近い。ただ、テンションが高い。好発。ただ、引っ掛かって折り合いを意識している間に内外から来られて、3角で中段。折角脚を矯めたのに、直線は伸びなかった。前走東京戦もそうだが、要は流れに乗れていない。何処かで化けそうだが、現状は競馬が下手。これだったらまだハナ切った方が良かった。