競馬回顧 2014年5回阪神 [Sakura Archives]

Sakura Archives

競馬回顧 2014年5回阪神

第59回有馬記念(GⅠ)

ジェンティルドンナ

2人曳き。前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。デキに関しては文句ないが、ちょっとテンション高いのは気になった。例に依ってロケットスタートも、ヴィルシーナとエピファネイアに行かせて3番手。1000m通貨が63.0秒と、道中は超の付くスロー。折り合いは問題ない馬で、4角はゴールドシップのマクりだけ堪えての追い出し。こうなればこの馬が一番強い。この時期の中山にしては硬い馬場となったのも良かった。この馬が勝つにはこの展開しかないのだが、かつてのオグリキャップ同様、物語性で制した感も。「ジェンティルドンナの最後のレースになるので、最高のパフォーマンスを見せたいと思っていました。2走前 (天皇賞・秋) に乗った時に乗りやすくて賢い馬だと思っていたので、先行してこの馬の渋太さを生かそうと考えていました。前に壁を作れず、少し気負っているところもありましたが、それでも我慢して結果を出してくれたんですから、最高の牝馬ですね。今年はGⅠを勝てずにいましたが、ジェンティルドンナが助けてくれました。 (戸崎騎手・週刊競馬ブック)」

トゥザワールド

今季一番の状態。集中して歩けていた。ゲートは悪かったが、仕掛けて好位。その分、少し行きたがったが、内外前に馬を置いて1角で折り合いは付いた。ゴールドシップのマクりも上手く内で堪え、ワンテンポ待てたのが結果的に正解。内目へ切り込んで、一瞬の脚を生かし切っての2着。この血統はどちらかといえば頭が高く、むしろ早目スパートから粘り込む競馬に持ち込みたかったところだろうが、今日はこの形で結果が出たのは収穫。

ゴールドシップ

2人曳き。遮眼革。今日は歩様が力強い。今年一番の状態。珍しく好発。それでも出脚はないところで、押してもコーナーワークも有り、結局は後方から。得意の回り脚で、3角過ぎから一気に押し上げて行ったが、マクり切る迄の脚がなかった。直線はトゥザワールドに内から盛り返されて3着に。もう少し時計が掛かる馬場になるか、ペースが速くなって欲しかったところ。ただ、陣営も手の内に入れた様で、変な凡走がなくなりつつ有る。馬券的には扱い易い馬。

ジャスタウェイ

前後肢にバンテージ。+6kg。馬体増が何より好調の証。前走東京戦を考えればかなり良くなっていた。内枠なら別だろうが、中山の外枠でこの馬の出脚となると後方からの競馬となるのは止むを得ないところ。1周目4角で一瞬だけ掛かったが、賢い馬で直ぐに折り合いは付いた。2周目4角でも後方に近い位置。しかも外を回っている状況で、これでも良く差している方。パフォーマンスだけなら勝ちに等しい。今日は外枠が全て。

エピファネイア

前後肢にバンテージ。何時ものこの馬。つまりは一番見栄えがする。この枠を貰った時点での決め打ちだった筈だが、前付けに出て2番手。この馬、菊花賞がそうだった様に、下手に揉まれるよりはこの方が折り合いが付く。ゴールドシップのマクりはジェンティルドンナが相手をしており、自分のタイミングで追い出せた様に見えたが、直線に向いて坂を上がる脚で差が有った。この馬、こういうスローになるとどうも甘い。乗り役が一定なら自力で行く手も有っただろうが、テン乗りでは致し方ないところ。

ラストインパクト

トモの甘さがマシになっている。周回を重ねる毎にチャカついて来たのはマイナスだが。この馬にしてはゲートが悪く、中段から。インに潜り込んで、得意のセコい競馬は出来たが、もう一段前、つまりワンアンドオンリーの位置で競馬したかったところ。直線は近いところに来ているが、捌きながらの競馬でやや不完全燃焼に。菱田騎手は中山初騎乗だったそうで、その割には上手く回っているものの、勿体ない内容だった。

第31回ホープフルステークス(GⅡ)

シャイニングレイ

後肢にバンテージ。物見をしながらのんびり歩けていた点には好感。馬体も締まって来た。スタート直後は少し行きたがっていたが、位置取りとのバランスを取りつつ好位。1000m通過61.5秒のスローだったが、前に壁がない分も考慮すれば折り合っていた方だろう。ラスト200mで先頭に立つと危なげなく押し切った。見た目は完勝。センスが有って、新馬から即この競馬なら文句はないのだが、あまりに上手く行き過ぎている感は有る。08年にこのレースを制したマイネルチャールズの様に器用さだけの馬で、本番で底力のなさが出る可能性も。

コメート

+12kg。もっと増えても良い位。テンション高いが、仕草は軽い。好発。そのまま行かせて好位のイン。道中はシャイニングレイと並走。折り合いも付いており、このスローで最高の形。直線もスムーズに捌けたが、決め手でシャイニングレイと差が有り、最後はブラックバゴと僅差。この競馬でこんな内容では先々がない。賞金を確保出来たのは何よりだったが、重賞となると余程恵まれないと馬券になることはない。

ブラックバゴ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。血統通り、長距離向きの造り。出遅れ1馬身不利。出脚もなくて、腹括って最初からインへ潜り込む形。3角過ぎから内目を徐々に進出。直線入口で前から3馬身なら良い位置だが、ただ、直線で前が詰まる場面。ここがかなり勿体なかった。それでこの差なら力は見せている。春に間に合うかどうかは微妙だが、血統面を考えても菊花賞候補では?

ソールインパクト

+10kg。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。雰囲気の有る馬だが、ちょっと腹回りがボテッと映る。数字分だけ太い。もう少し落ち着いてくれれば尚ベスト。好発も行く気なく中段から。急かしていない分、折り合いは付いていた。直線も不利が有ったわけではないのだが、それ以上に上手く立ち回った馬が居たということ。特に2着迄とは同タイム差。少なくとも力負けではない。

エニグマバリエート

前肢にバンテージ。スケールは感じるが、トモ高で未完成。完歩の小さい歩様がマイナス。出脚は速かったが、少し掛かるのを宥めつつ好位直後。4角でシャイニングレイの後ろにに付けて、良い位置だったが、直線は伸び切れず。立ち回りは上手くなっているが、今日は決め手の差を感じる内容。もう少しペースが速くなっていたら恐らく惨敗だった筈。次走500万でも危険。

ダノンメジャー

ダイワメジャー産駒らしい造り。重厚だが、悪くいえばシャープさに欠ける。好発もあまり行く気なく後方から。結果的にもう少し前へ行った方が良かった。このスローで4角は無駄に外へ回され、手も足も出ない展開になった。元々切れる脚がないだけに尚更だった。

ティルナノーグ

前後肢にバンテージ。チャカついていたのはマイナスだが、ディープインパクト産駒らしくキレの有る馬体。例によって後方から。これは仕方がないが、ダノンメジャーより更に外を回されていては競馬にならない。東京で一度真価を問うて、それで負けたら見限る形にしたい。

第9回阪神カップ(GⅡ)

リアルインパクト

-20kg。絞れたが、中身は怪しい。張りが一息に映る。出脚は決して速くなかったが、押して押して好位。コパノリチャードの直後に居た。最近は少しズブい位の馬で、こんな形でも折り合いも付いていた。4角での反応も近況通り一息だったが、コパノリチャードとの併せ馬に持ち込んで、最後の最後に競り落とした。以前より馬のタイプが変わっているかも。これで連覇だが、今年の方が坂を力強く上った感がが有る。

コパノリチャード

前後肢にバンテージ。戦前はイマイチという話も有ったが、そんなに悪くない。好発も、内に速い馬が居て、好位に控える形。序盤は多少行きたがっていたが、急かさず行ける外枠は良かったか。直線はミッキーアイルを目標に、渋太く脚を伸ばしているが、直ぐ外にリアルインパクトが居て、流石に決め手負けした格好。不得意な形での2着は地力の高さと見て良い。毎回述べている通り、あくまでダイタクヘリオスなので、アテにはならないのだが。

ダイワマッジョーレ

前走も良かった。中1週でほぼ同じ姿。出遅れ1馬身不利も、無理矢理出してウリウリだけは叩いて中段。結果的にこれが良かった。4角でラチ沿いを突く形となり、僅差の3着。これで負けたら仕方がないという競馬は出来た。強いていえば、前走1800mで走っている様に、もう少し距離を延ばしてマイルの方が競馬がし易いのだろうが。こういったちょっと力の要る馬場も上手い。

ウリウリ

+10kg。一息入ったが、何時ものこの馬。この時期の牝馬にしては毛ヅヤが良くて、馬体もシャープ。出脚の速い方ではなく、出たなりで中段から。直線向いてリアルインパクトの直後、良いところへ出て来れたが、いざ追ってもう一つ。多少力の要る馬場でパワー負けした感も無きにしも非ずだが、何れにしても牡馬相手では少し差が有るのかも。

ホエールキャプチャ

ゆったり歩けていた。歩様も一歩一歩が力強い。ゲートが悪いのは何時ものこと。少し急かして中段やや後方から。道中はロサギガンティアをマークしていたが、残念ながらこれが不発。仕掛けがワンテンポ遅れてしまった。これでも良く追い込んでいる方。不完全燃焼の競馬に。

ミッキーアイル

悪くはないが、何となく春の方が馬体の雰囲気が良かった。この馬もゲートは出ているが、一瞬の内にハクサンムーンが1馬身抜けてしまい、2番手から。こうなればこの馬は終わり。直線向いて坂下で先頭。前走京都戦を考えればマシな競馬になっているが、勝ち負けとなるとやはり厳しい。今日は不可抗力とはいえ、もう少しゲートを早く出たいところ。

第66回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ダノンプラチナ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+6kg。芦毛でも毛ヅヤが良い。ただ、馬体、気性共マイラーの相。ゲートは出たが、折り合いに専念して後方から、ただ、結構行きたがっていた。早目に外に持ち出して、直線はかなり内にモタれながらも差し切った。単純に力が違っていた印象。下見以上に雑な競馬。馬主は今年のミッキーアイルも含めてNHKマイルカップには縁が有るものの、クラシックは無縁。この馬もそのパターンに陥る危険が少なからず。

アルマワイオリ

2人曳き。馬体は目立たないが、落ち着いていた。好発も、直ぐに引いて中段。前走京都戦は悲惨だったが、今日はまだ折り合っていた方。ノメることもなく、リズム良く追走しており、4角迄上手く持って来れればこの位の脚は持っている。ただ、これが馬群の中に閉じ込められた産物なのか、気性面の進歩なのかが分からず。これも能力が有るのは間違いないのだが、現状でクラシック云々の馬ではない。

クラリティスカイ

+12kg。決して太くない。見た目から骨格がしっかりして来た。ゲート五分に出て中段。スムーズだったが、3角過ぎから前に壁がなくなり、徐々に進出。ダラダラ脚を使わされてしまった。その分が終いの甘さにつながった印象。もっとリラックスして走れるのがベストだが、悪い内容ではない。少なくともアルマワイオリとは五分の評価が出来る。

ネオルミエール

集中力に欠ける面も有ったが、馬体は全体にしっかりしている。出遅れ1馬身不利。後方から行き場もなく、ジッとするしかなかったが、クラリティスカイを考えると結果的にはこれで良かったのかも。捌くのに手間取った分の4着だが、4角がスムーズなら3着有ったかも。少なくとも能力で負けている訳ではない。

アクティブミノル

マイラー体型だが、初当日輸送でも落ち着いていた。恐らくは最初からの決め打ちだったのだろうが、何が何でもの構えでハナへ。ただ、セカンドテ=ブルに絡まれたのが痛かった。1000m通過は59.8秒だが、馬場状態が悪くこれでも速い方のペース。4角の雰囲気では殿負けでも仕方がないところだったが、良く粘っている方だろう。マイルは勿論だが、この内容なら2000m迄は保つ筈。何処かで先行しての一発が有りそう。

ブライトエンブレム

2人曳き。+8kg。馬振り目立つ。数字は成長分で、ほぼ出来ている。出遅れ1馬身不利。3角辺り迄は後方に居たが、酢子から徐々に進出、乗り役の意思で動いているならともかく、掛かり気味にマクッており、こうなると終い迄保たないところ。苦しがって手前も右手前のままだった。やはり現状は小回りの方が良さそう。

アッシュゴールド

2人曳き。キビキビ歩けていて、馬は数字以上に大きく見せる。1戦毎、確実に成長している。ゲートも少し悪かったが、道中は最後方から。返し馬は怪しかったが、レースに行くと折り合いは意外に付いていた。それだけに直線は伸びて欲しかったところだが、直線はジリジリ。ただ、それでも数字上はダノンプラチナに上がり3F換算で0.1秒差。位置取りで負けただけで、それ程悲観する内容でもなかった。つまりはまだ間に合う。

ナヴィオン

高値安定。悪くはない。この馬としては好発。道中は中段馬群の中。ただ、何度もバランスを崩してノメる場面。唯でさえ馬群の中は不得意とする馬だが、余計にキツかった。道悪はサッパリの様。

第52回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

ディアデラマドレ

前後肢にバンテージ。デキ自体は良くも悪くも平行線。気配も良かった。ゲートも悪かったが、何時も通り後方でジックリと。決め手身上の馬で道悪が向かない可能性も有ったが、馬群の中からアッサリ突き抜けてみせた。外枠で比較的馬場の良いところを選んでは来ているとはいえ、適性自体が有りそう。馬自体がパワーアップしている。キャトルフィーユもそうだが、1年前では考えられなかっただけに、角居調教師の厩舎技量という以外にない。

キャトルフィーユ

前後肢にバンテージ。春とは別馬。トモにボリューム感が出て、歩様も力強い。この枠で逃げるかに思われたが、押してもあまり進んで行かず、直ぐに諦めて中段に控える形。早い段階で馬場の悪い内目を避け、向正面では何時でも外に持ち出せる位置。上手く捌いて来たが、開いていた進路が内寄りだった分と決め手の差だろう。それでも最近やっていない形で結果を出すのだからお見事。競馬の幅が広がった。

スイートサルサ

前肢にバンテージ。少しトモが甘い歩様。馬のシルエットは悪くないが。ゲートをポコンと出て後方から。中京の道悪は兎に角外が有利になり易く、4角で外に持ち出したいディアデラマドレを上手く馬群の中へへ閉じ込めたのだが、それで相手に突き抜けられてしまってはお手上げ。3歳時にクラシックで使った経験は有るものの、実質は初距離。バックグラウンドを考えれば良く走っているが、2着は欲しかったところ。

シャトーブランシュ

前後肢にバンテージ。馬が妙にこじんまりと映る。これが440kgの馬なら悪くないのだが...。ただ、毛ヅヤは良い。出脚は速かったが、行きたい馬に行かせてジワッと好位直後。多少行きたがるのを宥めつつ、4角では早目に外へ持ち出して、坂を上がって先頭。一瞬は夢を見ただろうが、左手前になり苦しくなって、内外から一気に3頭。要は上手く行き過ぎて、後続に捕まったパターン。道悪が得意というのも有るが、チャンスはそのうち回って来るだろう。

パワースポット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。これでも落ち着いている方。牝馬らしい造り。出脚は有りそうだったが、何時も通り後方で待機。道中はかなり力んでいた。4角で外へ持ち出そうとしていたが、外が壁になり、結局は内から。最後迄諦めず、ジワジワ伸びている。今日だけでは能力云々を論じ辛いが、こういう気性の馬だけに道悪は良さそう。

フーラブライド

一歩一歩が力強い。迫力では断然。これも何時も通り、中段から差す形。早目に外へ持ち出して、3角過ぎから追撃態勢。シャトーブランシュを目標に絶好の展開に見えたが、そこからがジリジリ。どうも56kgでは切れ味が鈍る傾向。道悪も良くなさそう。

第66回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ショウナンアデラ

この時期の2歳牝馬にしては迫力が有る。特にトモのボリューム感が一枚抜けている。出遅れ2馬身不利も、この枠で案外簡単に馬群に取り付き、中段やや後方から。結構、揉まれ込んでいる様にも見えた上に、4角でも内の変なところへ押し込められていたが、前が開くと一気に突き抜けた。着差は僅かだが、内容そのものは圧勝に近い。外枠は結果的に良かったが、いきなり差す競馬で結果が出たのもセンスを感じさせる。ただ、今年は牡馬相手でも、という程の馬が居らず、このメンバーでは一枚抜けていたものの、例年の水準級という評価に留めたい。

レッツゴードンキ

気性的な難しさを一切見せず、外を淡々と歩いていた。トモに丸みも有る。出たなりでジワッと中段。かなり行きたがっていたが、それでもハミを替えて、馬群に押し込めた効果なのか、今迄よりは遥かにマシ。バラけてからはこの馬の脚を使っている。勝ったショウナンアデラを称える外ないだろう。能力は有るが、気性面がもっと改善しないと、先々がない。

ココロノアイ

2人曳き。前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。落ち着いていたのは何より。ゲートは少し悪かったが、枠の利で中段のイン。この形で一応何とか宥めて、直線もジワジワ伸びている。これはこれだが、決め手では差が有って、勝ちに拘るならもう少し早目の方が良かった気もしないでもない。前走東京戦は外から一気に行っての奇襲だったが、これは極端としても勝ち切るには何か策が要る。

ムーンエクスプレス

数字通りのこじんまりとした馬体。あくまで全体が小さいだけで、細い印象はないのだが。大外だったが、ジワッと好位。折り合いは付くタイプの様で、3角手前では先頭だったが、3角でスッと引いて好位。再びそこから押し上げて、坂下で先頭。そこからは厳しかったが、着差は僅か。内枠でセコい競馬が出来ていれば馬券圏内有っただろう。器用さ一本だが、外枠でこれだけやれるなら来年が楽しみ。

アルマオンディーナ

前後肢にバンテージ。トモに力がない。成長途上。エフェクトが矢鱈好発だったが、行く気がなく叩いて好位。折り合いはバッチリ付いていた。ただ、4角ではインに居て、思い切って外へ持ち出したら、更に外へモタれてしまった。あれならインを突いた方が良かったかも。1戦1勝の馬でこれだけ走れれば上等なのだが...。

ロカ

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬体。バネを感じさせる歩様。出遅れ3馬身不利。これだけで遅れて4角大外。流石にこの形ではキツい。ただ、フォームや馬体の雰囲気に本物感を思わせるのは確か。年が明けて改めて。

第7回カペラステークス(GⅢ)

ダノンレジェンド

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。近走の不振から人気を落としていたが、下見は本当に良く見せた。トモにボリューム感が有って、気配も絶好。出脚自体は決して速くないが、押してハナへ。この馬はやはりこの形が強い。600m通過が33.3秒とまあまあ速かったが、スピードで決着を付けて、4角で後続を引き付けるどころか、突き離す一方だった。メンバー中、最速の上がりがサトノタイガーの36.1秒だったが、この馬の上がりは36.2秒。終い迄伸びていた。多少出脚が怪しいのは課題になるが、次走の1400mならむしろ楽。連勝が濃厚。

サトノタイガー

元々が中央オープンだが、勿論この相手でも負けていない。気合も乗っていた。中央時代から出脚が速い方ではなく、後方から。4角で一息入れて、直線は大外へ。好位勢が追っ掛けバテする展開に乗じて2着浮上。中央のこの距離でどうかと思ったが、上手く乗られた。御神本騎手、お見事! この馬自身は、もう少し距離が有った方が競馬はし易そうだが。

メイショウノーベル

ダート馬にしては馬体がスカッとしているが、しっかり踏めている。出脚は五分だが、この枠で無理せず中段から。直線もジワジワ伸びているが、強いていうなら直線が右手前のまま。2着サトノタイガーとはアタマ差だっただけに、手前が替わっていたら2着も有っただろう。外枠を上手く生かしてスムーズに立ち回っていたが、少し時計に天井が有るかも。

サウンドガガ

前後肢にバンテージ。皮膚を薄く見せてデキ自体は悪くなさそうだが、少し細いかも。出脚だけなら一番速かった位だが、内から来られて好位に引く形。好位勢にキツい展開とはいえ、この形ならもう少し伸びても良いのだが、4角で手応えが怪しくなり、雪崩込んだだけだった。これも時計の限界ということになりそう。

タールタン

2人曳き。-8kg。数字は絞れたモノ。気配も、ダートの1200mなら少し小走りが入る位で丁度。ゲートが若干悪く、押して中段。内枠でひたすらラチ沿いを通る以外に手がないのだが、ただ、ちょっと捌くのに手間取ってしまったか。乗り役は「もう一段前で競馬したかった」とコメントしていたが、馬券圏内を狙うとなるともう少し前に居ないと可能性がなかった。勿論、追っ掛けバテの危険も有ったのも確かで、タラレバにはなるのだが...。

第65回チャレンジカップ(GⅢ)

トーセンスターダム

+6kg。変わらず。多少トモが甘いのは気になるところ。ゲートは出ているが、例に依って後方でジックリと。3角過ぎから何時でも動けるようにしておいて、直線だけ外へ。馬場のド真ん中を一追い毎に伸びて、久々にこの馬らしく突き抜けた。これで1800mは3戦3勝、適距離がやっと見付かった感も。今年の不振は結局のところ成長力不足。トモが甘いので、ユッタリ行かせて終いを伸ばす競馬に徹しないと脚が使えない。今日はエイシンヒカリを意識した各馬が早目早目の競馬となり、あくまで漁夫の利を得た格好。このままでは来年はない。

デウスウルト

前後肢にバンテージ。疝痛も有った様だが、馬体の張りはキープ出来ていた。ゲートが若干悪く、中段やや後方から。ずっと馬群の中での競馬となり、ちょっと窮屈な場面も有ったが、今日の展開は脚を矯めていた者が有利。内から一瞬の脚を駆使して、一旦は抜け切っている。ノビノビと走った馬にはやられたが、それでも2着は死守。初重賞でいきなり通じたのだから大したモノ。強いていえば追い出した際に頭が上がっていた点。キングカメハメハ産駒らしいところでも有るが、この分、使える脚が短くなっている。

フルーキー

前後肢にバンテージ。馬体に重量感が有る。あとは歩様の伸び。ゲートは速い方だったが、行く気なく後方から。この枠でも出来る限り馬を前に置いて脚を矯めて、それなりに伸びているが、今日の展開なら勝たないと値打ちが下がるところ。ちょっと追い出しての反応が甘い印象も有った。上位3頭の中では一番レース内容が悪い。次走人気になるなら嫌ってみたい。

アズマシャトル

+10kg。数字は成長分。もう少し踏み込みに力強さが来れば。出脚の怪しいこの馬にしては行けた方で、出たなりの好位で折り合いを付ける形。スムーズだったが、やはりワンパンチがない。今日はエイシンヒカリをマークした好位勢にキツい展開になったのも確かだが...。ただ、出脚が来たのは良い傾向。パワー強化すればここでも通用。

ダイワマッジョーレ

ディープインパクト産駒らしい皮膚の薄さが有って、キビキビ歩けていた。出遅れ1馬身不利。例に依って後方から。この距離でトップハンデだから中々厳しい戦いだったが、それを考えたら良く伸びている。スマートレイアーは一瞬しか脚がないタイプだが、渋太く差し返しており、アズマシャトルとも僅差。今ならむしろこの距離の方が良いかも。

エイシンヒカリ

2人曳き。前肢にバンテージ。テンション高いのは何時ものこと。見た目には問題ない。ゲートは決して速くなかったが、スッとハナへ。ただ、1000m通過58.8秒が掛かり気味の逃げ。人気ということも有って、後続も付いてきており、これでは持ち味が生きない。直線はほぼ無抵抗だった。折角のスピードが有るのだから、出脚で決着を付けて、もっと飛ばして逃げるべき。ただ、前走東京戦の斜行で平地調教注意を受けており、余計なストレスが掛かったのも間違いないところ。こんな敗戦も含めてサイレンススズカの後継馬。陣営の頭の固さが不安要素だが、一息入れて改めて期待したい。

ジャパン・オータムインターナショナル JRA創立60周年記念 第15回チャンピオンズカップ(GⅠ)

ホッコータルマエ

前後肢にバンテージ。この馬としては気合が乗っている。馬体もその分、雰囲気が良い。コパノリッキーが出遅れて、アテが外れた馬も多かっただろうが、何時も通りの先行策。ペースは決して速くなかったが、切れ味を削がれる馬場で、誰も差して来ず、早目先頭からそのまま押し切った。戦前は時計勝負となった際が課題だったが、ペースと馬場がそうはならず、死角が消えた形。勿論、交流戦では王者で、コパノリッキーと共に来年もダート界を引っ張って行く存在となるだろう。

ナムラビクター

シープスキンノーズバンド。+6kg。更に腹回りがボテッと映る。明らかに太い。出脚は速い方ではないが、枠で何とか中段。この馬の場合、出来るだけ揉まれる形は避けたいところだが、4角迄はずっと外に馬が居て、直線だけ外へ持ち出してここ迄。最後は底力の差だろう。ただ、今迄はマクり一手だった馬がこの形で伸びたのは収穫。攻め馬を余程工夫したのだろうが、これが出来るなら先行きは明るい。

ローマンレジェンド

2人曳き。何時もこんなモノだが、もう少し歩様に伸びが欲しい。馬体は悪くない。外から少し出して中段。向正面でインカンテーションが来た際に動き、早目に好位。今日の展開でこれが正解だった。1回叩いているナムラビクターに捕まっている辺り、この馬自身の衰えは否定出来ないところでは有るが、ホッコータルマエに坂を上がる辺り迄は食い下がっていた。

サンビスタ

前後肢にバンテージ。流石にここへ入ると馬自体が見劣るが、歩様に力感が有り、毛ヅヤが冴えている。ゲートも悪かったが、この相手でジックリと中段から。ずっと内々を通っていたが、3角過ぎから行き振りが良く、馬群を縫って徐々に進出。前とは離れたが、渋太く伸びてここ迄押し上げて来た。牡馬相手にこれだけやれれば充分。スピード勝負なら牡馬相手でも足りる筈。

ワンダーアキュート

2人曳き。パシュファイヤー。前肢にバンテージ。+13kg。太くはない。テンションもこの馬としては何時も通り。最近はゲートも安定して来たが、後方でジックリと。ハイペースを想定しての待機策だった筈だが、目の前にコパノリッキーが居てはどうしようもない。今日は展開不向きに尽きる。

インカンテーション

前後肢にバンテージ。1年前とは造りが違う。馬は負けていない。これもコパノリッキーが出遅れてアテが外れたクチで、しかも1角で少しゴチャついて後方に近い位置。ただ、勝負どころで動ける脚もなかった。軽い馬場の方が良さそう。

コパノリッキー

バランスが取れて、充実した造り。馬は最上位。出遅れ1馬身不利。それでも馬群の中から活路を見出そうとしていたが、1角でゴチャついてずっと流れに乗れなかった。今日は参考外。

第50回金鯱賞(GⅢ)

ラストインパクト

例に依って迫力はないが、均整の取れた造りで高値安定。意外に出脚が苦しく、押してやっと好位。ただ、折り合いは付く馬で、これでも問題はないのだが。4角でも手応え充分で、思い切って外へ持ち出す余裕も有った程。その通りに伸びて完勝だった。エアソミュールの自爆は有ったが、地力強化を窺わせる内容。器用さが有るので、中山はプラス。例年のパターンなら2着だが、今年もそうなる可能性は充分。

サトノノブレス

毛色の所為も有って、毛ヅヤは良く見せる。ただ、重量感は大分出て来た。大トビであまりゲートは速い方ではなく、中段やや後方でジックリと。3角過ぎから少し番手を上げて、ラブリーデイを目標に追い出す形。ラブリーデイは楽に競り落としたが、外からラストインパクトの決め手に屈した。良い脚を長く使うタイプだが、やはりもうワンパンチが足りないのは確かだろう。小倉戦の様に如何に早目先頭の形を造って押し切るかがカギとなる。

エアソミュール

+10kg。キビキビ歩いていてデキ自体は良いが、ちょっと太い。スタート直後でマトモにゴチャつき、首を上げて引っ掛かる場面。3角辺り迄ずっと力んでいた。一応、4角では一息付いていた様にも見えたが、道中のロスの差は如何ともし難く、今日はこれが一杯。ただ、そんな中でも0.3秒差。力は示したと見て良い。今後も折り合い一つで、今日の内容では評価を下げられない。

ラブリーデイ

叩いて順当に良化。今年一番の雰囲気。ゲートはポコンと出たが、出脚で中段。割と息の入らない展開を早目早目の競馬で、道中は脚をダラダラ使わされたかも。直線入口でカレンブラックヒルを掴まえた迄は良かったが、そこで甘くなってしまった。ただ、基本は内枠から先行して粘り込むタイプの馬。決め手勝負よりは早目の方が合っているのは間違いなく、ゲートを別にすればこの乗り方もミスではない。デキは良いだけに今後もチャンスは続く。

カレンブラックヒル

前後肢にバンテージ。+10kg。太くは見せないが、歩様が伸びないのがマイナス。好発切ってハナ。ただ、スタート直後にサクラアルディードに競り掛けられ、1角でも掛かり気味に来たパッションダンスに突かれと、序盤は少し神経を使う展開となったのは痛かったか。4角迄は単騎で直線入口で一瞬突き離して格好は付けたものの、そこからが続かなかった。現状は最高に恵まれてやっと重賞で勝ち負けの馬。

ウインバリアシオン

前肢にバンテージ。+12kg。腹回りが弛んでおり、全くダメ。例に依って後方から。ただ、勝負どころでの反応が悪く、今年は全く伸びる場面がなかった。今日の段階では年内の変わり身は難しいだろう。

第48回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

デスペラード

2人曳き。遮眼革。シープスキンノーズバンド。+6kg。近走では一番のデキ。毛ヅヤが良かった。少し仕掛けて好位グループの中。どう乗っても折り合いは付く馬で、2周目ホームで少し動かして3番手。2周目向正面で少しペースが上がり、ここでインを奪い、少し一息つけたのが良かった。前の馬はずっとプレッシャーを受けており、最後の直線はその差がモロに出た。昭和最晩年から平成初期に掛けて、長距離戦は乗り役とばかりに岡部幸雄騎手と柴田政人騎手で分ける時代も有ったが、横山典弘騎手が改めて長距離戦での乗り役の重要性を示した感も。但し、この馬自身はレース後に故障が発症、引退とのこと。

ファタモルガーナ

前肢にバンテージ。スカッとした馬体。ゆったり歩いていたのは何より。積極的に乗られて番手。前に壁がなかった割には折り合いも付いていた。勝負どころでペースが速くなんっても、終始果敢だったが、デスペラードに脚元をスクわれた格好。勿論、比べ馬としては勝っている。休養ばかりの馬で、6歳でもまだ馬は若い。

クリールカイザー

下見だけパシュファイヤー、レースで遮眼革。前肢にバンテージ。+4kg。深い踏み込み。目下の充実振りは下見からも分かる。好発とこの枠で好位のインが確保出来たが、道中は少し掛かり気味。勝負どころで少し控えた際に、デスペラードにこの位置を奪われ、仕掛けがワンテンポ遅れてしまった。最後は伸びており、ハンドリングの差で負けた感。

スズカデヴィアス

この距離だが、水平首で気合は乗っている。馬体も含めて悪いところはない。今日は行く気なく、出たなりで中段のイン。この距離は経験がなく、序盤は窮屈そうに行きたがっていた。勝負どころで少し置かれ掛かっている様にも見えたが、再び盛り返しての4着。折り合いは課題だが、今日の経験は大きい筈で、このカテゴリーでも充分馬券になる馬。

ホッコーブレーヴ

2人曳き。前肢にバンテージ。トモに丸みが有って、ステイヤー体型ではないものの、この馬自体のデキとしては悪くない。道中は後方でジックリと。2周目の向正面から一気に仕掛けて行ったが、流石に開幕週の馬場ではこれが一杯。ただ、仕掛けた反応は前走東京戦より良くなっており、叩いての良化も感じさせた。