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競馬回顧 2011年3回京都・2回東京 (3回東京4日目迄)

第78回東京優駿(GⅠ)

オルフェーヴル

2人曳き。+4s。増えて出て来たのは良い傾向。今日はフックラ見せていた。珍しくゲート出たが、例に依って後方から。道中内に居るのは当然だが、直線一度外を狙って失敗し、諦めて内に切り替える形。このロスが有ったにも関わらず、抜け出す脚が圧倒的に速かった。2年前と違い、今日は芝でも差しが決まっていた分は有るのだが、道悪も無関係、むしろ他馬が勝手に苦しんだだけだった。昨年と比較すればレベルは低いと思うのだが、神に魅入られた様な強さ。

ウインバリアシオン

-4s。また馬体減。攻め強化した分だけ歩様は良くなっていたが、少し細い。これも何時も通りの後方待機策。道中はジッと我慢させて、直線だけ大外へ。道悪の巧拙も有るのだが、それ以前に今日がこの策が決まる馬場状態だった。1番人気だったオルフェーヴルは有る程度意識して早目に動いたが、この馬は上手くハマッた感が強い。矯めた時の瞬発力は本物だが、それ以上の評価はどうか。

ベルシャザール

2人曳き。+16s。結果的に近走が細かったという事なのだろう。この厩舎らしい馬になって来た。毛色は違うが、7年前の父を彷彿とさせる。出脚は有る馬で好位から。ただ、序盤かなり行きたがっていた。これが勿体無いのだが、直線スムーズに前が開いてウインバリアシオンと7馬身差。オルフェーヴルには並ぶ間も無くやられており、今日のところは力負け。今季は馬体重の変動も激しく、立て直して秋に改めて。

ナカヤマナイト

2人曳き。この血統だが、相変わらず馬が細く映る。テンション上がっていたのは毎度だが。これも出脚は速い馬だが、外枠から先行した馬が多く、これに行かせる形で中段。直線は一瞬の反応が抜群で、オルフェーヴルと100mは同じ脚だったが、そこから伸び続けたオルフェーヴルに対し、この馬はそこで止まって3着すら確保出来なかった。ピッチ走法で、道悪は悪くなさそうだが、この距離は長いのかも。

クレスコグランド

まだ馬体が子供。チャカつくのは元々。スタート直後から前に進んで行かず、後方から。下見で煩い割には折り合える馬。直線向いても反応が悪く、馬場に脚を取られている様にも見えたのだが、その割には渋太い。良いスタミナが有るのだろう。京都3000mで良いタイプとは思わないが、東京2500mで一発有りそうな馬。トシザブイやアクティブバイオをイメージしておきたい。

サダムパテック

2人曳き。馬体は変わらず。首を水平に保ち、落ち着いていたのも何より。東京では内に拘り過ぎて失敗する事の多い岩田騎手だが、内が悪いと判断したのか、1角で馬群が切れた際に外へ。ただ、道中はノメッて力んでで、明らかにスムーズさを欠いていた。直線も坂下迄で止まってしまった。馬場も距離もダメなのだろう。

トーセンラー

2人曳き。気配上々。研ぎ澄まされた造り。ユニバーサルバンクやノーザンリバーが先行、これに1角迄は連られていたが、そこからは好位で折り合い付いた。ただ、直線は反応すらせず。やはり道悪はダメ。

デボネア

2人曳き。前走と変わらず。これでも悪くないのだが、成長曲線が鈍った印象は有る。外枠から先行した馬が多く、ハイペースを嫌って後方から。道中雰囲気悪くなかったが、追い出してサッパリ。戦前は道悪でこその馬だと思ったが、乗り役に言わせるとノメッていたとの事。

第125回農林水産省賞典目黒記念 (GⅡ)

キングトップガン

マヤノトップガン産駒らしく、元々骨格はしっかりしていたが、馬体に張りが有る。生涯最高のデキ。戦績通り、出脚の速い方ではないのだが、内へ上手く潜っ3番手。4角手前から動いて直線入り口で先頭。この辺りの奇襲は斤量利とデキが利くところで、一気に5馬身程の差。このリードを一杯一杯粘り切った。道悪も他馬が苦しむ分だけ有利だったのだろうが、とにかく目下充実している。今秋の同条件が目標になるだろうが、少々背負わされてもチャンスは充分。

ハートビートソング

馬体はともかく、左後肢だけが妙に硬い。この枠だが、出脚でジワッと好位。馬場が悪いので折り合いは付いていた。キングトップガンが早目に動いたが、この馬は普通に直線向いてからの追い出し。ジワジワとは伸びているが、最後左手前に替わってしまい、脚が上がり気味だった。正攻法の競馬だから悪い内容ではないが、もう一押しといったところ。トビが大きくて道悪は向かないのだが、良馬場でも鋭さ負けする可能性は高い。つまり強いとは言えない。

ヤングアットハート

-6s。馬体の張りはもう少し有って良いが、均整の取れた馬体。道悪の影響なのか、普段より少し出脚が鈍く中段やや後方。直線向いた段階では前が壁になっていたが、馬群を縫って外へ持ち出し、最後の最後に一伸び利かせて3着浮上。前走新潟戦でも触れた様に、最後迄バテずに伸びて来る。その前走で新潟限定馬と述べたが、東京2500m戦ならこの展開は珍しくないだけに、今秋でも。

トレイルブレイザー

良いか悪いかは別にして少し華奢にも映る。デキ自体はまずまずだろう。少し抑え気味に中段から。キングトップガンが動いたのが見えて、4角外回して少し早目の競馬。結果的に早仕掛けとなってしまった印象。最後少し甘くなってしまい、3着逃してしまった。ただこの馬は、良馬場の方が良いタイプ。決め手そのものはオープンでも充分。同じく道悪だった前々走京都でハートビートソングには負けているのだが、評価としてはこの馬の方が上。

マカニビスティー

遮眼革。馬を大きく見せないのが特徴。引き続き好調。枠の利も活かして好位のイン。 ひたすら内を回って直線もインから。内を立ち回った利が有っての5着は評価を下げるところだが、道中から何度かノメる場面。ダートの印象が強い馬だが、滑る芝の道悪は向かない様。良馬場の長距離戦なら何処かで一発有って良い。

ジャミール

-8s。歩様が中々力強い。叩き3走目、今季では一番のデキ。この枠でも有り、無理せず後方から。直線だけ大外へ持ち出して、良く伸びて来たが、最後一押しが利かず。ただ、チャンスの有るところで毎回外枠引いて4角外回しており、ちょっと無策過ぎる感は有る。まず良い枠引くのが一番大事なのだが、それが叶わぬなら乗り方に工夫を。

マイネルキッツ

遮眼革。イレ込みもキツかったが、腹回り緩んで映った。歩様にも硬さが有り、明らかにデキ落ち。斤量も有るのか、出脚がサッパリで後方から。道中インへ入れ、3角から馬群縫う様に徐々に動いていったが、直線は案外。最後はマイネルアンサーに差されていた。暫く掛かりそう。

イコピコ

気配も良かったが、馬体に張り。3歳時はむしろ非力な印象も有ったが、今の方がむしろ雰囲気は良い。少し出して先行。この馬場だが、少し行きたがっている様にも見えた。4角では既に一杯になっていたが、この馬場でこのハンデはキツかったところ。完歩の小さい走法で、東京2500mも向くとは思えず。現状のベストはローカルの2000m。

第47回金鯱賞(GⅡ)

ルーラーシップ

この相手なら馬振り断然だが、この馬にしては少し軽い印象も。満点はやれぬ。ゲート内の柱立が悪く、鐙が外れて5馬身程の出遅れ。乗り役に言わせるとヴィクトワールピサを意識したそうで、向正面から徐々に外を進出し、4角で好位。最近のこの馬にしては苦しくなっていたが、それでも完勝。3歳春の段階から化け物と述べて来た馬が漸く本物になった。国内戦なら相手関係無く常に中心だが、今年に入って行きたがる面を出しており、これが少し気になるのだが...。

キャプテントゥーレ

2人曳き。オーストライアンブリンカー。+8s。戦前触れた様に今季はデキが良い。歩様に硬さが無いのが何より。戦前の想定通りハナ。アーネストリーが休み明けで深追い出来ず、3角手前から少し多目にリードを取って直線入口で突き放す理想的な競馬。完全に勝ちパターンだったが、最後にルーラーシップ。今更ながらやはり4歳馬には歯が立たない。4歳馬の居ないところは斤量面で苦しく、苦悩は続く。

アーネストリー

+6s。少し太目。この馬の出脚でジワッと2番手。前述の通り、休み明けで無理出来ないところで、大事に乗るのは当然だが、4角から追い上げる脚も無かった。太目残っていただけに、叩いてもう少し良くなりそうだが、これも強力4歳馬相手では少し辛い印象。勝つには思い切って逃げる等の奇襲が要る。

ホワイトピルグリム

周回中ずっと頭が高く、歩様に力強さが無い。出脚が無く後方から。4角でも動けず、京都内回りにも関わらず直線だけの競馬。4着は悪くないが、前と3馬身差有り、評価が難しい。道悪走るのは間違いないのだが...。

アンライバルド

2人曳き。+12s。煩い気性は休養前から。馬体は一応出来ていた。スタート直後から引っ掛かっていたが、外国人騎手の偉いところで前に馬が居なくても好位で我慢させていた。流石に4角回ってからは脚が無くなったが、最後迄諦めずに走っていた。これなら何とかなりそう。

ネオヴァンドーム

戦前述べた様に本格化ムード。歩様に力強さが来た。道中は中段の外に居たが、追って案外。ノメっている場面は無かったが、道悪はダメ。

第72回優駿牝馬(GⅠ)

エリンコート

2人曳き。この数字にしては馬を大きく見せる。落ち着いていたのも何より。好発。出脚も有ったが、無理せず中段。急かせると引っ掛かる様だが、テンに無理しない限りは折り合いは付く。直線は外へ持ち出して切れに切れたが、乗り役の話ではスタンドからの照明に驚いたそうで内にモタれ、その途中スピードリッパーと接触し審議対象に。入口では内から7〜8頭分の位置に居たにも関わらず、最後はピュアブリーゼを挟んでラチ沿い迄へばり付いていた。逆に言えば今日は完勝。父デュランダルを嫌わられて人気落としていたが、爪が悪くて使えなかっただけで東京2000mへ使うプランも有った程。道悪も上手かった。レース内容思い出せれば下地は十分。

ピュアブリーゼ

2人曳き。手先にスナップが利いていた。変わらずトモに丸みが有り、まずまず。大外枠だが、20年前の覇者イソノルーブルの様に1角迄一直線に走り、ジワッとハナ。元々皆が距離に不安有る上に大外枠からの先行策は他馬のマークが甘くなり易い。今日は人気薄で尚更だっただろう。雨は前走ノメッたそうで、決して得意とはいえないが、他馬が苦しんだ分有利に働いていたのだろう。上手く乗った感は強い。

ホエールキャプチャ

2人曳き。テンション上がって力んでいる時は怪しい歩様だったが、周回重ねる毎に落ち着き出てきており、馬体もこんなモノ。発馬でアオり1馬身不利。ならばと内へ潜り、13〜14番手からの競馬。道中の折り合いは付き、コーナーで動かさずに直線もスムーズに前が開いた。良く伸びているが、ラスト200mで左手前になり、前と同じ脚色に。強い競馬はしているが、スタート直後のロスと直前の降雨は痛かっただろう。今にして思えば前々走でも早目に抜け出して手前が替わる場面。ここで厳しい競馬を経験出来なかったのも今回に響いた印象。その意味でも運が無い。

マルセリーナ

前走阪神戦の良化度が目立っただけに感動は無いのだが、変わらず馬体に張り。物見が激しいのは初コース故仕方がないところ。イレ込むよりは遥かにマシ。ゲート五分。ただ、スタート直後に引っ掛かりそうになり、抑えている内に後方から。道中それでも少し力んでいた。直線は躊躇なく大外。反応はしているのだが、一瞬で終わってしまった。道中のロスから来る距離適性も有るが、1番人気にしては雑な騎乗だった。馬は悪くなく、距離短縮で秋に改めて。

スピードリッパー

シープスキンノーズバンド。テンション高い。余裕はないが、馬体維持出来ただけでも。ハッピーグラスにゲートの差で叩かれたが、立て直して好位。道中前に壁が無い影響も有ったが、少し行きたがっていた。それでも追い出してからの反応が良く、エリンコートと一緒に伸びて来たが、エリンコートに半馬身程出られたところで寄られる不利。これが無くても4着有るかどうかだったが、少し痛かった。従って、馬は良く走っている。関東馬のこの時期は、輸送続きでこのレースの頃には出涸らしになっているパターンも多いのだが、これが厩舎技量。

マイネイサベル

2人曳き。一応は及第点。ただ、他馬と比較して発汗目立つのは減点材料。行きたがるのを宥めつつ中段。序盤はともかく、向正面では折り合いも付いていたが、何度かノメる場面。それでも直線は伸び掛かっており、やはり適性は有ったのだが、この馬場で力が出し切れなかった。勿体無い競馬に。

グルヴェイグ

2人曳き。骨格は良いが、馬の重量感で兄ルーラーシップとは差。未完成感アリアリ。ゲートは五分に出ていたが、無理せず後方から。馬場を気にしている素振りはなかったが、この相手で直線大外では競馬にならない。ただ、トビの高さは兄譲り。牝馬なので完成する迄我慢出来るかどうかは微妙だが、素質はGⅠ級。

シシリアンブリーズ

-6s。少し細い。前へ前へという歩き方で気配は良いが。出遅れも、立て直して2番手。仕掛けて行った分、かなり行きたがっていた。4角では既にアラアラの手応え。今日は競馬にならず。

第28回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

ワンダーアキュート

2人曳き。今日は仕草に堪えが利いていた。叩いて更に良化。前走と違い今日は好発も、ランフォルセが主張して好位のイン。後述するように、中途半端なマクり合戦となったが、好位の内で脚を矯められたこの馬には絶好の展開になった。4角でランフォルセとテスタマッタの間を割り、アッサリ抜け出して快勝。ただ、時計は馬場状態と展開が大きい。時計勝負に対応出来た事自体は評価するが、これで京都こなしたとは言い難い。

ランフォルセ

毛ヅヤピカピカ。馬体にも張りが有って、デキは文句無し。ただ、イレ込みがキツい。この乗り役でも有り、外枠でも思い切ってハナ。人気薄の逃げでも有り、向正面迄は楽だったが、ハギノリベラが動いてこれにテスタマッタが抵抗、かなりキツい展開になった。それで居て、ワンダーアキュート以外の馬は振り切って最後はむしろ差し返し気味。マクり切られないだけ最悪ではなかった面は有るのだが、良く頑張っている。こういう馬場も合うのだろう。

シルクメビウス

今日は落ち着いていた。馬体もほぼ出来ている。発馬で少し躓いたが、この距離なら出脚負けする事無く中段。向正面でハギノリベラが動き、これに乗る形での進出は願ったり適ったりだったが、前とは差の有る3着止まり。今日は少し案外感が残ったが、レコード決着の追い込み馬。58s,休み明けでも有り、言い訳は有る。

テスタマッタ

+6s。前走阪神戦思えば落ち着いている。まずまず。位置取りよりもまず折り合いに専念するべき馬だが序盤はかなり行きたがっていた。前述の通り、ハギノリベラが向正面で動いてこれに抵抗する形で動いたが、前走阪神戦迄の脚は無かった。1800mでもギリギリだった馬で、ベストはマイル戦。

ゴルトブリッツ

2人曳き。変わらず気配は上々。大きく変わった点は無い。馬が横向いていた時にゲート開けられ、直後にメダリアビートと接触。更にランフォルセに叩かれと序盤は悲惨だったが、何とか立て直して好位。当然、ここ迄に脚を使った上に、例のマクり合戦で息を入れる暇も無かった。ただ、それでもズルズルは行かず、最後は差し返しそうになっていた位。前走で述べた様に地力は相当。評価は下がらず。

バーディバーディ

キビキビ歩いており、気配は上々。欲言えばダート馬らしい重量感がもう少し。ワンダーアキュートに抵抗しつつ好位直後。内に居ればまた違ったと思うのだが、マクり合戦にも抵抗しに行って不要な脚を使ってしまった。4角での手応えが怪しいのは前走と一緒でこれはこの馬の癖なのだろうが、勿体無い印象は残った。だからといって内でジッとしているだけなら勝ちは無いのだが...。

第6回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。この馬にしては気配が地味だが、今期は前走阪神戦から出来ていた。好発。出脚は速い方ではなく、自然と中段から。3歳時は折り合いの怪しさが目立っていた馬だが、今日はハイペースで流れて外枠でも折り合いスムーズ。直線も躊躇無く大外へ。良く言えば馬の力を信じて、悪く言えば現代競馬からは少し外れた乗り方だったが、蛯名騎手、前は何時でも捕まえられる自信が有ったのだろう。最後はブエナビスタが猛追して来たが、一杯一杯振り切った。そのブエナビスタは直線入り口で一瞬モタつく場面。この馬はそこがスムーズだったのが大きい。何度も述べている様に、総合力で勝つタイプの馬。ディープインパクトを筆頭に一点突破の馬が多い昨今、シンザンタイプの馬は最近珍しい。トライアルで負け続け、本番で大勝ちしないのもシンザンをなぞる。ただ、次走は中2週。ほぼ用無しだろう。

ブエナビスタ

馬は例に依って変わらず、昨秋気になった歩様も今季はスムーズ。昨夏からずっと2000m以上の競馬、ゲートは出ていても出脚が鈍って後方から。それでもアパパネを見ながらの競馬となり、しかもハイペース。結果的に悪い展開ではなかったが、4角から少し手応えが怪しくなり、対アパパネに対し一瞬置かれたのが痛かった。坂を上がってからは良い脚で追い込んでおり、勝負には負けたものの、競馬では勝っていた。昨秋からあの手この手で負けているが、とにかく運が無い。

レディアルバローザ

前走阪神戦と変わらず。馬が張っていて、毛ヅヤも上々。歩様も中々力強い。一瞬はハナを覗かせる出脚だったが、控えて好位。インで上手く脚を矯めて、直線も出来る限り追い出しを我慢。ただ、ラスト300mで先頭に立ってからが長かった。2強の壁は流石に厚い。今年に入ってからの上昇度はこの路線No.1、今秋改めての期待となるが、2200mが向くとは思えず、千載一遇のチャンスを逃した印象も。

グランプリエンゼル

この歩様なら問題無し。馬体に張りも有って、基本的に良く見せる馬。好発。好位の内で引っ張り切りの手応え。追い出しを我慢していたレディアルバローザを急かす様に、インから併せたが、使えた脚は一瞬。最後は甘くなってしまった。ノビノビ走らせると意外に走る印象。これが現状の能力差だろう。ただ、東京マイルGⅠは春シーズンに限り、スプリンタータイプが健闘する印象。改装後、特に顕著になっている。

アンシェルブルー

少し太く見せる位で、ボリューム感の有る馬体。出脚は速いが、脚を矯めて好位に控える形。追い出しての伸びが中々良く、一瞬馬券圏内有ったかの勢いだったが、坂を上って左手前になり失速。これもグランプリエンゼル同様、スプリンターが東京マイルで好走した格好だが、良い脚が長く続かない欠点が露呈。グランプリエンゼルが1400m保つ分だけ4着粘ったが、この馬は前走阪神戦から1400mですら怪しく、ベストはあくまで1200m。

スプリングサンダー

ここへ入ると馬自体が平凡だが、張りは有る。歩様にも問題無く、一応は本格化。ゲートは五分だったが、急かさず最後方で折り合いに専念。4角からブエナビスタを目標に渋太く食らい付いていたが、ラスト100mで頭が上がって苦しくなった。これも現状は1F長い印象。

アニメイトバイオ

2人曳き。明らかに太いという程ではないが、馬が緩く映った。出遅れ1馬身不利。出脚も一息で後方から。直線捌くのに手間取り、外へ持ち出す迄に脚を使った割には最後迄ジワジワ伸びていた。悪い内容ではない。次走休まず使うなら何とかなりそう。

エーシンリターンズ

-8s。更に細くなってしまった。これではダメ。一瞬ハナという勢いだったが、オウケンサクラが飛ばして2番手でガッチリ抑える形。そのオウケンサクラとは道中離れていたとはいえ、この馬も1000m通過が56.9秒だからかなり速い。前述の様に持ったままで行っているから良いスピードが有るという事にはなるのだが、休み明けでこのペースでは失速も当然。馬体減さえ無ければ次走狙いたいところだが...。

第55回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

ストロングリターン

+8s。骨格がしっかりしているので目立たないが、多少太い。チャカつくのも毎度。ゲートと出脚が怪しいのだが、4枠2頭が先行してスペースが出来、そこへネジ込んで中段。この運は有ったが、そこで折り合っていたのは収穫なのだろう。直線向いても、暫く前が壁になっていたが、外で壁になっていたショウワモダンに脚が無く、そこから抜けて坂上からの瞬発力勝負。ここからはお見事だった。次走へ向けてはテレグノシス的危うさも感じるのだが、一応は圏内。

シルポート

馬体の張りは幾らかマシになったが、歩様が硬い。好発も、出脚が甘く押してハナ。ジョーカプチーノには出脚で煽られていた。それでも折り合いに課題の有るジョーカプチーノはガッチリ抑えざるを得ず、東京1400mではお馴染みのスローに。ラスト400m迄追い出しを待つ余裕が有った。ストロングリターンには決め手負けした格好だが、競馬は完璧。次走に関しては、競られないかどうか、この一点に尽きる。ファイアーフロートが少し擦った2月東京戦の様に、ほんの少しで簡単に消えるだけに。

ジョーカプチーノ

腹回り少しボテッと映った。この数字では少し重いのだろう。気配は良いが。出脚は圧倒的に速いのだが、折り合いが有って2番手で控える形。ただ、4角でもまだ行きたがっていた。その分、結果的にシルポートを可愛がる形となり、前を逃がして後続に決め手負けする最悪の競馬に。もっとガッチリ抑えるか行かせるかすれば勝てた競馬。ただ、ここは次走へ向けての叩き台。叩き台とすれば最高のレースが出来た。

コスモセンサー

馬体はこんなモノだが、少し歩様が甘い。出脚は有るが、無理せずジワッと好位。この馬にしては脚を矯めての競馬。直線最内に進路を取って一瞬反応したが、最後の最後で甘くなった。スローや1400mが得意というより、良い脚が長く続かない。前走阪神戦と似た様な番手に居ても、前と距離が有った分、追い付く迄に脚を使ってしまっていた。馬群が密集する中山がベスト。

クレバートウショウ

メリハリのない造りは相変わらず。皮膚を薄く見せていたのはこの時期で当然、下見からは手が出ない。好枠だったが、スプリントから来た組の出脚には勝てず、前へ入られているうちに中段から。スローでずっと馬群が密集、外へ持ち出すスペースも無く、ずっと前が壁になってしまった。逆に言えば力を余しての5着。前述の通り、下見からは買えない馬だが、意外に力を付けている印象も。

エーシンフォワード

毛ヅヤ等、前走阪神戦を叩いて順当に良化。好発をジワッと先行。普通に回って来ただけだが、59s背負ってスローの決め手勝負は辛かったところ。この枠でも有り、そこ迄悪い内容とも思わないが、昨秋京都戦はあまりに上手く行き過ぎた。昨年よりは今年の方がレベルは上がっている印象も有り、次走も手は出し辛い。

サンカルロ

+10s。数字通り一枚重いが、外々周回して好気配。出脚が付かず後方も、押している内に3角で今度は引っ張る場面。更にコーナーでは外へ逃げる素振りを見せ、直線も前が開かず競馬が終わった後に外へ出した格好に。全く競馬になっていない。東京はダメ。

ショウワモダン

気配は戻っているのだが、相変わらず歩様が硬い。出たなりで中段。前に壁が無い事も有り、3〜4角中間からジワジワ動いて、4角で好位。手応え自体はそこ迄悪い様に見えなかったが、直線向いてからが案外。スローが向かないのは当然としても、それにしては止まるのが早過ぎた印象は有る。連覇懸る次走だが、黄色信号が点灯。

フラガラッハ

+6s。強調出来る点もないのだが、まずまず。落ち着いていたのは良い傾向。出遅れ2馬身不利。この影響も有るが、道中の行き振りが悪く、追走すら出来ていない。直線向いてからは伸びているのだが、あれだけ道中進んでいないのだから、32秒台の脚が欲しい。何か難しい。

第16回NHKマイルカップ(GⅠ)

グランプリボス

2人曳き。トモにボリューム感。当然ながら馬は最上位。ただ他馬と比較しても、発汗がかなり目立った。好発も、折り合い専念して中段。数回の例外は有るものの、基本的にこのレースはハイペースになるが、今年もソコソコのペース。少なくとも前走阪神戦よりは2秒速い。完璧とは行かないにしても、これなら折り合いは付く。坂下迄我慢させて外へ持ち出し、抜け出す脚が抜群に速かった。舌を出していたのもそれだけ余裕が有ったからだろう。弔い合戦は案外勝てないが相場だが、単純に馬が強い。ただ、英国遠征は直線競馬。環境変われば気性面で違うのかも知れぬが、今日の様なハイペースは考え辛く、常識的には厳しい。

コティリオン

ディープインパクト産駒にしてはしっかりしたトモの造り。ここに来て馬が良くなっている。ゲート自体は出ているが、少し躓いた事も有り、無理せず最後方に待機。逃げたフォーエバーマークとは2秒以上遅れていた。4角迄コースロス無く回し、直線は大外。脚が矯まっている分、一瞬の反応は良かったが、グランプリボスに1馬身差迄追い付いてからが相手の真骨頂。そこからは突き放され気味だった。かつての覇者、同馬主ピンクカメオの策で競馬はハマッたが、今日は強い相手が1頭居たという事。

リアルインパクト

2人曳き。+2s。中身は怪しいが、前走阪神戦思えばかなりフックラした造り。出遅れ1馬身不利も、押して中段。この形でも前に馬を置けば折り合いは付く。勿論、一番スムーズな競馬をしたのはグランプリボスだが、この馬も不利無く捌いて来れた。最近、マイル路線も古馬になってから賞金不足で苦しい場面が多く、2着が欲しいところだったが、届かなかったのはデキとゲートの分だろう。秋に改めて。

エイシンオスマン

+8s。中1週だが、歩様に硬さは無い。見た目には近走のデキをキープ。出脚でスッと2番手。ただ、向正面で何度か頭を上げる場面。3角からはスムーズだったが、多少のロスは有った。直線伸びているとはいえないが、前崩れの展開でも有り、これでも良く粘っている方。前走使っていなければと考えるのは当然だろう。向正面での折り合いと二重の意味で勿体無い競馬に。

プレイ

チャカつく。もう少しトモに筋肉が付いてほしい。これもこの馬の出脚で好位から。前走は外枠から仕掛けて引っ掛かったが、この形なら折り合いはスムーズ。4角の手応えが中々良く、一瞬やったかの場面だったが、坂を上がって失速。マイルもこなせるが、もう少しジックリ行ける2000mの方が良さそう。当座の話をすれば、エイシンオスマン同様に前走も余計。

エーシンジャッカル

毛ヅヤは良いので、現状のデキには問題無いのだろうが、少し馬が貧弱に映る。完歩の小さい歩様も良いとは言えぬ。ゲートは出たが、出脚が鈍く後方から。直線外へ持ち出し、暫く前が壁になっていたが、開いてからも大して伸びていない。器用さは有る馬だが、東京マイルの真っ向勝負では力が足りず。

アイヴィーリーグ

デビュー3戦目だが、気配が薄い。馬体は確かに少し寸が詰まって父リンカーンに良く似ている。向正面では少し噛んで行きたがる場面。内外に馬が居て、揉まれ込んだのもキャリアの浅い馬にとっては辛かったところ。戦前は穴人気していたが、直線伸びなかったのも仕方が無かろう。経験積んで改めての期待。

第33回新潟大賞典(GⅢ)

セイクリッドバレー

造りにメリハリが利いていた。良い時のこの馬。新潟ならこの馬の出脚でも中段から。今開催は比較的内が良い事も有り、無理に外を回さず、直線は馬群を割る形。直線半ばで手前の替わる馬が多い中、右手前のまま走り抜けるのが新潟適性。着差は僅か、しかも初重賞制覇だが、勝つべき馬が勝った印象。丸山騎手も初重賞制覇だったそうだが、中途半端に2・3着が続くとハンデが重くなるだけに、千載一遇のチャンスを逃さなかったこの乗り役も立派。

マッハヴェロシティ

腹回りもう一絞り有っても良い様に映るが、休む前からこの状態。歩様のキビキビ感も相変わらずだが。出たなりで中段の外。外枠から真っ向勝負の競馬に。外から良く伸びているが、セイクリッドバレーが内で脚を矯めていて、道中の差は大きかった。ハンデ差無視すれば一番強い競馬をしている。元々広いコース向きの馬、これからの上積み加味すれば今夏セイクリッドバレーに逆転出来る筈。

サンライズベガ

-10s。夏場仕様だろう。馬体にも張りが有って、一息入った影響感じさせず。少し出して2番手。1000m通過59.3秒は新潟2000mにしては流れた方だが、これは追い風の影響も有った様。スムーズに運んでいるが、上位2頭は末脚のしっかりした広いコース向きの馬。休み明けの影響も有って、最後甘くなったのは仕方が無かろう。それでも馬券圏内は確保。堅実は堅実。

ヤングアットマーク

少し頭は高いが、バランスの取れた馬体。馬はここでも足る。出たなりで中段の外。直線はマッハヴェロシティに一瞬の脚でやられ、更に外から来たタッチミーノットにやられそうになっていたところを何とか抵抗、最後差し返して4着浮上。中々渋太い。兄シンゲンだけでなく、祖母ニフティニースから広がっている新潟血統だが、この馬も新潟限定で重賞勝つ場面は有って良い。

シャドウゲイト

2人曳き。相変わらず馬体は良く見せるが、少し歩様が硬い。前走小倉戦よりはマシとはいえ、近走出脚が怪しいのだが、押してハナ。単騎で行けて、直線入り口では一旦突き放す場面。ラスト400mで後続に来られたが、良馬場の決め手勝負で分が悪いのは今更な話。現状のこの馬が新潟の良馬場で58s、この条件で5着なら最良に近い。

タッチミーノット

+10s。馬が緩んでいる様に映った。数字分だけ太い。出脚は元々速い方ではないにせよ、道中の行き振りがイマイチ。直線もジリジリで、もどかしさだけが残った。下見から前走阪神戦のデキには無かったと見たいが、新潟巧者のセイクリッドバレーを差し置いてこの馬が1番人気というのは見込まれ過ぎ。

第59回京都新聞杯(GⅡ)

クレスコグランド

チャカつくのは元々。血統通りの重量感だが、まだ馬が緩い印象。1角迄で少しスムーズさを欠いたが、一応は好位。そこからは折り合いも付いていた。ただ、直線向いてユニバーサルバンクの内か外かで迷って、結局外。これしか手は無かったが、こkで一手後手踏まされたのは間違い無いだろう。最後はハナ差だが、今日は馬が頑張った。次走東京戦は今回中1週だったツケを払う形になりそうだが、秋は期待出来そう。

ユニバーサルバンク

例に依って手先だけで捌く歩様だが、馬は2歳時思えば良くなっている。今日もゲートが少し怪しいのだが、レッドデイヴィスを行かせて一度立て直してから好位。決め手で甘いので早目早目の競馬は狙い通りだろうが、ルイーザシアターを捉えて抜け切ったところを最後にクレスコグランド。何かにやられるのは現状のこの馬では仕方が無いところ。器用さ活かす自分の競馬は出来た。

サウンドバスター

ドッシリと見せて造りは中々。気配も良かった。好発。そのまま行かせてハナ。出脚は有る筈だが、最初から内へ潜って中段。クレスコグランドを眺めながらの競馬に。直線は一旦最内狙って、外へ切り替える格好になったが、それ以前にクレスコグランドとは一瞬の反応で差が有った。併せてからは似た様な脚だが、着差が着差でその差が大きかった。ただ今日はクレスコグランドが強い。この馬も充分重賞で足る。

ルイーザシアター

2人曳き。数字の割にはスカッと見せる。仕掛けて2番手。決め手で甘く、包まれるのを嫌って最初から外へ出す策。狙いは悪くなかったが、ただ4角での反応が悪く、むしろ逃げたサンビームに突き放されていた。その割には直線渋太い印象も有るのだが、現状は決め手不足。

サンビーム

2人曳き。-12s。少し細い程度。気負い気味。好発切ってハナ。前走阪神戦は擦られてテンが速くなったが、今日は最初から単騎で行けた。1000m通過も60.6秒なら勝たなければならない位の競馬だろう。直線向いても一旦は突き放す場面。最高に乗って勝てないのだから、単に馬の能力が足らない。馬体回復すればもう少し違うのだろうが、今日のパフォーマンスなら1000万も微妙。

ダノンフェニックス

前走と変わらず。弾む様な歩様はこの馬独特。今日はゲート五分。出脚は少し怪しいが、枠の利で好位。多少怪しいながらも折り合い付いていたが、いざ追ってからが案外。前走内容からクレスコグランドには先着出来ると思ったのだが...。馬格の無い馬の中1週が意外に応えた?

レッドデイヴィス

-16s。数字通り細い。左後肢が出て来ず。好発を出たなりで好位から。序盤こそ少し行きたがっていたが、この距離で1〜2角中間からでも折り合っていたのは逆に意外。デキ落ちで馬に気が無かったのだろう。4角でフラつく場面も有り、恐らくここで壊したと思うのだが、レース後に骨折も判明。踏んだり蹴ったりの競馬に。

第143回天皇賞・春(GⅠ)

ヒルノダムール

2人曳き。今日は手先にバネが利いていた。馬体が目立たないのは元々。出脚が強化されてゲート五分に出る様になっており、スンナリ中段。元々ズブい位の馬で折り合いはスムーズ。内で死んだ振りしたのが今日の壊れた競馬にハマった。藤田騎手はこの馬で失敗も多かったが、昨秋にインを立ち回った経験や前々走の早目スパート等、経験積んで来た事がここで活きたのだろう。昨年のジャガーメイルもそうだが、乗り易さの有る馬がこのレースは圧倒的に有利。

エイシンフラッシュ

2人曳き。落ち着いていた。昨季とは馬が違う。前走阪神戦で述べた様に、今季はデキが良い。好発。ただ、この枠で無理が出来ず中段やや後方から。折り合いにはかなり苦労していたが、更に運が悪かったのは前に居た馬が尽く動いて行った事。直ぐに壁が無くなっていた。ただそれでも直線向く迄我慢させたのが今日の展開で正解。ヒルノダムールには枠の利も有って上手く乗られたが、自分の競馬は出来た。次走は阪神戦迄待機だろうが、ブエナビスタ相手でも互角の競馬は出来る筈。

ナムラクレセント

前走阪神戦の方が少し張りが良かった印象。距離と気性面で馬を詰め切れなかった印象も。痛恨の出遅れ。枠の利で中段に潜り込んだが、少し掛かっていた。前述した様にそれ迄も入れ代わり立ち代わりが有った中、スローを嫌って向正面で外からハナ。約1200m残してのロングスパートになった。直線向いてからは尻尾振ってかなり苦しがっていたが、それでもラスト200m迄は先頭。3着には残した。一番強い競馬をしている。ゲート五分で最初からハナなら競馬が壊れる様な事は無く、淡々と流れて恐らく勝っていただろう。勿体無い競馬になってしまった。

マカニビスティー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。芝で人気無いのは当然だが、前走阪神戦でもデキは良かった。重量感が無いのが却ってステイヤー。無理せず下げて後方のイン。ひたすら最内をコトコト回って入着。競馬がクシャクシャになってしまったからここ迄走れたのだが、前述した様にデキが良いのも確か。このデキなら本職に戻っても。

トウカイトリック

トモの送りは硬いが、手先のスナップは悪くない。最近のこの馬にしてはまずまず。出脚は悪くなさそうだったが、下げて後方から。最低人気でも有り、内で死んだ振りは当然の策。意外に勝負どころでの反応も悪くなく、直線もしっかり伸びたが、9歳馬でもマカニビスティーに先着して本職の意地を見せたかったところ。馬券圏内はもう無理だろう。

マイネルキッツ

2人曳き。遮眼革。-8s。少し馬が緩く映った。昨年のデキには無さそう。前走阪神戦同様出脚が鈍っており、押して何とか中段。決め手で分が悪く、出来る限り行こうと外へ持ち出したところ、出入りの激しい展開に巻き込まれてしまい、掛かる場面が有ったのが痛い。ナムラクレセントに連れる形で見せ場は造ったが、デキが無い現状でも有り、今日はここ迄が一杯だった。今週併せ馬で負けたトゥザグローリーを筆頭に、前走で先着された馬には先着出来たが...。

ビートブラック

手先に柔らか味が有って、重厚感感じさせる造り。文句無し。この枠でも有り、積極的に乗られて好位。前述した様に出入りの激しい競馬になったのだが、先頭だけではなく、好位グループも結構入れ替わっていて、内に居たこの馬も一回控えざるを得なくなった。止まってはいないのだが、切れる馬ではないだけにこうなると辛い。結果的に先行したのが仇になった格好。

ペルーサ

+4s。相変わらず馬が緩い。満点はやれぬ。今日もゲート五分に出て積極的に乗られる競馬。トゥザグローリーが行った辺り迄は我慢していたが、2角過ぎにナムラクレセントが行った時に連られてしまった。今日は能力以前の問題。

ジェントゥー

オーストラリアンブリンカー。馬を大きく見せず、最近日本に多いステイヤータイプ。半馬身程出遅れて中段やや後方。わざわざこの距離を狙って来た以上、当然スムーズに折り合っていた。従ってこの展開を上手く運べた様に思うのだが、追って案外。力不足。

ローズキングダム

-6s。前走阪神戦の段階で出来ていた。変わらずまあまあ。この相手なら出脚は分が良い方だが、急かさず乗られても最初からかなり行きたがっていた。内に居ればまた違ったが、これもペルーサやマイネルキッツ同様、2角で連られており、これでは競馬にならない。ただ、それだけ悲惨だった割には2周目4角で脚を矯める場面の有ったトゥザグローリーには先着。この馬やはり力が有る。

トゥザグローリー

2人曳き。相変わらずトモにボリューム。デキは文句無し。好発。スタート直後から口を割って行きたがっており、1週目決勝線手前からブッ放してハナへ。行き切って折り合いは付いたが、向正面でナムラクレセントが飛んで来て、実質ここで競馬が終わってしまった。戦前懸念した通りの競馬に。ナムラクレセントの出遅れと中途半端に雨が残ったのが超スローを誘発した面が有り、他馬の動向は仕方が無いにせよ、もっと渋った馬場状態の方が良かったのかも。

第18回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

ウインバリアシオン

-6s。また馬体減。少し馬が細く映った。トモの甘い歩様も相変わらず。ゲートは出たが、出脚が甘く、後方から。向正面で少し行きたがる場面も有ったが、基本的には折り合いスムーズ。4角は前のショウナンマイティに連れる形で進出。坂を上がる迄は少しモタついていたが、坂を上がってからが切れた。今冬京都戦辺りでもそうなのだが、エンジンの掛かりが遅い。トビが大きく、これが東京で新味に繋がった様。新潟限定で爆発する様なタイプ。次走は厳しい筈。

ショウナンパルフェ

数字は変わらずも、叩いて順当に良化。馬体が締まって来た。この馬の出脚でジワッと好位。1角迄は少し行きたがっていた様にも見えたが、そこからは前に馬が居ないにも関わらず折り合いピタリ。正攻法で直線抜け出したが、ラスト200mで抜け切って、最後にフワッとしたところをウインバリアシオンが強襲。競馬としてはほぼ勝っていた。未だ底を見せておらず、次走穴で一考。

トーセンレーヴ

2人曳き。少し馬が緩く映る。気負っていたのもマイナス。前走阪神戦で引っ掛かり、今日は内ラチ沿いへ入れる形。怪しいは怪しいが、工夫した分、前走よりはマシ。ただ、昨年のダービーでヴィクトワールピサが負けた様に、今日の様な超スローでは内に居ると目一杯走れない分、外でノビノビ走れた馬に決め手負けするケースが有る。今日も上位2頭は直線向いた段階で前が開いていたのだが、この馬は不利は受けていないにせよ、捌くのに少し苦労していた。従って、上位馬とは能力差無いが、折り合い云々を気にしている馬はそれだけでハンデに。

ギュスターヴクライ

まだまだ馬が若い。もっとトモに筋肉が付かないと。ゲート五分に出て中段。丁度、トーセンレーヴの外に居た。ただ、コースロス無くそうと一旦下げたのが今日は大失敗。 内も開かずで、下げたのに直線大外へ持ち出す形になってしまった。今日の展開でウインバリアシオンの後追いでは二手遅い。しかも直線左手前だった事を思えば脚力はこの相手でも一番。前走中山戦に述べた様に間違い無くGⅠ級の馬。一生に一度のダービーは痛いのだが、父ハーツクライは春に無理して秋が悲惨だった。権利取れなかったのも長い目で見れば良い方に出そう。

ショウナンマイティ

-6s。これ位の数字の方がメリハリが利いて見える。落ち着いていたのも何より。ゲートも少し悪かったが、折り合い意識して後方から。その折り合いはスムーズだった。ただ、スローで仕方無しに4角マクる形。この相手では力量五分といった程度の馬で、流石に最後が甘くなった。ただ、前走中山戦で無かった筈の回り脚が有ったのは意外。サウスポー?

カーマイン

現状は前駆が勝ち過ぎ。歩様が柔らかいので芝でも問題はないが、基本はダート馬かも。折り合いは付く馬だが、出脚が鈍く何とか中段。直線向いてもサトノタイガーの内外で迷う場面も有ったが、それ以前に一瞬の脚が無い。坂上がってからも苦しがって内にモタれていた。現状は力不足。

リフトザウイングス

妙にスカッと見せる馬体は変わらずだが、今日はテンション高かった。ゲートむしろ良かった方で、スッと中段。折り合いも問題無く、2歳時に有った課題が解消しているのだが、ショウナンマイティにマクられてそこ迄。特に追い出してからが酷かったが、明らかにファームが全身使えていない。デキが無い。

第71回皐月賞(GⅠ)

オルフェーヴル

2人曳き。-4s。また馬体減。この血統は見た目がアテに出来ないのだが、細いのは確か。踏み込みは中々力強いのだが。ゲートも少し悪かったが、無理せず中段やや後方から。内で折り合いを付け、例に依ってこの血統は回り脚が速く、仕掛けて一瞬で先団に取り付いていた。そのまま抜け出す脚も速く、良い脚を長く使えていた印象。ラスト200mで手前が替わったのは抜け出して遊んだだけ。それ位強かった。兄ドリームジャーニーよりポテンシャルが高いのは以前述べた通りとしても、デキがどうかと思ったのだが、この血統は前述した様に下見だけでは判断し辛い面が有る。ドリームジャーニーが愚かどうかは別にして、愚兄賢弟は調整のマニュアルが出来る分、競馬では多いのだが、この兄弟もムラの多い兄にして来た苦労が調整面で良い参考になっているのだろう。次走も当然最上位。

サダムパテック

2人曳き。-8s。狙い通り絞れて来た。この馬にしては落ち着いていたのも何より。ゲートを真っ直ぐ出ずに出脚が鈍ったが、枠の利で中段のイン。出脚を使っていない分、折り合いは付いていた。直線向いて最内が壁になり、暫く待たされた分は有るのだが、元々がジワジワ脚を使うタイプで、一瞬の反応でオルフェーヴルに差を付けられてしまった。だから東京向きなのだが、それ以上に性能の高い馬が1頭居たという事。折り合いは付く様になっており、次走も圏内だが、相手の自滅が無い事には逆転は難しい。

ダノンバラード

例に依って馬体に迫力が無いのだが、幾らかでも歩様がマシになっていた。好発も折り合いに専念して好位直後。道中は少し行きたがっていたが、内でロス無く運んで、乗り役が自画自賛する程の理想的な競馬。坂下からオルフェーヴルとの併せ馬となったが、一瞬の脚が違い過ぎていた。この馬の場合は競馬になっただけで収穫だが、オルフェーヴルには力量差見せ付けられただけに、次走は苦しい。

デボネア

ここに来て馬が良くなっている。この中でも上位。出遅れ1馬身不利。この枠で出すとコースロスが有るので、そのまま後方に待機。ジワジワだが、最後迄脚は使っており、ダノンバラード以上、オルフェーヴル以下の伸びは見せた。乗り役に言わせると内にモタれる面が有って馬がまだ若いとの話だが、ここに来ての上昇度は急。1か月後は更に良くなっている事が確実で、次走上位争い必至。

ナカヤマナイト

-8s。1人で曳いている分は有るのだが、例に依って少しテンション上がり気味。馬体もギリギリに映った。今日はゲート出たが、控えて中段。丁度サダムパテックを内に置く形。外回った分は有ったにせよ、スムーズに捌いて来たが、坂を上がったところ迄。良い脚が長く続かない。折角ゲート出ただけに、サダムパテックと同じ位置というのは勿体無い乗り方。この相手で真っ向勝負の馬ではないだけに。

トーセンラー

2人曳き。馬体は何とかキープしたが、チャカついていたのはマイナス。ゲートは出たが、下げて後方から。2角迄は少し怪しかったが、そこからは折り合いも付いた。内に入れて良いタイプではなく、外回すのは仕方が無いところだが、リベルタスが4角綺麗に回れず、更に外回されたのは最悪だった。ただ、ソコソコの位置迄追い込んでは来たとはいえ、この馬の能力を思うと今日の着差では不満も残る。外厩先で被災したとの話も有ったが、その影響も有ったのだろう。

プレイ

この馬にしてはゲートも少し悪かったが、とにかく枠が遠く、仕掛けて何とか好位。ただ、かなり無理して行っており、馬がその気になってしまった。それでも直線向いて一旦は先頭の場面。見せ場は造った。血統はマイラーだが、次走まだ見限れぬ。

ベルシャザール

2人曳き。デボネア同様、数字が大きい分も有るのだが、馬振りは最上位。気配も良かった。安藤勝己騎手はこれが有るのだが、出遅れたのを無理矢理の先行策。ただ、昔の安藤勝騎手なら折り合えたのだが、この形では最近折り合いが付かなくなっている。これでは直線伸びないのも仕方が無い。次走、折り合い面で悪影響が無ければ巻き返せる筈だが...。

ダノンミル

2人曳き。-4s。細い印象は無いのだが、妙に緩く映った。中身が無い? ゲート五分に出て、この馬の出脚で好位。折り合いも付いていたのだが、4角でアラアラの手応えだった。案外の内容。パンパンの良馬場でないとダメなのか。

第16回アンタレスステークス(GⅢ)

ゴルトブリッツ

2人曳き。馬が目立つという訳ではないが、気配は良かった。出脚速くスッと好位。何度かコース取りの上手さを褒めた田辺騎手だが、今日もこの枠から上手く内へ潜り込んだ。4角手応え充分に外へモタれたタガノジンガロの内へ飛び込み、ラスト1Fで振り切ってそのまま押し切った。完勝。これでダート転向後、7戦6勝。近況のダート界は、エスポワールシチー,トランセンド以降が手薄な印象も有り、バーディバーディ,テスタマッタ,そしてセイクリムズン等、これら3番手グループと同格の評価は出来る。

ワンダーアキュート

2人曳き。この馬はこれで堪えている方。デキは高値安定。柱立不良時にゲート開けられ出脚鈍ったが、枠を利して何とか中段。ただ、結果的にゴルトブリッツの後を追うだけの競馬になってしまった。これもタガノジンガロの内へ上手く入れたクチだが、4角での差が最後迄詰まらず、対ゴルトブリッツでは一瞬の脚でむしろ分が悪かった。京都はピイラニハイウェイに負けた前科も有り、あまり得意ではなく、今日はボギー (1番人気で2着) でも良しとするところ。

バーディバーディ

GⅠの後、2か月開いていた事を思えば仕上がっていた。出脚有ったが、無理せず好位。これもゴルドブリッツに良い位置取られた影響は有ったのだが、それを差し引いても4角の反応が悪かった。この辺りは時計勝負の58sだった影響も有っただろう。最後はジワジワ伸びて底力は見せている。次走の京都戦も58s背負うので難しいところは有るのだが、目標とする大井戦へ向けてはまずまずの競馬。

タガノジンガロ

相変わらず腹回りがボテッと映る。ウォータクティクスの出脚が速く、これにハナを譲って2番手から。ただ、4角で外へモタれ、そこをゴルドブリッツに入られたのが痛い。さらに内からワンダーアキュートにも入られ、そこ迄だった。前走阪神戦の繰り返しになるが、まだオープンでは家賃が高い。

ピースキーパー

気配は地味だが、フックラ見せておりまあまあ。ゲートも甘かったが、出脚が鈍く後方から。暫くはズブさを見せていたが、スピードに乗ったら今度はオーバーペースになってと、道中ががチグハグ。直線向いてからも前に馬が居て砂が飛んでいる間は反応しなかったのだが、前が開いてから1Fで4馬身程伸びている。良くも悪くも中々面白い内容。

ウォータクティクス

-6s。出来過ぎだった位。以前ガタガタだったことを思えば、歩様も悪くない。出脚でスッとハナ。道中は良い感じで行けた。休み明けの分、4角迄で止まったが、この内容なら競馬になりそう。不調時はハナへ行けない状況が続いており、それを脱却出来たのがまず大きい。近々復活の場面も。

ダイシンオレンジ

例に依ってバネの利いた歩様。デキの良かった冬場と見た目は変わらず。この枠でも積極的に乗られて好位。ただ、3〜4角中間で既に手応えが怪しくなっていた。確かに立ち回りの上手さで稼いだ分は有り、真っ向勝負で辛いのは分からないでもないのだが、負け過ぎ感は有る。時計の速い馬場は歓迎しない?

サクラロミオ

+6s。数字以上に緩く映る。デキ一息。出遅れて最後方から。今日の馬場で4角大外はキツいのだが、それ以前に直線入り口でバランス崩してそこからは追うのを止めていた。怪我等ではなければ良いのだが...。

第46回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

バウンシーチューン

-6s。毛ヅヤは良かったが、数字通り細い。イレ込んでいて、下見からは強調点無く。ゲート悪く、後方のイン。下見でイレ込んでおり、折り合い気になるところだが、意外に折り合っていた。4角迄内を回し、直線だけ外へ。追い出しての反応良かった割に、坂を上る際に左手前になって一瞬止まりそうになったが、坂を上り切って再び右手前に戻し、上がりの掛かる展開も味方に最後ハナ差。この馬体思うと次走手は出せないのだが、良い決め手が有る。

マイネソルシエール

馬体は見劣りしないが、歩様の硬さが矢鱈目に付いた。セレブリティには出脚でやられたが、枠の利で好位。追っての反応はむしろ悪かったが、とにかく渋太い。直ぐ右に居たハッピーグラスにラスト200m辺り迄先行されていたのだが、これを振り切り、最後もグイッと伸びて一瞬やったかの場面。小倉での未勝利勝ちもかなり時計の掛かる馬場で、そういう馬場が合う様。簡単にはバテない根性が良い。今回の様な道悪なら一概には。

ピュアブリーゼ

2人曳き。数字の無い馬だが、トモに丸み。まずまず。積極的に出して4番手。2角手前で引っ掛かったアドマイヤセプターに連られそうになる場面。直線向いてジワジワ伸び、ラスト200mで先頭に立ったが、今日の馬場では先頭に立つのが早過ぎた。逆に言えば一番強い競馬はしている。良馬場なら恐らく勝っていただろう。距離が延びるのも血統上悪いとは思えず、鈍重さが出なければ次走も圏内。

ハッピーグラス

中々しっかりした歩様。馬体も纏まっていた。この枠だが、出脚で好位直後。上位3頭は内枠で、この分のハンデは有るのだが、併せ馬になったマイネソルシエールに根負けした様な格好。恐らく比べ馬では負けていないのだろうが、勝負根性の差が出た。この辺りは血統も有ろう。

マイネイサベル

この歩様でこの馬は許容範囲。数使っており、デキ自体も変わらず。前走阪神戦で行かせて失敗、この枠でも有り、後方から。今日の展開でジックリ乗る策は悪くなかったが、3角でガクッとノメる場面。直線はバウンシーチューンとの追い比べで負けた格好になったが、今日はむしろ良く頑張っている方。決め手が甘いのは以前述べた通りだが、2400mに延びるのは他が苦しむ分だけ有利。昨年暮れから述べている様に次走穴で一考。

マヒナ

+6s。歩様は相変わらずだが、増えたのは良い傾向。例に依って出脚が無く、最後方から。この枠だが、ラチ沿いをバウンシーチューンに入られてしまい、4角大外へ持ち出さざるを得なくなったのは痛い。ただ、それがなくても1馬身程度だろう。細身の造りで、この馬場も向くとは思えず。

セレブリティ

-6s。戦前述べた様に、馬振りは血統馬。ただ、今日は細く映った。完成途上。ゲート速いのも血統だろうが、短距離から転戦のカトルズリップスに出脚でやられ好位に控える形。ハナを狙って控えさせられた分、行きたがってしまった。それでも直線向いて一瞬は伸び掛かったが、そこ迄だった。まだトモが甘いので、道悪も良いとは言えず、今日の段階ではこれでも良く走っている方。気性的におかしくなって来ない限り、先々は重賞も勝てる馬。

ダンスファンタジア

2人曳き。歩様は良くなっていたが、相変わらずのイレ込み。少し馬が緩いのも鍛錬出来ていない証。出たなりで乗られて中段やや後方。多少怪しいながらも、近況折り合いは付く様になっているが、それにしても直線はサッパリだった。前述した様に、鍛錬不足が明らか。変わるとすれば来年。

サトノフローラ

増減無しだが、前走阪神戦から細かった。歩様にも硬さが目立ち。少し出して中段。道中は一応折り合い付いていた。ただ、4角では付いて行くだけで一杯。デキが無い影響は大きいが、馬場も合わないのだろう。