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競馬回顧 2009年3回阪神・2回福島

サマー2000シリーズ第1戦第45回七夕賞(GⅢ)

ミヤビランベリ

最後方を周回。少し太く見せるのは体型分も。ただ、それでも馬が張っていたのはデキが良い証。好発。出脚有る馬だが、少し出すとハナへ行きそうな勢いになりそうなのを抑えて好位。ただ、この辺りは枠順の利も。そのまま徒に動かず、好位の外を大事に回ったら、トウショウシロッコに4角入られてしまったのは若干の誤算だったが、それでも直線一伸び利かせて快勝。小回りの荒れ馬場は、以前ズボズボになるケースも多かったが、最近はペースが速くならず好位差しが残るのが基本線。ハンデも、55kgでの勝利とはいえGⅡ勝ちの馬に57kgは軽かった。

アルコセニョーラ

数字は無いが、それなりにボリューム感有る造り。硬さが無かったのも好感。こういう馬場の中枠は挟み撃ちになる危険が有るのだが、それを嫌ってか下げて後方から。4角も、シャドウゲイトが外へ飛んで出来たスペースへ突っ込み、脚を伸ばして来たが、最後にミヤビランベリとホッコーパドゥシャで挟み撃ち気味に。まあ、着順は変わらなかったと思うが、乗り役のいう通り際どい競馬になっていたのは間違い無い。やはり福島は走るが、ただ牝馬限定戦でしかも馬場状態特殊だったとはいえ、GⅢ56kgで連対の馬が53kg。これは幾ら何でも軽過ぎた。ミヤビランベリもそうだが、道悪時の能力査定がし辛くなっている。世界一優秀なハンデキャッパーがそうなのだから、一般のファンは尚更だろう。色々考えるべきところも。

ホッコーパドゥシャ

トモがしっかりして来て本格化。非力さが無くなって来た。出脚は甘い馬で、道中は中段やや後方から。ミヤビランベリを目標にしつつ、4角のアクシデントを直ぐ後ろで見てからの追い出し。それなりには伸びているが、内からアルコセニョーラが更に伸びて3着に。その4角、もう少し早く動かないと今日は勝ちが無い展開だと思ったが、それでも待っている辺りは乗り役の自信の無さ。この辺りはハンデだろう。オープン特別56kgで勝った馬に56kgのハンデは他馬との比較上見込まれていた。

トウショウシロッコ

-24kg。流石に細過ぎるとは思うのだが、夏場ならこの造りでも。この枠だが、少しずつ外へ持ち出しつつ好位。ただ、2角辺り迄少し行きたがる場面も。4角は些か強引だったが、脚でナイアガラとミヤビランベリの間をコジ開けて、差の無い競馬。これも斤量が見込まれ加減で、この枠。内容としては悪くない。ただ、休み明けいきなりでこの馬体減。次走人気になる様なら、却って危険という気も。

デストラメンテ

芦毛だが、毛ヅヤは中々。ただ、馬体が薄く、歩様も硬目。出脚有る馬で序盤は好位に居たが、向正面辺りから内外前に馬が居て、気付いた時には後方に近い位置。しかも直線は馬場の良くない内目を通らされる格好に。それを思えば今日は良く走っている。新潟は過去(3,1,0,0)の得意コース。次走は絶好の狙い目に。

シャドウゲイト

2人曳き。-6kg。気配絶好。馬体に張り。最初から良かった今季の中でも一番良かった。この枠でも有り、当然の様にミヤビランベリをマークしての競馬。まあ、例の4角での不利が痛いという事になるのだが、それにしても膨れ過ぎた辺りは、コーナーの手応えが微妙に怪しかったのが応えていそう。少なくとも前走中京戦よりは走っていない。振り返って新嘉坡戦も左回り。中山での印象も強い馬だが、意外にサウスポー?

第14回プロキオンステークス(GⅢ)

ランザローテ

2人曳き。間違い無く絶好調。ただ、バンブーエールと比較して、馬振りで見劣る。まだ馬が軽い。ゲート速かったトーホウドルチェに叩かれる展開にはなったが、出脚自体は速く立て直して好位の外。ずっと前述トーホウドルチェをマークし、上がりが速いので着差は僅かだが、今日は勝ち切った事を評価。この形で折り合い付く辺りは、この距離もベストなのだろう。

トーホウドルチェ

馬格は無いのだが、歩様に伸びが有るのが良い。例に依って好発。出脚自体が然程速いとは思わないが、ゲートで1馬身抜けていたのは大きい。道中は内からサイキョウワールドが行っての2番手。今開催は唯でさえ前有利な馬場状態で、今日の様に直ぐに隊列決まると脚が矯まって尚更有利。一杯一杯に粘り込んだが、決勝線寸前でランザローテ。ゲートの利があれだけ有りながら最後捕まる辺りはまだ甘いと言わざるを得ない。

バンブーエール

中間一頓挫の影響は明らか。馬体の張りや歩様が完璧ではないが、それでも馬振りは一流馬。斤量背負って無理が出来ず、好位直後。4角も無理に動く様な事はせず、直線迄待ってからの追い出し。今日の馬場でこのペース、これだけ上がりが速くなると届かない。斤量背負って今日のデキなら、今日の3着がベストリザルトだっただろう。ただ、あれだけ乗り役が吹くなら最下位覚悟でもっと早く仕掛けて欲しかった気も。

サイキョウワールド

休み明け思えば出来ていた。いきなりから満点に近い。この距離なら出脚が違うのか、スッとハナへ。良いペースで逃げられた分は有るが、休み明け思えばそれなりに粘っている。少なくとも能力落ちは無さそう。ただ、今迄逃げて勝った事が無い馬。その辺りの乗り難しさは有るが。

タマモホットプレイ

以前より歩様の非力さがマシになったとはいえ、年齢感じさせる馬体。芝スタートという分は有るが、出脚悪くなく好位集団の真ん中。4角の手応えが妙に悪く、ズルズル行きそうだったが、直線一踏ん張りして入着。以前は淡白な印象だったが、年齢経て渋太くなっている。

サンライズバッカス

-10kg。数字はこれでも良いが、中身が無い様に見えた。出脚サッパリで後方から。直線だけ外へ持ち出したが、展開や距離適性等勘案すればこれでも良く差している方だろう。この馬、良くも悪くもこの程度。

第58回ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

ストロングガルーダ

2人曳き。馬に集中力。重厚感有りながら、一切緩んだところが無く、デキの良さが目に付いた。この枠で関係無いのだが、半馬身出遅れたのを少し出して中段やや後方。道中は位置取りよりも、被されぬ様に、かといって無駄に外を回らない様に気を付けての追走。その割に3角からの手応えが怪しかったが、直線向いてからはしっかりと伸びた。コーナーでのズブさはこの馬自身の個性も有ろうが、経験値の無さも大きいだろう。何れにしても福島を力任せに勝てるのは豊富なスタミナの証明だ。今年はマイラー色の強い皐月賞馬に、レース前に不安説を陣営自ら流していたダービー馬。現状でもソングオブウインド級は有りそうで、秋の京都でアッサリも。

サニーサンデー

小じんまりとまとまっている印象。悪くは無いが、強調材料も無い。積極的に乗られて好位直後。折り合い課題の馬だが、小回り独特のハイペースで折り合いが付いた。これも被されぬ様に早目早目の策。この辺りの器用さも有りそうで、一瞬は勝ったかの態勢だったが、最後にストロングガルーダ。ベストはマイルだろうが、この器用さは買える。

ストロングリターン

毛ヅヤが抜群。馬振りも現3歳世代という括りでもかなり上の方。ここに来て馬も成長しており、今ならもっと増えても良い位。位置取り構わず、まず外へ持ち出す策。ただ、向正面で引っ掛かり、更に4角でゴチャつく場面。それでも最後迄伸びていただけに惜しい。枠順の関係で止むを得ぬ部分は有るが、競馬が雑。能力だけならサニーサンデーより一枚上なのだが。

イコピコ

首でリズムを取りながらの周回。バランスの取れた造りで、完成度が高い。外からスーパーシズクンが何が何でもの構えで行き、それを行かせて中段から。サニーサンデーを目標に、この枠としては最高に近い競馬だが、4角の手応えでサニーサンデーと差が有った。この辺りは斤量差も有ろう。器用さ身上の馬で、ストロングガルーダやストロングリターンとは器の差が有るだろうが、今日のパフォーマンスだけを言えば互角に近い。

ミッキーペトラ

2人曳き。多少チャカつくが、許容範囲。まだ甘いといえば甘いが、歩様がしっかりして来てオープンでも走れる馬に。道中は中段。折り合い課題の馬が今日はスムーズ。無理に外に出さず、普通に乗っていたが、結果的にずっと外が壁で馬場の悪いところを通らされ続けた。ただ、乗り役の話では、外へ持ち出すと引っ掛かるとの事で、この策を選択したそう。それでも内に居た組では最先着。大きくは負けておらず、悪くない内容。

イネオレオ

-8kg。数字分のマイナスは感じる。戦前にも述べたが、イコピコとは完成度でかなりの差。ゲートを真っ直ぐに出ず、シャイニーデザートに接触し、後方から。ただ、コーナーを回る脚が無く、一瞬モタついた間にストロングリターンに入られて競馬が後手に。今日はズボズボになる程のハイペースではなかっただけに、この不利はかなり痛かった筈。戦前述べた様に、不器用な面が有る。

サマースプリントシリーズ第1戦第16回函館スプリントステークス(GⅢ)

グランプリエンゼル

前が閊えていたとはいえ、少し歩様硬い様に見えたが。出脚負けは無かったが、内から行きたい馬に行かせて好位の外。4角で前へ並び掛け、直線向いて一瞬モタつく場面も有ったが、後続とは1馬身半差。例に依って直線向いてから手前が2回替わっていたが、左回りとは違い、右回りは一瞬ヨレる場面。前半のペースが有るとはいえ、時計も、先週1000万条件で1分8秒0が有った事を思うと遅過ぎる。斤量利も大きく、過大評価は危険。

タニノマティーニ

年齢重ねて見た目は然程変わらなくなったが、今日は歩様がスムーズ。久々に好発。枠順も有るとはいえ、最近出脚が鈍って来たが、好位から。ただ、今日は4角の手応えがかなり悪い様に見えたのだが、その割に追ってからが渋太い。時計に限界が有るので札幌は合うのだが、差して来たのは嬉しい誤算だっただろう。今年はもう一走チャンスも有って。

ブラックバースピン

良い時はもっと良く見せる馬。馬体の張りが案外。出脚悪くなく好位直後。内枠勢に先行した馬が多く、3角過ぎからインへ潜ってコースロスの無い立ち回りが出来た。直線だけ外へ持ち出していたが、スパッと切れる馬では無いので、ジワジワとなったのはデキの問題だけでは無いだろう。ただ、外へ持ち出す際にタニノマティーニを押し退けていた。ああいうところは単純な速さだけではない馬の強さが出るところ。悪くない内容。

シンボリウエスト

-8kg。脚部不安で1年休養の馬だが、ほぼ出来ていた。1馬身出遅れも、出脚の違いでハナ。後続を離した単騎迄持って行けるとは正直意外。休み明けの影響で、流石に最後は甘くなるのだが、ゲート五分でスムーズだったらと思わせた。今日はメンバー低調感有るのだが、札幌は走る。

アーバンストリート

+10kg。芦毛で分かり辛いが、然程太くは見せない。珍しくゲート五分も、出脚が無く後方から。直線も悲惨な事になっていたが、それ以前にコースロス無く回そうとして、4角で前が詰まり、前との差が離れ過ぎていた。時計掛かる良馬場はベストといえただけに勿体無い競馬に。

アポロフェニックス

悪くは無いが、一息入った影響は有りそう。馬体の張りや歩様がもう少し。ジワッと好位直後。タニノマティーニが思い切ってハナ叩きに行ってくれるとまた展開が違うのだが、枠なりの競馬で、ずっと外を回された。まあ、それを踏まえてももう少し伸びて欲しかったが、今日はデキの影響も有ろう。叩いての良化待ち。

マヤノツルギ

2人曳き。気配を表に出して、デキも抜群。もっと出脚は速い筈だが、出遅れたシンボリウエストに叩かれたのは意外。直線はエーシンエフダンズに張られる振りも有ったのだが、脚も大して残っていなかった。乗り役に言われると爪が悪いとの事だが...。

エーシンエフダンズ

数使っている5歳馬だが、まだ馬の完成度が低い。トモの甘さはこの馬としてはかなり良くなっている方だが。スタート決めて好位のイン。直線迄は完璧に運んだが、追って外へ大きくモタれてしまった。着差が着差だけに、真っ直ぐなら2着は有っただろう。馬の問題も有るが、弟藤岡康太騎手を含め、真っ直ぐ走らせられる乗り役も居ただけに、藤岡佑介騎手は猛省を。

第50回宝塚記念(GⅠ)

ドリームジャーニー

2人曳き。気配抜群。以前にも述べた様に、トモに張りが出て、歩様の硬さが無くなって本格化。戦前は3200mの後でどうかと思ったが、良い状態をキープ。出遅れも、外枠の馬が先行して位置取り悪くならず、目の前に居たディープスカイをマーク。常にディープスカイの真後ろに付けて視界から消し、直線外から並ぶ間も無く抜き去った。前々走同様、漁夫の利を得た格好。乗り役お得意の競馬が出来たといえばそうなるが、同斤で勝ったのは本格化の証。

サクラメガワンダー

2人曳き。歩様にバネ。馬体充実。珍しく気合も乗っていた。好発も、外から先行した馬が多く、一旦立て直して中段。ディープスカイの一歩前での競馬。ディープスカイだけにはやられぬ様、早目の立ち回りは悪くなかったが、最後に道中死んだ振りのドリームジャーニー。自分の仕事はこなし、能力検定でも負けた訳ではないが、この辺りは馬だけではなく、乗り役の個性の問題も。

ディープスカイ

2人曳き。-8kg。予定通りに良化。気配を表に出す馬の多い中、イマイチ地味だったが、これは元々。少し出して中段やや後方。デビュー以来初めてだと思うのだが、1角手前から掛かり気味。直線レーサーなのは3歳春から素振りを見せており、この辺りの反応の悪さは止むを得ぬところだが、追っての脚も甘かった。競馬がチグハグになってしまった感。近況行ける様になっているので、有る程度出す形になっているが、今日はこれが裏目。人気で辛い分は有るにせよ、矯めて一気の方が向いている。ダービー時に述べた様に、多少の取り溢しは止むを得ぬ馬では有るのだが、多少の域では無くなって来た。

カンパニー

今季初っ端はどうかと思ったが、使う毎に上向き。まず歩様が良くなって、今日は毛ヅヤも良かった。少し出して好位直後。出脚が有るのはデキが良い証拠。これもコーナーの脚が甘いので、サクラメガワンダーに坂下で出られたが、渋太く伸び返している。この馬とすれば悪くない内容だが、結果的には差し決着となっただけに、前走東京戦の競馬だったら馬券圏内有った気も。

スクリーンヒーロー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-8kg。胴長の馬では有るが、今日はデキの目立った馬が多く、横の比較で細く映った。スタート直後に誰も行かないと見るや否や押してハナ。途中からコスモバルクが大逃げ打ったが、有る程度の先行策は目論見通りだっただろう。多少早目に来られた分は有るが、坂を上がって脱落。今季はそこ迄のデキになかったという事だろう。秋に改めて。

アルナスライン

オーストラリアンブリンカー。はち切れんばかりの馬体。皮膚を薄く見せているのも強調出来るポイント。この距離だけに出脚負けして、ディープスカイと前後する位置。ディープスカイに叩かれると進路が無くなるので、それだけは気を付けながらの競馬だったが、坂下で更に外からドリームジャーニーが来て、進路が無くなり万事休す。今更ながら距離が短い。

第14回マーメイドステークス(GⅢ)

コスモプラチナ

-6kg。馬体に張りが無く、歩様も硬い。出脚は互角程度だった筈だが、枠の利でハナ。レッドアゲートが控えてくれて、道中は単騎逃げ。阪神開幕週、特にこの開催の開幕週は毎年逃げ圧倒的有利。この日も例外ではなく、馬場状態を味方に逃げ切った。デキは悪過ぎただけに、馬場状態と展開以外に勝因が無くて。

ニシノブルームーン

連勝の勢いは感じる。キビキビした歩様とボリュームの有るトモの造り。出脚利かせてイン確保。コスモプラチナが逃げ,レッドアゲートが2馬身程後方,そこからまた2馬身程離れた位置。要は3番手で、馬群の先頭。まあ、2着確保したのは馬場状態が大きいのだが、絶好位を確保出来たのはデキと出脚が有るからだろう。強いとも思わないが、悪い印象ない。

リトルアマポーラ

+6kg。歩様が力強い。今日は文句無し。以前より出脚が良くなっているが、この枠とこのハンデで中段がやっと。道中もずっと外を回され、今日はこれでも良く追い込んでいる方。かなり強い内容だった。今季のデキの良さと底力を改めて示した一戦。今後ウオッカが牝馬路線に出走するケースは考え辛く、古牝馬路線の大将格的存在と言えよう。

ベッラレイア

前走中京戦同様、歩様に伸びが欲しいのだが、馬体の張りは上々。出脚勝負の馬ではないが、押して好位直後を確保。ただ、坂を上がる脚が無く、そこでリトルアマポーラと差が有った。ただ、坂上では再び伸びて4着は確保。乗り役は渋化残る馬場状態を言い訳にしていたが、恐らくは坂が駄目なのだろう。この辺りは父ナリタトップロードに似ている。

レッドアゲート

トモに張り。歩様もスムーズで、デキは悪くない。何が何でもの構えを見せたコスモプラチナにハナは譲ったが、スッと2番手。道中も折り合って、立ち回り悪くなかったが、追って案外。瞬発力不足。