Sakura Archives

競馬回顧 2009年2回阪神・3回中山

第69回皐月賞(JpnⅠ)

アンライバルド

2人曳き。デキ自体は良いが、前走述べた様に馬自体は目立たず。折り合い意識して出脚使わずの競馬。丁度中段で今日は流れた事も有って折り合い付いた。4角はリーチザクラウンが待ち切れずに動いてマクり合戦、その外を一気にマクッて、坂下で先頭。この脚が兎に角速かった。坂で内にササりながらもそのまま保たせて好時計勝ち。終わってみればこの時計で走れた馬がこの馬しか居なかった印象。久々に一番速い馬が勝つ皐月賞になった。嵌った感も強いのだが、承知の通り、次走東京戦も速い馬が強い。この点で有利に。

トライアンフマーチ

2人曳き。-4kg。まだ絞れても良い位。歩様にバネを感じさせて、気配も良かったが。武幸四郎騎手らしい決め打ちしての最後方待機策。4角アンライバルドが動いてそれをマークのシェーンバルトに付いて行く形。以前は内にモタれる癖が有ったが、ここに来て真っ直ぐ走れる様になって、ここ迄。今日はこの乗り方だが、器用さ有って自在に乗れる点も強み。

セイウンワンダー

2人曳き。-10kg。期待通りの数字。チャカついていて分かり辛いが、手先の軽さも光った。ゲート自体は一番速かった位だが、真っ直ぐに出られず内の7枠2頭へ体当たりして中段やや後方。アンライバルドをマークする格好に。折り合い面課題だったが、道中は我慢が利いていた。ただ、4角からの回り脚でアンライバルドと差。そこをトライアンフマーチに入られて更に競馬が後手になった。今日はそれを思えば良く差している方。中身の有る3着だ。距離も2400m迄なら保ちそう。広いコースで更に。

シェーンバルト

シープスキンノーズバンド。ここに馬が良くなっている。歩様に伸び。ゲートの出方も悪かったが、出脚が鈍く後方から。その割に道中頭を上げて行きたがっていたが...。4角で前に居たアンライバルドに食らい付いて行く回り脚は有ったが、そこからの直線が無かった。今日の展開なら2着に来ないと評価出来ないところ。それなりに着は拾って来るが、馬は弱い。

ベストメンバー

これでもマシになった方だが、トモが薄く、歩様の力強さを欠く。出脚使わず道中は中段。丁度アンライバルドと前後する位置。4角から外へ持ち出そうとしていたが、中々出せず、それが叶ったのは上位馬が皆抜けた後。前走阪神戦で負かしたトライアンフマーチが2着なのだから、この辺りスムーズなら当然この馬もそれ位の位置に居た筈。だからといって下見の気配があの状態だけに次走即狙い目とは思わないが、勿体無い競馬。

フィフスペトル

-8kg。折り合い付く馬ならば気配絶好といったところ。前走気になった歩様の甘さも解消され、馬も順当に良化。折り合いに専念して後方から。良い脚が長く続かない馬で、直線イチかバチかのイン勝負。結果はバチだが、最後の脚は悪くなかった。マイラーとしては上級。

リーチザクラウン

+6kgは願ったり叶ったり。ただ、中間攻め馬に手抜かりが有ったのだろう。妙に非力な歩様。ファインモーションのマイルチャンピオンシップで御馴染み、大外枠という事で、武豊騎手独特の馬群と離して折り合いを付ける策。1角入る迄はまだ良かったのだが、当然コーナーは無駄に外回る訳には行かず、1角からは武豊騎手のコメント通り「ノーコントロール」状態。4角も、マクり合戦の引き金を引いただけ。これなら、無理矢理にでも逃げた方が良かっただろう。橋口厩舎、アンライバルドの兄フサイチコンコルドにやられた借りを返す為にダービー挑戦だそうだが、18着覚悟で逃げる手なら少しは可能性も出て来るが...。

ロジユニヴァース

-10kg。今なら510kg以上で丁度の馬。少し角張って見えたが、それでも走れる状態には有った筈。先行激化を嫌ったのか、好位から。馬群の切れ目で上手く外へ持ち出し、最高の競馬だったが、4角迄で終わった。直線向いてからは殆ど追っていないので、着順程負けている訳ではないのだが、マトモでも6,7着といったところ。敗因色々有るだろうが、デキは悪くない様に見えたので、一番は時計勝負に適性が無かったという事だろう。前述した様に次走東京戦も速い馬が有利な点がどうかだが、雨なら巻き返せる筈。前々走阪神戦時からザッツザプレンティに似ていると述べているが、こんな所迄似ているとは!

第40回読売マイラーズカップ(GⅡ)

スーパーホーネット

+9kg。馬が妙に貧弱に見えたのと、手先に軽さが無い。唯一毛ヅヤだけが良かった。ゲートは一番速かった位だが、まずは外へ出す事を優先して馬群の切れ目を探す策。結果的には中段やや後方から。そのまま直線は馬場の6分どころへ出しての競馬だったが、今日は坂を上がる脚が特に速かった。ただ、スローが向いた感も強く、これで人気になる様だと次走嫌ってみたいが。

カンパニー

+10kg。多少余裕残しだが、歩様がマシになったのが何より。今日は先行する必要の無い馬場状態で後方待機策。定跡通りにコーナーでは外を回さず、直線だけ外へ持ち出そうとしていたが、このスローでスーパーホーネットが抜けてからでは一手遅い。逆に言えばここ迄追い詰めたのは性能の高さの証明だ。GⅠで厳しいのは確かだが、少なくとも能力落ちは無い。

スマイルジャック

2人曳き。チャカついているのはマイナスだが、毛ヅヤがピカピカ。間違い無くデキは良い。中々抑えが利かず、掛かり気味に好位。4角手前迄は引っ張っての追走。それでも最後上位2頭に決め手でやられたにせよ、この着差。やはり能力は有る。もう少し折り合いがマトモならGⅠでも圏内の馬になれるのだが...。

オースミグラスワン

2人曳き。+6kg。この馬、調整が意外に難しくて、一つ間違うと中身が無くなるのだが、今日は緩い。歩様もガタガタに近い。出脚サッパリで最後方から。スローで4着という結果自体は悪くないのだが、前走がそうだった様に、坂でバッタリ止まるのが気掛かり。歩様が怪しいのも気になる材料。次走連覇目指して新潟戦だろうが、平坦とはいえ少し手が出し辛くなった。

アブソリュート

-14kg。小じんまりは以前から。そんなに悪く見えなかったが...。折り合いに専念して道中は中段から。過不足無く運べており、最後は決め手の差だろう。今日は馬体減が言い訳に使えるのだが、まだ一線級とは差。

リトルアマポーラ

2人曳き。牝馬の休み明けは少し物見をする位がベスト。トモに丸みが有って、馬も出来ていた。以前は出脚サッパリのイメージだったが、この距離でもスッと好位へ。スーパーホーネットとの0.4秒差は、この馬自身の決め手で0.3秒、馬場の悪い内を通った分で0.1秒といったところだが、前走京都戦で半信半疑だった出脚が本物だったのが大収穫。マイルがベストとは思わないが、次走限定戦で上位争い必至。

ビービーガルダン

変わらずキビキビした歩様。トモのボリュームも目立ち、好調キープ。出脚は抜けて速い馬だが、折り合い面が有り無理は出来ずジワッとハナ。その分、道中の折り合いは付いたし、ペースもスローに落とせたのだが、掛かり気味に来たタマモサポートが如何にも鬱陶しい。この馬場で馬場の真ん中へ出さざるを得ない展開も最悪に近い。今日は距離適性で負けたとは考えない方が良い。引き続きマイルでこそ狙い目の馬。

第69回桜花賞(JpnⅠ)

ブエナビスタ

馬は相変わらず見栄えしないが、皮膚の薄さが印象的。今日もゲートは五分に出ているが、例に依って後方から。4角コーナーを左手前で回って、内に切れ込み、直線向いても暫くジェルミナルが邪魔に。前がフリーになったのはラスト350m辺りだったが、坂を上がって右手前に替えてもう一伸び。見た目の概算では350mで他馬と1秒以上違う脚を使っている。前走時に述べた様に力が違い過ぎるのは間違い無いが、競馬が下手過ぎるのも確か。今日でも牝馬の単勝1.2倍は被り過ぎ。信念貫く手も有ると思うのだが...。

レッドディザイア

多少テンション高いのだが、馬体は最上位。出たなりで中段やや後方。道中は少し行きたがるのを宥めての追走。枠なりに外を回り、直線向いて馬場の6分どころ。良く伸びているが、坂の途中で右手前に替わり、上り切って内にモタれた。それでもかなり惜しい内容。能力自体もそうだが、馬が良いので大崩れが少なそうなのが何より。

ジェルミナル

2人曳き。トモが薄く、力の無い歩様。出脚有る馬だが、今日は最初から行く気無く後方に近い位置取り。4角はブエナビスタの動向に合わせての進出。上手くブエナビスタの邪魔が出来たが、坂を上がって甘くなった。ただ、以前よりトビが大きくなっている。馬体は未完成だが、成長の跡は窺える。

ワンカラット

-6kg。毛ヅヤ良く、デキは良さそうだったが、これ以上は減らない方が良い。出遅れ1馬身不利。道中はレッドディザイアと前後する位置。ただ、4角外へ持ち出すタイミングを逃し、上位馬が前へ行ってから追い込んで来た格好。ブエナビスタを別にすれば坂上での脚は一番良かった位だった。レッドディザイアとも能力差無い筈。次走東京戦は、距離面嫌われて人気落ちしそうだが、予想の段階で距離適性を考慮してもあまり良い事が無いのがオークス。これ以上の馬体細化無ければ狙い目に。

ルージュバンブー

2人曳き。前走でも指摘したが、まだ筋肉が付き切っておらず、緩慢に映る。これもじっくり乗って待機策。4角回って直線は馬場のド真ん中。馬場状態から外過ぎず内過ぎずの最高の競馬だった筈だが、最後が甘い。上位馬とは決め手の差が有る。

第27回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

サンカルロ

バランスの取れた馬体で迫力に欠くのだが、ここへ入ると上位の存在。スタート直後に内でが落馬したのが鬱陶しかったが、これが前へ行ったのを確認してからの競馬。前に馬が居たからまだ良かったにせよ、例に依って道中はかなり行きたがっていたが、それでも今日は4角の手応えが抜群だった。追っても頭が高いながらしっかり伸びて2馬身差。完勝といえる内容。ただ、今日の内容で東京向きという論調はどうか。次走は用無しに近い。

ティアップゴールド

2人曳き。骨組みは良く出来ているが、筋肉が付き切っておらず。出脚悪くなく中段の外。道中はかなり引っ張っての追走だったが、かなり外を回されていたにも関わらず、終い迄しっかり伸びて2着。逃げて差したばかりの中山芝で、今日の内容なら文句無しに近い。しかも、まだ未完成の状態。本格化すればGⅠでも足りる馬になる筈。

ジョーカプチーノ

変わらず落ち着いていたが、前走中京戦の方がトモに張りが有った。マイル戦なら出脚負けは無いのだが、オメガユリシスが主張して2番手から。これも邪魔だったが、更に邪魔だったのは落馬したゴールドエンデバー。絡まれた分、道中少し行きたがっていた。寸前でディアップゴールドに交わされたものの、直線渋太く粘っており、今日は3着でも充分の内容。次走GⅠなら家賃が高いだろうが、何よりマイルにメドが立ったのが大きい。

マイネルエルフ

これでも落ち着いている方だが、もう少し馬を大きく見せて欲しい。出脚は一番速かった位だが、無理せず好位から。勝負どころで空馬が少し気になる場面も有ったのは確かだが、最後は決め手の差。出脚が有るので着は拾えるが、強くは無い。

アイアンデューク

2人曳き。下見では最後方を周回。-8kgは絞れたと見て良いが、少しイレ気味。出遅れ1馬身不利も序盤から行きたがって4角で中段。坂を上がって完全に突き放されたが、序盤のロスを思えば止む無しの面も。ただ、ゲートが悪いのは毎回。今日はむしろ出ている方。まずはここから。

第52回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

ジョリーダンス

妙に煩かったが、毛ヅヤが良かった。馬体にも張りが戻っていた。ゲート五分。出たなりで中段やや後方。以前に述べた様に揉まれ弱さが有って、馬群の中に居たのは微妙な面も有ったのだが、馬場が荒れていたのが、密集していないという点と外差しで届くという二点でこの馬に向いた。とはいえ、デキさえ戻ればこれ位普通に走れるのは周知の通り。まあ、デキ有っても走らない時が有るのが厄介なのだが...。

ザレマ

覇気が無いのは何時もの事。馬体がフックラして、毛ヅヤ上々。馬は最近良く見せる。近走出脚も鈍いのだが、距離も有って中段から。直線向いてオディールを脚で外へ弾いて、一旦は先頭に立っているが、最後は決め手の差。ただ、ジョリーダンスに併せてから後続は突き放した。良い方向には向かっている。

オディール

2人曳き。イレ込み。ただ、馬体が戻っていたのが何より。好発も無理せず好位から。しっかり折り合って真面目に走っていたが、ザレマの進路が開いてしまうのは脚の無さ。最後も上位2頭に突き放された感が有り、力量差相当有りそう。ただ、この距離はベスト。

サワヤカラスカル

+8kg。増えるのは良い傾向。ただデキが良い様には見えないが。例に依って後方から。直線向いてジョリーダンスの直後。ただ、ここから坂下迄の脚でかなり差が有った。最後は伸びているのだが...。ただその辺りは、追って頭が上がる面が大きい。逆に言えばこれが改善出来ればオープンでも通用。

レジネッタ

+12kg。満点はやれぬが、馬体回復が大前提だった馬。最悪は脱した。例に依って下げて後方から。直線、内が伸びない馬場だったにせよ、もう少しスパッと伸びて欲しいのだが、それでも57kg背負って最後迄諦めずに伸びていただけでも大収穫というべきだろう。次走も圏内。

ポルトフィーノ

2人曳き。良く言えば馬に集中力。馬体は文句無し。行きたがってはいたが、この馬とすればこれでもかなり我慢している方。4角の雰囲気では何とかなりそうだったが、追ってからがサッパリ。敗因不明。故障で無ければ良いが...。

アルティマトゥーレ

気配光った。1000万上がりだが、馬体も明らかに上位。ここでも出脚は違ったが、内からエリモハルカが来て2番手。直線は案外だったが、今の馬場で序盤競りになると厳しい。この経験が今後に活きれば。

第41回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

タケミカヅチ

シープスキンノーズバンド。数字通りに見せる様になって来た。1年前とは別馬に近い。歩様にもバネが有った。半馬身出遅れ。ヤバい展開だったが、1〜3番枠の3頭が好発を切り、その内2頭が先行して、この馬は労せず好位から。内目で脚を矯めてバラける迄待って、坂下からの追い出し。少し追い出し遅れ気味だったが、しっかり伸びて、見た目以上の完勝。今年に入ってからの関東オープン戦はB級関西馬の草刈場と化しているが、久々のホープと言って良いだろう。ディープスカイを負かすのは難儀にしても、カワカミプリンセス位なら先着出来る筈。

マイネルファルケ

2人曳き。-8kg。絞れた分メリハリが出て来た。迫力に欠く馬体だが、デキは良い筈。出脚は一番速い位に見えたが、内から同馬主マイネルレーニアが無理矢理先行して、これの外から。4角の手応えは抜群、坂下で逃げたマヤノツルギを捕まえて先頭に立ち、押し切り態勢だったが、最後にタケミカヅチが切れた。ハンデ差2kgで負けたのだから、相手が一枚も二枚も上手だった。ただ、夏になれば準オープンに降級。なまじ勝ち切ると今後ずっとオープンで闘わざるを得ないだけに、むしろ好都合の2着。

マヤノライジン

前走からデキは悪くなかった。キビキビ歩けている。最近はズブくなっており、今日も押してやっと中段。4角でも、マイネルファルケに食らい付いて行けているとタケミカヅチの進路が無くなって、この馬の勝ちが見えていたのだが、ここでモタついているので、タケミカヅチに入られて3着止まり。昔は1800mで良くて2000mで怪しい馬だったが、今なら距離延ばした方が良さそう。

キャプテンベガ

今季は歩様がしっかり。馬は相変わらず見栄えしないが。少し出負けして後方も、道中は引っ張り切りの手応え。馬群の中を徐々に進出し、4角でタケミカヅチの直後。ただ、直線でそのタケミカヅチ1頭分しか進路が無かった。最後は殆ど追えていない。スムーズなら2着は有った筈。惜しい。

リザーブカード

下見だけパシュファイヤー。悪くないが、良くも無い。歩様にも伸びが無くて。出脚鈍かったが、内枠の馬が皆先行して中段のイン。ただこれもタケミカヅチのところを狙って前が壁。脚を余してしまった。中山、特にマイル戦はコース形態で仕方が無い面は有るのだが、もう少し馬場状態工夫してバラける様にしないと、万が一事故が起った時には大惨事になる危険が。ちょっと極端過ぎる。

第53回産経大阪杯(GⅡ)

ドリームジャーニー

2人曳き。チャカついていたが、兎に角馬体の張りが抜群。今日は最初からディープスカイをマーク。坂下でディープスカイに並び掛けて、回転数ではこちらが遥かに優っていて、アッサリかと思われたが、相手の飛距離も現役屈指。流石に楽には勝たせてくれない。敢えて触れる迄も無い事だが、今日は斤量,デキ等、飛車角抜き位のハンデを貰っての競馬。金星配給した粗相が有ってもディープスカイを誉めるべきだろう。従ってこの馬の「そこらのGⅢ級レベルよりは強い」という能力面の評価は変わらず。

ディープスカイ

2人曳き。-8kg。マツリダゴッホのデキが悪いのも有るが、ここへ入ると馬が違う。叩き良化型だが、前回休養明けの阪神戦を思えばかなり良い方。少し出して中段から。その分、序盤は掛かり気味。当然勝負どころも早目の競馬になるのだが、そこをピッタリマークしていたドリームジャーニーにやられてしまった。ただ、最後迄踏ん張りは利いている。そこがマツリダゴッホとは違う点。斤量分も大きく、及第点は充分やれる内容。

カワカミプリンセス

2人曳き。-8kg。毛ヅヤが良化し、馬体に張り。ただ、もう少し歩様に力強さが欲しい。ゲートは出ているが、イチかバチかの待機策。勝負どころでもディープスカイやドリームジャーニーに付いて行かず完全な直線勝負。最後の脚は有ったが、如何せん競馬が終わった後。これだけで能力云々は評価し辛いのだが、折り合いが問題無かったのは大収穫。これが次走に繋がって来そう。

アドマイヤフジ

近走、そこ迄デキが良い訳ではない。悪くないが、まあまあレベル。ヴィクトリーが大逃げの格好になったが、出脚速く離れた2番手から。適距離で折り合って自分の競馬は出来たが、直線は決め手の差。0.3秒がそのまま能力差だろう。まあ、この馬なりには走っている。

ダイシングロウ

2人曳き。毛ヅヤや張りが良く、デキは間違い無く良さそう。これもドリームジャーニー同様にディープスカイをマーク。道中行きたがる場面も有ったが、それ以前に4角の脚がドリームジャーニーやディープスカイと違っていた。現状ではオープン特別級。

マツリダゴッホ

シープスキンノーズバンド。馬体の張りが無く、トモが付いて来ない。出脚使わず好位から。1角手前でガツンと行きたがったのは想定の範囲内。道中も結構力んでいたが、それを差し引いても直線の伸びが無さ過ぎる。最低4着は確保すべき展開だっただろう。見た目通りデキが無い。

第16回マーチステークス(GⅢ)

エスポワールシチー

少しコズミ気味。決して良い様には見えなかったが。出脚では勝っていたが、ダイナミックグロウが何が何でもの構えで行って3番手から。道中何とか宥めて、直線も一枚違う印象だった。力は断然で、要は折り合いとデキが問題だったが、少々デキが怪しくとも、一応折り合ったのと、何より馬が強かった。ただこの後、休養無しでかしわ記念との事。ここが絶好の飛ばし時。

ダイショウジェット

淡々と歩いているが、馬体悪くなく、何時も通り。ゲート五分。出脚も有りそうだったが、1400mの後で折り合いに専念して中段の外。ただ、外といっても4〜5頭分の外で、馬が我慢出来ずにこの位置に居た格好。現代競馬では最悪の位置取りだろう。4角もかなり早目の進出で道中のロスは相当だった筈だが、ここからが渋太い。一旦はサトノコクオーに出られたかに見えたのを差し返している。乗り役に言わせると瞬発力が無いとの事だが、この粘りは特筆出来る。出脚も悪くなさそうなので、今ならこの位の距離を前で流れに乗った方が良さそう。

サトノコクオー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。もう少し馬を大きく見せて欲しい気もするが、それだけ幅が有るのだろう。ダートは出脚鈍く、一回下げてから中段やや後方の外へ付ける形。丁度、ダイショウジェットを見ながらの競馬。4角、前述ダイショウジェットの外へ行った分は有るのだが、道中はダイショウジェットより外を回って居らず、単純に追い負け。馬装通り、道中頭の高い走法。この厩舎独特の追っての甘さが有る。

トーセンアーチャー

遮眼革。-14kg。テンション高いのは元々。数字も絞れたと見て良い。行く気無く後方に近い位置。4角外へ持ち出そうとしていたが、ダイショウジェットとサトノコクオーで出来たポケットにハマり、立て直せたのが坂下。手前も替える余裕が無かった位だが、それでも僅差迄詰めて来た。力は見せたといって良い。惜しい内容。

ボランタス

バネが利いて伸びる歩様。馬体もスカッと見せて好感が持てる。スタート直後に躓く不利が有った上に、エスポワールシチーに叩かれながらも上手く中段のインへ潜り込んでの競馬。ずっとインを回ってジワジワ伸びてここ迄。2〜4着馬は外を回っている事を思えば物足りなさが有るのだが、少しズブい様にも見えた。東京で変わり身無いか。

アロンダイト

2人曳き。遮眼革。-8kg。まだ太い筈。出遅れ1馬身不利。これで後方からの競馬となったが、コーナーの脚が無いだけで終いは前と同じ脚は使っている。今日は斤量も有るだろう。最悪は脱した感。

マコトスパルビエロ

-8kg。ガレた印象。歩様は悪くないが。痛恨の出遅れ。全く競馬にならず。

第39回高松宮記念(GⅠ)

ローレルゲレイロ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。気配上々。馬体の張りが上向いて、毛ヅヤの良さも目立った。好発。ジョイフルハートに叩かれるとヤバいと思っていたが、この馬の出脚でもゲートの利が有った分、スムーズにハナへ。そのジョイフルハートは3角過ぎに早々と失速、前半3F33.1秒はスローに近い流れで、4角脚を矯める余裕が有った。追って一瞬の決め手でスリープレスナイトに出られたのだが、差し返して半馬身差。元々は1200mの馬ではないのだが、スプリントを使い続けて馬が慣れた分と、前半楽に行けた分が大きい。意外に適条件少なく、今後も狙いどころが難しい。

スリープレスナイト

思ったよりは出来ていたが、歩様が案外。8割程度のデキ。ゲート速く好位のイン。左回りで少し外へ逃げ気味だったが、道中の手応えは良く、追って一瞬ローレルゲレイロを交わす場面も。まあ、流石に今日のデキではそこからが保たなかったが、あの一瞬の脚は地力上位を示すモノ。戦前は能力面でも疑問と述べたが、今日の内容なら格上の競馬。

ソルジャーズソング

+4kg。前走中山戦かこれ位の数字がベスト。歩様にバネが利いていた。例に依ってゲートが少し悪かったが、出脚でカバーし、必死で押して何とか中段。直線も、外へ持ち出す際に少し待たされた感が有ったのだが、鋭く伸びてここ迄。前述した様にゲートがアテに出来ない馬だが、脚は持っている。

トウショウカレッジ

ピカピカの毛ヅヤだが、少し太い。これも出負け気味で後方から。4角少し待たされたのは良い脚が長く続かないこの馬には却って好都合に思えたが、それでも最後は失速気味。もう少し粘って貰わないと。

コスモベル

+8kg。数字は回復分。馬体に張りが有り、何より毛ヅヤが良化。少しゲート悪かった様に見えたが、出脚利かせてスッと中段。スリープレスナイトの後を追う様にして一旦は3着の場面だったが、そこ迄。家賃が高い様なやられ方。

ファリダット

-6kg。今日は少し細く映った。ゲートも有るが、その後の出脚がサッパリで後方から。4角内目が密集し、仕方無しに外へ。伸びてはいるが、今日の展開では如何にも厳しかった。ただ、今後もこれ位のハンデは織り込んで行かねばならぬ馬。今日でも上がりは34.4秒では甘い。常に33秒台、デュランダルという前例が有っただけに...。

ビービーガルダン

遮眼革。今季は元々デキが良かった。ジョイフルハートに叩かれる格好にはなったが、立て直して好位から。ただ、戦前に述べた様にコーナリングが下手。左回りで余計に悪かった。参考外。次走阪神のマイル戦だそうだが、案外狙い目。

第57回日経賞(GⅡ)

アルナスライン

今回からオーストラリアンブリンカー。一息入ったが、然程変わらず。前走時より少し張りが出た程度。微妙に出負けしていたが、出脚で好位。インで脚を矯めた分は有るが、直線抜け出す脚は他馬とは違っていた。ネヴァブションとホクトスルタンが凡走し、それ以外とは流石に手合違いだったのだろう。馬場状態勘案すると時計が妙に速いのだが、前述した様にデキが上向いた訳ではない。評価が難しい。

マイネルキッツ

2人曳き。もう少し歩様に伸びが欲しい。馬も細く映る。半馬身程後手を踏み、後方から。器用さが無く、コーナーで動けない馬なので、4角も無理に外を回さず、半ば着狙いの競馬に徹してここ迄。中山よりは東京向きの馬だが、中山2500mは意外に前が止まる傾向。距離延長で誤魔化した格好。

モンテクリスエス

見た目は変わらず。良い意味で平行線。枠も遠いが、出脚も無くて後方から。勝負どころから大外回された不利は相当有るのだが、マイネルキッツは交わさないと全国区とは言えない。関西馬だが、低レベルの関東で漸く通用程度の馬。前走東京戦で述べた様に、次走も連下程度が一杯。

アーネストリー

デキだけならコレ。皮膚の薄さとバネを利かせた歩様。ハナ切れる出脚も有った位だが、無理せず2番手から。直線向いてホクトスルタンが一杯になり、坂下で先頭。流石にそこからは無かったが、関東とはいえ、いきなり別定戦のGⅡでこれだけやれれば上等。東京戦辺りで狙い目に。

ダイワワイルドボア

2人曳き。気配は上々。馬体も間隔開いていた事を思えば出来ていた方。出脚甘いが、少し出して中段やや後方。ネヴァブションをマークしつつ、道中は我慢が利いていた。3〜4角中間から外へ持ち出して、直線モンテクリスエスとの併せ馬で見劣った。距離も微妙だが、休み明けという言い訳も。

ホクトスルタン

2人曳き。-8kg。細くはないが、張りが一息。テンション高いのもマイナス。出脚が鈍く、押して漸くハナ。こうなるとどうしても前半がオーバーペースに。直線向いて抵抗する場面無くズルズル行ったが、休み明けでも有り仕方が無いところ。叩いて変わってくれれば。

第56回毎日杯(GⅢ)

アイアンルック

2人曳き。集中力散漫。馬は間違い無く良いが、歩様の微妙な甘さ等、完成度の低さが目に付く。今日はゲート五分。後方でかなり行きたがっていたが、その割に直線向いて一瞬モタつく場面。この段階で終わったと思ったが、坂を上がって再加速。次走東京戦は無条件で中心になるが、ディープスカイやキングカメハメハは完成度が高い上での東京マイル。単純な適性の問題だけではないから圧勝出来る。残り1ヶ月半、厩舎の仕事はまだ多い。

ゴールデンチケット

+6kg。もっと増えても良い位。毛ヅヤも悪くない。好発。出脚も一番速い位で、一回ハナを叩いてから控える形。追ってスパッと伸びた訳ではないのだが、ジリジリ伸びて坂を上がって一瞬だけ先頭の場面。このスローでもしっかり折り合って、道中完璧に運んだ分は有るが、アーリントンカップ上位組よりは余程強いのは間違い無いところ。中山戦は賞金的に厳しく、次走東京か京都になるだろうが、距離が延びてこの器用さが更に活きる。

アプレザンレーヴ

チャカつく。骨格が大きく、その分数字が有るのだが、馬自体はまだ華奢。ゲートでの落ち着きが無く、躓いて2馬身半の不利。後方から4角外へ回し、アイアンルックを追う様にしてここ迄。まあ、中々そう簡単には行かないのが競馬だが、ゲート五分なら数字上はアイアンルックも逆転出来る計算。次走東京でダービートライアルだそうだが、差せる馬場なら楽勝の場面も。

ミッキーパンプキン

使って気配が出て来たのは良い傾向。抜けた出脚の馬ではないが、この距離でこのスロー。この馬自身が少し行きたがっていた上に、一番速いゴールデンチケットが控えた事も有って2F程してハナへ。ただ、折り合い云々が有るにしても、毎度の様に追ってからが甘い。まあ、コンスタントに走ってくれるので、他馬との能力比較がし易いという意味では有り難い馬なのだが。

オオトリオウジャ

+8kg。2人曳き。今日に限れば馬体の張りが無く調整途上だが、馬振りは世代上位。出遅れ1馬身不利。後方でかなり行きたがっていた。これも外へ持ち出し、アイアンルックと併せ馬の格好になったが、坂を上がって失速。この辺りは休み明けの影響だろう。性能は上位馬とも互角。賞金積んで東京戦に出たいところだが。

ワイドサファイヤ

落ち着いていたのが何より。馬体も、以前はギスギスしていたのだが、それが無くなって来た。道中は中段やや後方。引っかかる馬が多い中、この馬も例に漏れず。直線も3着争いの一角には食い込めている。見た目通り完全復調。