Sakura Archives

競馬回顧 2008年2回京都・1回東京

フェブラリーステークス(GⅠ)

ヴァーミリアン

+7kg。勿論、悪い訳では無いが、一枚重く見せるのも確か。今日はゲート五分。戦前述べた様に先行馬不在メンバー構成で、今日はペースが余り速くなかった分も有るが、引っ張り切りの手応え。直線は早目先頭から迫るワイルドワンダーを一旦引き付けてから突き放す心憎い迄の競馬。一枚重い状態でこれなら文句無し。ただ、疫病の問題で、出来る事が限られる中での調整。これで勝てる程ドバイは甘くないだろう。この問題が解決しない事には日本調教馬が頂点に立てるシーンは想像し辛い。

ブルーコンコルド

多少重たさ感じるが、スナップ利かせながら実に力強い歩様。掛かる位の行き振りを内目で誤魔化しながらの追走。ただ、直線の手応えがそこ迄良かった訳では無いのだが、年取って渋太くなった分、最後の一押しが有った。昨年は下手に捌いてサンライズバッカスに押し切られたが、今年は幸騎手、実に上手く乗った。

ワイルドワンダー

+4kg。今日は重い。前走の方がもっと研ぎ澄まされた感じが有った。この距離なら中段から。ただ、今日はペースが遅く、向正面で前が壁に出来る迄引っ掛かった。坂下でヴァーミリアンに並び掛けた時には勝ったかと思われたが、そこからの脚が無かった。今日はヴァーミリアンにストレート投げてホームラン打たれた様な競馬。デキに関しては相手も大した事は無く、今日は性能の差が有った以外に無い。

ロングプライド

-6kg。テンション高いが、攻め強化していただけに止むを得ぬところ。毛ヅヤも良くて、一応は目論見通りの仕上げ。出遅れ2馬身。道中結構押していたが、4角回った段階で好位には取り付けていた。最後は前半のロスの分だが、もっと力量差有ると思っていただけに意外な印象も。回り脚が速いのも目に付いた。今なら小回りでも。

リミットレスビッド

毛ヅヤは元々悪くなかったが、増減無しも馬体が締まって来た、出負け気味だったが、出脚で中段。前走と違って道中の手応えから良かった。最後は現状の能力差だが、ブルーコンコルドとは0.3秒差。交流戦ならまだまだ通用。

メイショウトウコン

良かった前走京都戦のまま。今季は歩様がスムーズ。出遅れて後方。これ自体は何時もの事だが、直線向いて手前が替わらず内にモタれていた。昨秋に札幌で見せた行き振りを見ているだけに案外。左回りが駄目?

農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

アドマイヤオーラ

前走余り良く見えなかったが、今日はほぼ完調。歩様も悪くなかった。出脚が速く、外から来た馬に連られそうになっていたが、控えて中段。1角からはスムーズに折り合い付いていた。今日のところは他馬が走っていない気もしないでもないが、一応は完勝。将来的にどうかは別にしても、差し当たってはマイラーが目下の充実度で距離をこなしたという見方をしたい。次走も有力。

アドマイヤフジ

+20kg。張りが有るので走れたのだろうが、多少重い。ただ今季は歩様がしっかり。出して行こうとしていたが、スタート揃って枠の分行き切れず中段から。ただ、道中スムーズでも、この馬坂の下りに課題が有って、どうしてもここでモタついてしまう。その分、アドマイヤオーラとは直線の勢いが違った。ただ、今日は+20kg。一応は上等の内容。及第点はやれる。

シルクフェイマス

下見と結果が一致するタイプ。気配を表に出し、毛ヅヤピカピカ。トモの造りの良さも目立っていた。出脚が速い馬では無いが、誰も行かなかった事も有り単騎の逃げ。ペースはかなりゆっくりだったが、ラチ沿い走れない馬場状態を思えば中々渋太く粘っている。このデキなら次走も圏内だが、出脚が無いので、注文も多い。

ドリームパスポート

-4kg。少しでも減ったのは良い傾向。厚ぼったさが無くなって来たが、完歩の小さい歩様が如何にもマイラー。出脚速い筈だが、スタート直後に下げて中段やや後方。ただ、道中の行き振りが良過ぎて、ずっとブレーキ掛けっ放しだった。まあ、逆に言えばそれで居てこの差だから相当強い内容。今春の目標が京都戦なのがこの馬の辛いところだが、東京へ出て来た時が狙い目。

トウショウナイト

-6kg。減ったのは輸送分だろう。トモに丸みが有り、この時期にしては毛ヅヤも上々。歩様にも柔らか味が有る。出脚無い馬だが、枠の利で中段。ペース自体がそれ程速くないのも有るが、デキが有るのでこの距離でも乗り役の指示通りに乗れる。内を突いて最後は切れ負けだが、差は僅か。悪くない内容。

ウオッカ

落ち着いていたのは良い傾向。ただ3歳時に圧倒的だった馬体の迫力が落ちている。出脚良い馬だが、折り合いに専念して後方。スタート直後に馬群と離したのも折り合い付ける為だっただろうが、それでも引っ掛かった。終いは前に居た馬と同じ脚を使っていて、能力的な問題が有る訳では無いのだが、折り合い面が悪過ぎて折角の出脚を殺しているのが痛い。昨春の東京での成功体験は確かに強烈だったが、マイラーと考えておいた方が良さそう。

トウカイトリック

馬体の造りは悪くないが、歩様が硬い。出脚無い割に、積極的に出して行ったが、行き切れず1角へ5頭雁行の一番外で突っ込んでしまい、結局中段へ引く形。直線伸びあぐねたのはスロー過ぎて、速い脚が使えない部分も大きいのだが、序盤のロスが無ければ掲示板圏内は有っただろう。戦前述べた様に、コーナーで脚を使えない馬で、この辺りの距離なら展開一つ。

デイリー杯クイーンカップ(JpnⅢ)

リトルアマポーラ

-12kg。馬に落ち着きが有り、一応走れる状態だとは思うが、減るのは良くない傾向。本気になればハナ切る位の出脚も有りそうだったが、中段やや後方。外に馬が居ない位置迄下げた形。直線だけ外へ持ち出し、手前も替えず一頭違う次元の脚で差し切った。牡馬相手で好走の馬がこの相手なら勝って当然なのだが、問題はやはり馬体減。関東馬は阪神への遠征も悪い方に出る事が多く...。

ライムキャンディ

2人曳き。しっかり造って有りながら重量感が有る。馬だけならコレ。出負け気味も、出脚で中段。枠なりに外を回り、坂下ではやったかのシーンも有ったのだが、坂を上がる際に手前が替わって内にモタれた。見栄えするのは血統背景も有り、まだ完成途上という事なのだろう。次走中山で権利取り目指すとの事だが、単純な血統よりも坂適性で疑問。

ラルケット

毛ヅヤ上々。大物感は無いが、均整の取れた造り。出脚はそこ迄では無いが、積極的に乗られて2番手。出して行った割には折り合いはスムーズで、この点は評価出来るのだが、道中頭が高くその分で追っての味が無かった印象。現状は中山向き。

デヴェロッペ

-4kg。この時期の牝馬にしてはしっかり造って有る方。歩様も悪くない。出脚でハナ。ただ、今開催そこ迄インが利く馬場では無いにせよ、マイル戦で1000m通過60.2秒で行って、これでは寒い。今後転厩でどうなるかが未知数だが、現状ではオープンの馬では無い。

マイネウインク

目立つ程では無いが、この数字にしてはしっかりした造り。出負けして後方から。直線外へ持ち出すのかと思われたが、内へ切り替えて悪くない伸び。今日は出遅れた分が大きく、ゲート五分ならもう少し際どい競馬になっていただろう。自己条件なら確勝級。

スワンキーポーチ

-12kg。落ち着いているのがせめてもの救いだが、数字通り細い。これも出遅れ。道中かなり行きたがっていて、直線も伸びを欠いた。馬体減の影響も有るだろうが、距離も長い。

きさらぎ賞(JpnⅢ)

レインボーペガサス

2人曳き。馬体の充実振りは目立つが、歩様がダート馬。好発も控えて中段。道中は結構喧嘩していた様に見えたが、追ってからが意外に渋太い。内が利かない馬場で、外をスムーズに回って来れた分は有るが、馬力は確実。ダイワメジャー級...かどうかは微妙だが、似た様なタイプと見て良いだろう。ただ、戦前述べた様に、今のところこのレースがこの路線で一番メンバーの揃った一戦、一応圏内に。

スマイルジャック

2人曳き。テンション高いのは何時もの事だが、ここでも馬振りは最上位。ジワッと好位。折り合い課題の馬だが、意外にスムーズ。レインボーペガサスがベストコースを走っていたのは間違い無いだろうが、この馬も馬場の良い外目へ持ち出せていて、最後掴まったのは距離的な天井も。ただ、以前述べた通り、マイラーとしては本物。落ち着いてくればJpnⅠでも足りる。

ヤマニンキングリー

+16kg。増えて出て来たのは良い傾向。歩様もしっかり。出遅れて後方。狭いところに突っ込んで道中は引っ張るシーンも有ったが、直線外へ立て直してここ迄詰めて来た。ここに来て馬も良くなってきた印象で、少なくとも前走中山戦よりは評価出来る内容。距離延長も歓迎のクチ。

レッツゴーキリシマ

+8kg。トモの張りの良さは流石。毛ヅヤの良さも変わらず。道中は好位から。持って行かれそうになるのを必死で御しながらの追走。直線はスマイルジャックとの併せ馬で見劣ったが、道中のロスを思えば底力は示した。距離には限界が有るにせよ、前走中山戦が恵まれに恵まれた内容で、能力的に半信半疑の部分も有ったのだが、通用する事が判っただけでも。

ダイシンプラン

2人曳き。-6kg。毛ヅヤも一息。まだ緩い。気配が出て来たのは良いが。皆が内ラチ沿いを空けて走る中、更に馬群と離して後方。ただ、先行馬があれだけ外へ持ち出して来ると追い込み馬は辛い。無論、この馬自身がまだ万全では無い嫌いは有るのだが、今日は展開が言い訳に出来る。マトモなら上位馬と五分の能力は有る。

ブラックシェル

2人曳き。+10kg。皮一枚厚いが、毛ヅヤ良く走れる状態。馬振りも目立つ。出遅れ。最後方から大外。最近の競馬にしては珍しく、内枠全滅の展開になっていて、今日は競馬になっていない。参考外。

ダイヤモンドステークス(JpnⅢ)

アドマイヤモナーク

硬いといえばそうだが、力強さも感じさせる歩様。馬体の充実振りも光る。出脚の速いタイプでは無く、中段から。道中は結構引っ張っていたが、ラスト400mで外へ持ち出して追撃態勢を造ると、一瞬追っただけで、評判馬が出て来た新馬戦の様な楽勝振り。今日はメンバー低調だったが、ディスタンスに適性が有る事が判っただけでも収穫は大きい。ドバイを意識して、天皇賞が最大目標にならない近年の選手権距離路線、この点でもアドバンテージ。

コンラッド

今季はデキ抜群。馬を大きく見せる様になった。手先も軽い。例に依って後方から。枠なりにインを回り、直線も最内から。2.5kg差有ったアドマイヤモナークが突き抜けて、不満は有るが、ノド鳴りが完全に直って思い通りの調整が出来る様になって本格化。失われた2年は大きいが、クラシックディスタンスでこの辺りの相手なら展開一つ。

レーザーズエッジ

小走り。この距離を思うともう少し落ち着いて欲しい。無論、馬自体に差は有るが、デキ自体は文句無し。例に依って後方から。道中は長手綱でブラブラ。直線向いてアドマイヤモナークを追い掛ける格好が造れたのも良かった。この距離でハンデが余計に利いている面も有るが、今日は乗り役が上手く乗ったという見方をしたい。

エーシンダードマン

-16kg。数字通り絞れて来た。馬体の張りも大分戻って来た。出脚無く後方も、1〜2角で少し動いて中段。誰も動かない中で動いていて、スローでこれが余計だったのか、直線追って内にモタれた。ただ、今日の相手でこの程度ではまだ万全では無い印象。一時の最悪時は脱しているのは確かだが。

マンハッタンスカイ

+8kg。その割にギスギス感が有る。気配自体は良いが。出脚でハナ。道中の速い遅いは当然有るが、直線向く迄ずっと単騎。坂下でもまだ先頭だったが、最後は決め手の差。今日の展開で勝てない様では駄目。準オープンでも苦しい。

共同通信杯(JpnⅢ)

ショウナンアルバ

シープスキンノーズバンド。もう少しトモに力が付いた方がベストだが、バランスの取れた馬体。好発。出脚も速いが、ショウナンアクロスとの兼ね合いを避け、無理矢理押さえて好位。ただそれでも、向正面半ばでは既に折り合いが付いた上、坂下迄追い出しを我慢する余裕。トビが大きい割に、出脚が速いのは性能の高さ故だろう。最後詰められた様に、まだ甘さは残るが、馬体の成長が来ればJpnⅠにも手が届く筈。

タケミカヅチ

シープスキンノーズバンド。少しでも絞れたのは良い傾向。張りも戻って来た。気配も目立つ。ゲート少し悪かったが、出脚と枠の利で中段やや後方。枠なりにインを回り、一旦は抜けるシーンも有った。左回りは外にモタれる癖が有るそうで、抜け出してからがそうだったが、外に馬が居れば問題無い範囲。ゲートが悪いのと、一つ間違うと引っ掛かるので使えない出脚に勿体無さはあるが、性能そのものは高い。

マイネルスターリー

トモの張り目立ち、馬体は良い。ただ、集中力に欠く。出脚が甘く、後方から。これもインを回り、直線伸びてここ迄。脚は持っているが、前に行く出脚が無いのは課題。自己条件でも危険。

シングンリターンズ

-4kg。また馬体減。ただ、見た目はそこ迄では無く、集中力も有る。好発も、押しても進んで行かず、下げ止まったのが中段やや後方。ただその割に、直線ジワジワ伸びて一旦は前に出たサダムイダテンを差し返した。前半のモタつきは距離が延びれば解消すると思われ、一応は悪くない内容。

サダムイダテン

-8kg。寸の詰まった馬体。ただ、前走阪神戦の方が中身が有った気も。今日はゲート五分。それでも安藤勝己騎手、相当自信持っていた様で、後方でジックリ乗られて外へ持ち出す形も、良い脚が坂上で止まってしまった。前走でもそんな素振り有ったが、良い脚が長く続かない印象。

ホッカイカンティ

もう少し歩様に力強さが欲しいが、変わらず見栄えする馬体。道中はサダムイダテンと前後する位置。直線サブジェクトを閉じ込めて態勢は造ったが、そこからが案外。ただ、前走中京戦を思うと今日は全く走っていない。敗因不明。

サブジェクト

-6kg。物見しているのは仕方無いが、多少細い。オープンの出脚では無く、中段の外。直線外に居たホッカイカンティを行かせてから外へ持ち出したが、一瞬脚を使っただけで止まってしまった。現状は良い脚が一瞬。

シルクロードステークス(GⅢ)

ファイングレイン

+6kg。毛ヅヤは良いが、姿勢が高くトモに力が無い。出負け。最後方。3角迄は追走にも汲々だったが、行き脚付いた3角から徐々に番手を上げ、4角大外から差し切った。前走も前半のペースが遅かっただけで、脚を持っているのは確かだが、序盤がこれでは心許無い。馬場も味方した嫌いが有って。

コパノフウジン

普段なら目立たぬ馬だが、このレースは良く見せる馬が少なく比較上マシに見える。ただ、毛ヅヤ歩様に問題は無く、この馬自身としては悪くない状態。出脚は良かったが、内から行った馬が多く、結局は中段。ただ、道中全く揉まれずに競馬が出来た。手前が中々替わらず、この点でも課題は有るが、一応は復調ムード。

ステキシンスケクン

テンション高いのは何時もの事。ただ馬体には張りが有る。今日は無理矢理にでも押さえて後方。向正面ではかなり喧嘩していたが、3角過ぎからはスムーズに。伸びそうで伸びなかったのは馬場の悪い内へ突っ込んだ分も有ろう。大分差す競馬が板に付いて来た。

リキアイタイカン

+8kg。この馬にしては歩様悪くないが、往時の張りは無い。出脚も、全盛期のそれでは無く後方から。直線外へ出したのは半ばギャンブルだっただろうが、結果的にコレが正解だった。今日のところはこの馬が来れる位、外有利の馬場だったという見方をしたい。

サイキョウワールド

馬体は悪くないが、気配が地味。ゲート五分も、付いて行けず最後方から。4角外へ回して、リキアイタイカンと併せ馬。これもこの馬が来る位外有利の馬場だったという事。

ペールギュント

少し硬い歩様は何時もの事。多少造りにメリハリが無いが、毛ヅヤも良く一応は及第点。今日は積極的に乗られて中段。4角で馬場の悪いインへ押し込められた影響も有って、追ってサッパリ。積極策が裏目に出た面も有り、今日は度外視出来る。

アストンマーチャン

2人曳き。変わらず充実した馬体。この馬にしては落ち着いている。出脚で抜けてハナ。ただ、一気に突っ走って直線半ばで馬群に飲まれた。とはいえ、休み明けで内目の悪い馬場状態を思えば止むを得ぬ部分は有ろう。戦前述べた様に、出脚の速さは相変わらず天才的で、これが有る間は競馬になる筈。次走改めて。

アイルラヴァゲイン

テンション高いのは何時もの事。良く見せるのも何時も通りだが。アストンマーチャンに叩かれる展開も有り、中段から。ただ、道中は過不足無く追走出来た筈なのに、追ってサッパリ。輸送に弱い等、何か原因が有る筈だが、現状は実績通り中山限定。

小倉大賞典(JpnⅢ)

アサカディフィート

この馬にしては歩様がスムーズ。馬体に張りが有る点も強調出来る。ゲート五分も、出脚サッパリで後方から。内目が荒れた馬場で人気馬が早仕掛けしてくれる展開も有ったが、今日は4角進出の脚が矢鱈に良かった。勝って当然の馬だが、出脚が無い割にコーナーでの脚が速い。近年の競馬では常にダークホース扱いだが、追い込み利いていた時代ならもう少し稼げただろう。

マルカシェンク

3歳時秋から使い方を間違えて苦しい部分も有ったが、骨折の産物でも一息入れた効果は有る。出脚有る馬だが、無理せず好位直後。気持ちにもまだ余裕が有る様で、折り合いは付いていた。ワンダースティーヴを目標に早目動いたが、最後に外からアサカディフィート。勝負に勝って競馬に負けた面は有り、止むを得ぬ部分は有ろうが、骨折云々で能力そのものが減退しているのも確か。乗り役は距離を言い訳にしていたが、現状はこの程度と考えておいた方が。

シルクネクサス

攻め馬バタバタになっていたが、大分馬体に張りが戻って来た。ゲートも少し悪かったが、ヒシカツリーダーに叩かれた事も有って中段やや後方。馬場の良い外目を通って、4角からアサカディフィートと併せ馬。ただ、回り脚で既に差が有った。大分デキが戻って来ているのは確かだが、決め手で差が有るので器用さ活かす競馬が理想。

ワンダースティーヴ

オーストラリアンブリンカー。変わらず充実した馬体。好調持続。デンシャミチに出脚で叩かれて2番手。流石に前を追い掛けそうになっていたが、4角先頭では回って来れた。直線も決め手が無いだけで最後迄止まっていない。マルカシェンクの目標にされた上に、距離不適な中で2番手からの競馬を余儀無くされた事を思えば上々の内容。出脚の無さから距離が延びた方が良いのは間違い無く、ディスタンスならイングランディーレ級は見込める。

ニルヴァーナ

戦前、陣営が相当に自信持っていたらしいが、確かに絶好調。スナップの利いた歩様にも好感。ただ、コンパクトに纏まり過ぎていて、オープンでは迫力不足。好発。出脚が甘く、好位のイン。早目に動いたマルカシェンクとワンダースティーヴとの間に居たが、伸びそうで伸びず。外差しの競馬になった嫌いは有るが、この馬の力がこんなモノという気も。

ディアデラノビア

+10kg。数字分ゆとりが有るのは確かだが、変わらず悪くない状態。例に依って後方から。近走デキが有る分で折り合いはスムーズ。4角外へ回したアサカディフィートとは対照的にイチかバチかで内を突いたが前が開かずに終わってしまった。ただ、次走中山戦で引退との事。

オースミダイドウ

2人曳き。-8kg。パシュファイヤー。この馬にしては堪えていた方だが、馬体に中身が無くなった気も。ゲート少し悪かったが、出脚で好位。ただ、4角既に手応えが無かった。ハナへ行けなかった分が有るにしても、ちょっと意外な負け方。2走目の反動?

根岸ステークス(GⅢ)

ワイルドワンダー

-8kg。昨春から絶好調続く。気配抜群。歩様もしっかり。出負け気味。後方のイン。前走は行きたがってしまったが、この距離なら折り合い問題無し。ずっと手応えタップリ。坂下で外へ持ち出す時に手前が替わってしまったが、再び戻して力強い伸びを披露。最後は余裕が有った。次走、ヴァーミリアンもマイルとなると出脚で疑問符が付き、単互角程度の評価は出来る。今日はそれ位完璧な内容。

タイセイアトム

前走中山戦とほぼ変わらず。毛ヅヤが相変わらず良い。ゲートだけならトウショウギアだったが、出脚で抜けてハナへ。この馬場状態の中で、前半600mが前走と比較して1秒遅いラップ。かなり楽に行けたのは間違い無い。最後止まったのはそれでも1400mがギリギリという事になるのだろうが、出脚が抜群に速いので自分の競馬が確実に出来る点がセールスポイント。秋の交流JpnⅠで逃げ切るシーンも。

アドマイヤスバル

+12kg。集中力抜群。ハチ切れんばかりの馬体で、状態面は本物だが、流石に太い。向正面では中段。ただ、メイショウバトラーが寄せて来た際にリズム崩したのと、トウショウギアの故障で、最後方迄置かれてしまった。直線だけで3着迄押し上げて来たが、不利が無ければ2着は有っただろう。賞金面でほぼ不可能になったが、出られればGⅠでも圏内。

トーセンブライト

腹回りは体型。緩んだところが一切無く、これも間違い無く良いデキ。出脚そこ迄では無く、道中は中段。枠なりにインを回ったが、タイセイアトムに並ぶどころかワイルドワンダーには一瞬にして交わされ、最後はアドマイヤスバルにも捕まった。前走京都戦は外枠が言い訳になったが、今日はこの馬にとって最高の競馬。堅実なので重賞でも穴人気になる馬だが、良くて3着の馬。

カフェオリンポス

数字上は出来ているが、全体に緩い。ゲート出たが、控えて中段やや後方。直線外へ持ち出しジワジワ伸びてはいるが、不利の有ったアドマイヤスバルに更に外から交わされ、ここ迄。58kg背負ってこの馬場という面は有るが、まだ本当では無い。

メイショウバトラー

馬体の張り目立つ。歩様もキビキビ。一時期、デキ落ち気配有ったが、大分戻して来た。出脚でタイセイアトムに叩かれて好位から。道中行きたがっていたのと、トウショウギアが故障して接触するアクシデント。ただ、この馬自身も近走決め手に欠く嫌い。交流戦の方がこの点で誤魔化しが利くので、その方が良さそう。

マイネルスケルツィ

+16kg。この馬にしては歩様スムーズだが、数字通り余裕残し。少し出負け気味だったが、出脚で挽回して好位。不利も食らわず、4角持ったままだったが、追って案外。戦前述べた様に、前走阪神戦の相手が大概で、重賞だとこの程度という気もするのだが、良い脚が長く続かない面も。

リミットレスビッド

毛ヅヤ良く、デキ自体は良いが、まだ少し太い。出遅れも、インを徐々に進出して4角で中段。直線外へ持ち出したが、追ってサッパリ。これも58kgとこの馬場が響いた影響は有っただろうが、それにしてもといった印象。乗り役の言う通り、順延が応えたかも。

ビッググラス

オーストラリアンブリンカー。極端に太いという訳では無いが、全体にメリハリが欲しい。出脚速かったが、無理せず好位直後。ただ、3角で例のアクシデント。今日は競馬になっていない。参考外。

京都牝馬ステークス(GⅢ)

アドマイヤキッス

この時期にしては毛ヅヤが良い。歩様も力強い。復調ムード。出遅れも押して中段。この荒れ馬場で内が開いていて、4角では射程圏。直線馬場の真ん中へ持ち出し、一旦抜け出したザレマを競り落とした。近走は、乗り易さ,パンチ力共に落ちている様にも見えたのだが、今日は乗り易さで凌いだ勝利。下見通り復調気配。

ザレマ

+12kg。元々が骨格の良い馬で、決して太くない。トモがしっかりして来たのも良い傾向。好発。出脚は一番速かった位だが、競り合い避けて2番手。折り合って、直線入り口で先頭に立ったが、アドマイヤキッスに目標にされたのが痛かった。まあ、アドマイヤキッスは突き抜けるタイプでは無いが、それでも際迄踏ん張っていて、褒めて良い内容。出脚の良さも含めて、GⅢなら常に勝ち負け。

キストゥヘヴン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。これも毛ヅヤが良化。集中して歩けていた点も好感。出脚良さそうだったが、ほぼ持ったままで中段。4角矯めた分、ブルーメンブラットに出られたが、直線伸び返して3着。一つ間違うとブッ飛んで行きそうな面は有り、使えない出脚だが、これもアドマイヤキッス同様復調ムード。

ブルーメンブラット

バランス取れた造りで、馬体見栄えする。気配も上々。好発も引っ掛かりそうになっているのを宥めている間に後方。ただ今日の流れでは流石に後ろ過ぎた。最後伸びてはいるが、折り合いは相変わらず課題。距離自体はこなせるが、折り合い面で乗り役が気を遣わなくて良いという点で1400mの方がベスト。

ローブデコルテ

馬に集中力。芦毛の割に毛ヅヤ良く見せる方だが、馬体の張り等、確実に良くなっている。出遅れて後方。昨秋は行きたがるシーンも有ったが、今日はスムーズ。直線伸び切れなかったのはこの馬場で58kgという事、立ち直ったと見て良い。

コスモマーベラス

+8kg。良く言えばフックラだが、全体に造りが緩い。出脚良く好位から。直線、馬場の良い外へ持ち出したが、全く伸びず。斤量背負っていた上、余りこういう馬場が得意では無いのだが、それにしても案外。デキが一息。

シェルズレイ

2人曳き。パシュファイヤー。馬体はこの厩舎だが、落ち着き有って好気配。出脚も無いのだが、無理に押しても暴走の危険が有り、3角で漸くハナ。これでは競馬にならない。最初から腹括って差す競馬に徹するか、暴走覚悟で行くか、何れにしてもメリハリ付けた方が良さそう。

東京新聞杯(GⅢ)

ローレルゲレイロ

2人曳き。馬に集中力。毛ヅヤ良く、中間攻め馬好走の報道通り前走阪神戦からデキが戻って来ていた。出脚が抜群に速くハナへ。気が無かったとはいえ、タニノマティーニを叩くのだからかなり速い。3角手前でアポロノサトリに来られて鬱陶しい展開になったのだが、この辺りもデキが有るから我慢が利く。後述する2着以下が競馬になっていない面は有るのだが、この相手なら力量上位だった。

リキッドノーツ

緩んだところも一切無く、この中間はローレルゲレイロ同様調教動いたそうだが、成る程と思わせる状態。出脚付かず後方から。腹括って直線だけ外へ。開幕週でここ迄追い込めれば上出来。前走京都戦は、今にして思えば外枠で徒に脚を使わされたという事になるのだろうが、エルコンドルパサー産駒独特のスムーズに競馬出来なかった時の脆さも同居している様に見える。人気でも信用し辛い。

タマモサポート

歩様にもう一伸び欲しいが、トモの張り含め馬は変わらず悪くない。出脚良く好位から。近走引っ掛かる競馬が多かったが、流石にマイルなら折り合いは付く。直線向いてもからも手応え良く、一瞬は突き抜けそうだったが、例に依って坂を上がって甘くなる。坂が上れないのは今更だが、やり様で折り合いが付く事が判っただけでも収穫は有った。3歳時に福島で重賞勝ち、力量的にもそこ迄見劣る馬では無く、この辺りの距離なら今後も展開一つ。

カンパニー

元々がこういう馬だが、良い時はもう少し歩様が伸びるのと、造りがまだ本当では無い。本来は気配ももっと表に出す馬。ピンクカメオが派手だった影響で目立たなかったが、出遅れて出脚もサッパリ。それでも流れに乗ってからは競馬になっていたが、直線向いてハイアーゲームに押し込められたのも痛かった。今日は競馬がチグハグ。余りにも出脚が無さ過ぎたのが気になるが、これを叩いてピリッとすれば。

ハイアーゲーム

+4kg。完歩の小さい歩様は何時もの事。多少太い様な気もするが、デキ自体は良い。ゲート五分。ただ、出して行ったのが今日は裏目。少し行きたがってしまった上に、4角外を回され、直線向いて後方では目も当てられない。今日はカンパニーを押し込めて、同馬主リキッドノーツのアシストをしただけの競馬だが、それでこの着差なら一応マイルにメドは立てた。

ジョリーダンス

+8kg。前走阪神戦を思うと今日は妙に大人しい。馬の造り自体は大差無いが。道中は中段のイン。その前走時に揉まれ弱い可能性が有ると述べたが、今日は前が詰まっただけ。最後バラけてからは再び伸びていて、下手したらこの馬が勝っていた可能性も有った。次走注目。

エイシンデピュティ

2人曳き。毛ヅヤ冴える。ユッタリとした造りも変わらず。出脚で差が有って好位戦。折り合いは問題ない馬で、直線迄はスムーズに運べていたが、坂下でアポロノサトリに内から寄られる不利。昨秋の東京戦で斜行した様に怖がりな面が有り、こうなると力が出せない。まあ、ここ迄上がりの速い展開で58kgでは何れにしてもキツかったのだが、今日は一応言い訳が有る。

サイレントプライド

2人曳き。シープスキンノーズバンド。テンション高いのは何時もの事。馬の造りも及第点やれる。枠の分も有るが、出脚も然程では無く、中段やや後方。例に依って早目に動き、直線向いてエイシンデピュティの直後に出て来たが、そのエイシンデピュティに不利が有り、この馬もそれを貰う形。ただ、当然不利自体はエイシンデピュティより軽微。重賞では少し差が有るのも確か。