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競馬回顧 2007年5回阪神・5回中山

有馬記念(GⅠ)

マツリダゴッホ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。今秋の中山戦でデキの良さを褒めたが、今日もそのまま。下見だけならここへ入ってもこれが最上位。何より気配が良かった。出脚で3番手。道中は1角辺り迄は少し行きたがっていた。4角手前で逃げたチョウサンを見切り、得意の回り脚で一気に先頭へ。ここで突き放せたのは大きかった。勿論、デキが良かったのも大きいが、回り脚だけで一点突破・全面崩壊の形。何時も述べているが、何かしら取り柄の有る馬は強い。「誰も行かなければ行こうと思っていたが、行く馬がいたので控える形に。ただ、そこからなだめるのにひと苦労していたね。それ以外は自分のイメージ通りの競馬ができた。インを通っても馬場を気にすることもなかったからね。手応えは十分残っていたので、いいところまで頑張ってくれそうだと思っていたが、まさか勝ってくれるとはね。ゴールを切るまで直線は本当に長かったよ。今日は人気がなくて気楽な立場だったが、天皇賞の頃よりも比べものがないくらい良くなっていたので、状態面に関しては自信を持っていた。この馬とはこれまでいろいろあったけど、いい結果を出せて嬉しい。(蛯名騎手・週刊競馬ブック)」

ダイワスカーレット

2人曳き。初めての関東遠征になるが、落ち着いていた。馬体も相変わらず迫力充分。ここなら出脚は一番。安藤騎手はハナならハナでもと思っていただろうが、外からチョウサンが主張して2番手。ただ、内から行ったならまだしも、外から来られた分、どうしても行きたがってしまう。4角我慢させようとした時に、マツリダゴッホに突かれ、一気に突き放された。ただ、距離不適は明白。自分の競馬が出来るだけでも大したモノ。

ダイワメジャー

何時も通り2人で曳いてもう1人。+10kg。今季万全では無いが、骨量豊富な馬で、そこ迄太くは無い。今季は歩様がスムーズなのが特徴。気配を表に出しているのも好感持てる。ダイワスカーレットが同馬主でも有り、先行激化を嫌って中段のイン。以前ならまだしも、最近インに入れている分には我慢が利く。今日はとにかくダイワスカーレットを邪魔しない様にといった競馬で、ダイワスカーレットの次位狙いがその通りに来た形。競馬が逆ならダイワスカーレットとの着順も逆になっていた筈。これで引退だが、ノド鳴りから立ち直った数少ない馬。関係者は学んだ事も多かっただろう。

ロックドゥカンブ

2人曳き。+8kg。馬体増は成長分が大半。もう一枚天井を破って来た。出脚が甘く、中段やや後方。スローで当然とはいえ、道中は掛かる位だったが、肝心な勝負どころの行き振りが悪く、ゴチャつく位置に押し込められてしまった。前走京都戦は進路が無かったので気付かなかったが、この馬の癖なのだろう。前走京都戦から穴人気になっていたが、こういう癖が出る馬は何かが弱い。次走人気なら過信禁物。

ポップロック

今季はずっとデキが良い。尻尾振る仕草も一緒。出脚でやられたが、何とか押して中段。この距離なら乗り易さは有る馬で、道中はスムーズだったが、今日はガツンと来るシーンが無かった。昨年のこのレースは最内枠をフルに生かした分も有ったにせよ、それにしても走っていない。下見は悪くなかったが、疲れ?

ドリームパスポート

良い時の活気が出て来た。馬体の張りもほぼ万全。出遅れて後方のイン。前走東京戦で急かさなかったのが良い方に出た様で、この距離でも折り合い付いたが、例の4角での不利が痛い。ただ、インを突いたとはいえ、それで6着なら上々。下見通り完全復調。今後へ向けてきな臭い話も有る様だが、立て直した後に転厩というのはこの馬にとってはせめてもの救いになろう。

メイショウサムソン

2人曳き。太いのは体型が有るにしても、今季は馬体に張りが無い。この馬にしてはゲートも少し悪かったが、出脚が無くて中段やや後方。それでもインへという手も有った筈だが、バラける位置迄下げて外から。ただ、ずっと外を回ってこれでは伸びる筈の馬も伸びない。出脚が無い辺りは状態面も有っただろうが、それにしても乗り方がマズい。負けるにしてもファンが納得出来ない負け方なのが...。武豊騎手がこのレースと相性が悪いのは偶然では無さそう。

ウオッカ

途中から2人曳き。悪くないが、馬体の張りが今季は完璧では無い。好発。今季は折り合いがネックの馬だが、積極的に乗って中段。勝負に出た結果で仕方が無いが、行きたがって伸びを欠いた。ただ、折り合いも多くのケースでデキが有れば我慢が利く。結果的に今夏の阪神戦が余計だったか。

ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(JpnⅢ)

サブジェクト

-6kg。造りにメリハリは有ったが、もっと馬を大きく見せて欲しい。スタートしてメイショウクオリアに1馬身出られたが、押して4番手。その分、少し行きたがったが、そこは乗り役の馬力で宥め、早目早目の立ち回り。勿論、ここでは力量上位だが、今日は乗り役の勝利という気も。もう一つ言えば出脚が無さ過ぎる。恐らく多頭数のJpnⅠでは競馬にならない。

サダムイダテン

気合は良かったが、胴の詰まった体型は血統だろう。1馬身半出遅れ。悪いところを通らない様、道中番手を稼ぐ事はせず、最後方→4角大外の競馬。その道中は少し頭が高かったが、追い出してからのフットワークが良かった。血統はともかく、体型から距離に限界は有ろうが、脚は持っている。決め脚だけなら今のところ2歳No.1。

メイショウクオリア

2人曳き。-10kg。絞れて更に良化。歩様も問題無く、下見だけならオープン級。好発。出脚は前走から良く、楽に3番手。ダート戦だったその前走より遅い位のペースだったが、インで折り合いは付いた。ただ、4角での手応えが悪く、モタついた間にサブジェクトに出られ、外へ回さざるを得なくなった。最後は惜しいが、この辺りは経験値の問題も。2戦目の馬という事を思えば良く走っている。今日は前に居た利が有り、次走人気でどうかといえば疑問だが、出脚の速さ含め、先々は明るい。

イイデシンゲン

気配は良いが、一枚重い。好発。出脚はメイショウクオリアだったが、これは行く気が無く、主張してハナ。1000m通過64.5秒。マイネルファルケが早目に来たにしても、あくまで遅過ぎるからで有って、今日のペースでは勝たないと値打ちが無い。ただ、距離はこれ位の方が良さそう。マイルでやるには先行出来る出脚が欲しい。

マイネルファルケ

-8kg。まだ力が付き切っていない印象。毛ヅヤ悪くなく、デキ自体は良いが。出脚で2番手。スローを嫌って早目にイイデシンゲンへ並び掛けて行ったが、そこからが甘い。血統から道悪向く筈でも有り、これは評価が下がる。

ダノンイサオ

2人曳き。馬の造り自体は悪くないが、歩様に力が無い。前走京都戦で後ろから差されているのを嫌って中段やや後方。1角迄はともかく、そこからは折り合っていたが、4角の手応えが悪く、全く伸びなかった。武豊騎手が絶賛して人気になった馬だが、それが信じるとするなら、歩様通り脚元が万全では無いのだろう。暫くは静観。

フローテーション

例に依ってバランスの取れた馬体。ただ大物感が無い。出脚で差が有って後方。道中はスムーズ、4角の感じも悪くなく、一瞬は反応したのだが、坂を上がって止まった。恐らくはパワー不足だろう。坂も良くないが、道悪でそれが余計に応えた形。

ショウナンアクロス

+14kg。少し重いだろうが、馬振りは上位。アオり気味に出た分も有ったが、ランチボックスに寄られて行き場無く後方。最初から外を回っていたサダムイダテンとは対照的に最初からイン。直線は全く延びなかったが、やはりゲートを出てこその馬だろう。確実に力は有るが...。

阪神カップ(JpnⅡ)

スズカフェニックス

前走京都戦から毛ヅヤと張りが良くなっていた。気配が出て来たのも良い傾向。出たなりで中段やや後方。ソコソコ流れた事も有るが、デキが有ってこの距離なら折り合いが付く。4角、外からマクられない様に警戒しつつ、直線一気。坂下からの脚はこの馬本来のそれだった。勝利自体は久し振りだが、デキが無かった今秋の中山戦を別にすればこの馬の力はずっと出していた。追込馬だけに着順にムラが有るのは止むを得ぬところ。

ジョリーダンス

イレ込んでいたが、デキ自体は前走京都戦から悪くなかった。出脚の無い馬で道中は中段。内枠でこの形は一つ間違うと進路が無くなるのだが、真横に居た筈のドラゴンウェルズが引っ掛って、3角辺りからフリーになり、その分で競馬に余裕が出来た。まあ、最後はスズカフェニックスとの底力の差だろうが、展開さえ向けばこれ位はやれる馬。ただ、前走京都戦は内に包まれてサッパリ。牡馬相手で好走の東京戦は大外枠と揉まれ弱さが有りそう。

ブルーメンブラット

牝馬にしてはしっかりした造り。昨冬は歩様甘い印象も有ったが、その辺も含めて本格化。大事に乗って後方から。ただ道中は少し行きたがっていた。4角スズカフェニックスを追う形で外へ回したが、トウショウカレッジに外から寄られて一瞬逡巡したのが痛い。あれが無ければ2着有った可能性も。ハイペースが向いたにせよ、同じく展開向いたジョリーダンスと五分の競馬なら上出来。オープンにもメド。

ローレルゲレイロ

2人曳き。トモの張り含め大分戻って来た。気配も良い。戦前の報道通りハナへ。出脚も速く、道中は比較的楽。内回り故、後続が仕掛けて来るのがワンテンポ早いのだが、それらは全部振り切って一旦は突き放すシーン。最後差されはしたが、いずれも飛び道具だけに仕方が有るまい。追って頭が上がらなかったのも収穫。今日の先行策で、距離適性に上限が出来そうなのが課題だが、それさえクリア出来るなら重賞の一つ位は。

エイシンドーバー

悪くないが、張りがもう少し有っても。今季は昨冬程の状態に無い。出脚良く、好位直後。器用さ身上の馬で、上手く立ち回ってはいるが、ジワジワとしか伸びなかった。まあ、こういうキャラクターなのも確かだが、前述した様に今季は状態面も微妙。

シンボリグラン

この馬にしては毛ヅヤが良い。落ち着きも有った。出して好位。前に壁が有る間はまだ堪えていたが、少しスペースが出来た3角過ぎに持って行かれ、その分終いも踏ん張りが利かなかった。当たりの柔らかい騎手が多く乗っているが、違うタイプの騎手も一考を。

フェアリーステークス(JpnⅢ)

ルルパンブルー

+8kg。チャカつくのは何時もの事。トモの張り含めて馬自体は良い。出遅れて後方。前半3F32.9秒のハイペース。4角外回さなかったのは入着狙いだったという事だろうが、それで届くのだから今日は展開以外に無い。この馬自身としては1200mで3戦3勝。折り合いに課題も有って、スプリント戦が合うのは確かだが、過大評価は禁物。

スワンキーポーチ

-6kg。毛ヅヤは良いが、気配は地味。全体に力強さも欲しい。中段やや後方。こちらは外を回して勝ちに行く競馬。ただ、その分追っての脚がジリジリで、坂を上がって前を捕まえ掛かったと同時にルルパンブルーに交わされた。母父ターゴワイスから坂適性が無いという話も有るが、競馬としては悪くない内容。ルルパンブルーがハマッただけ。

マイネレーツェル

2人曳き。400kg切る馬だが、トモの造りはしっかり。歩様もスムーズ。中段馬群の中。早目に動いたスワンキーポーチが行ってから立て直して外へ。タイミングとしてはあれで良いが、競馬にロスが有った分も有って、届かず。ただ、イマドキ400kg切る馬はかなり厳しい筈だが、それでいてこの好走。歩様がスムーズなのも好感が持て、少しでも成長有れば大化けの可能性も。

エーソングフォー

-10kg。細いだろうが、骨格自体はしっかりしている。ただもう少し歩様が伸びても。半馬身出負け。ただ出脚が抜群に速く一気に2番手へ。勢い良過ぎて引っ張るシーンも有った程。このペースでこの展開はかなり苦しい筈だが、それでいて一瞬でも脚を使ったのは立派の一言。出負けが歩様から来ていなければの前提付だが、スプリント適性は相当。

エフティマイア

2人曳き。またイレ込み。歩様も硬い。マイルなら先行出来る馬だが、今日のペースでは中段が一杯。4角でも手応え悪く、マイネレーツェルの更に外に。脚は使っているが、流石に位置取りが悪かった。従って一応は地力示したという事になるのだが、今日は相手が相手。勝ち切らないと値打ちが無い。

メイビリーヴ

冬毛目立ち、毛ヅヤは冴えないが、馬自体はここでも上位。気配も悪くない。出脚で楽に好位。このペースでもほぼ持ったままで行けたが、ペース勘案しても見た目の手応えを思うと追ってからが案外。同じく先行したエーソングフォーがそれなりに踏ん張っていただけに、一気に行き過ぎる面は有りそう。

ハートオブクィーン

+6kg。叩いて更に良化。馬だけなら断然。これも楽に好位。道中も悪い感じには見えなかったが、追って案外。下見の印象だけならもっと走って良い筈だが、硬い馬場は駄目なのか...。

農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

ディアデラノビア

+4kg。少しでもギスギス感が薄れたのは良い傾向。その分歩様もスムーズ。この馬にしては落ち着きも有ったが、姿勢が高いのはマイナス。ゲート五分。出脚も有りそうだったが、無理せず中段。丁度アドマイヤキッスをマークする格好に。流石に折り合い万全とは行かないが、内に居た分我慢が利いた感じ。4角ランペイアが壁になって外へ出し切れず、馬群を割る格好になったが、狭いところを脚でコジ開けて来た。今日は完勝。57kgを背負っていたのも立派。今年は昨秋にデキが無い状態で使っていたツケに苦しんだ1年だったが、漸くツケを清算出来た様子。来年に期待が繋がった。

ニシノマナムスメ

距離が課題になるので落ち着いていたのは何より。ただ造りは牝馬らしいそれ。出遅れたが、1400mでも先行出来る出脚が有り、リカバーしてディアデラノビアの直後。折り合いも初距離を思えば堪えていた方。4角はディアデラノビアとは対照的にインを突き、一旦は完全に抜け出したのだが...。ただ、抜け出すとソラを遣うそうで、捕まったのはその分も有ろう。昨年のアドマイヤキッスは3歳牝馬でも大関クラスだったが、こちらはまだ前頭級。如何に今年の3歳牝馬のレベルが高いか。

アドマイヤキッス

ゆったりした歩様には好感。デキ自体も前走京都戦辺りから戻って来ていた。今日はゲート五分。折り合いに不安も無く、出して行って好位直後とこの馬の何時もの競馬。ただ、今日は4角の手応えが妙に悪く、その分内をスクわれた印象。見た目は悪くなかったが、デキが本当では無いのか?

ピースオブラヴ

数字の無い馬だが造りはしっかり。ただテンション高目。出脚速そうだったが、様子を窺いながら好位。道中は宥め気味。4角外へ持ち出して勝ちに行く競馬だったが、最後は決め手の差。距離も少し長いかも。

マイネカンナ

シープスキンノーズバンド。冬毛が目立つ。これも数字の割に造りは悪くなかったが。ゲートは互角。ただディアチャンスが押しながら締めに来て後方に。4角も大事に回って入着狙い。軽ハンデを活かす競馬は出来たが、この形は今後に繋がらない。

ランペイア

2人曳き。この時期にしては毛ヅヤが良い。踏み込みも悪くないが、この厩舎を思うともっと造りにメリハリが有っても。ゲート後手も外枠の分カバーが利いて中段やや後方。道中は少し行きたがっていて、勝負どころでは待ち切れずに動く形。ただ、流石にこの相手では如何にも強引過ぎた。トビだけならオープンでも通用しそうだが...。乗り役にも問題が。

ディアチャンス

+10kg。好気配。馬体増も問題無さそう。出脚無い馬だが、押して先行。道中は悪くなかったが、4角の手応えが悪く、アドマイヤキッスに入られ、更に外を回されてしまった。やはり先行策は良くないが、これで引退との事。

ヤマニンアラバスタ

-6kg。何時も通りのスカッとした馬体。悪くない筈。ゲートは元々良くない馬で後方から。向正面で外へ持ち出し追撃態勢は造ったが、直線は伸びずバテず。競馬は強引だが、この馬の性能を思うともう少し伸びても良い。直線レーサー?

シェルズレイ

2人曳き。+10kg。胴長の馬で、決して太くは見せない。歩様もスムーズ。出脚としてはそこ迄の馬では無いが、他に速い馬が居らず、楽にハナへ。1000m通過59.1秒ならこの馬としては速くない筈だが、上がりがバタバタ。1000mからが一息付けていないのも確かだが、昨年のこの馬ならトータル1分59秒で走れる筈。本調子に無い。

朝日杯フューチュリティステークス(JpnⅠ)

ゴスホークケン

-2kg。この中間から調教コースをポリトラックに切り替えたが、重量感が出て来た。好発。1馬身抜けた。出脚も速いのでスンナリハナへ。4角キャプテントゥーレに来られた時にはそのままズルズル行きそうだったが、直線向いてもう一伸び。好発切ってのイン逃げで、過大評価は禁物だが、前走は距離が長かったという事だろう。時計も速く、マイラーとしては上級。

レッツゴーキリシマ

+8kg。変わらずトモの張り目立つ。毛ヅヤも落ちていない。内枠の利生かし、出して行ってラチ沿いにゴスホークケンを見ながらの競馬。前に壁が無い分、キャプテントゥーレの方が早目に動いて行ったが、最後差し返しての2着。時計に対応出来たのは収穫だが、今日は展開絶好過ぎる。最後差し返したのもキャプテントゥーレが不甲斐無いだけ。

キャプテントゥーレ

2人曳き。トモに筋肉が付いて、大分馬がしっかりして来た。落ち着いていたのも良い傾向。1/4程ゲート悪かったが、押して好位。それでも4角ゴスホークケンへ並び掛けた時には勝ったかと思われたが、直線向いて外へモタれ、その間に数馬身離されたのが痛い。坂を上がる脚も甘く、タルさは残る。それでも一戦毎に内容良くなっているのは確かだが、まだ人気先行気味。

ドリームシグナル

前走東京戦時にも述べた様に、造りにメリハリが欲しい。緩みがちに映る。ゲートが少し悪かった分、好位直後。競馬としてはキャプテントゥーレを追う形になったが、その差が最後迄詰まらなかった。そのキャプテントゥーレも甘さ残る内容だった事を思うと、これは評価は下がる。

スズジュピター

2人曳き。+2kg。また馬体増。気合は良いが、太く映る。出たなりで中段。無理に外へ回さず、内を突いたが、バラける迄に競馬が終わってしまった。ただ、バラけてからの脚は悪くなかった。今日は展開と枠順。

アポロドルチェ

2人曳き、集中力含め、気配は抜群。ただ馬が小じんまり。前走東京戦でも触れたが、早熟の危険も。また出遅れた。前走同様外をジワジワ上がって行って、4角先団に取り付いたが、そこ迄。とにかく競馬が出来ていない。

農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

ハイアーゲーム

-4kg。馬が薄いのは何時もの事。大分締まって来た。歩様もこの馬としてはマシな部類。ゲート五分。序盤は中段に居たが、4角では好位に。折り合いが課題の馬だが、前を壁に出来たのと、距離短縮の分で我慢が利いた。得意の瞬発力勝負、加えて内々立ち回った利も有るが、前走東京戦から活気が出て、走れる状態にはなっていた。3歳馬を退けたのも大きい。

エイシンデピュティ

2人曳き。戦前に述べた様に今季はデキ悪くない。緩んだところも無く、毛ヅヤも上々。出脚はレインダンスだったが、主張してハナ。1000m通過61.0秒のスロー。追ってから高脚気味で少し苦しそうだったが、渋太く粘った。怖がりでこの競馬が合っているが、出脚が甘いのが上位で課題。道中クランエンブレムに絡まれたのも究極を言えば出脚が無くて抜け切れないから。外枠の方が良いかも。

アドマイヤフジ

休み明けだが、ほぼ出来ていた。トモが甘いのは今更。出脚が無い馬だが、少し出して中段やや後方。3〜4角は無理に動かず、直線だけ外へ出そうとしていたが、アドマイヤオーラが邪魔で少し待たされた。脚の使いどころが難しいタイプで、これが最善手だった可能性も有るが、そうはいってもこの形では勝ちが無い。今日は枠に泣かされた。

アドマイヤオーラ

+16kg。成長分が大半。まだ増えても良い位。結果的に良い休養に。好発も、折り合い意識して中段に控える形。多少行きたがっていたし、スローで4角団子になり、内ラチから10頭分程外を回されてしまった。一旦は単独3着だったのを坂上で止まって同着に持ち込まれたが、スローを嫌って早目に動いた分も有ろう。一番強い競馬をしているのは間違い無い。次走人気でも。

オースミグラスワン

2人曳き。鈍重に映るのは何時もの事。この歩様なら力は出せる。出脚の無い馬だが、後方で無理せずマイペース。直線馬群を割るつもりがスペースが無く外へ持ち出す形になったが、良く伸びている。今日はリズム崩さず乗ったのが大きく、人気での過信は禁物だが、一応は復調気配。

レインダンス

-14kg。数字程は細くないが、イラつき気味。ハナはエイシンデピュティに譲ったが、出脚は一番速く、好位から。折り合いも問題無く、直線向いた時にはこれが勝ちそうだったが、追って案外。着差的には大きく負けている訳では無いのだが、それはあくまで前に居た利が有ってのモノで、実質は完敗だろう。デキに原因。

ドリームジャーニー

陣営から状態面万全では無いとの話も有ったが、下見は決して悪くない。歩様もしっかり踏めていた。例に依って後方。上手く内へ入れて、ロス無く立ち回っているが、追ってサッパリ。これもデキが無いのだろう。

阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnⅠ)

トールポピー

2人曳き。少しトモが甘いのだが、馬振りはこの兄にしてといった印象。半馬身程出遅れたが、外枠の分前へ。結構ペース速かったが、掛かる位の行き振り。ただ、比較的前に居たとはいえ、8枠の馬が先行していた分、このペースの割には団子の展開に。馬が抜けていたのは確かだが、今日は展開も向いた。何度か述べている様に、内枠有利のコースで外枠の馬が先行すると9割方差し決着になる。昨年の勝ち時計と比較して0.5秒遅いのは、ペース勘案すると疑問の余地も有るが、昨年の上位2頭はダービーにスプリンターズステークス。例年の水準級は有る。あとは展開が鍵になるだろう。あくまで阪神マイルは前有利。

レーヴダムール

少し太いかも知れないが、張りは決して悪くない。乗り役に言わせると馬込みを嫌う様で、出遅れ癖が付いているとの事だが、出脚が付かずに後方から。4角も一番外へ持ち出してトールポピーと併せ馬。条件戦はともかく、阪神マイルの重賞であれだけ外を回って伸びて来た馬は居ないのだが、最後は脚色一緒になっていて、直線迄待ってからでも良かった。これを差し切ったらバケモノ。少なくとも末脚の持続性という問題では無い。ただ、前述の出遅れ癖が気性から来ているのが非常に厄介。

エイムアットビップ

小さく纏まっている馬体は変わらずだが、今日は落ち着いていた。最初から行く気無く中段。流石に行きたがっていたが、物理的進路を潰して何とか宥める形。今迄は能力を無駄に使っていただけで、これが出来れば競馬になるという事だが、ただ最後止まったのは距離か坂。実だけを取りに行くなら別路線へ行った方が。

オディール

2人曳き。テンション高いのは前走京都戦同様。毛ヅヤの良さ,馬体の造りも変わらず。好発も8枠3頭が行ったのを立て直して好位から。この枠にしては最高の競馬だったが、結果的に少し早かったのと、これも微妙に距離が長い印象。ただ、エイムアットビップと違ってパンチ力が無い。橋口厩舎の馬らしいといえばそうだが...。

シャランジュ

相変わらず造りはしっかり。張りも上々。ゲートは出たが、下げて後方のイン。直線は馬場の中程から。ジワジワは来ているが、あくまでジワジワ。上位とは決め手の差。

アロマキャンドル

イラつき気味。馬体はここでも上位だが、歩様が硬い。出脚は良いが、8枠3頭が先行し、外の分位置取り後ろに。ただ、それよりも3角でオディールを起点とする不利が2歳牝馬には痛かった。4角では既に手応えアラアラ。参考外。

中日新聞杯(JpnⅢ)

サンライズマックス

2人曳き。テンション高いが、馬体に一切緩み無く、デキは抜群。ゲートも悪かったが、最初から行く気無く離れた最後方から。3角から外へ回し、4角で射程圏。直線もアッサリだった。まあ、両手広げて過怠金5万円はご愛嬌だが、今日はそれだけ強かったという事だろう。このレースを最後にJRAから父内国産限定重賞が消滅する格好になるが、最近はこの路線も社台グループの狩場になっていて、意味が無くなっていたのは確か。

ダイレクトキャッチ

+12kg。一枚重い分も有るが、脚も長い。歩様硬いが、今春は付いて来なかっただけに、これは進歩。その気になれば行けた筈だが、無理せず中段やや後方。ただ、3角の捌きが今日はマズく、外へ進路を切り替えようとしたところをサンライズマックスに塞がれ、競馬が後手に回ったのが痛い。最後の脚はかなり目立っていた。まあ、3着以下がオープン特別でも厳しい面々で、次走東京戦が試金石という事になるのだが、通用の目は有る。

タスカータソルテ

2人曳き。イレ気味。ただ馬体のスケールはここへ入ると最上位。道中は中段。外枠という事も有って何時でも動ける位置に居て、サンライズマックスよりはワンテンポ早目の立ち回りだったが、直線の脚は違っていた。今春の京都戦が恵まれに恵まれたのは確かだが、もう少し走れても良い筈。成長が無い。

ホッコーパドゥシャ

もう少しトモに力が付いて欲しい。現状では見掛け倒し。好発も出脚サッパリで、オッツケて何とか中段。余り手応え良くなかったにも関わらず、早目に動いて行ったが、外から3頭。これも上位馬とは差が有るという事になるが、あくまでまだ準オープンの身。

マイネルポライト

もう少し歩様が伸びて欲しい。馬体は悪くないが。ゲートは出たが、折り合いがネックの馬で後方から。最後伸びているが、サンライズマックスの後追いでは厳しい。能力は有りそうだが、乗り難しさも同居。

トウショウパワーズ

今春はトモが甘く話にならなかったが、それなりにマシに。出脚が無く、中段やや後方。枠なりにインを立ち回ったが、直線少し狭いシーンも。ただ、最後の脚が結構目立っていたのと、小回りの2000mで流れに乗れたのが今日の収穫だ。今春の中京戦はこれが出来なかったから人気で飛んだ。次走要注意。

スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(JpnⅡ)

マキハタサイボーグ

後ろ蹴り数発。漸くトモが付いて来る様になった。毛ヅヤも変わらず良い。出脚には課題の馬だが、最初から決め打ちしていたのだろう、トウカイトリックを直ぐ後ろからマーク。トウカイトリックとネヴァブションが2周目3角手前で動いた際に一旦待ち、そこから一気に被せに行ったのが正着手。この競馬では能力判定がし辛いが、下見からは本格化。

ネヴァブション

絶好調時とは馬体の張りで差が有るが、前走東京戦時からやれる状態。集中力も出て来た。こちらはトウカイトリックを外からマーク。トウカイトリックをフリーにしない様、徹底マークしていたが、2周目3〜4角中間でトウカイトリックが待った隙に一気にマキハタサイボーグに来られ、トウカイトリックを見捨てて仕方無く動く形に。そうはいっても、58kg思えば良く走っている方。あくまで前走は乗り役が失敗しただけ。

アドマイヤモナーク

この時期の休み明けで張りが万全では無いが、活気が有って、一応は走れる状態。歩様もスムーズ。この距離なら前へ行ける出脚も有る筈だが、無理せず中段。同馬主アドマイヤが行った分も有るが、これもトウカイトリックは意識に有っただろう。まあ、枠順の関係でマキハタサイボーグが動いてからの後追いになった影響が有るとはいえ、それでも58kgネヴァブションは捕らえて欲しかった気もする。今日はちょっと評価が下がる。

トウカイトリック

悪い時は歩様が硬くなるのだが、キビキビ歩けていて文句無い状態。出脚が無く中段やや後方。圧倒的な1番人気という事も有り、道中内外前後とマークされる形。特にネヴァブションのマークが執拗だった。加えて、2周目2角から競馬が動いた際に、これを嫌って早目に動き過ぎ、4角一息入れようとしたところで外からマキハタサイボーグに一気に来られる最悪の展開に。最後は再び盛り返していて、一応底力は見せているが、振り返るとコーナーで動くシーンが過去に少なかった気も。直線レーサー?

メジロトンキニーズ

毛ヅヤが悪い分が大きいだろうが、全体に緩慢。行く気無く離れた後方。アドマイヤモナークの更に後から追い掛けているのだから後ろ過ぎたという事になるのだが、4角手応えが無く、無理せず内を回った分の5着。あくまでハンデキャップホース。上位とは差。

エイシンダードマン

2人曳き。-8kg。毛ヅヤが良いので分かり難いが、前走京都戦の方が張りという点で良かった。前走同様後方から。ただ、前走有った4角の脚が今日は無かった。トビが大きいので小回りが向かないのは間違い無いのだが、幾らなんでも離され過ぎ。デキ?