Sakura Archives

競馬回顧 2006年2回阪神・3回中山

皐月賞(GⅠ)

メイショウサムソン

2人曳き。例の重たい腹回りはそのままだが、今日は毛ヅヤが抜群。ただ、前走より煩いのは気になったが。出脚が良く、外の馬を牽制してから1角へ。下見で気負っていた影響も有って、多少行きたがっていたが、1角迄の睨みが利いて好位が取れた。石橋守騎手、4角で後ろを振り返り、相手はフサイチリシャールと判断。早目に動いて坂で捕らえて押し切った。今日は最初から最後迄石橋守騎手の好騎乗。鮮やか過ぎて次走東京でどうかという嫌いは有るのだが、折り合いさえ付けば有力。

ドリームパスポート

増減無いにも関わらず、スカッと見せる様になって来たのは良い傾向。戦前に、フサイチリシャールが行くので、出脚が無くても前に付けられると述べたが、メイショウサムソンの睨みが利いていて、中段から。下が悪い割に反応良かったし、一瞬の脚は有るのだが、メイショウサムソンに並び掛かったところで脚色が一緒になってしまった。坂がダメなのかも知れないが、距離延びるのは良いとは言えないだろう。東京戦は何か策が要る。

フサイチジャンク

2人曳き。-6kg。絞れても良く見せる好馬体の持ち主。多少チャカついていたのも、サンデーサイレンス産駒だけに、止むを得ないという事になるのだが、馬体の張りに甘い部分が有り、絶好調と迄はどうか。中段やや後方。前で決まっただけに、位置取りが後ろ過ぎた面は否定出来ないのだが、それ以前に4角の手応えが妙に悪かった。まあ、その割にはアドマイヤムーンに先着していて、地力は確かなのだろうが、まだ距離が短い嫌いが。戦前に述べた様に、次走東京戦はこの馬が最有力。ただ、もうちょっと良くなって欲しい部分は有る。

アドマイヤムーン

2人曳き。馬体は元々良い馬で、今日も決して悪くないが、何時もより姿勢が高い。今日はゲート良かったが、控えて中段やや後方。フサイチジャンクが内から意識して乗られ、終始外を回される中山の典型的負けパターン。まあ、仕掛けのタイミングが遅いという話も有るのだが、前走でヨレているだけに、末脚の持続性に課題が有ったのは確かだろう。マイルなら話は違うが、距離延びて良いとも思えず、差し当たって次走東京戦は苦しい。

フサイチリシャール

2人曳き。-4kg。馬体絞れて気配も悪くない。出脚は強力な馬だが、ナイアガラが何故か押してハナを叩いてそこから控えてと、半ばフサイチリシャールを潰さんばかりの挙動に幻惑されて前半少し馬が行きたがったのが痛い。4角結果的に仕掛けが早過ぎたが、過去の競馬から決め手勝負で辛く、勝ちに行っただけに仕方が無かろう。まあ、その程度で止まるのだから距離が長いのは確かだが、1角迄がスムーズなら勝てていた競馬。

サクラメガワンダー

2人曳き。前走を思えば、張りが出て確実に良化しているが、トモの張りで上位と差。最初から押さえて後方から。要は、アドマイヤムーンを相手と見て乗られたが、それが間違いだったという事。ただ、そうだというならアドマイヤムーンを交わさないと値打ちが無い。アドマイヤムーンに距離の不安が有って、対アドマイヤムーンならば逆転の目も有るが、勝ち切るとなるとどうか。

ジャリスコライト

2人曳き。毛ヅヤでそう見える分も有るのだが、使っていない分、張りが無い様に映る。横山典弘騎手、昨年のアドマイヤジャパン同様、外枠から積極的に乗られて好位へ。今日はペースがそれ程速くなかっただけに、この策で正解だった筈だが、追ってからが案外。とはいえ、掲示板に載った馬は年が明けて全て2走以上。それだけに、次走は今回叩いた分の上積みを期待したい。

読売マイラーズカップ(GⅡ)

ダイワメジャー

2人で曳いてもう1人。気合満点。馬体も充実。ゲートも出脚も良い馬だが、急かせる事無く、ジワッと好位へ。押し出される形になったプリサイスマシーンの逃げがスローで、早目に前を捕まえに行ってそのまま押し切った。今日は圧勝だが、ダンスインザムードをそこ迄突き放せなかった様に、瞬発力には課題が残った。特に左回りは右回りの様な唸る行き振りが無いだけに、次走東京戦はちょっと狙い辛い。

ダンスインザムード

気負っているのは確かだが、攻め馬やった結果で、これは問題無い。この馬なりに歩様も伸びていて、もう少し張りが出て来れば満点やれる状態。これも出脚の有る馬だが、折り合いに専念して中段から。3角辺りからはダイワメジャーを相手と決め付けて乗られていたが、前走の京都戦の際にも述べた様に本質がマイラーでは無く、瞬発力を要求されると厳しい。それでも次走は限定戦だけに圏内だが、勝ち切るシーン迄はどうか。

ディアデラノビア

+6kg。テンションは高いが、毛ヅヤが良化。馬体の張りや歩様がイマイチで、絶好調とは言い難いが、悪くないレベルは有る。好発も中段のインで掛かり気味。それでもデキが上向いて来た分、終いもそれなりに伸びては来たが、乗り手が自信持って乗れていない分、仕掛けがワンテンポ遅れて、その差が詰まらなかった。近年、東京マイルもハイペースにはなり辛い嫌いが有って、どうしても折り合い面の課題は残るのだが、打倒ラインクラフトという点で、この手の決め手は武器になる。

ニューベリー

+6kg。この馬にしては歩様も良い方。ただ、良い時はもっと締まって見えた筈で、今日は一枚重いだろう。折り合えて出脚有る馬で、好位から。道悪の影響が有ったかも知れないが、元々がオープン特別でやっとの馬だし、勝つ時でも雪崩込んで後続が差して来ないという展開が多いだけに、今日はこれでも良く走っている方。出脚とゲートが身上の馬で、差せない馬場にならないと。

プリサイスマシーン

馬体に張りが有ってデキ絶好。以前は硬いところの有った歩様も、今日はスムーズ。今日はハナへ行きたくなかっただろうが、歩様が良化して出脚が良くなってしまい、仕方無しにハナへ。逃げて勝った経験も有って、道中集中して走れていた様にも見えたのだが、その割に追って案外。マイルが長いという話も有る様だが、前走が1200mだった影響で馬が戸惑っていた分も有ろう。次回はやれると思うのだが。

ローエングリン

-10kg。暖かくなって絞れた分だろうが、今日は歩様が硬い。この馬がハナへ行くと思っていたのだが、控える指示が出ていたとの事で好位から。あまり追って伸びる馬では無いだけに、スローで裏目に出た形だが、恐らくもっと長い距離が使いたいのだろう。今日は新潟辺りの叩き台か。

桜花賞(GⅠ)

キストゥヘヴン

シープスキンノーズバンド。馬体維持出来たのが何より。歩様も、数字を思えばかなり力強い。好発も、控えて後方から。道中は目の前に居たアドマイヤキッスをマークして進んでいたが、4角先に動いたアドマイヤキッスに連れず、直線迄待ってから一番外へ。戦前述べた様に、今年は決め手に難の有る馬が揃い、唯一決め手が有ったこの馬がその長所を最大限に生かし切った印象。例に依って、馬体細化無ければ、というエクスキューズは付くが、別路線組でそういう馬が出て来ない限りは東京でも有力。

アドマイヤキッス

-14kg。歩様に柔らか味。馬体に関しては、細くないが、前回の方が良く見えたのは確か。ゲート自体は速いが、戦前懸念した様に、内外に行く気の無い出脚良い馬が揃い、一旦下げる形。ただ、昨年のシーザリオと違い、今日は外枠の馬が結構前に行ってくれて中段で馬群が切れ、最悪の形は免れたが、そうは言ってもこの馬本来のパターンでは無く、結果、早目に動いてキストゥヘヴンの餌食に。馬体減が14年前のニシノフラワーを髣髴とさせる点がどうかだが、マトモなら東京で逆転も。

コイウタ

2人曳き。馬自体に差が有るが、間隔開けて歩様の硬さがマシに。好位の外。何頭か外から行く馬が居て、多少連られるシーンも有ったが、それ以外はスムーズ。後ろの馬に差された形だが、ペース自体は速くなく、これは単純に瞬発力の差。次走東京は何か策を練らないと厳しい。

アサヒライジング

2人曳き。-14kg。多少集中力を欠いていたが、馬自体は細くない。元々牝馬にしては重厚な造りの馬で、しっかり仕上げたという事だろう。戦前にも予想した様に、行く気の無い先行馬が揃い、絶好枠のこの馬が素直にハナへ。道中スムーズに行けたし、坂下で突き放した時は乗り役も夢を見ただろうが、坂を上がって外から3頭。好枠から自分の競馬をしただけに、今日は力量差認めざるを得ないが、距離に不安の無い逃げ馬は何処へ行っても有利。

シェルズレイ

パシファイアー。歩様はこんなモノ。芦毛の割に毛ヅヤが良く、デキ自体は上々。中段の外で掛かり気味。4角手前で外からアドマイヤキッスが来て、これに併せて仕掛ける形。前走程の粘りが無かったが、これは枠の差も有りそう。折り合い面何とかしないと今後がキツい。

テイエムプリキュア

+8kg。歩様の硬さが消えたのは良い。馬体は、張りが有るのでこれでも良いが、反応が悪い馬で、その点で増えるのは良くない。ゲート自体も良くなかったが、道中付いて行くのがやっと。4角も例に依って反応が悪く、伸び切れない。前述した様に、一枚重いのが他馬より余計に応えている。

フサイチパンドラ

この馬にしてはマシな歩様だが、馬体に張りが無い。少なくともデキは良くないだろう。ゲート自体は良くなかったが、外から前ヅケの形で好位へ。前走の中山戦は一周殆ど行きたがっていたが、今日は折り合えたのに4角で既にアラアラ。外回されたにせよ、負け過ぎ。デキが無いと見るのが妥当。

サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

ラインクラフト

元々良く見せない馬で、今日もそんなに良い訳では無いのだが、割と直ぐに歩様の悪くなる馬がそれなりに踏めていただけに。内外の馬が行って、好位のイン。スプリントの後で折り合いが課題だったが、前がやり合って関係無し。4角手応え充分に並び掛け、直線はエアメサイア以下を全く寄せ付けなかった。完勝。シーザリオが引退しスイープトウショウが故障した今の牝馬路線なら抜けた存在。1年前の桜花賞トライアルと同じ時計だが、今日は風が強かっただけに、これは仕方が無い。

エアメサイア

大人し過ぎる様にも見えるが、最近のこの馬は何時もそう。例に依って好発。道中は中段。内外離れていたが、意識はラインクラフト。ライラプスが坂下迄間にずっと居て、併せるシーンが無かったのが痛いと言えば痛いが。2000mで最高に乗って漸く逆転出来る馬だけに、相手の土俵では流石に厳しい印象。マイルでもそれが変わるとは思えず、次走の東京戦は一工夫が要る。

スナークスズラン

+8kg。気配が地味なのは何時も通り。ただ、ここへ入ると馬が目立つ。好発。近走ズブくなっていて、向正面では好発の利で好位に居ても、勝負どころから置かれて位置取りが悪くなってしまう。まあ、それでも最後盛り返している様に、地力は有るのだが、現状1400mでも忙しい位。逆に言えば次走マイルで狙い目。

アズマサンダース

2人曳き。+6kg。良い時のこの馬。前回は1年前の京都戦だったが、時々究極に良く見せる時が有る。ゲート甘く中段から。外を回る事も無く、スムーズに競馬出来た筈で、一旦は3着かと思ったところをスナークスズランに差し返された。今日は下見が良かっただけに、意外な印象。坂がダメなのか。

ジェダイト

-6kg。今年はずっと良い状態をキープしていた割に、前走そこ迄では無かったが、再上昇の兆し。ゲートは五分に出ているが、控えて後方から。頭が高く、流れに乗れていない様にも見えたし、追ってからもジリジリ。今日は相手が強かったのも確かだが、色々条件を使い過ぎて馬が戸惑っている印象も。

シーイズトウショウ

2人曳き。例に依ってチャカついていたが、細化無く、前走の中京戦より毛ヅヤが良化。好発。乗り役に行く気は無かった筈だが、デアリングハートが来て、馬がその気になって直線失速。単騎ならまだ違う様に思うのだが、今更ながらベストはスプリント。

チアフルスマイル

+8kg。前走の中山戦の方が締まって見えたのは確かだが、これはこれで充実して映る。好位のイン。4角手応え悪かったにせよ、もう少し伸びるかと思ったが、追って案外。デアリングハートがゲート入りゴネて、待たされた分も有るか。

デアリングハート

+16kg。馬自体は良くなっているが、テンション高い。ゲート入り梃子摺る。最初から仕掛けて行ったが、シーイズトウショウとマトモにやり合ってバッタリ。気性面で進歩が無い。

ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

マイネルスケルツィ

-10kg。暖かくなって毛ヅヤは良いが、削った結果は以前程良く見せない。好発も行きたい馬に行かせて好位。最内枠だが、前から下がって来たレッドスプレンダーにラチ沿いを取られ、あまり褒められた騎乗では無かったが、それでも直線は内々から力強く伸びて快勝。追っての瞬発力がそこ迄では無いだけに、着差自体は僅かだが、以前無理矢理押さえてやられていた事を思えば数段の進歩だ。ただ、東京マイルは、スローを鋭さ負け,ハイペースに巻き込まれて失速と、2通りのやられ方が充分有り得るプラットフォーム。中山程の信頼度は無いが、今年もメンバーが低調なだけに。

ファイングレイン

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。メンバー中、デキだけを言えば他にも良い馬は居るが、馬振りも含めるとこの馬が抜けている。毛ヅヤが良いのもそうだが、何より馬の造りが良い。出脚はマイネルスケルツィやレッドスプレンダーの方が良さそうだったが、引いてくれてハナへ。中山は今週一気に高速化し、前有利になった分は有るのだが、それでもリザーブカードに早目に来られて坂下では寄られて接触しているのを振り切って2着なら悪い内容では無い。先行馬不在ムードも有って、次走の東京戦でも、意外に面白い存在。

ロジック

-6kg。一汗かいた跡。ただ、前走の阪神戦から歩様が良くなったのと、馬体が締まって来た。道中はマイネルスケルツィと前後する位置。大井の内田博幸騎手に言わせると道中の集中力が無かったとの事で、成る程道中の行き振りは悪かったが、マイルで追って渋太い脚が使えたのは収穫。単純能力に疑問符が付き、次走の東京戦は流石に厳しいが、この競馬が出来るならマイルでも勝ち切るシーンが有って良い。

アポロノサトリ

まだ歩様が頼りないのと、テンションが高い。出負け気味に出て、中段やや後方。4角で慌てずインを突き、マイネルスケルツィの抜けたところをここ迄。ただ、直線で微妙に狭かった上、左手前に替えた時に躓いたのも痛かった。ゲートにも課題が有り、もう少し前で競馬出来ていれば権利は取れていただろう。ここでも充分通用の馬。

リザーブカード

2人曳き。馬体が充実し、気配も満点。好位で掛かり気味。馬が待ち切れずといった感じで早目に動いて行ったが、直線内にモタれて逃げたファイングレインと接触してそこからはズルズル。馬は良いが、気性面が課題。

タガノバスティーユ

+2kg。折角の馬も絞れて来ないのでは台無し。ゲート自体は出ているが、最初から行く気が無く後方から。道中盛んに手前を替えていた様に見えたし、何よりトビが大きくて中山向きでは無い。マイル自体はこなせるので、次走東京で改めて。

産経大阪杯(GⅡ)

カンパニー

毛ヅヤが良くなってデキ自体は上向き。ただ、今日は珍しく歩様が硬い。例に依って後方から。道中は仮柵明けの馬場の良いところで我慢させて、直線だけ外へ。戦前にも述べた様に、この馬が道悪自体を苦にしない分も有るのだが、一気に伸びて圧勝。結局、良馬場で競馬しないまま東京へ向かう事になりそうで、上昇度が見え難いのだが、相手関係思うと然程強くなっていない気も。まだGⅡレベルの域は出ない。

マッキーマックス

2人曳き。+10kg。多少重いかも知れないが、馬自体は充実。ただ、例に依って歩様に頼りなさが残る。道悪で、行く案も有った筈だが、今日は後方から。終始インで脚を矯め、スズカマンボとローゼンクロイツの間をコジ開けて伸びて来た。ツルマルボーイのメトロポリタンステークスがそうだった様に、トモが甘いタイプの馬が道悪をこなした時は本格化のサイン。ツルマルボーイとは違って、下見がそれ程では無いだけに、反動でサッパリという可能性もかなり有りそうだが、次走注目。

スズカマンボ

2人曳き。煩いのは何時も通り。-8kg。天皇賞馬だが、気の良いタイプで、休み明けとしては悪くないデキ。道悪を意識して、出して行って好位から。道悪で差し辛いだけに、4角ではこの馬が勝ったと思った程だが、追って案外。レース後故障が判明し、競走能力喪失だそうだが、これに敗因を求める外無い。

シルクフェイマス

今季は最初から良く見せていた。この馬の場合は精神面だけだが、今日は落ち着いていた方だろう。好発。そのままハナへ。この馬、雨が当たるのを嫌う馬で、つい1時間前には暴風雨だった筈だが、かなり止んでいたのが良かった様で、嫌気を出さずに競馬が出来た。最後は現状の能力だろうが、競馬を投げなくなっただけでもかなりの進歩。

ローゼンクロイツ

集中力を欠く。以前を思えば歩様はしっかりして来たが。道中は中段。武豊騎手、相手はスズカマンボと決め付けて乗っていた様だが、故障していたスズカマンボより伸びないのだから話にならない。今日は道悪経験の差。

アドマイヤジャパン

2人曳き。急仕上げとの話だったが、満点がやれないだけで、そこ迄は悪くない。スズカマンボが行く気を見せていた分も有るだろうが、積極的に2番手へ。ただ、道中ずっと内へモタれていて、全く競馬にならなかった。得手不得手も有るだろうが、ローゼンクロイツの項で述べた様に、経験の差も大きい。

ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

グレイトジャーニー

非力な歩様やスカッと見せるのは何時も通り。ただ、毛ヅヤが良くデキ自体は良い。中段で脚を矯める競馬。前走はハイペースで脚を矯め切れなかったが、スローでしっかり脚を矯めれば、一瞬でも脚は有るのだろう。ただ、東京では直線が長過ぎるタイプ。中山でスローになって初めて一脚と、とにかく乗り難しく、とにかくアテにし辛い。

キングストレイル

もう少し絞れて来るのが理想だが、大分締まって見える様になったのは確か。好位の外で折り合いを付ける策。早目動いたキネティクス目掛けて動いて行ったが、最後はグレイトジャーニーの決め手。まあ、元々決め手の有るタイプでは無いので、極端に上がりが速くなれば何かにやられるのは仕方が無いのだが、道中を完璧に運んだだけに、不満は残る。前述した様にもう一絞りが欲しい。

キネティクス

煩過ぎる嫌いは有るのだが、今年に入ってずっとデキが良い。好発切って好位。船橋の山田信大騎手、上手く流れに乗って、決め手が無い分早目に動く策も目論見通りだっただろう。最後は、上がりが速くなり過ぎた分の差だが、今季デキも有っただけに、スムーズならこれ位やれても不思議は無い。

ダンスインザモア

例に依って絶好調時の張りという訳には行かないのだが、及第点はやれるデキ。乗り役が腰を落としてしまい、中段やや後方。ただ、4角での手応えが悪かった割には良く伸びていて、ここ迄は来た。この流れで位置取りの差を思えば決して悪くない内容。ノドの疾患から、重賞では用無し位の扱いに思っていたが、一概にそうとは言えなくなった。

テレグノシス

+12kg。これはこれで充実して映る。毛ヅヤや張りが良く、仮令一枚重かったとしても、デキが抜群なのは確実。例に依って後方から。このレース、時々そうなる年が有るが、今年も妙に上がりが速くなってしまい、4角大外では流石に届かない。とはいえ、最後の脚は強烈。直線の長いコースが良いのは確かだが、何度か述べている様に、左手前の方が伸びが良く、右回りも世間のイメージ程は苦にしない。

コスモシンドラー

前走の阪神戦同様毛ヅヤが良く、気配は上々。折り合いに専念して後方から。4角外へ回して、ダンスインザモアと同じ位置に居たが、手前が替わらず意外に伸びない。中山マイルの外枠にしては上手く持って来ただけに、案外の内容。距離?

ニューベリー

以前思えば硬さもマシになっているが、一枚皮膚が厚い様にも映る。例に依って、ゲートと出脚が速い。グランリーオに行かせない選択肢も有った様に思うが、もっと行くと見て譲った筈が、これも控えてしまい、想定より1馬身程後方に。とはいえ、内で直接的な不利は無く競馬が出来た筈だが、追ってからが意外に甘い。新潟戦を別にすれば1分33秒後半でしか競馬した事が無く、時計面に天井が有りそう。

ニシノシタン

絞れて来ないのはともかく、良い時は少々太くてもそれなりに良く見せていたのだが、今季はそれが無い。戦前の予想通りハナへ行ったが、内枠に出脚の良い馬が居て、それなりに脚を使わされたし、現状デキ自体がもう一つ。絶好調だった昨年、何度かチャンスが有った筈で、それが勝てないのだから、デキが無い現状ではもっとキツかった。

インセンティブガイ

-8kg。もうちょっとしっかり歩いて欲しい気がしないでも無いのだが、毛ヅヤが良く、デキ自体は絶好。見た目には離れた2番手で手応え良く追走。ペースも然程速くなく、この展開で直線全く伸びなかった。無理矢理にでも矯めて競馬した方が良いのかも。

高松宮記念(GⅠ)

オレハマッテルゼ

-4kg。まだ毛ヅヤが冴えないが、漸く馬体が締まって来た。掛かるのを嫌ってスプリント戦との事だったが、ペースが遅かったにせよ、中段で手応え充分の追走。まあ、勝った以上、馬も強かったという事にはなるのだが、直線向いてコパノフウジンとシーイズトウショウの間がポッカリ開いたのが今日の最大の勝因。あの分で少しでも躊躇が有ったらラインクラフトが勝っていた。加えて、折り合いや他の精神面に欠陥が有って、スプリントへというタイプの馬はかなりの確率で馬がそれに慣れてしまい、スプリントでも同じ症状が出て来る嫌いが。

ラインクラフト

歩様は硬いのだが、これは以前から。前走の阪神戦で萎んだ馬体が元に戻っただけでも。ギャラントアローに誘導される形で、ジワッと好位へ。終始外を回される形になったが、ローカル開催は芝の番組が多く、土曜日程はイン有利では無かったし、今日は馬に気が有って折り合えた分、終いもしっかりしていた。このレースは毎年半数以上の馬が力を出し切れないまま終わっていて、今年も例外では無いのだが、一応は力量見せ付けた一戦。

シーイズトウショウ

2人曳き。+12kg。こういうケースは得てして中身が無い場合が多いのだが、意外な程良く見えた。テンションは高いが、これが厩舎技量。ゲートは出ているが、出脚でプリサイスマシーンとは差が有ったのは意外。それでも好位から手応え充分で追走出来たし、次善策としては悪くない競馬だったが、4角で内を開けてしまいオレハマッテルゼに入られたのが痛い。最後は3着がやっとになってしまったが、あれを閉じ込めておけば2着も有っただけに。

プリサイスマシーン

多少硬さは有るが、これは以前から。トモの充実振り目立ち、毛ヅヤが良い。ゲートはそれ程でも無かったが、出脚が良く、スッと好位へ。4角では逃げたギャラントアローの直後に付き、展開絶好だったが、最後は経験の差が出たか、伸びあぐねた。スプリント戦にしてはそれ程ペースが速くなかった分が相当利いているとはいえ、いきなりスプリント戦に対応出来たのは驚き。意外なタレントが埋もれていた。

ネイティヴハート

シープスキンノーズバンド。歩様に硬さが有るのは近走同様。毛ヅヤが相変わらず良い。珍しく好発。道中はオレハマッテルゼの直後。この馬の場合は早目に動いても良い事が無いので、それでも4角は置かれ気味になるのだが、終いの脚はシンボリグランと並んで際立っていた。今日は前半が遅かっただけに、脚が矯められた側面を否定出来ないのが辛いところだが、少なくとも前走の中山戦で負かした馬には殆ど先着。芸は身を助けるというべきか、仮令一瞬でも脚が有る馬は強か。

シンボリグラン

黒鹿毛の割に毛ヅヤがイマイチに映る。馬体そのものは良いが。ゲートも大した事無かったが、オレハマッテルゼが外から来て最後方に近い位置。4角でも外に馬が居てここ迄何も出来ず、直線だけ無理矢理馬群を割って来たが、如何せん今日はペースが遅くて届かない。ネイティヴハート同様、脚は有るのだが、もうちょっと出脚が付かない事には今後が苦しい。

マイネルアルビオン

チャカついてはいたが、そこはスプリント戦。毛ヅヤが良く、馬体の充実振りが素晴らしい。デキだけを言えばコレ。出脚は有る筈だが、スタート直後に他馬と接触して、位置取りが悪くなった。今日は競馬をさせて貰えなかった。

マーチステークス(GⅢ)

ヒシアトラス

+4kg。多少重いかもしれないが、下手にスッキリ見せていた時の方が結果が悪く、却ってこの方が良いのかも。張りが有って、毛ヅヤ自体も良い。好発を積極的に出して行って好位へ。この馬、外を回ったり、早目に抜け切ると競馬を止める癖が有り、今日もプライドキムを交わしてから、面白い様に脚色が一緒になってしまっているが、一応は完勝。デキ自体が不安定で、成績安定しない分も有るのだが、競馬も乗り難しい。

プライドキム

デキ自体は悪いとは思わないが、ダート馬にしてはトモが薄い。徹底先行のオルレアンに誘導される形で2番手へ。ヒシアトラスが相手なりの馬で、一気に交わさなかった分が何時も以上の頑張りを呼んだという見方も有るのだが、ここで後続が千切れているだけに、それなりの脚が有ると見るべきだろう。下見は良くないが、復調気配。

ベラージオ

ドッシリ見せて、変わらず悪くないデキ。今日はゲート五分。中段で外を回されたにせよ、良い手応えで行けたし、勝ちに行ったワイルドワンダー目掛けて進出する策は悪くなかったが、いざ追い出してからがジリ。近走ゲートが悪くて人気が無いだけで、力量そのものは上位だった筈だが、意外な印象。ヒシアトラスが強いといえばそれ迄だが...。

ラッキーブレイク

馬体の張り目立ち、デキ良さそう。中段やや後方。ただ、外を回されたにせよ、4角で置かれてしまい、この分が最後迄響いた形。芝ならともかく、ダートはここが一番肝心なころで、上とは力量差相当。

ワイルドワンダー

2人曳き。気配自体は良いが、前走の京都戦の方が馬体に雰囲気有った気も。前走、外枠で何も出来なかったのを嫌って、今日は積極的に。中段。外を回るのを覚悟で自力で動いて行ったが、意外な程の止まり方。気配落ちしていたのは確かだが、それにしても案外の内容。余程この競馬が合わないのだろう。

サンライズバッカス

馬自体は前走の東京戦でも良かったが、今日は落ち着いていた。躓いて後方。直線も手前を替えず何も出来なかった。参考外。

毎日杯(GⅢ)

アドマイヤメイン

毛ヅヤ目立つ。少し緩い様にも映るので、削った時にどうかだが、ここへ入れば馬は上位。前走同様にハナへ。そして前走同様に、1000m通過60.0秒で、後半1000mを60.5秒で上がるワンペースで押し切る競馬。馬場状態勘案すれば時計も優秀で、前々走の京都戦が嘘の様な競馬振り。前走より確実に詰められていて、相手が変わってどうかという問題は有るが、距離に不安の有るステキシンスケクンが控える手に出る確率が高く、本番で展開がこの馬に向くのは間違いない。

インテレット

2人曳き。馬自体はそれ程では無いが、歩様にバネ。血統を持ち出す迄も無く、芝向き。出脚は有りそうだったが、初芝で無理せず中段から。4角外から自力で動いて直線フラつきながらも2着は確保。乗り役に言わせるとフラついたのはソラを遣ったからという事だし、ダート戦では坂もこなしていて、次走は違う筈。仮柵明けの馬場を外回って追い込んで来たのも好感が持て、今や死語となった西の秘密兵器ならぬ、東の秘密兵器級の評価は要る。

マイネルアラバンサ

2人曳き。馬振りはこの馬が断然。ゲート悪かったが、出して行って中段。前走2200mでスローだった影響か、道中の手応えに余裕が無かった。4角一旦矯めてからまた伸びて来てはいるが、掛かる位の行き振りだったインテレットとの道中の差がそのまま出てしまった。今日のところは経験の無さに原因を求めて良さそう。中山へ行く権利は無くなったが、東京はまだ間に合うし、この馬自体も距離延びた方が。

トップオブツヨシ

2人曳き。気合が乗っているというよりはイラついている印象。連闘出来る位だからデキ自体は悪くないが。出脚も有りそうだが、積極的に好位へ。このペースでも掛かる位の行き振りで行けたし、権利取るべく勝負どころからも積極的に乗られたが、最後は瞬発力の差。ユメノオーラ以降二匹目のドジョウを狙った連闘が何頭か居たが、ユメノオーラ以外は全て失敗。最初から勝てない馬は連闘でも当然無理。

マイネルポライト

首でリズムを取って歩く姿は好感持てるが、もう少し力強さが欲しい。道中は中段のイン。2着インテレット、3着マイネルアラバンサと同じ位置に居て、展開的には悪くなかった筈だが、4角で置かれた分の差が最後迄詰まらなかった。ハイペースに戸惑った印象。

エイシンテンリュー

シープスキンノーズバンド。このレース、見栄えする馬が皆無に近く、この馬も例外では無いのだが、毛ヅヤはまずまず。出脚も無く、後方から。道中頭が高く、流れに乗れず、外から動いて行ったが、あまり伸びなかった。人気になっていたが、単純に相手関係。

テューダーローズ

この一族にしては、しっかりした脚取りだが、非力は非力。出負け気味に、後方から。直線も殆ど反応せず。相手が強かったという以外に無い。

日経賞(GⅡ)

リンカーン

2人曳き。気配、歩様は良いが、今日は意外な程に雰囲気が無い。もっと前で競馬するかと思ったが、意外に行く気が無く中段から。折り合い面が毎回課題の馬だが、このペースの割にスムーズ。早目に動くと良くない馬で、4角迄大事に乗って直線だけの競馬。今日は完勝と言える内容。昨秋の唸る様なデキが無い点が今後どうかだが、取り敢えずは悪くないスタート。ただ、次走の京都戦は距離が長くて論外。

ストラタジェム

-14kg。ダート馬の様な歩様が芝でどうかだが、全く細く見えない。中山2500mの外枠はコース形態から外へ振られ易く、それを嫌って最後方へ下げる形。詰めの甘さが有った馬だが、デムーロ騎手、今日はインに固執して競馬したのが正解。前も上手く開いて最後は今迄に無い伸びを見せた。まあ、新境地切り開いたと言えなくは無いが、当然ディスタンスでのこの競馬はアテに出来ない。

ブルートルネード

-22kg。一気に減っただけに中身には疑問有るが、元々が重たかった。手先のスナップの利きも目立つ。出脚はコスモオースティンで、2番手から。1周目のホームストレッチでコスモバルクが引っ掛かったが、それにも動じず道中はスムーズ。決め手が無い分、早目に動かざるを得ず、却ってリンカーンの目標にされた面は否めないが、今日は前半のペースが遅かっただけに仕方が有るまい。

トウショウナイト

前走の京都戦はパッとしなかったが、大分中身がしっかりして来た。例に依って出脚が無く後方から。4角手前から外を動いて行ったが、直線はここ迄。上位3頭はインを立ち回っていて、この馬は外を回っただけに、仕方が無い面は有るのだが、とはいえ良馬場では毎回勝ち切れないのも確か。加えて、今年は昨年よりこのカテゴリーの層が厚いだけに。

ユキノサンロイヤル

シープスキンノーズバンド。元々良く見せる馬で、眉唾的側面は有るのだが、見た目は往時の状態に。出脚が無く後方から。終始インを立ち回って、リンカーンを目標に理想的な競馬が出来た筈だが、準オープンのストラタジェムに交わされたのは頂けない。まだ完全復調とは。

コスモバルク

毛ヅヤは良いが、一枚重い。ただ前走同様、馬にヤル気が有ったのが良い。最初は4番手位に居たが、1周目のホームストレッチで行きたがって2番手へ。とはいえ、この位置で折り合えていた筈だが、内を狙って前が壁。ホッカイドウ競馬の五十嵐冬樹騎手、2回続けて中央の騎手の進路を妨害してしまったのは、今後を思うと良い方には出ないだろう。