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競馬回顧 2004年3回京都・2回東京

京王杯スプリングカップ(GⅡ)

ウインラディウス

2人曳き。見た目だけなら東京新聞杯と同様だが、今日は更に集中力が出た。田中勝春騎手、例に依って持って行かれそうになるのを必死で御しながらの追走だが、それもハイペースでかなり紛れた印象。直線、インを突き、前が開いてからの脚は東京新聞杯以上。この馬場でのレコード駆けだし、今日はかなり強い内容だが、最後テレグノシスに詰められた様に良い脚が長く続かないタイプ。道中気負う癖は相変わらずだし、GⅠの底力勝負で脆さが出る危険も。

テレグノシス

元々が細身に見せるタイプの馬、+10kgでもまだスカッと見える。道中は後方のイン。まあ、上手く前も開いていたが、手前の替え方が何時もの左回りよりスムーズ。直線半ばで逆手前になってササッたものの、また元に戻ったし、今日は真っ直ぐ走れていた事を一番評価しておきたい。

フィートソーファスト

2人曳き。シープスキンノーズバンド。元々が540kgの馬で、輸送のトラブルでこの体重との事だが、むしろ馬は目立っていた位。悪くない筈。道中は中段のイン。叩き付ける走法で、こういう馬場も苦にしないと見ていたが、やはりその通りだった様。最後は距離っぽいが、それでも一瞬は抜け出そうかというシーン。中々強い。

マチカネアカツキ

2人曳き。前の外国調教馬が目立つ分も否定出来ないが、数字通りには見せていない。道中は好位直後。ちょっと力みながらの追走だったし、東京1400mにしては珍しく前半1000m通過が57.0秒のハイペース。こうなると元々が追って甘いタイプだけに脆い。3-6-1-0の成績が示す通りの馬。

ジョウテンブレーヴ

今日も歩様スムーズ。ただ、もっと煩い方がこの馬は走る。道中はマチカネアカツキと前後する位置から4角外へ持ち出すも、1400mの馬では無い分が追ってジリっぽい。ただ、前走もそうだった様に、馬を外に置いても嫌がらなくなったのは良い傾向。エプソムカップ勝ちの1800mならもっとやれる筈。

リキアイタイカン

スッキリ見せていてデキは良さそうだったが、歩様が一息。出負けして後方から。直線、外へ持ち出したのだが、今の馬場で外へ回し過ぎた印象。

ギャラントアロー

2人曳き。文句の付け様が無いデキ。生涯最高といって良いだろう。この馬にしてはスタート良い方なのだが、それでも東京1400mは外枠が不利。かなり前半に無理をしてしまった。従って、敗戦自体は仕方が無いのだが、前走気になった手前の替え方が今日はスムーズ。これなら左回りにメドが立ったと言えそうで、今日はこれだけでも充分な内容。エースインザレースが出走不可能になった次走は怖い。

NHKマイルカップ(GⅠ)

キングカメハメハ

2人曳き。止め絵だけならこの相手どころか現役屈指の存在だが、今後少しでも故障の確率を減らす為にも歩様に柔らか味が欲しい。戦前は追走に汲々とするシーンを懸念も有ったが、1000m通過57.8秒のハイペースにも全く動じる事無く、スムーズな追走。直線、実は手前を2回替えているのだが、坂上で2回目替えてからのフォームが何時もながら筆舌に尽くし難い素晴らしさ。もっといえば、この素晴らしさの源はスピードでは無く、馬力の違いの成せる技。同じ走法クロフネとこの馬が同じパッケージなのは偶然では無いだろう。そして、スピードの柔らかさを持っているという点でクロフネ以上のポテンシャルが。

コスモサンビーム

+6kg。もう一枚剥いでも良いのだろうが、この馬にしては歩様がスムーズ。今日はこのハイペース、今年初めて折り合えたが、中段で脚を矯め、朝日杯同様の策。馬群割って一旦は抜け切っているのだが、外からキングカメハメハ。最高の競馬でやられたのだから仕方が無いが、相手も次走ダービーならこちらもダービー。マイネル軍団の一騎としてもせめてステッキ1発位は使わせたかった。

メイショウボーラー

2人曳き。気合を内に矯める事を覚えて来たし、馬振りの良さも相変わらず。好発切ってハナへ。途中からタイキバカラが一気に行ってしまい、控える競馬を余儀無くされたのは誤算だが、近走2000mを使っていた経験はこういうところで生きてくる。

ダイワバンディット

馬は良かったのだが、とにかく煩い。道中は中段の外。4角も大外へ出したが、終始手応え良かったし、この馬なりの伸び。一頭化け物が居て目立たなかったが、マイルの方が力を発揮し易そう。

ビッグファルコン

多少トモが甘い気も。ゲートも良くなかったが、抑えて後方から。直線大外へ出したが、雨で内目が悪くなった分ここまで来れた印象。前ともちょっと差が有った。

シーキングザダイヤ

2人曳き。アーリントンカップ時は酷かったが、かなり実が入って来た。好位のイン。折り合い付いたし、もっと伸びて良い筈だが、案外の内容。馬場は、コスモサンビームが同じ位置を通っているだけに言い訳にならず、力が足らなかったとしか。

タイキバカラ

テンション高く、何時ものゴツい馬体。ゲートを故意に遅らせ、前を壁にして折り合いたかったところだが、前が開いた途端ガツンと行ってしまった。現状マイルは厳しい。

ナイストップボーイ

例に依って馬振りの良さが目立つ。歩様に柔らか味も。中段のインも、多少気負いながら。直線だけ外へ出しているのだが、追ってサッパリ。中山で突っ込んで来たが、どちらかといえばトビが大き過ぎるタイプ。こういう馬場は向かなさそう。

京都新聞杯(GⅡ)

ハーツクライ

2人曳き。気負っていたし、気持ち馬が薄い。後方待機策。道中はラチを頼っていたが、直線だけ大外へ。一旦抜け出したスズカマンボを33.4秒の決め手で差し切った。まあ、レースだけなら悪い内容では無いが、ここに来てデキが落ち加減なのはマイナス材料。

スズカマンボ

2人曳き。テンション高かったし、もう一絞り有っても。これも後方。坂の下りで勢いを付け、ラスト300mで先頭に立ったまでは良かったが、一番外からハーツクライ。これでハーツクライとは3戦3敗で、力量差という事になるのだろう。

ミスティックエイジ

2人曳き。気合は乗っていたが、トモに力が無かった。2頭引っ張る展開も、案外スローで1000m通過が59.7秒。こうなると道中は掛かり気味になってしまい、終い伸びてくれない。元々が瞬発力に欠けるタイプとはいえ、これだけ競馬に進歩が無いとは...。

マイネルマグナート

連闘の分多少コズミ気味だが、500万で終わる馬では無い。道中は離して逃げた2頭を眺めながら。道中一生懸命走り過ぎている嫌いは有るのだが、それでも自分から前を捕まえに行っての4着なら悪い内容では無い筈。自己条件なら確勝。

シンメイセレリティ

馬振り悪くないが、歩様に力強さが欲しい。道中は最後方から。流石にハーツクライとは行き脚の差が有るし、直線も雪崩れ込んだだけ。上位とはかなり差が有りそう。

フィレンツェ

母馬とイメージのダブる身体の造り。非力さ窺わせた歩様もかなりマシになってきた。道中は中段も、相変わらず勝負どころで置かれる癖が。まだパンとする余地が有るという事なのだろう。

天皇賞・春(GⅠ)

イングランディーレ

止め絵は昨年同様も、今年は馬に活気が有った。菊花賞も含めて京都の長距離戦は、内枠の先行馬の出方次第で競馬がガラッと変わってしまうが、今年は逃げた馬がアルアラン程度では無かったという事だろう。この辺は横山典弘騎手が熟知している部分だが、長距離の逃げ馬を勝たそうと思えば下手に押さえても仕方が無く、上手く12秒台のラップを刻んで、2周目4角で約15馬身差。こんな展開、一生の内一度しか無いだろうが、千載一遇の好機をモノに出来ただけでも凄い事。

ゼンノロブロイ

この馬にしてはテンション高いが、シャープな造り。ゲートも良かったが、折り合いに不安の無い強みを生かして前へ。今日こそ菊花賞の轍を踏まない様にと、坂上から上手く外へ出してはいたが、この距離となると坂を下ってから仕掛けざるを得ない。競馬の上手さでで言えば現役屈指の存在で、今日もかなり救われた面は有るのだが、戦前述べた坂上からのスパートが出来ない分、この距離は長い印象。

シルクフェイマス

2人曳き。この距離走る馬にしてはテンション高いが、これはこの馬の癖。ゲート良く、好位へ。2周目1角辺りまで多少行きたがっていたが、目下絶好調の馬、今日は関係無し。坂上からスパートも、直線向いてから苦しがっていたが、それを今日はデキの良さが救ってくれた。確かに馬に差が有り、GⅠ級では無いのだが、やはり勢いというのは怖い。

チャクラ

気配を表に出さないのは毎度。ただ、悪い時の流れる歩様が今日は無かった。好位のイン。折り合いに不安の無いタイプでは有るが、追ってからは決め手の差が出てしまった。この距離堅実だが、勝ち切るにはもうワンパンチ欲しい。

ナリタセンチュリー

2人曳き。歩様硬いのは相変わらずだし、見た目も何時も通り。注文を付けて折り合いに専念。上手くポケットへ入れてスムーズに運んでいたし、4角外へは出さず馬群の中へ突っ込んで一際目立つ伸び。コーナーで動けないトニービン産駒、直線に賭けるしか無いだけにこれしか手が無いのだが、掲示板に載った馬では唯一の後方待機組というのは評価して良い。

サンライズジェガー

デキだけなら昨年にもヒケを取らない状態だが、歩様の硬さが昨年とは違うところ。これも後方から。折り合えていたし、メンバー中No.2の脚を使っているのだが、前と差が有り過ぎた。今日は止むを得ないが、やはり長距離は堅実。

ネオユニヴァース

叩いた効果歴然も、やはり馬自体が大した事無い印象。中段やや後方。1周目の坂の下りで引っ掛かった以外はスムーズだったが、菊花賞同様早目に動いて失速。距離が長い上に、良い脚が長く続かない。

リンカーン

2人曳き。完璧だった菊花賞を思えば雲泥の差だが、これでも良くなった部類。1周丸々掛かり通し。全く動けなかった。デキが無いのも有るが、古馬の一番人気でこのやられ方はむしろ貴重。

ザッツザプレンティ

前走以上。歩様もスムーズだったし、馬に張りが有った。多少行きたがるのはこの馬の癖だが、菊花賞では折り合っていただけに、どうも外に馬を置くと良くない印象。3角から外へ出して動く意志は有ったのだが、道中ロスしていた分動けなかった。

テレビ東京杯 青葉賞(GⅡ)

ハイアーゲーム

左側だけ視界を遮る遮眼革。-10kgだが、かなりトモがシッカリしてきた印象で、ゲート互角。そして1角の不利も、馬の成長が救った。道中は中段のイン。馬格の有るサンデーサイレンス産駒にしては完歩の小さい走りをするタイプで、だからこそ切れるのだが、直線外へ出してからの瞬発力は他馬とはケタが違う印象。とにかくこの時期に日本競馬史上一番速くダービーコースを走った馬、恵まれた皐月賞馬なら逆転して当然だが...。

ホオキパウェーブ

この馬にしては落ち着いている部類。ただ、ソエ気味という話の通り、この距離を走る馬にしては多少硬さが。シェルゲームが前へ行って行き場を無くし、ならばと控えて後方のイン。上手く折り合っていたし、最内差して2着浮上。正直、馬自体に差が有る嫌いは有るのだが、とりあえず上がりの競馬に対応出来た事は評価しておきたい。

シェルゲーム

-12kg。多少気負っていたが、見た目はこれで丁度。外から先行して2番手。逃げたゼッツーが早目に止まってしまい、目標にされてしまった面は否定出来ないのだが、走法から距離が長いという事なのだろう。まあ、スプリントの差し馬としてなら大成しそうな気もするのだが、果たしてスプリントへ使ってくれるのは何時の日か。

スウィウトカレント

まだ絞れそうだが、それよりも今日はテンション高目。好位の外目。極端では無いにせよ、多少行きたがっていた分が伸び切れない。まあ、今日は初東上だけに止むを得ない面も有るだろう。馬は良いだけに、これを糧としてくれれば。

アドマイヤビッグ

2人曳き。馬っ気。成長して見栄えするが、もう一絞り有っても。下見でチャカついていた割には上手に走っていたし、4角良い感じで上がって来たが、追って案外。止まったとはいえ、2歳時天井向いて走っていた事を思えばフォームも良くなったし、この内容なら安定性も有るのだろう。叩けば変われる筈。

アンタレスステークス(GⅢ)

タイムパラドックス

歩様以外は文句無いのだが...。道中は後方。4角から捌き切れずにインを突いたが、上手く開いて直線半ばで外へ出してもう一伸び。まあ、展開向いた面は否めないのだが、上がり3F36.0秒の脚を使っていて、瞬発力を見せたのは収穫。

サイレンスボーイ

この歩様なら充分買える範囲。好発も、ネイチャーヒーラーが主張して控える形。多少行きたがってはいたが、丁度前に壁。結果的にはこの壁が勝負どころで邪魔になり、仕掛けが遅れた面は否めないのだが、あの流れをマトモに追い掛けてもそれはそれで苦しかった筈。その意味では今日の2着はそれなりに力の有る証だと思うのだが、相変わらず手前を替えない点は気掛かり。

ヒシアトラス

普段はもっとゴツい馬なのだが、今日は割とスカッと見せる。終始クーリンガーをマーク。一応、作戦自体は間違っていないが、マークしたクーリンガーに展開が無かった。とりあえずマークした相手は交わしただけに乗り役の責任は果たせただろう。

クーリンガー

良く出来ていた。良い方のこの馬。2番手からの競馬だが、サイレンスボーイの好発を、1400m馬ネイチャーヒーラーが無理やりハナを奪いに行って脚を使わされ、向正面からツルマルファイターが掛かって、早目に動かされてと、今日はとにかくツキが無かった。まあ、ネイチャーヒーラーを深追いしたのがこの事態を招いたとはいえ、不凍液撒かなくなって上がりが速くなっているだけに、一概に騎乗ミスとも言い切れない。

インタータイヨウ

シープスキンノーズバンド。まだ絞れる余地は有りそうだが、デキとしては良い筈。道中は中段から。4角もスムーズに立ち回っているのだが、追ってからのタイムパラドックスとの差は歴然。もうちょっと前で粘る競馬の方が向いていそう。

サンケイスポーツ賞 フローラステークス(GⅡ)

メイショウオスカル

2人曳き。落ち着いているのがこの距離で良い方に出た印象だが、馬自体が抜けているという訳ではない。好発。内勢を叩いて3番手のイン。頭の高い走法で、多少行きたがっている様には見えるのだが、この馬これで折り合っている。ただ、直線抜け出して逆手前になってしまうシーン。この走法で、良い脚が長く使えるタイプでは無いだけに、距離に限界が有ると見ておきたい。

グローリアスデイズ

これも落ち着いていたが、馬だけなら勝ち馬より多少分が良さそう。これもゲート悪くなかった。行きたい馬を行かせて好位直後。こちらは勝ち馬とは対照的に普通の競馬をしているが、この馬場状態だけに、この着差なら勝ち馬以上の内容を認めて良いだろう。距離適性は一部を除いて大差無いだけに、この瞬発力を一番評価したい。

ムーンフェイズ

多少硬いところは有るが、コンパクトに纏まった造り。これも好発切って、勝ち馬と前後する位置。直線向いても、前がバラけるまで暫く間が有ったのだが、とはいえ2着馬とは決め手の差を認めなくてはならないだろう。まあ、歩様良くなればもう少しやれても良い気もするが。

レイナシンフォニー

2人曳き。道中は中段。シッカリした馬の造り。4角スムーズに捌いて外へ。この馬なりに伸びてはいるが、少なくとも2着馬とは決め手の差を認めなければならないだろう。器自体に差が有りそう。

セカンドノホシ

シープスキンノーズバンド。相変わらずのチャカつき振りだが、デキ自体は良さそう。好発も、行く気が全く無く、中段やや後方のイン。直線もインから伸びてきたが、今の馬場状態でこの位置取りは後ろ過ぎ。折り合いに専念しなければならない馬の弱みが出てしまった。

マルカフローリアン

パシュファイヤー。-12kgは絞れただけ。例に依ってイレ込むが、これが解消すれば化けて良い馬体。半馬身出負け。後方で折り合い付ける策も、直線向いて中々前が開かず、一旦引いて外へ出した段階で既にラスト250m。そんな状態でここまで詰めて来たのだから、上位馬に匹敵する評価が必要だろう。オークスこそ出走不可能になってしまったが、秋以降に楽しみを繋げた。

ヴァルパライソ

2人曳き。現状これで仕方が無いとは思うが、姿勢が高い。1馬身出負けして後方から。向正面で一瞬口を割るシーンも有り、直線伸びず。不利は不利だが、不利を自分で招いてしまった印象も。

イントゥザグルーヴ

成長途上だが、上手く行けば化けそうな気配はタップリ。好発もこの大外枠、仕掛けて前へ。スローの差し馬がワンペースで走って失速した形だが、この馬場だけに騎乗ミスとも言い切れないだろう。今日はこの枠を引いた段階で展開が無かった。