Sakura Archives

競馬回顧 2001年5回阪神・5回中山

敬宮愛子内親王殿下御誕生慶祝 有馬記念(GⅠ)

マンハッタンカフェ

相当食わせ込んできたそうで、多少太く見えるのだが、ただ体高の有ってしかも胴長の馬、殆ど実になっている印象。菊花賞時も述べたが、スローでも完璧に折り合っていて、全く無駄な動作が無い。下見では多少チャカつく馬だけに、余程蛯名騎手が手の内に入れているのだろう。ただ、今日のこの馬の凄さはここからの話。向正面では前が壁で行き場を無くして後方。3角では既にステッキが飛んでいたのだが、それを外からマクって使った脚の長さ。そしてこのスローを纏めて差し切った事を思うと、この馬、想像を絶する程に強く、菊花賞からの成長が如何に凄かったか。「道中は有力2頭を見ながら進んだが、流れが遅かったので早目に外に出した。古馬の強豪相手に胸を借りるつもりだったが、最後に勝てて本当にうれしい。菊花賞はフロックだといわれたけれど、このレースで力を認めてもらえたんじゃないかな。厩舎サイドの方針もあってデビューは遅くなったけど、素質があるのは分かっていたからね。沢山のファンの応援があっていいレースができたので来年もよろしくお願いします。(蛯名騎手・週刊競馬ブック)」

アメリカンボス

ボテっと見せるし冬毛も目立つのだが、この時期はいつもこんな感じにも関わらず、実戦では問題無いタイプ。レースは、これも折り合う強みを生かした形。トゥザヴィクトリーが簡単に反応するのとは対照的に、3角から押し通しなのだが、今年の中山記念がそうで有った様に、これがこの馬の本来の姿。「スローで後半一気にペースが上がる」いわゆる我慢比べの展開はこの馬向きの流れ、渋太く食い下がっているのだが、外からあの世代の馬が飛んできては、旧世代のこの馬では太刀打ち出来ず。

トゥザヴィクトリー

最近は落ち着いているのが好感。恐らく同馬主だけに、最初からホットシークレットと話はついていたのだと思うが、労せずハナへ。今にして思えば昨年の府中牝馬ステークスが転機だったが、あの時に押さえに押さえ込む競馬をさせたのが、今にして思うと自在性を増した印象。前半1000mを62.6で行っていていて、4角で一回突き放す理想的な競馬が出来た。流石にこの相手でハイペースに持ち込んでの時計勝負は苦しいだろうから、今日は上手くいった部類なのだろう。

メイショウドトウ

ちょっと往時の張りが無いという印象だが、こんなもの。テイエムオペラオーとは対照的に折り合っていたが、3角から動いていったのは、スローだけに正解だった筈。ただ、ここで思い切って先頭に立つ位の方がこの馬には向いているのだが、前はトゥザヴィクトリーにアメリカンボス、後ろにテイエムオペラオーと考えると、やはり4角で矯めを作らざるを得ない。それでもまだ、オペラオーが来ればマシだったが、待っていた相手が来ないものだから、更に辛くなってしまった。まあ、今日は勝つことよりもオペラオー越えが最優先だっただけに、共倒れも仕方が無いといった印象も有るが。

テイエムオペラオー

デキはジャパンカップ以上、もっと言えば昨年の天皇賞(秋)時よりも上。戦前述べた通り、昨年の反動に悩まされた一年だったが、立ち直るどころか、昨年を越えるデキにまで変わってくるとは、厩舎関係者には実に頭の下がる思い。そしてその渾身の仕上げに馬が応え、何時に無く気合も乗っていて、ここまでは完璧なシナリオだったが、しかし馬が気負っていたのが今日は裏目。競馬に行って、スローで思いっ切り引っ掛かってしまった。今日はこれも競馬だと思って、運が無かったと諦める外無いのだが、目一杯やって上手く行ったが故に、マイナスの結果をもたらした訳で、最後にここまで運に見放されるとは本当に非情な結果。

テイエムオーシャン

秋華賞時とは変わらずも、ここに入ると流石に見劣る印象。恐らく決め打ちしていたのだと思うが、今日は最後方からの競馬。多少掛かっていたが、それは許容範囲。結局、展開向かなかったという一言に尽きる訳だが、ここまでの馬になった以上、この馬が人気から開放されるレースはそんなに数有るモノでは無い。従って、そういうときにこそ競馬を教えておく必要は有る。当面の結果は悪くとも、これが生きる日が後々必ず来る。今日は本田騎手の大英断に拍手を送りたい。

ナリタトップロード

ジャパンカップよりも良化。3角で全く反応が無くなってしまい、ジャパンカップ同様に外に出しても、伸びずに終わってしまった。今日の流れで後方からの競馬はどうかと思うのだが、この馬としてはそれしか手段が無くなっていた印象。

ラジオたんぱ杯2歳ステークス(GⅢ)

メガスターダム

前後2頭(4番アドマイヤマックス,6番ビワワールド)が強力で、品評会としては相手が悪過ぎた印象。ただ、毛ヅヤは冴えていた。距離不安を囁かれていたが、このスローでも力まず走れるならば、それはあまり関係の無い話。ただ、逃げた馬が馬群に沈むのが早かったし、マチカネアカツキにピッタリマークされている割には、直線も渋太い。この相手を封じ込めたのだから、それなりの評価は必要なのだが、2戦とも前半遅くなり易い阪神での競馬、今後はこういう展開で無くなった時に果たしてどうなるか?

マチカネアカツキ

長距離輸送でプラス体重、気性の心配は完全に消えた。大型馬の割にスカっと見せ、素軽い歩様、そして素晴らしいトモの張り。前半、多少気負って走っていたが、直ぐに折り合いもついた。4角で前の競馬と判断、勝ち馬をマークする方向に切り替えたのが奏功の形で、ほぼ勝ちに等しい内容なのだが、今日こそは勝ち切って欲しかった。特に今日は藤沢和雄厩舎、わざわざ敵地へ勝負を掛けて来た訳で、必勝体制の中で勝つ事こそ、真の底力が養われる一番の近道。

アドマイヤマックス

前走同様の二人曳き。気配は並の馬では無いのだが、今日は一枚重い。スローで馬群が固まる展開、断然の一番人気でマークされる立場、それでも4角で外に出した時にはまだ間に合いそうだったが、上位2頭が叩き合う形になった上、追い出してインにモタれ出す有様。手前はスムーズに替えていただけに、やはり重い分モタれた印象なのだが、この馬もここを勝つ事が至上命題だった馬、「ジックリ構えすぎました。(福永騎手・週刊競馬ブック)」にはやや疑問も残って。

ビワワールド

メガスターダムと体重差50kg有るのだが、全く差の無い見栄え。加えて今日は首差しの美しさが際立っていた。こういう馬は総じて走るが、気負っていた点が今後の課題。今日はこのスローの割に行きたがる馬が少なく、2歳戦とは思えない競馬だったのだが、やはりこの馬は行きたがっていた。それでも、前走より行きたがる癖もマシだったのだが、見た目はともかく数字は438kgの馬、インの悪いところを終始通らされては厳しい。今日は同情の余地が有る。

モビーディック

後肢の送りが硬く、踏み込み浅い。ただ、前走派手にイレ込んだ割には、今回は落ち着いていた。出遅れて差しに徹したが、展開向かなかった。ただ、アドマイヤマックスには追い負けた訳で、その点には差を認めざるを得ないところ。

ウイングブライアン

好馬体。兄ウイングアローと違って歩様に硬さが無いのが好感が持てるのだが、まだ仕上がり途上で緩い。伸びもせず、バテもせずといった感じだが、今日は芝をこなしただけで充分過ぎる収穫。

サンケイスポーツ杯 阪神牝馬ステークス(GⅡ)

エアトゥーレ

馬体増は単に戻っただけだが、相変わらずイレ込みキツい。前半4F46.0のペースを3番手で追走。それを4角先頭、直線も2番手以降が入れ替わり立ち代わりになる中を、アッサリ押し切ってしまった。前走、前々走とスローを押し切る競馬が続いていたが、トニービン産駒らしく本質はハイペースを押し切るタイプなのだろうか?森秀行厩舎、(地方・海外分込みの)東西統一リーディングが懸かっているだけに、そんな議論は関係無く、内容度外視でとにかく勝利最優先かも知れないが。

ムーンライトタンゴ

あまり気合は表に出さないタイプだが、今日は違っていた。ゲートをフワっと出して、毎度の後方待機策。4角は何処にも出せるシーンが無かった上、直線も前が壁。結果、狭い所を割って来るしかなかったのだが、その分タメが利いた模様。確かに桜花賞2着の阪神マイルなのだが、決して阪神だから走ったという様な印象でも無い。

スティンガー

戦前した通り、やはり休み明けが勝負。今日は今年の京王杯スプリングカップ同様に、素晴らしいデキだった。ゲートはご愛嬌として、どうも戦前触れた通り、右/左回りすら関係無く、デキが良くフレッシュな状態だと、集中力切れずに駆けてくれるのだろう。ただ、出す所が無くて、4角でも外に出し切れず、坂下で漸く大外に出している様では流石に突っ込み切れない。まあ、今日は回り云々が全く意味の無かった話だった事が分っただけでも有意義な一日だったのだが。

タイキポーラ

多少気負っていたがこんなもの。外から被せされると弱いだけに、位置取り関係無く、ちょうど今年、エリザベス女王杯でトゥザヴィクトリーがやっていた競馬。上位3頭は相当強力で、この馬自身切れる脚も無いのでここまでだが、今日は久々にハマった。

ビハインドザマスク

マイルチャンピオンシップと比べてしまうと、気配落ちた感は否めないが、決してデキが悪い訳では無く、かなり高いレベルでの話。人気なだけに前で競馬したいのは解らなくは無いが、今日はこのペースをまともに追っ掛けてしまった。例え少々スローだったとしても、インの馬場状態も良くないだけに、最後方から大外ブン回すだけで良かった様に思える。

ダイヤモンドビコー

馬体増はそのまま成長分で、かなり面白い馬になってきたのだが、イレ込む癖は治まらず。ハイペースを3番手で追走している訳だが、相変わらずムキになって走ってしまっている。その割に意外に踏ん張っている印象も有るのだが、現状はこの気性が全て。

ダイワルージュ

落ち着いていて、好気配。前でガリガリやりあうのを見ながら、絶好の手応えだったにも関わらず、追ってジリジリ。良く解らないとしか言い様が無い。

プラセール

気合を内に秘めて良い感じに見えたが、若干トモが淋しく映る。終始インの悪いところを通らされた事も影響しているが、初オープンでこの激流。元々、ハイペースが合わないのは解っていただけに、止むを得ないところ。

ヤマカツスズラン

毛ヅヤ冴えない。最内枠で遮眼革、引くに引けなくなってしまって...。

フェアリーステークス(GⅢ)

サーガノヴェル

Alydarの肌にDanzig産駒Bundaryを父。見た目は血統そのまま。道中は行きたい馬を全部行かせて、好位のイン。ただ、馬場を気にしたのか、4角ちょっと手応え悪い様に見えたのだが、これで伸びて来るのだから、余程モノが違うのだろう。しかも、前半3F32.5を追走しているだけに、その点に凄みすら覚える。白いシープスキンノーズバンドを着用の馬、距離延長は歓迎しないだろうが、少なくともスプリント、2歳牝馬のカテゴリーでは史上最強クラスを見込んで。

ブルーリッジリバー

前走時と変わらず。ただ、フジキセキ産駒に総じて言える事で、これ以上は酷なのかも知れないが、非力な印象。道中中段位置も、抜群の手応え。4角も上手く捌いてそれなりに伸びては来たが、前に一頭バケモノがいては仕方が無い。ただ非力でトモが甘いだけに、ゲートと最内枠でノメるシーンを懸念していたが、それはクリアしてくれた。実質、坂を駆け上がってからもう一伸びと言った印象が有るだけに坂はまだ課題として残ってしまったが、一つ一つ課題はクリアしてきている印象、大分視界は明るくなった筈。

タガノチャーリーズ

好馬体もスプリンターのそれ。Saint Balldo産駒は同じく2歳にカイトヒルウインドという馬がいるが、あの馬同様に首を使わない走法。従って追って味の有るタイプでは無いだけに、何が何でも行く一手しか無いのだが、それにしても前半3F32.5は、今年のスプリンターズステークスと同じ時計。ただ、その割にムキになっていなかったのは余程スピードが違うのだろう。従って、その分止まらなかった印象。スピードは勿論だが、この気性ならば、確かに安定性は望める。

アローキャリー

GⅠ後の中一週。頭高いのは前走時と変わらないとしても、歩様にスムーズさを欠き、流石に反動が有った。外枠でも有ったし、今日は最初から行く気は無かったと思うが、前半3F32.5で行っているだけに、追っかけバテは止むを得ない。まあ、追い出してからインにササっていたのは、GⅠの反動だろうが。

トゥインチアズ

これも前に行っての追っかけバテの形なのだが、アローキャリーにも言えることにせよ、地方(所属or出身)馬は本当に強くなった。この展開で掲示板を死守出来るのは、能力が無いと中々出来ない芸当。

カロスキューマ

馬は抜けているが、元々そういう傾向の馬とはいえ、長距離輸送で更に気負ってしまった。先行勢で真っ先に脱落。前走は、外に逃げ加減だったが、今回はそんな事も無かっただけに...。現状は気性がネックか?

CBC賞(GⅡ)

リキアイタイカン

下見でイレ込まないし、馬を大きく見せる。バラけた後方の外目。全く揉まれずに良い所だけを選んできた。やはりこういう馬場になると、大外に出すのが定跡で、その通りに大外を一気の伸び。この馬、今日が初左回りだったと記憶しているが、確かに左回りは手前の替え方が下手でインにモタれるシーンも有った。今日は大外を通ってきただけに、然程問題になっていなかったが、果たして馬場良好で、ラチ沿いを通るケースになった時に、どうなるかは注目。

ジョンカラノテガミ

攻め通り気配は良いが、一枚重い。これも後方からの競馬。戦前想定していた通りにハマったが、人気だけに多少早く動いてしまった分、勝ち馬の強襲を食らった印象。今日は仕方が無いが、力の有るところは充分に見せ付けた。

テイエムサンデー

元々そうだが、今日は一段と気配目立つ。こちらは外に出したいが一心で、最後方からの競馬。通常は良く伸びたと表現するところだが、最後方に出さないと外に出せない不利が有っただけに、この分届かなかったと表現しておきたい。

グリーンプラネット

冬毛目立つが、中山牝馬Sで2着に来た時もこんな感じ。ただ、ガレているのが当時と違う点。挟まれて後方から、とすれば、自然と外に出す競馬。ソコソコには伸びてきたが、今日に関してはスプリントは本質で無いこの馬がここまで来るのだから、如何にトラックバイアスがキツかったか、と判断したいところ。

トウショウリープ

多少気負っているが、そこはスプリント戦。最早こういう馬場になると、幾らスピードが違おうが、ハナ切る方が圧倒的に不利。瞬発力を生かすタイプでは無いので、だからこそハナを切っていた訳だが、最後は伸び負けたのは仕方が無いところ。

ダンツキャスト

+8kg。全く太くないし、以前よりイレ込まなくなった。直線入り口で、ジョンカラノテガミが外から来た際に、インに閉じ込められたのが全て。それまで手応え良かっただけに惜しい。

カルストライトオ

セントウルSに「後肢の送りが流れている」と指摘したが、そこまででは無いにせよ、今日も踏み込み一息。ただ、返し馬は実に入念。今日は馬場が全てで、結果が出なかったにせよ、こういうところは評価されて然るべし。

エイシンコジーン

明らかに太い。これも馬場に泣かされたクチだが、今日は一段とダラしない。太い所為も有るだろうが、前走単騎で勝った馬、やはり競り合うと脆い。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

アドマイヤドン

ティンバーカントリー産駒に良く見られる鈍重さが無く、トモもシッカリ張っていて好感が持てる。とはいえ周回を重ねると多少チャカついていたのが、許容範囲。要は、良くも悪くもアドマイヤベガといったところ。折り合っているというよりは、オッツケ気味。一瞬下がり掛けたシーンが有ったが、あれは結局遊び遊び走っている証拠だろう。あとは4角を上手く捌きさえすれば、勝って当然といえば当然。勝ち時計はグラスワンダー以来の1分33秒台だが、やはりそれだけの評価に値するだけの馬。

ヤマノブリザード

絞れていて、一頭だけ完成された馬体。昨年のネイティヴハートを見ている様で、追い出しのタイミングも含めて全く同じ競馬。従って、言い換えれば「4角のコースロスがかなり痛い」という事なのだが、ただネイティヴハートと違うのは、それなりに鋭い脚が長く使える事。そのネイティヴハートは脚が続かない故に、最近薄氷を踏む思いでレースがギャンブルと化しているが、この馬はこれだけ脚があるならば、安定したレースが出来る筈。自ら体当たりに行っているという説も有るが、少々コスられても怯まぬ気性、そしてこの脚。競走馬としての資質は高い。

スターエルドラード

デイリー杯2歳Sとは別馬。前走も決して細くは映らなかったのだが、馬体増でも決して太く見せず、中身が変わったのが外から判る。シャキっとして、ムダ肉が筋肉になってきた印象。折り合ったし、スムーズに競馬が出来た事も有るのだが、それにしてもこの相手でアワヤといった伸びだっただけに、やはり馬が変わったという事だろう。加えて良く考えれば、外枠不利の中山マイル、相当この馬の評価を上げておかないと。

バランスオブゲーム

名前通りバランスの良い馬なのだが、気負っている印象。新潟2歳S時もこんなものといえばこんなものだったが、この時期にあれだけの発汗があるのは、この馬の個性としても気負い過ぎていた印象は拭えない。とはいえ実戦に行っても、多少行きたがるシーンも有ったが、気負っていた割にはそれなりに我慢していた。4角前が壁で行き場を無くすシーンも有ったし、バラけて前が開いてからも、かなり狭いところだっただけに、今日の敗戦は仕方が無い。後々期待は持てる程度には駆けてくれた印象。

アグネスソニック

例に依って垢抜けた馬だが、イレ込みも毎度。とはいえ、今日は気配目立っていたし、比較的イレ込みもマシな部類。好発馬も折り合いに専念。4角持ったまま、インから一端抜け出しているのだが、瞬発力が足らずそこからが甘い。絶好位にいただけに、もうちょっと何とかなってもと思うが、東京でのレース振りを思うと、良い脚を長く使うが鋭さが足らないのは否定し難く。

シベリアンメドウ

凄まじいまでのトモを見せ付け、如何にも馬力タイプで、スプリンターの印象。4角でヤマノブリザードに被せられたのが全てだが、とはいえ、そのヤマノブリザードは札幌2歳Sで似た様な位置から馬群を捌いて来ただけに、後藤騎手、あの位置での不利は言い訳にはならない。

オースミエルスト

パドックは落ち着いていても、返し馬で気負って、レースでは競馬にならない位にムキになってしまってはキツい。こうなると、例に依って「現状はスプリント」としか言い様が無くて。

中日新聞杯(GⅢ)

グランパドドゥ

前捌きが硬いのだが、何時もの事。この馬が一番良く見えたのは昨年のローズステークスと記憶しているが、あの時程では無いにせよ、大分デキは戻ってきた。ゲート失敗したが、誰も行かないと判断するや否やハナへ。向正面で、掛かった馬が数頭絡んできたが、ここは押さえ、3角から再び脚を使う競馬。中々トリッキーなレース運びだが、残してしまうのは中館騎手の手腕に依る部分が大きいのだろう。中館騎手も増沢二世と呼ばれて久しいが、その手腕にますます磨きが掛かってきた印象。

マイネルブラウ

輸送を考慮して攻め手控えたのだろうが、それが裏目で今日は重い。何時も掛かり気味の馬で、むしろその方が走るのだが、今日は幾ら何でも完全に持って行かれただけに、最後まで踏ん張り切れない。ただ見方を替えれば、今日はスローで止むを得ない面も有り、次走ペースが速くなれば、デキは完全に戻っているだけに怖い。

タフネススター

減らなかったのは好感。加えて、何時もよりイレ込みマシ。出遅れ癖は織り込み済で、何時もの様に後方からの競馬。ただ今日は何時もと違っていて、自分から意識的に動いて行った。前はかなり楽をしているだけに、捕まえるのは最初から無理な相談だが、それでも最後までシッカリ伸びていた様に、地力を確実に付けてきた印象。加えていえば今日は別定戦。評価は更に上がる。

ティコティコタック

毎度のイレ込み。加えて、冬毛目立ってきた。このスローでも折り合っているのだが、追ってから手前替えずにインニモタれてしまった。左回りは府中牝馬Sが好内容だっただけに、これが原因では無い筈。だとすればエリザベス女王杯の反動と受け取るのが自然。

トーホウドリーム

大阪杯程では無いにせよ、この馬としては良い部類。ただ気で走るタイプだけに、欲を言えば活気が欲しい。こちらはタフネススターとは対照的に追い出しを我慢していたクチ。ただ、直線で不利があったのが痛い。あれが無ければ面白かったが...。

阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

タムロチェリー

絞れていて、皮膚の薄そうな馬体。叩いて確実に良くなった。遮眼革着用の馬、その割に押してまで中段につけていたのは正直疑問を感じたのだが、ペースがそれ程速くないにも関わらず、何故かこの馬の回りはバラける展開。追えば追うだけ伸びる事は小倉2歳Sで解っているだけに、少々強引でも馬が応えてくれる。前走不利の有った馬だが、今日はたった一つの幸運がイモヅル式に勝利を呼んだ印象。そして、今年の2歳戦は追って伸びる馬が本当に強い。

アローキャリー

ラストタイクーン産駒にしては珍しく歩様は硬いが、トモの張りは同産駒のそれ。内枠を生かしてハナ。そして絶妙なペースの逃げ。あまり首を使わない走法で追って伸びる馬では無い筈だが、これをファロン騎手が追いまくって無理やり残した形。今週は恒例のワールドスーパージョッキーズシリーズが開催されているが、例年差しが決まるケースが多いにも関わらず、今年は前が残るケースが目立っていた。従って、やはり前有利な馬場だった点は否めない。

オースミコスモ

こちらは血統そのままで、フジキセキ産駒独特のトモの甘さ。ただ、張りと毛ヅヤは目立っていた。掛かるシーンも有るには有ったが、前半あれだけ気合付けて行けば多少は止むを得ず、それは騎手のミス。フジキセキ産駒で見た目にトモが甘いだけに、坂が得意では無く、余計にその影響は最後に応える。あれだけ前を深追いしなければ、少なくとも2着は有った筈で、実に勿体無い競馬。

キタサンヒボタン

馬体に変化は無いが、前走よりは無駄な仕草が目立つ。こちらはオースミコスモとは対照的に最初から掛かっていた。4角のコーナリングもマズかったが、やはり引っ掛かった分、追い負けた印象。戦前掛かるという評判は無かっただけに、こちらは同情の余地が有る。まあ、下見の段階からちょっと気負っていたのでその前兆は有るには有った訳だが、それは結果論なのだろう。

マイネヴィータ

流石に稽古量充分。キッチリ出来ていた。勝ち馬よりちょっと前のバラけた位置で折り合い付いていた。4角でキタサンヒボタンに弾かれた分も有るが、それでも勝ち馬はその後ろから来た事を思うと、ちょっと瞬発力が足らない印象も有る。ただ、好意的に考えると、2着は逃げ馬だった訳で、もうちょっと前が崩れてくれないと、といった同情の余地も。

ヘルスウォール

鞍下に汗が目立っていたが、これでもイレ込みはマシな部類で、相変わらず見栄えする馬体。折り合いを心配していたが、むしろ押し気味の追走。直線前が壁になるシーンも有ったが、ここを割って来きてこそGⅠ。まだまだ力が足らない。

ツルマルグラマー

好馬体だが、荒削り。今日はインにモタれて全く競馬にならなかった。ラチを頼らないとダメなのか?

スポーツニッポン賞 ステイヤーズステークス(GⅡ)

エリモブライアン

意図的に絞ったと思うのだが、にも関わらずイレ込まなかった辺りは成長の跡。1周目は最後方で折り合っていたが、2周目正面から2角辺りまで、一気に持って行かれる形。本命馬が動いただけにここで慌しくなったのだが、そこで一旦矯めが利いたのが今日最大の勝因。3角からのロングスパートが見事に決まった。まあ、掛かり癖も常識の範囲に収まってきたといったところ。

スエヒロコマンダー

あまり目立たなかったが...。折り合いをつけるというよりは、長手綱で馬の気に任せる競馬。今日はレースをしているというよりは、むしろ如何に動かないかが全ての様に乗られた。早目先頭の形だが、道中これだけロスが無ければ、流石に粘り込める。途中馬が行きたがる事も有ったと思うのだが、武幸四郎騎手、持ち前のリーチの長さを生かして、その辺りを無駄なアクション一切無しで押さえ込んだのは好騎乗。

タガジョーノーブル

馬体減は単に絞れたもの。楽にハナ切っていたが、スロー過ぎて2周目3角から一気にペースが速くなってしまった。もうちょっと速いペースで逃げないと後続が来るのが早くなってしまう。それでもソコソコには粘っているのだが、これ以上のペースで逃げられないとしたら、この距離は諦めた方が良いかも。

ビッグバイキング

今年は地味だが、好調持続。後方で折り合いをつけるというよりは、単にズブいので動けなかっただけ。2周目3角で一気にペースが上がった時もスッと上がって行けず、今日はこれが最後まで響いた形。もうちょっとハイペースになるのが理想だが、数少ない長距離重賞、皆が大事に乗ってスローになるのは仕方が無い。言い換えれば、ここで上がっていけるかどうかが、重賞級とそうで無い馬との違い。

ゴールドレジェンド

イレ込み。これはビッグバイキングとは対照的に意図的に動かなかったクチ。恐らく、最初から着狙いだったと思うが、望み通りの結果では?

メイクマイディ

幾らこの馬のクセとはいえ、あれだけイレ込んでは競馬にならない。

マイネルデスポット

どうもパッとしない。菊花賞であれだけ折り合っていた馬が、今日は引っ掛かっていたのが気になるのだが、ハナ切らないとダメ?