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競馬回顧 2023年1回京都

第137回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

ヒートオンビート

-8kg。前走中山戦が太かった。狙い通り、数字分だけスッキリ。今日は歩様もスムーズで、下見からケチを付けるところはない。ゲート五分。油断すると引っ掛かりそうな気配も有ったが、ジワッと急かさず中段のイン。何とか我慢して走っていたが、例に頭の高い走法は良くも悪くも目立つ。直線は馬群が横に広がったことで、前も開いていたが、追い出しは出来る限り我慢し、ラスト400mを切ってから。ラスト300m程で左手前になり、馬がフラフラだったが、鞍上で必死で御して前を行くディアスティマをアタマ差捕まえた。やはりこの条件は強い。ただ、馬にひと癖有るだけに、鞍上の好騎乗が有ってこそ。鞍上の仕事という点ではダービーのタスティエーラ以上の内容。

ディアスティマ

遮眼革。前肢にバンテージ。-12kg。数字は絞れたとみていい。踏み込みがしっかりして、集中して歩けていた点も好印象。好発。そのまま積極的に乗られて先行。逃げるかどうかは内の出方次第だっただろうが、当初並走していたバーデンヴァイラーが1角手前で引いたことでハナへ。1000m通過62.1秒とダービー以上のスロー。向正面で突く馬が出て来たのは流石に仕方がないところだが、ハナだけは譲らず、直線へ。バラジも良く食らい付いていたが、ラスト400m位から少しずつ突き放して一旦は完全に抜け切る形。結果的にちょっと早かったということにはなるが、これは誰も責められないだろう。単騎にさえ持ち込めば渋太い。

サリエラ

シープスキンノーズバンド。+8kg。中々馬体が成長せず、休み休み使われているが、半年休養してのモノだけに、もっと増えてもいい。ただ、歩様が実に柔らかい。ゲートも微妙に悪かったが、無理することもなく、中段やや後方から。子のスローだけに、向正面で動く手も有っただろうが、初距離,休み明けということも有って、道中はあまり動かず、待機策。その分も有るが、直線はいい脚を長く使えた印象。前には届かなかったが、距離にも牡馬相手にもメドが立つ好内容の3着。姉サラキアは有馬記念2着馬だが、この馬もその可能性は有りそう。

ゼッフィーロ

寸が詰まって、歩様にも伸びがない。この点だけをいえば短距離志向だが、464kgの馬の割にかなりスッキリと見せる。ゲートはそこ迄悪くなかったが、出脚がなく後方から。向正面で外へ馬を置かない状態にしたが、結果的にこれが良くなかったかも。行くところがなくて4角は大外。反応も良く、いい脚を使っているが、流石に最後は甘くなった。セコい競馬が出来ていたら、結果も違った筈。競馬が上手そうではないのはネックだが、実力そのものはこの相手でも足りる。

プラダリア

後肢にバンテージ。今日は小ぢんまりと見せて、先入観がなければ如何にも長いところが向きそうなタイプ。ただ、前走阪神戦の方が明らかに馬は良かった。歩様も伸びやかだが、少し緩さも有った。半馬身出負け。直ぐディアスティマに叩かれる格好となったが、押して挽回して好位直後。この形でも折り合いは付いていた。道中は内目に居て動けない位置だったが、直線に向いてからの反応は良く、ラスト300mの地点で最低でも3着は有りそうな脚勢だったが、最後の詰めを欠いた。以前にも述べた様に、ロクなことがない青葉賞馬としては頑張っている方だが、今日はデキが本当ではなかったか。

第90回東京優駿(GⅠ)

タスティエーラ

2人曳き。馬体に迫力が有るというタイプではないが、柔軟性が有るのが最大の長所。気配も良かった。ゲートはむしろ微妙に悪かったが、出脚でカバーして好位。記録上は1000m通過60.4秒だが、パクスオトマニカが大逃げを打ってのもので、実質はスロー。馬群の外だったが、シーズンリッチを前に置いて何とか我慢して走っていた。直線に向いた段階で、パクスオトマニカとは10馬身程の差。ホウオウビスケッツと一緒に伸びて来て、ラスト200mで先頭。そこでホウオウビスケッツに脚がなくなり、一瞬だけフワッとした様にも見えたが、鞍上が必死で追ってクビ差踏ん張り切った。中山戦時に述べた様に、馬も器用だが、それを生かし切った鞍上もお見事。ただ、逆にいえば絶対的破壊力を感じず、馬の将来は微妙。今後も堅実には走ってくれるだろうが、現状だとシャフリヤール程度の評価。

ソールオリエンス

馬体はそこ迄変化ないが、今日は少し歩様が硬いのがマイナス。首でリズムを取って、馬に活気は有り。気配は良かったが。ゲート五分。今日の馬場で人気を背負ってあまり後ろから行く訳にも行かず、好位直後。出して行った分、少し行きたがっていた上に、左回りが初めてとのことで内へモタれてもいた。直線に向いてタスティエーラの直後。馬もスッと反応しなかったが、中々前が開かず、苦しい展開。ラスト200mでタスティエーラの外が開いたものの、今度は手前が替わって脚が鈍り、一瞬はハーツコンチェルトに交わされそうになったのだが、そこで馬が根性を発揮して何とか2着は死守した。間違いなく馬は強いが、早仕掛けで落とした一昨年に次ぐ僅差2着の鞍上は責められても仕方がないだろう。鞍上の技量不足は明らか。

ハーツコンチェルト

2人曳き。前肢にバンテージ。-4kg。胴長でスカッとした造り。ハーツクライ産駒にしては歩様が伸びやかなのがいい。集中力も有った。ゲートが微妙に悪いのは何時ものこと。出脚もなく後方から。スローを嫌って距離損のない向正面で外を進出して中段。何処かのタイミングで鞍上がタスティエーラがいい形になっていることに気付いた様で、ソールオリエンスを内へ閉じ込めつつ、早目にタスティエーラを追い掛ける形。それでも回転数が足りず、一瞬はタスティエーラに突き放されていたのだが、ジリジリ差を詰めてクビ+ハナ差の3着。好素材で有ることは前走で触れたが、それでも致命傷になり易い弱点も有る中で、鞍上の好騎乗。ただ、これも今後はアテにし辛い。

べラジオオペラ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。前走中山戦より、今日の方がスッキリと見せる。気配に集中力が有って、正に究極の仕上げ。好発。前走は先行策を取ったが、今日は鞍上が戦前から決めていた様で、控えて中段から。出脚を使っていないことも有るが、上手く折り合って走れていた。ハーツコンチェルトやスキルヴィングが向正面で動いて、外は出入りが有ったが、内は関係なく、この点もいい方に働いた筈。直線に向いてから一瞬の反応が有り、タスティエーラと同じ脚で伸びて来たが、ただそのタスティエーラを最後迄捕まえ切れず、最後に最後に馬が諦めたところを後続に差されて4着に。外が1頭だったらこの馬が2着だっただろうが、ソールオリエンスとハーツコンチェルトが併せ馬で来た分だろう。それでも2,3着馬の道中でのロスを考えると、こちらは完璧に運んでいただけに言い訳もし辛いところ。微妙に距離が長い。

ノッキングポイント

2人曳き。+4kg。デビュー以来、最高体重。腹回りがボテッと映って、見た目にも少し重たい。テンションが高いのも気になった。積極的に乗られて好位。これ迄の最長距離が1800m。しかも阪神外回りでのモノだけに、少し行きたがるのは致し方ないところ。基本的には上手く折り合っていた方だろうが、向正面で外から動いて来た馬に連られたのは痛かった。位置取りを悪くした上に、連られた分、最後に甘くなった。血統からこういうタイプでは有るが、今日はデキのや経験の問題等、やれることは有ったのは残念。

第6回葵ステークス(GⅢ)

モズメイメイ

+10kg。少しでも増えたのはいい傾向。胴長でスカッと見せるタイプだが、もっと増えてもいい位。ただ、1200mにしては落ち着いていた馬が多かった中で、今日は少し煩かった。ロケットスタートとしか表現のしようがない好発。一瞬で2馬身近く抜けていた。今日の馬場で600m通過が33.9秒。それを単騎で行けたのだから、楽が出来た。今日の馬場だと上がりが速く、後半3Fを33.2秒で纏めて快勝。ただ、ゲートで1馬身半差のリードを貰って、最後は2着に半馬身差。単純計算では微妙な面も残る。鞍上の話では今後もスプリント路線を目指す様だが、一度控える競馬でどうなるか...。実際のところ、ベストは1400mという気もしないでもない。

ルガル

スプリンターらしく馬をドッシリ見せるのがいい。それで居て、馬体に張りが有る。毛ヅヤも冴えて、歩様もスムーズ。直ぐ外のビッグシーザーに対し、半馬身程、出負け。それでもこの馬の出脚と枠の利で中段。ビッグシーザーの直後で、競馬の組み立てとしては理想的な形。ペースがそれ程、速くなかった分も有るにせよ、道中の手応えにも余裕が有った。人気を背負ったビッグシーザーが早目にモズメイメイを捕まえに行って、ラスト100で甘くなったところを内から交わして2着浮上。ゲート以外は競馬が上手そうなタイプでは有るが、評価が難しい内容。

ビッグシーザー

+6kg。デビュー以来、最高体重。いい馬なのは間違いないのだが、少し腹回りはボテッと映る。歩様はスムーズ。ノンビリ歩けていて、気配も問題ないが。モズメイメイが速過ぎるだけで、この馬もゲートは速かった方。ただ、好位には付けていたものの、一枚重たい分なのか、斤量なのか、序盤の行き振りが少し悪く、オッツケ気味だった。それでも単勝1倍台の人気に推された馬の責任として、積極的に前を捕まえに行く競馬。道中の余裕がなかった分、最後に甘くなった。4連勝で来ていただけに案外だが、今日は条件が噛み合わなかった感も有る。古馬相手に斤量が軽くなった時に見直してみたい。

ブーケファロス

背丈が低いだけで、434kgの数字以上に馬をドッシリと見せる。気配も良かったが、歩様が少し硬い。ゲートは五分に出たが、外枠だった影響も有ったか鞍上に行く気がなく、中段やや後方から。道中は掛かる位の行き振り。有る程度、外を回されるのは仕方がないところだが、徒に動かずジッとして直線勝負。前が33.2秒で上がる展開ではどうしようもなかったが、重心が低く、全身を使ったフォームはひと際目に付いた。勝ち切れるかどうかは展開次第だが、脚は持っている。何処か大舞台で突き抜けても不思議はない。

アームズレイン

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、垢抜けた馬体。ただ、歩様は硬目。発走地点で左前肢落鉄したが、馬が落ち着いていた為、影響はなかった。ゲート五分。好位グループの他馬と比較して、出脚には余裕が有る様に見えたが、鞍上に急かす様子はなく、いい位置で流れに乗れた。それだけに直線はもう少し伸びても良かったが、手前が替わらず雪崩込んだだけだった。手前が替わらないのは、前走中京戦も同様。1000万から再出発することになるが、この点が解決しないことには少し厳しいかも。

第84回優駿牝馬(GⅠ)

リバティアイランド

前後肢にバンテージ。馬の素晴らしさは今更説明する迄もないが、今日は少しテンションが高目。もう少し落ち着いてくれるに越したことはない。一完歩目は怪しかったが、今日は出脚が有って、好位直後のイン。それでも折り合いは付いていた。道中はレミージュがずっと外に居て、フタをされる様な格好になっていたが、4角でそのレミージュに脚がなくなり、自然と前が開く形。前が開かなくても何処かに進路は有っただろうが、今日はこれで楽に勝てた。ほぼ持ったままでラスト200mで先頭。そこで今後の為にとステッキを入れた際に手前が替わってフラついてしまったが、立て直してからは後続を離す一方だった。今日も圧勝といえる内容。結果的に距離が延びて他馬が苦しんだ分、この馬には有利となったか。細かいところで若さは残っているが、抜けて来る時のトビの高さは天性のモノ。やはりワールドクラス。取り敢えず今秋は京都戦,東京戦となりそうだが、来年よりも東京戦が一番のヤマ場。東京戦さえクリア出来れば文句なしの世界一といえるだろう。

ハーパー

+6kg。トモが張って、メリハリの利いた馬体。歩様は今日も少し硬いが、左右のバランスの悪さはなくなった。好発。出脚自体は微妙だが、少し出して中段から。今日は徹頭徹尾、リバティアイランドをマークする形。リバティアイランドに対し、1角迄は真横に居て、そこからは1馬身後方から。道中の行き振りは少しズブい位に見えたが、いざ追ってからも反応が鈍い様に見えた。この手のケースは追っ掛けバテし易いのだが、一瞬の脚がなかった分、却って最後の踏ん張りが利いた印象。鞍上の工夫も有ったが、距離が延びていい方に出た。ただ、牝馬で長いところを得意とする馬は使えるところが少ない。今のところ、牡馬相手で勝てる迄の迫力も感じず、もう少し機動力が欲しいところ。

ドゥーラ

スカッと見せて、胴長の馬体。最初から長い距離向きと評されていた馬。ノンビリと歩けていた点も好印象。ゲートが微妙に悪いのは何時ものこと。例に依って後方からジックリと。ところどころでオッツケる場面も有ったが、それでも何時もよりは追走に汲々といった感じではなかった。4角は大外。今日はそこ迄、ペースが速かった訳ではなく、馬場状態を考慮しても大外ブン回しは得策ではないのだが、それで2着のハーパーとクビ差なら良く追い込んでいる。この戦法も馬の個性を考えると仕方がないところだが、そのハーパーの項で述べた様に、今後の使いどころが悩ましい。

ラヴェル

444kgの馬だけに、もう少し成長は欲しいところ。ただ、馬体に柔軟性が有って、それで居て歩様にブレがない。体幹が強いタイプ。好発。鞍上はハナへ行っても良さそうな雰囲気だったが、ライトクオンタムが主張して、好位のインに控える形。前がバラバラの展開で、折り合いも付いた。直線に向いてから後続を待たずに追い出し、ラスト400mで先頭。流石に早過ぎたが、ラスト200mでリバティアイランドに捕まってからもズルズルとは行かず、良く踏ん張っていた。今日の勝ち負けだけをいえばもっと矯めて乗られた方が良かったが、これはこれで馬を強くする競馬。近況は案外だったが、リバティアイランドを唯一負かした馬として、胸を張れる内容。

シンリョクカ

+8kg。腹が巻き気味で見た目に馬が細いタイプだけに、馬体が増えたのは無条件で歓迎。落ち着いていたのも何より。好発。枠は遠かったが、この馬の出脚で中段から。基本的にはハーパーと並走して、リバティアイランドをマークする形。道中の手応えはハーパーより良かったが、2頭並走しながらマークする形は外の馬が想像以上に厳しいケースが多く、今日もそのパターン。直線もハーパーと一緒に伸びて来たが、ラスト100mで甘くなった。今日は枠に泣いた印象。力負けではない。あとは如何に馬体を維持出来るか。

第30回平安ステークス(GⅢ)

グロリアムンディ

前後肢にバンテージ。+9kg。デビュー以来、最高体重。数字分だけ、重いのだろうが、馬体には張りが有った。歩様もしっかりしていて、陣営が言う程、ケチを付ける感じではない。好発。ハナへ行く手も有っただろうが、無理せず好位のイン。といっても、セコい競馬というよりは向正面後半から前を捕まえに行く強気の競馬。最後は明らかに脚が上がっていたが、後続も差して来ず、完勝といえる内容。ただ、次走に関して大井戦はスキップして、秋の中京戦目標とのこと。スムーズなら通用していいが、何故かテンに他馬と接触する場面が多く、コース相性が微妙。

ハギノアレグリアス

-9kg。500kgを超えるを見た目に重苦しく、これ位で丁度。少し歩様は硬いが、ダートなら許容範囲。馬に活気も有った。げーとも微妙に悪かったが、押して行った馬が多い中で、こちらは無理せず中段からジックリと。3角でグロリアムンディが先頭に立った際も、特に慌てることなく、自分のタイミングでの追い出し。4角で上手く捌いて抜けて来たが、直線で何度も手前が替わっており、前を捕まえる程の伸びではなかった。グロリアムンディは勝ちに行く競馬をしただけに、負けたのは仕方がないとしても、もう少し差を詰めて欲しかった印象。このままではGⅠで通用しない。ジョッキーの騎乗としては満点をやれるが、馬には課題が残った。

ヴァンヤール

534kgの大型馬だが、骨格がしっかりして、バランスの取れた好馬体。キビキビ歩けていて、前走阪神戦以上。ゲートを決め、この馬の出脚で中段から。今日はロングスパート戦になったが、向正面で既に置かれ加減。行き脚が付いたのは4角手前位からで、結局は直線一気の様な競馬になってしまった。逆にいえば、その割には良く追い込んでいるということもいえるのだが、少し勿体無い内容。距離はもう少し有っても良さそうだが、今のダート路線で2000m以上の番組は交流戦が殆ど。それだけに賞金が加算出来なかったのが痛恨。

タイセイドレフォン

3歳時の方が馬が良かった気もしないでもない。馬体の張りがイマイチ。歩様ももう少し伸びが有った筈だが...。ゲートは躓き気味に出たが、全く影響はなく、スッと好位。序盤はグロリアムンディと並走する形。向正面でグロリアムンディが動いた際に付いて行けなかったが、最後こそ甘くなったにせよ、良く食らい付いていた。3歳時は重賞だとワンパンチ足りない印象だったが、今日のメンバーでこれだけ走れば、多少なりとも力は付けているということはいえる。今日はデキが甘かっただけに、状態面の上積みが有ればタイトルに手が届いても。

メイショウフンジン

もう少し馬体にメリハリが有ってもいいが、トモが張って、デキはまずまず。集中して歩けていた。ゲート五分。出脚はサッパリだったが、押してステッキを入れて先行。スムーズに運べていたが、向正面でグロリアムンディに入られたのが痛かった。結果的にロングスパートが要求される形になり、直線で余力なし。出脚がない割に先行して買っている馬だだ、こういうことが有ると、もう少し機動力が欲しい。

第18回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

ソングライン

2人曳き。前肢にバンテージ。計測の有る国内戦に限ればデビュー以来、最高体重。少しフックラ見せたが、変に硬くなければ力を出せるタイプ。テンションが高いのも何時ものこと。例に依ってゲートが微妙に悪かったが、それ以上に直ぐ内のスターズオンアースが悪く、何とか中段は確保。300m程走ったところで、前が塞がって一瞬手綱を引っ張るシーン。ところどころで少し行きたがっていた様にも見えた。前が最初から開いていたとはいえ、それでも直線に向いていい脚を長く使ってソダシをアタマ差。道中の悲惨さは昨年以上だった様に見えたが、それでもへこたれずに走り切った根性を高く評価したいところ。ただ、連続好走が出来ないタイプ。次走も東京戦だが、些か微妙。

ソダシ

前後肢にバンテージ。+8kg。これもデビュー以来、最高体重。少し余裕残しだろうが、白毛だけに余計にそう見える分も。歩様も滑らか。ゲート五分。内からスプリンタータイプの馬が頑張ったことも有り、この馬としては進んで行かず、少し強引に内へ切れ込み、2番手へ。逃げたロータスランドのペースが1000m通過58.5秒とスローに近い流れ。この位置で流れに乗れたのが大きかった。直線に向いて前のロータスランドも手応え充分。トビが大き過ぎて、回転数では完全にロータスランドに負けていたが、それでもジリジリ伸びてラスト100mで先頭。最後の最後にソングラインに掴まったが、惜しい2着。スタート直後の件は行儀が悪かったが、それはそれとして敗因はない。勝負には勝ったが、競馬に負けただけ。

スターズオンアース

前後肢にバンテージ。元々が胴長でゆったりとした造りの馬だが、前走阪神戦よりは締まって見えた。歩様も伸びやか。意外にもゲートが決まって、少し押して道中は中段。ただ、昨春阪神戦以来のマイル戦だけに、行き振りが悪いのは仕方がないところで、道中はオッツケ気味。それでも内に居た利は大きく、直線に向いてソダシの直後。鞍上としては最高の仕事が出来たが、この馬にとってマイルは短く、直線は伸びあぐねた。戦前はスプリンタータイプが強いと述べたが、結果的に少し雨が降ったことで、1分32秒台の決着となり、正にマイル適性の高い馬が1,2着。距離適性が更に上のこの馬としては、もう少し雨が降って欲しかったところ。

ディヴァーナ

全身を使って、気配は抜群に良かった。動きが大きいので、422sの馬としてはかなり大きく見せる。昨年とは別馬。ゲートで半馬身後手。出脚もなく後方から。尤も、ソダシの幅寄せが有り、最初から後方だったことで不利を食らわずには済んだメリットも有った。3角手前で外から少し番手を上げ、直線も外から。流石に最後は甘くなったが、一瞬は突き抜けそうな勢いだった。母ヴィルシーナは2013,2014年と連覇。血統なのか、それ迄は重賞もままならなかった馬だが、余程この条件が合うのだろう。来年も使う様なことが有れば、狙ってみても面白い。

サウンドビバーチェ

2人曳き。前肢にバンテージ。前走阪神戦より、今日の方が落ち着いていた。人気どころも含めて、今日のメンバーだと迫力上位。歩様も問題なかった。ゲートを決め、この馬の出脚でジワッと好位。道中の雰囲気は悪くなかったが、4角手前で内からスターズオンアースに並ばれた辺りから手応えが怪しくなり、直線も伸びずバテずの5着。鞍上の話では、雨の馬場を気にしたとのことだが、かといって1分30秒台の決着も望むところではなかった筈で、もうワンパンチ欲しい。

ナミュール

+4kg。デビュー以来、最高体重。筋肉の輪郭が浮いて、デキ自体もいいのだろうが、この馬の場合は如何なる状況でも馬体増は無条件で歓迎。見た目は背丈が伸びたのか、まだ増えてもいい位。歩様に硬さがないのもいい。この馬としてはゲートを決めたが、ソダシが内へ寄せて来て、手綱を思い切り引っ張る場面。スタート直後に寄せて来たならまだマシだったが、スピードの乗った300m程のところでブレーキを掛けさせられたのが更に痛かった。最後の最後に伸びて来ているが、参考外。

第68回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

レッドモンレーヴ

-6kg。下見は最後方を周回していたが、1人で曳いて落ち着いていた。数字も絞れたとみていい。馬に迫力はないが、歩様にブレがなく、気になるところもなかった。ゲート内でガタガタしていたことも有り、出遅れ1馬身不利。そのまま後方からジックリと。このレースの度に述べている様に、東京1400mで外を回していいことはないのだが、今日は小細工なしで乗られ、内に入れる場面が一切なく、枠なりに回って直線も大外。スローの決め手勝負になったが、1頭だけ脚が違った。着差は半馬身でも圧勝に近い。次走も東京戦だろうが、ソングラインやソダシといった日曜日の上位馬とシュネルマイスターが相手なら、充分足りるかも。ただ、ゲートは出るに越したことはない。

ウインマーベル

2人曳き。遮眼革。スプリンター色の強いドッシリと見せるタイプ。ただ、筋肉の輪郭が浮いて、歩様も問題ない。デキにケチを付けるところはない。ゲート五分。1400mだと流石に出脚も速い方だが、折り合い重視で乗られ好位待機。それで少し引っ張り切りの追走。4角でピクシーナイトを内に閉じ込めるイメージで少し早目に動いた割に、直線に向いてから暫くモタついていたが、ラスト200m辺りからジリジリ加速し、最後の最後に2着浮上。もう少し加速が俊敏だったら勝っていただろう。2着の多い馬だが、1200mからの参戦だっただけに、同じ2着でも意外な内容。ただ、この後は一息入れて、札幌戦から本番の中山を目指すことになる様だが、今日の内容だと1200mが微妙になって来た。その一方で、右回りの方がいいことも確かだが...。次走は違った意味で注目。

ダディーズビビット

盛んに首を上下に振って、いつも以上にテンションが高かった。骨格の立派なタイプで、例に依って馬は見栄えするのだが...。好発。少し出して行って、好位の外。折り合いはスムーズに付いていた。スロー故に直線に向いた段階では全馬が伸びていた状態だったが、その中でもジリジリ加速して、ラスト200mで先頭。この時点で左手前になっていた割には、その後も止まっていなかったが、上位馬の決め手が一枚上手だった。競馬にロスがないので、ちょっとした器用さが要求される1400mは合う。ただ当然ながら、勝ち切るにはもうワンパンチ欲しいのも確か。

アヴィラーレ

2人曳き。数字の割にトモが張っていることも有るが、どちらかといえばマイラー体型。その分、歩様に伸びを欠くが、窮屈さはなかった。集中して歩けていた点も好印象。ゲートも微妙に悪かったが、鞍上にも行く気がなく後方から。基本的にはレッドモンレーヴの後を追い掛ける形。ただ、コーナーで少しセコいことを考えて、馬群を割ろうとしたが、スペースが開かず、結果的に全部行かせてから外へ。メンバー中、最速の上がりで追い込んでいるが...。尤も、この馬自身も少し反応が悪く、スムーズでもどうだったかは微妙な部分も。外枠に泣いた部分も有るにせよ、次走で人気になるなら嫌ってみたい。

レイモンドバローズ

前後肢にバンテージ。-6kg。オーナーの好みも有るだろうが、胴長の造りで馬に迫力が有るタイプ。下見所の外を周回して、気配も良かったが、まだ腹回りがボテッと映る。見た目だけをいえば、もっと絞っていい。ゲート五分。少し出して中段から。折り合いは付いていたが、結果的に馬群の分厚いところで、外を回され過ぎた感も。ただ、直線に向いて、2回手前を替えているのだが、最後に右手前になってからの鋭い脚は光っていた。休ませて馬が良くなっている。東京1400m限定馬だが、この条件なら堅実。次開催の最終週に東京1400mのオープン特別が有るが、ここは何としても決めたいところ。

ダノンスコーピオン

+6kg。3歳時は若さが目立った馬だが、そこ迄変化はない。ただ、馬体の張りが出て、デキ自体は昨秋より明らかに良くなっていた。ゲート五分も、無理せず好位直後。良馬場とはいえ、少し湿った馬場を気にしていたのか、道中は少し行き振りが悪かった。直線に向いてからも、少し外へモタれ気味だったことも有り、伸び切れずに終わった。11着といっても、2着馬から12着馬迄が全てクビ差の大接戦。大敗と迄はいえないのだが、内容が悪い。負けるにしても、まずはスムーズに走れる様になるところから。取り敢えずは外枠でもう一度見てみたい。

第28回NHKマイルカップ(GⅠ)

シャンパンカラー

前肢にバンテージ。-4kg。良くいえばゆったり、悪くいえば少し緩く映ったが...。踏み込みが浅く、手先だけで歩いていた点も気になった。出遅れ1馬身不利。直ぐ馬群に取り付く出脚は有ったが、後方から。発表は稍重だったが、雨の降り方が激しく、実際には不良に近い馬場。無理に内へ入れることもなく、ずっと外を回す形。直線に向いて、追い出してからの反応も早く、坂下辺りでほぼ勝ったかの勢いだったが、そこから左手前に替わって坂が上れずモタつく場面。それでも勝ち切ったのだから、他馬はそれ以下だったということにはなるのだが、基礎体力不足もを感じさせた。道悪適性がモノをいった印象。

ウンブライル

2人曳き。遮眼革。-8kg。また馬体減。基本的には寸が詰まったマイラー体型だが、少し細い。ただ、良くいえば限界迄仕上げたともいえる。気配とデキは抜群に良かった。これも出負けして後方から。これも道悪を苦にする様子はなく、道中は引っ張り切りで行けた。ただ、その割に追い出して暫くモタついていたのが痛い。左手前のままだった割には最後は良く伸びているのだが...。これも完成度としてはまだ低く、素質だけでここ迄走った格好。前走中山戦はレーティングの関係で、GⅡ格が怪しくなっていただけに、3,2着馬の激走は歓迎するところだが、一般的には反動に気を付けたいケース。

オオバンブルマイ

このメンバーに入ると迫力負けするのは致し方ないところだが、それでも数字の割に良く出来ている。歩様も悪くない。ゲートは出たが、例に依って後方からジックリと。基本的にはシャンパンカラーの直後から。シャンパンカラー同様、躊躇なく大外へ持ち出して、一瞬は勝ったかの脚だったが、使える脚が短く、ラスト100mで甘くなった。本質的に1F長い気もしないでもないが、今日はそれ以前に馬力の差だろう。馬格がないとこういう場面で苦しい。

ダノンタッチダウン

+4kg。馬体が締まって来たという意味では、いい方向に行っているが、プラス体重は歓迎しない。全体に造りが重たい。ただ、歩様が力強くて、いい馬なのは確か。ゲート五分。外からジワッと行かせて好位直後。馬場のいい外を走っていたことも有るのだろうが、道中は少し力んでいた様にも見えた。追っての反応は良く、ラスト200mで先頭に立ったが、そこから粘る脚がなかった。前走中山戦程、馬場が悪くなかったのと、デキが上向いた分、最後迄諦めずに走れたが、道悪は得意ではない様。ツキがないという外ない。

カルロヴェローチェ

2人曳き。パシュファイヤー。-4kg。成績の割に人気になっていたが、馬振りは上位。ただ、まだ腹回りはボテッと映る。1戦毎にマシにはなっているが...。スタート直後にユリーシャと接触して出脚が鈍ったが、それでも何とか好位直後。向正面ではダノンタッチダウンと並走していたが、馬群の外ではなかった分、コーナーでは動かず、直線迄待ってから馬群を捌く形。過去の競馬は末脚の持続性に難が有る印象だったが、追い出して直ぐはモタつき気味。今日は最後迄ジリジリとした脚だった。道悪は向かないのだろうが、今日は評価出来る5着。先々、大きいところを狙える馬。

第45回新潟大賞典(GⅢ)

カラテ

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、馬力の有るタイプ。歩様に硬さがないのもいい。ゲート五分。この馬の出脚で好位のイン。不良馬場の59kgは間違っても楽な条件ではない筈だが、道中の行き振りから抜群に良かった。ラスト400mの時点で既に大多数の馬は脚が上がっていたが、この馬だけが追い出しを待っている状態。そこから追い出して、流石にスッと反応した訳ではなかったが、ラスト200mでセイウンハーデスに内から並び掛けて、難なく競り落とした。昨秋にGⅠでも賞金を咥えて来れるだけ有って、地力が一枚違った印象。ただ、ダメージは心配。次走、阪神戦とのことで、人気になりそうだが、嫌ってみて妙味。

セイウンハーデス

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。許容範囲だが、少し腹回りはボテッと映る。歩様もその分なのか、微妙に窮屈。好発。出脚も速く、そのままハナへ。新潟だけに道中は楽々単騎。1000m通過61.6秒のペースも、丁度良かっただろう。直線に向いて、勝手に後続が脱落して行ったが、カラテだけが伸びて来て、2着。ハンデ差も有り、相手を称える外ない。ただ、3着には8馬身差。3歳時はGⅠに使って高い壁にハネ返されていたが、GⅢのレベルなら力は足りる。次走、福島戦とのことだが、好勝負必至。

イクスプロージョン

遮眼革。-6kg。これも少しボテッと映るが、トモには張りが有って、デキ自体は良好。歩様も悪くない。ゲートは五分に出た割に、出脚がサッパリで、押しても進んで行かず、後方に近い位置。道中もオッツケ通しだったが、直線で外へ持ち出して、ジリジリ伸びて3着浮上。ただ、前述した様に2着セイウンハーデスとは8馬身差。左回り限定で使われ、その甲斐は有ったということはいえるが、能力評価は何ともいい難い。

モズベッロ

-6kg。無駄肉がなくなって、馬体が締まって来た。歩様が硬いとサッパリだが、今日はかなりマシな部類。出遅れ1馬身不利。ただ、この馬にしては出脚が有って、押して中段は確保。カラテの直後を追走する形。従って、展開的にはドンピシャといえるのだが、追ってから外へモタれ気味。ラスト150m辺りで左手前になってからは真っ直ぐ走れていたが、最初から真っ直ぐ走れていたら3着は有ったかも。道悪は上手いタイプで、今日は千載一遇のチャンスだったが...。戦績が示す通り、基本的には右回りの方がいい。

キラーアビリティ

下見所の外を回って、キビキビとした周回。馬はこのメンバーに入ると上だが、歩様が非力な印象も。ゲートも悪かったが、意図的に手綱を短く持っていたとのことで、行く気もなく後方から。直線は大外に持ち出したが、この馬場は合わない様で、ノメっていたが、最後の最後に少し脚を使って掲示板は確保。これも59kgを背負っていたことを考えれば良く頑張っているが、今日のダメージは案じるところ。

第71回京都新聞杯(GⅡ)

サトノグランツ

+4kg。前走京都戦辺りから、馬が締まって大分形になって来た。首が長いのは長所だが、一流馬の迫力は感じない。好発も、鞍上にあまり行く気がなく中段から。例に依って道中もところどころでオッツケる場面。戦前から想定されていた通り、坂の下りでは少しマシだったが、直線に向いてからも一瞬モタついていた。エンジンが掛かったのはラスト200m。逆にいえば、完全に前で決まったかに見えた展開を差し切ったのだから強い。このズブさで次走東京戦を闘うのは厳しいが、先々はGⅠも意識出来る馬。

ダノントルネード

前後肢にバンテージ。-6kg。デビュー当時の馬が重苦しくてどうしようもなかった状態からは脱したが、まだ微妙に緩い。垢抜けたいい馬なのは確かだが...。行きたい馬が少なかったことも有るが、出脚には余裕が有って、外からリビアングラスに叩かれながらも、2番手から。馬は折り合いが付いていたが、向正面でマキシが外から動いた際に、一瞬鞍上が連られてしまった。コーナーは内でジッとして、直線で前が開いてからしっかり抜けて、リビアングラスは捕まえたが、最後はサトノグランツにネジ伏せられた。相手がモタついていただけに、今日は勝ちたかったところ。一旦立て直す様だが、まだ鍛錬不足の感は否めない。

リビアングラス

-6kg。何より眼に集中力が有った。スケールという点ではダノントルネードの方が上だが、馬体も締まって、下見は抜群に良かった。今日も好発。大外枠だったが、馬の気に任せてハナへ。外枠から先行すると、極端なペースになり易いが、このレースに関しては1000m通過63.8秒とスロー。これだけ遅いと誰か動いて来るのは仕方がないところで、向正面半ばでマキシが外から並び掛けて来たが、ここからペースを上げてハナだけは譲らない形。それでも直線入口で突き放す脚が有り、一旦は完全に抜け切っているのだが、上位2頭の決め手が一枚上手だった。ただ、今日はかなりキツい展開で、馬を強くする競馬。1000万から再出発となるが、間違いなく楽勝級。

マキシ

+16kg。胴長の造りで見栄えのいい馬だが、この馬体増はいい傾向。新馬と同じ体重だが、明らかに中身が違う。出遅れ1馬身不利。一旦は後方から。しかし、最初から行きたがっており、鞍上も変に抑えず、1角から外を回って追い上げて行く形。向正面半ばでリビアングラスと並走。前述のリビアングラスが粘ったことで、こちらはこちらでキツくなった。4角迄はリビアングラスと並走していたが、直線入口で突き放されて、挽回出来ないままだった。ただ、完敗と迄はいえず、この距離で力んで行くと最後に止まるのは致し方ないところ。500万にも使える馬だが、最低でも1000万迄はクリア出来る筈。

マイネルラウレア

-8kg。見た目にも数字分だけ絞れた形だが、それでも馬体には重厚感が有る。踏み込みが深いのもいい。毛ヅヤも良かった。ゲートはアオり気味に出たが、出脚で立て直して中段。ただ、1角迄、口を割って行きたがっており、その分、攻めて乗れず、1列後方に。今日は結果的にこの位置取りがマズかった。折り合いは直ぐに付いたが、4角で馬群が捌けず、直線に向いてから外へ。良く追い込んでいるが、このスローでどうしようもなかった。東京戦は結局回避するとのことだが、充分重賞級。

第167回天皇賞・春(GⅠ)

ジャスティンパレス

前走阪神戦と数字は変わらないが、今日の方が明らかに状態がいい。今回の方がスッキリ見せて、何より落ち着いていた。ゲート五分。3200mにしては積極的に乗られた馬が多く、少し出して中段。今日も折り合いは付いていた。序盤は枠なりのインに居たが、2周目の1角から徐々に外へ。京都ならインでジッとしていても前が開いた筈だが、結果的にアフリカンゴールドとタイトルホルダーが故障して、今日はこれが正解。外へ出してからは少し行きたがったが、何とか前に馬を置いて我慢させて、坂の下りで先に動いたディープボンドを目標に進出。直線入口で並ぶ間もなく交わして、あとは独走だった。デキが上向いて、上手く乗られたことも有るが、完勝といえる内容。前走阪神戦はギャンブル騎乗だっただけに不満も有ったが、これなら文句なし。とはいえ、これが2400mで通用しないのは近年のパターン。

ディープボンド

-10kg。馬体は絞れたモノ。毛ヅヤが冴えて、歩様の硬さもなく、今日は抜群に良かった。少し煩いのは何時も通り。好発。内外の出方を窺いながら、好位。折り合いは付く馬で、最初から馬群の外に居た。2周目の半ばでアフリカンゴールドが故障、更に3角でタイトルホルダーも怪しくなり、そこから出入りの激しい展開になったが、それでも坂の下りを利して進出。阪神だとモタつく場面だが、今日は勝負どころでの脚が有った。この馬をマークしていたジャスティンパレスのいい目標にされてしまった面も有ったが、それでも渋太く粘って2着は確保。漸く自分の競馬が出来た。京都は合う。今日のタイトルホルダー、春全休のドゥデュースと、昨年、仏国遠征した馬がその後、悲惨な経緯を辿っている中で、この馬だけがマトモ。ズブさが故障しない要因ともいえるのだろうが。

シルヴァーソニック

沙国遠征の前走を別にすれば、デビュー以来、最高体重。数字の分、この馬としては大きく見せる。少し踏み込みが浅いのは毎度。変に硬くなければ力は出せる。ゲートは五分に出たが、外枠だったことも有り、無理せず後方に近い位置。常に前に馬を置いて脚を矯め、イチかバチ化の直線勝負。ジャスティンパレスの脚は1頭だけ違っていたが、直線に向いた段階で他馬の脚が上がる中、最後迄脚を遺していた分の3着。ただ、今日の展開だと2着が欲しかったところ。ディープボンドが交わせなかった点に不満が残る。枠の差だけではない能力差が有る。

ブレークアップ

馬体はこれ位で丁度。毎回述べている様に、脚長で踏み込みが深いのが特徴。少し気負っていたが、許容範囲。ゲート五分。出脚もない訳ではないだろうが、行く気がなく後方に近い位置。馬群の中でも、ほぼ揉まれずに競馬が出来た。2周目向正面から少しずつ番手を上げ、4角で好位。直線に向いた段階でジャスティンパレスに対し、1馬身半後方に居たが、そこから離される一方だった。これも完敗という外ない4着。ただ、前走阪神戦、今回と58kgを背負って競馬出来たことはいい経験になった筈。

マテンロウレオ

2人曳き。-2kg。もうひと絞り有ってもいいが、最近の中では締まっていた方。踏み込みが少し浅いのは何時ものこと。ゲートは速かったが、無理せず中段馬群の中。折り合いも付いて、いい位置で競馬出来た。これも2周目の向正面で番手を上げ、4角先頭だったアイアンバローズの直後。競馬としては絶好の形になったが、直線は全く伸びなかった。力負けというより、距離が長い。

ボルドグフーシュ

今日は宜しくなかった。一番ダメなのは、左後肢の出が悪く、いい時の柔軟性がない点。馬体も微妙に緩い。ゲートも悪かったが、出脚もなく後方から。序盤は馬群の外をノビノビ走らせ、坂の下りでジャスティンパレスの直後。ただ、そこで付いては行けたが、自慢の回り脚が甘く、被せて行ける程の勢いがなかった。今日はデキの問題も有っただろうが、坂の下りはこの馬にとって余計だったか。

タイトルホルダー

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。結果的に競走中止となって、歩様の悪さが話題となっていたが、下見は前走中山戦とそこ迄変わらない。もっといえば、昨年の方が明らかに悪かった。ゲート五分。先行馬としては出脚が甘いのは毎度で、押して一旦はハナ。戦前から逃げ宣言していたアフリカンゴールドが来て2番手にはなったが、2周目の1角手前でそのアフリカンゴールドが失速し、再びハナへ。それをアイアンバローズが強気に並び掛けに来て、キツい展開になった。3角過ぎに右前肢ハ行とのことで、鞍上が馬を止めて競走中止。大事には至らなかった様だが、この展開も故障の一因だった筈。マトモに走れていても厳しかっただろう。今日は出脚がない逃げ馬の辛さが出た格好。

第30回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

スキルヴィング

良くいえば馬に幅が有るということになるが、524kg有る割にそこ迄大きく見せない。ただ、もう少し馬体を締める余地は有りそう。歩様も微妙に甘い。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍り、中段やや後方から。1000m通過60.4秒とスローだったことも有り、向正面で動こうとした際に、ヒシタイカンが抵抗。結局引かざるを得ず、コーナーで余計に外を回される形になってしまった。直線に向いてからもヒシタイカンが邪魔になり、追い出しを待たされたが、それでも外から1頭違う脚で追い込んで来た。今日は単純に強かった。ただ、次走となると、些か微妙。最低でも真っ直ぐ走れるだけの体幹の強さが必要なのだが、直線で左手前になるのが早過ぎる。

ハーツコンチェルト

-10kg。前走阪神戦が太く、絞れたモノ。胴長の体型で、馬はこのメンバーなら上位。しっかり踏めていた点も好印象。ゲート五分。出脚が速いということもないが、行く気もなく後方から。折り合いというより、トビが大きいので馬群の中は決していいとは思わないのだが、それでもスムーズに走れていた。直線に向いてからも、暫く進路を探しながら、最終的に馬群を割って来た。回転数の違いでスキルヴィングには屈したが、2歳時を考えれば充分過ぎる内容。次走へ向け、手堅さという意味ではスキルヴィングより上の評価が出来る。

ティムール

+4kg。寸の詰まったマイラー体型だが、数字なりに出来ていた。少し頭は高いものの、その割に歩様の非力感はない。デキも良さそう。ゲートでヨレて出脚が鈍ったことも有り、無理せず後方から。これもトビが大きいタイプだが、道中は行き振りも悪く、バラけた位置でもオッツケる場面が有った。それだけに鞍上も小細工せず、直線は大外。スローだけにほぼ全馬が伸びている状況だったが、ラスト300m辺りから少しずつ脱落して行く中で、最後迄脚が使えていた。ひと先ず、500万から再出発することになるが、このメンバーでも力は足りる。ただ、ガサがないので、狙ったレースは確実に決めないところ。そうでないと秋にも間に合わない可能性も。

メイテソーロ

前肢にバンテージ。腹回りがボテッとして、馬体にメリハリを欠く。ただ、それで居て、歩様はスムーズ。力強さも有った。ゲートで安目を売って後方から。13番枠だったが、最初から内目へ入れていた。向正面に入って、馬群の中を少しずつ進出。上手く馬群を捌いて、直線入口では前に馬が居ない。追い出して一瞬の脚も有り、内にモタれながらだったが、ラスト300mで先頭。末脚の持続性はなかった様で、ラスト200mの時点で既に甘くなっていたが、見せ場充分の4着。2400mの距離は少し長いのだろうが、少なく見積もっても自己条件の1000万は楽勝級。

アームブランシュ

オーストラリアンブリンカー。寸の詰まったマイラー体型だが、無駄肉がなく、キッチリ出来ていた。ただ、チャカついてかなり煩い。出脚はなさそうだが、押して中段から。道中の折り合いは付いていたが、外に馬が居て、4角で鞍上が慌てたのか、無理矢理動いて外に居たヒシタイカンと接触する場面。直線に向いて一瞬の脚は有ったが、フラフラになって右往左往。早仕掛けの影響も有ったにせよ、余りにも脚が上がるのが早かった。これも距離が長い。

第58回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

ゴールデンハインド

前肢にバンテージ。+10kg。胴長の造りで、一般論として長いところは向くタイプ。歩様にも力強さが有った。ただ、馬体増自体はいい傾向とはいえ、数字分だけ緩いかも。ゲートも速かったが、戦前の決め打ちだった様で、押してハナへ。押して行っていたが、それでも1000m通過60.8秒のスロー。直線に向いて突き放したというよりは、後続が来たら来ただけ伸びた形。要は4角での隊列のままのゴールだった。前走中山戦が4着ながら好内容で、重賞でも通用する能力を示していたが、トビが大きいので簡単に止まらないのが一番の長所。次走へ向け、今年は化け物が1頭居る点が厄介だが、何時の時代もジャンルの違う競馬が出来る点は強み。

ソーダズリング

前後肢にバンテージ。下見所の外をキビキビと周回して、抜群の気配。馬も垢抜けていて、このメンバーなら上位。枠の利も有ったが、出脚も速く、スッと2番手のイン。ただ、道中はコントロールこそ利いていたものの、少し良過ぎる位の行き振りだった。直線に向いて、道中並走していたクイーンオブソウルに一旦は出られそうになったが、直ぐに脚がなくなり、進路を確保。ただ、直線入口での差が最後迄詰まらないままだった。尤も、今回は未勝利即重賞挑戦。所謂、クズの出ない血統とはいえ、立派の一言。流石に次走は参加するだけになるだろうが、先々楽しみ。

ブライトジュエリー

前後肢にバンテージ。432kgの馬としては、良く出来ている方。毛ヅヤも冴えて、デキもいいのだろうが、トモに力がない。ゲートは五分に出ているが、鞍上に行く気がなく、中段のイン。ソーダズリングを前に置く形。道中はこれも少し力んで、窮屈そうには見えた。直線に向いて、ジリジリ伸びているが、前述した様に前も同じだけ伸びていて届かず。ただ、位置取りの問題だけでなく、追い出してフラついてもいた。500万にも使える馬だが、暫く掛かりそう。人気になる様なら嫌ってみても。

イングランドアイズ

+6kg。馬体増はいい傾向。これも432kgの馬としては良く出来ている。小走りが入ってテンション高いが、許容範囲。躓きながらゲートを出て、出脚が鈍り後方から。ペースが遅く、力んで走る位の馬が多い中で、道中はむしろオッツケ気味。4角から外を動いて行ったが、今日はこの展開でどうしようもなかった。前述した様に、ほぼ直線入口での隊列通りに決まった競馬だが、1頭だけ最後方から敢然と追い込んで来た。外枠が全て。示したパフォーマンスとしては、最低でもソーダズリングと同等以上の評価が出来る。これも500万からやり直すことになるが、こちらは確勝級。

ドゥムーラン

前肢にバンテージ。+16kg。コロンとした体型で、どらかといえばマイラー寄り。ただ、数字程の太目感はない。一歩一歩しっかり踏めていた点も好印象。ゲート五分。最初は引っ掛かりそうな気配が有り、宥めつつ中段やや後方から。向正面に行った辺りで折り合いは付いていた。ただ、イングランドアイズ程ではないにせよ、これも外を回ったのが応えた。ジリジリとは伸びていたが、頭が高い走法で、最後に甘くなった様にも見えた。とはいえ、デビュー2戦目でこれだけ走れば上等。一度放牧に出したそうで、北海道辺りから復帰させることになるだろうが、これも500万なら問題はない筈。

第54回読売マイラーズカップ(GⅡ)

シュネルマイスター

-14kg。前走中山戦が一枚太い状態。本来はこれ位がベスト。見た目に馬体が締まっていた。キビキビ歩けていて、気配も良かった。ゲート内で立ち上がりそうになっていたが、何とかタイミングを合わせて五分の発馬。開幕週ということで、少し出して行った馬が多く、無理をしなかったこの馬は後方から。終始、内に馬が居て、外を回される格好になったが、ラスト200mから加速して、最後はネジ伏せる様な勝ち方だった。前走中山戦はギャンブル騎乗が裏目に出たが、やはりGⅡなら力は一枚上。ただ、GⅠでどうなるかはまた別問題。

ガイアフォース

-10kg。元々が寸の詰まったマイラー体型。休養前の中山戦が太く見えたので、絞れたのはいい傾向。毎度のことながら、キタサンブラック産駒としては完歩が小さい歩様。スタートで右へヨレて出脚が鈍ったが、頑張って何とか中段位置を確保。マイルは初めてだったが、意外にいい位置に付けられた。出した分も有るとはいえ、道中もむしろ掛かり気味の行き振り。直線に向く迄、ずっと前に馬が居たが、前が開くとこれ迄に見せたことのない脚で伸びて来た。最後は、道中で脚を矯めていたシュネルマイスターに捕まったが、評価出来る2着。ただ、これもまたGⅠでどうかとなると微妙な面も。

ソウルラッシュ

遮眼革。+8kg。微妙に太いのだろうが、気配に活気が有ったのが何より。歩様にも勢いが有った。好発。ジワッと行かせて好位直後。出脚を使っていないので、道中は折り合いも付いてスムーズに運べた。追ってからも伸びているが、外の2頭の方が上だった。昨年の覇者だが、今日は完敗という外ない3着。差して届かずなら致し方ないが、後ろの馬に差されたのが更に頂けない。この馬には時計が速過ぎたということになるが、次走東京戦も良馬場でやる限りは1分31秒台の時計が求められる。GⅠタイトルが欲しいのなら、海外遠征の方が確率が高そう。

シャイニーロック

+6kg。少し腹回りがボテッと映るが、馬は張っていた。このメンバーだと馬は一枚落ちるのは致し方ないところ。ゲートを決め、押して内枠の馬を牽制しつつハナへ。1000m通過57.4秒と、馬場状態を考慮してもソコソコのペース。直線に向いてからも良く粘っていたが、ラスト200m過ぎから苦しくなり、外へモタれて制裁の対象に。元々が外へ張る癖が有るので、これで仕方がないのだが、真っ直ぐ走れていれば際どくなっていた。

マテンロウオリオン

許容範囲だが、前走中山戦と比較すると少しテンションが高い。毛ヅヤが冴えて、デキ自体は変わらずいいが。ジワッと行かせて好位のイン。セコい競馬は出来たが、直線に向いて前が開かず、ラスト200mでシャイニーロックが外へヨレた際に最内に進路が出来て、伸びてここ迄。勿体ない競馬。尤も、この鞍上だけに中々正攻法で乗ってくれないので、本当の能力がどの程度か分かり辛い。このメンバーでも馬券圏内有りそうだが...。

ジャスティンスカイ

重賞の相手でも馬は負けていない。532kgの大型馬だが、緩んだところも一切なく、デキも良かった。ゲートは五分か少し分が悪い程度。鞍上に無理する気もなく、後方から。道中は行きたがっていた。4角辺りから外へ持ち出そうとしていていたが、最後迄ずっと壁が有った。スパッと切れる脚が有ればまた違う展開も有っただろうが、ジリジリ脚を使うタイプだけに、こういう展開になると伸び切れないのは致し方ないところ。今日は鞍上の失敗。