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競馬回顧 2022年6回阪神

第39回ホープフルステークス(GⅠ)

ドゥラエレーデ

前後肢にバンテージ。少し寸の詰まった馬体は父ドゥラメンテに良く似ている。ただ、前走東京戦と比較して前後のバランスが良くなった。その分、歩様が力強い。好発。出脚にも余裕が有り、ジワッと先行。戦前はハナへ行く手も考えていたとのことだが、トップナイフが主張して2番手で我慢させる形。基本的には前に壁がなく、序盤は行きたがる場面も有ったが、2角で折り合いも付いた。スローだけに早目に動いて、結果的にミッキーカプチーノにとってのいい目標にされた感も有ったのだが、そのミッキーカプチーノが直線で全く伸びず、トップナイフとの一騎打ち。坂下辺りで一旦は1/4馬身程度、後れを取ったかに見えたが、坂を上り切って再び差を詰め、首の上げ下げでハナ差だけ競り勝っていた。ミッキーカプチーノの凡走に後続が幻惑された面は有っただろうが、お見事。前走は先行激化に泣いた感が有り、能力水準が良く分からなかった面も有るのだが、完璧に運んでトップナイフと同レベルという見方も出来る。次走が試金石。

トップナイフ

首でリズムを取って気配は良好。歩様にもキレが有った。ただ、494kgなりの迫力がない。その分、幅が有るともいえるのだが...。ゲートは五分だったが、出脚が速く、外のドゥラエレーデを制してハナへ。2番手のドゥラエレーデがガッチリ抑えたことで、1000m通過61.5秒のスローをノープレッシャーで行けた。逆に3〜4角中間からドゥラエレーデは早目に動いて来たのも致し方ないところだが、前述した様に一旦は突き放した様に見えたが、最後に首の上げ下げでハナ差負け。少なくともドゥラエレーデとの間に能力差はない筈。枠の関係で行くしかなく、作戦も間違っていないが、追い負けたのは鞍上の責任。外国人ジョッキーの腕っぷしにやられた形。

キングズレイン

+4kg。スッキリし過ぎていて、大物感に欠けるが、キビキビ歩けていた点は好印象。現状のデキはいい。ゲートは微妙に分が悪い程度だったが、外枠ということも有って行く気なく、後方から。距離損は有っても、ずっと馬場のいい外を回って、ほぼ直線だけの競馬。ミッキーカプチーノをマークしていた馬が総じて伸びなかったことも味方したとはいえ、1頭だけ違う脚で追い込んで来た。これも評価の難しい競馬だが、毎度のことながら、この時期は賞金が大事。この3着は痛い。

ファントムシーフ

+10kg。前後肢にバンテージ。2歳馬でも有り、馬体増は基本的に歓迎材料だが、今日の見た目だけをいえば少し緩い。ただ、胴長の造りで大物感は有る。伸びやかな歩様も目を引く。ゲート五分。この馬の出脚で好位のイン。内目の馬場が悪いとはいえ、今日のペースだとインに居た利はそれなりに有った筈。セコい競馬は出来たが、このスローだと直線に向いてから捌いていては届かないのも良く有る光景。一枚緩いのも反応の鈍さに繋がった面は有るだろう絞れていることを条件に、。次走注目。

ミッキーカプチーノ

+2kg。明らかに前走の方が馬が良かった。数字は大して変化ないが、今日は腹回りがボテッと映る。踏み込みが浅い点も気になった。ゲートは五分程度だったが、大外からでも積極的に乗られて3番手。ただ、決勝線通過した辺りでグリューネグリーンに抵抗され、噛みつかれそうになっていた。その分、馬が怒ったか、少し掛かりながらの追走。道中はずっと力んでおり、3〜4角で手綱を緩めても期待程反応してくれず、直線も大して伸びなかった。中2週で状態面が怪しかった上にスムーズに運べず、少なくとも力負けでない。

第67回有馬記念(GⅠ)

イクイノックス

2人曳き。スカッと見せながら迫力充分。今日もケチを付けるところはない。強いていえば歩様の伸びやかさだけをいえば、父キタサンブラックの方が上。ゲート五分。外から先行馬が複数来る形になったことも有るが、スタート直後に一旦頭を上げそうになり、引いて中段から。道中もずっと少し宥めながらの追走。3〜4角中間で手綱を緩めてGOサインを出すと、持ったままで進出して直線入口で先頭。今日はここで勝負有り。あとは独走だった。デキだけでなく、レース内容にも今日はケチを付けるところはない。ただ、良くも悪くも馬が軽い印象。2023年は元々58kgのレースを除いて、基本的に斤量1kg増。重斤を背負えるかどうかが鍵となる。「僕にとってクリスマスは特別で、2度あることは3度あります。本当に嬉しいです。今日はいいスタートを切れて、前の方のポジションが取れました。道中は掛かりましたが、よく我慢してくれて、大外に出してからは凄くいい脚でした。一番強い競馬でしたね。最初から能力を感じていましたが、キタサンブラック産駒でクラシックでは大人になり切れていなかったです。秋から強くなりましたし、これからがとても楽しみです。お客さんの多い競馬場で勝てて気持ち良かったです。(ルメール騎手・週刊競馬ブック)」

ボルトグフーシュ

下見は最後方を周回。馬体に柔軟性が有って、踏み込みが深いのが特徴。春と比べれば大分ドッシリと見せる様にもなって来た。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。出遅れは想定内だった筈で、特に急かしている様子もなかったが、壁がないと引っ掛かりそうな気配が有り、枠なりに進めて、前を壁にして我慢。外にジェラルディーナが居たには少し気になった筈だが、3角で一旦行かせて3〜4角中間からロングスパート。この回り脚はやはり速い。200m経たない経たない間にほぼ先頭に1馬身の位置迄押し上げていたが、その前に持ったままのイクイノックスが居て、直線は成す術がなく、完敗の2着。ただ、持ち味は充分に示した競馬。この策が今春最大目標となるで有ろう京都3200mで通用するかどうかは競馬場が出来上がってみないと分からないところだが、少なくともイクイノックスは居ない筈で、何とかしたいところ。

ジェラルディーナ

後肢にバンテージ。今日は2走前の当地戦と同程度のイレ込み。馬体は例に依って目立たないが、歩様も悪くない。2馬身近い出遅れで、そのまま後方から。ボルトグフーシュとは違い、こちらは最初から何時でも動ける外を追走していたが、その割に3角辺りからの反応がイマイチで、コーナーでは大して進んで行かず、誰も居ない内目を回って来る形。直線だけ少し外へ持ち出されると、最後迄ジリジリ伸びて3着は確保。勝負どころの反応は元々いい方ではなく、出遅れた以上はこれが限界だっただろうが、逆にいえばその中での3着は立派。適性距離の関係で牡馬相手に使って行くしかないが、互角に闘えるところを示せたのは大きい。

イズジョーノキセキ

前肢にバンテージ。元々が牝馬としてはドッシリ見せる方だが、このメンバーでも馬をそれ程負けていない。キビキビ歩けて、毛ヅヤもピカピカ。今日はデキも抜群に良かった。好発。引っ掛からない程度に出せるだけ出して3列目のイン。道中は只管ジッとして、直線だけ少し外へ。イクイノックスやボルドグフーシュは別にして、一瞬は3着の夢を見た筈だが、坂が上れなかった。坂を上り切ってからは良く踏ん張っている。。出来れば3着賞金1億円が欲しかったところでも、4着でも個人馬主に6000万円は大きい。鞍上は文句なしの好騎乗。強いていえば、もう少し強敵相手の経験が有れば違ったかも。

エフフォーリア

遮眼革。シープスキンノーズバンド。+12kg。戦前の話程ではないが、やはり太い。踏み込みが甘いのも気になった。最近のこの馬としてはゲートを決めた方で、微妙に分が悪い程度。前走阪神戦とは違い、今日はペースが遅いことも有って楽に付いて行けたが、それでもペースが上がり出した向正面からは少しオッツケ加減。それでも不調馬の定跡通り早目に動いて行ったが、イクイノックスとは回り脚が違い、直線も掲示板に掲示板を確保するのがやっとだった。1990年のオグリキャップを思い出させる形には持ち込めたが、これで連対もないのだから苦しいところ。ただ、当時と違い、今は海外遠征が有る。沙国戦も視野に入っている様だが、海外遠征の方がキッカケは掴み易い。

ディープボンド

2人曳き。今日は明らかに酷いといえるレベルで歩様が硬かった。馬体にも少し緩さが残っていた。大外枠だったが、タイトルホルダーが先行してくれて、これに乗る形で好位。出脚は速いので楽にいい形に持ち込めた。折り合いには何等不安のない馬で、道中もスムーズ。勝負どころでズブいのも何時ものことで、それでも直線に向けば頑張ってくれる筈だったが、今日は全く伸びなかった。鞍上は大雪に依る輸送のトラブルを言い訳にしていたが、原因はともかくデキが本当ではなかった様。立て直して改めて。

タイトルホルダー

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体は今春と似た様なモノでこれでいいが、歩様が硬いのが気になった。好発。押して押してハナ。道中はずっと単騎で運び、1000m通過61.2秒,2000m122.6秒とスロー。3角迄は楽に回って来れたが、4角で突き放す脚がなく、直線はほぼ無抵抗のまま呑まれてしまった。今春のパフォーマンスからは程遠い負け方。これも"立て直して改めて"ということになるが、この手の馬は気持ちで走っているだけに、一旦切れると立ち直るのに時間が掛かるケースが多い。出脚のない先行馬をここ迄にしただけでも立派だが、再度厩舎技量が試される。

第17回阪神カップ(GⅡ)

ダイアトニック

+6kg。これで種牡馬入りとのことで、仕上げが手緩い危険も有ったが、キッチリ仕上げて有った。イレ込み寸前だったが、何より気配がいい。ゲートは少し安目を売ったが、少し出して好位。ペース自体がソコソコ流れた割に、結構積極的に乗られていたが、この騎手らしくコーナーは少しでも内に入れて距離も稼いだ。ただ、グレナディアガーズが勢いを付けて回って来た分、結果的に登坂中に一旦は出られる場面も有ったが、差し返して最後はハナ差。距離やコース適性も合っているのだろうが、最高の形で箔を付けた。鞍上,陣営共々、兎に角お見事という外ない。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。このメンバーなら馬は一枚抜けた存在だが、今日は少し緩い。歩様の微妙な甘さも含めて、良く見て8割のデキ。ゲートはむしろ速い方だったが、大外枠ということも有り、無理せず中段から。ダイアトニックを目標に、今日は課題の折り合いも付いた。4角手前でダイアトニックが内寄りに潜ったのを見て、早目に被せに行ったのも間違ってはいないが、前述した様に一旦は前に出ながら差し返された。一番の敗因は枠の差ということになるが、デキがマトモだったら勝っていたともいえる。故障ひとつなかったG#8544;馬が丸1年をほぼ無駄にした格好。個人馬主が夢を追う分にはこれでもいいが、クラブの馬だけに...。

ラウダシオン

+10kg。デビュー以来、最高体重だが、馬体に太い印象はない。ただ、舌がハミを越して集中力を欠いたのと、歩様が硬いのは気になった。出遅れ半馬身不利。そのまま後方から。普段と違う競馬だが、道中はインでジッとして、直線だけ少し外へ持ち出す形。馬群の捌き方が結構強引だったが、最後はいい脚で伸びていた。これ迄は競馬を投げることが多く、集中力の続かない馬だが、外国人ジョッキーが最後迄真面目に走らせるお馴染みのパターン。ただ、この手の好走は中々続かないのもまた現実。

バスラットレオン

+8kg。緩い印象はないが、この馬としては少し重目の造り。淡々と歩いていた点は何時ものこと。ゲートを決めて先行。ハナへ行くことも多い馬だが、1200mで走っていたオパールシャルムが主張して、その番手で我慢させる形。この形でもリズムよく走れていた。追ってからの反応もしっかりしており、一旦は先頭に立つ場面。坂を上り切ってからは踏ん張り切れなかったが、これで負けたら仕方がないという競馬は出来た。国内では中々重賞を勝ち切る迄の力はないのだが、2022年はUAEで稼いだ資金で更に欧州遠征。英国戦4着では少し足が出ただろうが、それでもタダでは終わっていない。前走東京戦のダートで小銭を稼いだのも馬主には有り難いところで、グレナディアガーズとは対照的な1年に。

ダイメイフジ

前肢にバンテージ。+6kg。ドッシリと見せて、馬体は悪くないが、下見の周回は頭が上がり気味。その分、歩様に力強さを欠く。ゲートは五分程度。1200mの馬だけに出脚は速い方だったが、最内のカイザーミノルが引いてくれそうになく、腹を括ってインに拘って脚を矯める形。この馬より後方の内目に居た馬は総じて前が詰まっていたが、最終的には最内へ寄せてここ迄。最近は入着すらままならなくなっていたが、展開ひとつで来れる力は有る。残された時間はそう多くない筈だが、引退迄に何処かで一発決めたいところ。

第73回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ドルチェモア

2人曳き。前後肢にバンテージ。少しフックラし過ぎている感も有るが、このメンバーなら馬は上位。歩様にバネを感じさせる点も好印象。ただ、前走東京戦と比較すると少しテンションが高い。好発。一瞬で半馬身抜けたが、行きたい馬に行かせて好位のイン。今日はペースも速かったが、折り合いも付いて、理想的な形で運べた。ただ、直線に向いてちょっとモタつき、ジリジリ伸びて何とか勝ったが、コース利が大きかった印象も強い。勿論、負けないことが何よりなのだが、少なくとも同世代で抜けた存在とはいえなくなった。先週のリバティアイランドより0.8秒も遅い時計も頂けないところ。来年が試金石。

ダノンタッチダウン

-2kg。馬体は1戦毎に締まって来たが、まだ腹回りに厚ぼったさが残る。それでもスケールという点では別格。歩様にも力強さが増した。ゲートで安目を売ったことも有るが、押しても出脚が付かず後方に近い位置。ぺースが流れて馬群がバラけたことも有り、早目に内ラチ沿いへ寄せていた。コースロスを最小限に留めて乗られ、直線に向いてからレイベリングの外へ持ち出す形。最後はいい脚だったが、あと一歩が届かず。追った時にまだ頭が一瞬上がりそうになる等、フォームがバラつく面が有る。最初からしっかり仕上げて来ることの多いこの厩舎だが、この馬に関しては明らかに仕上げが手緩い。恐らくはダービーだけが目標の仕上げということなのだろう。

レイベリング

シープスキンノーズバンド。+6kg。腹回りが薄く、もう少し増えてもいいのだろうが、トモのぶ厚さはひと際目立つ。ただ、もう少し歩様に柔らか味が欲しい。ダノンタッチダウンと同程度に出遅れていたが、こちらは位置を取りに行って中段やや前辺り。引っ掛かっているといる程ではないが、出した分、力んでいた様にも見えた。直線に向いて、ドルチェモアを目標に追い出されたが、前走東京戦の脚は使えず。内に居た馬が有利な馬場状態だったにせよ、少し案外感が残った。一息入れて鍛え直すことになるだろうが、まだ500万の身。権利取りを一発で決めたいところ。

キョウエイブリッサ

前肢にバンテージ。バランスの取れた造りで、見栄えはいいが、歩様には少し甘さが有った。テンションが高いのもマイナス。ゲート五分。外のドルチェモアがしっかり行き切ってくれたことは良かったが、3角で前をバグラダスにカットされ、馬が怒ったか、頭を上げるシーンが有ったのは勿体なかった。直線に向いてからもスペースが有りそうでなかったが、それ以前に割って行けるだけの脚もなかった。新馬勝ちはダート、芝の前走500万で3着止まりの馬がこれだけ走れば充分だが、今日はインしか伸びない馬場だっただけに高い評価もし辛い。

バグラダス

+6kg。このメンバーに入ると迫力という点で少し地味だが、完成度が高い。皮膚を薄く見せて、デキ自体も良さそう。歩様も悪くない。好発。ただ、出脚は直ぐ内のドルチェモアに利が有り、そのドルチェモアを前に置いて折り合いを付ける形。尤も、前述した様にドルチェモアも前に馬を置きたかったことも有り、制裁の対象にこそならなかったものの、3角でキョウエイブリッサの前をカットする場面。逆にいえば、直線で少し逡巡する場面が有ったとはいえ、不利を与えたキョウエイブリッサに先着されたのは頂けない。こちらは既に500万を勝っているが、オープンだと相当苦しい。

第8回ターコイズステークス(GⅢ)

ミスニューヨーク

+4kg。馬が目立つことはないが、緩んだところはなく、キッチリ出来ていた。歩様に硬さがないのも何より。意外とゲートだけは出る馬だが、珍しく1馬身出遅れ。ただ、今日は積極的に乗られ、2角で中段位置を確保。ここで一旦脚を矯めて、4角手前から再びスパート。スパッと切れるといった印象ではなかったが、最後迄しっかり脚を使って、クビ差先着。昨年から2kg増での連覇だが、ハイペースがハマった昨年よりも強い内容。牡馬相手だとあくまで入着級とはいえ、来春中山の限定戦も何とかしたいところ。ハンデは別にして、今日は道中もしっかり折り合って走れていただけに1800mでも勝ち切れる筈。

ウインシャーロット

+14kg。デビュー以来、最高体重だが、決して太い印象はない。元々雄大な馬体の持ち主だが、更に良くなっている。外枠でも何時も通り、積極的に乗られて2番手。尤も、出脚が抜群に速いということはなく、押して行った分、少し序盤は行きたがっていた様にも見えた。それでも4角は手応え充分に前へ並び掛け、坂下で先頭。馬格なりのパワーも有る様で、登坂力の違いで一旦は後続を突き放しているのだが、最後にミスニューヨーク。とはいえ、最後は目標にされた分も有るだろう。外枠の先行馬としてはこれ以上ない競馬が出来ており、内容にケチを付けるところはないが、トビが大きいのが良くも悪くも特徴。今日の様に中山を力任せに走った方が安定感は有りそうで、東京だと決め手の差に泣くケースも。

フィアスプライド

シープスキンノーズバンド。+8kg。微妙に太いだろうが、馬体には張りが有って、デキ自体はいい。テンションが高いのは何時ものこと。出遅れ1馬身不利。大外枠だったことも有り、そのまま腹を括って最後方から。間に1頭噛んでいたとはいえ、ミスニューヨークを目標にも出来たが、ワンテンポ待ってからの追い出し。大外から良く伸びているが、内にモタれながらだったのが惜しいところ。ミスニューヨークとも同タイムだけに、真っ直ぐ走れていれば突き抜けていた可能性も有った。右回りでも走れないことはないが、こちらは明らかに東京向き。

アブレイズ

+6kg。均整の取れた造りで、馬体の迫力という点では上位だが、今日は少し緩く映った。やはり500kgは切った方がいい。発馬は決まったが、斤量を背負っている分も有ったか、意外と出脚がなく、スタート直後から結構押していた。序盤600m程走った位で好位のインで何とか折り合ったが、結果的に行きたがって、一瞬はハナも有った。明らかに無駄なガソリンを使ってしまっていた。直線で前は開いたが、突き抜けるどころか、前を行くウインシャーロットに並び掛ける場面すらなかった。何時もこんな程度といえばそうだが、今日はメンバー的にもチャンスが有っただけに勿体ない印象。馬よりも鞍上の評価が下がる一戦。

ママコチャ

ソダシの下ということで人気になっていたが、トモの張りこそ有るものの、スケールという点では一枚落ちる。テンションが高いのも気になった。好発。少し押したとはいえ、出脚も速かったが、外からライティアが主張して来て、その番手。形の上では理想的に運べたが、道中で力むのは毎度。この状況で、直線に向いてからアブレイズに押し込められて尚のことキツい形になった。スパッと切れる脚が有れば抜けて来れるのだが...。今日のところは洗礼を受けた格好。これがいい経験になれば。

サブライムアンセム

馬体の迫力で目立つということはないが、下見所の外目を周回してキビキビした動き。デキ自体は良さそう。今日はゲート五分。出脚も速い方だったが、道中は少し頭が上がり気味。ずっと鞍上が頑張って引っ張っていた。それでも直線に向いてからも手応えが残っており、マトモなら一瞬は突き抜けそうだったが、微妙に前が開かずそのまま。勿体ない競馬になってしまった。次走狙い目。

第74回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

リバティアイランド

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。馬体の張りだけをいえば前走東京戦の方が明らかに良かったが、1頭だけ別格。筋骨隆々の造りで、歩様もパワフル。ゲート五分。前走の様な包まれる形だけは避けたいところだったが、外枠勢に出遅れた馬が多かったことも有り、自然と中段で上手く揉まれない形になった。今日は最初から内を突く気はなく、3〜4角中間から外を意識して、直線は躊躇なく大外へ。内外の合流地点で、ほぼ楽勝ムードの脚勢。追って内にモタれた点が気にならないでもないが、楽勝だった。前走で強調した様に、やはりワールドクラスの馬。ただ、課題も多く、道中でちょっと力むのと、今日は前走程のパフォーマンスではなかった点から、万全の状態ではなかった筈。一戦毎の消耗が激しそうで、兎にも角にも無事に使えるかどうかが最大の焦点。

シンリョクカ

少し細身だが、皮膚が薄く、垢抜けた馬体。少し小走りが入る場面も有ったが、見た目の割に歩様が力強いが特筆モノ。ゲート五分。出脚もそれ程負けていなかったが、内から行きたい馬が多かった為、一旦引いて中段のイン。3角の時点でリバティアイランドと並走する形。そこからリバティアイランドが外を意識したのに対し、こちらはジッと脚を矯めてインから。一瞬の脚を使って上手く抜けて来れたが、先頭に立つ前にリバティアイランドに交わされており、最後もドゥアイズには詰められていた。馬体が細いことも影響しているだろうが、現状だといい脚が一瞬しかない。今日の好走で人気になる様なら嫌ってみても。

ドゥアイズ

8kg。元来が華奢な造りの馬で、少しでも増えて出て来てくれた点は好印象。キビキビ歩けており、気配も良さそう。半馬身程出負けして後方に近い位置。ただ、8枠3頭が揃ってこの馬以上に出遅れてくれたのは不幸中の幸いで、その分だけ位置取りが前に。徐々に内へ寄せて、3角時点で内ラチ沿い。直線に向いて暫く進路を探していたが、坂下でアロマデローサの外へ切り替えてからの脚は目立っていた。もう少しスムーズに捌けていたら2着有った競馬。シンリョクカとの比較ではこちらの方が高評価。ただ、賞金が加算出来なかったのは痛い。

アロマデローサ

馬体の造りそのものは、前を歩くシンリョクカとそこ迄差はないが、歩様が頼りない。イレ込み気味だった点もマイナス。ゲートが決まった割に出脚が甘そうだったが、押して何とか好位。ちょっと力んでいた様にも見えなくもなかったが、他馬も似た様なモノ。馬群を気にする素振りもなかった。直線に向いて前も直ぐに開いたが、坂が上れず4着止まり。ペースが流れて差し有利の展開だったことも有るが、上位とは能力差が有りそう。パワー強化が先決。

ミシシッピテソーロ

-14kg。422kgの大幅馬体減だが、前走東京戦が太かった。背丈の低い馬で、現状はこれ位で丁度。馬の見栄え的にもそこ迄見劣らない。少し小走りが入っていたのも、一応は許容範囲。出遅れ1馬身不利。ただ、外枠勢に出遅れた馬が多く、比較的労せず中段は確保。外を回っていたが、リバティアイランドを追う形で競馬が出来た。ただ、直線は何度か手前を替える場面。これも坂が上り切れなかった印象だが、脚力だけをいえばアロマデローサよりは有りそう。一応、重賞級。初GⅠ騎乗の鞍上が何とか掲示板は確保した点も立派。

ドゥーラ

+4kg。スケールの違うリバティアイランドを別にして、デキだけをいえば一番よく見せた。完成度も高い。8枠3頭が大きく出遅れたが、その中でも一番の出遅れ。3馬身位のロス。最早、内に誰も居らず、徐々に内へ寄せて行って、直線もインから。ペースが速かったことも有って、直線で馬群がバラけたことも有り、スムーズに捌いてここ迄。上がり3F35.0秒と数字だけ見れば凡庸だが、一応はメンバー中、最速。この展開とペースになると、距離経験がなかった点も応えた筈で、これが今後に繋がれば。

第15回カペラステークス(GⅢ)

リメイク

前後肢にバンテージ。+12kg。最近は470kg台で走っていたが、見た目にはこれ位で丁度。周回中はずっと首を下げて、気配も良かった。ゲートは五分に出たが、出脚が付かず後方から。3角迄はジックリ乗られ、3〜4角中間から勢いを付けて直線は大外。エンジンが掛かってからの脚は他馬とまるで違っており、坂下時点では前と5馬身以上の差が有ったが、この段階で既に突き抜ける勢いだった。終わってみれば4馬身差の圧勝。良馬場で1分8秒台の時計も優秀。ニッチだが、このカテゴリーでは現役最強。あとは距離が保てば尚いいが、こればかりはやってみないと。ただ、この馬主だけに海外遠征も視野に入る。次走は沙国戦とのことだが、好勝負必至。

リュウノユキナ

遮眼革。前肢にバンテージ。色は大分白くなったが、それでも年齢の割に馬体が若々しい。歩様も実に滑らか。ゲートで安目を売ったが、立て直して中段。ペースが速かったことも有り、馬群の切れ目は有ったが、内外で迷って結局は内から。ジリジリ伸びているが、リメイクの脚がケタ違いだった。昨年に続いての2着、しかも今年だけでも5回目。堅実だが、何時も何かに屈してばかり。道中で少し頭が高い走法が修正出来ればとも思わないでもないが、今更の話で、詰めが甘い分、息が長いともいえる。

ジャスティン

手先だけで歩いている様に見えるのは何時ものことだが、全体に厚ぼったい。もうひと絞り有っても良さそう。今日はゲートが微妙に悪く、少し押して好位から。砂は被っても問題ない馬で、これはこれで流れに乗れていた。ただ、前半600mが32.2秒の猛ラップ。結果的にこの位置でも少し前過ぎたかも。最後迄伸びて前は捕まえたが、3着迄。一昨年のこのレースを58sで勝った馬だけに57kgで負けた点については案外感も有るのだが、今日は仕方がないところ。少なくとも衰えはない。

オーヴァーネクサス

パシュファイヤー。+12kg。数字分だけ立派過ぎる気もしないでもないが、骨格のしっかりした馬で見栄えする。ただ、例に依ってテンションが高い。ゲートが微妙に悪かったことも有るが、行く気もなく後方から。今日は最初から内へ寄せており、イチかバチかでインを突く策。このハイペースで展開上はハマッたが、エンジンの掛かりが遅く、猛追及ばずここ迄。1200mでも走れる馬だろうが、近走は1400mを主体に使われており、その分、反応が悪かったか。次走は年明けの中京戦へ向かう様だが、1400mだけにしっかり勝って賞金を加算したいところ。

オメガレインボー

シープスキンノーズバンド。不格好なのは毎度。少し腹回りはボテッと映る割に、トモが薄い。その一方で歩様はスムーズ。ゲートは出ているが、あまり急かさず中段から。今日の展開ならこの位置でジャスト。インからセコい競馬が出来たが、直線に向いた当初はオーヴァーネクサスより反応が良かったにも関わらず最後に甘くなって5着に落ちた形。鞍上は「もっと後ろからでも良かった」とはいうが、リュウノユキナが前に居ただけに言い訳にはならないだろう。重賞だとワンパンチ足らないとみるのが妥当。

第58回中日新聞杯(GⅢ)

キラーアビリティ

もう少し全体に締めてもいいだろうが、叩いて順当に良くなった。今日は歩様がスムーズ。落ち着きが有った点も好印象。今日もゲートが微妙に悪かったが、かといって少し押すと行きたがりそうな気配も有り、無理も出来ず、中段やや後方。動くに動けない展開となり、何とか馬は我慢していたが、4角でも後方の内目と中々厳しい展開。ただ、直線に向いてアスクワイルドモアとイクスプロージョンの間が1頭分だけ開いた。そこを脚力でコジ開けて、この段階でも前とは1馬身半程差が有ったが、クビ差捕まえた。最内枠を生かす形になった点も含めて、結果オーライ感も有るが、馬は強かった。この手の馬は尻すぼみとなるケースが大半だけに、勝ったことも何より。

マテンロウレオ

2人曳き。+4kg。筋骨隆々という訳でもないが、全体にドッシリと見せる。このメンバーだと馬の迫力で上位。気配に集中力も有った。ゲート五分。外枠だけに戦前は乗り方を相当考えた筈だが、引っ掛からない程度に行けるだけ前へ行って、中段やや前目。前へ行った分、コースロスは最小限に留められたが、ギベオンの逃げがスローだったことも有って、ところどころで行きたがっていた様にも見えた。それでも4角の手応えは悪くなく、坂を上り切った辺りで先頭。あとちょっとだったが、最後にキラーアビリティ。相手がハマっただけで、100%文句の付けられない競馬はしている。ハンデ56kgも3歳馬としては見込まれていた印象も有り、尚のこと高評価が出来る。この厩舎だけに大事に育てていく方針だろうが、GⅠも見えて来た。

アイコンテーラー

良くも悪くもスカッとした造り。少し頭は高いが、リズム良く歩けており、動きはキビキビ。気配は良かった。内からギベオンが主張して、その番手。ギベオンには外からバジオウが掛かり気味にプレッシャーを掛けていたが、ペースは遅く、いい形で流れに乗れた。普段は折り合いが課題の馬だが、今日はロスなく運べた為、この馬としてはその点もスムーズ。追ってスッと反応した訳ではないが、軽ハンデも生かし、最後迄ジリジリ伸びて3着に粘り込んだ。左回りの方が走る。ハンデ52kgも利いており、お世辞にも強い内容とはいえないが、競馬は上手くなっている。

プログノーシス

前後肢にバンテージ。+2kg。馬体の見た目だけをいえば、微妙に余裕残し。ただ、トモが大きく、一歩一歩の力強さが特筆モノ。ゲートをポコンと出て後方から。小細工が利くタイプではなく、そのままジックリと折り合いに専念。ただ、スローで中段グループが固まり、こうなるとどうしても中京は馬群が外へ膨れる傾向。尚のこと、外を回る格好になってしまった。1頭だけ別格の脚で差して来たが、あと一歩届かなかった。力は示したが、勿体ない競馬になってしまった。次走以降もチャンスは続くが、展開に左右される為、軸にはし辛い。

ハヤヤッコ

下見は最後方を周回。遮眼革。後肢にバンテージ。+14kg。白毛で分かり辛い部分も有るが、そこ迄太い印象はない。歩様も問題なかった。ゲート自体は速かったが、2完歩目に躓いて出脚が鈍り、結局は押して好位直後。折り合いは問題ない馬で、スムーズに走れてはいた。内に居た分、直線に向いてから進路を探す形になっていたが、それでも最後迄ジリジリ伸びていた。57.5kgを背負っていただけに、良く頑張ったといえる5着。時計が掛かればまだまだやれる。

ジャパン・オータムインターナショナル 第23回チャンピオンズカップ(GⅠ)

ジュンライトボルト

前後肢にバンテージ。+8kg。数字分だけドッシリした印象。迫力は増したが、決して太くない。歩様にも力強さが増して確実に馬が良くなっている。下見所の外を回っていた点も好印象。好発。スタート直後は結構押していたが、外から次々来られて結局は中段から。ダートの経験が浅い割に、砂を被ったことを嫌がる様子はなかったが、スローとなって馬群が固まり、キツい位置に押し込められていた。直線も前が壁になって苦しい格好に見えたが、たまたま前の馬が意外と頑張ってくれたことと、外のテーオーケインズが抜けてくれて進路が出来たことで、前が開いたラスト250mから猛追。前を行くクラウンプライドをクビ差捕まえた。ギャンブル騎乗自体は否定しないが、だとするなら序盤に出したのは全く無意味だった。今日は馬に助けられたGⅠ初制覇。

クラウンプライド

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。少しチャカつくのは毎度。ダート馬としては歩様に力強さがない。胴長だが、馬が薄く、本当に良くなるのはまだ先。ゲート五分、出脚が速過ぎてスタート直後から行きたがっており、結構引っ張っていたが、外から来たレッドソルダードだけ行かせて2番手で我慢させる形。リラックスしていた様にも見えなかったが、隊列が決まってからは大人しく走っていた。坂下から後続を待たずに追い出し、一旦は完全に抜け切っていた。最後はジュンライトボルトの決め手に屈しただけで、見せ場充分の2着。ただ、馬装通り、追い出すと天井を向きそうになっており、もう少し馬体,気性面とも成長して欲しいところ。それが叶えばチャンピオンになれる筈。

ハピ

前後肢にバンテージ。前走阪神戦とほぼ変わらず。数字の割にスケールを感じさせる馬。歩様も相変わらずスムーズ。好発。今日は何故か何時もより出脚が速く、外から無理矢理先行したレッドソルダードの番手から。トビの大きいタイプだが、前に居たことでインでも窮屈にならずに運べた。直線に向いてからもクラウンプライドが最内を開けてくれて進路は有ったが、突き抜けそうで突き抜けなかった。今日の展開だと勝たないと値打ちがないところ。前走阪神戦から少しパフォーマンスが落ちており、本当にいい状態ではなさそう。これで一息入れる様だが、立て直して改めて。

テーオーケインズ

-7kg。元々ダート馬としては細身に見せるタイプとはいえ、今日は如何にも馬体が淋しい。歩様,気配等は悪くないが。ゲート五分。出脚は速かったが、好位グループが一団となり、行きたい馬に行かせて中段から。ずっと外を回っていたが、圧倒的1番人気の馬がこのスローで馬群の中に居るのはリスクが大きく、これはこれで仕方がないところ。4角で好位に取り付き、直線も一瞬は勝ったかの脚勢だったが、ラスト200mで甘くなった。仕方がないとはいえ、上位3頭は道中で内に居た馬。展開に泣いた。尤も、JBCクラシックからの転戦は失敗するケースが多く、下見で馬が薄かった様に、この馬自身もデキが微妙に甘かったのだろうが。

シャマル

遮眼革。前後肢にバンテージ。516kgの馬としては脚が短く、重心が低いタイプ。見た目に重厚感が有る。皮膚を薄く見せて、デキ自体も良さそう。枠が遠いとはいえ、出脚も速くなさそうだったが、押して好位の外。道中は折り合いも付いて問題なく運べたが、いざ追ってから両サイドの方が勢いが有り、坂を上り切ってからは内にもモタれていた。ただ、1800mの距離経験自体がない中で、大健闘といえる5着。次走は園田の1400m戦へ向かう様だが、適距離だけに本命級の扱いが必要。

第73回チャレンジカップ(GⅢ)

ソーヴァリアント

2人曳き。心房細動明けだが、大きな問題はなさそう。ただ、前走中山戦が太かっただけに、この数字だと今日は少し重目には映る。ゲート五分。タイセイモンストルの先行策に乗って好位。鞍上はジワッと行かせていたが、それでも道中は少し力んでいた様にも見えた。4角の手応えも昨年程ではなかった筈だが、坂下で前を捕まえて先頭。後続を寄せ付けず連覇達成。スローでも3馬身半チギッた昨年の方がインパクトは有ったが、今日は気性的に前向き過ぎた感も有る。現状だと1800mの方がいいのかも。

ルビーカサブランカ

前後肢にバンテージ。+6kg。前走阪神戦が妙に細く、このプラス体重は素直に好感。歩様もスムーズ。ゲートも怪しかったが、出脚も分が悪く、無理せず後方から。ただ、レッドベルオーブがハイペースで引っ張った割に、積極的に乗られており、3角で中段。4角で好位。流石に直線は一瞬しか脚が使えなかったが、インから抜け出して2着浮上。次走は未定とのことだが、マトモなら中京の限定戦だろう。デキさえ維持出来れば、こちらはこちらで連覇の期待が持てる。

エヒト

前後肢にバンテージ。緩んだところがなく、馬体はキッチリ出来ていたが、少し歩様が硬いのは気になった。好発も、出脚は他馬の方が速く、中段から。ソーヴァリアントをマークする格好。道中は折り合いも付いてリズム良く走れていたが、直線で外へ持ち出しても大して伸びず、3着止まり。案外感が残る内容。初重賞勝ちだった福島戦から数えて2kg増とはいえ、この相手でも力は通用していい筈。歩様が硬いところから、デキが本当ではないかも。

サンレイポケット

前後肢にバンテージ。伸びやかな歩様。GⅠで好走していた昨秋もそうだったが、どうも一枚太く映る。スタート直後から押していたが、大して進んで行かず中段やや後方から。今日はペースが速いことも有ってか、道中もオッツケ気味の追走。道中の手応えが良くなかったことも有り、コーナーで内を回って距離を稼ぎ、直線だけ外へ。最後は伸びている。絞れさえすればもう少し機動力が出る筈で、馬券圏内迄有っていいが、陣営の方針なのか、中々そうはならない。それ故に息が長いともいえるが...。

エアファンディタ

遮眼革。何時も通りチャカついていたが、今日は堪えていた方。皮膚を薄く見せて、馬体に張り。デキは良かった。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が鈍ったが、押して中段。エヒトと一緒にソーヴァリアントに付いて行く形。内外がエヒトと逆ならまた違ったのだろうが、こちらが外に居た分、3〜4角で他馬に入られてソーヴァリアントとの間に距離が出来てしまったのが痛かった。ただ、直線で一旦はヒンドゥタイムズに半馬身程出られたにも関わらず、最後に差し返して掲示板は確保。勝負どころでスムーズならもう少し上の着順が有ったか。もう少し競馬が上手くなれば重賞でも足りる。

第56回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

シルヴァーソニック

少し煩いのは何時ものこと。事故後で一息入ったが、馬体も大きくは変わらず。456kgしかなく、見た目にも小ぢんまりとした馬で、変に硬くなければ力は出せるタイプ。好発。意外とポジション争いが激しくなるレースだが、スッと好位のインを確保。ここで折り合いに専念出来たのは大きかった。2周目の向正面からペースは速くなったが、隊列はそのままだったことも有り、尚のことインで脚を矯めていた利が大きく、直線に向いて他馬が登坂出来ずに甘くなる中、楽々上り切って決着を付けた。昨年3着馬だけに勝っても何等不思議はないが、今日は余りに上手く行き過ぎて能力判定不能。ひと先ず年明け迄待機する様だが、次走が試金石。

プリュムドール

下見所の外を周回しながら、少し物見もしていた。馬体に迫力はないが、歩様に力強さが有ったのが何より。外枠からゲートで安目を売る形になったが、ポジション争いが激しくならなかったことも有り、上手く立ち回って中段は確保。1周目の2角でシルヴァーソニックの直後に居た。展開的には絶好の形だが、ペースが上がってからもシルヴァーソニックに動く意思があまりなく、諦めて2周目3角から徐々に外へ。あれ以上は待ち切れないところで、4角も確かに勢いを付けて回って来れたが、着差を考えると痛いコースロスになった。力はこのメンバーでも足りる。来年の東京戦が目標とのことだが、斤量が軽い内にタイトル奪取したいところ。

ディバインフォース

毛ヅヤが冴えて、デキは良好。馬体も充実。3600mだけに気配はあまり関係ないのだが、首を使って、リズミカルな歩様も目に付いた。これもゲートで分が悪く、後方から。序盤から少し力んでいた様に見えたが、その影響も有ったか、2周目2角辺りから外を進出。回り脚は例に依って速く、4角ではほぼ前を捉えられる勢いだったが、勢いが有ったのは坂下迄。そこからは後方で脚を矯めていた上位2頭に利が有った。力負けではないが、道中でちゃんとリラックスして走れる様にならないと難しい。この点だけをいえば昨年より退化している。

アイアンバローズ

2人曳き。前後肢にバンテージ。-4kg。馬体はこれ位で丁度。一回叩いて順当に良化している。ただ、こういった距離を走る馬としては気負うタイプ。ゲート五分。ただ、これもスタート直後から行きたがっており、1周目1角では中段に居たが、抑え切れずに2周目決勝線上で2番手。以前はこんな馬ではなかったが、今年に入ってから下見からテンションが高く、レースでも折り合い面に苦労している。それでも最後の直線に向いて坂下で先頭。流石にそこからは保たなかったが、見せ場は充分。上手く調整出来れば楽勝出来る能力は有る筈で、あとは調教技量の問題。

メロディーレーン

+4kg。下見で良し悪しが判断出来る馬ではないが、この時期にしては毛ヅヤがいい。ただ、些かテンションが高目なのは気になった。ゲートが決まったことも有るが、この馬としては珍しく先行して好位のインを確保。基本的にはディバインフォースの1列前での立ち回り。上手く流れに乗れたが、現状だと雪崩込むのがやっと。重賞だと少し壁を感じる。