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競馬回顧 2022年1回中京

第72回東京新聞杯(GⅢ)

イルーシヴパンサー

前肢にバンテージ。正に昨年のカラテがこの気配だった。連勝馬らしい活気。馬体の張りも文句なし。微妙にゲートが悪く、直ぐ内のエイシンチラーと接触。更に外の7枠2頭が好発を切ったことも有り、無理せず後方。腹を括って直ぐ内目へ寄せていた。道中の折り合いは少し力んでいた程度で、直線だけ外へ。外といっても、カレンシュトラウスとカテドラルの間は1頭分有るかないかのスペースだったが、脚でコジ開けて伸びてきた。ストライドが大きいというよりは、回転数で稼ぐタイプ。これで500万から東京ばかりを使って4連勝だが、中山でも走れる筈。あとは一線級との相手関係。

ファインルージュ

2人曳き。+16kg。当然ながら、デビュー以来、最高体重。それでも少し立派という程度。歩様に窮屈さもなく、良く出来ていた。スタート直後にフラつき、出脚が鈍ったが、何とか押して中段。道中は内外前に馬が居たことも有ったが、結構行きたがっていた。それ故、直ぐ外に居たホウオウアマゾンにずっとフタをされた様な形となり、無理が出来ず引く形。これ自体は大した問題ではないのだが、番手が下がったことで直線に向いてからの壁を割って来るのが大変だった。開きそうなところが何度か締まり、マトモに追えたのはラスト250m。結構ハードな競馬を強いられたが、最後迄渋太く伸びていた。道中のロスを考慮すればかなり強い内容。ただ、追った時に左右が安定しない。ヨレるという程ではないが、まだ弱いところが有りそう。

カラテ

前肢にバンテージ。勝った昨年と状態にそこ迄変化はなさそう。イルーシヴパンサーの様な気配的な勢いは昨年の方が良かったのは仕方がないところだが、馬体の雰囲気は上々。スタート直後にエイシンチラーがヨレて接触、出脚が鈍って後方から。この影響も多少は有ったのだろうが、道中も少しオッツケ気味の追走。直線向いて、イルーシヴパンサーと似た様な位置に出て、割れそうなスペースを割れずにイルーシヴパンサーの跡を追う形。左手前のままだった割には良く伸びているのだが...。昨年よりは相手が強かったということ。

カレンシュトラウス

シープスキンノーズバンド。胴長の体型ということも有るが、腹回りが少し緩く映る。歩様は伸びやかだが、毛ヅヤも一息で満点はやれない。ゲートも少し悪かったが、外枠ということも有り、後方待機。カラテの直後から。3〜4角中間からジワッと動いて、ファインルージュ、カラテの進路を上手く潰して、一旦は先頭に立つかの勢いだったが、ラスト200m辺りから甘くなった。尤も、昨秋中山戦以来の競馬で、しかも鼻出血明け。これでも良く走っている方。

ドナアトラエンテ

シープスキンノーズバンド。後肢に繋だけのバンテージ。姿勢が高いのは物見をしていたからで、歩様に非力さはない。緩んでいることもなく、デキとしてはいい方。ゲート五分。出脚も有りそうだったが、外の馬が最初から頑張る展開となり、結局は中段から。ただ、結果的に追い込み決着となり、これはこれで悪くない位置でも有った。直線向いてカレンシュトラウスと一緒に伸びて来たが、坂を上った辺りから内へモタれて苦しくなった。昨秋の東京戦もそうだったが、最後迄脚が保たない。体力面に疑問。

第62回きさらぎ賞(GⅢ)

マテンロウレオ

2人曳き。このメンバーだと馬自体が上位。少し気負っていた点はマイナスだが、毛ヅヤが冴えて、歩様もしっかり踏めていた。今日も最初から行く気はなく、後方から。馬群に取り付くと怪しいが、馬が周囲に少ない分には、道中はリラックスして走れていた。直線も頭数自体が少なかったことも有り、正攻法で大外。追い出した当初は左手前だったことも有って、内へモタれていたが、立て直して右手前になってからは何とか真っ直ぐ走って、ダンテスヴューとの一騎打ちをハナ差制した。スピードというより、底力が有りそうなタイプ。逆にいえば今日は上がりが掛かる馬場状態が向いた感も有り、時計勝負は向かないかも。

ダンテスヴュー

2人曳き。コンパクトに纏まった造り。それで居て、トモの造りも悪くない。ただ、まだ歩様は甘い。スタート直後にマテンロウレオと軽く接触したが、大した影響はなくスッと中段。インに居て、雪で渋った馬場を気にした面も有っただろうが、ちょっと引っ張り気味の追走。4角迄はジッとして、直線に向いてから進路を探す形でも、スッと抜けて来れた。その後はマテンロウレオと一騎打ち。良く食い下がっていたが、最後は相手の底力が僅かに上回った格好。前走東京戦の内容では苦しいかと思われたが、馬は確実に良くなっている。ただ、マテンロウレオが前走GⅠで6着。それ以下ということは、これから先、オープンで走って行くことを考えると、もう一段の成長がないとキツい。

メイショウゲキリン

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬格が有って、見た目にパワフル。歩様もしっかりしており、ダートでもイケそうな雰囲気の馬。出脚自体は決して速くなかったが、主張する馬が居らず、ジワッと行かせてハナへ。基本的に序盤は単騎で行けた。この馬場で1000m通過60.6秒なら、丁度いいペースでも有ったが、3角位からセルケトが絡んで来たの余計で、早目に動かされた分の3着。坂を上る辺りでヨレる面も有り、まだこれからの馬だが、中々渋太い。500万で2回負けたといっても、ジャスティンパレスやトゥデイイズザデイといった重賞で走っていた馬も居て、充分重賞クラス。かといって500万で人気になって買える馬かといえばまた違う話だが、長く馬主孝行してくれそうなタイプ。

アスクワイルドモア

シープスキンノーズバンド。-10kg。数字は絞れたモノ。ただ、これ以上、テンションは上がらない方がいい。今日もゲートが悪く、後方から。道中もまだまだズブい。追ってからもスッと伸びるという雰囲気ではなかったが、ラスト200m辺りでエンジンが掛かってからは際どく詰めていた。要は機動力不足ということだが、これも力は持っている。距離はもっと伸びても良さそうで、上手く成長すれば大化けしてもおかしくない。

ストロングウィル

前後肢にバンテージ。迫力という点で上は居るが、造りは垢抜けていて、見栄えはいい。ただ、歩様も含めて力強さが欲しい。出脚は一番速かった位だが、主張することはなく、好位3〜4番手から。隊列が決まる迄は引っ張っていたが、向正面半ばからはスムーズに。ただ、追い出してからが頭が上がり気味になってフラつき伸び案外。といっても、バテたというよりは、トビが大きくて、下を気にした様なフォームにも見えた。これも違う意味で素質は有りそう。化ける可能性は有る。

第36回根岸ステークス(GⅢ)

テイエムサウスダン

後肢にバンテージ。+10kg。デビュー以来、最高体重。腹袋は目立つが、歩様に窮屈さがないのが何より。ゲートは五分程度。一瞬の出脚は他に速い馬が居て、中段馬群の中。ただ、行き脚が付いてからの行き振りが抜群で、引っ掛かっている訳ではないが、ずっと引っ張り切りの手応え。直線向いて、大型馬だけにスッと切れたという訳ではないが、ジワジワながら力強い脚取りで抜け出し、内外からの追撃を振り切った。人気はあまりなかったが、完勝。マイルが保つかどうかが現時点での焦点だが、慣れれば問題はないだろうが、次走に関しては行き振りの良さから微妙な面も。

ヘリオス

少しチャカつくのは毎度。バランスの取れた造りで、無駄肉が一切なく、キッチリ仕上げて来た印象。ソノ気になれば行く選択肢も有っただろうが、鞍上に行く気がなく、好位の内目。道中もしっかり折り合いが付いていた。直線向いて、追ってからも自分の脚は使えているが、冬場の良馬場で馬格から来るパワー差が出た格好。次走東京戦はスキップして、高知の交流戦へ向かう様だが、東京戦で通用するとは思えず、妥当なところ。その点でも賞金を加算出来たのは何より。

タガノビューティー

-4kg。叩き3走目で順当に良化。チャカついたといっても少しで全く気にならないが、手先だけで歩いていた様に見えた点はマイナス。ゲートが開いて、ソリストサンダーに寄られたことも有ったが、元来が出脚のない馬で最後方からジックリと。4角手前から少し動いて直線は大外。この頭数の割にはそこ迄外へ振られることなく、精々馬場の5分どころ。馬もいい脚を使っているが、今日はこの点が一番幸いした。ただ、最後は明らかに甘くなっている。パワー差という以外にない。このメンバーで突き抜けるなら、下が渋って欲しかったところ。

ジャスティン

+14kg。自身最高体重。昨秋中京戦以来ということも有ってか、全体に緩慢。毛ヅヤもイマイチ。好発。重たい分、一瞬の出脚は怪しかったが、押してハナへ。スピードに乗ってからは流石といえる速さ。戦前は先行激化が予想されていたが、1000m通過58.2秒なら最悪ではなかっただろう。道中は単騎で行けて、4角は後続を突き放す脚も有った。ラスト300m過ぎから甘くなり、ラスト100mで上位馬に捕まったが、見せ場タップリの内容。1200mなら重賞でも勝てる。次走、沙国遠征は止めて阪神のオープン特別へ向かう様だが、秋の盛岡戦が今年の最大目標になるだろう。

オメガレインボー

+6kg。これも自身最高体重。馬体の張りは有って、充実しているともいえるが、少し重い。ゲートは速い方で、頑張ればもう少し前へ行けそうだったが、この馬の出脚なりに中段やや後方のイン。直線向いて、1回逡巡する場面は有ったにせよ、突き抜ける脚ではなかった。勝ちに行くならもうちょっと積極的に乗っても良かったかもしないでもないが、近走一連の内容から重賞だとワンパンチ足りない。

第27回シルクロードステークス(GⅢ)

メイケイエール

パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見で落ち着いているのは毎度で、そこは評価の対象にならない。ただ、牝馬の冬場だけに仕方がないとはいえ、今日は毛ヅヤが一息。一完歩目が怪しかったが、何とか押してハナ。1F過ぎにビアンフェが行ったが、その後も何とか我慢してくれていたのが最大の勝因。直線向いても、追い出しを少し待てる位の余裕が有り、手応え通りに突き抜けた。デビューから今日で9戦目にして、漸くマトモな競馬が出来た。馬群に包まれた状況、もう少し馬体を締めた時、色々課題は有るのだが、少しずつマシになって、結果が出たことが何より。鍛錬さえ出来ればGⅠでも。

シャインガーネット

前後肢にバンテージ。この時期の牝馬にしては毛ヅヤが抜群に良かった。雄大な造りで、馬振りも目立つ。歩様にもドッシリ感が有る。ゲートは五分程度。出たなりで中段やや前辺り。1400mだと明らかに引っ掛かる馬だが、今日でギリギリ堪えていたといえる程度。追ってからもしっかり伸びていたが、最後は僅差。有る程度の位置で流れに乗れたことが大きかった。1400mだと折り合い面を考慮して前走東京戦の様に後方待機策を採らざるをを得ないが、1200mなら強気に乗れる。左回りも良さそうだが、今日のメンバーでこの程度だと重賞級とはいい難い。

ナランフレグ

+12kg。数字分だけ太い。毛ヅヤが冴えてデキ自体は良さそう。歩様も一歩一歩がしっかりしていた。ゲートはそこ迄遅れてないが、例に依って後方から。只管我慢して大外へ持ち出すのも何時も通り。伸び出すタイミングも早く、最後迄しっかり伸びているが、あとちょっとだった。惜しい競馬。強いていえば、絞れていればもう少し動けたかも。ただ、前走も阪神戦だったが、この時期に関東からの輸送。陣営も責められないところ。

ホープフルサイン

遮眼革。前肢にバンテージ。+2kg。一応、デビュー以来、最高体重。重目の造りでは有るが、緩んでおらず、デキ自体は上々。1200mだと出脚が苦しく後方に近い位置。道中は枠なりに内目に居て、直線に向き切ってから進路を探す形。入口ではズラッと前に馬が居て壁になっており、それらを捌きながらだったが、前とは僅差の4着。前走は大外ブン回したとはいえ、伸び切れなかったが、今日の内容なら展開一つといえる範囲。ただ、54kgもそれなりに味方した筈で、マトモだと余程恵まれない限りは苦しい。

タイセイアベニール

遮眼革。前肢にバンテージ。+8kg。腹回りは微妙に厚ぼったく映るが、歩様はそこ迄悪くない。好発も、例に依って折り合いに専念して中段やや後方から。これもホープフルサイン同様、内々でセコく立ち回る策。不利なく回って来れた様に見えたが、最後は明らかに甘くなっていた。これも太い影響が出たかも知れないが、その点は他馬も似た様なモノ。ちょっと案外感が残る。

第63回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

キングオブコージ

-8kg。大分絞れて来たが、もう少し絞ってもいいかも。それでも毛ヅヤが良くて、今シーズンの中では一番の状態。気配も良かった。元来がそういうタイプだが、ゲートでアオってしまい、出脚が鈍って後方。腹を括って折り合い重視で、序盤は馬群にも取り付いていなかった。ラスト1000m過ぎから徐々に前との差を詰め、マイネルファンロンを目標に3〜4角中間からジワッと進出。直線は大外から登坂力の違いで力強く差し切った。中山2200m向きの器用なタイプではない筈だが、今の内目が悪い馬場状態ということも有り、小細工せずに乗ったのが正解。このメンバーなら馬の力はもそれだけ抜けていた。東京なら更にやれる筈。

マイネルファンロン

7月から月1回ペースだが、歩様はしっかり。硬さも感じなかった。馬体も緩んだ印象はなく、高値安定。この馬としてはゲートを出た方だが、鞍上に行く気がなく後方。キングオブコージの一歩前から。3〜4角中間からキングオブコージよりワンテンポ早い仕掛け。ここの回り脚はまずまず速かった。ただ、キングオブコージには先頭に立つ前に交わされており、2着は確保したものの、底力の差を見せ付けられて格好。鞍上はもうワンテンポ待っても良かったという話だったが、仕方がないだろう。相手を称える外ない。

ボッケリーニ

例に依って線が細く、オープンだと逆の意味で目立つ。ただ、何時も程は歩様のギスギス感がない。この距離なら出脚は速い方でジワッと行かせて好位。ペース自体は決して速くなく、前は比較的馬群が固まる展開。道中の折り合いは付いていたが、3〜4角中間辺りから置かれそうになっており、結果的に外が壁。苦し紛れにインを突く形。直線に向いてからは一瞬の脚が有って抜けて来れたが、坂が上れず失速。コーナーで手応えが悪くなるのは今に始まったことではないが、いい脚が一瞬しかないのはネック。今日は内目の馬場が悪いだけに尚更だった。常にソコソコ走っているが、勝ち切るには工夫の要るタイプ。

アサマノイタズラ

トモにボリューム感が有って、ドッシリ見せる。ただ、見た目の割に手先が軽い。。良し悪しは別にして、所作に力強さがない。ゲートは一応出ているが、出脚がなくて序盤は最後方から。勝負どころからはキングオブコージに付いて行く形。中山巧者は疑う余地のないところで、回り脚はキングオブコージより余裕有ったが、直線に向いてからの脚が足りず、前を交わす迄には至らず。展開の問題も有るが、前の馬よりいい脚を使うだけの能力がなかったということ。GⅡだと展開の助けは要る。

ポタジェ

腹回りがボテッと映るのは毎度。その割に以前はトモが薄過ぎて不格好な馬だったが、この点は大分マシになって来た。歩様もその分、力強くなっている。やや出負け気味だったが、出脚でネジ込んで中段のイン。道中はスムーズだったが、これも内目に居た関係でボッケリーニ同様、勝負どころで動くに動けなかったクチ。直線に向いてもマイネルファンロンの後ろを付いて行くだけの形となり、ここ迄。スムーズだったが、もう少し上の着が有ったかも。

第39回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

スワーヴアラミス

前後肢にバンテージ。下見でパシュファイヤー、レースで遮眼革。+6kg。太くは見せず、馬体に張りも有った。歩様も一歩一歩しっかり踏めており、デキに問題はなさそう。ゲートは出ているが、出脚サッパリで、押して何とか中段から。3角過ぎからブルベアイリーデと一緒に進出。マトモに砂を被っていたが、馬が気にしている様子はなかった。ブルベアイリーデに押し込まれ気味になっていた位だから、回り脚に相手に余裕は有ったが、この馬としてはまだ機動力が有った方。ラスト300m辺りでブルベアイリーデの外へ進路を確保。直線も何時もの脚が使えた。ズブさが課題の馬だったが、今日は4角の回り脚に収穫。あとはこれが右回りでも使えるかどうかが焦点。

オーヴェルニュ

前後肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体が良さそう。パワータイプではないので、横の比較で迫力に欠くのは致し方ない。出脚が抜群に速いという訳ではないが、外のサンライズホープに叩かれそうになり、少し頑張って好位確保。向正面迄ずっとデュードヴァンが内に居たが、3角手前で1馬身前へ出て、内ラチ沿いへ。4角で脚を矯める余裕も有り、直線もインから。一瞬の脚でサンライズホープより首だけ出て、その後のジワジワ伸びていたが、最後はスワーヴアラミスの決め手が勝った。相手は不安定な馬だが、内外の差が有っただけに今日は力負けといわれても仕方がないところ。直前に雨が降って来たとはいえ、良馬場だと底力の甘さが出てしまう。

ブルベアイリーデ

+6kg。首でリズムを取って、歩様もキビキビ。馬体や馬のスケールは平凡だが、気配の良さは目に付いた。出脚というより、鞍上に行く気がなく、馬群の一番後ろ。全体で11番手から。3角過ぎからスワーヴアラミスと一緒に外を進出。回り脚はスワーヴアラミスより速かった位。ただ、直線で手前が替わらなかったのが痛い。最後にサンライズホープを交わした点は立派だが、一旦叩いたスワーヴアラミスに交わされる結果となってしまった。逆にいえば結構強い内容。次走狙い目。

サンライズホープ

遮眼革。前後肢にバンテージ。552kgの雄大な馬体を誇り、GⅢのメンバーなら迫力は断然。歩様も実にパワフル。外から積極的に乗られて好位を確保。1000m通過61.0秒だから、道中のペースも大して速くなく、4角も自分から動いて行けるだけの手応えが有ったが、直線向いてから内からオーヴェルニュに一瞬でやられて戦意喪失したか、その後も踏ん張りが利かなかった。このメンバーなら勝てるだけの力は有る筈だが、気性的に難しい部分が有る様。アテにし辛い馬。

カデナ

+16kg。ダートを走ることを思えば見た目的にはこれ位で丁度。腹回りもボテッと迄は行かず、良く出来ていた。やはりダートでも出脚はなく、後方から。向正面迄はバラけた位置で、比較的砂を被る量は少なかった筈だが、馬群が固まった3角からはマトモに砂を被る形。直線向いてスワーヴアラミスの直後。坂を上り切る辺り迄は食らい付いていたが、そこからの伸びが足らなかった。ただ、初ダートの差し馬が砂を被って競馬を止めなかっただけでも充分。能力自体が知れている部分は有るが、稼げる手段が増えたということはいえる。

第62回京成杯(GⅢ)

オニャンコポン

-8kg。数字分だけ締まった印象。背丈が高く、元々がこのメンバーに入れば馬は上位。毛ヅヤも良かった。好発。出脚も速かったが、今日は最初からの決め打ちで待機。それでも馬の出脚が速いので、中段から。今迄と違う競馬で、序盤に行きたがったのは仕方がないが、2角では折り合いも付き、ロジハービンが動いた際にも我慢して、自分のタイミングで追い出す形。基本的には道中は内に入れる様な小細工はせず、馬場のいい外をグルッと回って来た。内にモタれそうになるのを矯正しながらだったが、コントロールの利く範囲内で、直線の脚も中々力強かった。今日は完勝。前走から一線級ではない気もするのだが、今日は競馬を変えて結果が出ただけに、次走が試金石。

ロジハービン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。528kgの大型馬だが、少しアバラが浮いていた程。踏み込みもしっかりしており、この時期にしては良く造り込まれている。大トビ故、スタート直後はフォームが定まらず、出脚も鈍かったが、行き脚が付いてからは一転して掛かり気味。結果的に序盤は後方に居たが、向正面で馬の気に任せて進出。4角で好位に取り付いて、直線入口で先頭。最後はオニャンコポンに捕まったが、如何にもハービンジャー産駒らしい強引な競馬がハマった形。コンスタントに走れる馬ではないだろうが、道悪なら狙ってみたいタイプ。

ヴェローナシチー

前肢にバンテージ。+4kg。もっと馬体が締まって来ないと話にならない。歩様も力強さに欠く。ゲートは出たが、出脚がサッパリで後方から。向正面では少し行きたがって引っ張る場面。ただ、4角で腹を括って外を回さず、インへ飛び込む形。不器用そうに見える割に、狭いところに飛び込んで来た一瞬の脚は中々速く、直線も内は壁だったが、少し外へ立て直してここ迄押し上げて来た。出脚は悲惨なのだが、勝負どころになるとギアチェンジ出来るタイプ。成長して上手く身体が使える様になれば大化けするかも。ジックリ育てるこの厩舎でも有り、長い目で見たい馬。

アライバル

前後肢にバンテージ。+16kg。少しボテッと映る程度だが、元々が寸が詰まったマイラー体型で、この位の方が見た目はいい。スタート直後に外から寄られて出脚が鈍り、中段。しかも1角で他馬と接触する場面。その割にはまだ馬は辛抱してくれていたが、4角も動くに動けない位置となり、直線はオニャンコポンが抜けてからの追い出し。これでは一手遅い。完全に競馬の失敗。ただ、それでもヴェローナシチーには先着したかったところ。馬も不器用。

テンダンス

+12kg。今日に関しては少し腹回りがボテッと映る。ただ、背丈が低くて、馬に幅が有るタイプで、パワーは有りそう。この馬の出脚で1角進入は中段辺りだったが、前に馬を置いて折り合いを付ける形。当初の壁はオニャンコポンだったが、徐々に内へ入れて、3角で内ラチ沿い。そこから徐々に番手を上げ、直線入口では先行グループの直後。直線も一瞬塞がりそうになった狭いところをコジ開けて来たが、そこからが続かなった。今日の内容だけをいえば距離が長い。徐々に折り合いは付く様になって来たのはいい傾向だが...。

第69回日経新春杯(GⅡ)

ヨーホーレイク

厳寒期で500kgを超える大型馬の休み明けだが、思いの外出来ていた。歩様がブレるのがマイナスといえばマイナスだが、これは元々。スタート直後に直ぐ内のマイネルフラップと接触して出脚が鈍ったが、立て直して中段。道中の折り合いは付いていた。眼前のステラベローチェを目標に乗られ、坂で並び掛けると、最後は追う者の強みで競り落とした形。距離は延びた方がいいタイプで、適性の差も有っただろう。ただ、ステラヴェローチェに勝てばGⅠでも通用ということにはなるのだが、馬がそこ迄良くなった印象がなく、本当に成長しているのかどうかは半信半疑。

ステラヴェローチェ

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走中山戦と大きくは変わらず。ただ、歩様は微妙に落ちた気もしないでもない。少し出して行って好位の内目。以前と比べると大分折り合いが付く様になっている。馬群がバラけたことと、人気を背負っていたことも有り、今日は外を早目早目の立ち回り。前の馬は坂を上り切った辺りで全て捕まえたが、この時点でヨーホーレイクに並び掛けられており、これに抵抗する余力は残っていなかった。結果的にもう少し大事に乗った方が良かったということにはなるが、レースとしては強い内容。馬にとっても糧になる敗戦。

ヤシャマル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+10kg。立派は立派だが、毛ヅヤがいいだけにデキに問題はなさそう。ただ、この距離にしては煩過ぎる。出脚に余裕はなさそうだが、何とか頑張って中段から。道中は意外と折り合いも付いた。ステラヴェローチェを眼前に置き、基本的には内々を通る形で乗られた。直線に向いて一瞬の脚はステラヴェローチェに敵わなかったが、ジリジリ伸びて3着浮上。馬装通り、頭は高いのだが、気性のキツさが実戦に行っていい方に出た形。ただ、出脚がないので、序盤を上手く立ち回らないと位置取りが悪くなる危険が有る。乗り方に工夫の要る馬。

エフェクトオン

前肢にバンテージ。背丈が低いだけで、数字の割にドッシリ見せるのがこの馬の長所。歩様にも力感が有る。外のトップウイナーに叩かれたことも有ったが、鞍上に行く気がなさそうで、後方。直ぐに内へ寄せていた。道中の折り合いはスムーズで、ステラヴェローチェを意識して動いた馬が多く、4角でワンテンポ待ったことで、上手く距離を稼げた。少なくとも鞍上としては最高の騎乗。馬も一瞬の反応は良かったのだが、最後に甘くなった。距離が長いというより、いい脚が長く続かないタイプ。その分、操縦性は抜群にいい馬なのだが、脚の使いどころが難しい。

アフリカンゴールド

下見は後方を周回。少しチャカつく位だが、今日も馬に活気が有ったのが何より。歩様も前走を考えればスムーズ。馬体の張りを含めて、確実に良くなっている。例に依って出脚が速いという訳ではないが、今日も積極策。道中もいい感じで追走出来た。4角手前から前へ並び掛け、一旦は先頭。流石にこの仕掛けは早過ぎたが、何とか掲示板には踏み止まった。とはいえ、前走の成功体験が有るだけに、早目スパートは仕方がないところ。少なくとも前走がフロックではなかったことは証明出来た。

第59回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

ルビーカサブランカ

前後肢にバンテージ。+8kg。今日だけをいえば少し立派だろうが、馬は張っている。毛ヅヤも冴えて、単純にデキがいい。気配も良かった。ゲートの駐立が悪く、あくまで偶然だが、珍しく五分の発馬。出脚は速い方ではないとしても、中段やや後方のイン。マジックキャッスルの前で競馬出来たのは大きかった。道中の折り合いは全く問題はなく、4角でウインアグライアをパスして、マリアエレーナの直後。そのマリアエレーナが外へ張ってくれたことで進路も出来、そのマリアエレーナが立て直して猛追して来たが、一杯一杯振り切った。二重三重に展開が向いた印象。今日はそれ以上でもそれ以下でもない。

マリアエレーナ

下見でチャカつくのは毎度。422kgの割には良く出来た馬で、馬体は充実。芦毛でも毛ヅヤもピカピカ。出脚で内の馬は叩いたが、外から主張した馬も居て、3番手から。1角は少し力んでいた様にも見えたが、2角からは我慢してくれていた。4角迄は前が壁になっていたが、直線入口で自然と進路も出来て、お誂え向きの展開だったが、外へモタれてしまったのが痛かった。入口でインに居たのに、決勝線では馬場の4分どころに居た。着差が着差だけに惜しい競馬。一番強い競馬はしている。馬の問題は有るにせよ、鞍上の技量不足といわれても仕方がないところ。

デゼル

2人曳き。後肢にバンテージ。馬振りの良さでは抜けた存在。歩様も悪くなく、最近の中では気配もまずまず。行く気はない馬で、例に依って後方の近い位置。中段馬群が固まっており、その一歩後方で揉まれない形で運べた。3角過ぎから進路を外へと決めて、4角で一息入れてから直線は大外。久々にこの馬らしい脚で伸びていた。ハンデ差と通った位置を考えれば実質的な勝ち馬。前走阪神戦にもそんな雰囲気が有ったが、少しズブくなっている。今日は早目に動かしたのがいい方に出た感も。

ソフトフルート

トモのボリューム感はひと際目立つ。歩様も力感タップリで、下見からは減点材料はない。毎度のことながら、出脚がサッパリで後方から。4角手前辺りで内外で迷っていた様にも見えたが、結局はデゼルに付いて行く形で大外へ。最後は本当にいい脚で詰めており、今日の展開でここ迄走れているなら重賞でもチャンスは有りそう。前走阪神戦4着から、ソコソコ売れてしまうのが厄介といえば厄介だが、ハマれば突き抜ける力は有る。

アイコンテーラー

+10kg。腹回りは少し緩くなった気もしないでもないが、許容範囲。それよりも、姿勢が高く、トモの送りに力強さを欠いていた点が気になった。一瞬の出脚が速いという訳でもなさそうだが、押してハナへ。初めての逃げで物見をした分も有っただろうが、出した割には直ぐに折り合いが付き、1000m通過が62.3秒とスロー。内ラチピッタリを回って、直線に向いても手応え充分。逆にいえばそれで掲示板に載るのがやっとなのだから、最後は決め手の差という以外にない。馬場状態そのものもインが有利だっただけに、重賞では少しキツいとみるのが妥当。

第38回フェアリーステークス(GⅢ)

ライラック

-4kg。また馬体減。420kgの馬だけに歓迎材料ではないが、見た目にガレたという印象はない。外をキビキビ歩いており、気配も良かった。ゲートをポコンと出て、1馬身出遅れ。そのまま最後方から。当初は馬群にも取り付いていない状態だったが、600m過ぎ辺りから進出して一旦は中段に取り付き、3〜4角中間から再び外を追い上げる形。直線も一追い毎に伸びて快勝。強引な競馬だったが、力が違った。追加登録料を払って迄クラシックを目標にするとのことだが、勝つ迄はどうかとしても損はない筈。

スターズオンアース

2人曳き。+6kg。ちょっと馬が緩い。歩様も硬さこそないものの、まだ微妙にブレが有る。好発。内枠だったことも有り、一瞬はハナに立ったが、鞍上に行く気がなく好位で待機。セコい競馬は出来たが、4角から何度か他馬と接触。ひとつひとつは大した影響ではなかっただろうが、初の右回りだったことも有り、直線に向いて内にササって追い辛くなったのが痛かった。何とか立て直してジリジリ伸びて来ていたが、最後はライラックにネジ伏せられた。能力は有りそうだが、今日のところは若さが出た形。

ビジュノワール

-4kg。この時期にしてはキッチリし過ぎている感も有るが、キレの有る馬体。集中して歩けていた点も好感。スタート直後にスターズオンアースに叩かれたことも有り、行き場がなくなり、中段やや後方。馬が怒ってしまったか、道中はリズムを欠いた。4角も外へ出そうにも出せず、中々進路がなかったが、直線に向いた辺りでライラックの直後へ出て来れたことで進路を確保。最後はいい脚で詰めている。今日の悲惨な競馬でこれだけ走れれば充分。スムーズなら重賞でも足りる。

フィールシンパシー

シープスキンノーズバンド。-10kg。細い印象はなく、毛ヅヤの良さが目についた。ただ、気配に乏しい。ゲートも速かったが、積極的に乗られて、押して2番手。道中の折り合いもスムーズだった。直線入口で先頭に立ち、そこからは流石に苦しくなったが、ズルズルとは行かず何とか4着に踏みとどまった。勝ちに等しいと迄はいえないが、中山マイルの外枠だけにこれだけ走れれば上等。500万は楽勝級。

ブルトンクール

毎度のこととはいえ、煩いのがネック。ただ、馬体にギスギス感がないのはせめてもの救い。好発も急かさず好位4番手。下見は煩いが、スタート直後に急かしていない分、道中の折り合いは付いて、スムーズに回って来れた。それだけにもう少し頑張って欲しかったが、未勝利上がりで13番人気の馬だけに充分といえば充分。フィールシンパシーとは違って、500万楽勝とはいえないが、器用さは持っている。

第56回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

マテンロウオリオン

2人曳き。馬に迫力は有るのだが、もうひと絞り有った方が良さそう。テンションが上がって来たのもマイナス。今日はゲート五分。下見でテンションが上がっていたことも有り、折り合いを意識しつつ好位のイン。多少なりとも力んでいたことは確かだが、何とか我慢して走ってくれていた。直線も最内が開き、登坂力で抜け出して先頭。ソリタリオも渋太く差を詰めて来たが、一杯一杯振り切った。5日はそうでもなかったが、今日はインしか来ない馬場に変貌しており、能力評価は微妙な部分も有るのだが、未勝利の身で500万を勝った力は流石というところ。あとは1戦毎にテンションが上がって来た部分がどう出るか。10年前ならまだしも、今のこの鞍上で我慢させられるなら大したことはないともいえるのだが...。

ソリタリオ

前後肢にバンテージ。この時期にしては毛ヅヤがいいのが何より。マイラー体型だが、馬に幅が有る。ゲートは微妙に後手も、何とか立て直して中段やや前辺り。道中の折り合いは付いていた。4角で少し前との差を詰め、直線は外へ。ただ、今日の馬場で外を回すと中々勝ちがないところ。マテンロウオリオンにじゃ際どく迫っていたが、相手の脚勢にはまだ余裕が有った。競馬は上手いタイプで、賞金を加算出来たのも何より。ただ、ここに来てゲートが怪しくなって来た点はネック。ゲート出てしまえば素直な馬なのだが。

レッドベルアーム

512kgながら、スカッと見せてスケールの大きいタイプ。下見では落ち着きも有り、歩様もしっかりしていた。これもゲートが微妙に悪く、中段から。道中は只管ジッと待機。馬も何とか我慢してくれてい。ただ、今日の展開で9番枠から後方になるとどうしても外を回さざるを得ず、それだけでも単純に不利。それでも上手く捌いた方で、追って何度も手前が替わってフラフラになりながらも何とか3着浮上した。前走東京戦もそうだが、まだ馬体がちゃんと使えていない。逆にいえば上手くハマれば大化けしそう。

ビーアストニッシド

前走阪神戦を考えれば、今日は仕草に堪えが利いていた。ただ、馬の迫力だけをいえば今日はそこ迄目立たない。ゲート五分。一瞬だけ押して好位。ただ、スタート直後から引っ掛かりそうになっており、本来ならマテンロウオリオンの位置が欲しかったところだが、引かざるを得ず、その一歩後ろから。それでも行きたがって、前の馬に乗っかからない様にするのがやっとの状態。それでも直線は一瞬抜けて来たが、流石に最後は甘くなった。前走阪神戦が逃げる競馬だっただけに、今日の結果だけを求めるなら積極的に乗っても良かった気もしないでもないが、これはこれでいい経験になった筈。少なくとも前走がフロック出なかったことは証明出来た。

デルマグレムリン

2人曳き。前肢にバンテージ。腹回り、トモも含めて、全体に馬が緩い。歩様にも力強さを欠く。これでもこの馬としてはゲートを出た方だが、出脚が足りず、後方で待機。4角を回り切ってから、外へ。今日の馬場で外を回ると苦しいのは自明だが、その割には最後迄良く差を詰めていた。まだ馬が緩い割に追って重心が下がって、全身が使えていた点も好印象。20年前の7着馬、ファストタテヤマの再来の様な馬。

第60回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

ザダル

単純にデキも馬のスケールも抜けていた。馬は迫力満点。毛ヅヤピカピカ、歩様にもブレがない。ゲートはアテにならないタイプで、今日も1馬身出遅れ。そのまま後方から。中途半端に行かせると昨夏の新潟戦の様に止まるケースも有り、今日は兎に角ジックリと。4角を回り切ってから直線は進路を探す形。上手く前が開いてくれたことも有ったが、ペースが流れたことで久々にこの馬の決め手が生かせた。2着のダイワキャグニーもそうだが、結果的にエプソムカップを勝った馬のワンツー。3着カイザーミノルも毎日王冠で好走しており、来年以降、東京1800m実績の有無はまず注目するポイントとなる。

ダイワキャグニー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。+8kg。やはり、この位の数字が一番見栄えする。デキも良さそうだったが、今日は何時も以上にテンションが高い。内枠のサトノフェイバー、バスラットレオンがやり合うのを眺めながら、その3番手。1000m通過57.8秒だからソコソコ流れたが、基本的には積極的に乗られた。何故か3角で一瞬内にササッたが、それ以外はスムーズ。決め手の有る方ではないので、4角から後続を待たずに追い出し、ザダルとは決め手が違ったものの、何とか2着は守り切った。得意の持久力勝負に持ち込めたのが良かった。8歳馬が良馬場で57.5kgを背負ってこれだけ走れれば文句なし。まだまだ稼げる。

カイザーミノル

遮眼革。歩様は元々怪しい馬で、この位なら許容範囲。ただ、何時もよりちょっと煩い。馬体の張りも甘くなった。満点はやれない。主張して行った馬も多かった中、この馬の出脚で5番手辺り。元来が追って頭が高く、走法の綺麗なタイプではないが、今日は何時もよりも力んでいた様にも見えた。決め手の有るザダルにやられるのは仕方がないにしても、人気を背負っていただけに2着は確保したかった。微妙な仕上げの甘さが最後に出たか。この辺は厩舎技量といわれても仕方がないところ。

ダイアトニック

前後肢にバンテージ。+8kg。一息入ったが、特に緩い印象もなく、それなりに出来ていた。ゲートでアオり気味になり、一瞬の出脚が鈍って中段やや後方から。この鞍上だけにインに拘るのは当然だが、本来なら今日のペースでももう一段前で運びたかったところだろう。インから一瞬は2着かの脚勢だったが、寸前でダイワキャグニーに差し返され、カイザーミノルにも捕まって4着止まり。前述した様に位置取りの問題も有るにせよ、最後は距離も言い訳になりそう。何れにしてもキッカケは掴めた競馬。そこ迄の能力減はない。

クリノプレミアム

馬のスケールで明らかに見劣るが、下見所の外を周回して歩様もキビキビ。デキ自体は良さそう。ゲート五分。外のカイザーミノルに暫く抵抗していたが、2角辺りで引いて中段から。そのカイザーミノルを目標に、内目を通った割には揉まれずに競馬出来たが、直線に向いてカイザーミノルの内外で迷って1馬身程のロスが有った。尤も、4着とは1馬身1/4差だから、ここがスムーズでも今日の着は変わらなかっただろうが、限定戦ならやれるメドは立ったか。

第71回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

レッドガラン

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。数字が大きいことも有るが、このメンバーでも単純に馬が抜けている。好発も、出脚が速いとはいえず、押して何とか5番手。それでも折り合いは付く馬で、前過ぎず後ろ過ぎず、外過ぎず内過ぎず、いい位置で流れに乗れた。直線向いて外へ持ち出した際は些か強引だったが、脚の違いで外の馬を蹴散らし、坂を上って右手前になって遊ぶ余裕も有った。完勝。見た目だけなら昨年のヒシイグアス級。ただ、これ迄オープン特別でずっと勝ち切れなかった馬。2000mで新味が出たということもいえるが、今日は上がりが掛かる馬場が向いた感も有り、2分を切る馬場や上がり33秒台の決着だと苦しいかも。

スカーフェイス

2人曳き。馬自体はこのメンバーに入ると迫力不足。ただ、背丈が低いタイプの割に、少し重心が上がっていた様にも見えたが、今日は前走阪神戦よりも歩様自体はしっかりしていた。ゲートも出脚も速い方ではなかったが、枠も遠く、押して何とか中段やや後方。ただ、道中は外を回ったとはいえ、お世辞にも手応えがいいとはいえず、1000m過ぎから追い通し。直線向いてからも右手前のままで暫くモタついていたが、坂で左手前に替わってからのひと伸びで2着浮上。前走が脚を余した印象で、今日は外から強気に乗ったのが正解。渋太い面は証明出来たが、これも上がりが速いと微妙。

ヒートオンビート

馬に活気が有って、毛ヅヤピカピカ。気配は抜群に良かった。スカッと見せていた点も好感。ゲートは出たが、あまり急かしている様子はなく、中段の内目。内外前後に馬が居て、ストレスの掛かる位置。4角も外へ出そうとして出し切れず、直線向いて改めて進路を探す形。最後は狭いところを割って伸びて来ているのだが、前でスムーズな立ち回りだった勝ち馬や外を回って積極的に乗られた2着馬には届かず3着止まり。地力は示したが、今日は下手に乗ったと言われても仕方がないところ。レース後に鞍上がコメントした通り、もう一段前運ぶべきだった。逆にいえば馬は責められない。2000mは短い印象も有ったが、こなせるとみていいのだろう。

タガノディアマンテ

+4kg。この時期にしては毛ヅヤは悪くないが、少し緩い。それでもほぼ1年の休み明けと考えれば充分出来ている方。手先のスナップが利いて、歩様も滑らかだった。例に依って出脚の速い方ではなく、後方に近い位置。このレース、基本的には序盤スロー、1000m過ぎからのロングスパート戦だったが、その中ではジックリ乗られた方。ロングスパート戦故に4角で馬群が横に固まり、内がガラ空きとなり、展開もハマったが、最後の最後に少し甘くなった分の4着。休み明けだけに同情の余地が有るとはいえ、あそこ迄行けば2着が欲しかった。評価に迷う内容。

トーセンスーリヤ

この馬としては迫力に欠く。絶好調ではないだろうが、仕上がってはいた。歩様も力強い。少し出して、逃げたシャムロックヒルの番手。道中は折り合いを付け、4角で外へ。ここ迄は完璧に乗られたが、追ってから手前が替わらずジリジリ。掲示板を確保するのがやっとだった。左回りの方がいいのだろうが、今日は案外感が残る。条件馬時代に勝ったことも有るが、見た目が落ちていることからも、冬場が良くないかも。