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競馬回顧 2017年4回阪神

グローバルスプリントチャレンジ第8戦 第51回スプリンターズステークス(GⅠ)

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。下見は最後方を周回。馬体がそこ迄見栄えしないのは毎度で、今春気になった歩様の硬さがないのが何より。出脚の問題も有るが、乗り役にも行く気がなく、後方に近い位置。直線向いて、前と外が壁になり、少し待たされたが、脚で外の馬を弾くと一頭だけ違う脚で伸びて来た。前走東京戦でマイルにも対応出来るところを示したが、全身が使えているのが大きい。見た目にも豪快だった。ペース的には前の展開だった筈だが、この馬だけ力が違った印象。1分7秒6は、GⅠ格上げ初っ端の1990年バンブーメモリーで1分7秒8、翌1991年ダイイチルビーの1分7秒6辺り迄遡ることになり、進歩がない気もしないでもないのだが、時計はこの馬の所為ではない。他が低レベルといえども、連覇は立派。

レッツゴードンキ

この馬としてはスカッと見せる。下見で落ち着いているのも毎度。この乗り役らしく、スノードラゴンだけ叩いて中段のイン。スプリント戦といえども、流石にこのペースだと少し行きたがる場面は有ったが、基本的には理想的な競馬が出来た。坂を上る途中で先頭。しかし、もう50mが長かった。乗り役は直線向いて夢を見たとのことだが、レッドファルクスに外から差された以上、結果的に早かったかも。能力面でレッドファルクスとは比較にならないが、惜しい内容。スプリント戦では兎に角堅実。

ワンスインナムーン

前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まっているが、この手の馬に有り勝ちな歩様の窮屈さもない。この馬より内枠だったセイウンコウセイが出遅れ、フィドゥーシアが控えてくれたことも有ってハナ。600m33.9秒のスロー。毎年のパターンだが、先行激化が予想される年程、遅くなり易い。4角迄単騎、直線向いてからも好位勢を振り切って、レッツゴードンキ同様にこの馬も夢を見た筈だが、坂を上る途中で甘くなった。ただ、2月京都戦で首の使い方が下手と述べたが、幾らか改善している。今日の時計だと過大評価もし辛いにせよ、この馬としては成長しているのは間違いない。

スノードラゴン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。何処か衰えているのだろうが、馬体が白くなって目立たなくなっている。歩様も悪くない。若い頃から出脚は不足気味の馬で、レッツゴードンキに叩かれて中段やや後方から。ただ、スローの割にこの馬が居たところはバラけており、トビの大きい馬がノビノビ走れたのは何よりだった。直線も意外な程、近くに馬が居なかった分の4着。スローでインに居た利が大きく、僅差でも評価出来ない内容だが、この馬自身に衰えはなさそう。来年現役続行すると仮定して、馬場が田圃にでもなる様なら一発有って不思議はない。

ブリザード

2人曳き。寸が詰まった如何にもスプリンターといった体型。デキ自体も悪くなさそうだが、馬自体に多少格下感も感じさせる。出脚でも若干分が悪かったが、スタートして50m程でパッチンを食らって一旦後方に下げざるを得ない形。そこから早目に挽回して外を押し上げ、直線もレッドファルクス程ではないにしても、ジワジワ伸びている。パッチンがなかったら、馬券圏内有った。この馬が強いのか、現状の日本調教馬が弱いのか微妙だが、年末香港戦の一つの物差しにはなる。

ビッグアーサー

+3kg。数字上は出来ていたが、腹回りが緩い。好発。内枠の行きたい馬に行かせて好位の外。ちょっと力む位の行き振りもこの馬らしさ。直線向いて直ぐの段階でも手応えは有りそうだったが、坂を上る脚がなかった。戦前の報道よりは良い競馬が出来ただろうが、万全でもなかったといった印象。ただ、叩けば変われる筈だが、これで引退とのこと。

第21回シリウスステークス(GⅢ)

メイショウスミトモ

+6kg。多少太い気もするが、馬格はこのメンバーでも上位。ただ、気配は地味。出脚は有る筈だが、引っ掛かることも多く、急かさず中段。尤も、芝での出脚争いにならず、何時もより前の位置が確保出来たのは大きかった筈。道中はインで死んだ振り。直線だけ外へ持ち出すと、ジワジワ伸びて前を捕まえた。外から届かずの競馬が多かったが、オープンでも実績が有り、結果的に55kgは恵まれていた感も。今日の内容だけなら、次走は手が出し辛いのも確か。

ドラゴンバローズ

-6kg。気配も良かったが、所作がしなやか。むしろ芝馬の印象。マスクゾロに叩かれる展開では有ったが、立て直して2番手。スローということも有って、早目にマスクゾロをパスして先頭。ただ、直線向いて多少外へモタれていた。外に馬が居なければまだ違ったが、そこにピオネロが居て追い辛くなってしまった。メイショウスミトモはあくまで奇襲で、実質的勝ち馬ともいえるが、最後は距離が長いのか、もう少し渋った馬場が良いのか。何れにしても良馬場の2000mは若干馬力不足を感じるところ。

ピオネロ

前後肢にバンテージ。+6kg。馬振りは例に依って見栄えがするが、コズミが有るのか、歩様がブレるのがマイナス。出脚利かせてスッと好位3番手。ただ、スローで少し力んでいた様にも見えた。4角の雰囲気では勝っても不思議はない手応えだったが、坂を上って甘くなった。スムーズな競馬は出来たが、気持ち良く行き過ぎたかも。最後にハンデ差が出た。ドラゴンバローズを捕まえて2着確保ならまだ値打ちも有ったが、3着は頂けない。

トップディーヴォ

遮眼革。毛ヅヤが冴えて、歩様もしっかりしていた。今年に入って明らかに良くなっている。出脚が速いという訳でもなさそうだが、少し出してピオネロをマーク。これはこれだったが、3角辺りから手応えが悪くなり、オッツケ通しだった。その割には良く頑張っているともいえるのだが、直線は雪崩れ込んだ様な格好。前走新潟戦は1800mのインでむしろ行き振りが良かったのだが、掴みどころがない。攻め馬を工夫して、かなり造り変えているのだろうが...。

スリータイタン

8歳にしては馬が若い。気配も良かった。先行争いに負けた時点で切り替えて内ラチ沿いに寄せて後方から。これはこれだったが、3角から馬を捌いている間に想定より外へ行ってしまったのが少し勿体なかった。最後は内に切り替えて伸びているが、上手く行けば4着が有った内容。内容の評価としては単なる着狙いということにはなるのだが、岩田騎手にしては少し欲を出してしまった印象も。

第63回産経賞オールカマー(GⅡ)

ルージュバック

2人曳き。ほぼ完璧に出来ていた。悪い時の硬さがない。デビュー以来、初めての好発。内の馬を叩いて好位。少し出している分、多少行きたがっていたが、直ぐに折り合いは付いた。マイネルミラノが4角手前で突き放す展開となり、好位勢が慌ててこの馬も雑になり、マイネルサージュを弾く形となってしまったが、立て直して最内を突いて、抜け出した。出脚がなくて、中々展開に恵まれなかったが、やっとハマった。戦前懸念されていた距離は、1600mよりは余程マシで、むしろストライクゾーン。次走は同距離の京都戦目標とのこと。昔から何故か限定戦となると弱いものの、ジンクスを無視するなら本命級の評価が出来る。

ステファノス

前肢にバンテージ。腹回りの緩さが満点ではない。この馬の休み明けとしてはマシな程度。これも時々出遅れる馬だが、ゲートを五分。ディサイファの先行策に乗る形で好位。ルージュバックと並走、若しくはその直後辺りから。4角から坂下辺り迄の勢いは勝ったかの雰囲気だったが、そこからが甘い。それでも下見通り、この馬の休み明けとしては過去最高レベルで走っている。次走も2,3着圏内ということになるが、この中途半端さが長持ちに繋がっている印象も。

タンタアレグリア

シープスキンノーズバンド。-8kg。馬体に張りがない。骨格がしっかりしているので目立たないが。ストライドの大きい馬で、急かしたくないところだが、中山だけにそうも行かず好位直後。道中は問題なかったが、4角でルージュバックを起点として、マイネルサージュと接触してしまったのは痛かった。前述した様にストライドの大きい馬で他馬以上にこれが応える。最後は良く詰めている。今日のパフォーマンスだけならルージュバックとも同等の評価。

マイネルミラノ

遮眼革。+14kg。多少腹袋がボテッと映る程度。内の馬も結構速かったが、委細構わずハナ。1角進入時にはハナへ立ってマイペース。1000m通過63.1秒の超スロー。3角過ぎからペースを上げて後続を突き放し、直線向いた段階で4馬身程のリード。一瞬はハマったかに見えたが、坂を上る脚で捕まった。これで負けたら距離が長い。ただ、今日は2200mだから行けただけで、出脚が鈍っているのも確か。この辺に年齢から来る衰えが見え隠れしている。

ショウナンバッハ

遮眼革。下見は集中して歩いていた。馬体も無駄肉がなくスッキリ。ルージュバックに叩かれる形となったが、気にせず中段やや後方。スタート直後から内ラチ沿いへ寄せていた。4角でゴチャついたが、内からやり過ごし、外から外へ出してここ迄。重賞で唯一馬券になったのがこの条件で、他場では厳しいのだが、中山2200mは得意としている様で上手く立ち回っている。

第65回神戸新聞杯(GⅡ)

レイデオロ

-4kg。多少発汗有ったが、数字通り出来ていた。意外にも好発。序盤は少し行きたがっていた様にも見えたが、その分出脚が付いて好位確保。マイスタイルが出遅れ、アダムバローズが早々にハナを主張して、隊列が早々に決まり、1000m通過が61.4秒。こうなると楽。直線向いてからの反応の悪さも多少感じたが、坂を上る脚で決着を付けて快勝。初西下でテンションが少し上がっていたのが結果的にレースで良い方に出た気もしないでもないが、またしても能力の絶対値が分かり辛い競馬。現状だと古馬相手だと厳しい気もするのだが。

キセキ

-12kg。馬体減は絞れたと見たい。トモのボリューム感はむしろ上位。毎度ながら半馬身程出遅れ。それでも枠の利で中段やや後方辺り。1角で少しゴチャ突き、道中は少し掛かり気味。それでもインを確保してセコい競馬に徹し、直線を向いた段階では対レイデオロで2馬身差。充分射程圏だったが、中々前が開かず、坂を上る途中で少し強引に捌いてここ迄。王者の競馬と同列にするのはレイデオロに失礼では有るが、スムーズなら際どくなっていた。尤も、次走京都戦は差し一手だと中々勝つ場面迄は望めない。

サトノアーサー

+14kg。春は多少華奢な印象も有り、増えた点には好感。尤も、マイラー気味の体型にもなって来た。ゲートを外へ飛ぶように出て、ダンビュライトと接触。その影響も有って序盤は口を割って力んでいたが、好位は確保して、レイデオロをマークするイメージで乗られた。直線向いて2着も有ったかに見えたが、坂を上り切る前に手前が替わって甘くなり、3着に。春に詰めの甘さを見せていた馬で、そんな面がまだ解消されていないという評価も出来るが、ひょっとしたら距離が長いかも。

ダンビュライト

オーストラリアンブリンカー。+16kg。ほぼ出来ていたが、多少気負い気味。前述した様にサトノアーサーと接触したが、馬は特に気にする素振りはなく、この馬の出脚でスッと2番手。掛かっていたのはペースが遅かったからだろう。折り合う迄は前と馬体を離し、向正面でスムーズ。早目先頭の競馬で、意図通りの競馬だった筈だが、あと一歩だった。血統上は距離をこなせる筈だが、今日のレースだけをいえば多少距離が長い印象。尤も、サトノアーサーにもいえることだが、次走京都戦に関しては距離適性を無視出来る。

アドマイヤウイナー

-8kg。馬体にメリハリを欠く。張りが一息。ゲートは五分に出たが、外枠でもあり中段やや後方辺りからジックリと。引っ掛かることも多い馬だが、急かしていないことも有って意外な程折り合っていた。すこしでもコースロスなくと乗られたが、スローで4角が一団となって、最後は外へ。前とほぼ変わらない脚は使っている。内枠だったら結果は違った筈で、間違いなくダンビュライトよりは上のパフォーマンスが出来た。

第71回朝日杯セントライト記念(GⅡ)

ミッキースワロー

2人曳き。下見は最後方を周回。バランスの取れた馬体。このメンバーでも馬は上位。半馬身程出負け。折り合いは付く馬で、少し出して、1角進入時には中段やや後方に居たが、2角辺りではアルアインの直後迄押し上げていた。この位置で脚を矯めて4角は少し追い出しを待って、アルアインが抜けてから外へ持ち出すとキレにキレた。1頭次元が違う勝ち振りだった。今迄の乗り役が下手だっただけで、元々これ位の力は有った筈。次走も有力では有るが、ゲート失敗したのは気掛かり。京都3000mはかなり特殊。

アルアイン

+10kg。一応は出来ていた。恐らく数字分だけ太いのだろうが、元々がコロンとした体型。好発も好位待機。出脚は速いのだが、ブッ飛びそうな気配も有り、スタート直後から手綱を短く持っていた。中山2200mらしく3角過ぎからレースが動いたが、クリンチャーが動いたタイミングで、付いて行って坂下で先頭。しかし、その時点でミッキースワローの勢いが違っており、完敗に近い2着。一枚太かった分と距離面も有りそう。京都戦へ向かうとのことで、一般的には厳しい印象も有るのだが、内枠で上手く矯められる様なら距離は克服出来るだろう。尤も、今迄そういったセコい競馬をしていないのも確かだが。

サトノクロニクル

+12kg。線の細かった馬で、馬体増は好感持てるが、まだまだ力が付き切っていない。出脚が良い訳ではなさそうだが、少し出して好位のイン。その分、序盤は少し力んでいた。向正面の頂点過ぎからスペースが出来たところで少し動いてセコい競馬は出来たが、少し直線で他馬との微妙な位置関係でスペースがなくなってしまった様で3着止まり。とはいえ、脚が有れば割って来れた気もしないでもない。道中のロスも多少なりとも響いているだろう。気性面も有るだろうが、根本的な体力不足を感じる内容。

スティッフェリオ

数字はない馬だが、可動範囲が広く、馬を大きく見せる。馬がソノ気になっており、外枠でもほぼ手綱を抑えたままで2番手。折り合いも付いて、スムーズに乗られた。直線入口で先頭。何とか権利が欲しかったところだろうが、あと一歩が踏ん張り切れず。とはいえ、毎回述べている様に、こういう競馬は馬を強くする。出脚も有って競馬が上手く、1000万は通過点に出来る筈。

プラチナヴォイス

右側だけ遮眼革。馬も大分立派になって来たが、今春より落ち着いている点に好感。ゲート内でガタついたことも有ったか、出脚は速くとも、スタート直後から引っ掛かっており、何とか宥めて中段待機。アルアインマークのイメージで乗られたが、直線向いて直ぐの脚で突き放され、最後もジリジリ。手前が中々変わらなかった影響も有るのだが...。今春の中山戦の時の方が機動力が有ったのだが、あの競馬では終いがサッパリ。中々競馬が落ち着かないのが現状。

第35回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

ラビットラン

2人曳き。前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まって馬振りは悪くないが、少し気負っていたのがマイナス。出脚は有りそうだったが、下見でイレ込んでいたことも有って折り合いに専念。中段やや後方から。ソコソコ流れたことも有って、狙い通りに乗れた。前崩れの展開になった分は有るにせよ、直線向いて1頭だけ違う脚で追い込んで来た。中々トビがダイナミック。平坦小回りでどうかという面は残るのだが、このメンバーでやれたのだから大したモノ。

カワキタエンカ

前後肢にバンテージ。一叩きして馬が良くなっているが、これもチャカつく。好発。直ぐ内のカラクレナイもゲートが速かったが控えてくれて、スンナリハナへ。1000m通過58.6秒だから決して遅くはないのだが、単騎で行けたのは大きかった。坂下でファンディーナが並び掛ける位置迄追い上げて来たが、ここで失速し、他の好位勢も揃って伸びず、突き放せたのが大きかった。桜花賞も先行争いでやり合った割には頑張っており、阪神外回りは渋太い。先行馬という意味では、次走の平坦内回りも悪くない筈だが、如何に競られないかがカギとなる。若干出脚が未知数の部分は残っている。

リスグラシュー

+4kg。非力な印象がなくなって、馬を大きく見せる様になった。今日はゲート五分。中段やや後方のインで折り合いは付いたが、4角で隣に居たラビットランとは直線向いた辺りからの反応にが有り、そこで一気に差を付けられてしまった。一応、渋太く差を詰めているが、3着争いを制するのがやっとだった。尤も、今日は時計こそ速いものの、結果は道悪。最後は我慢比べになった部分が有る。ファンディーナもそうだが、休み明けの馬にはキツい展開となったのは間違いない。叩けば変われる筈。

ミリッサ

2人曳き。前後肢にバンテージ。かなりチャカついていたのと、寸が詰まってマイラー体型。デキ自体は良いが。ゲートは出ているものの、出脚がなく後方から。直ぐ前に居たリスグラシューが勝負どころで外へ行ったのに対し、こちらは内へ。しかし残念ながら、内が開かず結局はラビットランの外。この辺の右往左往は有るのだが、とはいえ反応の悪かったリスグラシューは、権利取りの面でも能力の証明という意味でも、凌ぎたかったところ。展開一つなのだろうが、何か上位とは差が有るのだろう。

メイショウオワラ

前肢にバンテージ。意外に落ち着いていた。踏み込みもしっかりしており、馬体もバランスが取れている。出脚を使わず、ジワッと行かせて中段から。道中は少し力んでいた様にも見えた。好位勢の直後から競馬を進めて、展開的にはハマっている位置だが、ラビットランとは登坂力が全く違っており、更に3枠2頭にも差されて5着止まり。惜しい内容。能力云々も有るだろうが、それ以前に折り合い面をスムーズにさせたいところ。

ファンディーナ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+22kg。馬は流石だが、明らかに緩かった。イレ込みもキツい。出脚は速い方だが、外枠で行きたがっていたことも有り、我慢させて好位待機。それでも手応えは充分で、4角マクりに出て坂下で逃げたカワキタエンカと並走。この時点では圧勝かに見えたが、坂が上れずバッタリ。前走中山戦と同じ内容で、ガッカリ感は有るのだが、今日は太目が祟ったと見たい。京都内回りは向く筈で、馬体さえ絞れれば圧勝が濃厚。

サマーマイルシリーズ第3戦 第62回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

グランシルク

2人曳き。前肢にバンテージ。歩様に勢いが出て来た。馬体を含めて、下見からは減点材料がない。好発。マルターズアポジーよりも速かったが、無理せず中段待機。道中はしっかり折り合っていたが、4角手前から大外を回って進出。坂下で既にマルターズアポジーを捕まえており、完勝といえる内容だった。今迄詰めの甘かった馬が見違える様な勝ち振り。56kgも利いているだろうが、本格化した可能性も高い。こうなるとステイゴールド産駒は手が付けられなくなることも。

ガリバルディ

2人曳き。休み明けでも出来ていた。多少踏み込みが浅いのは何時ものこと。馬体の雰囲気が兄マルカシェンクに似て来た。半馬身程出遅れ。出脚もなく、後方に近い位置。道中はインに居て、4角手前から外へ持ち出し、4角でグランシルクの直後。直線も後を追う様に伸びて来た。基本的にはトビが大きく、広いコース向きの馬。今日は中山でもストライドを大事に乗ったのが功を奏した。東京なら更にやれるということになるが、次走人気になる上に今日は明らかに展開が向いた。取捨はオッズ次第ということになるだろう。

ダノンリバティ

ドッシリと見せて、一歩一歩が力強い。多少小走りは有ったが、気配的にも許容範囲。もう少し前へ行きたかった様だが、マイネルアウラートに叩かれる形となり、中段から。後ろに居たグランシルクのマクりに併せる形で進出。回り脚の勝負で苦しくなったが、それでも直線は渋太く粘っていた。惜しい3着。1kg差が有るのが評価を難しくしているが、同斤と想定して枠と展開の差を考えればガリバルディよりは上という見方は出来る。

マルターズアポジー

発汗は有ったが、デキ自体は上々。高値安定。流石に58kgだと出脚に響いており、ちょっと押してハナ。グランシルクの好発にも脚を使わされている。道中は単騎のマイペースとなったが、序盤の無理が祟って、直線も坂を上る前にグランシルクに捕まっていた。4着は他が差していないだけで惨敗に近い内容。とはいえ、この手の逃げ馬は力を出せる条件になるかどうかが全て。斤量を背負う条件は宜しくないのは確かで、相手が少々強くなっても上のグレードレースを目指した方が競馬がし易いかも。また、福島戦もそうだった様に、何故かシルクの馬とは相性が悪い。

トーセンデューク

真っ直ぐ前を向いて、集中して歩けていた。スッキリとした馬体で、歩様もキビキビ。出遅れ1馬身不利。そのまま最後方に近い位置。道中は行き振りが悪く、オッツケ気味。4角でも外へ回す余裕がなかった程だった。直線は馬群へ突っ込んで、内目がゴチャついているところを擦り抜けてここ迄。1400mでも勝っている馬だが、もう少し距離が有った方が競馬はし易そう。出遅れ癖を考えても今なら2000m位有った方が良い。

サマースプリントシリーズ第6戦 第31回産経賞セントウルステークス(GⅡ)

ファインニードル

前後肢にバンテージ。今日も毛ヅヤ冴えて馬体が締まって見える。半馬身程出負けしたが、前走小倉戦が包まれて脚を余したことも有り、出脚でスッと好位。この出脚が抜群に速かった。出している分、多少行きたがったが、インで我慢させて直線抜け出すと1馬身のリードを保ってそのまま押し切った。快勝といえる内容。1分7秒5とまずまず速い決着となり、唯一の4歳馬という若さも武器になっただろう。何となく迫力に欠く面は有るのだが、ゲートを失敗しながら今日の勝ち方なら、本番も圏内の馬といえる。

ラインミーティア

前走新潟戦の気配は維持。外をキビキビと歩けていた。馬体も数字こそ増減なしだが、重量感が出て良くなっている。好発も、1000m戦の直後と有って急かさず中段で脚を矯める形。インでセコい競馬が出来た。直線向いてファインニードルの直後。坂下辺り迄は行き場を探していたが、外へは出せず、結局はファインニードルが抜けた後を追う形。前走同様、一瞬の脚を生かした。中々勝負強い。次走の中山に全く良績がなく疑問も残るのだが、妙な器用さが有る。今日で登坂力に問題ないところも証明しただけに内枠引く様なら軽視出来ない。

ダンスディレクター

前肢にバンテージ。-8kg。数字上は出来ていたが、中身が怪しい。ゲートも微妙に分が悪かったが、行く気もなく後方から。開幕週の馬場で、インに入れる場面が一度としてなく、直線も大外。上位2頭が内から来ていることを考えれば上々の3着といえる。骨折明けだったが、取り敢えず能力減はなさそう。下見が感心しなかった様に、基本的には休み明けを歓迎しない馬だが、恐らくは全体のレベルが低下したことでこの馬にも出番が回って来た様な格好。逆にいえば次走無事でさえ有れば一発有って不思議はない。

メラグラーナ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。踏み込み力強い。馬体にも迫力が有る。出脚も速そうではないが、これも行く気がなく後方から。ダンスディレクターと違って、道中はインに居た利は有った筈。直線も労せず捌けたが、それでダンスディレクターに負けた以上は言い訳がない。次走は良績有る中山で穴人気になるだろうが、今日のデキでこの内容だと中々厳しいだろう。嫌ってこそ妙味。

アドマイヤゴッド

遮眼革。7月から4走目ということになるが、馬体にボリューム感が有って、悪い印象はない。歩様にも硬さはない。最内枠の利は有ったが、ファインニードルに出脚で叩かれて好位のイン。ただ、道中は明らかに掛かっていた。直線は待ち切れずに外へ持ち出してファインニードルを追い掛けて行ったが、坂を上る脚がなく雪崩込んだだけ。案外感が残った。尤も、乗り役の話では、終いが甘かったのは前が開くとブレーキを掛ける気の悪さとのこと。

第2回紫苑ステークス(GⅢ)

ディアドラ

前肢にバンテージ。+12kg。前走札幌戦で減った分がそのまま回復。馬体の幅に影響するタイプの様で、横からの絵は前走と大差なかったものの、当然ながら減るよりは増えた方が良い。気配も、無駄な動きがなく、淡々と歩いていた。ゲートも微妙に悪かったが、最初から行く気はなかった様で、出たなりで中段の外。1000m通過61.3秒とスローで流れたが、どの馬という訳ではなく好位勢が揃ってペースを上げて最後は持久戦になった。4角は内から10頭分程の大外からジワジワ伸びて最後にハナ差。中々強い内容。オークスはインに居た利も有ったが、今日の競馬なら文句なし。本番もこういった展開となることが多く、その点でも有望。

カリビアンゴールド

前肢にバンテージ。+4kg。一応は馬体増だが、かなり細身の造り。もう10kg増えても。馬の気に任せて先行。出脚が有る馬で、スッと好位に収まっていた。スローということも有って、多少窮屈だった様にも見えたが、展開的には絶好。4角手前からペースが上がる中で、直線迄脚を矯めて一瞬は突き抜けた勢いだったが、最後の最後に甘くなってしまった。近年の中山で多い傾向とはいえ、若干案外感が残る。細身の造りが末脚の持続性に影響を及ぼしている感も。

ポールヴァンドル

2人曳き。-6kg。前肢にバンテージ。馬に集中力が有った。馬体も緩んだところがなく、ほぼ完璧に近いデキ。先行力の有るこの馬としてはスタートしての進み方が悪かったことも有り、外の行きたい馬に行かせて中段から。ディアドラに対し内から併せる形で、結果的に展開としては悪くなかった。4角は前が壁になって待たされながらも、カリビアンゴールドとマナローラの間が空いて良いショートカットとなったのだが、それでも競り負けて3着。乗り役としては最高に乗っている。馬が若干決め手不足。

ブラックオニキス

2人曳き。+10kg。数字がない馬で馬体増は素直に好感。少なくとも細い印象はない。毛ヅヤも冴えていた。好発も出脚で速い馬が多く、中段のイン。4角で前の馬を上手く捌いて、ロスなく立ち回っている。上位3頭とは少し差を付けられた印象も有るが、中山でインに居ると案外こうなるケースが多い。今年に入ってからは一番の内容。ガサがないだけに使い込めない弱点は有るだろうが、重賞でも足りる。

ライジングリーズン

2人曳き。-6kg。筋肉の浮いた造りで馬は見栄えがする。ただ、テンションが高いのはマイナス。ゲートを五分に出て、出脚も悪くなさそうだったが、下見で気負っていた点を気にしたのか、最初からソロッと乗られて後方から。道中も全く動かず、直線だけの競馬。馬群を割って良い脚を使っているが、今日の展開ではここ迄が一杯だった。今日の競馬では能力評価が難しいのだが、今迄4角は外を回すケースが多く、馬群が割る競馬が出来たのは収穫。