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競馬回顧 2017年3回京都

第131回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

フェイムゲーム

2人曳き。前後肢にバンテージ。今日は歩様が滑らか。馬体にも張りが有った。例に依って出脚は速い方ではなく、後方からジックリと。1時間半前のレイデオロと似た様な位置。メイショウカドマツが逃げて1000m通過60.7秒、2番手以下はそこから1秒弱離れていたが、それでもダービー程遅いペースではなく、そのまま待機。直線は外へ持ち出されると、最後は頭が上がり気味で、脚も少し上がった様にも見えたが、ジワジワ伸びて快勝。一時期は58.5kgを背負っていたとはいえ、58kgで勝ったのだから文句なし。去勢されて競馬を投げなくなっている。前走は4角でモタついたが、デキが良かったことも有って、反応も良くなっていた。

ヴォルシェーブ

2人曳き。-6kg。多少の小走りは許容範囲。実の詰まった馬体で見栄えがする。スタート直後に結構押していたのだが、イマイチ進んで行かず中段待機。枠なりの競馬は出来たが、一歩前のモンドインテロの位置が欲しかったところ。結果的に前走同様、直線で少し待たされる場面。捌いてからは伸びているが、外のフェイムゲームの方に勢いが有った。前走は勝ったにせよ、2戦続けての捌き損ねはツキがない。3走前に中京2000mでサッパリだった様に、この馬自身も機動力が足りない面は有るのだが。

ハッピーモーメント

前後肢にバンテージ。7歳でも馬は若い頃より良くなっている。叩いた上積みも有りそうだが、もう少し馬体が締まった方がベスト。しっかりした歩様には好感が持てるが。好発。急かさず出脚を出来るだけ使わない様に乗られていたが、好位を確保。壁がなくて少し一生懸命に走り過ぎていた感は有ったが、それでも前走よりはマシ。追ってからも力強い脚取りで一旦は先頭に立つ場面も有ったが、ラスト250m程で手前が替わり、そこからは内にモタれ気味、脚勢も鈍った。それでもこの相手でこれだけやれれば充分重賞級といえる。折り合い面でムラは有るが、スムーズなら何とかなる筈。

クリプトグラム

前肢にバンテージ。満点はやれないが、1年振りだった割には良く出来ていたといえそう。大きく見せないのは昨年もそうだった。メイショウカドマツの先行策に乗ったという程ではないが、すこし行かせて中段やや前辺り。多少力む面は有ったが、外枠から出して行ったことを考えれば許容範囲。直線向いて一瞬は反応したが、ラスト150m辺りから失速。骨折明け、大外枠と不利な材料が2つ揃っていたことを考えれば馬は良く頑張っている。GⅠでは流石に厳しいだろうが、フェイムゲームの後継者位にはなれる筈。

レコンダイト

歩様が硬いのは何時ものこと。これでもマシな方だろう。馬体が目立たないのも毎度で、今日はこの馬としては生涯最高に近い。少しだけ出して中段やや後方の外。どちらかといえば内で器用さを生かすタイプだが、正攻法の競馬をさせられた。ただ、ただ、直線向いてラスト200m迄は食い下がっており、最近の中では一番の内容。元々東京2500mだと微妙に長い面が有り、最後の失速は当然といえば当然。2000m辺りでメンバー軽化なら今夏一発有って不思議はない。

第84回東京優駿(GⅠ)

レイデオロ

-4kg。下見は最後方を周回。馬は叩いた分、良くなっているが、チャカつきという点では一番目立っていた。出脚も分が悪かったが、あまり押していくと引っ掛かるところで、無理出来ず後方の外。スロー過ぎて中段がゴチャつく展開になったことも有り、距離損のない向正面で思い切って2番手へ。この馬自身も多少引っ張り気味の追走で、この位置迄押し上げたことでむしろ折り合いが付いた。これで進路の選択肢が広がったことも大きく、また手応えにも余裕が有った様で、直線は馬場のいい内から3分どころ。スワーヴリチャードを待ってから追い出していた程だった。3/4馬身差がずっとそのままだった。ただ、2分26秒9では馬が強かったのかどうかは何とも。乗り役が上手く乗ったことだけは間違いないが、他は評価のしようがない。

スワーヴリチャード

2人曳き。-12kg。お釣りなく仕上げたのだろうが、少しスカッとし過ぎたかも。ただ、ノンビリ歩いていた点は好感。前走中山戦は後方からとなったが、今日は行く馬も少なく、中段のイン。一番馬群の分厚いところで、外はゴチャついていたが、内ラチに居た利は大きかった。3角手前から進出。4角でペルシアンナイトとアルアインの間を割って進路を確保。手前を2回替えながらも良く伸びているが、位置取りの差はあまりに大きかった。枠を生かした正攻法は間違っておらず、東京向きは証明出来たが、今日はルメール騎手に上手くやられてしまった。

アドミラブル

2人曳き。前後肢にバンテージ。チャカついていた点は微妙だが、馬振りはこのメンバーでも最上位。歩様も落ちておらず、デキは維持出来ていた筈。ゲートも一息だったが、元々出脚もなく後方から。レイデオロが動いた際に連れて動いたが、途中にペルシアンナイトが噛んで一旦中段で待機。そこから直線迄待って追い出す形。今日は真っ直ぐ走っていたが、この展開ではどうしようもない。一番強い競馬といえる3着。前走は好タイム、今回はスローとペースの違いに対応した点も強調しておきたい。枠に殺された以外にない。

マイスタイル

+10kg。コンパクトに纏まった馬体。多少余裕残しだが、充分走れる状態。ただ、これもテンションが高かった。前走中山戦は出脚がなかったが、今日は内枠というだけでなく、出脚も有ってスッとハナ。末脚を生かしたい馬が多く、前述した様に1000m通過63.2秒と超の付くスロー。向正面で2番手迄押し上げて来たレイデオロが直線で外へ行ったことで、内ラチ沿いのこの馬にとって最高の形になった。一瞬は夢を見ただろう。尤も、もう1秒ペースが速ければレイデオロが動いていたかどうか。そんな疑問も残るのだが。

アルアイン

2人曳き。落ち着いていたのは何より。踏み込みがしっかりしており、高値安定。例に依って出脚が速く、一瞬はハナも覗かせた程で、スッと3番手。何とか折り合っていたが、内ラチ沿いにダンビュライトが居て、インに入れさせない様に抵抗されたのが結果的に痛かった。向正面でも、レイデオロが動いた際に、更にペルシアンナイト、4角ではスワーヴリチャードに内から弾かれ、向正面迄なら内から2頭分のところに居たのが直線は馬場の真ん中迄飛ばされてしまった。伸びてはいるが、最後はアルアインにも交わされて5着止まり。スワーヴリチャードの進路を潰すだけでも大分違った筈で、上手く乗れば2,3着は有った競馬。直線で手前が替わらなかった様に、馬にも距離不安が有ったが、コメント通り、乗り役は捕まっていただけになってしまった。

第78回優駿牝馬(GⅠ)

ソウルスターリング

2人曳き。馬振りは勿論最上位だが、今日は増減なしにも関わらずちょっと細く映った。目一杯仕上げたのかも知れないが、牝馬だけに好感は持てず。好発。出脚も抜群に速かったが、フローレスマジックが行ってくれてハナへ。逃げたくはなかったところで、これはかなり大きかった。フローレスマジックを壁にして、折り合いを付ける形。多少行きたがっていたにせよ、もっとヒドい時も過去には有ってこの馬としては我慢して走っていた。4角から抑え切れない手応えで、直線は手前を何度も替えてフラつきながらも圧勝だった。前述した様に、下見が感心出来なかった状態でこの強さ。このツケを秋に払わされる可能性がない訳でもないが、2分24秒1の時計は歴代2位と速く、デキの分を0.5秒と見込んで5年前に2分23秒6で駆け抜けたジェンティルドンナのクラスは有りそう。

モズカッチャン

2人曳き。多少チャカつくのは前走同様。まだ馬が若い点は前走と変化ないが、張りが出て、現状のデキとしては上向いた。輸送続きの割には上手く馬体を維持出来た。これもゲートは速かったが、出脚でソウルスターリングに利が有り、中段のイン。ソウルスターリングマークで進め、ソウルスターリングが4角で動いた際にワンテンポ遅らせ、内から併せたタイミングでソウルスターリングがヨレたことも有って、一瞬は先頭。それでも真っ直ぐ走ったこの馬がネジ伏せられた。完璧に乗られただけに、相手を称える外ない。馬のスケールの差。加えて、前走で述べた様に基本的にはマイラーなのだろう。最内枠を生かせる器用さが有るのは強みだが。

アドマイヤミヤビ

水平首で気配絶好。手先にスナップが利いており、馬体も維持出来た。外枠ということも有ったが、出脚もなく後方からジックリと。スローでも、折り合いは付いていた。直線は大外。前も止まらない展開で見た目はジワジワだったが、外を回った組では最先着。先行不在のメンバー構成で、内枠で決まる今日の展開ではこれで良く走っている方だろう。2着モズカッチャンとは能力差はない。距離延長で改めて能力を示した。ただ、この距離で牡馬相手に勝とうと思うなら、もっと決め手が欲しい。トビは大きいが、回転数が足りないタイプ。今後は2000m以上をメインで使って行くことになるだろうが、現状だと真っ向勝負で勝てる迫力はなく、マイルに対する適性のなさが仇とならなければ良いが。

ディアドラ

2人曳き。前肢にバンテージ。小走りは有ったが、馬にボリューム感が有る。もう少し歩様に力強さが有ると満点。道中は位置取り構わず中段やや後方から。最後方覚悟だっただろうが、内枠の馬が結構行ってくれたことも有って、内ラチへスッと寄せられた。直線もそのまま最内、ソウルスターリングが外へ持ち出したことで内に進路が出来たが、一旦は3番手に浮上しながら最後の最後でアドマイヤミヤビに捕まって4着。頭が高い走法で良い脚が長く続かなかった。今日の展開で内から来てダメだったのは評価が下がる。

リスグラシュー

2人曳き。-4kg。細く見える点もダメだが、それ以上に歩様が落ちた。出遅れ1馬身不利。スタート直後から良い位置を探そうとした意図は感じられたが、後方馬群の中で内外前後に馬が居て、マトモに揉まれ込んでしまった。手綱を引っ張る場面も何度か有り、かなり窮屈な競馬を強いられた。直線も馬群の中へ突っ込み、あの手でこの手で創意工夫しているのだが、少し前をカットされたりと上手く行かなかった。かといって、正攻法で勝てる状態ではなかったのも明らかで、今日は仕方がない5着。立て直して改めて。

レーヌミノル

落ち着いて歩けていた。馬に迫力が有って、この馬にしては歩様も悪くない。距離延長は歓迎しない筈で、距離損なく乗りたかったところだろうが、スタートから真っ直ぐ走って中段の外。出脚を使っていないことも有るが、外でも折り合いは付いていた。距離損以外は不利なく回って来れた筈だが、いざ追ってからがサッパリ。残念ながら距離以外にない負け方。

第24回平安ステークス(GⅢ)

グレイトパール

前後肢にバンテージ。雄大な馬体。このメンバーでは馬振りが一枚上。例に依って出脚はないのだが、今日はスタート直後から結構押して1角で中段を確保。向正面半ばから委細構わず外を進出。それに抵抗したケイティブレイブも渋太かったが、直線向いて直ぐにパスすると後は独走だった。手前も変わらず競馬は雑でも、呆れる程強かった。トビが大き過ぎて出脚がないタイプで、小回りは向かないだろうが、それを踏まえた上で使って行くことになりそう。気が早い話だが、この手のタイプはUAE戦向き。

クリソライト

遮眼革。下見は外を周回。馬体は変化ないが、キビキビ歩けていた。何時もは先行策の馬だが、今日は全く行く気なく最後方から。遮眼革着用の馬だが、砂が飛んで来ない位置迄下げていた。4角でやっと馬群に取り付いた位で直線は大外へ。グレイトパールがブッちぎる展開迄読んでいたのだろうが、この馬自身も重心の低いフォームで2着浮上。1頭違う脚だった。この形を毎回期待するのは酷でも、新味を見せたのは間違いない。距離も1900mでも微妙に短い筈だが、思い切った騎乗が功を奏した。

マイネルバイカ

前後肢にバンテージ。陣営もデキに自信を持っていた様だが、兎に角良く見せた。ハチ切れんばかりの馬体で、歩様にも勢いが有る。出脚は一息だったが、押して中段。結構流れたことも有るが、馬群がバラけて、最内にも関わらず揉まれない競馬が出来た。4角でロワジャルダンを避ける形になったのが少し勿体なかったが、渋太く伸びて3着争いを凌ぎ切った。インを立ち回った利は大きいとはいえ、馬が若くまだまだやれる。

ピオネロ

前後肢にバンテージ。-10kg。近走は妙に馬体中の変動が激しいが、基本的には500kg割れの馬。今日位がベスト。半馬身程出負けしたことも有るが、出脚も鈍くそのまま後方から。早目に外へ持ち出し、グレイトパールを追い掛ける形は造ったが、流石に向正面で動く訳には行かず、3角過ぎから外を進出。ただ、それでも早仕掛けで、最後は手前が替わらず苦しくなった。とはいえ、クリソライト同様、追い込みで結果が出たのは何より。逆にいえば掴みどころがないのだが、堅実は堅実。

ケイティブレイブ

後肢にバンテージ。多少立派だが、キビキビ歩けており、充分及第点。戦前は何が何でも行ってくれという指示が有った様だが、コパノチャーリーとドリームキラリが抵抗したことも有り、3番手から。抑えの利かない馬で、向正面で先頭。4角の手応えは充分で後続を離して自分の競馬は出来たが、今日はグレイトパールが来て苦しくなってしまった。マトモなら2着は有った競馬。力は持っている。

グレンツェント

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。叩いて、馬体に張りが出た。気配も悪くなく、下見から減点材料はない。半馬身程出負けして中段やや後方の外。道中の行き振りから悪く、直線もサッパリだった。下見は決して悪くないが、58kgが想像以上に応えているのかも。

第12回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

アドマイヤリード

-4kg。歩様が力強く、毛ヅヤも冴えていたが、細く映る。3歳時よりマシなのも確かだが...。あまり出脚の速い方ではなく、自然と後方に近い位置。この馬場で引っ掛かると競馬にならず、折り合いを重視して丁寧に乗られた印象。コーナーもしっかりロスなく回り、直線も右往左往することなく前が開くまで待って、スマートレイアーとソルヴェイグの間をコジ開けて来た。このスローで1馬身以上抜ければ完勝ということになるのだが、それ以上に乗り役が完璧に乗った感が強い。馬場状態も変な喧伝のされ方をして、結果的に内枠有利になった印象。細い点はステイゴールド産駒という分が有るとしても、次走は余程のことがない限り厳しい。

デンコウアンジュ

前肢にバンテージ。デキだけならコレ。軽い造りの馬が多い中、馬体に迫力が有った。ゲートは五分か、微妙に悪い程度だったが、100m程で内外から挟まれて手綱を引っ張る場面。道中も決してリズムが良いとはいえず、掛かりそうになったり、ノメっていた。直線は思い切って大外。ミッキークイーンの外で通常なら届かない位置だが、左手前ながら真っ直ぐ伸びて来た。2歳時にメジャーエンブレムに東京マイルで勝ったのが唯一の金看板の馬だが、当時同様、外から1頭だけで来た。序盤の不利は結果的に脚が矯められる展開ともいえるが、今日は外が厳しい展開だった筈。デキと適性が有ったということになるだろう。

ジュールポレール

-2kg。多少細い。テンションの高さも歓迎材料ではない。出脚は悪い方ではなく、出たなりで好位のイン。スマートレイアーの直後から。折り合いも付いて4角迄はスムーズだったが、外へ持ち出そうとしたのが失敗。出し切れずに立て直す場面が有った。この馬の後方に居たアドマイヤリードが内から来ているだけに余計に勿体ない印象が残る。完璧に運べば勝っていただろう。逆にいえば今日は上位10頭位迄は展開一つの競馬。

スマートレイアー

-6kg。前後肢にバンテージ。前走京都戦と然程変わらず。出来ていた。歩様の力強さも維持している。2200mの後で出脚が甘く、少しオッツケて好位のイン。折り合いも付いて狙い通りの競馬は出来ただろう。ソルヴェイグが直線で外へ行ったことで自然と追い付き、坂下で先頭。追い出しを待つ余裕も有り、一瞬はやったかに見えたが、最後は決め手負けの形か。結果論だが、早目に動いて突き放した方が良かったかも。とはいえ、これで2着すらないのは適性がない以外にない気もしないでもない。

ソルヴェイグ

-6kg。馬体はこれ位が丁度。もう少ししっかり踏めると理想的だが。先週のアエロリット程ではないが、出ッパだけで1馬身近く抜けて、そのままハナへ。1000m通過60.1秒は勿論スローだが、道中から少し外へ逃げ加減で、馬場状態を勘案しても外へ行き過ぎた感が強い。最後迄渋太く粘っているが、もう少し内を回っていれば2馬身違った筈。前々走京都戦もそうだったが、出脚強化してハナへ行ける様になっている点は成長、その一方でハナだと馬が戸惑っている。

クイーンズリング

今日もテンション高いが、前走阪神戦を考えると遥かにマシ。馬体も悪くない。ゲートを五分でに出て中段。道中は枠なりに馬群の中だったが、4角でインをスクッてスマートレイアーの内へ。立ち回りとしては悪くないが、他馬以上に道悪が応えている様。直線はそうでもなかったが、道中は明らかにノメる場面が有った。今春はツキがなかったと思う外ない。

ミッキークイーン

馬体だけなら良くも悪くも前走阪神戦と変わらずだが、少しテンションが上がっている。ゲートは速い方だったが、好位の外。折り合っていたが、これも何度かノメっていた。直線も外へ持ち出したが、何度も手前を替えてフラフラだった。それで0.4秒差なら地力の一旦は見せたということにはなるのだが...。前走で道悪をこなしているだけに案外感が残る。敗因不明。このレースに縁がなかったか。

第62回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+2kg。また馬体増だが、前走中京戦程、余裕が有る感じではない。ただ、歩様は相変わらず硬い。クラレントに出脚でやられたことも有り、中段の外で折り合いに専念。ノメるでもなく、行きたがるでもなく我慢して走っていた。直線も比較的外へ持ち出されたが、更に外は馬が居て前が開く迄我慢。ラスト400mで進路が開けると58kgを感じさせない伸びで突き抜けた。完勝。道悪は経験の問題だった様で、前走が生きた形。むしろ、今日の歩様からあまり時計勝負は歓迎しない印象すら有る。次走は厳しい。距離延長も歓迎しない筈。

クラレント

前肢にバンテージ。-8kg。何時もボテッと映る馬だが、500kg有るよりはこの方がスッキリ見せて見栄えは良い。出脚でレッドファルクスを叩いて好位のイン。前走中山戦が外から無理矢理行った様な競馬だったが、結果的に出脚強化に繋がっていたかも。外で折り合いを付け、追ってからの脚はジワジワながらも、レッドファルクスに最後迄良く抵抗していた。この馬場で前目の外で流れに乗ったのが好走の要因だろうが、毎回述べている様に若い頃に道悪がダメだった馬が高齢になって走るのは衰えのサイン。

グランシルク

2人曳き。前肢にバンテージ。雨で毛ヅヤは分からないが、緩んだところはなく、デキに関しては申し分ない。気配も良かった。ゲート自体は五分に出ているが、直後に挟まれて後方から。基本的には追い込みの馬だが、このアクシデントの分か、道中は少し行きたがっていた様に見えた。4角手前から待ち切れない様な雰囲気で大外へ。東京1400mは条件馬時代ながら2勝している得意コースだが、早仕掛けの分、最後に脚が鈍った。外を回すのが大前提で、その分の不安定さは有るが、道悪自体はこなせそう。

ヒルノデイバロー

-6kg。馬体の張りは維持しているが、少し歩様が落ちて来た。決して出脚は速くない筈だが、最内枠とこの乗り役、何より東京1400mで行きたい馬が少なかったことも有り、押して押してハナ。単騎で行けたが、内外から来られて4着に。1000m通過が1分を超えるペースは道悪でもスローだが、それを押して行っているのだから、逃げの競馬は向いていない。元々ダートで走っており、これも道悪自体は悪くなかった筈。

トウショウドラフタ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。寸が詰まった体型。少し頭は高いが、以前よりノンビリ歩ける様になった。これもグランシルク同様、スタート直後に挟まれた格好になり、後方から。道中はかなり行きたがっていたが、我慢させてグランシルクを行かせてから追い出す形。一緒に伸びて来たが、ラスト100mで頭が上がって甘くなった。左回りばかりを使われて東京に限らず、新潟でも勝っている馬だが、この相手で東京だと少し直線が長いかも。

サトノアラジン

今年初戦だが、キッチリ出来ていた。多少気配に乏しいのは何時ものことで、馬体が締まっていた。ゲートは五分だが、他に速い馬いて、中段やや後方から。道中の行き振りは掛かる位だったが、いざ追ってからが案外。とはいえ、単に道悪というだけでなく、狭いところに入ったのも良くなかったかも。トビが大きいので、基本的には広いところを走らせた方が向く筈。

第22回NHKマイルカップ(GⅠ)

アエロリット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。地元戦で馬体が維持出来たのが何より。トモに丸みが有って、胴回りもしっかり。毛ヅヤも良かった。最近、出遅れる場面も有ったが、今日は好発。1馬身抜けた。好位の外で折り合いを付け、終始手応え充分。4角手前で乗り役は勝ったと確信が有った筈で、この時点で早目先頭に立たない様、そして何より馬場の良い外を選択する余裕が有った。ラスト200mでボンセルヴィーソを交わして先頭。その時点でリエノテソーロが1馬身後方に迫っていたが、ここで漸くステッキを入れて突き放した。ラスト100mで手前が替わっていたのも馬が遊んでいただけで、むしろ後続の脚の方が上がっていた。完勝といえる内容。牝馬戦線では上位の力が有ったが、好発馬も大きいにせよ、良馬場でそれを証明出来た。同じクロフネ産駒ではホエールキャプチャの様な平均的に脚が使えるタイプ。今日でも追い込みから売れることが多い東京マイルだが、実はこの手の馬が向いている。

リエノテソーロ

前肢にバンテージ。-4kg。寸が詰まった体型ながら、歩様に伸びが有って力強い。前走中山戦は気負っていたが、関東馬にも関わらずスクーリングさせた効果も有って、落ち着いていた点も上積みといえそう。アエロリット程ではないが、好発切って中段辺りから。道中は前に馬を置いてジッと我慢。直線外へ持ち出して追い出すとこの反応が抜群に良く、一瞬の内にアエロリットに迫り、一瞬は勝ったかの勢いだったが、こちらは明らかに手前が替わって脚色が鈍った。能力というより距離が長い止まり方。今後も、芝ダート兼用の短距離馬として息の長い活躍が期待出来そうだが、マイルだと乗り方に工夫が要る。

ボンセルヴィーソ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。小ぢんまりと映るが、前走中山戦で気になったテンションの高さがなくなっていた。他にも速い馬は居たが、今日は決め打ちで押してハナ。1000m通過57.9秒は遅くはないが、決して速くもなく、マイペースでスムーズに走れた。直線は内ラチ沿いへ。アエロリットが直線で外へ持ち出し交わすタイミングが遅くなったことも有って粘れた3着だが、牡馬の中では最先着している点は評価出来る。重賞では全て3着以内と堅実無比。器用さは何時の時代も最大の武器。

レッドアンシェル

2人曳き。最後方を周回。下見だけパシュファイヤー。-14kg。馬体に細い印象はない。毛ヅヤも良かったが、多少気負っていた。この馬もゲートは出ているが、周囲の馬が速く、自然と後方から。下見の割に、問題なく折り合いは付いていた。直線はリエノテソーロを追う形で外から。伸びてはいるが、直線向いた段階で右手前に替えたのが直ぐに左手前になってしまっていた。こうなると伸びにキレを欠く。坂を上がった辺りからジリジリになってしまった。外枠でスムーズに走れたのが良かったが、ペルシアンナイトに3馬身差付けられた前走阪神戦から能力が知れているのも確か。これ以下は余程の言い訳がない限り、ほぼ大概という評価になる。

オールザゴー

+6kg。多少トモ高の体型だが、踏み込みしっかり。のんびりと歩けていた点にも好感。一瞬の出脚は他馬の方が速かったが、促して中段から。道中行き振りが悪く、ずっとオッツケ気味だったが、その割には最後迄渋太く伸びていた。ハナで500万クリア、追い込みでオープン勝ちと掴みどころのない馬だが、過去のレースを振り返ると周囲に馬が居る環境は良くなさそうな印象も。この手の鈍らステイゴールド産駒は本気を出すと化けるケースも有り、今後を注視したい馬。

ミスエルテ

2人曳き。-4kg。垢抜けた造りだが、また馬体減。イレ込みもキツい。半馬身程出遅れて後方から。下見の割には折り合いが付いていた。直線向いて、レッドアンシェルの1馬身後方から最後迄止まらず伸びている。イレ込んでこれならやはり能力は相当だが、とはいえこのままでは勝利がない。気性面解決が先決。

カラクレナイ

前後肢にバンテージ。+4kg。馬体,歩様はこれで良いが、今日は妙にイレ込んでいた。ゲートを五分に出て中段のイン。ただ、3角過ぎから行き振りが悪くなり、最後はほぼ追うのを止めていた。従って17着が実力ではないのだが、とはいえ競馬にならなかったのは事実。敗因は良く分からないが、イレ込んでおりデキがなかったか、内目の馬場が悪く躓く場面が有ったのが応えたか...。

第39回新潟大賞典(GⅢ)

サンデーウィザード

前後肢にバンテージ。イレ込み一歩手前の気合乗り。コンパクトに纏まった造りだが、皮膚を薄く見せてデキも絶好。好発。馬の気に任せて好位から。逃げたトーセンレーヴが外へ持ち出したことで、直線向いて馬場一杯に馬群がバラけ、内に居たこの馬にも進路が出来て馬場のド真ん中へ。内回りとの合流地点辺りからマイネルフロストとの一騎打ち。相手も渋太かったが、手応えはこちらの方が余裕が有り、何とか振り切った。初重賞チャレンジでいきなり決めた形だが、器用さと勝負根性が有るのが何より。余談だが、馬名の意味は「日曜の魔法使い」で、6勝の内5勝が日曜日。ただ、レース後に故障が判明したのは残念。オーナーは後にも先にもこの1頭だそうで、悲しみは尚更だろう。

マイネルフロスト

今回から遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体はこれ位で丁度。休み明けの割に出来ていたといえるが、例に依って歩様が怪しい。トーセンレーヴが何が何でもの構えで行ったが、出脚はこの馬が一番早く、スッと2番手。この位置で折り合いを付け、トーセンレーブが外へ行かせてから馬場の真ん中へ持ち出し、内から併せて来たサンデーウィザードとの追い比べ。結果的には追い負けた格好で、何となく能力差も感じるやられ方だったが、この馬としては2kg差を言い訳にしたいところ。とはいえ、近走の悲惨な内容からは脱却。遮眼革と一息入れたのが利いている。

メートルダール

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。首でリズムをとって落ち着いていた。これも一息入った割に、馬体も纏まっている。あまり行く気なく中段やや後方からジックリと。直線はトーセンレーヴの更に外で、馬場の7分どころ。一瞬の勢いは良かったが、頭の高い走法で良い脚が長く続かない。距離自体はこなすが、基本は小回り向きで新潟は直線が長過ぎる。乗り役の話では、向正面の向かい風がキツく頭の高さ故に風が他馬以上に応えていたとのこと。

フルーキー

前後肢にバンテージ。+6kg。太く見せず、締まった馬体。歩様も褒められたモノではないが、何時もこんな感じ。前走中京戦が行かせてサッパリだったことも有り、今日は後方待機。矯めるだけ矯めて大外へ。追って瞬時に反応出来ない面は有るが、最後の最後にエンジンが掛かった。今年3走の中では一番マシな競馬だったともいえるが、それでも4着。細かい部分で不器用なところが有り、その点が誤魔化せる新潟でこれだと中々厳しいところ。

バロンドゥフォール

オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。叩いて毛ヅヤが良くなった。馬体にも緩んだところはない。あまり出脚は速くない馬だが、少し促して好位から。直線向いてサンデーウィザードの直後。止まっている訳ではないのだが、追ってピリッとした脚が使えない面が有る。新馬でベステゲシェンクに差されて2着だった馬だが、この時から一緒。

ジュンヴァルカン

2人曳き。前後肢にバンテージ。数字の割に薄い造り。しっかり踏めていた点は好感持てるが。出遅れ1馬身不利。そのまま最後方から。直線はインを突いて前も開いていたが、案外の伸び。内目の馬場が悪かった影響も有るのだが、前走中山戦も含めてゲートで失敗すると力が出し切れない。しかも、何故か重賞になると毎回出遅れており...。

第65回京都新聞杯(GⅡ)

プラチナムバレット

バランスの取れた造りはこのメンバー入ると上位だが、トモの非力さは解消されていない。微妙に出負けした割には出脚が有りそうで、スッと中段。ただ、引っ掛かりそうになったのと、1角進入時に馬群の分厚いところに居た為、距離損を嫌って一旦引く形。馬を前に置いて折り合いは付いていた。直線もそのまま外へ持ち出し、直線の決め手勝負を制した。終始外を回されたのと、1角の件で位置取りを悪くしてしまったことを考えると強い勝ち方。ただ、レース後に骨折が判明。尤も、まだ馬が完成しておらず、前々走阪神戦のアルアイン0.5秒差がこの馬の実力で、仮に使えたとしてもダービーは厳しかった筈。これを良い休養にしたいところ。

サトノクロニクル

2人曳き。+6kg。今日だけをいえば多少立派だが、このメンバーでは完成度が高い。ただ、少し煩いのはマイナス。出脚は大して速くなさそうだが、行く馬が少なく押し出されて引っ掛かりそうになったところで、ダノンディスタンスを壁に折り合いを付ける形。このスローで前から4番手だから好位置が取れた。ただ、4角の捌きが大失敗。坂の下りでミッキースワローの早仕掛けに連られる形で動いて、これ自体は仕方がないのだが、当初ダノンディスタンスとミッキースワローの間を狙ったものの進路がなく、立て直して内へ。1馬身はロスしている筈で、スムーズなら勝っていた。この馬自身も抵抗する脚がなかったといえばそうだが、ミッキースワローに惰性が付いていた感も有って、今日のところは馬は悪くないという評価にしたい。

ダノンディスタンス

+10kg。馬振りは悪くないが、太い以前に馬が緩い。トモにも力が付き切っていない。行く馬が少なかったことも有るが、出脚が速くほぼ持ったままで2番手。ウインベラシアスが大逃げを打ち、途中で5〜6馬身以上、前と離れる場面も有ったが、マイペースを貫き、3〜4角中間から徐々に差を詰めて行く形。ミッキースワローに抵抗して内を開ける形となり、そこをサトノクロニクルにスクわれ、更にプラチナムバレットに外から差され3着に。内を開けていなければというタラレバがない訳ではないが、それ以上に序盤が上手く運べており、これが現段階の能力ということになるだろう。馬体が締まって来るだけでももっと走れる様になる筈。今年はレベルの低い感も有る3歳牡馬路線だが、1000万でこの馬が通用するなら案外レベルは低くないという見方も出来る。そんな意味でも注目したい馬。

サトノリュウガ

前後肢にバンテージ。相変わらずのイレ込み。一息入った割に、現状のデキ自体は悪くないが、大物感はない。出脚は怪しく見えたが、内枠3頭が先行、4番枠のインヴェクタが出遅れて間が空いて労ぜず中段。道中は折り合っていたが、坂の下りで手応えが怪しくなり、少し置かれる場面。直線は頭の高い走法の割に良く差を詰めているが、着差が際どいだけに少し勿体なかった。下見の割にレースでスムーズに走れている点には評価出来るが、休ませても馬体に成長がなかった点は期待外れともいえる。正直、今日の一戦だけでは能力を測りかねる部分も有り、次走が試金石。

ミッキースワロー

2人曳き。前後肢にバンテージ。最後方を周回。トモのボリューム感は目立つが、下見から力んでいた。道中は中段。微妙にゲートが悪かったのを挽回しようとして頭を上げて引っ掛かっていた。道中も頭が上がり気味。3〜4角中間でも真っ先に動いてしまい、最後甘くなってしまった。馬も気性面に課題が有るのだろうが、今日は明らかに乗り方がマズかった。4角の我慢が出来ていただけでも馬券圏内有った筈。能力はこのメンバーでも最上位で疑う余地はない。

第155回天皇賞・春(GⅠ)

キタサンブラック

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体は平行線だが、前走阪神戦より落ち着いていた。ただ、歩様は若干でも落ちている。今日はゲート五分。出脚は例に依って速く、ハナへ行き掛けたところへヤマカツライデンが徹底先行の構えで来て2番手に控える形。2000mの直後と有って、序盤こそこの馬にしては珍しく行きたがっていたが、1周目の坂の下りで既に折り合いが付いていた。1000m通過58.3秒-2000通過1分59.7秒は、何れも過去最速。流石にヤマカツライデンは2周目3角で苦しくなり、自然と追い付いてそのまま矯めることなく交わして直線もそのまま押し切った。前述した様に2000m時点でもハロン平均12秒を切っており、それが3分12秒5だから、この馬とて脚が上がっているということになるのだが、他馬はそれ以上に苦しくなっていた。このレコードも含めて圧勝といえる内容。とはいえ、流石に全能力を出し切った感も。阪神戦を使って仏国遠征という話になっている様だが、これだと馬が可哀相。バランスの良さで無事是名馬を行く馬だが、今日の時点で既に歩様も落ちていた。

シュヴァルグラン

2人曳き。-6kg。更に絞って来た点には好感持てるが、少しチャカついていた。キタサンブラックがハナへ行っていればまた別だっただろうが、行かなかったことと、枠も近かったことも有り、好位グループで有る程度付いて行く形。ゲートも速い方で、折り合いも最初から付いていた。兎に角キタサンブラックを徹底マークで、勝負どころでも仕掛けが早いのは承知で付いて行った。とはいえ、キタサンブラックとは手応えが違ったが、一瞬は止まりそうになりながらも、サトノダイヤモンドが来るともう一伸び。昨年はインから3着だったが、真っ向勝負で2着なら昨年以上の競馬といえる。陣営の話ではデキに不安定な面も有る様だが、昨年より強くなっているのは間違いない。

サトノダイヤモンド

水平首で気配絶好。スカッと見せて、歩様もキビキビ。外枠で乗り方が難しかったが、出たなりで中段から。バラける展開になったことで比較的距離損も少なく済んだ。折り合い面で苦労する馬ではなく、直線区間で徐々に番手を上げ、2周目3角では好位に取り付いていたが、そこでワンテンポ待ってからの追い出し。一瞬は反応したが、何時もの脚が使えず最後は3着確保がやっとだった。相手の土俵で競馬させられて、少し持久力の差が出た印象も。時計は馬場状態も有るが、これだけ速いと何かウィークポイントが有ると苦しくなるところで、この馬にボロが出た格好。とはいえ、一騎打ち、特に3200mのそれはほぼ100%来ない中で、この3着は最良の結果ともいえそう。この馬自身も今日の競馬で強くなるだろう。こちらは阪神戦スキップして仏国遠征とのことだが、大仕事の可能性は有る。

アドマイヤデウス

2人曳き。馬体はこれで良いが、歩様が多少怪しい。この馬としては好発。好位のインを確保。基本的には器用さ身上の馬だが、この枠としては想定より一歩前で理想的な競馬が出来た。4角でキタサンブラックの直後と展開上もハマったが、直線の伸びがなく、寸前のところで馬券圏内も逃した。前述した様に、今迄器用さで食べて来たが、これもこのペースになると苦しい部分は有った様。ただ、昨年の様にスローになると今度は勝負どころでのズブさが悪い方に出る。今日も多少2周目の坂の下りで手応えが怪しくなっており、中々難しい面が有る。

アルバート

小ぢんまりとしているのがこの馬の特徴。淡々と歩いていた点も毎度のこと。ゲートは出ているが、他馬の方が出脚が速く押してやっと中段。インには拘らず、サトノダイヤモンドマークで動いているのだが、直線はイマイチ伸びなかったサトノダイヤモンドに対しても離される一方だった。バテてはいないのだろうが、この時計で身体がいうことを聞かなかった様な走り方。得意の条件では有ったが、上位馬とは底力の差を見せ付けられた格好。

シャケトラ

2人曳き。前後肢にバンテージ。毛ヅヤピカピカ。緩んだところが一切なく、歩様も伸びていた。出遅れ1馬身不利も、押して好位を確保。1周目の4角辺り迄は行きたがっていたのは致し方ないところで、そこからはスムーズに走れていた。2周目4角迄は先行グループに居たが、最後は失速。後方からの競馬なら着が上がった可能性も有るのだが、人気背負って責任感有る競馬だったともいえる。サトノダイヤモンド同様、こういう競馬は馬を強くする。

第24回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

アドミラブル

2人曳き。前後肢にバンテージ。毛ヅヤ冴える。少し気負っていたが、馬自体もこのメンバーなら上位。一完歩目で内の馬と接触。これで出脚が鈍り、腹を括って最後方から。道中の折り合いは付いていた。3角過ぎから進出を開始、外を回って4角で好位に取り付き、直線は独走。最後は抑える余裕も有った。このレース史上最速となる2分23秒6の時計も優秀。今年の低レベルなら歴史の扉をコジ開けても不思議はないが、追ってからフラついた点がマイナス。今日のパフォーマンスをそのまま次走も発揮出来るなら勝てるのだろうが、まだ馬が若い現状で中々それが難しい。東京2400mを連続好走は古馬でもキツい。

ベストアプローチ

2人曳き。-8kg。馬体はこれで良いが、テンション高いのはマイナス。前走中山戦から出脚は有る筈だが、最初から抑えに掛かっており、後方から。油断すると引っ掛かりそうになっており、慎重に乗っていた様に見えた。アドミラブルが3〜4角中間で交わして行ったが、一旦待ってからの追い出し。坂を上る辺りで一瞬反応した際は、一瞬勝ったかと思わせる勢いだったが、アドミラブルに内から寄られ、この馬自身も苦しくなって手前が替わってしまい一杯になってしまった。しかし、悠々2着は確保。やはり東京向き。次走は別にしても、この馬で例年の水準級と見て良さそう。

アドマイヤウイナー

前後肢にバンテージ。スナップの利いた歩様だが、若干寸が詰まってマイラー気味。出脚自体は速くなく、中段から。これも一つ間違うと行きたがる面が有った様で、前と外に馬を置いて折り合いを付ける形。これで我慢して走っていた。4角回ってアドミラブルの直後。一瞬の脚で上位2頭に一気にやられた感も有ったが、最後迄諦めずにジワジワ伸びていた。賞金以外は意味のない3着では有るが、体型の割にバテない。血統通り、確かに長距離向き。この手の馬を海外遠征へ持って行くと本当は良いのだろうが、国内では中々勝たせて貰えず、芽が出ないのも確かで...。

ポポカテペトル

-8kg。細いというよりは薄い印象。歩様が硬いのもマイナス。アオる様に出て中段から。折り合いは付いて、リズム良く走れていた。直線もフォームは悪くなく、特に止まった印象はないのだが、前にジワジワ離されて、最後に3着も逃した。決め手負けした格好。スタミナ自体は有りそうだが、馬体の成長が先決。

サーレンブラント

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。数字はないが、バランスの取れた馬体。しっかり踏めていた点にも好感。スタートしてアグネスウインと軽く接触。これ自体は大きな問題ではなかったが、馬が怒ったかも。インでコントロール不能という迄ではなかったが、道中は結構引っ掛かっていた。引っ張っている間に自然と番手が下がり、4角では最後方迄下げてから直線大外へ。馬装通り、頭も高いのだが、エンジン掛かってからの脚は目に付いた。能力は有る。

第52回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

モズカッチャン

2人曳き。前走中山戦より落ち着いている点には好感持てるが、完全な腰高で馬が若い。成長しても、寸が詰まったマイラー体型で落ち着きそう。好発。2角手前ではハナに近い状態だったが、行きたい馬に行かせて好位直後から。ずっとインで我慢させて、前が開いたのはラスト1F。この段階で前のヤマカツグレースとは2馬身位の差が有ったが、キレにキレた。下見はまだ子供だが、レースに行くと全身が使えており、大人の走りが出来ている。これなら距離も保つ筈。2角で他馬から寄られて内ラチに接触しそうになっており、根性が有りそうな点も評価出来る。最内枠の利が有ったこと、時計が平凡、そしてここ迄重賞でマトモな競馬をしていた馬が居ないメンバー構成と、3つの点で疑問も有るのだが、勢いが止まった感も有る桜花賞路線のメンバーを考えると案外足りてしまうかも。

ヤマカツグレース

馬体の印象もそうだが、歩様に力がない。要はトモが甘い。これも好発。出脚が速く、スッと2番手。2角迄有る程度真っ直ぐ走って外枠勢を制し、その後から内へ寄せる形。ただ、向正面に入ってもタガノアスワドと並走している間は少し掛かっていた様に見えたが、タガノアスワドの後ろに入れてからは折り合いが付いた。ラスト400mで先頭に立ち、追い縋るフローレスマジックを振り切った際には何とかなったかに見えたが、最後にモズカッチャンの強襲が有り、2着に。最初から折り合いがスムーズだったらという気もするが、首の使い方が下手な面が有り、そこがモズカッチャンとの差。器用さは買えるが、次走は厳しい。

フローレスマジック

2人曳き。多少毛ヅヤが怪しい気もするが、このメンバーだと馬は上位。外枠だったが、ジワッと行かせて3番手から。手綱はガッチリ抑えていたが、他馬も似た様なモノで、折り合いは付いていた。ただ、直線向いてからが案外で、ヤマカツグレースに並び掛けることすら出来ず、最後にモズカッチャンが外から来て、抵抗する様に伸びた結果、ヤマカツグレースとはアタマ差に。ヤマカツグレースが最後止まった面も有るのだろうが、要は一瞬の脚がない。成績は一緒かも知れないが、昨秋の東京戦の様に脚を矯めた方が良さそうな印象も。

タガノアスワド

2人曳き。前肢にバンテージ。下見は最後方を周回。-12kg。これだと馬が寂しい。イレ込みもキツい。出脚が抜群に速いという訳でもなさそうだが、過去2走同様にハナへ。押して行った分、2角辺りで立ち上がりそうになる程引っ張る場面。そこからは我慢して走れていた。ヤマカツグレースに多少可愛がって貰った面は有ったにせよ、直線もバタッと止まった訳ではない。馬体維持と序盤がスムーズだったら3着は有った競馬だった。一息入れて、条件戦から立て直す形となるだろうが、何処かで重賞に手が届いても不思議はない。

レッドコルディス

-8kg。これ以上減ると良くなさそうだが、今日でギリギリ。テンションの高さも今日が限界。行く気はなく、中段から。距離損を出来る限り少なくしつつも、馬のストライドを大事に乗っていた。4角で自然と好位に取り付き、直線もジワジワ伸びている。外枠を考えたら内容は悪くない。坂上辺りで手前が替わったりとまだ馬がしっかりしていない部分は有るのだろうが、走法に雰囲気が有る。成長すれば大仕事も。

ホウオウパフューム

バランスの取れた馬体だが、全体に力が付き切っていない。歩様も手先だけで歩いている状態。この馬の出脚で中段やや後方から。終始馬群の中で競馬する形となったことも有ったか、直線も左手前のままで伸びあぐねた。前走中山戦は確かに強かったが外を回ってのモノで、揉まれて厳しい競馬となるとまだ甘い面が有る様。今日を良い経験として今後に生かせれば。馬体も成長が欲しい。

第48回読売マイラーズカップ(GⅡ)

イスラボニータ

+8kg。今年初戦ということで数字分だけ余裕残しだが、歩様の伸びが昔より遥かに良くなっている。珍しく好発も、外枠で引っ掛かりそうになり、中段へ一旦引く形。馬群の切れ目で内ラチ沿いへ潜り込んで、コーナーワークで差を詰め、直線もインから。向いてからは多少待たされたが、ヤングマンパワーとエアスピネルの間をコジ開けて快勝。3歳時のセントライト記念以来の勝利となった。外枠の不利を消しつつ、開幕週の馬場を最大限に生かして、上手く乗られたことも有るが、6歳馬がこの時計勝負で勝ったのだから一定の評価は必要だろう。ちなみにルメール騎手との相性が良く全て3着以内だが、ゲートを五分に出ているのが大きい。蛯名騎手が乗るとほぼ毎回出遅れていた。

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。この馬としてはスカッと見せる。気配も文句なし。出脚は速いが、序盤の雁行状態の際に少し掛かりそうになり、いったん中断に控える形。バラけた位置迄下げて折り合いは付いた。そそのまま外を回して正攻法。追ってからもしっかり脚は使えているが、内からイスラボニータにコジ開けられて併せ馬からラスト50mで脱落、2着止まりとなった。毎回あの手この手でもどかしい。イスラボニータとは通った位置の差や折り合い面等、こちらは細かい失敗が有り、能力で負けている訳ではないのだが...。とはいえ、左回りの方が折り合いが付くという話も有り、次走も有力。

ヤングマンパワー

シープスキンノーズバンド。-4kg。多少気負った面も有ったが、一人で曳けていた様に一応は許容範囲。馬体も数字通り出来ていた。出脚はエアスピネルの方が速かったが、積極的に乗られて2番手。多少掛かり気味に見えるのだが、これでも前走東京戦を考えたら遥かにマシ。気分良く走っていた様に見えた。4角手前から前を捕まえに行って一旦は先頭。あと一歩だったが、馬装通り追ってから頭が高く、決め手勝負になると厳しい面が有るのは致し方ないところ。昨秋東京戦の様に、上手く出し抜けが出来る展開になるのが理想。直線の左回りは渋太く、インが利く馬場なら次走も馬券圏内充分。

ブラックスピネル

馬体はこれで良いが、前走東京戦と違って今日はテンション高かった。相変わらず気性面が不安定。出負けしている訳ではないが、他が速く中段に控える形。下見の気配から気を遣った分も有るのだろうが、折り合いも付いて、位置取り以外はスムーズな競馬が出来た。ただ、上がり3F32.8秒で上がっているのだから、やはり位置取りが悪かったということになるだろう。前走は上手く行ったが、現状では重賞で勝ち負けとなると展開の助けが要る。

サンライズメジャー

前後肢にバンテージ。毛ヅヤ冴えて、歩様もしっかり。ただ、多少腹回りがボテッと映るのがマイナス。誰も行きたい馬が居らず、最内枠のこの馬が押し出されて逃げる形。1000m58.8秒も遅いが、最初の600m35.3秒と特に序盤が遅かった。良い形なったが、流石に他馬が来るのも早く、ヤングマンパワーに来られてここ迄。成績が安定しないのは最近に限った話ではなく、そんなに衰えている訳ではなさそう。先行出来るか、少し時計が掛かるか、条件がハマれば渋太い。