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競馬回顧 2015年3回中京

サマーマイルシリーズ第1戦 第63回トヨタ賞中京記念(GⅢ)

スマートオリオン

シープスキンノーズバンド。体型だけをいえば、前を歩くカオスモスの方がスプリンターに見える。多少歩様に伸びがない程度で、馬体はシャープ。内枠の数頭の方が速かったが、積極的に乗られて2番手。メイケイペガスターの暴走にも連られる場面も有ったが、直線向いて坂を上る脚で突き放し、上り切ってからは左手前になりつつも、脚勢衰えることなく押し切った。強いていえば4角で少しメイケイペガスターが外へ持ち出してくれたのはせめてもの救いになったか。4角で脚を矯める形が出来たのは大きかっただろうが、それでも距離不安の中で強気に乗った乗り役は賞賛されるべき。

アルマディヴァン

キビキビ歩いていた。毛ヅヤもまずまず良かった。半馬身位出遅れて後方に近い位置。内々をセコく立ち回って最後の脚は1頭違っていたが、出遅れて前に置く形になってしまったトーセンレーヴをパスするのに脚を使ったのが痛かった。最後がクビ差迄詰めているだけに折角の重賞をフイにしてしまった感も。最内枠、軽ハンデと千載一遇のチャンスだったが...。こんな条件は二度と回って来ない。

ダローネガ

馬体も悪くないが、気持ちが前向きになっていたのが何より。これもゲートが少し悪かったが、行く気もなく後方でジックリと。むしろ道中はズブい位だった。4角で大外へ行かざるを得ず、内外の差を考えればこれも勝ちに等しい内容。競馬が下手なのは2歳時から変わっていないが、間違いなく能力は持っている。

エールブリーズ

もう少し絞っても良いかも。発汗も目立った。戦前の想定ではあまり行く気はなさそうだったが、どうもメイケイペガスターに連られた様で、向正面でガツンと掛かってしまい、先団へ。馬と喧嘩していない分、競馬にはなったが、最後の一踏ん張りがなかったのは致し方ないところ。ただ、この競馬で粘れるなら距離は保つ。あとは折り合い一つ。

カオスモス

前後肢にバンテージ。一歩一歩が力強い。馬体に迫力が有る。直ぐ内ノカレンブラックヒルが行ったことも有り、付いて行って好位のイン。前も開いて、坂を上る辺り迄は近い位置に居たが、そこで失速。距離が長いのは明らか。

カレンブラックヒル

前後肢にバンテージ。馬を大きく見せないのは毎度。デキ自体は悪くなかった。戦前の想定通りハナへ。ただ、メイケイペガスターが掛かって来たのが痛かった。ハンデが58.5kgでなければまだ粘りも違っただろうが、ツキがなかった。

第47回函館2歳ステークス(GⅢ)

ブランボヌール

2人曳き。気配は上々。毛ヅヤも良くて、現状のデキとしては文句なし。ただ、スプリンター独特の硬さは有る。出脚が速そうだったが、ゲートが微妙に悪かったことも有り、無理せず行きたい馬を行かせる形。3角では後ろから数えた方が速い様な位置に置かれていたが、そこからマクりに行って直線は3馬身差。完勝といえる。ただ、この勝ち方で距離が延びて良いかどうかは微妙。下見の微妙な硬さからもスプリンタータイプの様な気はするが。

メジャータイフーン

この時期の2歳馬としては筋肉がしっかり付いている。これも出脚は悪くなかったが、内外から来られて、諦めた様で後方から。少しコーナーでも待っている位で、ブランボヌールとは4角で3馬身程離れていたが、直線は1頭違う脚で追い込んで来た。今日は前を掃除してくれる展開で、3着とは接戦の2着だから評価が難しいのだが、ひとつだけいえるのは重心の低い走法は中々ダイナミック。距離云々をいうならこの馬の方が融通性が有りそう。

ヒルダ

少しチャカつくが、馬体の雰囲気は一番良さそう。素軽さが有って、垢抜けた造り。こちらは先行争いに首を突っ込んだクチだが、その中でも序列が有って一旦好位で引いて、ブランボヌールの進出に併せて行った。ただ、最後は脚が上がり気味。道中仕掛けて止めている分も有るが、少し力んでおり、見た目からは将来性高いものの、気性面の成長が今後のカギとなる。

タイニーダンサー

前後肢にバンテージ。-6kg。重心が低く、明らかにダート向きの歩様。気配に集中力を欠いていた。外枠でも有り、内の馬の出方を窺う形で中段やや後方。4角で盛んにステッキが飛んでいたが、伸びずバテず。初芝だけにこれだけやれれば悪くないが、この決め手のなさでは芝に使い続けても良いことはない。

マコトルーメン

2人曳き。前肢にバンテージ。数字の割に大きく見せない。これも早熟の硬いタイプ。スタート直後に進んで行かず最後方から。道中も行く気が全くなく、中々エンジンが掛からなかったが、何とか4角手前で動き出して直線はここ迄。広いコースで変わる余地は有るが、単に不器用なだけという気も。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第51回函館記念(GⅢ)

ダービーフィズ

前肢にバンテージ。目立つ気配ではないが、毛ヅヤが良かった。馬体の張りもまずまず。サトノプライマシーが好発。前が押さえてスローになってしまい、1角進入時は中段辺り。スローを読んで3角から進出、ハギノハイブリッドも良い目標になったか。4角出口で並走に持ち込み、追い比べを外から僅かに制した。それでも今日の展開はハギノハイブリッドの勝ちパターンだった筈で、ハギノハイブリッドよりは数段上という評価は出来るが、Bコース替わりで内が圧倒的に有利な馬場状態だった。前走東京戦は逆だったから帳尻が合ったといえばそうだが...。

ハギノハイブリッド

2人曳き。前肢にバンテージ。-6kg。この厩舎にしては貧弱な馬体。強調材料はない。1角迄が少しゴチャついたが、上手くやり過ごして好位直後。前は開いており、楽な位置で競馬出来た。ダービーフィズには目標にされたが、この馬はこの馬でヤマカツエースが良い目標になった。しいていえば、もう少しヤマカツエースに頑張って欲しかったところ。早目に抜け切ってしまったが故に一騎打ちの形となり、最後は外からネジ伏せられる様な形になった。それでも、比べ馬としては勝ちに等しい。内枠の利も大きいが、洋芝巧者だった様。

ヤマカツエース

-10kg。距離を意識したのか、スッキリとした造り。歩様はしっかりしており、デキ自体は悪くない。この距離では出脚上位で、スタート直後から引っ掛かっていたが、何とかマイネルミラノを行かせて2番手。序盤はそれなりに力んでいたが、向正面で折り合いが付いて一息付けたのは大きかったか。やられたのはマイネルミラノを自力で捕まえる格好になっただけに仕方がない。頭が高いので、距離をこなしたと迄はいえないにしても十分守備範囲。

エアソミュール

前後肢にバンテージ。ここでは馬が抜けている。歩様も力強い。外から叩かれる展開になったが、急かす訳にも行かず、中段やや後方から。それでも引っ掛かっており、折り合いを意識している間にポジションを悪くしてしまった。4角で前と10馬身以上の差。今日のスローではこうなるどどうしようもない。この馬が負ける典型パターン。能力に疑う余地はないのだが、相変わらず競馬が下手。

レッドレイヴン

下見は最後方を周回。黒光りする馬体で、デキ自体はかなり良さそうだが、如何せんイレ込みがキツい。枠も遠かったが、あまり行く気もなく、後方に近い位置。スローは分かった様で、乗り難しいエアソミュールよりは先に動いて行ったが、今日の展開ではどうしようもなかった。ただ、最後にエアソミュールにやられている辺り、この2頭に能力差が有るのは間違いない。

サマー2000シリーズ第1戦 第51回七夕賞(GⅢ)

グランデッツァ

前後肢にバンテージ。前走阪神戦から本調子。歩様もしっかりしていた。ゲートがバラバラだったことも有るが、楽に好位。馬群の外だが、折り合いも付いていた。距離面には不安有る筈だが、4角で特に我慢する訳でもなく、小回り福島としては普段通りの追い出し。それで押し切るのだから役者が違った。阪神1800mより福島2000mの方がスタミナの消費量が少ないということも有るのだろうが、この馬自身も完全な平坦限定。

ステラウインド

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+8kg。元々スカッと見せるタイプで馬体増はそれ程気にならない。恐らく最初からの決め打ちでグランデッツァマークの競馬。途中でレコンダイトが動いた際に進路がなかったりで、少し離れてしまったのが痛かったかも。自力で勝ちに行くとなると、4角の位置では相当外を回される形になる可能性が高く、直線迄待ってからの追い出し。最後は良く差を詰めているが、この形では中々勝ちがない。ただ、年明け初っ端にドスローの3000mをマグレで勝ってしまい、その後はディスタンス戦を使われていたが、流石にナンセンス。基本は2000mの馬。

マデイラ

オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。休み明けで馬体も緩く、決して良くは見えない。ハナへ行く出脚ではないが、ゲートがバラけたことも有り、上手く内へ潜って好位から。出脚がない割に引っ掛かる馬だが、この位置で折り合いが付いたのは大きかった。ペースが遅かったことで、マクりに行って自滅した馬も居て、内から一瞬の脚を生かし切った。100万馬券の立役者だが、ベストの条件になっただけで、フロックで片付けるには少し可哀相。

メイショウナルト

-8kg。良し悪しは別にして、3年前の1000万、昨年と-10kgで、何故か福島に来ると馬体が減る。硬さがなければ走れる馬だが。出脚でトウケイヘイローの方が速く、2番手から。妙に折り合っており、むしろ3角からはオッツケていた位で、4角ではグランデッツァに飲まれそうになっていたが、渋太く盛り返して4着。ハナなら良い競馬になっていた。小倉で改めて。

アルフレード

前肢にバンテージ。馬体はソコソコ見栄えするが、何時ものことながら、もう少しサッサと歩いて欲しい。出脚がサッパリだったが、何とか押して中段。最初から外へ持ち出す気で、3角手前からマクッて行ったが、明らかに小回りが不適。コーナーでズブいので直線迄脚が残っている。今更ながら広いコース向き。

第20回プロキオンステークス(GⅢ)

ベストウォーリア

前後肢にバンテージ。昨年と同じ512kg。馬体に迫力は有るが、少しボテッと映るのは昨年同様。進歩もなければ後退もない。少し出し気味に好位のイン。コーリンベリーの直後だけは取られない様に乗られていた。斤量背負っていただけに俊敏に動くのは難しいところだが、直線でコーリンベリーが突き離してスペースが出来たのが大きく、力強い脚取りで伸びて来た。完勝。昨年より強いメンバー、斤量増で連覇なのだからケチを付けられないが、スローと枠の利も大きかった。過大評価も避けたい。

コーリンベリー

前肢にバンテージ。暑いので発汗は仕方がないところか。歩様に推進力が有って、気配は上々。サマリーズと一緒に出脚が速かったが、枠の利で制してハナへ。後続も有る程度は付いて来ていたが、1000m通過が58.9秒とむしろ矯め逃げの格好。直線向いて一旦は突き離しているのだが、この馬自身手前が替わらなかったのと、ベストウォーリアの底力がが一枚上だった。今日は相手が揃っていただけにこれだけ走れば上等か。ニッチなカテゴリーだが、牝馬ダートスプリント路線では最上位。

キョウワダッフィー

後肢にバンテージ。ベストウォーリア同様、昨年と変わらぬ姿。多少トモが甘いのも一緒。出負け気味だったが、枠の利と押した分で中段。急かした割には折り合いも付いて、スペースも出来たが、ベストウォーリアの後追いではワンテンポ遅く、ここ迄だった。結果的には折角最内枠だったのにゲートで失敗したのが響いた格好。昨秋の東京戦でも捌き損ねる場面も有り、何となくこの手の不利が多い馬。

タガノトネール

大きく見せるタイプではないが、しっかり踏めている。コーリンベリーとサマリーズに一度叩かれたが、立て直して3番手。スムーズだったが、ちょっと4角で外に逃げ加減。追われてからはそれなりに伸びているが、坂を上がって甘くなった。昨年のメンバーなら2着有ったかも知れないが、今年はメンバーが揃っており、これが現状の力差。

グレープブランデー

遮眼革。前後肢にバンテージ。一息入った影響は有りそうだが、馬体から格が違う。昨年はベストウォーリアがベストルッキングだったが、今年はこの馬。1200mにも対応出来るドリームバレンチノを叩く訳にも行かず、スタート直後は中段やや後方から。3角手前で少し内に潜って進出し、4角では何とか中段辺りを確保。直線も前と同じ程度には伸びている。今日は枠とペースに殺された。

第64回ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

アンビシャス

ダービー回避は正解だったか。年明けは線の細い馬だったが、大分しっかりして来た。ゲートを内方向に出て、ホワイトウインドと接触しつつも、出脚には大きな影響はなく中段から。折り合いも課題の馬だが、小回り1800mで我慢してくれた。4角迄内に居て、脚の違いで捌いて直線だけ外へ。あとは離す一方だった。1番人気やトップハンデが勝てないとジンクスも囁かれていたが、クラシック好走馬ともソコソコ闘っていたことを考えると、流石にナンセンスだった。相手が弱過ぎて微妙な部分も有るが、陣営の期待通りの内容だったのでは? 秋も期待が持てる。

ミュゼコースト

前肢にバンテージ。少し馬体の完成度が高過ぎるが、現状のデキとしては上々。出脚に余裕が有った訳ではないが、内のマルターズアポジーは行かせつつ、外の馬には抵抗して好位のイン。この枠として理想的な立ち回りが出来た。内でジッと我慢して、ラスト200mで前が開いた際に、一瞬の脚がなく、その間にアンビシャスが抜け切ってしまっていた。最高に立ち回って完敗の2着。アルバートドックに差された前走京都戦と似た様な内容。競馬の上手さは評価するが...。

マルターズアポジー

-8kg。ダート馬の様な馬体と歩様。もっと絞っても良い位。好発。出脚も有ったが、ミュゼコーストを壁役にハナへ。1000m通過59.5秒なら小回り1800mとしては理想的なペースで、これで負けたら仕方がない。競られずにコレだと重賞ではやや厳しいが、1000万は楽勝だろう。年内にもう一度オープンへ上がって来れる筈で、そこからが本当の勝負。

ロジチャリス

2人曳き。-10kg。現状はこれ位で丁度。気合も乗っていた。外から押して2番手。3頭位壁が有ったが、乗り越えての先行策。開幕週で外枠ハンデを潰すにはこれしかなかったか。スムーズだったが、直線で粘る脚がなかった。枠に泣かされた格好。スタート直後に抵抗されたのもかなり痛かった。2着以下とは互角。

ブランドベルグ

後肢にバンテージ。戦前は中1週を案ずる向きも有ったが、ちょっと硬い。線の細い造りは元々。出し気味にロジチャリスに抵抗していたが、突っ張り切れず好位に引く形。ただ、そこで少し行きたがってしまい、しかも外から来られて息が入る余裕がなかった。ダラダラ脚を使わされてしまった形。それでも直線は渋太く盛り返している。4角出口でホワイトウインドに内からコジ開けられているのだが、差し返しての5着。これも能力差はない。

サマースプリントシリーズ第2戦 第51回CBC賞(GⅢ)

ウリウリ

相変わらず毛ヅヤピカピカ。気合も乗っており、下見は文句なし。ゲートも少し悪かったが、慣れない1200mか道悪に戸惑ったか、前半は明らかに置かれ気味。厳しい展開だったが、直線は諦めずに最内から伸びて快勝。55.5kgと背負っていただけに価値が高い。一瞬しか脚が使えない馬だが、スプリントだと誤魔化しが利くのは間違いない様。道悪とはいえ、戦前の想定程降らずに済んだのも何よりだった。

ダンスディレクター

変わらず気配上々。軽い造りのスプリンター。今日もゲートは互角に出て中段から。折り合いも、大事に乗れば付く様になっている。ただ、直線でトーホウアマポーラとベルルミエールの間を狙ったところ、そこが開かず、坂を上って立て直すか形になったのは痛かった。ハンデ差を無視すれば、更に内外の差が有って半馬身差なら勝ちに等しい。尤も、これで2着が5回目。ツキのなさも如何ともし難い。単勝買うなら人気の落ちるGⅠ限定。

サドンストーム

前後肢にバンテージ。成績通り、昨年から馬が成長しており、見た目からパワフル。少しゲートが悪く、後方に近い位置でダンスディレクターを左前に見ながらの競馬。外からジワジワ来ているが、上位2頭が4角で内を通っていた分も有って一伸びを欠いた。着差や通った位置の差を考えると悪い内容ではないが、良馬場で切れる馬に適うとも思えない。千載一遇のチャンスを逃した格好。もっと土砂降りになれば別だが、普通なら重賞は遠いだろう。

ベルルミエール

前後肢にバンテージ。-6kg。フックラ見せており、歩様も力強い。ゲートに失敗し、慌てて押して何とか中段。そこからは折り合いも付いてスムーズだったが、坂を上がってからが甘くなった。ゲートが五分だったら際どくなっていたかも。出脚自体は速くとも、出ッパが安定しないのが痛い。牝馬路線の為体を考えるとこの馬でも結構マシな方だが、勿体ない。

セイカプリコーン

遮眼革。1200mにしては気配が地味。減点材料はないが、強調する点もなく。出脚がサッパリで最後方。腹を括ってウリウリの後を付いて行く形。ソコソコ近い位置迄追い上げているが、今日の馬場では何とも。最低人気だっただけに、入着で馬主は大満足だろうが。