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競馬回顧 2014年4回京都

JRA創立60周年記念 第150回天皇賞・秋(GⅠ)

スピルバーグ

もう一絞り有っても良さそうな造り。出脚が速い方ではなく、何時も通り後方から。前走は前が詰まって追えない場面が有り、今日は躊躇なく大外へ。今の東京自体が比較的外が伸びるのと、内の馬群が密集して窮屈に走らされた馬が多く、思い切り全身を使って走れたこの馬が突き抜けた。大型馬で、見た目から不器用そうで、余計にこの競馬がハマった印象が有る。ただ、それ以上でもない気はするが...。尤も、今回無事出走成ったとはいえ、前走直後の段階では賞金不足の危険も有った。その心配がなくなったのは何よりなのだろう。

ジェンティルドンナ

2人曳き。前肢にバンテージ。今年一番の状態。落ち着いていたのも何より。好発。カレンブラックヒルに行かせて好位のイン。好位に外国人ジョッキーが付けると前を追わずスローになる何時ものパターン。直線で最内が狭くなってしまい、カレンブラックヒルをパスするのにかなり梃子摺ったが、前が開いてからは自分の脚は使って2着確保。外をノビノビ走った馬にやられたのは仕方がないところ。出涸らし感も有る馬だが、牝馬で息が長い。ちなみに休み明けは3歳秋のローズステークスを除き全敗だが、叩き2走目はUAE戦を含め全勝。常識的には厳しいながらも、データは3連覇を囁いている。

イスラボニータ

古馬の方が良く見せるのは間違いないところ。この馬自身の比較としては悪くないが。外枠で位置取りがカギだったが、スタート直後にマイネルラクリマを行かせてからの好位確保。単に前に馬が居ないというのも有るが、前を横切られている分、余計に力んでしまう。それでも追い出して坂を上がる脚は力強く、一旦は先頭に立っているが、ちょっとソラを遣ってしまった感も。そこを内外から来られて3着に。競馬としては強い内容。良くも悪くも、同じフジキセキ産駒のキンシャサノキセキにレース内容が似て来た。スプリントを走ることはないにしても、マイルを力任せに走れば幾らでも勝てそうな気もするのだが。

ラブイズブーシェ

一応はまずまず。このメンバーに入ると若干迫力負けする感も有るが。少し出して中段を確保。多少掛かっていたが、許容範囲。4角を回って前にイスラボニータ。マーティンボロやエピファネイアとの併せ馬になっていたが、勝負根性で凌ぎ切った。スローであまり後ろからでは届かないところで、位置取りも良かったが、この正攻法でも4着は評価出来る。中山では思い切ってアタマから狙う手も。

ヒットザターゲット

この馬なりに悪くない状態だが、この相手では目立たない。例に依って出脚は一息で後方から。直線迄コースロスなく回して、そこから大外へ。ずっと左手前のままだったが、スピルバーグと同じ脚を使って伸びている。要は位置取りの差。最近は1枠でしか走らないノースヒルズだけに、今日白帽で落としたのは痛いのだが、次走ジャパンカップでも面白い。

エピファネイア

前後肢にバンテージ。+7kg。少しスカッと見せて馬体は文句なしだが、発汗目立つ。出遅れ1馬身不利。内外から来られながらも枠の利で、2角進入時は中段やや後方に居たが、こうなると行きたがってしまう。直線はジワジワ伸びているものの、最後はラブイズブーシェに差し返されての6着。スピルバーグの様な飛び道具にやられるのは仕方がないにしても、併せ馬でやられたのはだらしなかった。次走乗り替わりになる様だが、これだけチャンスを潰している様では止むを得ない。能力には疑う余地がないのだが...。

デニムアンドルビー

前後肢にバンテージ。歩様にバネが利いていた。馬体も数字の割に迫力が有る。ゲートは五分に出るも、中段やや後方で待機。ただ、直線は中々前が開かず、追える状態になったのはラスト150m。そこからここ迄追い込んでいるのだから、脚は持っている。限定戦は無視して牡馬相手と闘わされているが、それだけの能力の持ち主。これも次走注目の存在。

第3回アルテミススワンステークス(GⅢ)

ココロノアイ

前肢にバンテージ。チャカついていた。縦長に見せる程、胴の短い馬体。2馬身近い出遅れも、外で一気に行ってしまい、3角で好位。成行き、競馬は早目早目だが、4角で少し矯めが出来ていた様にも見えた。その分、追い出してからの脚が残っていた印象。後続も猛追を一杯一杯振り切った。ステイゴールドらしい我慢強さで能力面もさることながら、4角の矯めが一番評価出来る。ゲートはマトモに出て欲しいところだが、これが出来るなら大崩れはしない。ちなみに生産者は酒井牧場。ホクトベガ以来となるこのコンビの重賞制覇。

レッツゴードンキ

相変わらずテンション高い。寸が詰まって、スピードタイプ。ゲートも少し悪かったが、油断すると引っ掛かる馬で、急かさず中段で折り合いに専念。実際、馬群の中で怪しい挙動も有った。直線は変なところに入ってしまい、ちょっと待たされる場面も有ったが、坂を上がって右手前に替えてからは切れに切れた。競馬は雑だが、強い内容。

トーセンラーク

2人曳き。+8kg。馬に幅が出て来た。間違いなく成長分。出たなりで好位から。これも序盤は少し行きたがっていたが、直ぐに折り合いは付き、4角ではこれが勝ったかの立ち回り。前も開いて、それなりに伸びているが、あと一歩の踏ん張りが利かなかった。上位とはかなり決め手の差が有る。

フローレスダンサー

+6kg。胴長の馬体で馬は見栄えがする。もう少しトモに力が付けば本物に。出遅れ1馬身不利。出脚で中段に取り付いたが、コーナーで前の馬が下がって来て、4角では結局後方に。結果的にこれが痛かった。直線はジワジワと伸びている。距離はもっと延びた方が良さそう。厩舎が違う影響も有るのか、母ダンスインザムードと違ってイレ込まないのも何より。オークスで母の無念を晴らす場面が有っても。

スマートプラネット

前肢にバンテージ。これも煩かった。馬体も少し細く映る。好発。出脚も速く、外枠でも行かせて2番手。下見の気配を考えれば折り合いは付いていた。直線入口で前へ並び掛けて先頭。少し追い出しを待つ位の余裕は有り、正攻法の競馬が出来たが、現状の能力差だろう。ただ、こういう競馬が出来るなら大崩れはしない。

第57回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

ミッキーアイル

春と変わらず。下見は大人しいのも毎度。出遅れ半馬身不利。序盤はハナへ行けず、内外離して折り合わせようとしていたが、結局馬が行ってしまい3〜4角中間でハナへ。ラチに寄せてからは毎回渋太い馬で、今日も迫られているが、それでも何とか押し切った。危なっかしいのもこの馬のスタイル。ハナさえ行ければ余程大丈夫だろうが、兎に角ゲートがアテにならないのがネック。次走はゲート次第。逃げ馬が33秒台で上がれば余程のことがない限り負けることはない。今日の内容が嫌われるならむしろ狙い目。

サンライズメジャー

後肢にバンテージ。腹回りがボテッと映るが、踏み込みの深さが際立っていた。ゲートは出ているが、下げて折り合いに専念。コーナーを内から3頭分外で回って来ており、コースロスも最小限に留められた。直線は大外へ持ち出すと、1頭単騎で追い込んで来た。ただ、あまり時計が速くなると鋭さ負けするのは確か。今日位の少し時計が掛かる馬場の方が向いている。

フィエロ

+14kg。青鹿毛で目立たないだけで、腹回りは数字通り。歩様は悪くないが。例に依ってあまり急かさず中段で折り合いに専念。1400mでもスローだったが、意識すれば折り合いは付く。ただ、今日もそうだが、相変わらず追い出しての一瞬が悪い。伸び出してからは良い脚を使っているが、反応の悪さが中々勝ち切れない原因。手前が替わっていない影響も大きい。

サドンストーム

前肢にバンテージ。筋肉質の造りで、歩様も力強い。ゲートを五分に出たのと、このスローで今日は中段から。ひたすらインを立ち回って、直線はジワジワと。何回か手前を替えていたのは、久々に使った1400mの影響だろうが、昔を考えると大分器用さが出て来ている。1200m一本の馬でなくなった。

ウイングザムーン

パシュファイヤー。後肢にバンテージ。気性的に難しいところが有るのは下見からも分かるが、馬体はスカッとして良く見せた。珍しく好発。ベルカントとは並走して、ミッキーアイルを前に置く形を想定していただろうが、ミッキーアイルが中途半端な形とあり、アテが外れた影響も有ったか、序盤はかなり掛かっていた。3角でベルカントを前に置いて、そこからは意外な程伸びているが、やはり序盤のロスが痛かったところ。この馬の場合はむしろ出遅れた方が待機策が取り易く、結果も出る。

JRA創立60周年記念 第75回菊花賞(GⅠ)

トーホウジャッカル

2人曳き。この馬の現状としては良いデキだが、やはりまだ細く映る。毛色も含めて、この時期のテイエムオペラオーに良く似ている。今日もゲートは決して良くなかったが、内枠とコーナー迄が近いこのプラットフォームで相殺されて、好位のインで折り合いを付ける形。最終的に3分1秒0で決まる展開で、馬場だけではなく、逃げたサングラスをマイネルフロストやシャンパーニュが突いて息の入らない流れになった。こうなると内に居た方が圧倒的に有利になる。2周目4角でトゥザワールドを自力で弾いて強気の仕掛け。内からサウンズオブアースが迫るが、最後迄脚色衰えることなく押し切った。今日は文句なし。気になるのはこの時計の反動だけだろう。来年迄待機だそうだが、馬体が成長すればテイエムオペラオー同様、年間全勝も可能。

サウンズオブアース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+8kg。例に依って少し歩様が甘いが、叩いて更に上昇。スタート直後はトーホウジャッカルと並走していたが、坂の下りでハミを噛みそうになり、トーホウジャッカルの後ろに控える形。ただ、そこからは折り合いが付いている。2周目4角でトーホウジャッカルが動き、その開いたインを通って来ており、最高にセコい競馬が出来たが、それで届かないのだから地力の差ということになる。尤も、これも馬体が成長すればもう少し奥行が有りそうだが。

ゴールドアクター

少し気負っていたが、馬体に張りが有って、毛ヅヤピカピカ。もう一段前で闘うのが戦前の想定だったが、内からサングラスとシャンパーニュで隊列が固まってしまい、深追い出来ず、前から6〜7番手から。あまり前に馬を置く形は経験していない筈だが、上手に走れており、直線はトーホウジャッカルの直後から渋太く脚を使っている。この時計ではこれが精一杯だが、長距離の適性は示した。アドマイヤラクティの様に何時か豪州遠征へ行っても面白い。

タガノグランパ

+10kg。手先だけで歩いていた。馬体も目立たない。ゲートは出ているが、中段やや後方で馬群の中に入れて折り合いに専念。ずっと内でジッとして、そのままインを突く形。ただ、直線でラチ沿いがなく、外へ進路を切り替えた際にサトノアラジンと接触。ちょっと後味が悪い競馬になった。それはさておき、春は中京1400mで権利を取った様な馬が3000mも無難にこなせる馬になったのは厩舎技量の成せる業だろう。この厩舎の馬は道中で無駄なことをしない。気性のコントロールが抜群に上手い。

ショウナンラグーン

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-8kg。馬体はバランス取れているが、ちょっと発汗が目立つ。出遅れ1馬身不利。後方のインでジックリと。伸びているが、前も同じだけ伸びており、結果的にゲートの失敗が痛かった。ただ、前へ行って同じ脚が使えるかどうかはやってみないと。毎回後方からの競馬で、今迄そういう競馬が出来ていない。

サトノアラジン

手先にスナップが利いていた。ただ、馬体にもう少しメリハリが欲しい。戦前からの決め打ちだったのだろうが、ゲートをソロッと出して真っ先にインへ。2周目4角迄はスムーズに回って来れたが、直線向いて例の不利。再び際どいところ迄盛り返しているだけに尚更惜しい。

ワンアンドオンリー

2人曳き。+8kg。数字は増えているが、スカッと見せる。長距離仕様と考えれば悪くない。人気で思い切った競馬が出来ず、中段の外。多少掛かっており、それ故どうしても早目早目。こうなると息が続かない。一瞬だけでも4角で見せ場を造っただけでも大したモノ。母父タイキシャトルや枠順、前走阪神戦の馬体減等、戦前から怪しい要素は一杯有ったが、それ以前に今日は競馬にならず。

第17回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

ステファノス

前肢にバンテージ。馬体も使って良くなっていたが、何よりしっかり踏めていた。ゲートは出ているが、折り合いに専念して後方に近い位置。馬は前に置けなかったが、バラけた位置でゆったり走れていた。一旦先に抜け出したシャイニープリンスの後を追う様に伸びて来て、計った様に差し切った。完勝。前走新潟戦の内容は正直感心しなかったが、この競馬なら文句なし。今日は1000mが59.4秒のスローで、ハイペースになってどうかだが、マイルが向く様。

シャイニープリンス

兎に角デキが良かった。馬体にも迫力が有ったが、歩様が力強い。出たなりで中段のイン。スタート直後は先行馬群に居たが、一旦引いて馬群の切れ目で待機。直線は早目に外へ持ち出しつつも、追い出しを待つ余裕が有り、実際その通りに伸びているが、ステファノスの決め手が一枚上だった。あの競馬で差されたのなら仕方がない。強いていうなら、この馬自身、良い脚が長く続かないということになるが、柴田大知騎手はこういったタイプの脚の使いどころが上手い。

レッドアリオン

+4kg。スカッとした造りでまあまあ。強調材料もないが、悪くはない。やや出負けも、少し出して中段やや後方から。多少掛かるのは仕方がないところだろう。前も33秒ソコソコで上がっており、32.8秒の脚を使っている以上、位置取りが悪かったいう外ない。もう少しゲートを出て、もう少し折り合えば、重賞どころか、GⅠにも手が届きそうだが。

ロサギガンティア

今日の方が落ち着いていた。馬体は元々悪くない。今日はゲート五分。このスローだが、比較上折り合いは付いていた方。内目は少しゴチャついたものの、それなりに捌いている。伸び切れないというよりは、この馬の限界だろう。細かいところで競馬が下手。

エキストラエンド

前後肢にバンテージ。最悪は脱した。歩様に柔らか味が出て、馬体にも重量感が有る。これもゲートは悪いタイプながら、普通に出ているが、出脚が鈍く後方から。ただ、乗り役の話では不正駈歩になったとのことで、直線入口で一瞬置かれる場面。最後は詰めている。名前の通り、冬場が向くタイプ。完全復調。

ダノンシャーク

2人曳き。前後肢にバンテージ。何時も以上にチャカついていた。馬体にはキレが有ったが。好発。ジワッと好位。ただ、前が壁がなかった影響か、スローなのか、結構力んで走っていた。早目先頭で格好は付けたが、ラスト100mで甘くなってしまった。この馬が負ける時の典型的パターン。結果的には好発がアダに。

クラリティシチー

寸の詰まったマイラー体型。完歩も小さいタイプ。出脚は速かったが、ダノンシャークを並走しつつ、掛かり気味。ただ、それにしても追ってから見せ場すらなかった。サッパリに近い内容。こんな馬ではない筈だが...。春のデキがないのかも。

第19回秋華賞(GⅠ)

ショウナンパンドラ

前後肢にバンテージ。440kgだが、馬を大きく見せる。踏み込みも力強い。好発。出脚は速くなかったが、中段から。丁度2つに馬群が切れて、後方馬群の先頭。外枠の馬が先行して、小回り独特のハイペースとなり、展開がハマった。4角で逃げたペイシャフェリスの直後、リラヴァティが少し頑張ってくれた為、スペースが出来て、イン突きも上手く行った。この時計で走れば大したモノだが、余りにも上手く行き過ぎて能力判定不能。

ヌーヴォデコルト

前肢にバンテージ。+10kg。数字は回復分。悪くはないが、無理に増やしている分、少し緩い。ゲートが少し悪く、後方馬群の中。道中は枠なりにコースロスなく進めたが、前にショウナンパンドラが居て、人気でも有り、この馬は外へ出さざるを得なくなった。最後にキッチリ2着を確保する辺りは地力の高さだが、結果的にはゲートの失敗が痛かった。流石に単勝1倍台は被り過ぎていた気も。外回って横綱相撲で勝てるだけの馬ではないのは明らか。

タガノエトワール

毛ヅヤが冴えていた。歩様も良くなっており、更に上昇。毎度のことながらゲートが下手だが、小回りを意識して少し出し気味。後方馬群の2番手から。ただ、ショウナンパンドラが追い上げて行った際に、こちらは外をマクる形に。直線半ばで止まり掛かったが、ヌーヴォデコルト、ブランネージュが内外から来て、何とか3着に踏ん張った。今日の勝ち負けだけをいえば内外の差と早仕掛けだが、前走阪神戦はやはりフロックではなかった。来年は女王の座も。その為にはGⅢで良いから、何処かでタイトルが欲しい。賞金面も含めて今日は2着が欲しかった気もしないでもない。

ブランネージュ

2人曳き。イレ込みはマシになった。馬体も相変わらず見栄えがする。前走阪神戦はもっと出脚が速かったが、意外に進んで行かず、先行馬群の最後方。ただ、4角の捌きで今日は大失敗。一瞬迷ったところをショウナンパンドラに入られ、その後追いの形に。完全にワンテンポ遅れている。それ程切れる脚がないだけに、尚更痛かった。

サングレアル

細い印象はないが、トモが少し甘い。ゲートは普通に出ているが、例に依って後方でジックリと。ただ、4角で外へ回す形になってしまい、前とは差が開いた5着。上位と能力差を感じる内容ではないが、器用な競馬も出来ないだけに、使える脚が一緒では勝ち切れない。馬体維持に神経使っている様では先々が苦しい。

第62回府中牝馬ステークス(GⅡ)

ディアデラマドレ

前後肢にバンテージ。+4kg。前走札幌戦は少し怪しく映ったが、今日はデキが戻っていた。出脚も速い方ではないが、中段で折り合いに専念。外枠の馬が先行したことも有り、インが詰まりそうな雰囲気も無きにしも非ずで、思い切って外へ。丁度スマートレイアーが居て、併せ馬になったのは良かっただろう。この馬の決め手を発揮して、今日は快勝。母ディアデラノビアより少しスケールが小さい印象も有ったが、大分本格化して来た。

スマートレイアー

2人曳き。前後肢にバンテージ。気配上々。叩いて順当に良化。出遅れ1馬身不利。ゲートももう少し出てくれると楽だが、行かせて良いことががないのは予め分かっており、そのままジックリと。直線もインを突ける馬ではないので、躊躇なく大外。ただ、前走札幌戦同様、突き抜ける手応えで、実際一瞬はそういう脚なのだが、直ぐに止まってしまう。コース問わず、良い脚が長く続かない。先々の副作用を別にすれば、距離は短い方が良さそう。

ホエールキャプチャ

今季は手先のスナップが利いている。生涯でもかなり良い方のデキ。大外からオツウが逃げて、その2番手。1回叩かれている影響なのか、序盤は少し掛かっていた。それでも3角には折り合いも付いて、最後迄止まっていないが、今の東京は割と決め手勝負の馬場状態。この馬としては雨よりはマシなものの、鋭さ負けしてしまった。ただ、外枠から先行してこの結果なら、最良に近い。復調してからは堅実。

キャトルフィーユ

前後肢にバンテージ。マイラー体型だが、トモに張りが有って、歩様も力強い。ウリウリに叩かれる形となり、その直後。全体で見れば中段のイン。直線は暫く待たされたが、ホエールキャプチャが伸びてくれて、その後から伸びて来た。ただ、この馬自身がどちらかといえば先行して粘るタイプ。今日は少し位置取りが後ろになり過ぎた感も。結果的に差し決着だったので、どう乗っても着順は変わらなかった可能性も有るのだが...。何れにしても、距離はもう少し延びた方が競馬はし易い筈。

アイスフォーリス

少し硬いが、キビキビとは歩けていた。真っ白だが、毛ヅヤも悪くなさそう。今日はゲートが少し悪く後方から。切れる脚はないので、少し早目に動いて直線向いた段階で、前がフリーの嬢チア。ただ、明らかに決め手負け。これも距離が延びて欲しいクチだが、今日で賞金を加算出来なかったのが痛い。序にいえば一雨欲しいところ。

ウリウリ

多少煩いが、充分許容範囲。これなら力は出せていた筈。この距離なら出脚は速い方でスッと好位のイン。折り合いも付いて、直線で最内を突いた際は一瞬抜け出し掛かっていたが、坂も上れず、ホエールキャプチャに差し返されて後退。あの内容の割には大きく止まっていないだけに若干不可解な面も有るのだが、ちょっと距離がが長いかも。ベストは1400〜1600m。

第49回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

ラストインパクト

前走新潟戦から好調キープ。テンション高いのは少しマイナスだが。トゥザグローリーとタマモベストプレイが行ってその3番手。叩かれている分、少し引っ掛かったのだが、直ぐに折り合いは付いた。4角でも手応え十分で、恐らく前は何時でも掴まえられるという自信が有ったのだろう。タマモベストプレイもかなり粘っていたが、キッチリ競り落として完勝。ただ、展開が向いたのが大きい。相手も大概だった。

タマモベストプレイ

+6kg。硬さがなければ力は出せる馬。毎度述べているが、この血統にしては歩様がしっかりしている。ハナへ行ける雰囲気だったが、トゥザグローリーが主張して2番手から。トゥザグローリーを単騎で逃がしてこの馬のマイペース。気分良く行けた。4角でも後続に来られることなく、自分のタイミングで動けたのも良かっただろう。ラストインパクトにも寸前迄抵抗していた。坂の有るコースでこの距離が良いとも思わないが、京都なら我慢が利く。

トーセンラー

+6kg。後述するが、走る走らないは別にして、この位の方が馬は良く見せる。この距離なら前に行ける筈だが、折り合いに専念して中段ででジックリと。我慢はしてくれていたが、前が動いてくれず、仕掛けが遅れてしまった。直線はこの馬なりに伸びている。京都をひたすら使うというのは悪くないアイデアだが、距離がこれだけバラバラだと馬も戸惑うところで位置取りがどうしても悪くなる。マイルチャンピオンシップを狙うなら、スワンステークスを叩くのが正攻法だと思うのだが。

ヒットザターゲット

デキは昨年と変わらない。スカッとした造りで、長距離向き。ゲートが悪く後方から。道中はバラけた位置でコースロスなく乗れたが、勝負どころで外へ行ったところ、メイショウマンボが邪魔になり、この馬もトーセンラー同様、直線迄待ってから追い出す形。最悪の競馬になってしまい、これでも良く追い込んでいる方。内容的には勝ちに等しいレベル。

トゥザグローリー

遮眼革。前後肢にバンテージ。+12kg。最近悪くなくても走らないケースが多い。今日も悪くはなかったが。好発。気分屋だけにそのまま行かせて逃げる形。開幕週で1000m60秒台のペースは逃げ馬にとって絶妙のペース。直線の長いコースでは厳しい馬で、今日はこれでも良く粘っている方。中山でこれが出来れば面白いところだが...。

デスペラード

2人曳き。シープスキンノーズバンド。春より毛ヅヤがいいので、馬体減でも馬が淋しく見えない。ハナへ行きたかった筈だが、タマモベストプレイやトゥザグローリーの方が勢いが良く、好位のインで控える形。ただ、基本的には早い上がりを歓迎しない馬。条件戦時代に32.8秒の上がりをマークしたことも有るが、最近使われている長距離では34秒台が限界となる。もっと時計の掛かる馬場にならないと。

メイショウマンボ

+16kg。多少太いだろうが、馬体には迫力が有る。ゲートは少し悪く、中段やや後方から。位置取りも悪かったが、4角で既にアラアラ。ヒットザターゲットの邪魔をしただけだった。今日の内容だけなら単純に弱い。休み明けや牡馬相手等、それらしき傾向は有って、それらに思い切り該当する条件だったのも確かだが...。

第65回毎日王冠(GⅡ)

エアソミュール

前後肢にバンテージ。叩いて更に上昇。今年では一番のデキ。歩様も力強い。本当に一番欲しかった位置はディサイファのところだった筈だが、折り合いに課題が有るだけに無理も出来ず、そこを取られてしまい、中段やや後方から。直線も、追い出しを我慢していたというよりは、外へ持ち出せず、単に中々前が開かなかっただけ。バラけたのはラスト300m辺りで、そこからキレにキレた。今日は着差以上に強い内容。競馬は楽に勝てるならそれに越したことはないのだが、この勝ち方ならダメージも少ないだろう。

サンレイレーザー

前後肢にバンテージ。父ラスカルスズカに良く似て来た。皮膚が薄く、手先も軽い。ゲートも出たが、今日は戦前の決め打ちでジワッとハナ。ウインマーレライもあまり行く気がなかったようで、労せず行けた。1000m通過が59.1秒のスローで、道中もかなり楽。直線もラチ沿いをほぼ最後迄並ばれることなく頑張っていた。前述した様にエアソミュールが少しミスした分も大きいとはいえ、好騎乗の2着。

スピルバーグ

+10kg。少し余裕残し。トモがパンとすれば更に良くなりそう。押してもあまり進んで行かず、後方に近い位置。4角回ってエアソミュールの直後。これも中々前が開かなかったクチで、ロゴタイプを脚で弾いて何とか3着に。休み休みながら東京で3連勝中だったが、本当に堅実。ただ、GⅠへ行ける賞金がなく、また年明け迄待機せざるを得ないのが。

ディサイファ

前肢にバンテージ。少し馬が緩く映った。休み明けを感じさせる馬体。出たなりで好位のイン。最内枠で一番良い位置が取れた。四位騎手らしく、4角で何時でも動ける外へ持ち出し、半ば勝ちに行く競馬だったが、最後で甘くなってしまった。下見の気配を考えると、一回使っていれば2着は有っただろう。あと、この馬としてはもう少し時計が掛かった方が良いかも。

グランデッツァ

2人曳き。-12kg。テンションのもそうだが、腹周りが少し淋しい。少し仕掛けて好位から。折り合って良い雰囲気で行けたかに見えたが、追って伸び切れなかった。せめて逃げ馬は掴まえたかったところだろうが、むしろ突き離される始末。脚元を一度壊している馬で、上がりが33秒台になると厳しい様。

ロサギガンティア

+8kg。距離に課題を抱える馬だけに、もっと落ち着いて欲しい。馬体は古馬相手でも見劣りしないが。また出遅れて後方から。腹括ってコースロスなく回し、直線もインから。上がりはメンバー中最速だが、最内に居て前が開いていただけに、馬券圏内に来ないと値打ちがない。今年の3歳牡馬は少しレベルが低いのかも。尤も函館でも1番人気を裏切っており、現状はこんなモノと考えるのが妥当なのかも知れないが。

ワールドエース

2人曳き。前肢にバンテージ。下見の雰囲気は悪くなかった。歩様も問題はない。この枠で無理できず後方から。折り合って、道中の雰囲気は悪くなかったが、追ってサッパリ。極悪馬場だった前走のダメージ? それ以外に敗因が思いつかないが...。

第1回いちょうステークス(新設重賞)

クラリティスカイ

-8kg。少し細いが、メリハリは出て来た。歩様も落ちていない。ゲートは速い方だったが、馬群の切れ目で上手くインへ潜り込んで4〜5番手から。出脚を使わずに好位を確保するのは横山典弘騎手の上手いところ。この位置で折り合いを付けて、あとは追い出すタイミングだけ。馬の反応が軽快過ぎて、横山典騎手にしては早目に先頭に立ちながらも、楽々押し切った。クロフネ産駒でトビは大きい割に反応の良く、大物の相が有る。

ネオルミエール

-6kg。少し細い位で、スカッとした造り。手先のスナップは利いていた。ゲートも少し悪かったが、出脚も鈍く後方からジックリと。4角で外へ回さず、直線迄待って狭いところをコジ開けて来た。一瞬の反応はニシノクラッチやオープンザウェイの方が良い様にも見えたが、良い脚を長く使っている。最後迄伸びていた分の2着。中山でどうかという部分は有るが、距離はもっと延びた方が良さそう。クラシック向き。

ミッキーユニバース

オーストラリアンブリンカー。馬は変わらず。鍛える余地は相当残す造り。好発。前走札幌の件が有り、無理矢理でも控えて2番手から。1000m58.6秒と意外に流れてくれたにも関わらず、かなり力んで走っていた。直線ではズルズルかと思った程だったが、クラリティスカイに坂下で交わされながらも何とか粘って3着。開幕週とはいえ、地力も示した3着だが、兎に角気性面が何とかならないことには。ただ、この厩舎ではそういった矯正が中々難しいのも確かで...。

オープンザウェイ

+10kg。前肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。ただ、歩様に伸びがない。内からミッキーユニバースが行って、その内に収まる形で中段から。ネオルミエールと一緒に狭いところを割って伸びて来ているが、最後に甘くなった。今日のところは力負け。トモに力が付いて来ればもう少し良くなりそうだが。

ニシノクラッチ

前肢にバンテージ。馬体に張りが有って、完成度が高い。ダッシュ付かず後方から。乗り役に言わせると馬群を気にするとのことで、バラけた位置で直線も大外へ。追い出しての反応は3着確保の脚勢だったが、一瞬で終わってしまった。ちょっと追い出すと頭が上がる面も有り、下見の割にレースが下手。

サトノフラム

2人曳き。腹回りが少しボテッと映るが、緩んだ印象はないので体型かも。ただ、左後肢の出が少し悪い。この枠で今日は来方から。序盤は多少力んでいた様にも見えたが、前に馬を置いてからは折り合えた。しかし、追ってからがサッパリ。特に問題なく真っ直ぐ走っていた様にも見えたが...。敗因不明ながら、可能性として一番高いのは左回り。