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競馬回顧 2012年2回京都

第29回フェブラリーステークス(GⅠ)

テスタマッタ

2人曳き。今日は意外に我慢していた。馬体も迫力満点。ゲートは速い方だったが、序盤は我慢が利いて後方待機。400m程走ってからは例に依って辛くなっていたが、何とかワンダーアキュートを前に置いて耐え抜き、4角ではこれが勝ったかの手応え。直線もその通りに弾けてくれた。今日はソコソコ流れた割にトランセンドの早仕掛けで馬群が詰まる追い込み馬にとっては理想的な展開になったのだが、ラスト200mで抜け出しており、展開関係なく自分の競馬に徹してこの馬の末脚が爆発した。次走以降も折り合い一つで、何とも言い様がないのだが、ただ大外枠も結果的に良かっただろう。外枠の方が好走確率が高いという事は一つ言える筈。最後に余談ながらテスタマッタの意味は伊語で「クリエイティヴな意味合いでクレイジー」との事。昨年のトランセンドに続き、名前を地で行く馬に。

シルクフォーチュン

例に依ってテンション高いが、毛ヅヤも良く、この馬にしては良く見せていた方。ゲート内の柱立が悪い時に開けられ、元々出脚のない馬が更にダッシュ鈍り、最後方から。ダート入ってからは少し掛かっていたが、前と離れ過ぎていた事も有り、馬群に取り付いて、4角でテスタマッタの直後へ。直線はこれも切れたが、馬力も有るテスタマッタ相手では交わす迄は中々というところ。ダートのGⅠで勝ち切るとなるともう少し馬格とパワーが要求される。

ワンダーアキュート

2人曳き。下見だけパシュファイヤー。+12s。この数字では少し太く映るが、イレ込むケースも有るこの馬にしては堪えていた。ゲート五分も、若干芝での出脚が怪しく、中段から。ペース的にはハマッた筈で、ジワジワ伸びているが、切れる上位2頭にはアッサリ交わされてしまった。最後は3着争いを首の上げ下げで制するのがやっと。ベストは1800m〜2000mだろう。戦前、根岸ステークス組は分が悪いという報道も有ったが、決め手勝負の展開になり、却って過去のデータが仇となった格好に。

ダノンカモン

シープスキンノーズバンド。馬体は例に依って良く見せるが、前走の方が集中力が有った。芝での出脚も速く、スッと好位直後。道中は流れに乗って、トランセンドマーク。直線もそのトランセンドに併せて行ったが、如何せんトランセンドの手応えがなく、慌てて外へ。ワンダーアキュートと併せて、首の上げ下げで負けただけにこの馬も悪いのだが、テスタマッタと併っていればという思いも有っただろう。ただそれでも前に居た組では再先着。見方を替えればこの馬意外に強い。早目に抜け出すと遊ぶ等、気性的に色々問題有るそうだが、真面目に走る様になれば大化けの可能性が。

エスポワールシチー

-6s。数字分だけスカッと見せる。左後肢の出が若干悪いのは変わらずだが。行こうと思えば行けた出脚だったが、後から聞いた話で最初から差す競馬をする予定だったそうで、道中はトランセンドをマーク。ペース判断としては上手く行ったが、トランセンドに脚がなく、前が暫く開かなかったのが痛かった。それでもトランセンドに先着したのは陣営の気持ちの上で大きいだろう。今日は通算17,000回騎乗を白星で自ら祝っていた武豊騎手、今年は勝ち星量産しているとはいえ、肉体的な部分での衰えは多少感じるところだが、頭脳戦となると流石。

トランセンド

馬体,気配共地味だが、これは元々。下見からは減点材料なし。ゲートは一番速かった位だが、芝での出脚がサッパリで一旦中段迄置かれてから好位に取り付く形。道中は乗り役の話通り、首が使えていない走りも気になったのだが、追ってもサッパリだった。今日は良いところなし。前々走・前走阪神戦で逃げないとダメというという事が他馬にバレ過ぎた感も有り、これも良くなかっただろう。前走内枠から楽に先行する形なら今日の結果はもう少し違っていた筈。UAE戦は出脚強化に努めて何処迄マシになるかだが...。

ヒラボクワイルド

前走思えば落ち着いていたが、相変わらず腹回りはボテッと映る。芝で少し置かれ気味だったが、ダート入ってからは折り合いに汲々。3角で何とか折り合って直線はインへ。一瞬は凄い勢いだったが、前が詰まってそこ迄。ただ、脚力は見せた。1400mなら重賞は勝てる。

グランプリボス

2人曳き。-10kg。数字分だけ腹回りがスッキリ。テンション高いのは元々としても物見も目立ち。芝での出脚が速く、外からトウショウカズンに擦られて。連られる様に好位。この馬、どれだけ行きたがったとしても中段より後ろに付けられれば伸びるのだが、前へ行ってしまうと終いが保たない。今日でダート適性云々を論ずるのは早計。あくまで折り合い次第。

第62回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

ケイアイドウソジン

トモに丸みが有って、確かに良く見せた。出脚は他に速い馬も居たが、押してハナ。数字上のラップも兎に角遅かったが、2番手スマートロビンがガッチリ抑えており、これが絶好の壁役に。2周目4角でもスマートロビンの方が手応え有ったにも関わらず、まだ早いと判断したのか、可愛がってくれたのも大きかっただろう。直線入口で突き放して、スマートロビンに替わってギュスターヴクライが差して来たが、このリードを守り切った。今日は行き切ったのが正解と同時に、スマートロビンに勝たせて貰った様な競馬。

ギュスターヴクライ

昨年にも触れたが、この血統にしては歩様がスムーズ。馬体も見栄えする様に。元々出脚が速い方ではなく、この枠でも有り中段やや後方から。若い頃から折り合いは問題なく、このペースでもリズム良く走っていた。2周目3角から徐々に番手を上げて、直線は1頭で追い込んで来たが、ラスト100mで手前が替わって脚色が怪しくなってしまった。それでも着差が着差だけに勝ちに等しい競馬。ただ、京都戦へ向けて賞金加算の為にもう1走使わざるを得なくなったのが痛い。今日が中1週、中山・阪神の両睨みだそうだが、何れにしても長い距離を休みなくに使われるのは馬にとってはシンドいだろう。

スマートロビン

2人曳き。-12kg。気配は何とか許容範囲といったレベルだが、狙い通りの馬体減。もっと絞っても良い位。出脚は一番速かった位だが、ケイアイドウソジンとの喧嘩を避けて2番手。この形でも意外な程我慢して走れていた。2周目4角で後続が突きに来て、この馬自身も手応え有っただけに少し手綱緩めて並び掛けて行ったが、直線向いてからはむしろ突き放されてしまい、それが挽回出来ないままだった。距離が少し長いのか、パワーがないのか、甘さが目に付いた。

ヤングアットハート

冬場はダメという話も有ったが、毛ヅヤが良く踏み込みもしっかり。ゲートも少し悪かったが、出脚も速くなく中段やや後方のイン。これも折り合いは付いていた。2周目4角で行き場がなく、今日の展開ではこの段階で仕掛け遅れという事になるのだが、追ってからもジリジリ。一応、距離にメドは立つ内容だが、ベストではないだろう。デキの良さでこなした感が強い。

ピエナファンタスト

歩様が若干怪しかったが、皮膚を薄く見せて、デキ自体は悪くなさそう。出脚もない馬だが、例に依って後方から。隣に馬が居ると良くないのだが、最後方で我慢して走っていた。直線も躊躇なく大外。この展開の割には来ている方だが、追うと尻尾振って反抗する素振りも。パフォーマンスに影響したとは思わないが、気性面の難しさは見え隠れしていた。

ビートブラック

トモの送りが少し硬い。馬体も良い時の張りを感じさせず。出脚は有る馬でスッと好位。最近は我慢が足らない馬という印象が強いのだが、道中はスムーズに走れていた。乗り役の話では直線で後ろから乗っかられたとの事だが、それを差し引いてもただやはりこういうスローの我慢比べは良くないだろう。今日はデキもなかったが、気性的な堪えが利く様にならないと中々競馬にならない。

トパンガ

-8kg。条件戦時代から馬は良く見せていた。踏み込みも力強い。出脚は有る方だが、この枠でも有り、1周4角では中段。スローという事も有り、早目に押し上げて行ったが、決め手の有る方ではないだけにこの展開では伸び切れない。前でもっと流れての我慢比べにならないと。結果的には外枠も良くなかっただろう。

第46回共同通信杯(トキノミノル記念)(GⅢ)

ゴールドシップ

2人曳き。腹回り少し余裕有ったが、馬に集中力。踏み込みもしっかり。ゲート少し悪かったが、仕掛けて好位のイン。頭を上げるディープブリランテとは対照的だったが、こちらはスムーズに折り合っていた。もう一つ、追っての反応も対照的だったが、こちらの方がエンジン掛かるのが遅いものの、ラスト300mからは確かな脚取りで1馬身3/4差。完勝。直ぐに折り合いが付く器用さを評価出来る。トビが大きいので即中山でとは行かないが、スローの東京なら展開無駄にはしないだろう。

ディープブリランテ

+12s。少し太い。イレ込みも相変わらず。出脚が抜群に速く、誰も行かなかった事も有りハナへ。1000m通過が62.6秒。最初から引っ張り過ぎといえば引っ張り過ぎなのだが、向正面ではずっと頭を上げていた。直線向いて一端は突き放す場面も造ったが、これは単に乗り役が待ち切れなかっただけ。最後に捕まってしまった。ただ、気性面問題有ったとはいえ、2着確保したのは馬の能力。まだこの世代はこの馬が最強なのは間違いないところ。

スピルバーグ

+6kg。未完成感アリアリながら、骨格しっかりしており、大物感は有る。ゲートは五分程度。一瞬引っ掛かりそうになったところで直ぐにブレーキが利いて折り合いはスムーズ。枠の関係で道中も外回され気味だったが、直線向いてからもっと悲惨で、この段階では内ラチから3頭分程度だったにも関わらず、ストローハットが外にヨレて更にこの外、7〜8頭分外になってしまった。これがなければ2着どころか、ゴールドシップとも際どくなっていただろう。賞金加算出来なかった影響が今後どう出るかだが、重賞は楽に勝てる馬。

ストローハット

まだ馬は子供だが、この位落ち着いて歩ければ問題なし。好発も控えて中段。折り合いは少し怪しい程度。何とか堪えていた。追ってからはスッと反応しているのだが、坂を上る際に外にヨレ、上り切って再び内へ。この辺りがまだ子供という事なのだろう。現状は鍛錬不足。もう一つ余談ながら、前走この馬とスピルバーグ相手に完勝だったフェノーメノという馬はそれだけ強いのだろう。1回東京2日目の500万条件を良く見直しておきたい。

コスモオオゾラ

2人曳き。少しチャカつき気味。馬はバランス取れてまとまっているが。ゲートが五分程度だったが、仕掛けて好位。馬群の外に居たが、出した割には折り合っていた。スムーズには立ち回っているものの、追って案外。現状は決め手の差が有る。

エネアド

シープスキンノーズバンド。手先のスナップが利いている。馬は小さいが、バネが有り、歩く姿だけでディープインパクト産駒というのが一発で分かる馬。出たなりで中段から。ただ、向正面で結構行きたがっていたが、3角で一旦内に入れて、直線もインを突く策。この枠としては上手く乗られた方だが、伸びは案外。これも現状の能力差は歴然。

第105回農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

トレイルブレイザー

ベストは480s後半なのだろうが、少し太目。ただ、毛ヅヤが冴えていた。出脚速く、行きたい馬に行かせて3番手。折り合いに不安がなく、内を開けて道中は馬場の良いところを通り、坂の下りでスパート。直線向いて後続に2馬身のリードを最後迄守り切った。好騎乗。以前にも触れた様に、乗り易さが有ってどんな競馬も出来る馬。持ち味を生かし切った。こういう馬は距離延びても問題ないが、ドバイか香港遠征との事。血統背景は有るものの、京都3200mで狙いたい馬だったが...。

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。+8s。数字分だけ余裕残し。物見はしていたものの、しっかり歩いていた。ゲート五分に出て中段のイン。超ハイペースの後だが、意外に折り合っていた。向正面で馬場の良い外目へ持ち出し、トレイルブレイザーが早目に動いたのを見て、追い掛けて行ったが、坂の下りで一瞬モタつく場面。勢い持って4角回れなかった。それでもヒルノダムール相手に2着確保した点は評価したいが、この距離では本来の決め手は出せないのだろう。折り合いは付くのでソツなくは走れる様にはなっているが、ベストは1800m,2000m。

ヒルノダムール

2人曳き。+16s。前走中山戦が細かった為、然程太くは見せず。気配も良かった。乗り役の話では内へ入れたかったとの事だが、それも叶わず後方から。4角からはダークシャドウの後を追い掛ける様に動いたが、そのダークシャドウにも最後は突き放され気味だった。元々この辺りの距離ではイマイチ感の有る馬。トーセンラーにも言える事だが、恐らくあまり力の要る馬場は合わないのだろう。3200mなら乗り易さで何とかなるが、昨年の阪神戦はレコード決着。この点は覚えておいて損はない。

トーセンラー

落ち着いていて、歩様もシャキッとしていた。馬は例に依って目立たずもまずまず。出たなりで中段やや後方。折り合いは付いていた。ダークシャドウをマークして、立ち回り自体は悪くなかったが、4角での反応が鈍く、伸びも案外。コーナーの脚がないのは今更だろうが、直線向いて盛り返す脚がなかったのは残念だった。前述した様に、もっと軽い馬場の方が決め手が生かせそう。

ロードオブザリング

2人曳き。馬は相変わらず負けていないが、歩様の伸びが欲しい。出脚が甘いのは毎度。直ぐに内へ潜り込み、徐々に番手を上げて3角で4番手。上位馬とは流石に決め手の差が有るのだが、ジワジワ脚を使って入着。良く走ったというよりはこの馬が走れる馬場だったという事だろう。この点もヒルノダムールやトーセンラーの敗因を証明している。

ウインバリアシオン

+10s。全体に緩慢。仕上がり途上。この乗り役らしく、行く気なく最後方から。道中も手応え良い様には見えなかったが、4角で一瞬変な格好になり、直線向いてからは乗り役がしきりに後ろを気にしていた。結局故障ではなかったとの事だが、今日は参考外。ただ、仕上がり途上で出て来ると馬は壊れるという基本的な事がこの調教師は分かっていない。万が一が有ったら人災だと思うのだが...。

第47回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

ヴィルシーナ

2人曳き。落ち着いていたが、馬はまだ子供。例に依って出脚自体が速い方ではないのだが、押して2番手。乗り役もブレーキの利きは掴んでいるのだろう、折り合いも直ぐに付いて、1000m通過が62.7秒と超の付くスロー。向正面はまだ流れた方で、コーナーで更にペースが落ち、回り脚が要らない東京で直線向く迄のロスも軽微、唯でさえ前に居る利が有っての決め手勝負となった。最早負け様がない展開に。最高の形になり過ぎた感も有り、能力判定不能だが、近代競馬に向いた馬なのも間違いないところ。

イチオクノホシ

2人曳き。+6s。馬体フックラ。この位ならイレ込みは許容範囲。好発も折り合いに専念して中段。直線向いてヴィルシーナの直後、坂下で少し狭い場面も有ったが、ここはまだ追い出しを待っている段階で問題なく、ラスト400mからの競馬。良い脚を使っているが、前のヴィルシーナも同じだけ伸びており、最後迄差が詰まらなかった。勝ちたければ少しでも前に行けという事だろう。折り合いに少しでも問題が有るとどうしてもこうなってしまうのだが...。

エクセラントカーヴ

2人曳き。イレ込み気味だが、その割には細く映らず。最初から引っ掛かりそうな雰囲気が有り、ジワッと好位。直線向いて一瞬外を狙ったが、行き場がなく、イチオクノホシの通った後から来る格好に。内を回った利は有ったものの、脚は使っている。折り合い付けば重賞も勝てるだろう。堀厩舎は今更ながら戦力豊富。この手の気性難抱えた馬を調整するのも得意としており、今春間に合うかどうかは別にしても、前途は明るい。

プレノタート

-12s。細い印象はない。バランスは取れている。出遅れ1馬身不利。向正面では後方に居たが、ペースの落ちたコーナーで少し動いて中段。直線も大外へ持ち出し、良く伸びている、強いて言えばラスト100mで手前が替わって脚勢鈍った点が課題となるが、それでも中々掻き込みの力強いフォームは目を引いた。ジャングルポケット産駒で、次走中山で飛ぶ場面も有るだろうが、東京なら突き抜けて良い馬。

エミーズパラダイス

2人曳き。-11kg。腹袋はしっかり。手先で掻く歩き方がダート馬っぽいが。出遅れ1馬身不利も、出して3番手。意外に折り合ってリズム良く走っていた。ただ、直線向いてからほぼロスなく来れた筈。脚が有れば3着は有っただろう。上位馬とは決め手の差が有る。あとは芝に慣れてどうかだが...。

オメガハートランド

馬は前走中山戦と変わらずも、キビキビ歩いていた。道中は中段から。内外前に馬が居て、嫌な位置に居た事も有ったが、この馬が一番行きたがっていた。ただ、それを差し引いても伸びが若干甘かったのも確か。前走中山戦のメンバーレベルも疑うべきだろう。

カフヴァール

2人曳き。もう少し全身使って歩いてくれれば文句なしだが、馬振りは最上位。出遅れ1馬身不利。無理せず後方のインから。道中は何とか我慢して走っていた。直線向いて何を思ったか大外。今日の展開では競馬にならなかったが、フォームが良いのと最後迄伸びていた点は評価出来る。恐らく距離はもっと伸びた方が良いだろう。先々走って来る馬。

第62回東京新聞杯(GⅢ)

ガルボ

2人曳き。-4kg。前日追い掛けて狙い通りのマイナス体重。一時より毛ヅヤが良くなって、トモの甘さも解消。出脚は例に依って速いが、無理せず好位のイン。前走中山線は外枠から先行する形になったが、今日は内枠でスムーズに自分の競馬が出来た。折り合い付けて直線内から叩き出されて最後の最後で捕まえてクビ差。コスモセンサーがそうで有る様に、東京よりは中山の方が良いタイプなのだろうが、コスモセンサーよりは東京適性が有りそう。

コスモセンサー

もう一絞り有っても良さそうだが、キビキビ歩けていた。コレという逃げ馬が居らず、枠の利でブリッツェンを制してハナ。1000m通過58.6秒なら逃げ馬としては中々絶妙なペース。向正面から少し離し気味に逃げていたが、直線向いて一旦は後続を突き放す場面。一瞬はやったかの場面だったが、坂を上がってかなり苦しくなったのか、左手前になってしまったのが痛かった。この分粘りを欠いて最後ガルボに捕まってしまった。それでもこれが東京芝7戦目にして初連対。新潟でもサッパリの競馬が有り、ガルボの項でも触れた通り、基本的には直線の長い左回りは向かない筈だが、目下連勝中の馬。デキは良いのだろう。

ヒットジャポット

迫力がないのは元々だが、手先が硬いのが減点材料。今日は何故か出脚サッパリで後方から。直線向いてから外へ持ち出したものの、坂下で既に左手前に戻っていたが、その割には真っ直ぐ走っていた。前走中山戦後、乗り役が左回りの方が向くという話をしていた様だが、まさにそれを証明した格好。同じ3着でも今日の展開と馬場状態なら納得だろう。気の早い話だが、今秋同条件で狙い目に。

フミノイマージン

2人曳き。+8kg。トモのボリューム感は牡馬相手でも互角以上。好調期間長い。例に依って出脚が速い方ではなく後方から。直線向いても最後方でそのまま馬群へ突っ込んだが、右往左往する場面が有った。真っ直ぐ伸びていれば3着有っただろう。セックスアローワンスを考慮すれば牡馬より2s重い状態でこの結果。先週の京都戦は斤量面でもっと背負わされるので苦し紛れに牡馬相手に使う形となったが、却って地力の高さを示してくれた。アパパネ,アヴェンチュラは居るが、今春東京戦は本命に推す手も。

ダノンシャーク

2人曳き。これだとイレ込み過ぎ。デキは変わらず良いが。出遅れてしまい最後方から。今日の気配では折り合いに不安が有り、前にも行けずこの位置で折り合いに専念。直線大外からジワジワは来ているが、上がりも速くここ迄。重賞でも通用する馬では有るものの、抜けた馬ではなかったという事だろう。前走京都戦も悪かったが、まずはゲートを五分に出ない事には。

フレールジャック

2人曳き。初コースで物見するのは仕方がないところ。デキは問題ない様に見えたが。出たなりで折り合いに専念して中段やや後方。一応我慢して走っていた様には見えたが、直線向いて伸びずバテず。競馬に飽きている様な負け方。暫く掛かりそう。

サダムパテック

今日は張りがなかった。昨年はもっと馬を大きく見せていた筈。これも中段でかなり引っ張っていたが、追ってからがサッパリ。フレールジャック以上に状況は深刻に映る。一度立て直した方が良いだろう。

第52回きさらぎ賞(NHK賞)(GⅢ)

ワールドエース

2人曳き。ディープインパクト産駒にしては腹袋がしっかりして、馬を大きく見せる。出脚有りそうだったが、無理せず中段やや後方。1000m通過が61.7秒のスローだったが、上手く我慢して走っていた。今の馬場状態なら最初から内へ入れる気はなかった様で、直線も躊躇なく大外へ。ベールドインパクトがマクりに行って比較的前との距離が近かった分は有るのだが、それにしても200m手前で既に抜け出していた。完勝。回転数,飛距離と両方兼ね備えているタイプ。文句なくGⅠ級。

ヒストリカル

無駄肉のない造り。ディープインパクト産駒らしさは有る。ゲートは出ているが、出脚がなさそうで後方から。これも道中は上手く走れていたが、4角で内外迷って結局ワールドエースの後追いの形。これでは勝つ迄は難しい。ただ、こちらの方が回転数が有って、一瞬の決め手だけなら互角以上だろう。現状はコーナリングに少し怪しさを残しているものの、上手く立ち回れる様になるならこれもGⅠに手が届いて良い。

ベールドインパクト

2人曳き。背丈が高く見栄えする分も有るが、馬の雰囲気はこれが断然。ただ、まだ緩い。少し仕掛けて好位。外枠で前に馬が居なかった影響も有るのだが、乗り役もスローを我慢し切れず4角先頭。切れる後続に展開造っただけだった。乗り役の話では硬い馬場を気にしたとの事だが、競馬が強引過ぎた。まだフォームが全身使い切れておらず、取り敢えずはこの馬自身も成長待ちの段階。

ジャスタウェイ

+4s。相変わらず緩さの残る馬体。胴長の造りは中々好素材に見えるが。急かさずこの馬の出脚で中段から。少し行きたがっていた。直線内を突いてジワジワ来ているが、ラスト200m辺りから内にモタれていた。現状はデキの問題も有るだろうが、上位馬とは規格が違うのも確か。

ローレルブリット

毛ヅヤピカピカでデキは良いのだが、相変わらずチャカつく。誰も行く馬が居らず、押し出されてアルキメデスが行き、その外2番手。抑えの利かない後続が坂の下りで動いて来て、抵抗せざるを得ない展開に。スローで前に居たにも関わらず、数字以上にキツい展開になってしまった。今後も見越す必要も有り、この時期は3歳戦は中々難しいのだろうが、当座の結果だけを言えば何処かで出て行くべき。

マジカルツアー

馬体はまだ薄いが、スナップの利いた歩様。ゲートをスッと出られなかった影響も有って、中段から。折り合いはスムーズに付いていた。4角の段階ではワールドエースの1頭分前に居たが、直線の脚だけで1.3秒チギられた。完敗の内容。ただ、ローレルブレットやスノードンとの比較から500万は楽勝だろう。競馬が下手ではなさそうな点も強調しておきたい。

第46回小倉大賞典(GⅢ)

エーシンジーライン

+6s。踏み込みしっかり。毛ヅヤも中々。高値安定。好発。押してハナ。2角辺りからオースミスパークが並び掛けて来て、全体が締まった流れになったのだが、そのオースミスパークが4角手前で止まって、後続との距離が出来、一瞬でも息を入れられたのが大きかった。Cコース替わりで差し一辺倒ではなくなった馬場状態、直線内2頭分程空けて一杯一杯粘り切った。これが重賞初制覇となった川須騎手だが、行き切ったのが最大の勝因。戦前から触れていた様に、この馬自身もこの相手なら差はなかった。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。骨折で1年以上の休養も有ったが、前走辺りから本調子。トモの張りが目立つ。小倉1800mは元々1角迄の距離が短い上に、ハナへ行こうとするエーシンジーラインに対してビッグウィークが抵抗、出脚のないこの馬でも何とか中段。ずっと内を回って、4角では逃げたエーシンジーライン以外が横一線。コーナーではかなりズブさを見せていたが、上手く内も開いた。直線は間にトップゾーンを挟んでコスモファントムとの併せ馬、一追い毎に伸びて2着浮上。上手く行っての2着だからこの馬が重賞勝つ事は今後もないだろうが、展開向けばこの位やれるのも当然。

コスモファントム

+4kg。ここ迄来ると本当に太い気もするのだが...。行く馬が決まっていた組み合わせで、内の出方を眺めながらジワッと好位。道中は問題なく、4角手前から動いて、スムーズに運べたが、追ってからがもう一つ。エーシンジーラインに上手くやられた感も有るのだが、ちょっとダラしない印象も受けた。ハンデと一枚太い影響と両方有るのだろうが。今後は絞れないと手が出し辛い。

ダンツホウテイ

オーストラリアンブリンカー。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤは目立った。デキは良さそう。出遅れ1馬身不利。外枠でも有り、無理出来ず後方から。基本的には先行するタイプだが、この位置でも折り合っており、3〜4角から外を徐々に進出。外から良く差して来ているが、今日の馬場ではここ迄。ただ、次走即狙い目とも行かない。エーシンジーラインのペースが好位勢に少し厳しい流れになっており、その分差して来た面が有る。

ブロードストリート

+4kg。少しチャカつく場面は有ったが、この馬にしてはフックラ見せる。これも出遅れ1馬身不利。こうなったら腹括るしかないのだが、4角で行き場をなくなったのが痛かった。苦し紛れに外目へ行ったがものの、前が開く迄暫く待たされて思い切り追える状態になったのはラスト150m程。かなり脚を余してしまった。次走は引退の話を撤回して中山戦だそうだが、コース形態考慮しても限定戦なら充分圏内。

ダノンスパシーバ

気合は乗っていたが、腹回り見ると緩い印象も。この枠でも有り、無理せず中段から。スムーズはスムーズだったが、馬群の一番厚いところでずっと外を回されてしまい、直線は対して伸びなかった。掲示板外したものの、大きくは負けておらず、言い訳は有る。

オースミスパーク

馬は目立たないが、柔らか味の有る歩様。出脚自体は勝っているが、枠の分エーシンジーラインがハナへ。スローでも良い事はないので、エーシンジーラインへ積極的に突いて行ったが、4角でこの馬自身が一杯になってしまった。やはりハナへ行かないとダメ。

エクスペディション

煩かったが、数字の割に馬体は迫力有る。意外に出脚は負けていなかったが、行く馬に行かせて中段。ただ、コーナー回る脚がなく、直線向いても全く伸びず。昨夏の小倉戦はマクるレースも見せていただけに案外の内容。下見は悪くないが、気性面?

近代競馬150周年記念 第26回根岸ステークス(GⅢ)

シルクフォーチュン

+6s。イレ込みがちの馬だが、今日は堪えていた。馬体にインパクトがないのは仕方がないところ。この馬にしてはゲート出ているが、例に依って最後方から。直線も躊躇なく大外に持ち出して、11年前のブロードアピールを彷彿を思い出す回転の利いた追い込み劇を披露した。お見事の一言。前述した様にゲート出て、早く流れに乗れたのも大きいだろう。この辺りはデキの良さの証明でも有る。1600mで同じ脚が使えるかどうかは疑問も有るが、トランセンド出走で好位勢追っ掛けバテの展開なら連は十分。

トウショウカズン

腹袋は目立って不格好ながら、馬はここでも負けていない。出脚でスッと1馬身抜けたが、タイセイレジェンドが行って好位のイン。道中は折り合っていたが、直線向いてから外にモタれ気味。タイセイレジェンドとちゃんと併せ馬出来ていればもっと楽に2着確保出来ただろう。人気はなかったものの、前走オープンで勝っており、通用して当然の馬だが、左回りが少しネック。現状は右回りの方が良い。

テスタマッタ

途中から2人曳き。馬体は迫力充分。イレ込みも何時ものこの馬。ゲートソロッと出して後方から。向正面では我慢出来ていたが、3角から急に掛かり出して宥めるのにかなり苦労していた。それでも力で差し込んで来たが、折り合っていれば突き抜けていたのは確実だった。斤量背負っている中で、相変わらずパワーを見せ付けているが...。とにかくもどかしい。

タイセイレジェンド

もっと絞っても良い位だが、相変わらず歩様が頼りない。アオる様に出てダッシュが鈍った事も有り、スタート直後は行く気なかった様に見えたが、抑え切れずにジワッとハナ。外から行っている分、リズム良く走っていた印象。最後は瞬発力の差が出たにしても、自分の力は出し切った。1200mは少し忙しいのだが、行きたがる気性から1400mもベストなのだろう。今週から復帰だった内田博幸騎手、レース勘は鈍っておらず臨機応変に乗った。

ダノンカモン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。気配は絶好。馬体も目立った。出脚は悪くなかったが、外から来られた時に無理せず好位直後を追走。決して位置取りとしては悪くなかったが、4角で捌くのに手間取り、前が開いた時には既にシルクフォーチュンやテスタマッタが抜け出していた。一言で片付ければ捌き損ね。ただ、乗り役の話では久し振りに砂を被って、窮屈な競馬をあまりして来なかったとの事。この経験をバネに本番変わってくれれば。

セイクリムズン

-5s。昨年の張りがない。気配が乏しいのも減点材料。中段の外をジワッと追走。終始外々回されたとはいえ、更にその外のテスタマッタに無抵抗で交わされてしまった。昨年の気配にない。暫く見送り。

ヒラボクワイルド

腹回りボテッと映った。イレ込みは毎度と言えば毎度だが...。行く気なく後方から。砂を被るのを嫌がっていたのか、向正面から頭を上げており、4角で既に一杯。揉まれ弱さが有りそう。

第47回京都牝馬ステークス(GⅢ)

ドナウブルー

+8kg。もっと増えても良い位。踏み込みがとにかく力強い。ゲート悪かったが、押して中段。内外に馬が居て、結構窮屈だった筈だが、嫌気も出さず折り合って走っていた。コーナー早目に動いて直線向いた段階では先頭。斤量利も有っただけに、もう少し突き放して欲しかったのだが、折り合いクリアしているのはかなり大きい。気性面気にせず鍛えて行けばもうワンランク上が有るだろう。

ショウリュウムーン

まあまあ程度。前走からの上積みはない。出たなりで好位。強気に乗ったドナウブルーとは対照的に直線迄内でジッとして末脚に賭ける策。上手く乗られた様に思うのだが、斤量差も有れば、この馬自身瞬発力がそこ迄鋭くない面も有るだろう。堅実は堅実だが、ワンパンチ足りないのも確か。

アスカトップレディ

雰囲気は前走の方が良かった。今日は若干緩さも感じさせる造り。ゲート五分に出て中段から。道中は折り合ってスムーズだった。直線向いてもしっかり伸びているが、少なくともショウリュウムーンとは内外の差も有っただろう。ただ、牝馬限定重賞なら賞金で除外される事も少なく、斤量面でも苦しくならずで、馬主としては悪くない3着。何れにしてもこの辺りの相手なら堅実。

ビッグスマイル

トモの丸みが目立ち、デキは良さそう。気配も中々。出脚サッパリで後方から。道中の行き振りは悪くなかったが、4角で動くに動けず、直線入口でも右往左往の場面。思い切り追える態勢になってからの脚は強烈だったが、着差が着差だけに勿体ない。今日は乗り役のミス。

クィーンズバーン

イレ込み気味。馬体も少し細く映る。戦前の想定通りハナ。1000m通過が58.9秒。良いペースで走れており、直線も渋太く粘っており、大きく負けた訳ではない。準オープンの馬でこれだけ走れれば上等だろう。イレ込みさえ直れば重賞でも通用する筈。

レディアルバローザ

一息入ったが、八分程度の仕上がり。少し緩さも残っていた。この馬の出脚で中段から。ずっと馬群の中に居た影響も有るのだが、4角でゴチャついて後方に下がる場面。これが痛かった。最後は盛り返しているだけに尚の事惜しい。今日は参考外。

コスモネモシン

+12s。馬体に張りが有るのでデキは良いだろうが、数字通り太い。スタート直後にクィーンズバーンと接触して躓いたが、仕掛けて好位。最近はズブくなっていると前走小倉戦で触れたが、下見からイレ込み気味で、更にこの接触でむしろ引っ掛かっていた。これでは競馬にならない。これも参考外。

第17回シルクロードステークス(GⅢ)

ロードカナロア

相変わらず馬は抜けた印象を受けない。今日の方が踏み込みは良くなっているが。例に依って出脚は抜群に速いのだが、外にヘッドライナー、更にエーシンダックマンが行って、何時の間にか中段から。Bコース替わりで差しは利いていたものの、位置取りを悪かった感も有ったのだが、直線外へ持ち出してからは一気の伸び。何時もは出脚の良さで有利な展開に持ち込んでいる印象も強かったのだが、今日は単純に力が違った。この勢いなら中京戦も当確だろう。

エーシンダックマン

毛ヅヤ一息なのは時期的な面も有ろう。歩様には問題なく、近走の状態を維持。戦前の想定通りハナ。ヘッドライナーやロードカナロアを叩く格好になって少し脚を使わされたが、600m通過34.1秒なら上手く運んだ方だろう。4角少し早目に仕掛けて突き放す態勢は造ったものの、外からロードカナロアが一気に駆け抜けていた。2着死守したのは立派nながら相手が悪過ぎた。ただ、乗り役がボヤいていた通り、オープン特別勝ちの馬に57sは見込まれた感も。56sが妥当なところだと思うのだが。

ケンブリッジエル

オーストラリアンブリンカー。歩様は頼りないが、毛ヅヤが抜群に良かった。走られて納得。ゲートは速く、もっと行ける馬だが、ロードカナロアマークで下げて中段やや後方。コーナーでは慣れぬ競馬で少し戸惑っていた様にも見えたのだが、エンジン掛かってラスト150mの伸びが光った。ハンデ差は考慮する必要有るものの、決してフロックではない3着。脚は持っている。

ツルマルレオン

+12kg。毛ヅヤは悪くないが、数字通り全体に余裕残し。ゲートをポコンと出て、ダッシュ付かず後方から。ただ、行き振りは良くて、3〜4角中間ではむしろ引っ張り気味だった程。直線大外から手応え通りに伸びている。次走引っ掛かる危険は有るのだが、馬体絞れれば重賞は勝てる馬。

グランプリエンゼル

+10kg。馬体増は良い傾向。しっかり踏めており、この馬の冬場にしてはかなり良いデキ。出脚が若干鈍かったが、少し出して中段。徐々に番手を上げ、4角で好位に取り付く形。直線でロードカナロアにやられたのは仕方がないにしても、最後の一踏ん張りに欠いて馬券圏内外してしまった。この相手なら差のない馬だが、コーナーで脚を使い過ぎた気も。

エーシンヴァーゴウ

+8s。腹回りが緩い。数字よりも出来ていない印象。半馬身程出負けしたが、出脚で好位。ゲート出ていれば違っただろうが、同馬主エーシンダックマンの存在も有って、控えたところ馬がムキになってしまった。それにしても負け過ぎ感は有るのだが、休み明けでデキがなかった現状では仕方がないところだろう。叩いての良化待ち。