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競馬回顧 2007年2回京都・1回東京

フェブラリーステークス(GⅠ)

サンライズバッカス

前走京都戦の際にも述べたが、元々が細手に映る馬で、これ位の数字で丁度。叩いた効果で張りや毛ヅヤも良化している。半馬身程出負けしたが、自分より外枠の馬が全部、そして自分より内枠の3頭も前へ行って、帳消しになって中段。昨年のカネヒキリもそうだったが、勝った馬が一番スムーズな競馬になった。距離が延びると、気持ちが続かなくなるので、距離短縮も良かっただろう。馬体の印象から、本格化した可能性も有るが、一応距離延長はネガティヴファクターとして捉えておきたい。

ブルーコンコルド

+8kg。デキそのものは良いが、一枚重い分、造りにメリハリが無い。ゲートは出ているが、外枠の馬に叩かれて、枠なりに走らせている間に、サンライズバッカスにも来られて結局は後方。左回りは内にモタれる癖が有るそうで、成る程今日もそういう癖を見せていたが、終いはサンライズバッカスと同じ脚で上がっている訳で、結局は道中の位置取りの差。枠が悪かった分も有るが、戦前述べた様に、幸騎手は多頭数の捌きが下手。

ビッググラス

今日は馬に集中力。歩様にも伸び。デキの良さも相変わらず。出脚有る馬だが、大外のトーセンシャナオーが行った事も有って、好位で控える形。早目に前へ並び掛け、坂上で一旦抜けようかというところで、脚の違うサンライズバッカスが既に来ていた。どうやっても上位2頭には適わなかっただろうが、前走で闘った相手は全て負かしたのは立派。

カフェオリンポス

もう少し馬を大きく見せて欲しい。ただ、この馬にしては歩様がスムーズ。出脚で差が有って、道中は中段。直線向いて一瞬立て直す不利が有り、これが無ければ3着だった筈。ムラ駆け傾向の馬だが、目一杯でもGⅠ入着級。まして今年はカネヒキリにアロンダイト、そしてフラムドパシオンも居ない。交流戦の忙しい競馬も向くとは思えず、オープン特別で少々警戒といった程度で良いだろう。

フィールドルージュ

2人曳き。集中力有って、馬の造りも悪くない。ゲートは出ているが、出脚で置かれてほぼ最後方。良馬場ならまだ良かったが、この馬場でこの位置では流石にキツい。ブルーコンコルドがそうだった様に、今日は中枠にキツい競馬になってしまっただけに、尚更だった。今後も出脚が課題に。

サカラート

-8kg。連闘。煩いが、活気が出て来たと捉える事も出来よう。馬体に張りも出て、近走では一番良い状態。スタート直後から全く急かす事無く、馬任せで中段のイン。ジワジワとしか伸びていないのだが、時計勝負で良いタイプでは無いだけに、仕方が無かろう。下見の気配は持ち直していただけに、交流戦ならば。

シーキングザダイヤ

+8kg。数字そのものは戻っただけだが、それでも全体に緩慢。何度も述べている様に、今季はデキが無い。出脚良い馬だが、これも外から来られている間にサンライズバッカスと同じ位置。この分の差が有るにせよ、直線は案外だった。乗り役の技量と出脚で誤魔化して来たが、遂にボロが出た。

メイショウトウコン

馬格は無いのだが、トモの張りは目立ち、良い状態を維持。出負けして後方。外を回した分も有るが、それにしても伸びていない。馬場の分が有るにしても、これもシーキングザダイヤ同様に負け過ぎ。あまり上がりの速い競馬は合わないのだろう。

アジュディミツオー

2人曳き。-9kg。万全とは思わないが、良い時の雰囲気はそれなりに戻って来た。見た目には走れる状態。ゲートは出たが、出脚が無くて好位がやっと。ただ、行ってナンボの馬とはいえ、追い出してからは頭が上がり、直線はサッパリだった。出負けした昨年の方がまだ内容に見どころが有った。デキの問題も有るが、メリハリの無い競馬は合わない。

農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

アドマイヤムーン

2人曳き。+12kg。今日は落ち着いていた。ただ、もうちょっと馬に重量感が有っても。外のマイソールサウンドとトリリオンカットが行ったが、立て直して中段。59kg背負って道悪、何時でも動ける位置に居て、早目早目のスパート。そうはいっても、直線手前が替わらなかった様に、楽ではなかっただろう。ただ、昨年初っ端の東京戦の際に述べた事と反対になるが、武豊騎手がこの策を採れるという事は有る程度自信が出て来たのだろう。距離はギリギリだろうが、瞬発力だけの馬では無くなってきた。

ポップロック

+12kg。馬に集中力。多少重いだろうが、筋肉が付いた分も有ろう。良い方向に向いて来た。ゲートが悪かったのも有ったが、馬場が悪いのを嫌ってスタート直後から位置取り構わず外へ。ただ、道中も変なところに居たが、4角でも内外に馬が居て、競馬が後手に回ってしまった。それだけに今日は力量見せた一戦。前走中山戦2着を額面通り受け取って良いだろう。次走ドバイ遠征だそうだが、有望。

トウショウナイト

-10kg。悪くないが、昨秋はもっと良く見せていた。ここに来てデキ落ち。外枠の馬が行ったが、出脚で上手く立ち回って好位から。4角アドマイヤムーンを待ってから追い出したが、最後は地力の差が出た。道悪という事で妙に売れていたが、最近はパフォーマンスに差が無い。

エアセレソン

2人曳き。+16kg。イレ込んでいたが、馬体はもっと増えても良い位。ただ、デキが有りそうなのは確か。枠なりに出して好位のイン。下見のイレ込みは相当だったが、道中も多少力みが有った。最後は器の差だけで、今日は最高の競馬が出来た。この日特別2連勝だったデムーロ騎手、昨年はサッパリだったが、今年は一味違う様子。

スウィフトカレント

2人曳き。+14kg。休養前はギスギスしていた印象が有っただけに、気持ちに我慢が利く様になったのが大きい。その気になれば出脚有ると思うのだが、折り合いが有るので、出さずに中段のイン。今日は気持ちが有った分、この馬にしてはこれでもマシな方だが、やはり掛かり加減。そういう気性だからあまり外へ回したくないのだろう。その分、馬場の悪いところ通る形になってしまい、伸びを欠いた。しかし、復調気配は有った。インの利く馬場で改めて。

デイリー杯クイーンカップ(JpnⅢ)

イクスキューズ

この馬にしては落ち着いている。ただ、もう少しトモの送りにスムーズさが有っても。外枠の馬にコスられた分も有ったが、出脚というより行きたがって3番手から。ただ、3角迄には折り合い付いた分、終いが残っていたのだろう。勝てたのはあくまで相手関係。競馬に進歩が無い。新装阪神は前へ行ってこそのコース。折り合い課題の馬は、出せない分、良い位置を取りに行けないのが。

カタマチボタン

珍しく煩いのが気になったが、毛ヅヤは良く、デキ自体は良い。直ぐ外のイクスキューズが引っ掛かったが、一瞬連られた以外は折り合いスムーズ。ずっと前を射程圏に捉え、一瞬は勝ったかのシーンも、直線手前を盛んに替えて、4角の勢い程の伸びが無かった。レースセンスは有りそうだが、今日はほぼ完璧な競馬だっただけに、この相手で勝てない様ではGⅠは遠い。

ハロースピード

シープスキンノーズバンド。例に依ってチャカつく。細手の馬で、増えるのは良い傾向だが、輸送が無くなった分も有るだけに。また出負け。内を通って徐々に番手を上げ、直線も外へ出さず、バラけた間を縫う形。それなりには伸びて来ている。新潟戦のイメージが強烈だが、トビが大きく、この距離でも短いだろう。阪神よりは東京で。

ジョウノガーベラ

冬毛が出ていたのか、トモだけ毛を刈る。デキが良いとは思えない。ただ、雰囲気そのものは悪くない。道中は中段のイン。スローにも関わらず、行き振りが悪く、オッツケ気味。直線は直線で、伸びてはいるのだが、内にモタれ気味。競馬がチグハグ。デキが無いのだろう。

ローズオットー

-12kg。気合は良いが、腹が巻き気味。ゲートも悪かったが、出脚が更に無くて後方。直線は外へ。最後それなりの脚で詰めているが、それよりも出脚が課題。馬体減も良くない傾向。

クラウンプリンセス

-12kg。馬体減も痛いが、それ以上に歩様が落ちて来た。特に左トモが付いて来ない。珍しく好発。そこからは何時も通りに下げて直線は大外。直線半ば迄は伸び掛かっていたが、そこで止まってしまった。これも馬体減が課題に。

きさらぎ賞(JpnⅢ)

アサクサキングス

2人曳き。馬振り目立つ。トモの張りも良い。好発。出して行ってハナへ。2番手のサムライタイガースが控えて、楽逃げになった分が大きいが、前走阪神戦の際にも述べた様に、追っての脚が甘く、この競馬の方が合っている面も。これで手の内がバレたのが痛いといえば痛いが、馬振りからすれば今日の上位4頭は、例年ならGⅠ級だろう。これらにフサイチホウオーを含めた5頭が今年の主役。出脚が甘いので、展開に左右される嫌いは有るだろうが、前半楽出来れば大仕事も。

ナムラマース

2人曳き。気配絶好。造りも良化していたが、歩様が落ちて来た。ここに来てデキが落ち加減。出負け気味に出て、結果的にオーシャンエイプスをマークする格好。4角モタつくのはすっかりお馴染みになってしまったが、そこ迄もリズムが悪かった。最後の脚は確実に本物なのだが...。厩舎技量が課題と何度か指摘しているが、乗り役の選択も悪い。馬を動かすタイプの騎手よりは、馬に負担を掛けないタイプのそれを。

サムライタイガース

2人曳き。馬振りは断然だが、もう少し歩様に力強さが欲しい。スタート直後にアサクサキングスを追い掛けそうになっていたのを宥めて離れた2番手。結果的にアサクサキングスに楽をさせてしまった面は否めないが、これは当然責められない。芝の切れ目で逆手前になったが、早目に来たオーシャンエイプスを競り落としたのだから立派。ナムラマースにやられたのは序盤のロスの分。折り合い面も、向正面半ばではスムーズだっただけに、乗り方一つだろう。出脚も有りそうで自在な競馬が可能。中山向き。

オーシャンエイプス

戦前にも述べた様に見栄えのする造り。手先のスナップが利いている。アオる様に出たのを立て直して中段。折り合いが怪しいのか、馬群と離して乗っていて、仕掛けも早目早目。最後はそこ迄の馬では無かったという事になるだろう。ただ、アサクサキングスの項で述べた様に、ここ迄の4頭は例年ならGⅠ級。レース後ソエが出たそうで、それを立て直して、更にトライアルをメイチで行かねばならないのがどうかだが、相手も悪かった。

オーシャンクルーズ

-8kg。馬体減関係無く、歩様に力が無い。ゲートは出ているが、スタート直後に躓き掛けた事も有って、最後方から。逃げ馬が勝つ展開になったとはいえ、有力馬を見ながら競馬出来たが、直線の脚で見劣った。上位とは差が有るが、今日は相手が相手。格落ち戦で意外に狙い目になりそう。

ダイヤモンドステークス(JpnⅢ)

トウカイトリック

-6kg。毛ヅヤが良く、デキ絶好。ただ、歩様が落ち気味。半馬身程出負け。出脚も無くて後方から。そのままインで我慢して、直線勝負。坂上迄左手前のままだったが、坂を上がって右手前に替えてもう一伸び。この位の相手なら力が違っていて、今日は完勝。話は変わるが、この馬こういう風の強い日に強い。長距離適性もそうだが、余程精神面が強いのだろう。厩舎技量の成せる業。

エリモエクスパイア

オーストラリアンブリンカー。気配地味なのは何時も通りだが、距離を思うと馬が立派過ぎる。歩様も硬目。出脚は普通で、中段に居たが、行きたがったのを無理に抑えずに1周目の決勝線辺りで3番手へ。徐々に差が縮まって2周目4角で前へ並び掛け、坂上では一旦抜け出しているのだが、最後にトウカイトリック。相手が一枚上手だった。

アドバンテージ

シープスキンノーズバンド。手先の柔らかさも有るが、馬振りで上位と差。思い切ってハナの筈が、リキサンポイントが行って2番手。この分、前を追い掛けそうになっていた。坂を上がって脚も上がったが、前半のロスが無ければもう少し差の無い競馬になっていた。ただまあ、トウカイトリックなら絶対にそうならない訳で、それこそが長距離適性の差なのだろう。

バイロイト

-8kg。スカッと見せる様になって来た。トモも張っているが、多少歩様に硬さが。2頭スッ飛んで行ったのが居たが、出脚で好位から。この馬自身はスムーズに立ち回っていたが、エリモエクスパイアやラヴァリージェニオが来て、リズムを崩されるシーンが二回。ただそれ以前に、前走京都戦の快勝でハンデが見込まれていたのが痛い。このハンデならこんなモノ。

ラヴァリージェニオ

気配自体は良いが、張りがもう一つ。序盤は中段に居たが、2周目向正面辺りから徐々に動いて、4角では先段へ。直線追い出して頭が上がっていたが、それでもバテずにここ迄。能力差は有るが、スタミナは有る。

アドマイヤフジ

歩様伸びていて、今季決してデキ悪くない。出脚悪くなく中段。内に入れるシーンが殆ど無かったのが痛いといえば痛いのだが、直線サッパリだったのは意外。デキの問題では無いと思うのだが、距離が長いか。

シルクロードステークス(GⅢ)

エムオーウイナー

ここへ入っても最上位に近い馬。歩様に伸びが有ったのも好感が持てる。出負け気味だったのを出脚で立て直して好位。センター枠に先行馬が揃い、前半もっとゴチャ付くかと思ったのだが、意外に前がバラけて、揉まれ弱いこの馬には好都合の展開に。直線苦しがって手前を盛んに替えていた様に、展開がハマってこの時計で走らされた様な印象も。次走は当然危険。

タマモホットプレイ

多少余裕残しの造りだが、この馬にしては歩様がスムーズ。毛ヅヤも悪くない。ゲート出たが、出脚が無くて中段やや後方。前走同様、インに拘っての競馬となったが、変わらず馬群を割って来る脚はしっかりしていた。前に1頭居たのは、前走と相手が違ったという事だろう。京都の1200mは走る。

ビーナスライン

+8kg。歩様も含めて決して悪いとは思わないが、良い時はもっと良く見せていた気も。外枠でどう乗るかが課題だったが、枠なりに出していって、4角アンバージャックが内から張り気味に来た以外は、中段で結果的にそれ程外を回されずに済んだ。ただ今日はそれ以上に楽をしていた馬が2頭居たという事。勝ちに等しい内容。好調期間が長く続かず、賞味期限には疑問の余地も有るが、昨夏に何度か述べた様に、結構強い。

アンバージャック

何時も通りの硬い歩様。造りは悪くないが。出脚で差が有って中段のイン。4角でビーナスラインを内から張って追撃態勢造ったが、そこからが案外。結果的に仕掛けが早くなった嫌いも有るのだが、少なくとも追い負けたビーナスラインよりは弱い。過大評価は危険。

サチノスイーティー

-8kg。多少ギスギスして来た感も有るが、十分に許容範囲。決して悪くない。気配も良い。もっと行けるのかと思っていたが、ディバインシルバーのゲートが速く、これに譲って好位から。4角コスモフォーチュンを捌き損ねた分も有るのだが、それにしてももうちょっと伸びてくれても良かった。僅差では有るのだが、デキ落ちの嫌いも。

コスモシンドラー

前走よりは馬が張っている様に映るのだが、やはり一枚重いだろう。ゲートは出たが、出脚が無くて後方から。4角それなりには捌いているのだが、外から差し切るには上がりが速過ぎた。最後は際どいところ迄詰めていて、上位馬とは能力差無いと見て良い。あとは出脚だけ。

スピニングノワール

+8kgは気にならないが、毎度の事とはいえ、歩様が硬い。出脚も無いのだろうが、スタート直後に無理せず後方から。4角で一番外を回されてしまっては話にならない。参考外。

共同通信杯(JpnⅢ)

フサイチホウオー

2人曳き。+10kg。シープスキンノーズバンド。馬体で圧倒。気配で余裕。出脚が云々というよりは、スタート直後から行きたがるのを宥めて中段の形も、前に馬を置いてそこからは折り合い付いた。直線も大事に乗って外へ。ただ、今日はここからが頂けない。坂上で逆手前になり、内からフライングアップルが併せに来て、内へモタれて恐る恐る追う形になってしまった。まあそれでも完勝は完勝なのだが、今日の相手でこれでは先々が厳しい。

ダイレクトキャッチ

2人曳き。気配が素晴らしく、馬を良く見せる様になって来た。トモの張りも、むしろ目立つ位だが、イマイチ歩様が頼りない。例に依って後方、というよりは徹頭徹尾フサイチホウオーをマーク。従って、これも4角大外から。歩様に力が無いからエンジンの掛かりが悪いのか、単純にトビが大きいだけなのかは微妙なところだが、ジワジワ伸びて最後はクビ差。悪くない内容だが、この馬の器で重賞勝ち切るとなると器用さが欲しい。

フライングアップル

2人曳き。頭の高いのも解消されて、馬を大きく見せる様になって来た。ここに来ての成長急。出脚良く好位から。3角手前でノワールシチーが外から行ったが、それにも連られる事無く折り合いスムーズ。ただ、直線苦しがったのか、逆手前になり、それならとフサイチホウオーに併せて行ったが、競り落とされてしまった。東京で真っ向勝負になると流石に苦しいが、器用さは有るので中山なら。

ニュービギニング

2人曳き。下見の気配は案外良かったが、トモが甘いのを頑張って歩いている様な歩様。ゲートむしろ速かった位だし、出脚も無い訳では無いと思うのだが、出さずに最後方。直線も枠なりにインを突いたが、伸びずバテずでここ迄。現状はフライングアップルと五分程度の能力。一瞬の脚が欲しい。

インパーフェクト

2人曳き。気配は良いが、造りにメリハリが欲しい。出負けして後方から。4角フサイチホウオーの内へ併せに行ったのだが、一瞬で離され、仕方無しにダイレクトキャッチへ併せに行ったが、こちらも一瞬で離されてしまった。上位とは性能差明らか。

フリオーソ

2人曳き。胴長の馬で、芝適性を評価されたのだと思うが、まだトモが付いて来ない。出脚は良かったが、そこからがずっと追っ付け気味。4角では既に圏外だったが、それでも最後盛り返しての6着。初めての芝に戸惑ったという事になるのだろうが、馬自体が足りない気も。

小倉大賞典(JpnⅢ)

アサカディフィート

何度も述べている様に、今季は歩様に硬さが無いのが良い。馬体も張っていて、デキだけならコレ。今日もゲート五分。出脚では差が有るので、そこからは置かれ加減になるのだが、外枠勢が結構果敢に行って、その結果馬群が詰まって、道中それ程離されずに行けた。4角も上手く捌いて、逆手前のままで圧勝。繰り返しになるが、今季のデキは本物。実力的にも勝って当然という事になるのだが、今日は展開面も相当利いている。

エイシンドーバー

-6kg。もう少し歩様に力強さが欲しい。全体の雰囲気という点でもイマイチ。昨年の方が確実に良かった。内に居たスズノマーチが邪魔で、位置取り決まる迄が縺れたが、上手くやり過ごして好位のイン。道中も折り合い付いてソツ無く、一旦は抜け出しているのだが、アサカディフィートがそれ以上に上手く立ち回った。デキが万全で無かったのも応えているだろう。今日の競馬でこれだと次走は厳しい。

マヤノライジン

2人曳き。+10kg。気負い気味だったが、それよりも馬体増の割に細く映るのがどうか。テイエムプリキュアに誘導される形で好位。そのテイエムプリキュア目掛けて、早目勝ちに行く競馬になった分も有るが、エイシンドーバーとは力量差有りそうなやられ方。これも次走危険。

ナスノストローク

もうちょっと馬体に張りが欲しいのだが、まずまずのデキ。歩様もスムーズ。行く気も無さそうだったが、出脚も無くて後方から。直線も思い切って馬場の良い一番外へ。アサカディフィートの項で述べた様に、馬群が一団になって追い込みの競馬になった分の入着。これも過大評価はどうか。

フォルテベリーニ

シープスキンノーズバンド。馬に集中力が有った。デキ自体も良さそう。外枠の馬が皆前に行ったのを行かせてから中段の外。4角ステッキを入れて迄して早目に動いて、見せ場は造ったが、ちょっと競馬が横綱相撲過ぎた分、終いが甘くなった。悪い内容では無い。

テイエムプリキュア

間隔詰めて使ってきた分なのか、イレ込んでいたが、この馬はこれ位で丁度。今季は見た目のデキもずっと良かった。軽量故の出脚だろうが、果敢にハナへ。ペースはともかく、道中離して行けた分も有るが、最後迄競馬を投げなかったのが収穫。今季デキが有る分も大きい。

マルカシェンク

使い詰めでそれ程良いとは思わないのだが、トモに厚みが出て来たのは大きい。ゲートが悪く、後方からになりそうだったのを、一回立て直して中段の外。行き振りも悪くなく、4角真っ先に動いたマチカネオーラを目標に動いたが、直線は案外。押せ押せで使っていて、状態面に疑問も有るのだが、今日はそれ以前に乗り方が強引だった気も。

グロリアスウィーク

姿勢が高くて、トモが薄い。その分、歩様に力が無い。好発も、出脚で置かれて中段。ずっと内目を立ち回り、直線は伸びずバテず。一瞬引っ張るシーンも有ったが、そこ迄響く程では無かった筈。中間の降雨が微妙に応えたにしても、まだ力量不足。

マチカネオーラ

+8kg。多少余裕残し。イラついていたのも感心出来ない。ハナへ行ったテイエムプリキュアに乗って2番手。今年3月で定年を迎える伊藤雄二調教師の為にと勝ちに行く競馬だったが、馬が本当では無かった。叩いての良化待ち。

ワンモアチャッター

2人曳き。-8kg。細くなった印象も無く、デキに関しても相変わらず目立つ。ゲートも悪かったが、スタート直後にバカついて後方から。道中も流れに乗れていない。参考外。

京都牝馬ステークス(GⅢ)

ディアデラノビア

イレ込む。毛ヅヤが悪く、張りもイマイチ。全てに於いて及第点をやれない。その気になれば行かせられる馬だが、ゲートもソロっと出して、中段待機。何時もの掛かり気味の手応え。直線向いて、狭いところをコジ開けて来る脚が速かった。圧勝といって良いだろう。馬場状態勘案すれば時計もまあまあ。戦前述べた様に、斤量も恵まれた上に力が違っていたという事になるのだが、そうはいってもデキに感心しなかったのも確か。元々冬場はダメな馬で、使うところも無いので、一度休養を挟む事になりそうだが、万が一このまま使って来る様なら軽視してこそ妙味。

ウイングレット

一言で表現すれば馬が張っている。戦前にも述べた様に、昨季から絶好調を維持。好発。出脚も有るので、内外の様子を窺いつつ、好位。一つ間違うと引っ掛かる馬で、ディアデラノビア同様、この行き振りで良いと思うのだが、その割に追ってからがもう一つ。ディアデラノビアにデキが無いだけに、もうちょっと食い下がって欲しかった。今日は妙に人気が無く、世間は好走と見るだろうが、むしろ案外に映る。

アグネスラズベリ

何時もそうだが、歩様が硬い。数字より大きく見せないのも何時も通り。出脚有る馬だが、更にウイングレットが速く、叩かれて中段。結果的にこの差が最後迄詰まらなかった。何時も人気になっているが、所詮この程度の差が逆転出来ない馬。セコい競馬は出来るので、そうなった時の好走は有るが、展開無ければ厳しい。

サンレイジャスパー

多少ギスギスした造り。ただそれ以上に、歩様がワースト級。昨夏のデキには無さそう。位置取りを稼ぐというよりは早目に外へ出したかったのだろうが、スタートして少し出して中段。ちょっと外を回され過ぎた嫌いは有るのだが、一応は目論見通りの競馬だっただろう。最後は距離適性とデキの差。

アクロスザヘイブン

脚長の馬だが、多少トモが付いて来ない歩様。毛ヅヤはまあまあだが。出脚良く、一瞬はハナを覗かせていたが、控えて好位から。直線も、一瞬だけ先頭に立ったが、内からディアデラノビア、外からウイングレット。今日はスムーズに運べていて、上位とは力差有りそう。

ワディラム

ガサの無い馬だが、歩様はスムーズ。休養前からデキは良かったが、そのままで出て来た。好発。出脚も速いのだが、行きたがるのを宥めて好位。コースロス無く、枠なりに回って来たが、直線は案外。ディアデラノビアが頑張っての好時計だが、力の要る馬場は向かない。開幕週のパンパンの良馬場で出て来た時が狙い目。

ソリッドプラチナム

手先のスナップが利いていて、しかも歩様に伸び。小さいなりに馬体も充実。ゲートは出たが、例に依って後方。ずっと外を回され、しかも直線で馬群がバラけ、最内の馬からは13頭分程。1馬身前に居たサンレイジャスパーとの差が決勝線でもそのままだった。元々マイルも合わず、今日は仕方が無い。

コイウタ

もうちょっと歩様がスムーズでも。悪くは無いが、張りももう一つ。ゲート平凡だったが、出脚で好位。内の馬場悪いとはいえ、直線向いてからがサッパリ。何故か2番人気に推されていたが、こんなモノだろう。

スマイルフォライフ

ここへ入っても馬自体に差は無いのだが、頭が高い。その分、歩様も伸びて来ない。道中はずっと最後方に居たが、それなりには詰めている。準オープンの馬という点を考慮すれば及第点だろう。課題の折り合い面も、むしろ追っ付けていた位。得意の2000mに戻って、自己条件なら確勝級。

マイネサマンサ

造りは悪くないが、毛ヅヤが冴えないのと、トモの送りにスムーズさを欠く。好発。何時もはそこからの出脚が更に速い馬だが、ウイングレットやアクロスザヘイブンの方が上。割と行きたがる馬で、それを抑えずに4角先頭だったが、直線はサッパリ。出脚にデキが現れる馬。

根岸ステークス(GⅢ)

ビッググラス

集中力を欠く。馬体は目立たないせよ、毛ヅヤ良くて、デキは間違いなく良いのだが。歩様にも伸びが欲しい。一瞬の出脚は良さそうだったが、無理せず中段から。結果的に人気馬が早漏だったという事になるのだが、一旦は前に出たリミットレスビットと前に居たシーキングザベストの間を割って出て来るのだから、完勝と言わざるを得ない。次走は、31日の川崎戦組や昨年暮れの大井戦組が人気になるだろうが、意外に狙い目。

シーキングザベスト

例に依って硬い歩様だが、毛ヅヤが抜群。何時ものイライラする面も見せず、下見だけならコレ。揉まれるのを嫌っての好位だった筈が、外からマルカフレンチとアルドラゴン。ただ、これはそのまま行ってくれただけに然程のダメージでは無かった。人気馬らしく早目に動いて坂上で先頭。前述した様に、仕掛けが早過ぎたのだろうが、抜けて来る脚もそこ迄では無かった。今日はどう乗っても何かにやられていた気も。近走、たまたま空き巣だっただけで、それ程強い馬では無い。

ニホンピロサート

+6kg。前走中山戦の際にも述べたが、今季はデキが良い。歩様がスムーズのも強調出来る部分。ただ、絶好調時はもっと良く見せていて、それが年齢の分。近走出脚落ち気味で、後方から。ただ、それ以上にコーナーの脚が無く、4角は置かれていた様に、左回りは怪しいが、直線だけでここ迄。前走時に限らず、何度も述べているが、とにかく揉まれ弱い馬。外枠が良かった。

リミットレスビッド

シープスキンノーズバンド。馬体そのものは相変わらず良いのだが、トモの送りに硬さが出て来た。好発。一瞬はハナも覗かせた位だが、控えて中段。シーキングザベストを目標に上手く立ち回っているが、直線中々手前が替わらず、シーキングザベストを交わすシーンすら無かった。確かに斤量差は有るが、前走中山戦で59kgを克服しているだけに案外。デキ落ちだろう。

ヒカルウイッシュ

抜群に見せた昨秋を思うとどうかだが、悪くは無い。手先のスナップも利いている。ゲートはトウショウギアよりも速かった位だが、控えて後方。上手く立ち回っていたが、直線半ばでオフィサーと接触して、頭を上げるシーン。あれが無ければ際どい競馬になっていただろう。東京は堅実。

ボードスウィーパー

気配に乏しい。毛ヅヤは良いので、デキ自体は問題無いだろうが、馬振り自体も上位とは差。躓いて出脚が付かずに後方から。ただそれよりも、4角でずっとニホンピロサートに蓋をされていて、追い出すタイミングを逃したのが痛い。終いはそれなりに詰めているだけに、今日は参考外。

トウショウギア

2人曳き。+18kg。全部が贅肉という訳では無いが、重いのは確か。ただ、毛ヅヤが良くて張りも悪くない。気配も悪くなく、最悪は脱した。ゲート平凡だったが、出して行ってハナ。例に依ってムキになって行ってしまい、直線手前が替わらず伸びあぐねてしまったが、これでも一時期よりは踏ん張っている。外枠当たれば意外に。

オフィサー

これも気配が地味。毛ヅヤが一息な以外、馬自体は悪くないが。ゲートも良かったが、意外に出脚が有って好位から。ただ、直線向いて伸びそうな感じが無かったし、前述した様にヒカルウイッシュと接触する不利。行かせる脚が有ったのは今後に繋がるが、当面の結果の良し悪しを言えば矯めた方が良さそう。

タイキエニグマ

オーストラリアンブリンカー。手先の柔らかさは流石。ただ、今季は馬体にメリハリが無い。出遅れて後方から。ずっとインを立ち回り、直線も最内突いたが、前がイマイチバラけず、伸びあぐねた。追い込み馬で、派手な印象かから過大評価されがちだが、展開有るにせよ、良くも悪くもこの程度なのだろう。

東京新聞杯(GⅢ)

スズカフェニックス

前を歩くグランリーオが遅い分、窮屈に歩いていたが、手先は柔らかい。ただ、気配は良いにしても、造りが微妙に緩い気も。好発。出脚も有りそうだったが、バラける位置迄下げて折り合いに専念。流石にコーナーでそこ迄外を回っていた訳では無いのだが、直線は大外。トビが大きくて、切れるという感じでは無いのだが、伸びて来る脚には力強さが有った。今日は完勝。ただ、不器用なのは確か。前走の京都戦の様に、セコい事を考えると失敗し易い。その辺りが強敵相手でどうか。

エアシェイディ

2人曳き。気配が地味。悪くは無いが、馬体の雰囲気ももう一つ。もっと行かせられる馬だと思うのだが、折り合い気にしたのか、スズカフェニックスと前後する位置。枠なりに回り、直線向いてから暫く前が壁になっていたが、そこでも慌てる事無く脚を矯めていた。追ったのは実質300m程だろう。確かに切れたのだが、こんな極端な競馬になったのは意外。良い脚が長く続かないか、本当に折り合い面不安が有るのか...。少なくとも何か課題が有るのは間違い無いだろう。

イースター

2人曳き。煩いが、集中力は有った。張りも有って、今季はデキが良い。メテオバーストが取り消して、この内枠。ハナへ行く位に思っていたが、意外に出脚が無くて、中段のイン。坂下でキングストレイルを避ける際に一瞬逆手前になった以外は、それでもスムーズに持って来れた。一瞬は先頭に立った程だが、最後は決め手の差。これ以上距離が延びるのは良くないだろうが、それでも前で競馬出来る分2000m位の方が良いかも。

ホッコーソレソレー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。−10kg。前走京都戦が重目残り。絞れたと見て良いだろう。その前走時に述べた様に、多少歩様が落ちて来たが、止め絵は悪くない。出脚無い馬だが、アオり気味に出たのを出して中段。一応は悪くない立ち回りだった筈だが、一度として先頭に立つシーンが無く、坂を上がって逆手前。京都だと目立たなかったが、やはり頭の高さは課題になるのだろう。本質的には良い脚が長く続かないタイプ。その意味で、スタート直後に脚を使ったのも微妙に痛かった。

グレイトジャーニー

以前を思えば歩様の甘さもかなりマシに。トモに張りが出て、今季は本当にデキが良い。近走はゲートも出る様になっているが、控えて位置取りとしてはスズカフェニックスをマークする形。スズカフェニックスと同じ競馬をしたのは無謀という以外に無いが、外枠でも有り、仕方が無い面も有ろう。前述した様に、今季とにかくデキが良い。器用さは有るので、そういう枠とコースになった時が馬券上の妙味。

サンバレンティン

-12kg。絞れた形になるのだが、それでも造りが緩慢。今季はデキが無い。出脚が無くて後方から。これもスズカフェニックスマークの競馬だったが、外を回したスズカフェニックスとは対照的に直線はインへ。ただ、1回前が詰まるシーンが有ったのが痛い。あれが無ければ際どい競馬になっていただろう。昨季から何度もデキが無いと述べているが、その割に毎回堅実。

キストゥヘヴン

シープスキンノーズバンド。立て直して、雰囲気が戻った。歩様も、ガサの無い牝馬にしてはスムーズ。ゲート出た事も有るが、何故か出して行って好位直後。牡馬相手という事も有るが、終い伸びあぐねたのは出した分も有ろう。ただ、同条件の限定戦が京都に有るにも関わらず、牡馬相手にブツけて来たのは不可解。昨秋初っ端も牡馬相手の中山戦。輸送に課題?

キングストレイル

+2kg。見た目には太くない。歩様にも伸びが有って、つい飛び付きたくなるタイプ。好発。積極的に乗ってハナ。3角では、それでもと行ったシベリアンホークに譲ったが、結果的に行き過ぎたかも。直線は内にモタれていた。何時も人気以下にしか走らない馬とはいえ、今日に関しては乗り間違ったと思うのだが...。

ブラックバースピン

+4kg。2人曳き。テンション高いのは何時も通り。馬は例に依って素晴らしいが、多少余裕が有りそう。出脚は有るが、控えて中段。折り合い面課題だったが、向正面でキネティクスが来た時に手綱を引っ張るシーン。直線サッパリだったが、これがそこ迄影響する挙動だとは思えない。距離が長い。