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競馬回顧 2005年5回阪神・5回中山

有馬記念(GⅠ)

ハーツクライ

+2kg。今日はそれ程太く見せないし、今季は歩様が良いのが一番。直ぐ内のタップダンスシチーが行って、誰も行かない事も有って3番手。折り合い面は元々不安の無い馬で、今日は前走の東京戦と違ってペースがスローでこの策が大正解。流石に前に行った分、前走の様な脚は使えないのだが、坂下で先頭に立ち、そのまま押し切った。出脚やコーナリングがそれ程良くなった様には見えず、今日は枠順の利も相当。今年は古馬のGⅠが総じて波乱だったが、この馬や春秋天皇賞のスズカマンボやヘヴンリーロマンスに代表される様に、出来るだけ前へ付けてコースロス無くというのが一つのテーマだった。「今日はスタートが良かったので前々で馬の気に任せたレースをしてみた。リズムに乗れていたし、敢えて抑えるつもりもなかったからね。ディープインパクトとの位置取りについては自分の方が前々にいたし、あまり意識せずに乗っていた。直線はさすがにあれだけの馬だし、向こうが追い込んできたには分かっていたが、最後はこの馬が我慢してくれたね。有馬記念はこれだけ多くのファンが詰めかける偉大なレース。それを勝てて感無量だね。 (ルメール騎手・週刊競馬ブック) 」

ディープインパクト

2人曳き。この中間は多少立派過ぎる様に見えたのだが、今日は逆。馬が萎んで見えた。例に依って後方。3角から徐々に進出し、4角では射程圏に入っていたが、前にハーツクライが1頭。今日は前走の京都戦程引っ掛かる事も無く、スムーズに競馬出来た筈で、原因をデキに求める外無いだろう。ただ、このパターンはズルズル行くケースも多い。今後は厩舎技量の勝負という事になるのだが、未完成の状態で相当に使ってしまったという部分が今になって出て来ているのは確か。現状維持しか出来ないなら、引き際を考える事も。

リンカーン

2人曳き。この馬の場合は落ち着いているのが何より。馬体も今季は見栄えするし、デビュー以来一番良い状態をキープ。ゲート良かったが、外枠で無理せず中段。1角でインに入れる迄は前に壁が無かったのだが、それでも今日は折り合いスムーズ。ただ、直線向いて内からコスモバルクに寄られる不利。これが無ければ2着は有った筈で、何より横山典弘騎手、ここ迄は会心の騎乗。GⅠを真っ向勝負で勝てるだけの器では無いだけに、勿体無い印象。

コスモバルク

多少重いのは確かだろうが、今日は馬にヤル気。道中は好位直後のイン。何時もと違って出脚無い様にも見えたが、内のマイソールサウンドが好位で抑えた分も。折り合いも付き、早目に動いて4角先頭は目論見通りの競馬だろう。坂下で内からステッキを入れてリンカーンの進路を妨害してしまったのは頂けないが、最後迄投げずに走ったのは評価出来る。次走、どちらに転ぶにしても注目。

コイントス

+6kg。また馬体増。見た目もそうだが、これだと歩様が窮屈。ゼンノロブロイのペースメーカーとして出て来た筈だが、そのゼンノロブロイが出遅れ、競馬のやり様が無くなったのか、一旦中段迄下げてインへ潜り込む策。そのままインを突き、直線渋太く伸びたが、今日は次善策としては文句無い競馬だろう。ただ、この数字で使うと追ってからのもう一伸びが無い印象。まあその分、長持ちするといえばそうなるが、馬券的にはどうか。

ゼンノロブロイ

+12kg。元々がスカッと見せる馬で、極端に太い訳では無いが、多少立派。ゲートも悪かったが、出脚も無く中段やや後方。ただ今日はそれ以前に4角での反応が悪過ぎた。今日は馬体増が全て。

スズカマンボ

2人曳き、+10kg。これも一枚重い。出ッパが悪く、あれよあれよの間に最後方へ。インから来てはいるが、位置取りが悪過ぎた印象。絞れれば出脚も来る筈だが...。

ラジオたんぱ杯2歳ステークス(GⅢ)

サクラメガワンダー

2人曳き。欲言えばもう少ししっかり歩いて欲しいのだが、変わらず皮膚を薄く見せて悪くない。ゲート五分も、最初から行く気無く後方に近い位置取り。4角で一瞬行き場を無くし、外のヴィクトリーランに出られたのだが、坂下で捌いて、坂上からの一騎打ちを競り落とした。今日は能力最上位マチカネゲンジの取消で、メンバーが手薄となってしまった分がどうかだが、器用さと並んでの勝負強さは評価出来る。

アドマイヤムーン

2人曳き。この馬としてはこれでも落ち着いている方だし、馬体もキッチリ出来ていた。道中は中段。スタート直後はクビだけ突っ込んでおいて外の出方を窺っていたが、無理せず1角迄には引く形。この際に多少行きたがる素振りを見せたのだが、それ以外は一応でもスムーズに競馬が出来た。最後、サクラメガワンダーとの競り合いでやられてしまったが、休み明けのハンデが有っただけに、止むを得ない面も有るだろう。差し当たっては、スムーズに競馬出来ただけでも。

ヴィクトリーラン

2人曳き。全く人気無かったが、馬体はここでも遜色無い。ゲート良かったが、無理せず人気馬をマークする形。サクラメガワンダーを内に閉じ込めた時には乗り役も夢を見ただろうが、坂下でコジ開けられてしまい、そこから突き放された。ただ、まだ未勝利上がりの身。良く走っている方だろう。

アペリティフ

トモの送りにスムーズさが欲しいのと、馬体も上位とは差。外のニルヴァーナの勢いが良く、今日は差しに回る競馬。折り合い面はスムーズで、直線迄待って追い出したが、手前を替えず、伸び切れなかった。攻め馬動いて穴人気していたが、競馬でイマイチ。

ホーマンアラシ

デキは悪くなさそうだが、とにかく煩い。ゲートして直ぐ躓いたが、内枠の利を生かして、好位へ。4角でも反応良い様には見えないのだが、渋太く伸びてここ迄。下見とは全く違う印象。距離延びて瞬発力の無さがどうかだが、基本線はもっと長い距離かダート。

ニルヴァーナ

ゴールドアリュールの下になるが、兄の若い頃同様、馬体は良いが、歩様の力強さに欠ける。出脚利かせて先行。折り合えてはいたし、4角での反応の良さも兄譲りだが、芝で追って甘いのも兄譲り。現状は瞬発力が誤魔化せる分ダートの方が良さそうだが、レース後に骨折が判明。

マイネルスケルツィ

-10kg。悪くないが、元々はもっと良く見せる馬。ゲートと出脚と枠の差で、2番手から。持って行かれる程では無いにしても、この形では前を追い掛け気味になってしまう。今日は輸送のアクシデントでデキが本当で無かった分も有るだろうが、現状ベストはハナ。

グロリアスウィーク

スカッと見せてはいるが、トモに筋肉が付き切っていない分、歩様が頼りない。逃げ馬の直後で壁が有ったが、1周丸々掛かり通し。全く競馬になっていない。下見はそれ程煩くなかったのだが、今日は距離延長が裏目。

CBC賞(GⅡ)

シンボリグラン

+12kg。遮眼革。前回当地は物見が激しかったが、今日は馬に集中力。ただ、数字通り立派過ぎる嫌いも。ゲートはそれ程でも無かったが、出して行って好位へ。道中内外に馬が居て揉まれていた様に見えたが、4角から外へ出してからは前のシーイズトウショウを捕らえ、カネツテンビーの急襲を凌いで重賞初制覇。前回同様、手前を替えたのは直線半ばで、このコースは相性良いとは思えないのだが、今日は積極的に乗ったのが正解。芝1200m以上の古馬混合重賞で3歳馬が勝てていない事を、ディープインパクトの評価を貶める文脈として用いられていたが、最後の最後で一矢報いた。

カネツテンビー

トモに丸みが有り、デキは上々。毛ヅヤもこの時期の牝馬にしてはかなり目立つ。ゲート入り梃子摺る。ゲートは出ているが、行く気無く後方。直線上手く前が開いてくれた分も有るのだが、このコースは本当に走る。ただ、今日は道中引っ張り切りの手応え。もう少し前で競馬出来た可能性が有ったのは確か。行かせれば行かせたで末脚無くしていた可能性も少なからず有るのだが、今日は勝てた競馬だけに疑問の余地も。

シーイズトウショウ

+6kg。チャカついているのは何時もの事だが、今日の造りは立派過ぎる。毛ヅヤはこの時期の牝馬だけに仕方無いかも知れないが。出負け気味だったが、出脚利かせて好位のイン。これも4角で外へ出し、一旦は抜け切っているのだが、最後に2頭。今日は一枚重かった分も有るだろうが、この競馬はあくまで余興という事だろう。ベストはスピード活かしての先行。

ウインラディウス

-6kg。今季、デキ自体は元々良かった。前走の京都戦で一枚重かったのも、絞れたと見て良いだろう。これも出負け気味で、道中は中段のイン。4角から外へ出そうとしていたが、外にシーイズトウショウが居た上に、接触してしまう始末。最後は盛り返しているだけに、尚の事惜しい競馬。気持ちの続かない馬で、デキが有るから走れるのだろうが、だからこそこういうチャンスは逃してはいけない。一応、次走狙い目としておくが、この手のツキの無い馬はアテに出来ないのも確か。

マルカキセキ

+12kg。1週延びてビシッとやれた分、絞れたとの事だが、まだ少し太目。ただ、張りが有ってデキ自体は良い方。これも出が悪かったクチで、4角では最後方。インを突いて最後は来ているが、4角での位置取りの差が堪えてしまった。近走の充実振りからすれば今日は全く走っていないと言って良いだろう。これも次走狙い目。

ギャラントアロー

+6kg。オーストラリアンブリンカー。太いのは確かだが、毛ヅヤ良く今季は比較的デキ良い方。歩様がスムーズなのも好感。ナゾが好発も、近走出脚が戻って来て、何とかハナは切れる様に。まあ、最後は無理に行った分だが、この馬はこれしか手が無いだけに仕方有るまい。以前の様に馬が競馬に飽きてしまわない限り、毎回この競馬を続けていけばその内粘り込みも。

ディープサマー

オーストラリアンブリンカー。例に依って歩様が硬い。寸が詰まって見栄えしないが、トモに張りも有り、デキ自体は良い。出脚利かせて好位へ。最後は瞬発力の差でやられてしまった印象。スムーズな競馬は出来ていても、ベストは単騎。

ビッグプラネット

+8kg。チャカつくのは気にならないとしても、見た目に太い。道中は中段。ハナへ行く気は最初から無かっただろうが、外のナゾとローエングリンとは出脚の差が有って、競馬が中途半端に。最後はそれなりに伸びてはいるが、如何せん差す競馬が本職では無かった。前走の京都戦の際にも述べた様に、とにかく距離のストライクゾーンが狭い。

ゴールデンキャスト

+12kg。発汗目立ったし、この数字の割に太く見せないのが、却って中身の点で疑問。好発。出脚は良い馬だふぁ、外から来た馬に譲ってシンボリグランと前後する位置。従って、位置取り的には悪くなかった筈だが、追ってからがサッパリ。中京は元々走らないのだが、目下デキが無い。

キーンランドスワン

悪い時は歩様が硬くなるのだが、今日は歩様にバネ。ただ、出来る事ならもう一絞り。外の馬に行かせて後方。4角で既に手応えが無く、直線向いても全く伸びなかった。元々左回りは右回り以上に手前を替えるのが下手では有るのだが、それでもGⅠで2着に来れる位だから相性が悪い筈が無く、このやられ方は意外。デキは良く見えるだけに、次走右回りで注目。

サンケイスポーツ杯 阪神牝馬ステークス(GⅡ)

アドマイヤグルーヴ

2人曳き。+8kg。前走の京都戦も褒めたが、スナップの利いた歩様で、更にデキ上向き。ただ、細く見える方が走る傾向なのは事実。出負けも、上手い事潜り込んで中段へ。普段は矯めてブッ放す競馬が多く、2000mとなると脚の使いどころが難しい印象も有ったのだが、今日は早目進出からアッサリと押し切った。これが引退レースという事で、実は適性はマイルだったのだろうという無責任な話も有るのだが、ハイペースに向かない馬で、今日はスローに助けられた分も。

マイネサマンサ

下見で見栄えしないのは何時も通り。ただ、今季は馬に集中力が有る。道中は好位。安藤騎手だと出ッパが悪いのだが、結果的に前を壁を造れたし、この馬の場合は見た目に行きたがっていても、終い渋太く伸びてくれる。直線はレクレドールと接触して、審議対象になっていた程だが、あれを最後捉えるのがこの馬の真骨頂。坂を苦にしないのも長所だが、逆に平坦だと決め手の差に泣くケースも多くて。

レクレドール

これでも良い方の歩様。細いなりにしっかり造って有ったし、この馬としては最高に近い。中段の外。道中多少行きたがっていた事も有って、目の前のアドマイヤグルーヴが動いた時に待ち切れずに動いてしまい、最後の詰めが甘くなった。まあ、見た目は情けない競馬だが、何度も述べている様にこの馬の場合は勝てる展開の幅が狭いだけに、これでも評価出来る内容。マイネサマンサとは対照的に坂も良くないのだが、近走ゲートと出脚が良くなった。次走京都で狙い目。

ラインクラフト

毛ヅヤが冴えないのも有るだろうが、馬が萎んで見える。歩様はこんなモノといえばこんなモノ。阪神では差しに回ると危なっかしい競馬が2走、好発で内枠、行かざるを得ずハナへ。ペース速くなく、4角手前で行きたがって早仕掛けになるのも想定の範囲内だっただろうが、慣れない逃げで馬が戸惑っていた上に、使い詰めで気持ちが無かった。全国リーディング懸かる瀬戸口厩舎、今開催は形振り構わず使っているが、今日は馬に負担を掛けてしまった一戦。これが後に引かねば良いのだが...。

スナークスズラン

+10kg。今日に関していえば一枚重いが、デキ自体はかなり良化。ゲートも良かったが、出脚も良く、この外枠から好位へ。今日は一枚重い分、4角の反応がもう一つだったが、それでも渋太く伸びてここ迄。マイルは実績無いが、今日は折り合い面スムーズ。現状スプリントの方がむしろ良くないかも。

フェアリーステークス(GⅢ)

ダイワパッション

連闘。-2kg。多少硬さは有るが、この時期にしては毛ヅヤが良く、デキ自体は上々。出負け気味も、出脚が良く、直ぐに中段に取り付く形。この枠だけに、前走とは違ってずっと馬を外に置く形だったが、4角捌いて外から差し切った。2歳牝馬には珍しい連闘だが、冬場はイケイケの増沢厩舎、狙いの鞍だったか。

ウエスタンビーナス

これも硬さは有るのだが、毛ヅヤ良くデキ目立った。ゲートも良かったが、内枠勢の中では出脚良く2番手。4角で逃げたラプタルを射程圏内に捉え、直線向いて一旦は完全に抜け切ったのだふが、最後にダイワパッション。見た目には悪い内容では無いが、今日はメンバーのレベルが低調。展開ズバリだっただけに、不満が残る。

サザンビューティー

+6kg。多少立派に見えるが、2歳牝馬だけに輸送で減るよりは遥かに良い。ゲートも良くなかったが、出脚も無く、後方から。4角、ダイワパッションの抜けたルートを狙っていたが、抜けて来る際に外へ膨れ、アルジェナーの前をカットしてしまう粗相。最後詰めているだけに勿体無いが、前述した様にここはメンバーが低調。勝たねばダメ。

アルジェナー

数字が無い分、目立たないが、造りそのものはここなら上位。皮膚を薄く見せていたのも好感が持てし、デキだけをいえばNo.1。ただ、如何せん気負っていた。ゲートでアオり後方から。多少頭の高い走法で、距離は延びない方が良いだろうが、直線外へ持ち出してさあこれからという時に内からサザンビューティーに前をカットされる不利。勝っていたと迄は思わないが、3着は有った筈。馬体目立つだけに、この馬だけは注目しておきたい。

コスモミール

造りはこれで良い筈だが、輸送の短い中山でもイレ込み。ゲートは五分も、外枠に本職の馬が揃い、それらに行かせて中段から。スプリント戦だが、少し行きたがっていた様に見えたし、坂下でアルジェナーにブツけられた時には既に脚が無く、意外な敗戦。能力有る筈だが、とにかく気性面が課題。

エイシンアモーレ

今日もイレ込み。ただ、輸送しても減らなかったのは良い傾向。外のラプタルにはやられたが、この馬も出脚良く好位へ。前半3F33.3秒をマトモに追い掛けたとはいえ、それにしても直線はサッパリ。下見でイレ込んでいたのは確かだが、実戦は折り合えただけに、敗因不明。

農林水産省賞典 鳴尾記念(GⅢ)

メジロマントル

前走の福島戦もそうだったが、馬にヤル気。スナップの利いた歩様で、下見さえ見ていれば飛び付けた程。出脚は流石に落ちている様だが、好発切ったのと誰も行かずにハナへ。上手くイケハヤブサが2番手でくっ付いてくれて、後続へのカモフラージュになった印象も有るが、デキが有っただけに、これ位やれても何等不思議は無い。ただ、前述した様に、近走出脚の有る馬に競られて苦しい展開が多い。ハンデは元々56kgで競馬していた馬、次走中山戦は1kg位増量されても問題無さそうだが、楽にハナ切れるかどうかかが課題となる。

カンファーベスト

2人曳き。往時の張り詰めた感じが無いが、一時期コズミ気味だった歩様も良くなって、現状望み得る最高に近いデキ。道中は離れた好位。前半はかなり行きたがっていたし、その後も気負い気味。安藤騎手、4角で外から進出してきた馬の様子を窺っていたが、結果的に相手がそれ等では無かったという事。ただ、道中が道中で、どうしても後ろ向きの競馬になるのは止むを得ず、今日は2着に持って来ただけでも立派。

キョウワスプレンダ

シープスキンノーズバンド。煩いのは何時も通り。多少重いだろうが、前走の京都戦よりデキ自体は良化。外の馬に行かせて中段のインへ。意外に折り合い付いて、直線インから渋太く脚を伸ばした。昨年に述べた様に右回りの方がスムーズだし、シープスキンノーズバンドが利いているのか、最後迄投げずに走っているのも良い。こういう部分にデキが現れる。

トウカイトリック

前走の福島戦も踏み込みもう一つだったが、今日は良い方。張り良かったし、デキ悪くない。ゲートはアオり気味も、押して好位へ。終始最内を立ち回り、逃げ馬捕まえられなかったのは仕方無いにしても、2着は確保すべき展開で、今日は案外言わざるを得ないが、今開催は時計の掛かる馬場状態になっていて、馬格の無いこの馬には苦しかった可能性も。

アサカディフィート

歩様面マシになっていたし、今季は元々良いデキ。今日は他馬もゲート悪かったが、例に依って出負け。4角外へ回して、今日の流れなら良く差している方。戦前は阪神実績の無さを嫌われていたが、これはあくまで偶然。今日はペースに泣いただけで、この馬自身は堅実に走っている。

コイントス

デキは良い様に見えるが、今日も重い。出負け気味だったし、出脚も無く中段。4角ヤマニンシュクルらの進出を待って追い出したが、何時もより頭の高い走法が気になったし、追ってからも案外。まずは絞れない事には。

ヤマニンシュクル

2人曳き。馬体は良いが、今日は煩い。何時通り後方も、下見の割には折り合い付いた。結果的にはスローを嫌って自力で動いたのが裏目に出たが、この流れでは仕方無かろう。今日は度外視出来る。

ワンモアチャッター

2人曳き。小倉戦思えばもう一つだが、一応前走のデキは維持。これも後方。何時もはもっと気負って追走する馬だが、今日は道中の余裕が無かった。見た目悪くないと思ったが、明らかにデキの無い負け方。次走見送り。

朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

フサイチリシャール

2人曳き。スナップの利いた歩様。芦毛の分、多少余裕有る様にも見えるが、馬振りは相変わらず上々。スロクハイネスが取り消し、この馬がハナへ行くかと思われたが、レソナルが主張して、これに誘導される形で2番手へ。前半1000m通過59.0秒のスロー。4角で前を捕らえ、最後スーパーホーネットの急追を凌いで押し切った。今日は展開絶好だったという面も有るが、このトビの割に出脚が有るのが良い。重賞では母フサイチエアデールがダービー卿チャレンジトロフィーを勝っただけという松田国英厩舎にとっては鬼門の中山芝だが、この出脚を調教で引き出せるなら勝てるシーンも多くなる筈。

スーパーホーネット

2人曳き。気合も乗って張りも抜群。スケールとなるとサンデーサイレンス産駒に分が有るが、デキは文句無い。今日はゲート五分で、中段のイン。4角でジャリスコライトの直後に付け、ピッチの利いたフォームで追い込んで来た。前々走の京都戦で述べた様に、良馬場でこその馬で、今回が本来の姿。まあ、この馬にしてみればもう少しジャリスコライトが早目に動いてくれればという事になるのだろうが、ここでも通用の能力は充分に示した。ただ、あのフォームから距離は2000m迄。

ジャリスコライト

戦前にも述べた様に、この血統の割に歩様に柔らか味が有るのが良い。馬体も見栄えがする。外から主張した馬に行かせて好位。審議対象になった様にスタート直後に接触してムキになった分、追い出してからの反応ももう一つだったし、直線もステッキを落として手で叩く始末。中山向きの脚が無かった事も有るだろうが、今日はツキが無かった印象。そして、もう一つ、返し馬から今日は気負い気味。この血統、シェルゲームが途中からおかしくなった前科が有るだけに、次走注目。

ショウナンタキオン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+8kgで多少重いのもそうだが、馬格の割にトモが薄く映る。出脚はもう一つだったが、新潟の2走を思えばゲートは出ている方。中段のイン。終始インに拘って直線勝負。上手く捌いては来たが、坂でヨレヨレ。トモに力が無く、現状は平坦向き。

ダイアモンドヘッド

2人曳き。戦前は輸送日に15-15やったのが話題になっていたが、意欲というよりは単に絞れなかっただけ。見た目に重い。前半多少行きたがっていたが、好発切って好位のイン。狙い通りの展開だったが、4角でフサイチリシャールが動いた際に付いて行けなかった。重いのも有るだろうが、前走の京都戦にしても道悪。機動力に課題。

中日新聞杯(GⅢ)

グランリーオ

2人曳き。この馬と直後のカナハラドラゴンの2頭だけが気合乗り抜群。造りを良く見せるのは元々。ニシノシタンの逃げに乗る形で2番手へ。出脚が無いだけに、この誘導は有り難かっただろう。4角で手応えの無いニシノシタンに並び掛け、そのまま押し切った。決め手が無いだけに、ニシノシタンがソコソコ引っ張ってくれて、今日は上がりが3F36.8秒と掛かってくれたのが大きいが、それにしてもイマドキ3F36.8秒は掛かり過ぎ。レコードに0.1秒だが、馬場が良過ぎるだけでレースは低調。

ダンスインザモア

今春はもっとスカッと見せていた。ノドの影響で攻め馬に加減が有るだけに、満点はやり辛い。出負けして後方から。小回り意識して早目に動き、上手くトップガンジョーのマクりに乗ったが、早目に動いたグランリーオに押し切られる形。早目動いて終い甘くなったのは止むを得ない印象も有るが、相手が決め手に欠けるグランリーオ。ノドの症状は良くないと見ておくべきだろう。

カナハラドラゴン

2人曳き。この馬もグランリーオ同様に下見は王者の域。ゲートは出ているが、出脚が無く後方から。元々が行き振りの良い馬では無いだけに、これは仕方の無いところ。トップガンジョーのマクりに乗ったダンスインザモアを追い掛ける形で追い込んで来たが、今日は上がりが掛かってくれたのが全てだろう。これも重賞となるとサッパリの馬で、今日はメンバーに恵まれただけ。

メイショウオスカル

例に依って甘目の歩様だが、この時期の牝馬にしては毛ヅヤ良く、及第点やれるデキ。出脚良くスッと先行も、外のニシノシタンが主張した為控えた際に、頭を上げてイヤイヤをするシーン。ただ、2角辺りで既に折り合っていて、そこからはスムーズ。直線伸び切れなかったのは、前半のロスの分だろうが、一旦はマクられたトップガンジョーを差し返しているのだから、悪くない内容。限定戦なら。

トップガンジョー

2人曳き。+6kg。気合乗り悪くないが、多少重いかも。ニシノシタンがハナへ行って、グランリーオを連れて行っただけに、10番枠ならもう少し良いポジション取れた筈だが、1角で多少コーナーリングがギコチなく、道中は後方に近い位置。それでも今春の中山戦同様にマクる脚は見せたのだが、直線向いて手前を替えず、メイショウオスカルに迄差し返される有様。一枚重かったのも有るだろうが、この相手だけに案外の内容。好実績の左回りが意外に良くないか。

コンラッド

遮眼革。今日は落ち着いていた。500kg有る割には小じんまりと見せるのは相変わらずだが、毛ヅヤ良く、今季緒戦の中山戦よりは遥かに良い。例に依って後方。内で包まれてしまい、ちょっと仕掛けのタイミングが遅れたし、直線向いても手前を替えるのが遅くモタれ気味で、ここ迄。それでも良く詰めているといえばそうだが、モタれるのは左回りに限った事では無く、アテにし辛い。

ツルマルヨカニセ

多少トモが甘いが、これは何時も通り。それよりも一息入った影響か、馬体の張りがもう一つ。中段のインで脚を矯める策は悪くなかったが、4角外へ出そうとしてコンラッド同様外に壁。これも内枠がアダになってしまった印象だが、能力は抜けている筈で、それにしても負け過ぎ。デキに疑問。

プライマリーケア

シープスキンノーズバンド。-12kgは絞れただけ。馬を大きく見せてデキは抜群。出脚が無く道中は最後方から。直線そのままインを突いたが、ここ迄。大きくは負けていないし、何より、目下のデキがデキ。次走以降も注意。

ニシノシタン

元々が良く見せる馬とはいえ、今季も悪くない様には見えるのだが、以前より皮膚の薄さを感じさせない印象。戦前の予想通りハナへ。ペースは速かったが、単騎で行けただけに案外の競馬。近走言い訳利く競馬も有ったが、デキが落ち気味かも。

農林水産省賞典 阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

テイエムプリキュア

多少歩様硬い。迫力という点でどうかだが、スカッと見せてバランスは良い。道中はオッツケ気味に中段やや後方。2角過ぎに一瞬引っ張るシーンが有ったし、4角でもガチャガチャ。当然、時計掛かって台頭という面も否定出来ないだろうが、2歳牝馬がこれで差して来るのだから、根性は相当。ただ、この手の馬は如何に気持ちを切らさないかが全て。この後チューリップ賞から桜花賞だそうだが、こういう微妙な間に切れた馬が過去に多数。

シークレットコード

2人曳き。-18kgは絞れたと見て良いだろう。馬振り抜群だし、落ち着いているのが良い。ゲートが悪く、前が詰まってしまって中段から。前半は少し掛かり気味も、直ぐに折り合い付いた方だし、4角スムーズに捌いてほぼ理想とする競馬は出来た筈。最後差されたのは馬場適性だろう。デビュー戦が強かっただけに、今日のパフォーマンスでも、道悪で殺されている印象も有る程。順調なら来年は逆転へ。

フサイチパンドラ

-8kg。悪い訳で無いが、この時期だけにもう少し馬体ゆとりが欲しいのと、トモの送りがもう一つ。出負け気味。外枠だが、出脚も無く後方から。終始外を通ったロスが有りながら差して来たのだから、能力高いという事になるのだが、トモの送りがもう一つで時計勝負に向かない可能性も。デビュー戦も怪しい挙動が有っただけに、次走は別の意味で注目。

エイシンアモーレ

2人曳き。イレ込んでいたとはいえ、馬体はしっかりして来た。ゲートも良かったし、出脚も有りそうだったが、控えて中段。4角馬群を割って一瞬コレというシーンも有ったが、坂を上がってそこ迄。最後は距離の壁なのかも知れないが、前走の小倉戦が悲惨とも思える状態だっただけに、それさえ良くなればソコソコやれるという事なのだろう。

アサヒライジング

大型馬だが、多少非力な印象。戦前の予想通りハナへ。内からキーレターが来たのを制してハナへ。スローとは行かないにしても、まあまあのペースで行けた筈だし、直線向いて一瞬は突き放すシーン迄造って、一応は自分の形。下見が下見だった訳で、今日は馬場を苦にしたと見たい。

コイウタ

前走の東京戦がデキ一息だったが、それよりはマシといった程度。ただ、トモの張りは目立つ。キーレターが行ってくれて、好位のインで絶好の展開。そのキーレターが早目にバテたとはいえ、4角上手く捌いてシークレットコードの内へ併せ掛かったところで脱落。悪い内容では無いが、少なくとも前走よりパフォーマンスが落ちているのは確か。道悪に敗因を求める外無いだろう。

コスモミール

多少テンション高いが、毛ヅヤや張りが良くなり叩いた効果は相当。この枠は今年シーザリオが内外から挟み撃ちにされたが、様子見ながら中段のインへ潜り込む形。上手く乗られた様に見えるのだが、これも追ってからが甘い。能力面は足りる筈で、道悪か坂だと思うのだが。

アルーリングボイス

2人曳き。イレ込み。トモの張りももう一つに映る。ゲートは出ているが、出脚が無く後方から。まあ、4角ゴチャついたのも有るのだが、ハネ返すパワーと気持ちが無かった。調整失敗だろう。

スポーツニッポン賞 ステイヤーズステークス(GⅡ)

デルタブルース

+2kg。前走でも太かっただけに、多少太いのだろうが、叩かれて中身が違う。前半多少行きたがるシーンは有ったが、これは他馬も似た様なモノ。ペースは遅かったが、2周目2角過ぎから徐々に速くなり、スタミナを活かせる展開に。内から一瞬エルノヴァに出られて、ヒヤッとはしたのだが、最後は底力でネジ伏せた。悪い内容では無いが、前走時も述べた様に、この造りでは機動力が無い。

エルノヴァ

+8kg。張りも有って太くない。歩様は何時も通り。これも中段で前を壁にして折り合う形。2周目3角辺りからインを狙って一瞬抜け切ったが、最後にデルタブルース。まあ、最後は菊花賞馬の底力だが、前走の福島2000mでハイペースになるより、こういう距離の方が競馬がし易い。

サクラセンチュリー

この歩様ならこの馬にしては上出来。馬体も変わらず上々。ゲートは出ているが、出脚が無く後方から。2周目4角外へ回し、来てはいるが、ここ迄。勝負どころで置かれる癖が有って、エルノヴァとは手応えに差が有り過ぎたし、そういうタイプだから外へ回さざるを得ない。どちらかといえば東京や京都向き。中山ではハマってくれないと勝ち切るシーンは無い。

ラヴァリージェニオ

多少姿勢が高い分、トモが頼りなく映る。気合を付けて先行。上手く流れに乗れたし、そう決め手の有る馬では無いだけに、2周目3角辺りから自力で動く策も予定通りだっただろう。完璧に乗っただけに、それで4着は頂けないところだが、相手も強かったか。

ハイフレンドトライ

歩様スムーズだったし、張りも有った。デキは悪くない筈。ジワッと先行。前に壁が無い分、1周目は多少行きたがっていたが、2周目からインへ入れて折り合う形。直線デルタブルースに併せに行って審議対象になったが、それ以前の4角の段階で既に手応えに余裕無かった。ハンデ戦で無ければオープンでは厳しいか。

ホオキパウェーブ

2人曳き。煩いのは一向に構わないが、この時期にしては発汗が目立った。ただ、歩様にバネが有ったし、姿勢の高いのも何時もよりはマシ。ゲートは出ているが、外から次々に来られて位置取りが悪くなり、乗り役に言わせると何処かで接触したそうで、終始行きたがっていた。今日は参考外。

イングラディーレ

活気が有るのは良い傾向だが、トモの送りがもう一つ。ゲートも甘かったが、そこからの出脚も甘く後方から。道中も外々を回されて伸び切れず。気配悪くない筈だが、先週タップダンスシチーの際に述べた様に衰えは出脚からやって来る。今後は見送り。