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競馬回顧 2003年5回京都・4回東京

ジャパンカップ(GⅠ)

タップダンスシチー

2人曳き。多少歩様の怪しいところが有る馬だが、今日は実にスムーズ。毛ヅヤも冴えていたし、ケチの付け様が無い。この枠だけに素直にハナへ。道悪で人気馬が追走に苦しむ中、この馬が行き切ってしまい、この馬のラップで漸く平均ペース。3角では既に手遅れといった印象で、直線は最早離す一方。まあ、内容だけ見れば確かに恵まれた面は否定出来ないのだが、この展開を呼び込むだけでもそれなりに才能の要る事。道悪云々も、戦前のコメント通りなのだろうが、こういう競馬はそれに泣くケースが少ない。

ザッツザプレンティ

一戦毎に良化。今日は毛ヅヤも目立っていた。2歳時同様、2番手を馬が勝手に奪いに行く競馬。レース展開だけをいえば、前のタップダンスシチーを深追いしなかった分の2着なのだが、例に依って重心の高い走法で、この点が道悪で有利。今日に関してはツキも有り、とはいえタップダンスシチー同様にツキを生かすにも才能が要るのだが、正直まだ一線級の評価は出来ない印象。もうワンランクアップさせて欲しい。

シンボリクリスエス

2人曳き。何時もよりはテンション高目。540kgもの巨体にも関わらず、全く重苦しさが無いのは単に調教技量に依るモノだろう。凄い馬になって来た。普段はもっとギラギラした手応えで追走する馬だが、今日は前半から行き振りが悪く、思った以上に道悪が応えたとしか考えられない。馬は更に凄くなっただけに、何等悲観しなくて良い。

ネオユニヴァース

2人曳き。相変わらず馬体に成長が無い。シンボリクリスエスを眺めながらの競馬。まあ、ここまで馬場が悪くなったのならば、最早内外何処を通っても一緒で、その意味に於いてダービー同様の最内差しは正しい作戦なのだが、逆に言えば正しい作戦で2着確保出来なかったのだから事態は深刻。相対的にか、絶対的にかは解らないが、確実に能力は落ちている。

アクティブバイオ

馬自体に差は有るとしても、今季はデキが有る。前走同様の先行策。道悪は得意だし、例に依って競り掛けられてからが渋太い。一時はハードル転向も考えられていた馬だが、この5着はこの馬が望み得る最高の結果だろう。今年はツキの無さに泣かされる事が多かったが、ここに来て一気に運が向いて来た。

イズリントン

毛を刈っているのだが、やはり毛ヅヤはイマイチ。馬体も大した事無い。何時も通りの先行策。まあ、追ってスパッと切れるタイプでは無いのだろうが、それにしても直線は全く伸びなかった。仮に道悪向かなかったとしても、ツルマルボーイやサンライズペガサスより向かないなんて事は有り得ない訳で、力自体がこの程度だと考えるのが妥当。

サンライズペガサス

2人曳き。今日は多少重い様に見えたが、これは距離を考慮しての仕上げだろう。デキは休養前と変わらない。大外枠で、終始外を回っていたが、外の馬場状態もインと同じ様に悪かった。普段敏感な馬が、今日は鈍重に見えたし、ここまで馬場が悪くなると流石に苦しい。

ツルマルボーイ

前走でキッチリ出来ていただけに上積みは無いが、それでも生涯最高のデキをキープ。後方から。最近は道悪をこなす様になっているが、本質は良馬場で無いと走らないタイプ。今日は問題外。

ジョハー

全体的に歩様が硬い。思ったよりは緩みも無かったが。道中はシンボリクリスエスと前後する位置も、直線は全く競馬になっていない。

ジャパンカップダート(GⅠ)

フリートストリートダンサー

シープスキンノーズバンド。馬振り断然。デキの良さも断然。1角で頭を上げるシーンも有ったが、それ以外は折り合いスムーズ。道中抜群の手応えで、3角から動いて行く競馬。直線抜け出してからは流石に脚も上がり加減だったが、並ばれてからが渋太かった。シープスキンノーズバンドを着用している様に、首を使わない走法で、その分が追ってからの甘さに繋がる筈だったが、丁度良いタイミングでアドマイヤドンが併せに来てくれた印象。この馬が過去にどういう競馬をしていたか良く知らないが、アドマイヤドンは競った経験の少ない馬だけに、この点も有利に働いたのだろう。デキの良い馬には展開も向くという典型的な競馬。

アドマイヤドン

2人曳き。以前はデキの変動の激しい馬だったが、今季は意外な程安定。本格化したと見て良い。スタートで若干安目を売ったが、1角で外に出して中段よりやや前からの競馬。3〜4角中間から進出して、直線半ばからの叩き合いは見応えも有ったし、一旦は前に出ているのだが、最後の最後で差し返された。馬の差を否定しないが、ここまで持って来た以上は勝ち馬の項で述べた経験の無さ。

ハギノハイグレイド

2人曳き。今季は攻め馬思い通りやれるだけ有って、とにかくデキが良い。好発決めて好位からの競馬。ただ、3角から置かれ出すのも毎度なら、そんな中で終い詰めて来るのも毎度。まあ、デキが良いだけにこの位は当然やれるが、一皮剥ける為には置かれる癖を解消せねば。

スターキングマン

2人曳き。今年は年間通じて使い詰めだが、ここに来てデキが上向いて来た。アドマイヤドンをマークしながらの競馬。手応え良かっただけに、早目に動いたアドマイヤドンに付いて行ったのだが、流石にちょっと早かったか。当然、距離も長い訳で、良く走っている。

ディーエスサンダー

2人曳き。多少緩慢な造り。これも使い詰めだが、こちらはデキが落ちて来た。スタート五分も控えて後方から。直線までインで我慢させてそれから外に持ち出す理想的な競馬が出来たが、それなりに伸びている。この馬の場合、左回りはインへモタれる嫌いが有ったのだが、今日はそんなところも無く、この点でも成長を感じさせる。

サイレントディール

+10kgも、ちょっと華奢に映る。デキ落ち気配。ゲートで寄られて2角まで掛かり加減。4角でアドマイヤドンに被された際にはアラアラの手応えで、今日は仕方が無い。学習能力の高い馬だけに、これをバネにまた来年頑張ってくれれば。

ユートピア

この馬なりには良いデキなのだが、馬振り自体の差が。アドマイヤドンを前後する位置で、良い感じに見えたが、追ってサッパリ。まあ、馬自体も大した事無いのだろうが、スムーズに運べないと脆い。

マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

デュランダル

前走は多少緩い印象も有ったのだが、今日はそんなところも無し。気性の心配が消え、攻め馬思い通り出来る様になったのが見た目に判る。ロサードを最後方に置いてその直前の位置。あとは大外へブン回す何時も通りの競馬だが、戦前述べた通りマイルは更に強かった。やはり、最早一年前とは全くの別馬で、現状はスプリントの方がむしろ余興だったのだが、それにしても長く良い脚を使える様になった印象。馬場さえマトモなら東京マイルは勝って当然、中京1200mで勝てるかどうかが当面の焦点。

ファインモーション

2人曳き。まあ、昨年のデキは無いとしても、前走を思えば雲泥の差。好発。一瞬はハナを覗かせたが、控えて中段からの競馬。 まあ、多少行きたがってはいたものの、大外枠だけにパニックになる様な事は無く、落ち着いて走らせる事が出来た分が直線の伸びに繋がった。今日はあくまで昨年の競馬が出来ただけで、実は全く前進していないのだが、それすら不可能な馬もいる訳で、再度スタートラインに立てたのは大きい筈。

ギャラントアロー

2人曳き。前走からデキ自体も良かったが、馬振り自体も上位。例に依って押してハナへ。4角からマグナーテンから一気に来て、この分勝ち切れなかったが、それでも見せ場はタップリ。丁度ダイタクヘリオスの様な馬だと思われていて、競馬にムラが有る様に見える分人気が無いが、ハナさえ切れれば少々競られても渋太いし、ハナ切らずに惨敗したNHKマイルを除けば実に堅実。来年こそはGⅠを。

バランスオブゲーム

2人曳き。馬は良かったが、輸送の分テンション高い。好位からも、何時もは掛かり気味に追走する馬だが、今日は多少オッツケ加減。直線はこの馬なり伸びているのだが、ここまで。前走は圧勝だったが、トーホウシデンが2着だった様に相手に恵まれ過ぎていたし、この馬自身一瞬の決め脚には欠けるタイプ。やはりGⅠを勝ち切る為にはもっと思い切った作戦が必要なのだろう。

ミレニアムバイオ

2人曳き。返し馬で乗り役を振り落とし、ゲートでもゴネていたが、下見の気配は上々。中段から。直線もそれなりに伸びているのだが、ここまで。北九州記念や富士ステークス辺りは確かに強かったが、戦前から述べていた通り、相手が弱かったのもまた事実。外枠で58.5kgの京成杯オータムハンデキャップを勝ち切らない事にはGⅠ級とは呼べない。

イーグルカフェ

普段より歩様マシ。中段のインで脚を矯める競馬も、最内突いてこの馬なりに伸びて来た。まあ、能力自体がこんなモノで、これがこの馬の精一杯だろうが、それでもまだ6着に来れるだけの能力は充分有るという事。次走京都金杯だそうだが、近走惨敗するケースも多くハンデも軽くなりそうで、案外狙い目なのでは?

エイシンチャンプ

ダンツフレームがそうだったが、太いまま使っている内に体型が崩れて来た。好位で流れに乗ってスムーズに運べただけにこれが現状の全能力で、デキが無いまま使っている間に馬がおかしくなって来た。こういうところに調教技量の差が表れる。

サイドワインダー

攻め馬キッチリやって+8kg。歩様も良かったし、今日は現状望みうる最高のデキ。内枠を嫌って中段よりやや前での競馬。先行した分伸び切れなかった嫌いも無い訳では無いが、それにしても負け過ぎだろう。戦前述べた通り、この馬も相手に恵まれ過ぎていた印象。今日の経験をバネに。

スペシャルカルドゥーン

馬格無く、馬自体に差は有るだろうが、デキ自体はソコソコ。ファインモーションと前後する位置だったが、直線はサッパリ。単純に相手が強過ぎた。

テレグノシス

単純に細く見せるだけならば何時も通りなのだが、今日はゴツゴツした印象も。控えて中段やや後方。折り合いついたし、自分の競馬は出来ている筈だが、デュランダルに置き去りにされてしまった。デキが無かったか...。

ウインクリューガー

+14kg。多少緩い気もするが、それでも太い印象は無く、現在成長中。好位で流れに乗って、NHKマイルカップ同様の競馬が出来たが、追って案外。時計の速い競馬も向かないのだろうが、NHKマイルカップをフロック視して良さそう。

トゥスール

この相手と闘うのは酷。これも相手が強過ぎた。

東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

アドマイヤビッグ

2人曳き。馬振りが一枚上。毛ヅヤも冴えているが、歩様が多少硬い。スタートでアオッて後方から。直線向いて一瞬前が壁になるシーンも有ったが、馬群を割る時の脚が速かった。まあ、インにモタれる癖も見せたし、天井向いて首を使わない走法だけに、良い脚が長く続かないのだろうが、ただそれで東京の直線を勝ち切るのだから能力は相当。5年前の覇者キングヘイロー同様、アテには出来ないとはいえ、要注目。

フォーカルポイント

シープスキンチークピーシズ。欲を言えばもうちょっとシッカリ歩いて欲しい。デキ自体も大した事無さそう。アドマイヤビッグのアオリを食って後方からの競馬を余儀無くされたが、こういう時の横山典弘騎手は流石。まあ、勝ち馬と違って一瞬の脚は無いのだが、シープスキンチークピーシズの効果なのか良い脚を長く使える印象。勝ち馬とは器の差を認めざるを得ないとしても、センスの高さは見せた。

キョウワスプレンダ

-8kgで出て来たが、中身が無い印象。テンション高いのはそれ程気にならないのだが。中段やや後方から。直線外へ出して伸び掛かっているのだが、手前を替えずに走っていた分伸び切れなかった印象。今日はデキの無さを敗因に求めたい。

ジュレップ

シープスキンノーズバンド。雰囲気は有るのだが、多少細い。中段で前を壁にして折り合いを付ける策。意外に折り合いスムーズだったし、追い出してからもジワジワ伸びて来て良い脚を長く使えそうなタイプ。まあ、上位3頭とは力の差を認めざるを得ないとしても、エンドスイープ産駒の割に距離保つタイプと見て良い。

マイネルパナシュ

例に依ってテンション高いのだが、それでも馬体は良く見えた。好位のインも、前半多少折り合いを欠くシーン。インから伸び掛かっているが、ここまでで、やはり前半のロスという事になるだろう。まだ馬が若い。

エリザベス女王杯(GⅠ)

アドマイヤグルーヴ

2人曳き。落ち着いていたし、緩いところも無いのだが、迫力不足。中段よりやや後方で折り合いを付ける策。前走とは違って今日はスティルインラブを意識せず、持ち前の瞬発力を生かす競馬。最後は併せたスティルインラブの抵抗も凄まじかったが、何とか退けた。武豊騎手、これでエリザベス女王杯3連覇だそうだが、競馬の内容としては意表を付いて差す競馬に徹したトゥザヴィクトリーとほぼ同じ様な内容。馬は馬体が示す通り完成途上で、今日だけをいえば武豊騎手が京都2200mを知り尽くしている分も大きいのだろう。

スティルインラブ

スッキリ見せ過ぎている割に、馬体に中身が無い気も。道中は離れた好位も、今日は下見から気負い気味で珍しく向正面で掛かるシーン。直線は持ち前の勝負根性で渋太く伸びていたし、最後の最後で差し返す素振りも見せているのだが、この引っ掛かってしまった分が勿体無い。この中間からテンションが高く、攻め馬思い通りに出来なかっただけに、今日は仕方が無い。

タイガーテイル

攻め馬の順調度ではアナマリーより上という報道も有ったが、デキだけをいえば大差無さそう。前半は日本のハイペースに付いて行けず置かれ加減。結果的には殆ど直線だけの競馬になってしまったが、それでここまで詰めて来るのだから力は相当。もうちょっと楽に追走出来ていさえすれば突き抜けていた可能性大。

レディパステル

2人曳き。中間一頓挫が有って嫌われていたが、多少影響は有って、馬に迫力が無いのと、歩様が硬い。スティルインラブをマークする様に乗っていたが、坂の下りで盛んに手が動いているのに付いて行けない。それでも、直線は伸び返しているのだが、右回りはどうしてもコーナーがぎこちない分が不利で、これも今日は止むを得ない。

ローズバド

一時の不振を完全に脱して、今季は生涯最高のデキ。アドマイヤグルーヴと前後する位置で、良い感じで追走している様に思ったのだが、直線はイマイチ伸び切れない。今季は奇策が当たった事も有ったが、やはりこの馬は位置取り度外視で矯めるだけ矯める競馬をした方が良さそう。

ダイヤモンドビコー

何時もながら見た目には悪くないのだが...。武豊騎手をマークするペリエ騎手という事で、この馬にしては珍しく後方からの競馬。ハイペースも向いたのだが、この馬にしては折り合いも付き、直線はこの馬なりに伸びている。現状でこれだけやれれば充分だろう。

ヤマカツリリー

2人曳き。デキだけをいえばコレ。歩様も以前を思えばかなり良くなった。ダッシュ力の無い先行馬。内からメイショウバトラー、外からスマイルトゥモローで、好位から。まあ、折り合いも付いたし、それなりに踏ん張っているのだが、最後は決め手の差が露呈してしまった。勝ち切るにはハナ切った方が良い。

アナマリー

シープスキンノーズバンド。輪郭もスッキリしていたし、馬体に張りも有ったが、歩様がイマイチ。中段からの競馬。ただ、首を使わない走法で、スピード競馬には向かなさそう印象。

オースミハルカ

2人曳き。何時も通りテンション高かったが、相変わらずデキは良さそう。前半多少掛かり気味だったが、直線は早目先頭で見せ場タップリ。最後止まったが、小回りならこの競馬がハマる筈で、この経験は何時か生きる筈。

京王杯2歳ステークス(GⅡ)

コスモサンビーム

馬体戻った形になるが、全てが筋肉として戻るまでにはまだ時間が掛かる。好発も、行きたい馬に行かせて4番手から。この手の競馬は引っ張った時に多少頭を上げ加減になるものだが、今日のこの馬は全くそんなところが無かった。直線も手応え通りに伸びて完勝。手前の替え方もスムーズだし、左回りが本質なのだろう。

アポインテッドデイ

気合乗っていたし、スカッとした造りで好感が持てる。好発も、控えて3番手から。折り合い付いたし、道中スムーズに運べたが、直線はコスモサンビームにスッと交わされてしまった。まあ、勝ち馬とは力の差を認めなければならないだろうが、センスは有りそう。

フサイチホクトセイ

中1週で+12kg、見た目に影響無くともこういうケースは案外応える。アオり気味にゲートを出たが、押して中段へ。ただ、今日は突っ張った様な走法で、終始気負って走っていた。その分、最後伸び切れなかった印象で、今日のところは参考外。

カイシュウマックス

多少太いのだろうが、好馬体。今日は矯めて後方から。外へ持ち出した直線は多少フラついていたが、それでも渋太く伸びていた。この競馬が板に付いて来れば。

ナカヤマバスター

多少馬が緩い上、テンション高いのだが、毛ヅヤ冴えていただけにデキ自体は良い筈。控える競馬を、との事だったが、やはり前半多少行きたがっていた。直線向いても手前を替えずにフラつくシーン。あまり首を使わない走法でも有り、追い比べになると流石に分が悪かった印象。現状はスピードに任せて、相手を意識しない競馬をした方が良さそう。

KBS京都賞 ファンタジーステークス(GⅢ)

スイープトウショウ

2人曳き。落ち着いているのは無条件で好材料。柔らかい馬では有るが、馬自体は並。また出遅れ。道中も引っ掛かって仕方無しに外へ出したイメージだったが、直線向いて1頭次元の違う瞬発力。相変わらず競馬が下手で、この点は課題なのだろうが、それでもこのメンバーを全く問題にせず子供扱いしたのは立派。まあ、正直短距離の差し馬といった印象だし、馬体自体は大した事無いだけに、年が明ければ別の馬が出てくる気もするのだが、とりあえず2歳戦ならこの馬が断然。

ロイヤルセランガー

物見激しかったが、馬のスケールをいえばこの馬。中段のイン。上手く立ち回ってインから一瞬は抜け出しているのだが、勝ち馬の決め手が一枚上。今日は相手が強過ぎた印象だが、この馬の場合は競馬が上手いのが救いで、距離延びても問題無いだろう。馬は良いだけに今後の成長に期待。

マルターズヒート

馬体絞れるが、まだ緩い印象。歩様もイマイチ。控えて好位の外。歩様が悪いだけにスパッとは切れないのだが、ジワジワ差し込んで来た。初芝で、外枠とはいえ控える競馬と、センスの良さは買うのだが、歩様を思うとダートの方が良さそうに思える。

マチカネエンジイロ

毛ヅヤは冴えていたが、いくら何でも華奢過ぎる。今日は決め打ちして後方待機策。直線まで我慢させて、馬群を割って伸びて来たが、ここまで。馬群を割って来る根性は買うのだが、平坦の京都でここまでしか来れないのだから、重賞の器では無い。

フィーユドゥレーヴ

+18kg。数字程では無いにしても、仕上がり途上。好位のインから雪崩れ込んだだけ。函館時から距離延びて良いタイプという評価が確定していただけに、この点はともかく、仕上げが中途半端過ぎて能力が見えて来ない。GⅠまで待って能力評価を確定させたい。

カーニバルソング

歩様が硬く、馬体の張りもイマイチ。馬のスケールに関しては上位なのだが。中段の外。馬群を割ろうとしているのだが、前が壁。前さえ開けば3着は有った筈で、今日は勿体無いレースだった。次走見直しを。

ツルマルシスター

2人曳き。気負っていたのも課題だが、これもマチカネエンジイロ同様に華奢。尾が長いのも余計にそう見せる。何時も通り後方からの競馬。今日は直線向いてポケットにハマッてしまった分が応えた印象だが、エンジンの掛かりが悪いのも気になる。

アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

アクティブバイオ

この中間、ハードルを飛ばしていたそうだが、増減無しでも馬が締まって来た。気合を付けて意表を突いた先行策。スローで掛かる馬が多い中、こういう競馬でも全く折り合いを欠くシーンが無かったのは馬がベテランだったという事だろう。4角手前から前を捕えに掛かり、直線は並び掛けて来る馬を次々振り払いながら残し切った。まあ、近走、前が壁になったり、極端な上がりの競馬になったりと、不遇を託っていたが、今季東京での活躍が目立つ武幸四郎騎手、馬場状態と展開を読み切った流石の騎乗で、力さえ出し切れば勝って当然。

ナチュラルナイン

2人曳き。まず馬自体が抜けた存在。まあ、この距離にしては気負っているが、毛ヅヤの良さも目に付いたし、デキも素晴らしかった。やや出負け気味も、前半スローで掛かり気味だっただけに、結果的に前を上手く壁にした印象。直線外へ出して猛追。最後振り切られたのは勝ち馬が東京2500mの競馬を知り尽くしていた分で、これは悲観しなくて良い。実績を思えば53kgでも見込まれ加減だっただけに、立派の一言に尽きる。

エリモシャルマン

ハミを弄ぶ仕草は気になったが、踏み込みや馬の張りは文句無い。ゲートこそ互角だったが、この馬自身も行き振り悪かった上、外から来られた事も有って、後方からの競馬を余儀無くされる形。しかし、4角から大外へ持ち出し、そこから使った脚の長さが東京のトニービン産駒。春に、阪神大賞典,天皇賞と強いところへブツけたのも、良い経験になっただろう。

ダンツランニング

2人曳き。変わらず気合を表に出している点は好感が持てるが、馬の張りは落ちた印象。前走同様上手くポケットへ入れて理想的なレース運び。インから手応え良く、並ぶシーンまで造っているのだが、競り負けた。並ぶシーンの造れなかったナチュナルナインはともかく、この競馬で負けたのだから言い訳は出来ないだろう。前走はあくまで展開がハマっただけで、オープンではまだ力量不足。

ハッピールック

多少でも戻って来たのは好材料だが、まだ中身が完全に戻った様には見えない。中段のイン。最内突いて、これもダンツランニング同様に並ぶシーンまで造っているのだが、伸び切れない。現状これも力量不足。

シャロウビンテージ

シープスキンノーズバンド。馬体に張りは有ったが、何時も以上に気負っていた気も。先行策。ソコソコ折り合い付いた筈だが、追い出してから苦しがってインへササる。単純に力不足で片付けても良いのだが、シープスキンノーズバンド着用で、首の使い方が下手なタイプの馬、直線の長い競馬は向かない印象。

メジロランバート

気負うのは何時も通りだし、馬は張っていたが、一枚重い嫌いも。中段の外で持って行かれ加減。8歳馬だが、競馬が若過ぎた。

チューニー

2人曳き。馬体減らなくなって攻め強化。その分馬体が締まって来た。これもメジロランバート同様、デキ良過ぎて行きがってしまった形。今日のデキなら2000m以下の方が競馬がし易かった。

ホットシークレット

叩いて上昇急。デキだけをいえば生涯最高に近い。好位の内々。内に入ってしまって、この馬の仕掛けのタイミングで仕掛けられなかった。以前述べた様に、毎年オセアニアの長距離戦に登録だけして出走しないのが年中行事になっているが、このデキを一度は生かさないと勿体無さ過ぎる。次走ステイヤーズステークスだと思うが、せめてこれだけでも何とかしないと。

カシオペアステークス

プリサイスマシーン

多少歩様が硬い以外は文句の無いデキ。まあ、馬振り自体も良かったのだが、特に毛ヅヤと馬体の張りが目立った。誰も行かなかった事も有ってスッとハナへ。延々直線が続く京都1800mで、1000m通過が62.7秒はスロー過ぎる流れだが、今日は他馬の凡走にも助けられ、後続が全く差して来なかった。結果、オイデオイデの大楽勝。

ダンツジャッジ

+22kgだが、デキ良く、如何にも山内厩舎らしい仕上げで、それ程気にならない。ゲートアオったが、今日は超スローで、中段やや後方。4角から外を回って徐々に進出、直線の伸びは一番際立っていた。折り合いの心配は無いとはいえ、一応距離を案じていたのだが、そんな心配は全くの杞憂で、しかも強い内容の2着だった。

ヒマラヤンブルー

この馬としては歩様も良く、馬体や毛ヅヤも良かった。夏場意外にデキがパッとしなかった事を思えば雲泥の差。繰り返し述べている通り、ペースは遅いのだが、最初の1Fで行きたがった以外は、折り合いスムーズ。直線も内目から渋太く脚を伸ばしていて、以前の単調なこの馬のイメージを一新する内容。まあ、それ程確実性は無いにしても、こういう競馬も出来る事を示せたのは大きい。

エイシンチャンプ

+30kg。数字程では無いにしても、やはり太い。ただ、馬に走る気が有ったのは救い。好発も控えて好位。直線向いての一瞬の反応の悪さが+30kgなのだろうが、それでも何とかここまで押し上げて来るところが皐月賞3着馬という事なのだろう。次走注目。

スズノマーチ

仕上がっていた前走時と同じ位の気配。リズム良く歩いていたし、下見だけをいえば勝ち馬とこの馬が抜けていた。スローの2番手で折り合い絶好の展開だったが、追い出してサッパリ。今日のデキでこれでは話にならず、失望。

エイシンスペンサー

シープスキンノーズバンド。気合は乗っていたが、多少太い。ダッシュ力の無い先行馬だが、外から次々来られて中段。以前から述べている4角先頭の競馬が出来なかった。今日は仕方が無い。

ヤマニンセラフィム

+22kg。多少馬が緩い気もするが、殆どが成長分。ただ、今日はそれ以前にテンションが高過ぎた。行きたがって何度か頭を上げるシーン。今日は競馬になっていない。