Sakura Archives

競馬回顧 2003年4回阪神・5回中山・2回札幌

スプリンターズステークス(GⅠ)

デュランダル

一年前のマイルチャンピオンシップは煩過ぎて返し馬もロクに出来なかったが、今は堂々としたモノ。ただ、その分馬体に余裕が有る嫌いも有るが。例に依ってダッシュ付かず最後方からの競馬。休養前に長目の距離を使う為に落ち着かせる調整をしていた分、超ハイペースで追走に汲々とするケースを案じていたのだが、前半33.3秒は中山1200mのGⅠというプラットフォームを考えると、超スローといっても過言ではない流れ。これで追走楽になり、4角で大外回した時の手応えもとにかく抜群で、あとは現役屈指の瞬発力を繰り出して前に届くか祈るだけといった競馬。結果、15cm差だそうだが、今まで苦労してイレ込み対策をしていたのは距離を保たせる為に他ならず、今日のスプリンターズステークスはあくまで余興。今だからこそマイルで真を。

ビリーヴ

2人曳き。この馬なりに落ち着いていたし、馬体に張りも有った。現状考えうる目一杯に仕上げられた様。好発も控えて5番手から。今日は馬も乗り役も自信満々といった競馬で、4角先頭。ただ、中山1200mということを考えると多少早かったし、坂で多少インへササって立て直すシーン。まあ、右回りへの不安が的中してしまったとはいえ、早仕掛けの方が遥かに問題で、引退レースで勝ち方に拘った故の敗戦ということになるのだろうが、興行としては立派に務めを果たし、一概に責められるモノでも無い筈。最後まで見せ場を造った安藤騎手と一時のドン底をここまで立て直した陣営には敬意を表したい。

アドマイヤマックス

2人曳き。馬体増になるが、それなりの攻め馬をやっているだけに、緩い印象は無い。スプリント戦ならこれで良い。スタート互角も控えて後方3番手。騎乗機会5連勝中の武豊騎手、外へ回しては不利と考えてインを突き、これが見事なまでに1頭分スペースが開くのだが、伸びては来ても坂を上り切ったところまで。今日はスローで決め手を要求される流れになった分が不利だった印象だが、これが現状の馬の力といえばそういう気も。

レディブロンド

馬体減らなかったのは好感。この中間もコースで乗られた様に馬体が緩いという事も無い。デビュー以来、割とズブさを見せていて、これがGⅠでどうかと思ったのだが、繰り返し述べている通りスローに救われた形。上手く馬群を捌き、前も開いて伸びてはきたが、ここまで。デュランダルの場合は現役屈指の瞬発力が有るだけにともかく、それ程切れる脚を持っている訳でもないこの馬が、いきなりのGⅠでアドマイヤマックスと互角の勝負が出来るのだから本物ということ。このレースで引退という話は撤回するとしても、今年中の引退は確定的な様だが、それはあまりに杓子定規な規定。社台の様に何とか規定を変えられぬモノか。

テンシノキセキ

長距離輸送しての馬体増はこの馬の成長だろう。以前は華奢に映った馬体が大きくみせる。最内枠だけに引くに引けずハナへ。ただ、カルストンライトオが外枠で無理をしなかっただけに、33.3秒とスローな流れ。まあ、結果的にはスロー過ぎてビリーヴの早仕掛けを誘発した形になるが、中距離とは違って、スプリントGⅠだけに下手に飛ばしても良いことは無いだけにこれはこれで仕方が無いだろう。とにかく馬体が減らなくなったのが直線の粘りに繋がっていて、スローに落とせるのも考え様に依っては充実振りの一端を示すモノ。中山1200mはコース形態からいって苦しい面も否定出来ないが、中京1200mならこの相手でも勝てる。

アグネスソニック

2人曳き。イレ込みもマシだし、馬体自体は近走で一番。中段よりやや後方からの競馬。4角で外へ回し、直線も伸びてはいるが、如何せん脚が一瞬しか続かない。内枠でセコい競馬をしないとGⅠでは通用しない。

農林水産省賞典 札幌2歳ステークス(GⅢ)

モエレエスポワール

スカッと見せて好馬体。ただ、銅が詰まった体型で、距離は短い方が良いかも知れない。好発、思い切ってハナへ。1角までは先行激化しそうなムードも有ったのだが、この馬がハナを奪ってからが遅く、前半1000m通過が65.9秒の超スローペース。まあ、流石にこのペースはスロー過ぎ、となれば切れる後続の餌食になる筈だったが、今日は道悪で差し辛い馬場だったのもこの馬には幸いした。今日はあくまで展開利。やはり短い距離の方が良いだろう。

アズマサンダース

2人曳き。+10kgは多少太く映るが、馬体に張りが有る。モエレエスポワールが主張した事も有って、一端引いての2番手。前半は、ペースがペースだけにかなり行きたがっていたが、向正面で何とか折り合いを付け切った。正直、4角で矯め過ぎて、並び掛けるシーンが無かった分、負けた印象も有るのだが、この馬としては良く頑張っているといえそう。

ヤマニンシュクル

多少チャカつくく程度。悪くは無いのだが、良くも見えない。中段の内目。超スローだったが、上手く前を壁にして折り合いを付けた。3角から徐々に内を進出しての直線勝負だが、やはりこの馬場状態とペースでは直線で既に並んでいないと苦しい。馬群を割って伸びてはきたもののここまで。

マイネルブルック

2人曳き。馬に張りが有ったし、毛ヅヤも上々。仕掛けて好位の外。3角から押し通しになってしまった点は今後の課題だが、押し通しだったにも関わらずここまで押し上げてきたのだから能力は有る。直線の長いコース向き。

タイセイドラゴン

多少姿勢は高いものの、良い踏み込みをしている。スタートで多少安目を売ったが、1角までにはインへ上手く潜り込んだ。上手く4角も捌いたし、道営の五十嵐冬樹騎手、勝った千葉津代士騎手に負けない好騎乗なのだが、馬に一瞬の脚が無かった。今日は仕方が無いだろう。

キョウワスプレンダ

テンション高いが、この血統だけに仕方無し。毛ヅヤ目立っていたし、馬体の張りも上々。後方の外。3角からマクッていったが、直線は案外。今日は馬場に尽きる。

神戸新聞杯(GⅡ)

ゼンノロブロイ

休み明けを全く意識させず、キッチリ出来ていた。尤も、成長という点では疑問符も。中段よりやや前方のインで、ネオユニヴァースを外に置きながらの競馬。4角で行き場を無くし、仕掛けのタイミングを逃しそうになったのだが、今日はデザーモ騎手の手腕がこれを救った形。ただ、前が開いてからの弾け方は他馬とは全く違っていたし、とにかく折り合い自在で道中のロスが無く、競馬センスの塊の様な馬。欲をいえば逞しさが欲しいが、今日の競馬がこの馬の本質で、道悪のダービーをこなしたのだから、あくまで他の要素が凄過ぎるだけの話。東京2000mなら古馬相手でも好勝負必至。

サクラプレジデント

前走デキの無さを指摘したが、上手く立て直してきた印象。相変わらず歩様は冴えない点は課題だが、細く見えない。道中は後方から。例に依って行きたがるのだが、前に馬を置くと折り合うのも毎度。3〜4角中間の直線部分から一気にスパートしたが、マクリ切ってそこまで。まあ、元々脚の使いどころが難しいタイプでは有るのだが、抜け切ってからソラを遣った様な印象も。セオリー通りG前寸前で交わすイメージで乗る必要が有るのだろう。

ネオユニヴァース

2人曳き。馬体重変わらずも、全体的に余裕の有る造り。しかも気負っていた。ゼンノロブロイの項で述べた通り、この馬と前後する位置にいた訳だが、前半から力んで走っている印象。そして、これで意識が馬自身に集中してしまう分、大事に乗り過ぎて差し込めなかった。今日はゼンノロブロイの前にすっかり霞んでしまったが、休み明け緒戦としては上々の内容。上位で距離延長の恩恵を一番受けるのはこの馬だけに、叩いて落ち着きが出れば巻き返す可能性大。

リンカーン

2人曳き。フサイチコンコルドの甥に当たる訳だが、そういう雰囲気が出てきた。馬体だけをいえばコレ。控えて中段のイン。過敏な馬だという印象も有ったのだが、実に折り合いスムーズ。4角最内突いたが、ザッツザプレンティがインへササり、これを引いて立て直す不利。それさえ無ければサクラプレジデントと際どい競馬が出来ていた筈で、ノドの手術の影響は皆無と見て良いだろう。これも距離延長での恩恵は大きそうで、次走注目。

ザッツザプレンティ

元々良かったが、馬体の成長という点ではこの馬だろう。例に依って馬自身が勝手に走って2番手で折り合う形。ただ、追い出してから頭が高くなるのも何時もの事で、決め手勝負となるとこの点を解消しないことには競馬にならない印象。力は有るだけに、こういう展開にならなければ競馬になる筈だが、本番でそういう展開になるかどうか? 安藤騎手、今日の敗戦で人気が落ちる様なら、思い切った乗り方をして、そういう展開を呼び込む努力はしてくれるだろうが。

マッキーマックス

2人曳き。成長の跡は感じられるものの、相変わらずトモの薄さが解消されず。今日はゲート互角で、この馬としては比較的前での競馬。直線で前をカットされたことも有って、終い伸びなかったが、坂の有るコースは不向きだけに、京都で見直したい。

マーブルチーフ

この馬も成長を感じさせる1頭。意表を突いた逃げ。ただ、口を割って走っていた様に、この戦法は向かない印象。馬は成長しているだけに、本来の差す競馬に戻った時に改めて真を問いたい。

産経賞 オールカマー(GⅡ)

エアエミネム

前走デキ落ちと指摘したが、近走一番だった金鯱賞時に戻った。道中は4番手から。2角の頂点までは引っ掛かり加減も、そこからは折り合いが付いた。3〜4角中間で一瞬反応が悪く、ヒヤッとしたのだが、一瞬の脚に欠けるだけにこういう馬だということ。ジワジワ加速するイメージで、抜け切ってからは危なげない勝利。今日は相手にも恵まれていた上、前走述べた通りGⅠの馬ではないだけに、何処かで天井にブチ当たる筈だが、この程度のメンバーではまだ余裕充分。

ファストタテヤマ

もうちょっとしっかり歩いて欲しいのだが、馬は相変わらず大きく見せる。何時も通り、後方待機策だが、今日はこの馬としては早目の仕掛け。内容としては悪くない気もするのだが、今日は相手が弱過ぎる嫌いも有って、評価としては高く出来ない。

メジロランバート

一時、毛ヅヤが冴えなかった時期が有ったのだが、それが解消されてきた。中段のイン。多少行きたがっていたが、内枠で前を壁にする形で宥める。レースは3角から一気に速くなったが、内枠で仕掛けが遅れて、差し届かずの内容。惜しいといえば惜しいが、近走惜しいと思わせる競馬すら出来なかったことを思えば、近走では一番良い内容。真っ当な良馬場ならまだ競馬になる。

グラスエイコウオー

一息入ったが、気の良いタイプでそれ程影響は感じられない。近走同様に待機策。今日は徹底して我慢したのが裏目に出た印象だが、この馬の場合はこれしかないだけに仕方が無いだろう。休み明けとしては悪くない内容。

マイネルアムンゼン

如何にも休み明けといった印象。太く映る上、歩様が硬い。好位から流れに乗ったが、新潟で一年前に施行されたセントライト記念もこんな内容で、一瞬の決め手を要求される競馬は向かない印象。加えて、エプソムカップ時に「カナハラドラゴンから0.7秒差で、今日はローマンエンパイアと同タイム。能力上からもほぼ妥当なところ」と述べたが、やはりその程度の能力。

ダイヤモンドビコー

-10kg。スカッとし過ぎている嫌い。2番手からも、例に依って気負って引っ張り切りでの追走。直線もサッパリだったが、これは牡馬相手ということだろう。エリザベス女王杯でこの距離を克服して、スッカリ忘れられているが、この距離も微妙に長い。

アクティブバイオ

近年、ボテッと見せていたのだが、今日は馬体に緩んだところが全く無い。ここ数年で一番のデキだろう。道中は中段。結果的には流れが向かなかったということだが、デキが有るだけに得意の長距離なら変わる余地大。

シンコウカリド

2人曳き。イレ込みキツいが、とにかく絶好調。休ませて本当に良くなった。誰も行かないと見てハナ。一見折り合いついている様に見えるが、やはり気負い気味の逃げ。逃げる競馬はこの馬のカードではないだけに、止まったのは仕方が無いだろう。とにかく目下のデキは3歳時以上。このデキを生かせる日が何時か来ると良いが。

関西テレビ放送賞 ローズステークス(GⅡ)

アドマイヤグルーヴ

2人曳き。文句の付け様の無い仕上がり。気合を内へ溜め込む様になったのも好感が持てる。例に依ってゲート内の所作が多少怪しいものの、それでも今春を思えば遥かにマシになった上、今日はゲートの出もマトモ。行きたがる馬を中段のインに入れて宥め、直線勝負。スローを流れに乗った時の爆発力は如何にもサンデーサイレンス産駒らしいといった印象。器という点ではスティルインラブより上だけに、全能力を発揮出来ればこんなモノだろう。ただ、母エアグルーヴは本番でファンのフラッシュに泣き、それ以来警備員がフラッシュ禁止の立て看板を持たされることになった経緯の有る馬。今日は雨でファンが少なかったのが幸いした可能性も高いだけに、GⅠで大歓声に煽られる中スタンド前からの発走になるのは多少不安。

ヤマカツリリー

多少気負っているが、それでも休み明けの札幌戦よりはマシだし、何より叩いた効果で馬が締まってきた。今日は思い切った積極策。まあ、この馬が勝つならこの戦法しかない訳で、当然といえば当然の乗り方。スティルインラブが出遅れ、アドマイヤグルーヴが折り合いに専念しているだけに、前のマークもつい甘くなりがちで、この点も向いた印象。ただ、秋華賞の京都内回り2000mというプラットフォームは主張すると案外アッサリ通ってしまうコース形態。再度この戦法がハマる可能性も。

ベストアルバム

多少硬いと思うのだが、道悪だけに許容範囲。母ベストダンシングは線の細さとイレ込みがネックだった馬で、この馬もデビュー当時はそういう傾向の有る馬だったが、この2点も大分マシ、特に後者は完全といって良い程解消された。例に依って待機策も、小倉戦よりは気負って走っている嫌いも。直線は良く伸びているが、小倉戦の破壊力を思うと物足らないだけに、道中のロスの分が相当響いているのだろう。

ピースオブワールド

2人曳き。-10kg。全く中身が無く、デキ自体の問題。道中は中段。折り合いも付いていたが、追ってサッパリ。とにかくデキの無さが全て。

スティルインラブ

+22kg。ピースオブワールドとは対照的にデキ自体は良好。しかし、数字のイメージよりは緩んでいなかったにせよ、明らかに重かった。出負け。向正面半ばまで多少引っ掛かっていた。追われてからも案外だったが、今日は馬が競馬だということに直前に気付いた様な印象、馬自体は良いだけに叩けば変わる筈。

シンコールビー

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤの良さは今春のまま。イレ込んでいただけに歩様が判り辛いのだが、多少硬い嫌いも。出遅れてそのまま待機策。しかし、その後も、今日は全く動けなかった。道悪が合わなかったとしか考えられない。

ラジオ日本賞 セントライト記念(GⅡ)

ヴィータローザ

休養前の前走では多少馬が薄いと述べたが、一息入って-6kgの割に馬が張って見える。もうちょっと前で競馬させるつもりだった様だが、1角でパッチンを食らって位置取りが悪くなってしまう。そこから外へ出し、坂と道悪の分福島戦よりワンテンポ我慢させてのマクる競馬。上がり3F40.3秒も掛かる競馬だから、切れたという表現は妥当ではないとしても、諦めずに伸びた。しかしそれにしても、この一族のローズバドが阪神で道悪で勝って以来、道悪に全く実績の無かったロサードも小倉戦を勝ち、そして今日のこの馬と、この一族には何かを感じずにはいられない。今春の東京戦の際に全く競馬にならなかったのは何だったのか。

ニシノシンフォニー

ここへ入ると取り立てて特徴の有る馬では無いのだが、バランスが良い分良く見える。1000m通過が65.8秒、終わってみれば平均ペースになったが、この馬場だけにペースの判断は難しい。それでも、結構早目に来られていた割には良く踏ん張っていて、この点は評価しておく必要が有るだろう。上がりの速い競馬は未知数でも、力は有る。

チャクラ

2人曳き。ダービー時はイレ込んでいたが、落ち着いていた。成長度という点で+10kgを感じさせないのだが、太くは無いだけにこれはこれで良いだろう。中段の外。この距離でも短いだけに、追走に骨を折るケースを懸念していたのだが、この道悪でその点が消えたのは大きい筈。道悪を否定しないが、何時もは置かれる筈の馬が今日は割と自在に動けていたし、この点は成長の跡。距離延びて一番恩恵を受けるのはこの馬なのは判り切ったことで、前が止まる菊花賞なら大仕事の可能性大。

マイジョーカー

数字こそ増減無しだが、今日は全体的に鈍重に映る。チャクラの直ぐ前。勝負どころで置かれ掛けている分がクルクル回る中山2200mのトニービン産駒ということだろう。道悪も合わない印象で、今日は度外視。

ラントゥザフリーズ

多少余裕の有る造りだが、今日は歩様の良さが目に付いた。これなら。好位の内々。中山2200m的セコい競馬が出来たと思うのだが、本質的には一瞬の脚に欠けるタイプだけにこういう競馬は向かない印象。道悪は下手ではない筈だが、内枠がアダ。

トリリオンカット

良い気合をしていたが、多少後肢の送りが硬い。逃げるニシノシンフォニーを突きながらの競馬も、4角まで。道悪で馬が嫌気を出して競馬を投げた様な印象。良馬場で改めて真を。

スズノマーチ

チャクラ同様+10kgを感じさせない造り。中段も3角でズルズル。これも道悪だろう。

大阪スポーツ杯

アイアンリアリティ

遮眼革。落ち着いていたし、歩様もこの馬としては良い方。行きたい馬に行かせて中段のインで折り合いに専念。上手く内を立ち回れたし、下手に早目に抜け切るとバカつく癖が有るだけに、逃げたサダムブルースカイを寸前で交わす形になったのも幸いした印象。

サダムブルースカイ

久々に毛ヅヤの良いこの馬を見た。馬体も絞れ、デキだけをいえばコレ。誰も行かないと見て先行策。スプリントからの転向になるが、良い時に武豊騎手がいたということ。折り合いも付いた上、マイルにしては珍しくマイペースの逃げが打てたのが相当に効いていて、あくまで本質はスプリントを器用に立ち回るタイプ。

シャワーパーティー

デビュー当時からグッドルッキングホースでならした馬だが、重量感も出てきた。ただ、脚捌きの硬さはネック。好位の外。この馬としては折り合い付いた部類。四位騎手、追って切れる脚が使えないのも見越して早目に前を捕まえに行ったが、相変わらず全く伸びなかった。硬い馬だけに止むを得ない部分も有るのだが、とにかく決め手不足。

ロードフラッグ

この馬なりだと思うが、トモが甘い。道中は2番手。スローでも折り合い付いていたが、坂でバッタリ。やはりトモが甘いだけに坂が応えるのだろう。

サイレントクルーズ

馬自体はそれなりに出来ているが、これもトモが甘い。中段からの競馬になったが、これも坂で見事に止まった。ロードフラッグ同様、トモが甘いだけに。

朝日チャレンジカップ(GⅢ)

カンファーベスト

2人曳き。コンパクトに纏まった馬体で、如何にも切れ者といった印象。大物感には欠ける嫌いも有るが、今日の状態がこの馬の絶好調時ということなのだろう。道中は中段のイン。多少行きたがる素振りを見せていたものの、前を壁にして折り合う形。4角もそのままインで脚を矯め、直線だけ外へ持ち出したが、手応え通りに弾けて快勝。抜け出してから多少遊ぶシーンが有り、着差こそ僅かだが、実力的にはここでは一枚上といった印象。気性による目減り分はともかく、能力の絶対値だけをいえば、GⅡレベルは有りそう。

アラタマインディ

馬体絞れて止め絵は良く見せるのだが、歩様が硬い。好位のイン。トーアカゼノオーの造る平均ペースに上手く流れに乗った。結果的にはそのまま雪崩れ込んだだけも、差し辛い馬場でこの分の展開利も相当利いた印象。歩様の硬い馬だけに、上がりが適度に掛かったのも向いた。今日はあくまで恵まれた2着。

ヒマラヤンブルー

数字程では無いのだが、多少細い嫌い。ただ、テンションが高くなかったのは折り合い面で良い方に出た印象。トーアカゼノオーに行かせて2番手。前述した通り、下見で落ち着いていただけに、スムーズに流れに乗れた。また、これもアラタマインディ同様歩様の硬い馬で、差し辛い馬場にも関わらず上がりの掛かる展開になったのも向いた印象。

サンライズシャーク

2人曳き。馬体絞れる。例に依って後方からも、今日はトーアカゼノオーの術中にハマった印象。3角から徐々に動いているが、良い脚が長く続くタイプではないだけに、この流れではお手上げ。まあ、所詮ハンデ54kgの馬だけに、別定戦で展開向かなければこんなものだろう。

メイショウドメニカ

多少トモが甘く、馬自体にも差が有るのだが、デキ自体は良さそう。道中は好位の外。最後は坂で止まってしまったが、阪神実績の無さが示す通り、トモが甘くて坂に弱いだけに仕方が無いだろう。平坦ならそれなりにはやれる筈。

エイシンスペンサー

シープスキンノーズバンド。休み明けの前走でキッチリ出来ていただけに、今日もそのままの気配。好位からの競馬も、切れる脚が無いにも関わらず、インで脚を矯めようとしていたのが失敗。この馬の場合は、前走の吉田稔騎手の様にもっと強引に動かなければ持ち味が生かせない。テン乗りで同情の余地は有るが、今季好調の幸騎手、こういうところはまだ勉強が足らない。

エイシンハリマオー

前走時も述べた通り、馬体は良いのだが、関屋記念以来歩様が悪過ぎる。道中は後方からも、多少行きたがる。歩様が硬いだけに、行きたがる馬を我慢させても良いことは無く、今日はこの段階で出番無し。まあ、これも騎乗ミスといえばそうなるが、前走時に述べた通り、毎回手替わりしているだけに、この点の方が遥かに問題。

ビッグゴールド

攻め馬動いただけに期待したのだが、馬が緩い。ただ、毛ヅヤは良かっただけに、デキ自体に問題は無い筈。中段にいたが、直線は全く伸びず。実績が示す通り叩いてからになるだろう。