Sakura Archives

競馬回顧 2025年2回阪神

第85回皐月賞(GⅠ)

ミュージアムマイル

2人曳き。気配は何時もいい馬。今年は馬質が全体に低いのだが、その中で完成度が高い。王道というべきか、定跡通りの使い方だが、馬体が締まって見えた。ゲート五分。出脚はクロワデュノールの方が速かったが、最初からの決め打ちでクロワデュノールをマークする形。序盤は行きたがっていたが、内目に押し込んで何とか我慢させた。向正面でクロワデュノールとは違う形で不利を食らっているが、クロワデュノール程、大きなモノではなかったのは、結果的に大きかっただろう。マークしながらも、このペースを読み切って、クロワデュノールの早仕掛けからワンテンポ待っての追い出しも完璧。間にサトノシャイニングが入ったことで、直線入口では少し距離が出来たが、坂下辺りから射程圏に捉え、登坂力の違いでネジ伏せた。展開がハマったといえばそうだが、それに応えた馬も立派。今週はマイルの未勝利が1分32秒0と中々の高速馬場で、この時計でも遅い位だが、下見通り、それだけ馬が良くなっていたのだろう。この鞍上が次走乗れない点はどうかだが、今なら誰が乗ってもそれなりに走ってくれる筈。

クロワデュノール

+4kg。迫力がないのは仕方がないとしても、もう少し馬を締めていい筈。万全ではなさそう。歩様にも少し頼りなさが残った。1完歩目で躓いたが、出脚が速く、直ぐに立て直して好位。毎度のこととはいえ、道中は掛かり気味。更に、このメンタルに余裕がない状態で、向正面でファウストラーゼンを始めとした数頭が外から一気に来て、その最後尾に居たアロヒアリイに前をカットされる形になったのが痛恨。余計に馬が怒ってしまった。そのファウストラーゼンだけは潰すべく、3角過ぎから動いて行く競馬。意図は分かるが、強引に行けば、何かにやられるのは仕方がないところ。それが名手が乗るミュージアムマイルだった。これで3着に落ちる様だと、鞍上が責めを負うが、今日はこれで最低限の仕事。力は示した。次走東京戦も有力だが、掛かる気性だとこの手の不利を招き易い。

マスカレードポール

パシュファイヤー。-4kg。例に依ってスラッとした体型。悪くいえば、馬が薄い。トモが甘いのも何時ものこと。半馬身出遅れ。直ぐに両サイドから挟まれて進路がなくなり、後方のイン。向正面でゴチャついたが、この馬の位置だと影響は軽微。それなりに窮屈では有ったが、道中のリズムは悪くなかった。ただ、中山向きではなそうで、コーナーの脚がもうひとつピリッとせず、4角で少し距離が出来たのが痛かった。直線に向いてからは良く差を詰めている。4角でもう1馬身前に居たら、2着有ったか。もう一段成長が欲しいのは山々だが、今年のメンバーで東京なら逆転の目も。

ジョバンニ

2人曳き。少し煩い位の気配は何時ものこと。大物感はないが、緩いところもなく、馬は纏まっている。歩様もしっかりしていた。1完歩目が合わなかったが、出脚で立て直して中段。折り合いも直ぐに付き、丁度、眼前に居たクロワデュノールをマークする格好。この策自体は間違っていないが、向正面で例の不利が有り、この馬の番手の下がり方が一番大きかった。そこから外に立て直したが、4角でミュージアムマイルに弾かれる場面が有り、この2つの事象で3馬身はロスしている。他馬もそれなりに不利は食らっていて能力比較は分かり辛いが、2着有ってもおかしくない競馬だった。根性は買える。次走東京戦も2,3着なら。

サトノシャイニング

2人曳き。前走京都戦は如何にも東京戦目標といった緩慢さが有ったが、大分シャキッとして来た印象。まだまだだが、今日のメンバーならマシな方。歩様も許容範囲。好発。、この鞍上らしく、行けるなら少しでも前へという意思は感じたが。馬が行きたがってしまい、他馬を前に置く形で宥めて中段やや後方から。向正面で競馬が動いた場面で、クロワデュノールマークに切り替え、クロワデュノールの早仕掛けに対しても、付いて行く形。ただ、流石にコーナーでの手応えが厳しく、直線での決め手の差も有った。折り合いが付けば次走東京戦でもという話になるが、引っ掛かる気性は狙い辛い。外枠の分を考慮しても、掲示板争いの1頭か。

マジックサンズ

シープスキンノーズバンド。+6kg。前走が+10kgで、更に馬体が増えたが、むしろ今日の方が緩さがない。確実に成長分。歩様にもキレが有って、完成度はミュージアムマイルがNo.1だが、迫力も含めたら、下見はこの馬が一番良かった。ゲートをソロッと出して後方から。道中の折り合いは付いていた。ファウストラーゼンが動いた場面でも我関せずで、4角でも最後方の大外。ただ、そこでミュージアムマイルをジョバンニが弾いて、そのアオりを食う形。地味に痛かった。直線も最後迄、伸びているが、今日の馬場だとこれが一杯。恐らく、今日の時計勝負も向かないのだろう。とはいえ、馬は良くなっていることは確か。東京線は雨が降れば浮上の目も。

エリキング

前後肢にバンテージ。骨折明けとはいえ、思ったより緩い。とはいえ、2歳時より成長は有りそう。歩様も含めて、いい方向には向いている。ゲートは五分だったが、出脚で差が有って中段から。行き振りはむしろズブい位で、向正面でペースが上がった際も、置かれ加減。枠なりに内を回って、直線は反応の鈍い中で1頭分有るかないかのスペースを割って行く形となり、これが一杯だった。もう1列前なら結果は違っただろうが、諦めずに走っていた点は評価したい。次走改めて。

第30回アンタレスステークス(GⅢ)

ミッキーファイト

前後肢にバンテージ。前走東京戦はこの馬にしては活気が有ったが、今日は何時も通りの地味気配。-6kg。この馬体減もいい傾向。3歳時に感じた緩さが完全になくなった。ただ、歩様は毎度のこととはいえ、少し硬い。-6kg。好発。出脚も速く、スッと好位。出脚が速過ぎて、ハナへ立ちそうになり、少し引っ張る場面も有った程。何とか3番手で我慢させたが、後ろは気にせず、前の馬にプレッシャーを掛け続ける形。1000m通過60.8秒のペース以上に前の馬にはキツい展開となり、結構強気に乗られた印象。今日は鞍上も自信が有ったのだろう。4角はサンデーファンデーも必死で抵抗していたが、被せ気味に回って先頭。あとは独走だった。前走はマイルで行きたがっており、引っ掛かる面が1800mでどうかと思ったが、単純に力が抜けていた。ただ、この競馬で2000mが保つとは思えない。距離が延びるのは歓迎しない筈。次走大井戦で踏ん張れるなら、化け物級。秋は米国遠征した方がいい。

タイトニット

遮眼革。前後肢にバンテージ。こちらは逆に普段大人しい馬だが、時折チャカついていた。大型馬だが、緩さはなく、馬自体はこれでいい。歩様も悪くなかった。1完歩目が遅かった訳ではないが、アオり気味に出て、出脚が鈍り、後方から、序盤はかなり行きたがっていたが、バラけた位置で何とか宥めて、2角からはスムーズ。3角手前辺りから少しずつ前との差を詰め、4角でほぼ中段。無理に外を回さず、ここで一息入れる場面が有ったのが最後の伸びに繋がった印象。悠々2着は確保した。尤も、今日は追っ掛けバテを誘発し易い展開。今日はそれ以上でもそれ以下でもない気もしないでもないが、ゲートの駐立が悪い馬で、今日はまだマシだった。その点だけは収穫。

ラインオブソウル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。大きく変わっている訳ではないが、今年は腹回りが少し緩慢。昨年のこのレースで13着だったが、当時の方が雰囲気が良かった。ダートを走るには惜しい位の柔らか味の有る歩様は変わらないのだが。これもアオり気味の発馬で、出脚が付かず後方から。バラけた位置でコースロスなく回って来れたが、道中の手応えはお世辞にもいいとはいえなかった。直線に向いてから外へ持ち出し、勝ちに行くなら一手遅いということになるが、好位勢が崩れる展開に乗じて3着確保。昨年より着順は良くなったが、内容は宜しくない。尤も、こちらはもう少し距離が有ってもいいかも知れない。

ミッキーヌチバナ

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。デキ一変! 前走中山戦から1ヶ月経っていないが、明らかに馬体の張りが良くなった。完全に不調を脱したと見ていい。歩様にも柔らか味が有って、ブレがない。ゲートは半馬身程、分が悪かったが、出脚で挽回して中段。好位勢、特にミッキーファイトが前にプレッシャーを掛けに行く展開となり、自然と前との距離が詰まり、4角で2列目と絶好の形。直線もミッキーファイトが抜けてくれたことで、自然と前が開いたが、坂下辺り迄は2着有りそうな勢いだったが、最後は甘くなった。底力の差以外の何モノでもないだろう。ただ、下見は明らかに良くなっていた。マイルに出て来る様なら見直す手も。

ブレイクフォース

遮眼革。オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。毛ヅヤが冴えて、デキ自体は良さそう。500kgを超える馬が多くて、490kgのこの馬でも迫力不足に感じる程だが、馬体の張りも良かった。ただ、歩様が明らかに硬い。大外枠だったことも有るが、出ッパもヨレ気味で最後方から。内へ寄せてイチかバチかの競馬。4角でも離れた位置だったが、道中の行き振りはそんなに悪くなかった。ただ、これだけ脚を矯めた以上は、もう少し伸びて欲しかったところか。前も開いていただけに、力が有れば3着は有った筈。重賞だとワンパンチ足りない。

ヤマニンウルス

前走が-18kgと絞れていて、馬体はこれでいい。この体重を考えたら、スカッと見せていた。ただ、これも少し歩様に硬さが出て来た。例に依って、ゲート自体は速くないが、ミッキーファイトの外で展開上は有利で、ジワッと好位。道中も前がやり合うのを一歩引いて眺める形となり、これ以上ない展開だったが、道中の手応えからミッキーファイトとは差が有り、4角辺りからは付いて行くのがやっとの状態。それを考えたら、まだ直線はこれでも踏ん張っている方。今日はスピード負け。リズムの問題というよりは、重賞のクラスになると、馬力だけではカバーし切れない部分が有るということ。

ホウオウルーレット

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。これも歩様がダメ。馬体も全体に硬さが出て来た。ゲートは五分に出たが、出脚でやられて後方から。これも行き振りが道中のイマイチで、馬群を割る自信がなかったか、この鞍上にしては珍しく直線も外。当然ながら、全く伸びなかった。デキに敗因を求める外なさそう。立て直して改めて。

第85回桜花賞(GⅠ)

エンブロイダリー

前後肢にバンテージ。馬のスケールはこのメンバーなら一枚上だが、ところどころで薄い部分が有り、まだ成長途上。トモの甘さは幾らかマシになった。スタート直後に出脚が鈍り、一旦内に入れてから追い上げて中段の内目。出して行っている分、操縦性が悪そうで、3角で外へヨレて過怠金を取られる場面。直線に向いて、中々外へ持ち出せなかったが、坂下で一瞬のスペースに飛び込んで、前が開いた。一瞬の脚で抜け切って、最後はアルマヴェローチェに詰められたが、何とか押し切った。強引な競馬では有ったが、それも能力が有るからこそ出来た芸当。距離は延びても問題ない筈で、次走も有力。ただ、今日のレースだとアルマヴェローチェとの能力差はないに等しい。

アルマヴェローチェ

2人曳き。数字は増えたが、見た目は前走京都戦の方がフックラ見えた程。成長分ということか。 歩様の力強さも増した。ゲートは微妙に悪かったが、何とか中段。調教師の指示で、特に小細工せず外を回って来たとのことだが、道中のリズムは悪くなかった。勝ちに行くというよりは、不利を食らわない様に乗って、その点は目論見通りに運べたが、今日の馬場で内で脚を矯めていたエンブロイダリーが抜けて来たのは想定外だったか。ただ、坂で一瞬エンブロイダリーに突き放されそうになりながら、最後は再び差を詰めている。2歳女王としての矜持は示した。次走東京戦も有力。

リンクスティップ

前走京都戦はチャカついていたが、今日は落ち着いていた。ただ、馬体の成長は感じない。相変わらず馬が薄くて、歩様が非力。出遅れ1馬身不利。直後に挟まれ気味になり、最後方から。1800mをスローで逃げた後ということも有り、序盤の行き振りも悪く、テンから置かれて、馬群にも取り付いていなかった。3角で漸く追い付き、そのまま外を追い上げる形。道中で余計なことをしていないことも有り、4角を回る雰囲気が良く、前とは差が有ったものの、3着は確保。当然ながら、鞍上は出遅れを悔いたが、揉まれる競馬を経験していなかっただけに、結果的にこれが良かった印象も。次走、東京2400mという点も含めて、悪い方には出ない筈。ただ、勝ち負けに持ち込むには、もう少し馬力が欲しい。本当に良くなるのは、ひと夏越してから。

マピュース

-8kg。数字は絞れたとみていい。前走東京戦が少し緩慢だった。その分、歩様にキレが出た印象。これも出遅れて、後方に近い位置。枠なりに只管インを回る形。道中は少し行きたがっていた位に見えた。腹を括って、直線もインから。右手前のままだったが、一瞬は夢を見られる位の脚が有った。流石に坂が上り切れず、最後は苦しくなったが、前走東京戦を考えれば、かなりの進境が有った。道悪も上手いのだろうが、1戦毎に馬が良くなっている。

エリカエクスプレス

数字は一緒だが、今日の方が幾らかスカッと見せる。その分だけ成長が有るということもいえるか。しっかり踏めていた点も好印象。好発。一瞬で1馬身抜けて、ハナ。1000m通過58.6秒だから、馬場状態を考慮しても、何とか粘っていいペースだが、序盤に力んでしまったのが痛い。4角の手応えは悪くなかったが、直線に向いてからの踏ん張りが利かなかった。尤も、ところどころでノメッており、直線で外へ持ち出していた点からも、こういう馬場は得意ではなさそう。次走、改めて。

ヴーレヴー

+6kg。また馬体増。それでも今日の方がむしろ締まって見える。明らかに成長している。いい馬になった。歩様も軽やかで文句なし。出脚が苦しそうで、スタート直後から押して何とか好位。その分、序盤のリズムがもうひとつ。それでも4角の手応えは良く、内から抜けて来た時は勝ったかの勢いだったが、坂が全く上れなかった。これも明らかにノメる場面が有ったが、道悪はダメか。ただ、馬は間違いなく良くなっている。距離も保つ筈で、東京戦へ使って来る様なら、狙ってみたい存在。

ブラウンラチェット

+16kg。数字は回復分。前走京都戦が細かった。デビュー当時と比較しても、馬体にメリハリが出て、馬自体も良くなっている。歩様も悪くない。出遅れ2馬身不利。出脚もなさそうだったが、走り出してからのリズムは悪くなかった。3角辺りから内に入れ、直線に向いて、全く伸びなかったが、走り自体は悪くない。この馬場はこなしている。敗因は距離不足か。これも東京戦で見直したい。

第43回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

イミグラントソング

前肢にバンテージ。前走東京戦から一変。集中して歩ける様になり、馬体に張りが出た。歩様も力強い。微妙に出負けして、後方から。道中の折り合いは付いていた。眼前のプリティディーヴァを目標に動いて行く形。この点だけは楽だったが、あとは外を回って、中山マイルの外枠の不利はそれなりに食らっているが、最後迄力強く伸びてGⅠ馬をネジ伏せた。単純に力が違った。東京戦でも有力。以前より折り合いが付く様になっており、前走の様なことはない筈。

アドマイヤズーム

2人曳き。+8kg。今日は少し煩い。前走京都戦と違って、完歩の小さい歩様がマシになったが、馬も数字分だけ少し緩い。ゲート五分。他馬の様子を窺いつつ、好位から。1000m通過57.7秒は平均より少し速い程度のペースだが、その割に前がバラバラの展開。スムーズに運べた。4角手前から勝ちに行く競馬に出て、坂下で先頭。ただ、回り脚が微妙に鈍く、その分、先頭に立つのが遅れ、坂を上ってイミグラントソングに捕まった。とはいえ、GⅠ馬の貫禄は示した。下見通り、仕上げも手緩かった筈で、東京戦へ向けて、試走を無難にこなしたということはいえるか。

コートアリシアン

-6kg。後肢にバンテージ。1戦毎に歩様が良くなっているのはいい。毛ヅヤも良くなった。これ以上、減らない方がいいが、数字の割に馬を大きく見せるタイプ。直ぐ外のベイビーキッスがロケットスタートを切ったが、それ以外とは一緒位の発馬。引っ掛かる気性だけに、ソロッと乗られていたが、今日はソコソコ流れて前がバラける展開となり、折り合い面は何とか付いていた。道中は只管インを回って、直線も上手く捌いて抜けて来たが、いい脚が一瞬しかなく、坂を上って甘くなった。とはいえ、馬は責められない。今日は外を伸びて来た馬が多く、見た目以上に内目の馬場が悪い。ガサがない馬だけに尚のこと応えただろう。パンパンの良なら突き抜けていい力は有る。

プリティディーヴァ

前後肢にバンテージ。-10kg。筋肉の輪郭が浮いて、全体に締まった印象。歩様もしっかりして、悪くない。出負けして、後方。それでもこの鞍上なら、本来はもう少し攻めた乗り方が出来る筈だが、最初から行きたがっており、引っ張り切りでの追走。道中であれだけ行きたがると、勝負どころの反応が悪くなるのは仕方がないところ。そこをイミグラントソングに外から来られ、仕方なしにアドマイヤズームの内へ進路を切り替えざるを得なくなり、逡巡する場面。全て自分で蒔いた種だが、3着は有った競馬。尤も、この鞍上でダメなら、誰が乗っても厳しいのだろうが。

ミーントゥビー

前肢にバンテージ。-6kg。良くも悪くも造りはシャープになったが、いい点としては歩様の窮屈さがなくなった。ただ、見た目には、これ以上、減らない方が良さそう。この馬としてはゲートを出た方だが、それでも半馬身程、分が悪く、中段から。特に急かすことはなく、ジックリ乗られて、直線だけ外へ。今日の展開でイミグラントソングの後追いでは、一手遅いのだが、そもそも回り脚が速ければイミグラントソングに併せて行く形も取れた筈。追ってからもそうだが、全体に反応が鈍い。今なら、もう少し距離を延ばしてもいいかも。

第68回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

サフィラ

テンションが高い。馬体はこんなモノで、良くなった印象はない。見た目にはもっと増えてもいいと思うが、この血統は晩生の割に馬体が増えて来ない傾向も。ゲートは決まったが、出脚が抜群に速いということはなさそうで、押して好位。外から引っ掛かったイフェイオンにも連られることもなく、折り合いは付いていたが、結構強気に乗られた印象。その割に坂下で追い付かれていたのだが、そこからが渋太かった。お世辞にも瞬発力はなさそうだが、見た目の割に持続力が有る。姉サラキア同様、もう少し距離は有った方が良さそう。次走東京戦はハナ切る位で行かないと厳しい。

アルジーヌ

前後肢にバンテージ。+12kg。多少立派だろうが、今日の方が馬に迫力が有る。成長分も有りそう。歩様にも力強さが増した。ゲートは出たが、出脚で差が有り、何とか好位。内目の馬場が悪く、馬群が固まる迄に時間が有ったのが幸い。その分、1列前に来れた。ただ、出した分、道中は少し力んでいた様にも見えた。直線に向いて、1頭分の狭いところを割るところ迄は良かったが。最後の最後に差し返される形となり、ハナ差の2着惜敗。勝てる競馬を落とした感は有る。尤も、今回は本来の鞍上が落馬負傷で乗り替わり。次走東京戦は、手が戻れば巻き返していい。

ラヴァンダ

前後肢にバンテージ。垢抜けた造りの馬。3歳時は非力な印象も有ったが、トモにボリューム感が出て、いい馬になって来た。踏み込みが明らかに深くなっている。ゲートの駐立が悪かった様で、出遅れ1馬身不利。出脚で挽回して中段やや後方。ソーダズリングを目標に運んだが、外を回された上に、直線で前が開く迄、暫く待たされたのが痛かった。前が開いてからは良く伸びている。ハナ+ハナの3着なら、勝ちに等しい。トビの大きい馬で、東京マイルも合う筈だが、持ち時計がないので、次走に関してはスピード負けする危険も有りそう。

ビヨンドザヴァレー

前後肢にバンテージ。歩様に柔らか味が有って、リラックスして歩けていた。馬体にはもう少しメリハリが欲しいが、何時もこんな感じ。好発。一瞬はそのまま行かせるつもりにも見えたが、タガノエルピーダが引かず、控えて好位。ただ、控えるにしても、内枠だけにもう少しやりようが有った様にも見えた。前に馬を置く形では有ったが、ちょっと力んでいた。直線に向いてからも、もうひとつ弾けず。上手く立ち回って、内目で脚を矯める形なら、少なくともアルジーヌにやられることはなかった筈。能力的には似た様なモノだが、悔いが残る競馬。

ボンドガール

-8kg。数字は暖かくなって、絞れたモノだが、GⅡということを考慮すると、少しスッキリし過ぎていた感も有る。歩様も含めて、デキに問題はないのだが。ゲートは五分か少し分が悪い程度で、中段やや後方から。折り合い面の不安はなくなった筈だが、今日は珍しく行きたがっていた。その関係で、内へ入れる余裕がなく、ずっと外を回らされた上に、スウィープフィートにマクられて、余計に外を回される格好になった。最後は良く差を詰めている。差し一手だけに、時折こういうことが有るのは仕方がないところ。

ソーダズリング

前後肢にバンテージ。-4kg。動きにキレが有って、今日も気配はいい。ただ、腹回りがスッキリし過ぎていて、これだと少し細いかも。この馬としてはゲートを決めた方だが、折り合い面を考慮して、中段から。折り合い面は多少怪しい程度で、マイルにしては我慢していた方だろう。4角を持ったままで回って、直線に向いてからの反応も悪くなかったが、坂が全く上れなかった。明らかに距離が長い負け方。尤も、次走東京戦に関しては1400mベストの馬が強いレース。今日の敗戦で人気を落とす様なら、狙ってみる手も。

タガノエルピーダ

-8kg。前走京都戦が一枚重い状態。今日の方が所作もキビキビしていて、全体に雰囲気はいい。一歩一歩にブレがない。好発。出脚も速く、そのまま行かせ一旦はハナも、イフェイオンが来て、その番手で我慢させる形。これ自体は上手く行ったが、直線入口でイフェイオンの内外で迷い、一度最内を狙って進路が塞がれ、イフェイオンの外でまた進路が塞がる場面。最後は止まったが、馬が諦めた様にも見えた。鞍上の失敗。デキはいいので、これも次走東京戦で巻き返していい。

第69回大阪杯(GⅠ)

ベラジオオペラ

シープスキンノーズバンド。戦前は急仕上げだという話だったが、見た目には問題なさそう。伸びやかな歩様で、毛ヅヤも冴えて、文句なしの状態。好発。例に依って、出脚も速く、行きたい馬に行かせつつ、スッと好位。スローだった中山戦の後だが、折り合いも付いて、インで流れに乗れていた。4角を手応え充分に回って、ホウオウビスケッツの外。暫く、そのホウオウビスケッツとの併せ馬になっていたが、坂を上り切る直前で決着を付け、余裕を持って押し切った。時計自体は序盤のラップを考慮すれば驚きに値しないが、馬場の良否を問わず堅実で、正に馬主孝行。タイプは違うが、競馬の上手さだけならキタサンブラック級。出脚が速いのが何よりで、今後も息の長い活躍が期待出来る。

ロードデルレイ

前後肢にバンテージ。-4kg。一線級と当たるのは初めてだが、迫力で負けていない。毛ヅヤが冴えて、デキもいい。歩様にも力強さが有った。ゲートが微妙に悪く、外からエコロヴァルツに来られたことで、前へ行ける位置関係でなく、押し込められる様な格好になり、後方から。このペースで流石に折り合いは付いていた。出来る限り、コースロスなく乗ろうという意図は有ったが、馬群の関係でずっとそれなりに外を回される形。この時計でも有り、決して楽な展開ではなかったが、1頭だけ外から追い込んで来た。30年前なら勝っていたパターンだが、現代競馬で何か1頭残るのは仕方がないところ。ただ、トビが大きく、馬振りの良さも含めて、大物の相は有る。最低でも一度はGⅠに手が届く馬。

ヨーホーレイク

2人曳き。-8kg。数字は絞れたモノ。馬体も明らかに締まって、今日は抜群に良かった。故障が多いので、硬さが有るとダメだが、その点もクリア。ゲートのタイミングが合わず、出遅れ1馬身振り。今日の馬場だと出脚もキツく、最初からオッツケ気味で後方。鞍上も腹を括って、最初からインへ寄せていた。道中もお世辞にも手応えがいい様に見えなかったが、坂下辺りから急に加速して際どい3着争いを制した。鞍上が僅かでも進路を間違えていたら、掲示板も有ったかどうか。あくまでギャンブルだが、上手くハマった。力は有る。尤も、次走となると、休み休みの馬が、この時計で走って再び走れるとも思えない。あくまで馬場状態次第ということになるが、雨が降れば今後も有力。

エコロヴァルツ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+4kg。数字分だけフックラしたが、あとは前走中山戦とそう変わらず。少し完歩の小さい歩様も毎度。ゲートは五分程度。出脚は速かったが、枠が遠い分と引っ掛かりそうになり、無理はせず、中段で馬を前に置く形。道中は只管ジッとして直線に賭け、その反応も中々俊敏だったが、最後の最後に甘くなった。器用なので距離不問でそれなりにこなしているが、脚が一瞬しか続かない傾向も。全3勝の実績が示す通り、ベストは1800m。

ホウオウビスケッツ

2人曳き。前走中京戦からは平行線。気配は地味だが、馬体に張りが有って、高値安定。歩様にも柔らか味が有った。好発。ただ、出脚はべラジオオペラの方が速く、更にシックスペンスに一瞬、勢い良く来られたことで、掛かり気味。そこへ出遅れながら挽回して来たデシエルトが来たことで、序盤はかなり落ち着きのない展開になった。2角辺りからは自分のペースを取り戻し、デシエルトは4角手前で止まっても、あまり早く先頭に立たない様に工夫して、あと一歩だったが、ひと踏ん張りが利かなかった。今日はこれで仕方がないが、何かひとつ違えば2,3着有ったか。GⅠでも展開ひとつ。

ジャスティンパレス

+6kg。前走中山戦の方が明らかに雰囲気が良かった。今日は馬体に張りを欠き、所作に切れがない。ゲートは五分に出ているが、出脚は流石に厳しく、押して押して中段。昨秋3戦は全てスロー、久々のハイペースで、道中も追走に手一杯。4角からは愈々置かれそうになって、鞍上の手が盛んに動いていたが、雪崩れ込むのがやっとだった。当然ながら2000mは論外。ただ、適距離と思える京都戦はスキップするとのこと。使い方がマズい気もしないでもないのだが...。

シックスペンス

シープスキンノーズバンド。-12kg。前走中山戦が一枚緩い状態で、数字的にはこれでいい。見た目にも細いという印象はないが、今日は歩様が硬く映った。特に左後肢の出が悪い。好発。積極的に乗られて好位から。引っ掛かっていたという程ではないが、妙に一生懸命走っている様には見えた。直線も坂下で既に手応えがなくなる始末。ダラしなかった。2000mのハイペースだと脚が続かなかった格好。デキが怪しいのは分かっていた筈で、、もう少し工夫が有っても良かったか。

ステレンボッシュ

2人曳き。後肢にバンテージ。海外遠征が続いていたが、昨秋の京都戦と比較して-8kg。これだと少し細いかも。これも歩様に硬さが有った。ゲートは五分に出たが、出脚が苦しく、後方に近い位置。1角手前でロードデルレイに寄られ、内へ押し込められる形となり、1列下げる場面。道中のリズムはそこ迄、悪いとは思わなかったが、いざ追ってサッパリだった。これもデキに原因を求めた方が良さそう。シックスペンスと同厩で、同じ馬運車で西下して来た筈だが、何れも馬体を減らしており、輸送でトラブルが有ったのか...。

第57回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

トロヴァトーレ

+10kg。馬体に張りが有るので、デキ自体は良さそうだが、少し重たい。ただ、前走と違って、歩様に窮屈さがないのがいい。ゲートは半馬身程、後手。出脚も甘く、押して何とか中段。押した分、道中はかなり力んでいる様に見えたが、馬群の中で動くに動けない格好。直線は最内に進路を取って、一瞬の脚で抜け切って押し切る形だったが、最後は筒一杯だった様にも見えた。結果的に4角でちょっと馬群がバラけ気味になり、ここで一息付けたのは最後のひと踏ん張りに繋がったかも。結果として単勝1.7倍の1番人気に応える形にはなったが、怪しさは残る。次走、人気になるなら嫌ってみたい。

コントラポスト

前後肢にバンテージ。少し寸の詰まった馬体の印象もそうだが、如何にもマイラーといったキビキビとした歩様。ゲート五分。出脚も負けていないが、出して行く感じではなく、出たなりで中段。内外前に馬が居る状態だったが、道中はリズム良く走れていた。3角辺りから少し気合を付けて、行ける範囲で進出。4角で2列目迄、押し上げ、直線もスムーズに捌いて来れたが、あと一歩届かず。結果は枠の分で、能力比較では互角。ただ、競馬は上手いとしても、もう少し一瞬の決め手が欲しいところ。ちょっとジリッぽい。

キープカルム

少し姿勢が高いのは気になった。今日はその分、歩様に力強さを欠く。ただ、毛ヅヤは良くなった。馬体の張りも悪くなく、下見は良し悪しが有る。出遅れ1馬身不利。挽回出来るスペースもなく、そのまま後方から。ただ、眼前がトロヴァトーレだったのは最早僥倖に近いレベルで、最内を後を追う形で伸びているのだが、これも一瞬しか脚がないのか、3番手争いから抜け出したところで明らかに止まった。基本的に非力。時計はソコソコ速かったが、今日は雨の影響は微妙に残る馬場で、下見通り、パンパンの良馬場の方が良さそう。

マテンロウオリオン

2人曳き。遮眼革。-14kg。数字分だけ締まった印象。歩様にも切れが出て、馬にも活気が有った。明らかに今日の方がいい。ゲート五分。この鞍上だけに怪しさは有るが、手が動いても進んで行かず、最後方から。今に始まったことではないが、馬群にも取り付いていなかった。直線は大外。今日の時計だとこれが一杯だが、最後迄、諦めずに走っていた。絞れたことが大きいのだろうが、復調のキッカケは掴めたといえそう。

ゾンニッヒ

少し腹回りはボテッと映るが、緩い印象はない。デキとしては問題なさそう。しっかり踏めていて、その点でも走れる状態では有った筈。出遅れ1馬身不利。ただ、外枠だけにリカバーが利いて、押して中段。外は回ったが、この形でも折り合いは付いていた。直線に向いて、更に外から来たマテンロウオリオンとの併せ馬になったが、道中のメリハリの差でやられてしまった。逆にいえば、力量差はない。内枠なら勝てる力は有るが、ゲートはネック。

ロジリオン

多少煩いのは元々だが、今日は1人で曳いている分、余計に落ち着きがない。トモが張って、毛ヅヤも良好。デキ自体はいいのだが...。ゲートは一応五分。外から出して行って中段。ただ、ゾンニッヒに粘られて、苦しくなった。仕方なしに少しでもコースロスなくと前へ行ったが、58.5kgのハンデでダラダラ脚を使わされて、直線は全く伸びず。競馬になっていない。少なくとも馬は責められない。

第34回チャーチルダウンズカップ(GⅢ)

ランスオブカオス

下見所の外を周回して、気配良好。馬体にメリハリが有って、完成度も高い。トモの送りは少し硬いが、これもマイルなら許容範囲。好発。そのまま行かせて好位。鞍上の未熟さも有るだろうが、隊列が落ち着く迄は少し行きたがっていた様に見えた。4角で一息付いて、直線はモンテシートとツーエムクロノスの間を割る形。ただ、ここで慌てなかったのは大きかった。1頭分のスペースを脚の違いでコジ開けて快勝。馬,鞍上共に重賞初制覇。アルテヴェローチェが失敗した影響も大きいが、能力はこのカテゴリートップクラス。胸を張って東京戦へ向かう形となるが、あとは運。

アルテヴェローチェ

前後肢にバンテージ。前走中京戦はイレ込んでいたが、今日は落ち着いていた。ただ、今日も歩様が硬い。馬体の雰囲気は前走よりいいのだが。出遅れ1馬身不利。あまり出して行くと、引っ掛かりそうな気配も有り、後方から折り合い重視で乗られた。3角過ぎから少しずつ押し上げて、丁寧に乗っていた印象だが、4角で馬群が固まって外を回る形になったのは痛かった。ダラダラ脚を使った分、最後はミニトランザットに詰められ、2着死守するのがやっとだった。今日も勝てる競馬を落とした格好。尤も、次走は本来の鞍上に戻る筈で、今日の敗戦で人気が落ちる様なら狙ってみる手も有るが。

ミニトランザット

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。筋肉の輪郭が浮いて、馬体の張りは良さそう。ただ、トモも張って、見た目は悪くないのだが、見た目を考えると、歩様に力強さがない。ゲートは速かったが、恐らく今日は決め打ちで、鞍上に行く気がなく、後方から。道中はインで脚を矯め、直線に向いてから外へ。ただ、ここで捌くのに少し手間取ったのが痛恨。アルテヴェローチェの後追いでは流石に一手遅い。最後はアルテヴェローチェにアタマ差迄、詰めただけに...。賞金を加算したい立場でも有り、イチかバチかで内へ突っ込んだ方が良かっただろう。とはいえ、3着で東京戦の権利は確保。同じ手で一発狙う形になりそうだが、流れひとつ。

スリールミニョン

+6kg。見た目は前走京都戦とほぼ変わらず。もっと増えてもいい位。逆にいえば、成長は有りそう。歩様も悪くなく、前走を考えたら、落ち着きも有った。ゲート五分。出たなりで好位の内目。道中は我慢して走っていた。こちらは外へ出すという作業としてはスムーズだったが、直線に向いて一瞬の加速でアルテヴェローチェと差が有り、そこでミニトランザットに進路をやってしまったのが痛恨。ミニトランザットが外へヨレて、そのロスも勿体なかった。スムーズなら3着は有った競馬。東京戦に出て来るなら狙い目に。

モンテシート

前後肢にバンテージ。腹袋が目立つが、馬は張っている。デキ自体は悪くない筈。踏み込みも悪くない。ゲートは五分か少し分が悪い程度。少し出して好位から。この形の割には少し力む程度で、堪えていた方だが、直線に向いて外に張り気味になっており、大して伸びなかった。とはいえ、決め手勝負の展開になっただけに、単純に弱いとも断言は出来ない。次走が試金石。

アスクセクシーモア

-8kg。まだ馬が若い。青鹿毛で緩く映るので、見た目以上にデキが悪そう。明らかに歩様も甘い。ゲート五分。出たなりで中段から。折り合い面は序盤こそ問題なかったが、3角過ぎから少し行きたがった。今日の決め手勝負でこうなってしまうと、伸びないのは仕方がない。尤も、今日はデキもなく、暫く掛かりそう。

第55回高松宮記念(GⅠ)

サトノレーヴ

-7kg。前々走中山戦と比較すると-22kgということになるが、確かに数字分だけスカッとした印象。歩様も悪くなく、気配も良かった。この馬としては好発。出脚も遅い方ではなく、少し押した程度で中段も、外から来られて1列下げるか形。行き振りの悪いタイプでは有るが、絞れて機動力が増していた様で、今日はスムーズに走れていた。直線に向いて、ママコチャが動いて、その外へ。一手ずつ遅れていたが、前が開いてラスト200mからの脚が違った。鞍上の好騎乗も有るだろうが、単純に力が抜けていた。細かい部分で競馬が下手だったが、漸く本領を発揮出来た。尤も、この鞍上だと、鞍上の手腕ということになってしまうのは、馬にとって些か不幸という気もしないでもないが。とはいえ、関係者にとっては、上位を実績馬が占めたことで、有る程度の高レートも確保出来る筈で、有り難い馬が勝ってくれた印象も。

ナムラクレア

高値安定。馬体に張りが有って、キビキビとした歩様。下見ではケチを付ける部分が見当たらない。半馬身程、ゲートで後手。行き場もなく、そのまま後方からジックリと。3〜4角で動いた馬も居たが、4角まではジッとして、サトノレーヴに付いて行く形。ただ、直線に向いて坂下辺りで、そのサトノレーヴが外へ持ち出した際に、進路を譲ってしまったのが痛かった。ここをもう少しタイトに乗っていればどうだったか。強風の影響や馬場状態の関係で、今日は大事に乗った方が有利な条件だった様だが、それでも勝ちを捨てた感が強い。何れにしても馬は責められない。

ママコチャ

今日は馬体がスッキリ。少しチャカついていたが、歩様が悪くないのが何より。力は出せる状態。ゲート五分。出脚がもうひとつで、何とか中段。今日の展開ならこれでいいのだが、3〜4角で掛かってしまい、好位へ。直線に向いて、坂を上り切る迄は良かったが、そこからが続かなかった。この時期にしては、珍しくデキが良かったが、間隔を詰めて使った点が精神面で裏目に出たかも。今日の相手なら、何とかしたかったところだが...。現状の能力では、勝ち切るには全部がスムーズに行かないと難しいが、3着に残したところが底力ということもいえる。

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。少し完歩の小さい歩様はこの馬独特だが、硬い印象はない。ただ、今日は微妙に太い。右だけオーストラリアンブリンカー。行こうと思えば、もう少し行ける筈だが、ゲートが微妙に分が悪く、外から来られて一旦引いて中段から。道中は内外前に馬が居て、少し行きたがっている様にも見えた。直線に向いてからは良く伸びている。ママコチャの内外で切り替える場面は有ったが、最後迄脚が続いた。コーナリングが怪しく、左回りは微妙なのだろうが、もう少し前で流れに乗れていれば、際どくなっていただろう。GⅠでもチャンス有る馬。

エイシンフェンサー

前走京都戦とほぼ変わらず。この馬としては悪くない。ただ、前走で気になった硬さがマシになった。このメンバーに入ると馬が迫力負けしている。好発。この馬の出脚で好位。上手く流れに乗れていた様に見えたが、直線に向いて、内にモタれ気味になっており、もうひとつ伸びず。ママコチャと併せ馬の格好だったが、坂を上り切った辺りで甘くなっていた。差し有利の展開になり、前に居た組では最先着ということにはなるが、力量差はそれなりに有りそう。

マッドクール

今日は馬に活気が有った。直ぐに硬くなるタイプの馬で、そうなるとサッパリだが、前肢が伸びていて、生涯最高のデキ。この馬としては好発。出脚も速かったが、直ぐ外のウイングレイテストとビッグシーザーが主張して、3列目から。道中はスムーズに運べていた様に見えたが、直線に向いてからがイマイチ伸びなかった。前が中々開かなかったとはいえ、開いてからもそこに割って入れていない。切れる脚がないので、自分から積極的に動く形の方がいい。内枠がアダとなった格好。尤も、今日の展開だと序盤で主張していても甘くなっていた筈で、今日は仕方がない。

ルガル

前後肢にバンテージ。前走中山戦も良かったが、更に馬体に張りが出て、見栄えのする馬になった。歩様にバネを感じさせて、気配もいい。ゲート五分。出脚も速く、少し押した程度で、ハナ。ただ、ここで叩き切っていればまた違ったが、ビッグシーザーが引っ掛かっていたことで、オーバーペースになったか。コーナーでは一旦引いて矯めを造ったものの、直線は雪崩れ込んだ程度。いいスピードの持ち主だが、精神的に少し淡泊な面も有りそう。中山戦の様に前がバラける格好の方がいいのかも。

第32回マーチステークス(GⅢ)

ブライアンセンス

シープスキンノーズバンド。-6kg。小走りが入って、少し煩いのは何時ものこと。とはいえ、馬振りは文句なし。デビュー当初のトモの甘さがなくなった。ゲートでアオッたが、出脚で挽回して好位直後。序盤は馬群が前後で2つに分かれ、前段の最後方。鞍上は相手をロードクロンヌと決めていたとのことだが、向正面で少し番手を上げ、付いて行く形。4角での反応はピリッとせず、むしろ少し離され加減にも見えたが、直線に向いて坂下辺りで手前を替えてから加速し、最後はクビ差ながら、余裕を持って捕まえた。完勝。ただ、ダートの上のクラスで闘っていくとなると、ちょっとした反応の鈍さが裏目に出ることも多い。広いコースならいいが、次走人気になるなら嫌ってみても面白いかも。

マテンロウスカイ

前肢にバンテージ。馬に重量感が有って、ダート馬の中に入っても負けている感じはない。歩様にも力強さが有って、純粋にデキが良かった。ゲートは微妙に分が悪かった様にも見えたが、押して押して、外のペイシャエスに抵抗しつつ先行。丁度馬群の切れ目が有り、1角手前でインに潜り込む形。初ダートだったが、引っ張り切りでの追走になっており、ならばと3角手前から動いて先頭。4角の手応えが良く、ほぼ持ったままで回って来れた。直線に向いても中々脚色衰えず、一瞬はやったかの場面だったが、59kgが応えたか、坂を上り切って甘くなった。とはいえ、大健闘の2着。毎度の話になるが、初ダートでもスピードで押し切った馬はアテにし辛いが、こういう形なら安定して走ってくれそう。砂を被っても問題なさそうで、今後の選択肢が広がった。

ロードクロンヌ

例に依って、テンションが高い。少し寸詰まりの体型で。基本はマイラー。毛ヅヤが冴えて、デキは良さそうだが。好発。一瞬だけスレイマンもハナを狙って来たが、出脚と枠の利で譲らず、一旦は先手。ただ、今日は終始ポジションが落ち着かず、1角過ぎにピュアキアンが来て、そこで2番手となり、3角手前からマテンロウスカイが内から行って、落ち着く暇がなかった。人気を背負って、出し抜けのマテンロウスカイを追い掛けざるを得なかった分、最後は失速。とはいえ、何処かがスムーズなら、勝っていただろう。今日はむしろ強い内容。

ブレイクフォース

オーストラリアンブリンカー。-10kg。前走京都戦が明らかに緩かったので、絞れたと見ていい。歩様もシャキッとして、毛ヅヤも良くなった。全ての面で上向き。1完歩目が遅く、鞍上にも行く気がなく、後方から。道中はずっとインに居たが、砂を被っても特に気にしている様子はなかった。直線に向いてからも、内からスルスル抜けて来たが、最後の最後で甘くなった。展開ひとつの馬では有るが、ワンパンチ足りない印象も。

ホウオウルーレット

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+6kg。休養前の前走中京戦は少し緩慢にも見えたが、今日は造りにメリハリが有った。ゲートは五分に出たが、出脚がサッパリで後方から。丁度、ブレイクフォースと並走する形。これも道中の行き振りは悪くなかったが、こちらは4角大外。眼前に居た馬がもう少し進んでくれると展開が違ったが、ほぼ脚がなくなっている状況で、避けながら回る格好になってしまった。前とは差が有ったが、最後迄良く頑張っている。鞍上の話では休み明けだと進みが悪いとのことだが、東京2100m辺りなら一発有っていい。

第73回日経賞(GⅡ)

マイネルエンペラー

少し緩い様な気もするが、この馬は何時もこんな感じ。良く言えば柔軟性が有る。今日も伸びやかに歩けていた。ゲートが五分か、少し分が悪い位だったが、押して好位。馬場が渋った影響も有るだろうが、行きたい馬と行かない馬がハッキリ分かれて、今日は最初からスローの流れ。基本的には前に壁がない状態で、序盤は少し力んでいたが、1角で折り合いが付いた。早目早目の立ち回りで、3〜4角中間からスパート。回り脚は決して速くなかったが、直線も坂を上る最中に右手前になり、一瞬は止まりそうになりながら、外からチャックネイトが来て、左手前に戻してもうひと伸び。道悪は上手いタイプだが、勝負根性一本でこなしている。時計が速くなると苦しいだろうが、馬は力を付けている。

チャックネイト

遮眼革。-4kg。480kg台がベストで、現状はもうひと絞り欲しいが、前走を考えれば大分馬体は締まって来た。歩様もしっかり。ゲートは五分か微妙に分が悪い程度。少し出して中段。道悪は得意な馬で、馬群の中でも苦にせず走れていた。ただ、馬群の中に居た分、4角で待たされる場面。この馬場だと、進みが悪いのは全馬似た様なモノで、前が開いたのは直線に向いてから。良く伸びているが、あと一歩が届かず。力負けではなく、千載一遇のチャンスを逃した感は有るが、それはマイネルエンペラーにも言えること。

アーバンシック

前肢にバンテージ。前走と大きくは変わらず。最近では昨秋京都戦が一番のデキで、微妙に緩さが残る。歩様のキレも京都戦の方が良かった。ゲートは微妙に後手。少し出して中段。基本的にはチャックネイトの外に居た。本来はもう少し前で運びたかったところだが、馬が行きたがっていた為、折り合い面を重視して乗らざるを得なくなった。行きたがっていたのは、ほぼ丸々1周で、このロスは相当。チャックネイトと違い、こちらは外に居た分、自分のタイミングで動けているのだが、もうひとつ伸び切れず3着止まり。明らかに馬の力は抜けているが、今日は競馬の失敗。尤も、今年に入って、鞍上も乗れていない。特にこの手の折り合いの難しい馬に乗ると不発が多い。

リビアングラス

数字の割に線の細い馬だったが、馬体に重量感が出て来た。歩様は独特だが、硬い印象はなく、キビキビ歩けていた。ゲート五分。直ぐ内のバビットに乗る形で、少し押して2番手。出して行った分、序盤は少し力んだが、1周目の4角を少し大回りして、壁はなくとも、何とか宥め切った。ただ、ペースが上がり出した3角手前辺りからの反応がもうひとつ。マイネルエンペラーに動かされた分も有るが、結構早目に手が動いていた。逆にいえば、それでこの着差なら、良く踏ん張っている。デキがいいので、頑張っているのだろうが、こういう馬場はあまり向かないかも。

マイネルクリソーラ

前肢にバンテージ。トモの送りが硬く映るのは元々だが、前走を考えると、今日は落ち着いていた。馬体の張りも前走以上。ゲートは五分に出ているが、鞍上に行く気がなく、中段やや後方から。基本的にはアーバンシックをマークするイメージで乗られた。前述した様に、この馬場だとどうしても4角の反応が鈍いのだが、4角でアーバンシックに1馬身差有ったのが、最後はクビ差だから、力は示したといえる。広いコースの方がいい筈で、東京で改めて。2500m辺りでペースが速くなれば面白い。

マテンロウレオ

前走同様、今日も変わらず集中して歩けていた。毛ヅヤが冴えて、馬体の張りも変わらず悪くない。歩様の硬さもない。ゲート五分。この鞍上らしく、積極的に乗られて2番手。道中の行き振りは悪くなく、馬場を気にしている様子もなかった。4角の手応えも持ったままで、この時点ではこれが勝ったかの雰囲気も有ったが、いざ追って案外。馬場が合わないか...。

第72回毎日杯(GⅢ)

ファンダム

前後肢にバンテージ。寸の詰まったマイラー体型。ただ、数字は一緒でも、歩様がしっかりした印象。馬が良くなっている。好発も、距離を意識して最初から控えるつもりだったが、全く行く気がなく、下げて後方。序盤はそれでも行きたがっていたが、前と外に置いて我慢させた。直線に向いてからも追い出しを我慢。内外の合流地点を過ぎた辺りで大外へ持ち出し、一気の伸び。只管、脚を矯めていたことも有るが、上がり3F32.5秒。決め手が別次元だった。あとはこれを東京で出来るかどうか。捌けさえすれば突き抜けていいが、今日は少頭数なのでこの手が可能だった。フルゲートになると捌き損ねる危険は少なからず。

ガルダイア

-4kg。腹回りが薄く、もう少し数字は有ってもいい。とはいえ、気性面に課題の残る馬だけに、我慢が利いていたのは何より。歩様も悪くない。ゲート五分。前走中山戦を考えると、ジワッと行く形が理想だろうが、内からウォータークラークが抵抗、結局は300m程、走ってハナに立ったが、気を遣う形にはなった。それでも行き切ってからは暴走することなく、息を入れられた。直線に向いてからも突き放す脚が有ったが、ファンダムの瞬発力が違った。テンがスムーズなら、もう少し違った可能性は有るが、それでも今日は2着だったか。とはいえ、今日はマトモな競馬が出来たことが何より。今後も展開ひとつ。

ネブラディスク

2人曳き。また馬体減。馬体だけをいえば、走れる状態だっただろうが、仕上げとしてはギリギリ。馬のテンションが上がってしまっていた。ゲート五分。出脚を使わず、中段待機。前を壁にして、何とか我慢出来ていた,直線は自然と前があく迄、待ってからの追い出し。ただ、同じ後方からの競馬でも、ファンダムとは脚が違い、ジリジリとしか伸びなかった。折り合いが付いたことは良かったが、決め手の差は歴然。あくまで500万の馬。

アスクシュタイン

前肢にバンテージ。どうしても緩さが残る。気配に乏しいのは性格としても、歩様もまだ頼りない。出遅れ1馬身不利も、出脚で挽回して中段。頭を上げて行きたがる場面も有れば、スムーズに走れている場面も有ったが、スムーズに走れているところでも少しオッツケ気味で、根本的に流れに乗れていない様に見えた。直線に向いてからの伸びももうひとつ。現状は体質強化が最優先か。実質1000万の馬だが、そこでも厳しいかも。

エコロディノス

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬だが、全体に力が付き切っておらず、メリハリがない。歩様も甘く、完成する迄、相当掛かりそう。ゲート五分。少し出して2番手。これも少し行きたがっていたが、他場と比較すれば遥かにマシ。リズム良く走れていた方だろう。逆にいえば、それで追ってから弾けなかったのは言い訳がない。前走中京戦を考えると、折り合いが付いたのは収穫だが、もうワンパンチないと500万も怪しい。

リラエンブレム

+4kg。戦前から陣営に言い訳が多かったが、数字の割に腹回りが緩く、今日は問題外。歩様も全然だった。好発。出脚も速そうだったが、行く気がなく、後方からジックリと。折り合いも付いて、道中はスムーズに運べた。4角の雰囲気も悪くなかったが、直線に向いてから坂が上れずサッパリだった。最後は鞍上もロクに追っていなかったが...。デキの問題以外にない。

キングノジョー

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。-8kg。腹が巻き気味。少し細く映った。頭が高いのは物見をしている分で、気配はこれでもいいのだが...。好発。行きたい馬に行かせて好位。控えると頭を上げて行きたがってしまったが、他場も大差はなく、負け過ぎ感が強い。これもデキの敗因を求めた方が良さそう。